終話 終わる日々と続く日々 「いい、祥? あなたはただでさえ浮いているんだから、まずは無償奉仕で社会に溶け込む事から始めなさい」 私の声は、背後に向けられている。そこには声が向けられる人物が居て然るべきなのだが、周囲
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「――――冷たい場所」
透き通るような声だった。その透明さはどこか、神意のようなものさえ感じさせる。
そこには、少女が立っていた。
Night of Double Mirror 第五話
第五話 合わせ鏡の夜 チキ、チキとシャーペンを鳴らす。いや、鳴っていると言った方が正しいか。 教壇では教師が授業を進めているが、まったく耳に入ってこない。朝の遭遇だけが、頭の中を支配していた。 『昔、そこの悪魔
もっと読むNight of Double Mirror Border liner
Border liner 何時も通りに、始業に間に合うように家を出る。 ギリギリにならない程度に到着できれば、あとは歩く速度を調整してやるだけでチャイムが鳴る前に教室に入る事が出来る。 最初こそアイも文句を漏らして
もっと読むNight of Double Mirror 第四話
第四話 宙を舞う絆 ここにいる理由が欲しかった。 それも、誰かから貰うわけじゃなく、自分で掴み取らなくちゃいけない。 誰かを守って、誰かから必要とされて。 でも、何時か疑問に思ってしまうんだ。自分がここに『いる』
もっと読むNight of Double Mirror 第三話
第三話 壊れた人形 人形を見つめていると涙が落ちる。 理由はよくわからない。その在り方がどこか自分によく似ているからだろうか。 人形は、誰かから望まれなければそこには居られない。でも、人形は考える事も感じる事もでき
もっと読むNight of Double Mirror 第二話
第二話 偽神の契約 暗い湖の畔に、人が立っている。 自分はその後ろに立って、その後姿をぼんやりと見つめている。 その姿を……どこかで、見た事がある気がした。 辺りは静寂。光もない。そんな真っ暗な空間に、その人は独
もっと読むNight of Double Mirror 第一話
第一話 天より堕ちる者 がたん、と音を立てて屋上のドアが閉まった。 教室の喧騒は肌に合わない。一人よりも二人。そう言う人間が多いが、自分はどちらかと言えば独りの方が気が楽だった。 昼休みになると、決まってここにやっ
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