ねこのみゃー 四ヶ月後(前編)

四ヶ月後(前編)

「・・・暇だなぁ」

 僕はソファーでだらんと横になりながら零した。外からはやかましい蝉の声。今日も猛暑日で、クーラーがないせいでとんでもない状況になっている自分の部屋から逃げ出した僕は、居間でぐでーっとだらけている。
 みゃーも同じように暑いとだらけていたけれど、小島が襲撃してきて、みゃーをどこかへ連れて行ってしまった。たま姉ちゃんを尊敬していると公言するだけあって、小島の行動は非常に強引というか、積極的だ。普段から明るいのは良いんだけど、たま姉ちゃんと同じくみゃーをからかって楽しむのはやめてほしい。被害は主に僕に来るんだから。

「・・・ほんと、どうしよ」

 僕は暇をもてあましてそんな事を呟く。課題もみゃーにせっつかれて終わらせてしまったし、甲子園も終わったし。気になっているゲームとかもあるけれど、兎に角暑いので、自分の部屋に戻る気が起きない。母さん達は毎度の如く旅行へ出かけてしまったし、父さん達も仕事で居ない。本当に夜までここで眠ってしまおうかとも思ってしまう。母さん達が居たらこんなところで寝るなと叩き起こされてしまうし、みゃーがいたら寝るどころじゃないから、今の状況は僕にとっての至福の時だ。

「そうと決まったら、さっさと寝よ」

 みゃーが帰ってこないうちにね。
 そう決めると、僕は目を閉じてソファーに体を沈めた。

 ピンポーン。

 家にインターホンの音が響き渡る。しかし、その後どれだけ待っても反応が返ってこない。

「あれ?」

 金色の長髪を靡かせた女性はインターホンの前で疑問の声を上げた。

「誰も居ないのかな?」

 金髪の女性は軽く首を傾げて、目の前の家を見上げる。自分の実家の隣の家。ある意味、もう一つの実家とも言える家のインターホンをもう一度鳴らした。
 ピンポーン。
 音が響き渡って数秒。やはり、何の反応もない。

「むぅ・・・でも、窓開いてるのよね」

 女性は目の前の家のとある部屋を見上げる。その部屋は窓が大きく開け放たれていた。両親が居ない事が他の家と比べると多い家なので、出かける時は窓を閉めるように何度も言い含めていた彼女はその窓を見て、幼馴染みの少年が居るのを確信していた。

「寝てるのかな?」

 女性はそう呟くと玄関のドアに手をかける。ガチャリと抵抗もなく開かれるドアにやはりと苦笑を浮かべて家の中へと入っていった。
 玄関には幼馴染みの少年の靴が一つ。やはり、彼の両親は出かけているのだろう。おそらく父親の方は仕事で、母親の方は自分の母親と旅行に出かけているはずと女性は断じる。なぜなら、それは彼女が家を出る前から続いていた母親達の悪癖だったからだ。女性はまだ中学生の頃からそうして家を空ける両親達に代わり妹や幼馴染みの少年の世話をしていた。だから、この家の勝手は自分の家と同様に知っている。女性は家に上がると居間へと入って行った。
 其処に幼馴染みの少年は居た。
 冷房の効いている居間のソファーの上で横になっている少年の姿に金髪の女性――玉緒はふわりと極上の笑みを浮かべる。その笑みは愛しい相手に見せるようでも家族を見守るようでもあった。

「・・・・君・・・・・ケ君・・・・・」

 誰かの声が響いてくる。とても懐かしく、とても暖かいその声は何故か艶めかしい色をのせて僕の耳に届いてきた。

「んん・・・・」

 だけど、僕は微睡みの中に身を委ねたまま、声を拒絶するようにごろりと寝返りを打つ。誰の声かはわからないけど、僕はまだ眠っていたかった。

「ミケ君」
「わっ、うわぁっ!?」

 ガタガタンッ!?

 ふっと柔らかい声が耳にかかる。耳元で囁かれる声は息を吹きかけられたのと同じだ。僕はその感触に慌てて跳ね起き、バランスを崩してソファーから滑り落ちた。

「いたたたた・・・」
「ふふふっ、何やってるの、ミケ君?」

 ずきずきと痛む体を摩っている僕に掛けられる声。その懐かしい声と顔を見て僕は絶句した。

「え・・・・あ・・・・・」

 さらりと長い金髪。モデルのような均整の取れた肢体。そして天使のような極上の笑み。数ヶ月ぶりに見たけど、その姿は今までと何も変わらない、むしろ更に魅力的になったたま姉ちゃんが其処にいた。

「た・・・ま・・姉・・・ちゃん」
「うん。おはよう? ミケ君」

 驚きのあまり掠れるような声で呟いた僕に頷いてから、何故か疑問形でたま姉ちゃんは言う。そして、ふふっと笑みを浮かべた。

「な、なんでたま姉ちゃんが居るの・・・?」
「なんでって、ミケ君に会いたかったからじゃ・・・駄目?」

 僕の疑問にたま姉ちゃんは身を捩らせて流し目で僕を見る。その切なそうな瞳に僕は面食らってしまった。

「ちょ、ちょっと、たま姉ちゃんっ!? なななな、何言ってるのさっ」

 どもりながら僕は慌ててたま姉ちゃんから離れていく。その場にいたら危険だと頭のどこかが警告していた。
 たま姉ちゃんはそんな僕を見ながらくすりと笑みを切り替える。獲物を見定めたかのように目を細め、ゆっくりと僕へと迫ってきた。白魚のような細く綺麗な指が僕の顎へと伸ばされる。

「何って・・・言葉通りの意味よ。ミケ君だって、その意味がわからない程子供じゃないでしょ? もう」
「いやいやいやっ、僕はみゃーとつきあってるしっ、たま姉ちゃんはとても綺麗だけど、そんな風に考えた事はないしっ、たま姉ちゃんは家族みたいなものだし・・・」
「大丈夫よ・・・みゃーには内緒にしてあげるし、それにどうせあの日からみゃーとはやってないんでしょう?」

 そう言いながらもたま姉ちゃんの顔が近づいてくる。たま姉ちゃんの白い肌に映える紅い唇が徐々に近づいてくる。その先に待っているのはもちろん・・・

「待って、待ってよたま姉ちゃんっ。何の事言ってるのさっ」

 僕の言葉にたま姉ちゃんの顔が止まる。だけど、それも少しの間。すぐにたま姉ちゃんの笑みが深くなった。

「ふふ、それを女に言わせるの? も・ち・ろ・ん、エッチの事よ。ミケ君とみゃーの事だもの。どうせ、あの日からやってもキス止まりでしょう?」
「な、なななななななっ!?」

 何で知ってるんだっ!?
 僕の動揺を感じ取ったのか、たま姉ちゃんはその妖艶な雰囲気を強くした。

「何で知っているかって? いつも言っているでしょう。たまお姉ちゃんは何でも知っているって。ミケ君だって男の子、何時までも生殺しじゃ困るでしょう? 私になら、しても良いのよ」
「た・・・ま・・・姉・・ちゃん」

 艶めかしく動くたま姉ちゃんの唇に目を奪われる。魅惑的な言葉とたま姉ちゃんの美貌に胸がドキドキと鳴っていた。そんな僕の迷いを後押しするかのようにたま姉ちゃんは再び僕の顎へと手を添える。それだけで僕の体は動かなくなっていた。

「ね、ミケ君」

 くすりと目を細め、たま姉ちゃんの顔が近づいてくる。その真っ赤な唇が五センチ、三センチ、一センチ・・・そして――

”きしゃーっ!!”

「だめだってっ!!」
「きゃっ」

 みゃーの顔が頭に浮かび、僕は必死にたま姉ちゃんの肩を押さえる。いくら相手がたま姉ちゃんだからって、そんな事は出来ない。後でみゃーにどんな目に遭わされるか知れたものじゃないし。

「やめてよたま姉ちゃんっ、こんなことっ!」
「あらら、振られちゃった♪ ・・・だって。よかったわね、みゃー」

 たま姉ちゃんは肩を竦めて苦笑すると、僕の後ろへと極上の笑みを見せた。
 その視線につられて後ろを向くと、みゃーが癖毛を尖らせて僕達を睨み付けるように窓に張り付いている。そんなみゃーのすぐ後ろでは、小島がぐるぐると目を回してダウンしていた。

「やー、たまセンパイすんませんした。からかうのは出来ても、あたしにみゃーの足止めはやっぱり無理みたいっす」

 そう言って、小島はあははと笑いながら頭を掻く。聞いた話によると、小島はたま姉ちゃんに頼まれてみゃーを連れ出したらしい。だけど、途中でその事に気付いたみゃーが小島の制止を振り切り、家まで戻ってきたのだそうだ。

「ううん、ありがと。あきにゃん。お陰で楽しめたよ」
「そう言ってもらえると気が楽になるっす」

 たま姉ちゃんは小島にお茶を差し出しながら、くすりと笑う。小島はたま姉ちゃんに謝りながらそのお茶を飲んだ。そんな二人を尻目にみゃーは物凄く機嫌が悪かった。見てるだけでうなり声が聞こえてきそうな表情で戻ってきた時から僕とたま姉ちゃんを睨んでいる。たま姉ちゃんに淹れて貰ったお茶は未だに減っておらず、僕はそんなみゃーの視線に曝されて、何時手が飛んでくるかビクビクしていた。
 そんな僕達を見て、たま姉ちゃんはふうと溜息を吐いた。

「で、みゃー。いつまでそうしてるの? ミケ君が怖がってるんだけど」
「・・・」

 たま姉ちゃんの棘のある言葉にみゃーは言葉の代わりに視線で答える。何がそんなに不満なのかよくわからないまま僕がビクビクしていると、更に別の方向からとんでもない横槍が飛んできた。

「みゃーはたまセンパイがみけっちと仲良くしてるのが面白くないんだよね」
「ええっ!?」
「なっ、何言ってるのよ明奈っ!」

 ずずと音を鳴らした後に小島が笑い混じりに言う。その言葉に僕は驚きの声を上げ、みゃーは顔を真っ赤に染めて小島に食ってかかった。

「そんな訳ないでしょっ。お姉ちゃんもミケも家族みたいなものなのよっ」
「そう? その割には今日もそわそわしてた上に、たまセンパイが帰ってくる事を口にしたら一目散に走り出したよね?」
「そ、それは・・・そうよっ、お姉ちゃんの事だから、また変な事企んでると思ったのよっ。それになんであたしが知らないのに明奈に知らされてるのよっ」
「そりゃあ、あたしがたまセンパイとメールしてるからよ」

 今にも殴りかかりそうな雰囲気のみゃーを小島は飄々と受け流す。僕はそんな二人を交互に見ながら、小島の言葉の意味を考えていた。
 仲良くしてるって・・・そんなの昔からそうだし、みゃーを仲間はずれにしたことなんて・・・ちょっとはあったっけ?
 でも、それで言うなら、僕だって仲間はずれにされてることもあるだろうし、たま姉ちゃんを仲間はずれにしたことだって多少はある。それに仲間はずれって言ったって、丁度その場にいなかった時とかそう言う時で、わざわざ仲間はずれにしたって事はなかったはずだ。

「ふぅーん。みゃーったらもしかして焼きもち妬いてるの?」
「なっ!?」

 僕と同じく二人のやりとりを見ていたたま姉ちゃんがにやにやとみゃーを見つめて言う。からかう様に見つめるたま姉ちゃんにみゃーは更に顔を赤くしてピンと癖毛を尖らせた。

「な、なななななな何言ってるのよお姉ちゃんっ。何であたしがお姉ちゃんに焼きもち妬かないといけないのよっ」
「あれぇ? 私に、なんて言ったかなぁ? ふぅん、みゃーは私に、焼きもちを妬くんだぁ」
「なっ」

 くすり。勝ち誇った様な笑みを浮かべてたま姉ちゃんは”私に”を強調する。その言葉を聞いてみゃーは何かに気がついたらしい。僕ではなく、たま姉ちゃんに、焼きもちをを妬くとみゃーは言った。それって・・・まさか・・・

「え、みゃー・・・それって・・・?」
「きしゃーっ!?」
「ぐはぁぁぁぁっ!!」

 僕がそのことをみゃーに確認しようとした瞬間、顎に走った痛みとともに視界が上へと動かされる。また殴られたのかと理解するとともに僕の意識は闇へと落ちていった。

「ん・・・・・っう」

 深い闇から意識が浮上する。ぼうっとした頭で視界を取り戻したが、顎からの痛みに直ぐに意識が明瞭になった。

「あいたたたた・・・・・」

 僕はずきずきと痛む顎を摩りながら起き上がる。普段の状況からてっきり床に倒れているものだと思ったけど、意外にも僕が倒れていたのはソファーの上だった。
 誰かが移してくれたのかな?
 みゃーが運んでくれるわけないし、たま姉ちゃんが動かしてくれたのかな?

「あ、おはよう、ミケ君。今は夕方だけどね」

 そんな事を考えていたらたま姉ちゃんに声を掛けられた。たま姉ちゃんはなにやらてきぱきと台所で動いている。外を見たら辺りは薄暗く、西の空が橙色に染まっていた。
 慌てて時計を確認する。時刻は六時半。みゃーと小島が戻ってきたのが二時過ぎくらいだった
から僕はあれから四時間近く寝ていたことになる。

「もうすぐご飯出来るから、もうちょっと待っててね」

 たま姉ちゃんはこっちを見ながらも流れる様な手つきで台所を動いている。何かのいい匂いが漂ってきて僕のお腹を刺激してきた。

「あれ、みゃーと小島は?」

 ぱっと周りを見渡してみゃーと小島がいないことに気がついた。時間も時間だし、小島は帰ったのかも知れない。

「あきにゃんは帰ったよ。泊まっていかないって誘ったんだけどね」
「そりゃ、そうでしょ」

 小島は何回かみゃーの部屋に泊まった事があるみたいだけど、決まって母さん達のいる時で、うちには来なかったからなあ。いくらたま姉ちゃんとみゃーがいるとは言え、男と一つ屋根の下っていうのは流石に困ったんだろうなぁ。
 みゃーやたま姉ちゃんと僕は子供の頃から一緒に寝てたりするから、別に気にしないんだけど。

「それでみゃーは・・・」
「お姉ちゃん、お風呂掃除終わったわよ」

 たま姉ちゃんが言いかけた所にみゃーが戻ってきた。その声を聞いたたま姉ちゃんはちらりと僕の方を見る。

「とまあ、そういうことよ」

 そう言って、再び料理に専念した。
 みゃーはと言うと、僕が起きたのに気付いて、いつも通りに僕の隣に座る。そして、リモコンでテレビの電源を入れた。みゃーはいくつかチャンネルを変えていたが、この時間、基本的にニュースばかりやっていて、仕方なしにみゃーはアニメへと落ち着いた。
 僕とみゃーは並んでアニメを眺める。地方局の再放送のロボットアニメで光の戦士にロボットを渡された小学生が地球の平和のために戦うアニメだった。普段ロボットは学校に格納されていて、発進する際に学校が変形するのが印象的だ。っていうか、他の教室は学校が変形する時に巻き込まれたりしないんだろうか? なんて、お約束的な所に突っ込みをいれても仕方ないんだけど。

「はーい、お待た-。夕飯できたわよ~」

 丁度必殺技で敵を斬り、決めポーズを取った所で台所からたま姉ちゃんの声が響いてきた。先程から漂ってきている良い匂いにつられて、僕のお腹が空腹を訴える。もちろん、その訴えを棄却する事なんて出来なかった僕はみゃーを促して、台所へと入った。
 そこで僕とみゃーを待ち受けていたのはカレーライスだった。

「・・・・たま姉ちゃん。何これ?」
「なにって、見ての通りカレーライスよ。たまお姉ちゃん特製、激辛かも? カレーライス」

 僕の質問にたま姉ちゃんは平然と答える。確かにカレーはカレーだ。だけど、僕が聞きたいのはそんな事ではなくて、何でこの暑い中カレーを食べないとって言う事で、しかも激辛・・・かも?

「激辛・・・かも?」
「うん。激辛かも? この三つのお皿の内一つだけ本当の激辛カレーライスがあるの。とはいっても食べられない程辛くはしてないし、我慢すれば食べられるから当たっても我慢して食べてね。残したらお仕置きが待ってるからね~」

 たま姉ちゃんは笑顔でなんか怖いことを言う。たま姉ちゃんのことだから何をやらされるかわからないし、食べられない程辛くしてないって言っても、ぼくやみゃーの限界ぎりぎりだというのは間違いない。

「何でこの暑い中激辛カレーなんて食べなきゃいけないのよっ」

 僕の隣でみゃーが叫ぶ。それは僕も考えていたことだった。

「暑い中だから良いんじゃないの。二人ともどうせ暑い暑い言って素麺とか冷や奴とかサラダとか冷たいものばかり食べてたんでしょ? たまには暑いものを食べて汗を一杯かきなさい。大丈夫、辛いのは一つだけだし、公正を期すために私は最後に選ぶから。それに、舌休め用に卵サラダも用意したから。それとも何かを作ってみる?」
「言われなくても作るわよっ!」

 たま姉ちゃんの挑発に乗せられてみゃーが家の冷蔵庫を開く。しかし直ぐに閉じて怒りの形相とともにたま姉ちゃんを振り返った。

「何も無いじゃないっ!!」
「そりゃそうよ。残り物を使ってカレーとサラダを作ったんだもの。自腹で何か買ってくる?」

 みゃーの怒りを見事に受け流し、たま姉ちゃんはすまし顔でみゃーに言う。みゃーは悔しそうにたま姉ちゃんを睨んでいたが、やがて観念したのか、みゃーはふんっと鼻を鳴らすとテーブルに着いて自分から近い皿を引き寄せた。。

「ほら、ミケ君も」

 たま姉ちゃんに促されて、僕も渋々席に着く。みゃーが折れた今、僕だけ逆らっても何にもならない。料理も出来ないし。カップ麺なんて買って来ようものならみゃーとたま姉ちゃんに袋叩きにされそうだし。

「はい、ミケ君。どっちにする?」

 そう言ってたま姉ちゃんが二つの皿を差し出す。カレーの盛ってあった三つの皿の内、一つは既にみゃーが選んでいるので残りはたま姉ちゃんの差し出している二つだ。みゃーが選んだ一皿を含めても三つの皿に違いがない。一つだけ辛いっていうのなら、それだけ色が違うんじゃないかと思ったけど、流石にたま姉ちゃんはそんな単純なミスをしないみたいだ。
 いや、待てよ。こっちの方が心なしか赤い様な気がする。

「じゃあ、こっち」

 僕は赤く感じた物じゃない方を指さす。その瞬間、たま姉ちゃんがくすりと笑った様な気がした。

「いいの? こっちで」

 たま姉ちゃんは薄く笑みを浮かべて僕に問いただす。そんなたま姉ちゃんの態度に僕の自信は一瞬でなくなった。
 もしかして、こっちが辛いんじゃないのか? 赤く見えるのは辛そうに見せて実はそうじゃないとか。
 そう考えると断然こっちの方が辛くなさそうに思えてきた。

「や、やっぱりこっち・・・」
「本当にいいの? そっちで?」

 ええ!?
 どっちなのさたま姉ちゃん。
 たま姉ちゃんはやっぱり薄く笑みを浮かべて僕を見る。その瞳はにやにやと楽しんでいる様に見えた。
 改めてカレーを見比べる。だけど、もう頭がぐるぐるとしてどっちがどうという風にはわからなかった。

「え、ええと・・・」

 さっきは赤く見えた方が今度は赤くなく思える。
 すぱんっ。
 訳わからなくなり、僕が頭を抱えると隣に座っているみゃーに頭を叩かれた。

「いいからさっさと選びなさいよっ。そんなもんどっちも同じなんだからっ」
「わかったよぉ・・・じゃあこっちで」

 次には拳が飛んできそうなみゃーにせっつかれて僕は皿を選ぶ。残った方をたま姉ちゃんが引き寄せて席に着いた。僕は選んだ皿をじっと見るが、もはやどっちが辛そうだとかは全くわからなかった。

「じゃ、頂きまーす」
「頂きます」
「頂きます」

 たま姉ちゃんに続いて僕とみゃーも唱和する。そして、三人揃って問題のカレーに口に入れた。

「!?」

 その瞬間に僕の動きが止まる。舌から、喉から伝わる刺激にのたうち回りそうになった。

「~~~~~~~っ」

 僕の声にならない叫びが台所に響き渡る。僕はひりひりと痛む喉を押さえながら、テーブルの端に手を突いた。
 水水水水っ!

「はい」

 水を求めて立ち上がろうとした僕の前にたま姉ちゃんから水が差し出される。ご丁寧に氷の入れられた水はコップの周りに水滴を付けて冷たそうにアピールをしていた。
 僕はそれを一にも二にも無く受け取り、慌てて一気に飲み干した。冷たい水がひりひりと痛む喉を冷やしていく。

「な゛っ、な゛ん゛な゛の゛、ごれ゛っ!」

 あまりの辛さに喉の具合がおかしい。たま姉ちゃんはそんな僕の様子にくすくすと笑っていた。
 たま姉ちゃんが仕掛けたくせにぃ・・・

「言ったじゃない、一つは激辛だって。ミケ君、大当たり~」
「大当たりって、当たりじゃないし・・・」
「文句言ってないでちゃんと食べなさいよ。ミケが当たったんだから」

 僕の抗議は横からの声に流される。その声の方を見ると、みゃーが澄まし顔で福神漬け満載のカレーをぱくついている。当たったのが自分だったら、無理矢理にでも僕にも食べさせるくせに自分は当たらなかったから上機嫌だ。

「ぞんな゛ごどい゛うな゛ら゛・・・ん゛ん゛っ。そんな事言うなら、みゃーが食べてみなよ」
「嫌に決まっているでしょっ。そんなの人間の食べ物じゃないわよっ」
「あら失礼ね、みゃー。ちゃんと私はみゃーでもミケ君でもぎりぎり食べられる辛さで作ってるのよ? それを人間の食べ物じゃないなんて。みゃーも食べさせて欲しいみたいね?」

 そう言った瞬間、たま姉ちゃんはひょいと僕の皿からカレーを掬ってみゃーの口に放り込んでいた。それは一瞬の早業で僕もみゃーも止める暇も避ける暇もなかった。

「ぎじゃーっ!!」
「ふふふふふっ」

 次の瞬間、みゃーの絶叫が台所に響き、たま姉ちゃんはそんなみゃーを見て笑う。僕がそんな二人の行動をぽかんと眺めている内にみゃーはのたうち回りながら蛇口へと走っていった。

 そんなこんなでどたばたと騒がしい食事を終えた僕達は何をするでもなく、そのまま台所で食後のお茶を飲んでいた。お茶と言っても夏の暑さに加えて、さっきのカレーが酷かったので冷蔵庫で存分に冷やされた麦茶だけど。
 みゃーは僕の隣に座り、たま姉ちゃんは洗い物をしている。カチャカチャと食器の当たる音が夜でも鳴いている蝉や虫の鳴き声に混じり、独特の音を作り出していた。

「ふぃー、酷い目にあったぁ・・・」

 僕はゴクリと麦茶を飲み干してテーブルに突っ伏す。そんな僕の声が聞こえたのか、たま姉ちゃんは背中でふふっと笑う。

「辛さに悶えるミケ君の姿、面白かったよ。本当はみゃーが食べてるのを見たかったけどね」
「何であたしが食べなきゃいけないのよっ。お姉ちゃんが作ったんだから自分で食べればいいでしょっ」

 たま姉ちゃんの言葉に僕の隣でみゃーが文句を言う。まったくだ。こんなの自分で食べればよかったのに。とはいえ、猫舌のみゃーがあんなものを食べた時の悶えようは見なくても予想が付いたので、少なくともみゃーに激辛が行かなくてよかったと思う。まあ、僕もあれは勘弁したかったから、たま姉ちゃんが食べるのが一番よかったんだけど。

「・・・・・?」

 ふと、自分の体の変調に気がついた。

「っ!?」

 いや、変調というか何というか、僕のあそこが急に元気になったのだ。
 なななななんだこれっ!?
 僕は慌ててみゃーとたま姉ちゃんを伺う。
 気付かれてないよね。

「ん? ミケ、どうしたの?」
「え!? いや、な、なんでもないよっ!?」

 僕の不審な動きに気がついたのか、隣でみゃーが聞いてくる。あからさまに何かあった様な僕の返答に怪訝な視線を返してきた。

「ん~、ミケ君どうしたの?」

 そんな僕達のやりとりを聞きつけたのか、それとも洗い物が終わったのか、いや、その両方か、たま姉ちゃんがこっちへと戻ってくる。たま姉ちゃんは椅子には座らず、至近距離で僕の顔を覗き込んできた。

「具合でも悪いの?」

 たま姉ちゃんの良い匂いが僕の鼻腔をくすぐってくる。相変わらず綺麗なたま姉ちゃんにドキッと胸が高鳴り、僕のあそこは更に元気になってなんかとんでもない事になっている。
 って、やばいよ。こんなになってるのをみゃーやたま姉ちゃんに知られたら・・・
 その状況を想像して、僕は青くなった。間違いなくたま姉ちゃんにはからかわれるし、みゃーにはぶん殴られる。どっちにしても避けたい状況に僕は慌てて席から離れた。たま姉ちゃん達に見られない様にさっと引き戸の影に隠れる。

「い、いや、大丈夫。大丈夫だよっ。うん、大丈夫だからっ。僕はお風呂に入るねっ」

 そう言い残すと、僕はたま姉ちゃんに捕まらない内に慌てて風呂場へと逃げだした。
 一気に服を脱いで風呂場に飛び込むと、僕は熱いお湯を頭から被り、改めて自分の股間を見つめる。

「・・・・何・・・これ」

 そこでは僕のあそこが物凄い勢いでかちんこちんに固まっていた。それはもう見た事がないくらいに大きくなっていて、自分の物じゃないみたいだ。
 これ、抜けば戻るのかな? 戻らなかったらどうしよう。流石にこんなの隠せないし、下手すると家から出られないんだけど。やっぱりたま姉ちゃん・・・なのかな? だってどう考えても変でしょ、今までこんな大きくなった事無いし。
 いやいやいや、落ち着いている場合じゃない。兎に角これを何とかしないと家どころか、お風呂からも出られやしない。そもそもたま姉ちゃんだったとして原因がわかった所でこの事態がどうにかなるとは限らないし。やっぱり抜くしかないんだろうな。
 僕が意を決して大きくなった自分のあそこを掴んだ時、それは襲撃してきた。

「み~けく~んっ♪」

 楽しそうな声とともに僕の背中に柔らかい感触が押しつけられ、ふわりと靡いた金色の髪が僕の視界の端へと入る。良い匂いが僕の鼻腔に入り、たま姉ちゃんの存在を強烈に示してきた。

「う、うわああぁぁぁっ!?」

 大して大きくない風呂場で僕は出来るだけたま姉ちゃんから距離を取る。距離は三十センチと離れていないけど、それが限界だった。
 たま姉ちゃんはその均整の取れた体を大胆に晒し、四つん這いでまるで獲物を嬲るかのように僕をじっと見ている。

「どうしたの、ミケ君? そんな素っ頓狂な声を出して」

 たま姉ちゃんはくすくすと笑いながら、ぐいっと顔を僕に近づける。それに連動してぶるぶると揺れるおっぱいを僕は必死に見ない様にしていた。

「な、何でここにいるのさっ。しかも裸でっ!」
「なんでって。お風呂で裸になるのは当然でしょ? それともミケ君は服を着たままお風呂には入れって言うの?」
「そうじゃなくてっ、何で今入ってくるのさっ」
「それはもちろん、ミケ君の裸が見たかったから♪」
「見たかったからじゃないよっ」

 笑顔でとんでもない事を言い出すたま姉ちゃんに僕は狼狽える。その時、たま姉ちゃんの視線が下を向いている事に気がついた。

「う、うわあぁっ!?」

 たま姉ちゃんの視線がある一点に向いている事に気付いた僕は慌ててそこを隠す。だけど、既に時遅し、たま姉ちゃんはにんまりと楽しそうな笑みを浮かべていた。

「ミケ君のこんなになるんだ。ひょっとして私に欲情しちゃったのかなぁ?」

 たま姉ちゃんはクスクスと笑いながらそう言い、そっと僕へと顔を近づける。たま姉ちゃんの白い肌が視界一杯に広がり、良い匂いが漂ってきた。

「ね、してあげようか?」

 静かで甘い誘惑の声が僕の耳へと滑り込んでくる。その意味を理解してドキッと胸を高鳴らせた時、絶叫がお風呂場に響いた。

「きしゃーーっ!!」

 バーンという盛大な音と共にお風呂場の戸が開かれ、みゃーが僕とたま姉ちゃんを見下ろしていた。ぎろりと向けられた視線、そしてフーッと言う荒い呼吸と共にピンと立ち上がった癖毛がみゃーの怒りを示している。
 そして、僕は今の状況に気がついた。裸で向かい合う二人の男女。しかも男は自分の彼氏で女は自分の姉。いくらたま姉ちゃんがたま姉ちゃんだからと言っても、浮気現場にしか見えない。

「みゃ、みゃーっ。ちが、これは違うんだっ」
「何やってるのよ、お姉ちゃんっ!」
「何って、見ての通り、お風呂に入っているのよ。みゃーも一緒に入る?」
「きしゃーっ! 何処が見ての通りよっ! どう見たってお姉ちゃんがミケを襲ってるようにしか見えないわよっ」

 言い訳めいた僕の言葉を全く聞かず、みゃーはたま姉ちゃんに食いかかっていく。だけど、たま姉ちゃんはそんなみゃーの勢いなんて軽く受け流し、飄々とみゃーに言葉を返していた。

「人聞き悪いわね。別に私は襲ってなんかいないわよ。ちゃんとミケ君に尋ねてるんだから。こんなに大きくしちゃって大変そうだし。ね、ミケ君」
「きしゃーっ、屁理屈っていうのよ、それはっ。ミケに尋ねてるとかそれ以前に裸で入って行ったのはお姉ちゃんでしょっ!」
「もう、ミケ君もだけど、みゃーも何言ってるのよ。お風呂に入るのに服を着て入る人はいないでしょう?」

 それだけ取るとわざとなのか天然なのかわかりづらいたま姉ちゃんの言葉。いや、たま姉ちゃん事だから絶対にわざとなんだろうけど。それはみゃーも感じていたらしく、たま姉ちゃんの言葉を聞いた瞬間、既にかなりつり上がっていたみゃーの眉毛が更につり上がった。

「きしゃーっ!! そんな事言ってるんじゃないっ!」
「もう、五月蠅いわねぇ。”みゃーに命令、みゃーも裸になる”」
「たま姉ちゃんっ!?」

 なんて事言うんだっ。
 僕は耳に入ってきたたま姉ちゃんの言葉に驚き、目に入ってきたみゃーの行動に更に驚いた。
 みゃーが怒りの形相そのままに着ている物を脱ぎだしたからだ。

「大体ねえ」

 一枚、上に来ていたワンピースにも見えそうな大きいタンクトップを体から抜き取り、二枚、平ら――否、微かな胸を包み込むブラジャーを外す。

「子供じゃないんだから」

 三枚、膝下まで隠しているハーフパンツをストンと落とし、四枚、最後にみゃーのあそこを覆っていた三角形の布を抜き取った。

「一緒に入る方がおかしいでしょっ」

 そうたま姉ちゃんに言うみゃーは自分の言葉とは裏腹に素っ裸になり、自分の姿に気がつかないのか仁王立ちをしている。そんなみゃーにたま姉ちゃんはくすくすと笑いながら、みゃーに尋ねた。

「そう? じゃあ、何でみゃーは裸になっているの?」
「こっ、これはっ・・・」

 その質問にみゃーは一瞬喉を詰まらせ、しかしすぐにその答えを口にした。

「あ、あたしもお風呂に入るのよっ。お姉ちゃんとミケを二人きりにしたら何が起こるかわかったもんじゃないんだからっ」

 ドカーン!
 漫画だったらこんな効果音が入りそうだ。って、そんな悠長な事を考えている場合じゃなくてっ、何言ってんだみゃーっ!!
 たま姉ちゃんはみゃーの言葉にふふっと笑い、にやりと挑発的な笑みを浮かべながらみゃーに返す。

「みゃー、お風呂に一緒に入るのはおかしいんじゃないの?」
「だ、だからっ、お姉ちゃんとミケを二人きりに出来ないって言ってるのよっ」

 顔を真っ赤にして言い切るみゃーにたま姉ちゃんはくすくすと笑った。

「そう、じゃあ、私はこっちにいるね」

 そう言って、たま姉ちゃんはお湯が張ってある浴槽へと入る。自然、みゃーの前に僕の裸が曝され、みゃーの裸も僕の前に曝された。素っ裸の自分と同じく素っ裸である一点を隠す僕。その両方の姿を意識して、みゃーの顔がさっきとは違う意味で赤くなった。

「き、きしゃーっ!?」

 瞬間的に処理しきれなくなったみゃーが奇声をあげる。その声に身の危険を感じビクッと全身を堅くし、ぎゅっと目を閉じた僕の耳にたま姉ちゃんの綺麗な声が届いた。

「”みゃーに命令、フェラチオをする”」

 なんて事言うんだたま姉ちゃんっ!?
 もう殴られる事は確定だと思い、更に身を守る僕。だけど、想定した衝撃はいつまで経っても来なかった。代わりに何かの感触がそっと僕の膝に触れる。
 え・・・?
 膝の内側に触れられるその感触に吃驚して、僕が目を開けるのと同時にぐいっと足を開かれた。開かれた足の間、僕の視界の中では顔を赤くしたみゃーがさっきのたま姉ちゃんの様に四つん這いで僕を見ていた。
 少年の様な真っ黒なショートヘア。小さな体に相応な胸とお尻。健康そうに日焼けした小麦色の肌とたま姉ちゃんとは全然違うみゃーの裸は、しかし、たま姉ちゃん以上に僕をドキドキさせてくる。

「みゃ、みゃー・・・」
「き、きしゃーっ!?」

 呆然とした僕の呟きはみゃーの絶叫に掻き消された。

「なによこれっ!!」

 僕のあそこを見て、みゃーは顔を真っ赤にする。噛みつかんばかりのその勢いに吃驚して、僕は慌てて答えた。

「な、なにって・・・ちんちん」
「そんな事聞いてるんじゃないっ! 何でこんなになってるのかって言ってるのっ。お姉ちゃんと何してたのよっ!」

 みゃーはピンと癖毛を立てて、僕を睨む。今にも噛みついてきそうなみゃーの勢いにちょっとびびりながらも慌てて弁解した。

「な、なにもしてないよっ」
「きしゃーっ! 何もしてないのにこんなになるわけないでしょっ! こんなにしてっ!!」

 そう叫ぶや否や、みゃーは唐突に僕のあそこを咥えだした。

「ちょ、ちょっと、みゃーっ!?」
「んんっ、ぢゅぅ、ん、ふぅ、んぅ」

 体積的に普段の二倍くらいの大きさになっている僕のあそこを喉の奥まで咥え、みゃーは凄い勢いで頭を動かしていく。ぞわっと物凄い快感が僕の背中を走り抜け、夏だというのに全身に鳥肌が立った。

「ちょぉ・・・みゃ、みゃーっ、なんっ、なのさっ」
「んっ、ぢゅ、ふっ、ん、んぅ、ふっ」

 僕の戸惑いの声も聞かず、みゃーはひたすらに頭を動かしてくる。鋭角の刺激が先の方からどんどん突き刺さり、きゅっと握られた根本に棒の自由が奪われていく。

「ふふ、みゃーったら可愛い」

 そんな僕達の横からたま姉ちゃんの声が聞こえてきた。
 当然だ。たま姉ちゃんはみゃーに場所を譲った後、浴槽に入ったまま出ていないんだから。
 ビクビクッと体が震える中、ちらりとたま姉ちゃんを見ると、浴槽の縁に腕と顎を載せていて、寛いでいるような、みゃーの行為をよく見ようとしているような体勢だった。

「たっ、まぁっ・・・姉ちゃんっ?」

 刺激に震えて微かにしか出なかった声はしかし、たま姉ちゃんの耳には届いていた様で、たま姉ちゃんはくすりと笑ったままこっちを見る。

「だってそうでしょ? みゃーったら・・・」
「きしゃーっ、お姉ちゃんは黙ってて!」

 一瞬だけ口を離してみゃーが言う。そして、すぐに咥え直して頭を動かすみゃーにたま姉ちゃんはくすくすと笑った。

「はいはい、じゃあお姉ちゃんはこのまま観戦してるわね」

 そう言って、たま姉ちゃんは言葉通りにこっちを見ている。
 いくらたま姉ちゃんだからと言っても、こんな所を人に見られているなんて恥ずかしかった。

「ちょ、みゃ、みゃー。たま姉ちゃんがみてぅっ」
「ふっ、んっ、ぢゅっ、ちゅぅ、んっ、ぅっ」

 たま姉ちゃんが見てるからやめて。
 そう言おうとしたけれど、みゃーから送られてくる激しい刺激に僕の口は途切れた。

「ぅっ・・・ぁっ・・・みゃ、みゃぁっ」
「んっ、んんっ、ふぅ、んぅ、ん、ぅっ」

 情けない声を上げる僕とみゃーの視線が絡まる。あっという間に限界に達した僕の訴えをみゃーは悟り、ラストスパートに入った。ぞわっとしていた感覚が、寒気にも似た感じに変わり、その感じは全身からあそこの先へ集約していく。

「みゃ、みゃーっ」

 もう、これ以上は駄目だ。

「ねえ、ミケ君? そのままみゃーの口に出すの?」

 もう出る。そう思った瞬間、不意に聞こえてきたたま姉ちゃんの言葉にそのことに気付かされた。
 僕は慌ててみゃーの頭を抑えて、僕のあそこから口を離す。その瞬間、ちゅぽんとみゃーの唇が与えた刺激が最後の引き金となり、僕のあそこから真っ白な精子が飛び出した。

「~~~~~~っ」
「きしゃぁっ!?」

 びくっ、びくっとあそこや体全体が震え、吹き出した精子は当然の様に目の前のみゃーに降りかかっていく。烏の濡れ羽色とも言えるくらいに黒いみゃーの髪の毛に僕の白い精子が斑模様を描いた。

「あ・・・・・」

 ハアハアと荒い呼吸、虚脱感で呆然としている中、僕はそのことに気付く。
 みゃーはと言うと四つん這いで、下を向いたままぶるぶると震えている。よく見ると手がぐっと拳を作っていて、怒っているだろう事が目に見えていた。

「みゃ、みゃー・・・?」
「きしゃーっ! なんてことするのよっ」
「ご、ごめん・・・」

 ピンと斑模様になった癖毛を立てて、みゃーは僕に食ってかかる。僕がそのことに謝ろうとしたら、隣からたま姉ちゃんの声が聞こえてきた。

「ふふ、みゃーったら、随分綺麗なお化粧ね」
「きしゃーっ!! お姉ちゃんのせいでしょっ!!」

 楽しそうなたま姉ちゃんの声にみゃーが過敏に反応する。確かにたま姉ちゃんの声がなかったら、僕はみゃーの口の中に出していた。だからたま姉ちゃんのせいというのはあながち間違いじゃない気もするけど、どっちにしても僕はみゃーに怒られる様な気もする。

「あら、心外ね。フェラはみゃーが始めた事でしょ。フェラになったら、口の中に出すか、外に出すかの二択しかないのに。折角私が気を利かせて、口の中に出さない様にしたのに。それともみゃーはミケ君のザーメン、飲みたかったのかなぁ?」
「き、きしゃーっ! なんでそうなるのよっ! 出したいならあたしに出さなくてもいいでしょって言ってるのよっ!」

 僕を尻目に姉妹喧嘩を始めるたま姉ちゃんとみゃー。いや、突っかかっているのはみゃーだけだから喧嘩と言うより、たま姉ちゃんに遊ばれているだけか。

「なんでって、そりゃあねえ」

 そう笑いながらたま姉ちゃんが浴槽から出てくる。

「ちょ、なによ」

 警戒するみゃーの後ろに回り、たま姉ちゃんはきゅっとみゃーを抱きしめた。そして、有無を言わさずにみゃーのあそこへと手を這わす。

「きしゃーっ!?」

 戸惑う様な、拒絶する様なみゃーの声。そんな声に構わずたま姉ちゃんはみゃーのあそこを弄っていく。
 くちゅ。

「んぅっ」

 水っぽい音が聞こえたかと思うとたま姉ちゃんの腕の中でみゃーの体がびくんと跳ねた。たま姉ちゃんはその反応に満足そうに笑うと、みゃーのあそこを弄っていた手を持ち上げる。その手にはお湯とは明らかに違う、粘性をもった液体が絡みついていた。

「ほら、こんなに濡らして。ミケ君のを咥えて気持ちよくなってたんでしょ?」
「・・・・っ」

 恥ずかしいのか、たま姉ちゃんの言葉にみゃーはそっぽを向く。その頬は更に赤く染まり、別に浴槽に浸かったわけでもないのに茹で蛸の様だった。
 そんなみゃーの様子にたま姉ちゃんはふふと笑う。

「大丈夫、気持ちよくなる事は恥ずかしい事じゃないよ。それにほら、ミケ君ももっとしたいって言ってるし」

 そう言って、たま姉ちゃんは僕のあそこを指さす。僕もみゃーもつられてみると、あそこはさっきみゃーに出したにも関わらず、力一杯その存在を示していた。

「き、きしゃーっ!? 何でそんなになってるのよっ」

 顔を真っ赤にし、癖毛をピンと立てたみゃーがたま姉ちゃんの腕の中で叫ぶ。

「な、何でって、こっちが聞きたいくらいだよっ」

 さっきから全然変わらず、力一杯存在を示す僕のあそこにみゃーに負けず劣らず、僕も驚いているんだ。みゃーに思いっきりかけたのにまだまだ足らないと叫んでいるあそこに。

「ふふ、良いじゃない理由なんて。大事なのはもっと出来るって事でしょ、ね。”えっちなみゃー”もそっちの方が楽しいよね」
「・・・・・・うん♪」

 みゃーはさっきの勢いと打って変わって、たま姉ちゃんの言葉に嬉しそうに頷いた。そして、妙に色っぽい流し目を僕へと向け、たま姉ちゃんの腕の中からゆっくりと体を出す。四つん這いのさっきと同じような体勢。だけど、さっきが猛獣に襲われている様な感じだったのに対し、今度は蛇に睨まれた様な感じがした。

「ね、ミケ。あたし、ミケの舐めながらこんなにしてたんだ。もっとミケにして欲しいの。もっとミケにしてあげたいの」

 そう言って、みゃーはゆっくりと僕に覆い被さってくる。お風呂場の柔らかい光に照らされ、みゃーの体が艶めかしく映った。

「みゃ、みゃー・・・」
「ミケ・・・ん・・・」

 みゃーはそっと自分の大事な所を開き、存在を示す僕のあそこに宛がっていく。くちゅ、と水っぽい音が鳴り、僕のあそこに熱い液体が伝ってきた。
 ひくひくと蠢くみゃーのあそこが僕の先っぽを咥え込む。その瞬間に補食された虫の様に僕のあそこはみゃーの中へと飲み込まれた。

「くぁぅっ」

 ぞわっと僕の体に寒気が走る。久しぶりのみゃーの中は物凄く熱く、そして気持ちよかった。抜いていなければ入れた瞬間に出してしまっていた。それくらいの快感が走り、僕は必死に歯を食いしばる。

「ん・・・ミケの・・・中で感じる」

 気持ちいいのはみゃーも同じなのか、みゃーははぁと甘い吐息を吐いた。僕のあそこを中へ中へと飲み込んでいくみゃーのあそこはうねうねと蠢き、僕に果てしない快感を与えてくる。

「ミケ・・・動くね」

 みゃーは蕩ける様な笑みを浮かべてそう言うと、僕の腰の上でゆっくりと動き出した。

「ふっ・・・ん・・・ぁっ・・・ぅん・・・」

 両手を付いて、僕の上で腰を振る。腰の動きに合わせて僕のあそこがみゃーの中に出し入れされ、微かにしかない胸の代わりにみゃーの髪が上下に跳ねた。みゃーが気持ちよさそうな顔をする度にぞわぞわとした感覚が僕の腰を走り、僕も何とも言えない表情になっていく。

「みゃ、みゃー・・・ぅっ」
「みけぇ・・・」

 意味もなく零れた呻きの様な僕の声にみゃーは答え、はあと甘い溜息を漏らした。

「もっとぉ・・・もっと、気持ちよくしてぇ・・・みけぇ」

 そう言いながら、みゃーは自分の腰の速度を上げていく。ゆっくりと聞こえていた水っぽい音のリズムは徐々にテンポが上がっていき、ずちゅ、ずちゅと言う音がじゅぶじゅぶと湿り気を増した。ハアハアと僕の上でエッチな姿を曝しているみゃーはとても気持ちよさそうで、しかし何処か物足りなそうに笑っていた。

「ねぇ・・・みけぇ・・・うごいてぇ・・・もっとぇ・・・気持ちよくしてぇ・・・ひぁぅっ」

 僕を誘惑する様に見てきたみゃーが突然可愛らしい声を上げる。何事かと驚いた僕が目にしたのは、胸を僕でもみゃーでもない手によって覆われているみゃーの姿だった。

「お、お姉ちゃっ・・・・んぅっ」

 びくんと体を震わせるみゃーの後ろでたま姉ちゃんが楽しそうにみゃーの胸を揉んでいた。その指の動きは官能的で、たま姉ちゃんの指が動く度にみゃーのからだがぴくんと動く。

「二人で楽しそうにして・・・私も混ぜてよ。ね、いいでしょ?」

 たま姉ちゃんはふふと蠱惑的な笑みを浮かべ、みゃーへと声を掛けた。

「ぁぁんぅ・・・いいよ・・・お姉ちゃんも一緒にぃ・・・・ひぅっ」
「ええっ!?」

 ぴくんと体を震わせながらみゃーが答える。その答えに僕は驚きの声を上げた。たま姉ちゃんの事だから断られても、普通に混ざってくるかもとは思ってたけど、まさかみゃーが受け入れるとは思わなかった。

「ひどい、ミケ君。みゃーと二人きりで、お姉ちゃんをのけ者にしようって言うの?」
「・・・」
「ひどいって・・・」

 むぅと頬を膨らませるたま姉ちゃんにじっと非難の目で僕を見るみゃー。
 え? 僕が間違ってるの? だって、いつものみゃーだったらきしゃーとか言ってる所じゃないの?

「大丈夫、お姉ちゃんも一緒に楽しもう」
「ありがと、みゃー。んっ・・・ぅ」

 たま姉ちゃんはみゃーの言葉に笑うと、みゃーの唇を奪う。みゃーはそれを受け入れて、たま姉ちゃんに身を委ねた。

「ん・・・ちゅ・・・ぅ・・・」
「あむ・・・ふ・・・ん・・・」

 二人の唇が重なった所から水っぽい音が零れる。微かな隙間から二人のしたが絡まっているのが見えた。たま姉ちゃんはそれだけでは飽きたらず、ふにふにとみゃーの胸を揉んでいく。流石たま姉ちゃんというのか、それとも女同士だから感じる所を知り尽くしているのか、たま姉ちゃんの動きにみゃーは体をぴくぴく震わせて、僕の上でダンスを踊った。

「んっ、ぅっ・・・ぁ・・・んっ」
「ちょっ、みゃ、みゃぁっ」

 くねくねと体を捩らせるみゃーの中がひくひくと僕のあそこを刺激してくる。中へ中へと誘う様に蠢くみゃーのあそこから伝わる快感に僕は情けない声を上げた。

「んっ・・ぅっ・・・これ、結構動きにくいっ。ミケ、動いて」
「ぅぇっ、ちょっ、みゃーっ!?」

 既に一杯一杯だって言うのにそんな事が出来るわけがない。っていうか、いきなりみゃーが僕にその・・・してきたって言うのに、僕に動けっていうのはどうなんだろう。

「ほらほら、みゃーがご所望よ。ミケ君。”ミケ君に命令、みゃーの言う通りにする”」
「たま姉ちゃんっ!」

 みゃーの後ろで楽しそうにたま姉ちゃんが言う。たま姉ちゃんは相変わらず胸を押しつける様にみゃーにくっついていた。ご所望って言われても、既に一杯一杯だってば。みゃーからしてきたってのもあるし、いくらたま姉ちゃんとはいえ、やっぱりそんな姿を見られたくないんだけど。

「ね、ミケ・・・動いて」
「あ、うん」

 でも、みゃーが言うなら仕方ない。結構動きにくいんだけど、頑張って動こう。

「じゃあ、いくよ。みゃー」
「ん・・・・んぅっ」

 みゃーが頷くのを待ってから腰を突き上げる。それだけで物凄く感じるのか、みゃーが僕の上でびくんと跳ねた。
 だけど、それは僕にも言える事で、今一回突き上げただけでも全身に寒気の様な感じが走っていた。みゃーのあそこがうねうねと蠢き、僕のあそこに刺激を与えてくるからだ。
 みゃーと一緒にイキたい。
 僕はみゃーにわからない様にギリと歯を食いしばり、ぞくぞくと伝わってくる快感に耐えていく。

「ふふ、ミケ君もみゃーも可愛らしいなぁ」

 そう、みゃーの後ろでたま姉ちゃんがくすりと笑う。その瞬間、ひゃぅんとみゃーの口から可愛らしい声が漏れた。

「ぁん・・・お姉ちゃぁん・・・もっとぉ・・・」

 たま姉ちゃんの指の動きに操られる様にみゃーの体がぴくんと動く。それに連動してひくっと蠢くみゃーのあそこが僕へと快感を伝えてきた。びくんと僕のあそこが震え、みゃーの中へ快感を返す。その快感にみゃーはがくんと頭を震わせた。

「ぁっ! いいっ、よぉっ! みけぇっ! もっとぉっ!」

 口から涎を垂らして腰を振るみゃー。びくんびくんと体を震わせる姿はとてもエッチだった。

「んっ、うんっ、みゃーっ、いくよっ!」

 みゃーの言葉に応え、腰を打ち上げていく。ずんっと押し上げたあそこがみゃーの奥深くへとねじ込まれ、みゃーの体を快感で震わせた。

「ひぁっ、ああっ、んぁぁぅっ、いいっ! ぁんぅっ」
「みゃ~ぁ~? 私、忘れてな~い~?」
「ひゃぁんっ! あぁぁうんっ、だ、めえぇっ」

 たま姉ちゃんが楽しそうに指を動かす。みゃーの微かな胸の先、硬く尖ったところをたま姉ちゃんがくりくりと弄るのが見えた。
 熱いみゃーの中が更に熱くなる。ビクビクと震えるみゃーのあそこから溢れる液体がとろとろと僕のあそこを伝わり、僕の体へ垂れてきた。
 ぞわっと言う感覚が全身を走る。奥へ奥へと呑み込んでくるみゃーのあそこの感覚に引きずられる様に僕のあそこも限界が来る。

「っ・・・・みゃ、みゃーっ!」
「んぅっ、うんっ、来て、みけぇっ!」

 みゃーの言葉に僕は奥深くへとあそこを突き込む。うねうねと柔らかいみゃーのあそこは奥の奥まで僕のあそこを呑み込み、ひくひくと射精を促してくる。その指示に従い、僕はみゃーの最奥で一気に快感を吐き出した。

「んひぁぁぁぁぁっ!」

 みゃーは大きく背を仰け反らし、僕の精子を受け入れていく。びくんびくんとみゃーの体が震え、糸が切れた様に脱力した。かくんと崩れ落ちそうになるけど、うまい具合にみゃーは僕の上で留まり、はあはあと荒い呼吸をしていた。
 ぴくん、ぴくんと思い出したように震えるみゃーの身体。数秒間、そんな風にしてたかと思うとみゃーの体に力がもどり、ゆっくりと体を持ち上げる。

「っはぁぅ・・・」

 みゃーはぴくっと体を震わせながら僕のあそこを抜き取り、ぺたんとお尻を床に着けた。はあはあと荒い呼吸のまま幸せそうに下腹部へと手を当てるみゃーに、たま姉ちゃんが笑みを浮かべて声を掛ける。

「いっぱい出してもらえた?」
「うん・・・いっぱい」

 包み込む様にみゃーを抱きしめるたま姉ちゃん。そしてたま姉ちゃんにもたれかかるみゃーの姿がとても優しく、そしてとても艶やかだった。

「そう、それは良かったわね。でも、ミケ君はまだまだ満足してないみたいよ」
「え・・・あ・・・」

 たま姉ちゃんの言葉にゆっくりと目を向けたみゃーの頬が赤く染まる。二人の視線の先、僕のあそこはまだ、その硬度を保っていた。

「ほら、ミケ君を満足させてあげましょう?」
「うん・・・」

 みゃーはたま姉ちゃんに促され、二人で重なる様に浴槽の縁へと座る。そして、たま姉ちゃんの体の上でみゃーが自分のあそこへと指を這わせた。その瞬間、ぴくっと自分の体を震わせ、はあと甘い吐息を漏らしながらもみゃーは閉じたあそこを指で開いた。

「ほら、ミケ・・・見える? ミケのモノがこんなに・・・」

 開かれたみゃーのあそこからはとろりと白いゲル状の液体が零れ落ちる。ひくひくと動くピンク色の肉がとてもエッチに感じた。

「もっと出して。あたしの中をミケのでいっぱいにして・・・」
「あ、うん」

 腕を伸ばして誘うみゃーに引き寄せられ、僕はみゃーのあそこへと僕のあそこを宛がい、一気に突き入れる。既に熟れているみゃーのあそこは僕のあそこを簡単に呑み込んでさっきと同じ快感を返してくる。

「ひぁんっ」

 びくっと体を震わせて、みゃーが僕を受け入れる。このまま動こうかと思ったけど、僕はこの体勢が微妙にきつい事に気がついた。浴槽の縁は座るのには良いんだけど、膝立ちだと届かないし立ってしまうと高くなりすぎる。かといって中腰だと腰が下がってしまうのでみゃーに入れる事が出来ない。
 結果、変な体勢でみゃーの中に入れる事になった僕はみゃーをもっと気持ちよくさせるためにみゃーを抱き寄せた。

「ぁん、みけぇ」

 繋がったままみゃーの膝の裏に手を通し、みゃーを一気に持ち上げる。しっかりとみゃーの背中に手を回し、僕はその場で立ち上がった。

「んぁっ、ミケのが奥にぃっ」

 びくんと僕の腕の中で震えながら、みゃーも落ちない様に僕の首へと手を回す。

「みけ・・・みけぇ・・・」

 蕩ける瞳で僕を見るみゃー。甘える様に近づいてくるみゃーの唇を受け入れる。僕はみゃーとたっぷりと唇を交わしながら、みゃーへと腰を動かした。
 ずんとみゃーの腰を押し上げると腕の中でみゃーがびくんと震える。ぎゅっと僕の首に回した手に込められる力が強くなり、微かなみゃーの胸が僕の胸に押しつけられた。

「駅弁とは、ミケ君も大胆ねぇ」

 みゃーの後ろでたま姉ちゃんがふふっと笑う。そして、ゆっくりと立ち上がると、みゃーの後ろに立った。僕と二人でみゃーを挟む様にして体を押しつけるたま姉ちゃんがなんかもぞもぞと動くと僕の腕の中でみゃーがびくっと体を震わせる。

「ぁぁぁっ、おねっ、えちゃんぅっ」

 みゃーが左右に身を捩らせているのを見て、僕はたま姉ちゃんが何をしているのか理解した。

「ふふ、気持ちいいでしょ。みゃー」
「ちょ、おねっ、ぁっ・・・ちゃぁっ、んんぅっ」
「みゃ、みゃーっ」

 弱点の脇腹を責められて、びくんっとみゃーの体が左右に揺れる。その振動がみゃーにも僕にも微妙な快感を与えた。
 僕もそれに負けまいと、みゃーを揺する様に腰を動かす。その動きに感じてくれているのか、みゃーの体がビクッと大きく震えた。ひくひくとみゃーの中が僕のあそこへと刺激を与えてくる。ぞわぞわとした感覚が僕の背中を走り、快感を伝えてきた。

「っ・・・ぅっ、みゃ、みゃーっ」

 ギリと歯を食いしばり、快感に耐える。
 みゃーをもっと気持ちよくしてあげたい。その一心で僕はみゃーのあそこへと腰を突き上げた。

「みけぇっ、ぅんんぁっ」

 びくんびくんとみゃーの体が僕とたま姉ちゃんの間で震える。みゃーはぎゅっと僕を抱きしめ、内からわき上がってくる快感に耐えている様に見えた。

「ほら、みゃー。ミケ君だけじゃなくて私もいるわよ」

 そう言ってたま姉ちゃんがぎゅっと体を押しつける。その瞬間、みゃーの体がビクンと震えた。

「ちょぉ、ねぇっ、ちゃんんぅっ」
「ふふ、どう、みゃー?」
「ゃっ、ぁぁ・・・っ、ぉっ姉ちゃんぅっ。やめっ、ぇぇっ」

 たま姉ちゃんの動きから逃げる様にみゃーの体が上下に動く。動きからして今度は脇腹じゃないみたいだけど、たま姉ちゃんはいったい何をしてるんだろう?

「なに? 何を止めて欲しいの?」
「おっ・・・しりぃっ、ゃぁっ・・・めぇぅっ」

 ビクビクとみゃーの体が震える。たま姉ちゃんから逃げる様にみゃーは僕へとしがみついた。そんなみゃーに応えるように、僕は腰の動きを強くする。

「ぁぁあっ、ひゃぁぅ、みけっ、みけぇっ!」

 僕の腰の動きに合わせるようにみゃーも必死に腰を動かす。それに連動してみゃーの中がひくひくと蠢き、僕のあそこを撫で上げた。ぞわぞわと快感が走り、僕のあそこがみゃーの中でビクンと跳ねる。

「ひぁぁっ、ぁぁぁぅっ、なかぁっ、中で、動いてるぅっ」
「ほら、中だけじゃなく、こっちも気持ちいいでしょ?」
「んあぁっ! だっ、めぇっ、いっちゃうっ、いっちゃうぅっ」

 たま姉ちゃんがみゃーの後ろで何かをして、僕の腕の中でみゃーのびくんと跳ねる。みゃーの中がきゅっきゅと締まり、僕のあそこを刺激した。ぞわっと寒気にも似た感覚が全身を走る。快感が膨れ上がり、あそこの先へと限界を伝えてきた。

「みゃ、みゃーっ。ま、またっ」
「うんぅっ、あたしもぉっ! 一緒にっ、一緒にぃっ!」
「くぅぅっ」

 みゃーの言葉に僕は奥深くまで腰を突き上げた。その瞬間、みゃーの体が大きく震え、同時にみゃーの中がこれまでにないほどにきゅっと締まる。それが僕の引き金を引いた。

「ぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!」

 みゃーの中に僕の精子が溢れ出すと同時にみゃーの絶叫がお風呂場に響き渡る。びくっびくっと体を震わせるみゃーのあそこが痛いくらいに僕のあそこを締め付ける。それに促され、僕は三回目にも関わらず、最初と変わらない量の精子を吐き出した。
 僕とみゃーの体が強ばってから数秒、みゃーの体から力が脱け、がくんとたま姉ちゃんに崩れ落ちる。僕も体中の力が脱けて、かくっとその場に座り込んだ。

< 続く >

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