霧と太陽のジュネス 社会科準備室の章

“社会科準備室の章”

「来て…タイヨウ…」
 マナが僕の前で足を開き、濡れたアソコをあらわにする。
 トロトロになった彼女のアソコは、いつ見ても可愛い。僕は彼女の求めに応じて、熱い蜜壷に腰を沈めていく。
「んっ」
 狭い入り口を通り抜けると、温かくて心地よい締め付けが僕を迎えてくれる。マナが両手で僕を抱きしめ、切なく甘い声を出す。
「あっ、うっ…タイヨウっ、んっ」
 もう何度も体を重ねて、マナの体はすっかり僕に馴染んでいた。どんどん女っぽくなっていくマナは、胸だって結構(本人曰く、クラスでも大きい方)成長してるし、セックスの感度だって良くなって、ますますエッチに積極的になっていた。
 日中の学校で、僕らは愛を確かめ合う。
 この社会科準備室は、別名を『ホテル教頭』といって、僕とキリヤが私室代わりに使っているところだ。
 ベッド完備で、シーツ交換や室内の清掃管理は教頭先生が毎朝面倒みてくれている。
 そして、僕とマナがよくエッチする場所でもある。
「んん、くぅん、あぁ…いい…好き、タイヨォ。いいよォ。もっと、してぇっ。マナのこと、可愛がってェ!」
 いろんな女性を抱いて、僕の技術が向上したせいもあるだろう。僕の腰に足を絡め、美少女顔を淫らに歪めるマナは、すっかり“オンナ”に育っていた。
 僕が彼女をここまで成長させたんだっていう、自信と独占欲に満たされる。マナがすごく可愛く思える。自慢の彼女だった。
「マナ、お尻こっちに向けて」
「え…ワンワンの格好、するの?」
「そう。ワンワンの格好して」
「ん、わかった……」
 マナはくるりと体勢を変えて、四つんばいになる。白くて丸くてすべすべしたお尻。僕のお気に入りのそのきれいなお尻に、マナの愛液で濡れた僕の先っちょをグリグリする。
「やぁん」
 くすぐったそうにマナが身をよじる。愛液を塗りながらクリトリスを突くと「やん、やん」と可愛い声を出す。だんだん面白くなってきた。
「も~! マナのオマンコで遊ばないでー! タイヨウのオチンチン、早くちょーだいー!」
 お尻を振っておねだりするマナ。子供っぽく可愛い仕草に思わず頬が緩む。マナは僕にバカにされたと感じたのか、頬を膨らませて僕を睨む。クイッと僕に向かってお尻を突き出して、指でアソコを開いて挑発的な笑みを浮かべた。
「ねえ、ちょうだい…マナの大好きなタイヨウの固くて大きいオチンチン。早くここに入れてぇ……」
 艶っぽく蕩ける表情。とても2年生の女の子には見えない。色っぽい。ゾクゾクする。まんまと僕は、彼女の誘惑に溶かされてしまう。
 僕は自分の陰茎を握って、マナのそこに照準を当てる。マナは嬉しそうに微笑み、うっとりと目を閉じる。
 再び、僕のがマナの中に沈んでいく。

 そのとき、いきなりドアが開けられた。

 僕以外に自由にこの部屋に入れる生徒は1人しかない。キリヤだ。
 僕たちがドックスタイルで繋がろうとする寸前で、キリヤが血相を変えて『ホテル教頭』の扉を開けた。
「いやーーーっ!?」
 マナが慌ててシーツを被る。僕も慌てて股間を隠す。しょっちゅう一緒にエッチしてるのに、いきなり見られると恥ずかしいのは何故なんだろう。
「な、何? 僕、札出しといたよね?」
 部屋に入る前に『Don’t Disturb』のカードを提げておいたのに、他の客が乱入とか常識的にありえない。教頭呼んでこい。
「もー、なにー! 信じらんない! 早く出てってー!」
 マナは顔を真っ赤にして怒る。でもキリヤは呆然としたまま、そこを動こうとしない。なんだか様子が変だ。
「……どうしたの?」
「大変な、ことになった……」
 キリヤは言いにくそうに下を向き、そわそわしている。キリヤに大変なこと?
 おかしい。あるわけない。だってキリヤなのに?
「あの……落ち着いて。何があったの?」
 キリヤの顔が赤くなった。ますます変。
 大事件の予感がする。

「俺……好きな女が、できちゃった」

 僕は思わず立ち上がった。
 キリヤは真っ赤になって俯いていた。
 マナはグルルと牙を剥いていた。
 僕の股間はギンギンだった。

 とにかく、大変なことになった。

 カシイ先生の死は騒がれることなく、しばらくして新しいカウンセラーのおばさんが全校集会で紹介され、少なくはない男子生徒たちが肩を落としただけで、その件は終了した。
 学校でカウンセラーが死んでいたという事実を、学校側が生徒に隠すのは当然のことだし、ひょっとしたらキリヤが気を利かせてくれたかもしれないが、どっちにしろキリヤがそのことを気にしている様子はないので、僕も彼女のことは忘れることにした。
 僕たちは相変わらずだ。
 今日も僕らは3年の不良っぽい女子たちをトイレで犯し、社会科準備室で2年の可愛い先輩とラブラブなエッチして、体育館で同級生の女の子たちを裸にして1人ずつ成長具合をランク付けし、放課後に立ち寄ったハンバーガーショップでは店員さんやお客さんにソースを盛ったオチンチンを咥えさせた。
 僕たちにとっては、よくある平凡な1日だ。

 そして僕は今、1人で電車に揺られてる。

 僕たちは危険だと彼女は言った。世界の敵だとも言った。
 世界の敵という言い回しは、正直、僕の男の子心をくすぐる魅惑的な言葉なのだけど、彼女のあっけない最期を思い出すと、それが真実味を帯びて重くなる。
 自分たちのしていることが悪いことだってくらい、知ってる。僕だって最初は罪悪感に苛まされることもあった。
 僕たちは最低だ。世の中の敵で危険人物だ。
 でも、僕はキリヤが好きだ。わがままで、バカっぽくて、カッコ良くて、頼もしい。
 僕の人生が物語なら、主人公はキリヤ以外に考えられない。
 親に捨てられた僕を守ってくれたのはキリヤだ。親友って呼べる友だちもキリヤが初めてだ。僕はキリヤとずっと一緒にいたい。
 例えそれが悪いことだと言われても、関係ないんだ。
 面倒なことからはとりあえず目を逸らすのが大人のやり方で、世の中の不条理や不公平からも目をつむるのが世間の大人だ。
 自分たちの都合で僕のことを捨てたのも、僕が子供だからって平気で騙そうとしたのも、大人じゃないか。
 だったら僕らも、僕らがしてきた非常識な行為を見て見ぬフリしてもらうだけだ。 
 詭弁にもならない屁理屈だってのは知ってる。でも、だからどうしたと言ってやりたい。
 僕たちは子供だ。大人にも負けない無敵の子供だ。わがままで当然。僕らはそうやって生きてくだけだ。

 頭痛がした。

 あれ以来、僕は偏頭痛持ちになっていた。頭が痛くなって、ギュッと目を瞑ると、変なモノが見えてくる。
 過去にあったことだったり、覚えのない光景だったり、脈絡のない夢のようなものが。

 どこかのファミレスで、ショートヘアの小柄なウェイトレスさんをテーブルに押さえつけて、犯している僕がいた。
 向いの席では、スタイルのいいウェイトレスさんを膝に乗せてるキリヤがいた。
 別のウェイトレスさんがデザートを運んでくる。ストレートヘアの勝ち気そうな子。僕はこのウェイトレスさんも顔見知りだ。運んできたのはミックスベリーパフェとマンゴープリン。それも知ってる。僕が注文したんだ。
 キリヤがその子に馴れ馴れしく命令する。
「ハル、お前も脱げよ」
 ウェイトレスさんは、大胆に胸を開いた。
「胸を使って食わせろ」
 ウェイトレスさんは胸の上にプリンを乗せ、キリヤの顔に寄せる。
 

 知らないはずの光景が頭をグルグルする。
 夢にしてはリアルな感覚まで伴う。
 まるで未来を見ているみたいに。
「未来が見えるとか、やばくね? はっきり言って頭おかしくね? 医者行こうぜ」
 僕が相談すると、キリヤは心配してるのかバカにしてるのかわからない口調で、そう言った。でも、僕はまたあんな風に頭の中をいじられるのは嫌だ。
 催眠術で変なことされても、しばらく置いておけば自然に治るらしい。
 すぐによくなるに決まってる。
 大丈夫だよ…きっと。

 キリヤには「もう無理だろ」と言われているが、僕は小説家になる夢を諦めてなかった。
 ていうか、どうして諦めるとかそんな話になるのかもわからない。
 僕はまだ高1だ。たかがライトノベル系の新人賞に7回連続で第1次選考落ちしてるだけだ。諦める理由がわからない。さっぱり。
 大事なのは、今のこの若い感性を伸び伸びと育てること。刺激的な体験はキリヤのおかげで嫌というほど経験しているから、あとはクリエイターとしての真っ当な感性を育むんだ。
 そんなわけで、休日はよく街に出て映画なんかを観に行ったりしてる。
「あとどんぐらいー?」
「1時間ちょい」
 キリヤはわざとらしくアクビして、ジュコーっとバナナジュースを吸い込んだ。
 時間を読み違いして、次の上映時間まで結構待つことになった僕らは、映画館近くの喫茶店で休憩することにした。
 男2人で映画っていうのもパッとしないけど、マナは今日は親戚のうちに行ってるし、キリヤはいつもヒマそうだし。
「ナンパとか?」
「そこまで時間ないし」
「それ、そんなに観たいの?」
「観たいっていうか、引井の新作だよ?」
「誰だよ引井。有名なの?」
「有名どころか、知らないのが信じられないって。引井監督ってのは日本ってか世界を代表するアニメーターで、日本のアニメを世界に知らしめた最大の功労者だよ」
「んだよ、アニメかー」
「あ、今バカにしたな? バカにしたね? じゃあまずは今回の映画観て、帰りにレンタル寄ろう。引井作品の素晴らしさは、実際に映像を観ればよくわかる。そもそも現在のアニメの手法ってのが―――」
「あれ、あの子、可愛くない?」
「え?」
 斜め向こうの席に、親子連れが座っていた。
 感じの良い人たちで、娘は僕たちよりも年下っぽく、真っ直ぐな髪が印象的な、確かに可愛い子だった。
 お上品に、大事に育てられてきた箱入り娘ってとこ。カップを口元に運ぶ仕草も、よくできましたって判子押したいくらい、お嬢様な女の子だった。
「やべぇな。あれ、ひょっとして地上に降りたエンジェルじゃね? よーし、俺ちょっと確認してくる」
 そう言ってキリヤは親子連れの席に近づくと、ご両親に話しかけた。
「お父さんお母さん。お嬢さんを僕の精液便所にください」
「え、あぁ、うん」
「よろしいですよ」
「それじゃ君、トイレ付き合って」
「はい」
 立ち上がった女の子の腰にキリヤの手が回され、そのまま連れ去られていく。バイバイと可愛く手を振る女の子に、ご両親もにこやかに手を振り返していた。
「みんな、俺たちが出てくるまでトイレ立ち入り禁止な!」
 店内に響く声で宣言して、キリヤと女の子はトイレに消えていった。
 あの女の子もかわいそうに。
 ていうか、あれ? キリヤ逃げたな。うん。逃げられたな。
 不愉快な気持ちでコーヒーをすする。引井監督の偉大さについて、まだ何も話していないというのに。
 まったく、これだからクリエイティブの理解できない非オタどもは。
 僕はメガネをクイっと上げる。そしてもう何回も見たパンフをもう一度見ようと広げたとき、横の窓をコツコツと叩く音がした。
 健康的な素足と、短いスカート。秋物のジャケットに、タータンチェックのマフラー。
 懐かしい中学時代の同級生が、こっちを覗き込んでいる。
「……テラシマ?」
 陸上部の快活なあの笑顔が、ほんの少し大人っぽくなっていた。

「フユキ、ひっさしぶりー」
 店に入って、僕の前に座ったテラシマが握手を求めてくる。握り返しながら「卒業以来?」と確かめると、「そー」と彼女はリップの光る唇で笑う。子供っぽかった短い髪も、今は少し伸びてショートボブっていうのか、大人っぽく変身していた。
 教室で男子と一緒になってふざけていた、あの頃のテラシマユカじゃないみたい。あれから1年も経ってないのに、なんだか先に年上になられちゃたみたいな、不思議な疎外感を味わった。
 そして僕は、アニメのパンフをバッグの下に隠した。
「あー、そういやテラシマ、マナとは遊んでるんでしょ?」
「そだよー。先週ってか先々週くらいも、中学の4人で会ったし」
「ふぅん」
 そういや僕は、中学時代の同級生とは全然会ってない。今の学校、中学の同級生はキリヤとマナと、あとはあまり喋ったことない人たちばかりだ。
「で、マナミどこ? トイレ?」
 バナナジュースの空いたグラスを見て、テラシマは店内を見渡す。
「今日は親戚のとこ行っていないよ。ちょっと席外してるけど、キリヤと来てるんだ」
「えっ。あー、そ、そう。キリヤ君かぁ……」
 キリヤの名前を出した途端、テラシマは視線を泳がせて頬を赤らめた。居住まいを正して、ちょっと緊張した彼女を僕は見逃さない。なるほど。男の子には全然興味ありませんって感じに見えてた彼女だけど、やはりキリヤには敵わなかったか。
 こんな風にモジモジと頬を染めるテラシマなんて、中学生の頃には想像したことなかったけど、なんだか萌えるものがある。
 彼女とは中学のとき以来だけど、まだキリヤの命令は効いてるんだろうか。僕らにはいつでもやらせるっていう、悪魔の契約はまだ彼女には有効なのか。彼女と最後にしたのは卒業パーティのときで、あれから半年以上は経っている。
「フユキはあんまり変わんないねー」
 話を逸らして笑うテラシマに、セックスしようって言ったら、どんな反応するかな。
 ハズレだったらどうしよう。でも下ネタもOKな子だったから、もしハズしてもギャグだって言えば何とかなるかもしれない。キリヤだって近くにいるし。
 僕はドキドキしながら口を開く。
「テラシマ。久しぶりだし、セックスしようよ」
「うん。いいよ」
 即答で了解してくれた。聞いた僕がびっくりした。
「どしたの?」
 テラシマは不思議そうにこっちを見てる。
「えと、じゃ、こっち来て」
「わかった」
 僕は焦り気味にテラシマをトイレに連れて行く。

「あっ、いやっ、痛ッ…ン…うっ…痛い、です…ン…ん、ん、ん…あぁ、でも、あっ、き、気持ちいい…」
 女子マークの付いてる個室から、ギシギシきしむ音と女の子の苦痛混じりの声が聞こえる。何か言いたそうにするテラシマを「早く僕たちも」と急かして、隣の男子マークの個室に連れていく。
「ん、ちゅ…んんん…ちゅぷ、れろ……」
 キスをすると、テラシマはさっそく僕の首に手を回して、情熱的に舌で口内を愛撫してくれる。その手が僕の背中を這い、腰を撫で、ジーンズの上から僕の股間を優しく撫でさする。キスは顔中に降りかかり、耳たぶを甘噛みして熱い吐息と舌を耳の中に入れてくる。
 相変わらず、テラシマの積極的な愛撫は健在だった。あれからこの献身的なセックスは、僕たちの知らない誰かを喜ばせたりしたのだろうか。嫉妬に似た気持ちが沸き上がってくる。
「ね、ねえ、テラシマは彼氏とかできた?」
「私ー? 全然できない。部活ばっかだもん」
「へえ。意外」
「そう? 前からこんなんじゃない?」
「きれいになったから、彼氏でも出来たかと思った」
「バ、バカ。なわけないじゃん」
「でも、胸だって、大きくなってない?」
「なってないー」
 ジャケットをはだけて、ニットをたくし上げる。チェックのブラも押し上げて、懐かしい胸を露にする。
「大きくなってるよ?」
「……ちょっとだけだってば。ちょっと」
 両手で持ち上げるように揉んでみる。ふにふにとした感触と、つるんと丸い形を保つハリの良さ。
「中学のときより、全然大きい」
「んぅ…、そ、そっかな……ん、フゥ……」
 僕がテラシマの胸を揉み、テラシマは僕のペニスを引っ張り出して手コキする。しばらくそれを続けていると、テラシマの体が温かくなってくるのがわかる。
「ん、ね、フユキ。さっきの……ほんと?」
「なに?」
「私、きれいになった?」
「うん」
「ふふっ、へっへー」
 テラシマは嬉しそうに笑って、その笑顔のままズルズルと僕の足元に跪いた。
「……サンキュ、フユキ」
 そして、ねっとりと温かい口内に迎えられる。僕を見上げながら、舌を口の中で絡ませ、輪っかを作った指が根元をこすりあげるのと一緒に、官能的な色に染まった頬で吸い上げる。
「んっ、じゅぼ、ちゅぷ、ちゅぶ、れろ、ちゅぶ……」
 久しぶりに味わう同級生のフェラチオは良かった。懐かしさと気持ち良さで、腰が震えた。
 このまま口の中に出したい気もする。でも、せっかくだからやはり膣の中に射精したい。
「テラシマ、入れていい?」
「ん、いいよ」
 テラシマを立たせ、壁に手をつかせる。スカートを捲り、下着を下ろすと、つるりと白いお尻が出てくる。
 僕はその丘をゆっくり撫でた。テラシマはくすぐったそうに身をよじった。割れ目をなぞって股下に指を這わせる。そこはわずかに濡れていた。テラシマ「あっ…」と色っぽい声を出して、お尻を突き出すように跳ねた。
 そういや、修学旅行でこのお尻に背中を流してもらったこともあったっけ。
 僕は感慨深い気持ちで、やはりあの頃より大きくなった気がするお尻越しに、テラシマのアソコを指で愛撫した。ビクビクと震えて感じるテラシマが可愛い。僕もその場に屈んで、テラシマのアソコに口をつけた。
「あっ!?」
 溢れる愛液を啜ると、テラシマは恥ずかしそうに体を強張らせる。でも愛液は次々に溢れてくる。僕はそれを舌で伸ばすように唾液を混ぜて塗りたくり、クリトリスを舌で突いては小動物のような彼女の可愛い悲鳴を楽しんだ。
 そしてプルプル震えるお尻が唾液と愛液でベトベトになった頃、僕は立ち上がって荒い息をするテラシマに固くなった陰茎を押しつける。
 女っぽくなった昔の同級生と、街中で再会してエッチする。そそるシチュエーションだと思った。
「はぁぁ……」
 潤んだ目で僕を見るテラシマ。そういや彼女は誰かに似てるような気がする。そんなことを考えながら、僕は彼女の中に自分を埋め込んだ。
「アァッ!」
 テラシマの中はギチギチにきつい。でも、ぴっちりと温かいヒダが僕のに密着して絡みつく。ちょうど先端のぶつかるあたりがザラザラしてる。彼女は相変わらずいいモノを持っている。
「んっ! あんっ、あん、フユキ! あぁ、あぁぁッ」
 僕がゆっくり動き出すと、テラシマは気持ちよさそうに声を上げた。色っぽい横顔。すべすべの太もも。
 あァ、そうか。思い出した。
 テラシマはパシュームの、よっちに似てるんだ。
 顔も、髪型も、このきれいな生足も。
「うんっ、あ、んんっ、あんっ、フユキ……あっ、強いっ、あぁん、すごい、よォ! ダメ、そんなに突いちゃ、ダメェ! あっ、あぁん!」
 僕は乱暴に彼女を突きまくった。前に一度だけ生で観たことのある彼女を思い出して、興奮する。
 彼女の細い体は僕のピストンに簡単に翻弄され、僕のを全身で刺激する。ギチギチのアソコから、愛液がポンプのように押し出されてトイレの床に飛び散る。
 髪の隙間から覗く彼女の小さな耳に舌をねじ込み、クチュクチュと音を立てた。テラシマは体を仰け反らせて、甘い悲鳴を上げた。耳攻めが好きな彼女の、弱点もやはり耳。そういうところは変わってない。わかりやすくて可愛い子だった。
「あぁっ、あはぁっ、んっ、ン、あん、フユキッ、はぁ、気持ちいいッ、いいッ、あぁ、あっ、あっ、あぁぁっ」
 でも、あの頃より今のテラシマの方が、ずっとやらしい。エッチで燃える。
 僕はガンガンに彼女を突き上げる。テラシマは色っぽい声でよがる。
「……ひょっとして、タイヨウ?」
 そのとき、扉の向こうでキリヤの声がした。
「あっ、やっ!?」
 テラシマは慌てて自分の口を押さえる。僕はかまわず彼女を突き上げる。
「そうだよ。今、テラシマと、偶然、会ってさ」
「んーッ!?」
 真っ赤になった顔を、テラシマはぶんぶんと横に振る。僕はそれを無視してセックスを続ける。
「テラシマって、テラシマユカ? 中学の?」
「そう」
「へー、久しぶりじゃん」
「…んっ…んーっ……んーっ…」
 扉越しにキリヤと会話する。テラシマは声を出さないように懸命に歯を食いしばっている。僕はそんな彼女を、より強く攻め立てる。
「ところで、さっきの子は?」
「あー、とんだビッチだったよ。処女のくせに自分から尻ふっちゃってさ。やっぱり天使なんていないのな」
「キリヤの、エッチで、堕天したんだろ」
「あれきっと親がエロいんだぜ。だから子供もエロいんだよ。そんで母親もやってやろうと思ったら、隣の便所でエロいことしてるヤツいるし。まったく、親の顔が見てみたいよ」
「僕の場合、友達がエロいから」
「あんまり変な友達と付き合うな、タイヨウ」
「そうだね、キリヤっ」
「んーっ…んっ、んっ、んんっ…んっ、やぁ…んんっ、んー…んーっ」
「それよりさ、今度、3年ときの、メンバーで、クラス会、しない?」
「あー、いいかもな。女子ばっか呼んでな」
「男子は、僕らっ、だけでっ、ねっ」
「やらしーな、タイヨウ」
「だから、友達がエロいからっ」
「んっ、んっ、んっ、あぁ! ん! んっ、ふーっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ!」
「つーか、そろそろ代わってくんね?」
「え、まだすんの? ホント、エロいな君は。てか、ダメ。映画のっ、時間、なくなるし」
「タイヨウがさっさと済ませればいいじゃん?」
「やだっ。まだまだ、するっ。今、テラシマの、魅力を、再発見っ、したところだしっ。映画の時間まで、テラシマと、するつもりだからっ」
 僕の突き上げに体を揺らしながら、泣きそうな顔で声を堪えるテラシマ。興奮する。疲れて息が荒くなってくる。でもまだ攻めを緩めちゃダメだ。もっともっと、彼女を犯したい。
「……お前、テラシマの神マンの恐ろしさを忘れてるな?」
 忘れるもんか。
 ただでさえきついアソコをしているテラシマだが、そんな彼女のイッたときの締め付けときたらそれはもう強烈で、当時の僕らの間では“神”とか“卍解”などと呼ばれ、畏れ敬われてきたんだ。
「テラシマ、いけ」
「あぁっ!? あっ、あぁぁんっ!」
「うあ、わ、あぁ!?」
 キリヤの命令と同時に、彼女は目を見開き、悲鳴と強烈な締め付けとともに全身を震わせた。
 奥へと吸い込まれてしまうような、陰茎もろとも引き抜かれていきそうな衝撃的な膣の収縮に、僕は抵抗する間もなく、みっともない悲鳴を上げ、彼女の中に射精してしまった。

「……誰?」
「あの、変なジャージ」
 僕はキリヤの指さす方を見る。そこには、1人だけみんなと違うジャージ着た子がバスケをしていた。
 賢そうな感じの子だった。きれいな顔だけど、ほわほわしたマナとは違うタイプ。キリっとして、しっかりしてる感じ。もっと髪を伸ばせば、美人って雰囲気になると思う。
 でもこんな子、同級生にいたっけ? いれば確実に今年のクラス替えで同じクラスに連れてきてるはずだけど。
「先週とかにD組に転校してきたんだって。文化祭終わってすぐ」
「あー、そんな話もどっかで聞いたような……あの子がそうなんだ」
「そう。カワサキっていうんだって。カワサキユウ」
「で、あの子がキリヤの好きになった子?」
 キリヤは顔を赤くして僕の肩を叩いた。
「イテッ!?」
「うるせーって!」
 なんで? なんで僕が叩かれるの?
「……どうしたらいいんだろ?」
 ジャージの膝を折り、小さく縮こまってキリヤが呟く。
「どうって、まあ、告白とかしてみれば?」
「マジで!?」
「いや、そんなに驚くことかな?」
「だって俺、そんなことしたことないし……」
「僕もないけどさ……」
 そんな手順を踏んだことは今まで一度もない。
 可愛い子を見つければ、即ヤッちゃうことしか知らない僕らはモラルレス中学生。
 普通の恋愛スキルは限りなくゼロに近かった。
「断わられたらどうするんだよ?」
 見てて笑えるくらい、キリヤは弱気になっていた。
 文化祭の全裸メタルバンドで、あれだけの存在感とテクニックを披露していた悪魔のギタリストが、今は女の子の前で小さくなっている。
「てかさ、断わられることなくない?」
「ん?」
「キリヤに付き合えって言われて、断われる人いないんだよね? 全然大丈夫じゃない?」
 僕がそう指摘すると、キリヤは驚いたような顔をした。
「そっか。俺、断わられることないんだ」
「うん。そうだよ。楽勝で彼女ゲットだよ」
「そっか……」
 キリヤはみるみる消沈していく。
 え、なんで? 喜ぶところじゃない?

「……俺、普通に告白とかもできないんだな……」
 
 キリヤがみるみる落ちていく。
 僕はキリヤの本気にようやく気づいて、自分の軽い発言を後悔する。
 本気で好きになったら、相手にもちゃんと好きになって貰いたい。僕にもわかる気がする。僕だって小説家になりたいけど、キリヤの力でなりたいとは思わない。
 夢は自分で叶えたい。
 同じだ。恋を2人で実らせたいって気持ちも、きっと同じだ。
「……大丈夫。キリヤなら楽勝だよ。きっとあの子をゲットできる」
 僕はキリヤの肩を叩く。
「違ーよ……俺、そんなんじゃなくてさ……」
「勉強できて、スポーツ万能で、かっこいいナツミキリヤを、あの子の見えるところでアピールするんだよ。しばらく放送室で全校暗示かけるの禁止だ。いろんな子とエッチするのも禁止。正々堂々、あの子にキリヤを好きになってもらうんだ」
 僕は拳を握って立ち上がる。
 キリヤはポカンを僕を見てる。
「大丈夫。僕とキリヤのコンビは最強だ。キリヤの変な力を使わなくても楽勝だって。作戦は僕が立てる。キリヤは普通の中学生になりきって、彼女をゲットするんだよ!」
「……そっか」
 キリヤは目を大きく開く。
「そうだな。俺が実力であの子を振り向かせればいいんだ。そうしたら、本当の両思いだもんな!」
「うん!」
「よぉし! やるぞ、普通の中学生!」
 キリヤが元気になった。燃えだした。
 順次交代のバスケに手に上げて「次、俺!」と高らかに宣言してコートに走っていく。
「こぉぉい!」
 キリヤの気迫に押されて、とんでもないところにボールが飛んでいく。キリヤはその無茶なボールを助走の速度を上げて追いかけ、空中キャッチするのと同時に、豪快にリングに叩き込んだ。
 NBAでもスーパープレイに数えられそうな見事なアリウープを決め、呆然とするギャラリーの中で、キリヤは照れくさそうに笑ってる。
 僕は心の中で秘かにツッコんだ。

 そんな中学生、ねーよ。

 僕らは今、アウェーで戦っている。

「あっ、んっ、あぁっ、やん、あぁんっ」

 高校に入って1年が経とうとしているところだが、学校で目に付く子は、もうだいたい抱いてしまっていた。
 可愛い子ばっかりだと飽きるので、たまにはちょっとレベルを落としてみたりもするけど、やっぱり抱いてて楽しいのは、可愛い子や美人な人がエッチに乱れるところだ。
 僕らは昔からこんな感じだから、僕のケータイの『お気に入り』フォルダには、今や120名を超す女の子がエッチ顔の写真付きで登録されている。
 さらに『ベスト8』フォルダには、その中から選りすぐられた僕個人の浮気相手として、常時7~8名の女の子がラブラブ状態で僕からの連絡を待っている。
 キリヤに頼めばまだまだ女の子は手に入るが、本命と決めているマナを含めて、僕もさすがにこれ以上は必要としていない。
 たまには羽目を外してキリヤとバカ騒ぎしたりすることもあるけど、基本的にはもうこれで十分かなって思ってる。
 しかしキリヤに言わせると、最近の僕は「1人勝ちの現状に満足しちゃって、昔のギラついた感がなくなってる」そうだ。
 僕が一体誰を相手に戦ってるのか僕にもわからないし、今も昔もギラついた覚えは一度もないんだけど、なんとなく学校サボりたい気分だったので、キリヤに誘われるまま、今日は女子校狩りに付き合うことにした。

「あっ、あっ、いやっ、恥ずかしいですっ。みんなに見られてますぅ!」

 そんなわけで、僕たちは今、とある有名女子校で臨時講師をしている。
 もちろんキリヤの作った変な設定だ。
 僕たちは、伝統あるこの女子校に赴任した1日だけの臨時講師。生徒は僕たちのことを心より尊敬し、僕たちの授業はどんなことでも真面目に聞いて言うとおりにする。
 ようするに先生ゴッコだ。
 キリヤはさっそく3年生の教室に攻め込んでいった。僕はとりあえず1年生教室をブラブラしていた。なんだかんだで、人見知りしがちな僕は他校での単独行動に緊張している。
 でもそこで、ちょっと懐かしい顔を見つけてしまったのだ。

「あぁッ、見られてます! 私のおトイレ穴にフユキ様のオチンチンが刺さってるところ、みんなに見られてますぅ!」

 キヨタユキコが、この学校に進学してたなんて、忘れてた。
 僕は今、女子校の教壇の上で、同い年の生徒たちが見ている前でキヨタのアナルを貫いている。
 教壇の上で仰向けになった僕の上に、さらに仰向けに重なって、彼女は古式ゆかしい地味なセーラー服を開いて豊かな胸を揺らし、パックリと足を広げて僕のを後ろの穴に咥えている。
 僕はキヨタの膝をさらに広げて、興味津々に僕らを見守る生徒たちに結合部がわかりやすいようにする。
 他の生徒たちも、僕の指示でセーラーの上着を脱ぎ、ブラも外してしまっていた。たくさんのおっぱいが、チンチンを咥える同級生のアナルに視線を集中させている。
 クラス全員が女子って、なかなか壮観だ。
「すごい……あのキヨタさんが、こんなことしちゃうなんて……」
「先生とは、小学校時代からのご学友だったんですって」
「ということは、お二人は以前からこういう関係だったのかしら?」
「それはさぞかし、ズッコンバッコンだったのでしょうね」
「いつも凛として清楚なキヨタさんに、こんなお茶目な一面があったなんて……ぽっ」
 僕らのアナルセックスを見ながら、生徒たちは思い思いの感想を漏らす。何人かの生徒は無意識なのか興奮を抑えられないのか、自分で胸を揉みしだいたりしながら、上気した顔で僕らを見守っている。
「あぁっ、バレちゃいましたぁっ。高校のお友だちに、私がフユキ様専用の精液おトイレだってことバレちゃいましたぁ! あぁっ、あぁん!」
 グイングイン腰を回しながら、キヨタは涙を流す。自分で腸のあちこちを陰茎の先端に擦りつけ、大声でよがりまくる。彼女が快感にビクンとするたびに、僕のを締め付けるアナルがキュッと縮まり、心地よい痺れが走るんだ。
「あの……先生、よろしいでしょうか?」
 生徒の1人がケータイを構えて手を挙げた。立ち上がった拍子にプルンと控えめな胸が揺れる。
「勉強のために、写真撮影を許可して欲しいのですが……」
 清純そうな顔で大胆なお願いを申し出る彼女に、僕は頷く。
「自主学習のみに使用するなら許可します。他人の目に入らないようにすること」
「ありがとうございます!」
 それをきっかけに、たくさんのケータイカメラが、いっせいに僕らに向かってシャッターを切った。彼女たちは僕らの周りに集まり、ズーム機能まで駆使して僕らの結合部をアップで撮影する。中にはムービーで撮ってる子もいた。
 意外とこの子たち、遠慮しない。
「いやぁ!? 撮られてる! フユキ様の太くて逞しいオチンチンにお尻を犯されてるとこ、みんなに撮られてるぅ!」
 女子校生になったキヨタは、髪型も賢そうな美人顔も昔と変わらないけれど、発育の良かった体は前にも増して色っぽくなった気がする。
 僕のを飲み込むお尻だって、相変わらずつるんと丸くて可愛らしいけど、肉づきはだいぶ良くなった。ギュッと鷲掴みにすると悲鳴を上げてキヨタの腰が跳ねる。でも、媚びるような視線を僕に向け、「もっと」と口には出さずにねだってくる。
 僕は爪の跡が残るほどつねってやった。キヨタは大きな声を出して、腰を回す速度を上げた。強烈に締め上げられて、僕の限界が近づいてくる。
「出すよ! キヨタの中に出すよ!」
「はいっ、私も、イキます! イッちゃいます! 来て! みんな、もっとこっち来て! 私のおトイレ穴にフユキ様が射精する瞬間、撮ってぇ!」
 シャッター音がいっせいに鳴った。僕はキヨタの中に射精する。キヨタもその瞬間、ビリビリと体を痙攣させて、僕の精液を一滴も逃すまいとするかのように、アナルを引き絞ってくる。
「あぁっ! 出てる! 今、私のおトイレ穴にフユキ様の精液が出てる! ビュクビュクって、熱くて、懐かしくて愛しい感触! 私、フユキ様の精液おトイレなの! フユキ様にいっぱい調教されて、淫乱おトイレにされちゃってるのぉ! 撮って! いやらしい本当の私を、いっぱい撮ってぇ!」
 ビクンビクンと股を広げたまま反り返って、キヨタは最後に「あぁっ!」と声を上げて力尽きた。
 他の生徒たちは同級生の派手なエクスタシーに圧倒されつつも、それにも挫けずに写真を撮りまくる。まだ脈打ってる僕の陰茎を接写し、キヨタのアナルから僕の精液がこぼれ落ちるところをムービーで撮影し、そのうち波が引くようにそれぞれの席に戻っていく。
 僕は服の乱れを直し、教室に尻を向けたまま失神するキヨタを一瞥して、あらためてこのクラスの生徒たちへ向き直った。
「……というわけで、僕がそのフユキ様ことフユキタイヨウです。今日はよろしくお願いします」

 授業はまだ始まったばかりだ。

「それではさっそく授業に入りたいと思います。ですが、なにぶん僕も初めての授業ですので、このクラスから1名お手伝いをお願いしました」
「アシスタントのキヨタです。学友の見ている前でアナルを犯していただいたくらいで失神してしまうような未熟な精液おトイレですが、みなさんより少しだけ先輩ということで、クラスを代表してフユキ様のお手伝いをしたいと思います。ご協力お願いします」
 制服をきっちりと着直し、いつもの清楚な佇まいでキヨタは頭を下げた。
 教室から温かな拍手が贈られる。
 かつてのクラスメートの援助を得て、僕の先生ゴッコも盛り上がるというもの。
「まずは、お互いのことをよく理解するところから始めたいと思います。僕の紹介はさっき済ませましたら、次はみなさんのことをいろいろ教えて下さい。ということで、今から全員とセックスしたいと思います」
「はいっ」
 真面目な顔で、みんなは良い返事をしてくれた。
「それでは、私の方から1人ずつご紹介させていただきます」
 キヨタはまず廊下側の先頭の子から立たせた。
 髪を後ろで2つに束ね、クリっと大きな目をしている。背が低いから前の方に座ってますって感じの、童顔の可愛い子だった。
「ヒグチマユちゃん。テニス部です。いつも元気な明るい子で、うちのクラスのマスコット的存在です」
「よ、よろしくお願いします」
 キヨタに紹介され、マユちゃんはギクシャクとお辞儀をした。
「うん。それじゃ、しよっか」
「え、は、はい、あの」
 そう言って、顔を赤くしてモジモジと俯く。戸惑うだけの彼女に、キヨタの方から指示が出る。
「マユちゃん。フユキ様がセックスしようと仰ってるんだから、スカートとショーツは脱いじゃって」
「え、あ、うんっ」
 すでに上は脱いでいるので、下も脱ぎ落とすとソックスと上履きだけになった。そんな彼女に、さらにキヨタは指示を出す。
「脱いだら、お尻をこっちに向けて、机に片足を上げて」
「えっ? そ、そんな格好するの?」
「するのっ。いいから、フユキ様をお待たせしないで! 足を上げて、犬がおしっこするみたいな格好でフユキ様をお誘いするのっ」
 ピリッとした厳しい口調で怒られて、マユちゃんは慌てて机に足を上げる。
「こ、これでいいですかぁ…?」
 小さなお尻が、恥ずかしそうに僕を向く。処女ですってそこに書いてあるかのように、儚げに震える可愛いお尻だった。
「緊張しなくて大丈夫だよ。これから君はいやらしくて気持ちいいことをするんだ。期待して、感じて」
「あっ……」
 ちょっと撫でただけでマユちゃんはピクリと跳ねた。
「あっ…あっ…」
 すべすべのお尻も、つるつるのあそこも、撫でただけで面白いくらいに湿っていく。緊張と性への期待で、彼女の体は敏感に反応していく。あそこをゆっくりと執拗に撫でているうちに、じわりと、女の匂いが立ってくる。それをまんべんなく擦り付けて、彼女の未熟な体から官能を引き出していく。
 キヨタは僕の横で、パンパンと手を叩いてみんなの注目を集めた。
「みんな、オナニーしよ! ここにいる全員とフユキ様はセックスしなきゃならないんだから、手間取らせちゃダメっ。順番が来る前に、各自でいっぱい濡らしておいて!」
 キヨタの適切な指示により、クラスみんながオナニーを始める。
 その異様な雰囲気に当てられたのか、マユちゃんのあそこもどんどん濡れて溢れてくる。
「そろそろ入れるよ」
「はいっ……はい、フユキ先生!」
 僕はマユちゃんの小さな入り口に押し当てる。きついそこにグッと押し込んで、先端を埋め込む。マユちゃんが「うぐっ」と声を堪えて、歯を軋ませる。
「…がんばれ、マユちゃんっ」
 キヨタが小さな声援を送る。それに応えるようにマユちゃんがブンと首を振る。その瞬間に僕は一気に彼女の中に突っ込む。マユちゃんが「あっ!?」と空気を吐き出すように顔を上げる。さらに次の突っ込みで、僕は彼女の小さなあそこの奥に当たるまで、ねじ込んだ。
「あああぁぁーッ!」
 男が体にめり込む衝撃に、マユちゃんが絶叫し、涙を流す。
 みんなのオナニーも止まり、教室がシンと静まりかえる。
 凄惨とすら見える彼女の破瓜の瞬間に、上品な女子校に通う彼女たちは、すっかり怖じ気づいたようだった。
「……おめでとう、マユちゃん! よかったね!」
 だがアシスタントのキヨタが、その緊張した空気を素早く読み取り、拍手する。
「痛い…痛い、よぉ……」
「うんうん、わかる。痛いよね? でも、それでいいの。最初は誰でもそうなの。私が一番最初にフユキ様に犯していただいたときも、すっごく痛かったもの。いきなりお尻の穴から、しかもまだJRも半額のときに犯されちゃったから、もう本気で殺されるのかと思ったわ」
 そういや、そんなこともあったなぁ。
「でもね、痛いのは最初だけ。その痛みだって、フユキ様にバージンを献げた大事な証なの。その痛みは大切にしなきゃダメよ。それが喜びに変わる瞬間が最高なんだからっ。だから、今は辛いかもしれないけど、逆に思い切っておねだりしてみよ? もっといっぱいエッチしてもらって、早くフユキ様のおトイレになる喜びを覚えよう! 私も応援するから!」
「う、うん……」
 その強引な理屈のどこに説得力があったのかわからないが、マユちゃんは僕に顔を上げて、泣き顔で懇願する。
「お願いします、フユキ先生…マユに、いっぱいエッチ教えてください……」
 僕は健気な彼女の頭をナデナデしてあげる。
 そしてキヨタにも頷いて、彼女の絶妙なフォローと手際を褒めてあげた。キヨタは照れくさそうに微笑んだ。
 僕の助手ということで、彼女の発言にもある程度キリヤの力が影響してるのかもしれないが、それにしてもなかなかの統率力だ。
 彼女は、僕よりもずっと教師に向いている。才能ある。
「大丈夫だよ。すぐに気持よくなる。セックスはすごく気持ちいいんだよ」
「あっ」
 少し落ち着いてきた様子のマユちゃんのお尻を撫でながら、彼女の耳元で囁き、軽く突いてあげた。反応を見ながら、徐々に速度を上げていく。
「あっ、あんっ、あんっ、ン、なんか、ん、あぁっ、変、ですっ、んんっ」
「もっと気持ちよくなるよ。セックスで最高の快感を得るようになる」
「あん、やぁっ、あ、なんか、やぁっ、んっ、んっ、んっ、いい、ですっ。すごく、あっ、気持ちいいです!」
 今の彼女たちは、僕の教えを素直に受け取る生徒だ。反応の良くなったマユちゃんは気持ちよさそうな声を出す。きついあそこも潤滑油が溢れて、スムーズに動けるようになっていく。
 僕は速度を上げる。マユちゃんは声を出してよがる。キヨタが誇らしげに僕らを指す。
「みんな、見て。マユちゃん、すっごく気持ちよさそうだよね? これがセックスなの。フユキ様の言うとおりしたら、こんなに気持よくなれるのよ」
 うっとりとした視線が背中に集まってるのを感じる。みんなのオナニーが再開され、よがる声が聞こえてる。
「セックスは素晴らしいの。フユキ様のおトイレにしてもらえると幸せになれるの。私もフユキ様のおトイレにしてもらってから、ストレスもなくなって勉強にも集中できるし、肌もきれいになったわ。それに見て。バストだってこんなに大きくなっちゃった。みんなにもぜひ、この快感と幸せを実感して欲しいの!」
 キヨタの怪しげな勧誘に、うぶな彼女たちはすっかり乗せられ、あちこちで嬉しそうな声が上がる。幸せの順番を待ちこがれるように、集団オナニーの熱が上がった。
 彼女はセールスの世界でも間違いなく成功できるだろう。
「あぁ、やだ! おかしくなります! 気持よすぎて、壊れちゃいそうです!」
「マユちゃん、違うわ。そういうときは『イキます』っていうの。フユキ様に、というより全地球に届けって気持ちで叫ぶのよ。イキますって」
「イキます! マユ、イキます! 初めてのセックスなのに、みんなが見てるのに、イッちゃいますぅ! ダメッ、ダメッ、怖いよう! マユ、壊れちゃうよぉ!」
 マユちゃんは初めての絶頂に怯えて泣き出す。他のみんなはオナニーしながら、僕らのセックスに興奮を高めていく。
 この異様な状況に、僕自身も興奮しきっていた。快感のボルテージが上がっていく。なのにまだまだ満ち足りない凶暴なエネルギーが僕を突き動かす。彼女の一番深いところに、数度、思いっきり腰を叩きつけてやる。
「あっ、あっ、マユ、マユっ……イキますぅ~~ッ!!」
 マユちゃんは、ビクンビクンと痙攣しながら崩れ落ちた。
 ニュルンと僕のが彼女の膣から抜け落ち、そそり立つ。射精もしてない僕のはまだドクドクと脈打って、我ながら凶悪な面構えで女生徒たちの視線を一点に集める。
「フユキ様、失礼します」
 キヨタはハンカチを取り出し、マユちゃんの愛液や出血に汚れた僕のペニスを拭った。そして口に咥えて、カポカポと唾液をまぶすように顔を前後させ、十分に僕のを濡らしてくれた。

「はい、それでは次の人いきましょう」
 ぬるんと仕上げのように僕の先端で舌を回し、キヨタはマユちゃんの後ろの人に声をかける。彼女のフェラを呆けたように見ていた彼女は、ハッとしてスカートを脱ぎさる。
「彼女の名前はスズキアイカさんです。お母様が華道の有名な師匠で、彼女自身も師範代の腕前です」
「へぇ」
「ほ、ほんのたしなみ程度ですっ」
 顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにあそこを隠して立つ彼女には、確かに一輪の花のような可憐な美しさが香り立っていた。長い髪が自然にウェーブを描いていて、いいとこのお嬢様って雰囲気が漂っている。お椀型のおっぱいも可愛いし、上品に薄い陰毛も僕好みだ。
「あの…先生。お願いしても、よろしいですか?」
「え?」
 アイカちゃんは、赤くなりながらキヨタを指さした。
「今の、キヨタさんがしてたこと、私もしてみたいのですが……」
 それって、さっきのフェラのことだろうか。キヨタが僕を見上げる。そして僕が何か言うより早く、キヨタが「わかったわ」とアイカちゃんに頷く。
「スズキさんのフユキ様にご奉仕したいって気持ち、すごく素敵だと思う。私が教えてあげるから、フユキ様にいっぱいご奉仕しよ?」
「はいっ」
 キヨタは僕の前にアイカちゃんを跪かせ、僕のペニスを握らせた。
「いい? まずは、そっと根元を握りしめて」
「……熱い」
「そう。すごく熱いでしょ? その熱さでみんな蕩けちゃうのよ。さ、軽くこすってみて。もっと熱くなるから」
「こう?」
 僕を見上げながら、アイカちゃんは手コキを始める。キヨタは僕と彼女を交互に見ながら指示を出していく。
「まだ強くても平気よ。ごしごしって、フユキ様の血液がここに集まるように、促して差し上げて」
「お華と、全然違う…こんなに熱くて逞しい茎、初めて見るわ……」
「もっともっと熱くなるわ。それに、とっても美味しいのよ。舐めてみて」
「う、うん」
 ペロっと、舌が先端を掠める。
「しょっぱい……」
「最初はね。汗や先走りお汁でそんな味がするわ。でも、味わうごとに深さが増していくの。次は根元から先端にかけて、裏のスジに沿ってゆっくりと舐めて。ちゃんと気持よくなってくださるように、想いを込めて」
「はい」
 言われたとおりに、アイカちゃんは僕のを舐めあげる。不器用で遠慮がちな舌使いだが、ぞくぞくとくすぐったい快感が僕のペニスに走る。
「今のお味はどうだった?」
「さっきと同じ……しょっぱい、かな?」
「うん。それじゃあ、フユキ様の顔を見てみて」
「はい」
 アイカちゃんが顔を上げた。僕はくすぐったい快感の余韻と、このアングルで見るアイカちゃんの可愛さで、ちょっと間抜けな顔をしてた。
「気持ちよさそうな顔をしてらっしゃるでしょう?」
「あ……はい。なんとなく」
「あなたのフェラチオで感じてくださったのよ」
「え…あ…まあ……」
 アイカちゃんは顔を真っ赤にして俯き、嬉しそうに微笑んだ。
「あなたが真心込めてご奉仕すれば、フユキ様はちゃんとその思いを感じてくださるの。ご奉仕は、決して一方通行じゃないわ。あなたのご奉仕でフユキ様が喜び、そしてそのフユキ様の喜びがあなたへのご褒美なのよ。フェラチオはただの愛撫じゃない。対話なの。愛の対話。気持ちを込めて、感じるの。オチンチンを心から愛して、お口を犯していただくの。心が通じ合えば、あなたにもわかる。この世にフユキ様のオチンチンくらい、美味しいものはないって」
 アイカちゃんや周りの生徒は、そんなキヨタの熱弁に真剣な面持ちで頷いていた。僕は普通に引いていた。
 キヨタはますますヒートアップして指示を出す。
「さあ、舐めて。心を込めて舐めてっ」
「は、はいっ」
 ペロリ、ペロリとアイカちゃんの舌が僕のペニスに這い回る。
「もっと唾液をまぶして。フユキ様のオチンチンをあなたの唾液で包み込んで差し上げるの」
「え、でもそんな……唾液を垂らすなんて、はしたない……」
「これはお華でもなければ、お遊戯でもなくってよ! ご奉仕の作法は、フユキ様に喜んでいただくためならどんなことでもするって、それだけ。あなたの本性をさらけ出して、大胆に、いやらしく、ご奉仕しなさいっ。さあ咥えてっ。オチンチンを咥えて、顔を前後に動かしなさい!」
「はぶっ、んっ、ちゅぶっ」
 アイカちゃんが大胆に僕のを飲み込み、顔を動かす。ギュッと目をつぶって苦しそうだ。でも、その必死な表情と、無垢な口内に包まれる感触が心地よい。
「歯は立てないで。舌も怠けないで。さっきの裏スジと、それに先端の丸い部分。その付け根。先っちょの割れ目。刺激のポイントを変えながら、工夫してご奉仕するの。フユキ様を飽きさせちゃダメよ」
「ふぁいっ、ぐちゅ、ちゅぶ、んん、はぁ、はぁ、んんっ、じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ……」
 忙しなくキヨタは指示を出し、アイカちゃんは必死でそれに応えようとする。デタラメな動きはやがてポイントを掴んできて、だんだん気持ち良さが増してくる。
「……いいわよ、スズキさん。そのまま、ご奉仕を続けたままフユキ様を見上げてみて」
 アイカちゃんが目を開き、僕を上目遣いに見つめる。僕は快感に歯を食いしばりながら、彼女と視線を合わせる。
「フユキ様がとても喜んでくださってるわ。あなたの献身的なご奉仕が、フユキ様の心に届いたのよ」
「…ふわぁ……」
 ぽうっとアイカちゃんの頬が染まり、キラキラと目が潤む。
「ホラ、お口を休めないで。もっともっと喜んでいただきましょう。今覚えたこと忘れないで。どうすればもっと気持よいか考えて。もっと大胆に、いやらしくできるでしょ? あなたのエッチな姿で、フユキ様に楽しんでもらうのよ」
「ずっ、ぢゅちゅっ、んぷ、んんっ、はぁ、じゅぶっ、じゅぶっ、あぁっ、んんっ」
「その調子よ、スズキさん。フユキ様の喜びがわかる? オチンチンから伝わってくるでしょ?」
「うんっ、じゅぶっ、びくびくしてるっ、じゅぶっ、すごく熱くて、んっ、お口の中で暴れてっ、はあっ、なんて野性的っ……あぁっ、あぁ! すごい! 男の人って、すごい!」
「オチンチン、美味しいよね?」
「おいしいですっ! すごくおいしいですっ! 私、こんなにおいしいの初めて! こんなに嬉しいの、初めて! じゅぶっ、じゅぶっ、あぁっ、フユキ様ぁっ!」
 アイカちゃんは口の中のあちこちに僕の先端を擦りつけ、舌を這わし、よだれを顔中につけて僕のを舐め回し、自分で胸を揉みしだく。
 可憐だった美少女は、キヨタの導きによりクラスメートの見守る前で淫乱の花を咲かせ、貪るように僕のにしゃぶりついていた。
「んっ、じゅぶっ、じゅぶっ、ずずっ、じゅぶっ、ぷはっ、はっ、はぁっ、はぁっ、んんっ、ちゅぶ、ぢゅぶぅぅ、はぁッ、ちゅぶっ、ぢゅぶぅ……」
 そんな彼女のいやらしい姿に、キヨタは満足げに目を細めて頷いた。
「ふふっ。私ね、スズキさんが自分からフェラしたいって言ったときから、わかってたわ。あなたには才能があるって。フユキ様のお口おトイレになって、前の穴も後ろの穴もフユキ様に献げて、私と同じようにフユキ様の精液おトイレになるために生まれてきた子だって。やっぱり、間違いなかったようね」
「はいっ! 私、じゅぶ、フユキ様のおトイレです! フユキ様の、オチンチン壷です! じゅぶ、ちゅぶっ、はぁっ、オチンチン様ぁ! んぶっ、オチンチン様、大好きィ! ぢゅ! 私のお口を、もっと犯してください! おしっこだって、飲めます! じゅぶ、んん、私の、お口は、フユキ様のオチンチン様専用おトイレですぅ!」
 僕の腰に腕を回し、抱きしめるように喉の奥まで飲み込み、もう片方ので手で自分のあそこをイジりながら、アイカちゃんは奉仕を続ける。
 急激な愛撫に危うく射精しそうになった。歯を食いしばる僕を見て、キヨタがアイカちゃんの耳元に唇を寄せて囁く。
「合格よ。フユキ様が、あなたの大好きなオチンチン様で、あなたのバージンをぐぢゅぐぢゅに犯してくださるって」
「はぁぁんっ!?」
 まさかそれだけでイッてしまったのか、アイカちゃんは悲鳴を上げて倒れた。キヨタは、慌てず彼女の体を床に仰向けにして、膝を両手で押し広げ、ぐっしょり濡れた彼女のアソコを僕に向けて、にこやかに微笑んだ。
「はい。どうぞ、フユキ様。お味を試してくださいませ」
 勝手に入れちゃっていいんだろうか、とか思いながらも、僕は彼女の中に沈めていく。
「あっ!?」
 狭いけど、ぐしょぐしょに濡れてるアイカちゃんの中は、僕のをスムーズに飲み込んだ。挿入の瞬間、彼女は苦しそうな悲鳴を上げたけど、すぐに僕のに慣れて、甘い声を上げだした。
「いいっ! すごく気持ちいいです、フユキ様! 私ッ、私、ちゃんとフユキ様のおトイレになれてますか!? あぁッ、私を、フユキ様のおトイレにしてくださいますか!?」
「あぁ、いいよ。今日から君は僕の精液便所だ」
「うわぁぁッ! ありがとうございます! 私、嬉しいですぅ! これからも頑張りますぅ!」
 歓喜の涙を流すアイカちゃんを、僕はゆったりとしたペースで犯す。彼女は早くも僕のセックスに溺れ、アソコを僕のに馴染ませるように締め付けてくる。
 キヨタはまるでベテランの調教師のようだ。ていうかこの人、才能の引き出し多すぎだ。
 しかも何故こんな状況で次々に開花されていくんだ。天才か。変態の天才なのか。
 僕の興奮も高まってくる。女の匂いで満たされた教室の空気を思いっきり吸う。まだまだイケる。血がたぎってる感じがする。むしろまだ足りないくらいだ。
 このウブな女生徒たちを、全員僕の精液便所にしてやろう。こんな感覚は久しぶりだ。なんだかとっても燃えてきた。
 そんな僕の耳元に、キヨタが後ろから近づいてヒソヒソと囁く。
(……フユキ様、申し訳ありません。今のフェラチオに時間を取りすぎてしまいました。この子はさっさと終わらせて、次に参りましょう)
 見渡すと、今のフェラの間にオナニーで達してしまったのか、放心した様子でぐったりした子が多かった。
「せんせぇ…フユキ先生、早くぅ……」
 でも、アイカちゃんの後ろの席では、縦巻きロールのお嬢様がすでにスカートも下着も脱ぎ去り、机の上で僕に向かって股を広げ、オナニーしながら僕を誘っている。どうやらキヨタが先に準備を整えてあるようだった。
 僕は「うむ」と頷き、キヨタの言うとおりに腰の動きを速くした。アイカちゃんは悲鳴を上げた。キヨタは凛とした横顔を教室に向けている。おそらくこれからの段取りを頭の中で組み立ててるのだろう。
「キヨタ、次々いくぞ。用意しておけ」
「はいッ!」
 僕に命令されて嬉しそうにキヨタは返事する。
 もうキヨタに全部任せた方が良いと思った。だって彼女の才能は僕の想像をはるかに超えてる。
 僕は女の子を抱くことだけに専念する。全員泣くまで犯してやる。ピッチを上げる。アイカちゃんが「イキますぅ!」と叫んで絶頂に達する。僕は間髪入れずに次の子に挿入する。処女を散らして突きまくる。

「―――フユキ先生、ありがとうございましたッ!」

 伝統のセーラー服も乱れたままで、女生徒たちは丁寧なお辞儀をした。
 晴れてクラスの全員を抱き、最後にもう一度キヨタを犯して、僕の授業はつつがなく終了する。
 玄関前では、キリヤが野菜ジュースのパックを飲みながら僕を待っていた。
「タイヨウ、おっせーよ。何してたんだよ?」
「あぁ、悪いね」
 そしてキリヤと校門に向かう僕を、教室の窓から女子生徒たちの声が呼び止める。
「フユキ様~ッ!」
 見上げると、キヨタと彼女のクラスメートたちが手にハンカチを振り、涙を流しながら僕を見送ってくれていた。
「私たち、待ってますから! いつかフユキ様が戻ってきて、この学校を全部フユキ様の公衆トイレにしてくださる日が来るのを信じて、ずっと待ってますから~ッ!」
 花も恥じらう名門女子校の乙女たちが、トイレがどうこう言って泣いている。
 もちろん、彼女たち全員が僕のケータイに新しくできた『トイレ』フォルダの住人であることは、言うまでもない。
 僕は片手を上げて彼女たちに応えた。黄色い声と泣き声が入り交じってクラシックな校舎に響いた。
「お前、何者…?」
 キリヤが困惑した顔で僕を見る。
「……ただの流れ者の臨時講師さ」
 僕はクイッとメガネを持ち上げる。
「フユキ様~ッ! 愛してます~ッ!」
 そして少女たちの熱い涙を背にして、僕は女子校をあとにした。

 やっぱ男は、ギラついてなきゃ。

 普通の中学生になると宣言して、キリヤは普通の中学校ライフに挑戦を始めた。
 授業中に女子にフェラさせることもないし、休み時間に女子たちの下半身を裸にして「あおい」「そら」「ズブズブ」で挿入させるAV女優ゲームをすることもなく、寒い日の体育でも女子に肉毛布させることもなければ、1年女子を集めてセックス授業することもない1日の始まりだ。
「面倒くさいな、普通って」
 生活費だけはあいかわらずインチキで手に入れてるが、買い物にはキチンとお金を払うし、無茶な出費は控えるようにしてる。僕以外のクラスメートとの会話では、必ず2つ以上の選択肢を相手に与えて強制を避ける。自分の意見は最後に言う。わがまま禁止。お触り厳禁。
 普通の中学生は、縛りでいっぱいだ。

「なあなあ、タイヨウ。今日はチンコも寒いし、吹奏楽部行ってフェラチオセッションでもしてもらおうぜ? タイヨウ、パーカッション担当な」
「君はバカか。そういうことはしないと約束したばっかりだろ。それに明日からテストなんだから勉強しないと」
「そんなの職員室で見せてもらえー」
「キリヤ、『普通の中学生のためのルール』第14条を言ってみろ」
「……普通の中学生は、カンニングに教師を使いません。なあ、でもちょっとくらいいいだろ? 今日くらいはパーッと遊ばね?」
「だからダメ。放課後はマナたちと図書館で普通に試験勉強するって約束したろ?」
「タイヨウ、六本木って行ったことある? なんかすげー大人の店がいっぱいあるんだって。エロエロな姉ちゃんでいっぱいなんだぞ。これはもう、俺たちで六本木を制覇してやんないと!」
「キリヤ、『普通の中学生のためのルール』第37条を言ってみろ」
「……普通の中学生は、都市を制覇しません」

 人生をチートでプレイすることに慣れてるキリヤにとって、普通の中学生であることは相当の我慢を要したが、彼女のためにキリヤは努力した。
 カワサキユウ。
 中途半端な時期にD組に転校してきた彼女は、来てまもなくキリヤの憧れを独り占めにした。
 キリヤは彼女のために、学校では普通の中学生に徹し、大好きなバカセックス(AV女優ゲームみたいなの)も慎み、授業も真面目に受け、休み時間も大人しく将棋に専念するストイックな人生にシフトした。
 さらには体育の時間での活躍やテストでの好成績。D組男子との交流のフリして彼女のいる教室に顔を出すなど、さりげないアピール活動も頑張っている。
 そんな地道すぎる活動もひと月が過ぎ、季節はもうじきクリスマスだった。

「……そろそろ声をかけるくらいはしたほうが良いんじゃない?」
 僕の当然すぎる提案に、キリヤは顔を真っ赤にさせた。
「声をかけるって、どうやって?」
「まあ、自己紹介とか、今度遊ぼうとか」
「自己紹介とか、普通このタイミングでしないだろ?」
「そのタイミングをずるずると引き延ばし続けたせいで、もうすぐクリスマスだから急げって言ってんだよ」
「心の準備が……」
「キリヤ、よく聞け。もうすぐ恋愛イベントが立て続けに起こる時期だ。そして僕らも思春期の真っ只中だ。ごらん。うちのクラスのあちこちでも、にわかカップル現象が起こり始めている。カワサキさんだっていつまでもフリーでいるとは限らないよ。そろそろ彼女に告白するヤツだって現われるかもしれない。先を越される前に、手を打っておかないと」
「そんなヤツ、ウンコ漏らしの刑にしてやんよ」
「キリヤは普通の中学生」
「あー、そうな。俺、普通の中学生な」
「普通の中学生の恋愛は普通にコクるところから始まるんだ」
「わかってるよー」
「それじゃ、行こうかキリヤ?」
「え、待って! まだ無理! もうちょっと待って!」

 そのままジリジリと時は過ぎていく。

「……じつはマナに頼んで、体育の時にさりげなくカワサキさんにキリヤの話題を振ってもらったんだ」
「え、なに勝手なことしてんだよ、タイヨウ! で、なんか言ってた?」
「カワサキさん、キリヤのこと知ってたって。すごい人なんでしょって。ていうか、話してみたい男子ナンバーワンだってさ」
「イエス!」
 僕らはハイタッチを交した。
「だからこれはもう、喋りに行くしかないと思うんだ。向こうも話してみたいって言ってるんだし」
「あ、あー、そ、そうだよな」
「むしろ告白してもいいかなって、僕的には思うんだけど」
「いや、それはないだろー!」
「大丈夫じゃない? 好感度高いってことなんだし、今は付き合ってる相手いないって話だし、たぶんOKだよ」
「でも、告白したらOKは当たり前になんだよ、俺の場合」
「だからさ、僕が言うよ」
「あ?」
「僕がキリヤの気持ちを伝えて、返事も聞いてくるよ。そうすればインチキなしだ。でしょ?」
「……だな」
「それじゃ行ってくるねっ」
「待てって! お前、どうして他人事だとそんなに行動早いわけ? いつものタイヨウらしくないだろ。なにそのテキパキ感?」
「だってキリヤに彼女出来たら、クリスマスはマナと4人でダブルデートとか出来るじゃん?」
「あ、そっか」
「絶対楽しいよ」
「そうだよな……」

 キリヤはしばらく考えて、でもまだ恥ずかしいと言って、少し時間をおくことになった。
 さらに数日。

「今日はいよいよクリスマスイブだね」
「言うなよ。わかってるって。俺だってそれくらい知ってるんだって」
 普通の中学生っぷりも板についてきたキリヤだが、純情なところまで普通になられても、見てるほうはヤキモキするだけだ。
 いつもの『ホテル教頭』で僕たちは将棋を指している。
 そして僕たちは賭けをしていた。
 もしもこの勝負で僕が勝てば、今日中にキリヤはカワサキさんに告白する。もちろんキリヤが直コクするとズルになるので、僕が代わりにカワサキさんに伝える形で。
 ここ最近のキリヤは、将棋部のヒラノくんという師匠を得てメキメキと腕を上げていた。もともと頭の良いキリヤは定跡なんかもすぐ覚えるし、僕も本格的にやっていたわけじゃないので、ここのところはずっとキリヤに負け越していた。
 今回の賭けは、キリヤに決断を迫るのと同時に、動揺を誘って久々に勝ちをいただこうという僕の計算も入っている。
「穴熊でーきた」
 得意の囲いを作って、キリヤは攻めに転じる。しかし僕のミレニアム囲いもすでに完成している。
「今日は勝つよ」
「へへっ、やってみろよ」
 一進一退の攻防が続く。教科書どおりに正確な戦法をゴリ押ししてくるキリヤの腕力に、あえて僕は定跡を無視して自由に動くことで対抗する。キリヤは奇策に弱い。といっても僕にたいした策もないのだが、基本的に対戦モノに弱いキリヤは、余計な深読みしてハマってしまうことがよくあった。そして一度崩れ始めるとキリヤは脆いんだ。
「とっとと終わらせて、キリヤに彼女を作ってあげるよ」
「うっせ」
 加えて今日はカワサキさんの賭けがある。その意味ではすでに盤外の駆け引きで僕は勝っている。
 彼の手には迷いが見えた。僕のメガネが鋭く光って、その綻びを華麗に捕らえた。楔のごとく香車をキリヤにねじ込む。
 だがそのとき、キリヤの口元が、ニヤリと浮き上がった。
 ―――しまった!?
 4六角。
 ズシリと重い一撃が、僕のどてっ腹に響く。僕の備えていた全ての道筋が、その一手で分断される。
「クククク……ッ」
 含むように笑うキリヤの目には、してやったりの狡猾さがあった。
 キリヤに策あり。マシンのように定跡を踏んでいく将棋しか知らなかったキリヤが、ここに来てそれを逆手に僕を誘ったのだ。まんまと罠にはめられた。
 見事なり、ナツミキリヤ。僕は我がライバルの執念を素直に賞賛する。この勝負に勝ったところで君には何のメリットもないというのに、なんていう勝負魂なんだ。
 いいや、まだ何も終わっていない。ここであきらめてなるものか。僕は81マスの将棋盤の中にダイブする。あらゆる手を求めて探る。だが、何手先にも活路が見つからない。この一手が僕の行き先を全てを封じ込める。
 もはや、ここまでかッ!
「クククッ……アーハッハッハッ!」
 早くも勝ちを確信し、高笑いするキリヤ。まさに鬼。将棋の鬼や。僕の目の前に立ちはだかる壁の、なんと高いことか。
 だが、そのとき僕は見つけた。この状況を打破する一手を。
 盤の上ではなく、窓の外に。
「……あそこにいるの、カワサキさんじゃない?」
「え?」
 社会科準備室から見下ろせる中庭に、カワサキさんと、同じくD組のソガワくんっていう、バレー部のキャプテンがいた。
「何やってんだ?」
 ソガワくんは、照れくさそうに頭を掻いている。カワサキさんがプレゼントの包装をソガワくんに手渡してる。ソガワくんはそれを受け取り、少しの会話を交す。やがてソガワくんが差し出したプレゼントをカワサキさんが受け取って、これまた照れくさそうにお辞儀をして、笑い合う2人。なんて爽やか中学生日記。
「あれ……お歳暮だよね?」
 キリヤが認めたくない気持ちもわかる。僕だって驚いている。こんなオチは考えもしなかった。
 僕ら、なんでこんなところで将棋なんかしてるんだろう?

「こんにちは」
「あぁ、こんにちは、カホちゃん」
 放課後、何事もなかったように僕たちは生徒会の仕事をこなす。
 今朝のカホちゃんが見たことは、昼休みにキリヤに消してもらった。いつもどおりに僕は彼女と接して、副会長のコジマくんや書記のマナ、カホちゃんや他の1年生役員と少々の連絡事項と空っぽの意見箱を確認して、あとはダラダラと雑談をして過ごす。案の定、職員室から回ってきた保健室の件は無視した。
 生徒会の仕事にもだいぶ慣れてきた。キリヤがいないせいで何かと不自由はあるが、僕以外の役員は優秀だし、上級生相手のトラブルだって僕たちだけでクリアできている。僕もまだまだ新米生徒会長だけど、それなりに仕事をこなせていると自負している。
 職員室でも評判はいいらしい。こういうの、悪くない。苦労するときもあるけど、みんなで力を合わせて問題を解決していくのは、気持ちいいし楽しい。
 だが、そのせいで僕と遊ぶ時間の減ったキリヤは不満らしく、しょっちゅう生徒会室に出入りしているが、今日はもうじき閉店するらしい近くのファミレスのウェイトレスさんたちと乱交すると言って(「来たかったら来ればいい」とキリヤに何度も言われたが僕は生徒会を優先させた)不機嫌そうに帰っていった。
 キリヤには悪いけど、僕は生徒会の仕事も楽しくなってきている。キリヤと一緒に普通の中学生になろうとしていた昔のことを思い出す。あれはあれで楽しかった。たまにはこういう地味な苦労もあっていいと思うんだ。
 なんとなく、自分が大人になっていってるのがわかる。

「それじゃ、おつかれさまー」
「ね、タイヨウ。マナ、時間ないから行くね。ごめんね」
「あぁ、みんなによろしく」
 マナはこれからテラシマ他の中学仲良し組でゴハンらしい。僕も来ないかと毎回マナは誘ってくれるが、女子高生軍団に混じって男1人も居づらいので、いつも断わることにしている。
 ていうか、テラシマとは去年の秋に偶然再会して以来、ラブラブにしてマナに隠れて付き合ってたりするし。
 浮気がバレたときのマナは本気で怖いし。今朝も怒られたばかりだし。
 キリヤは、そういうの面白がって記憶消してくれないんだ。
 僕はウキウキしながら帰っていくマナを、ちょっと後ろめたい気持ちで見送って、片付けを終わらせる。
「会長」
 そして帰ろうとしたところで、カホちゃんに呼び止められた。
 暗い顔をしていた。生徒会室に差し込む夕日が、彼女に長い影を作っている。
 今朝の彼女を思い出して、ドキリとした。
「あ、ど、どうしたの?」
 我ながらぎこちない笑顔だったに違いない。カホちゃんは失望したみたいに、小さな頭を俯ける。
「お話があります」
 そう言ってカホちゃんは、議事録用のICレコーダーをポケットから取り出した。僕は総毛立つ。
「これ……ポケットに入ってたんです。自分で入れた覚えはありません。でも生徒会の備品だし、誰かが勝手に私のポケットに入れたとも考えられないし、全然わけわかんないんです」
 膝が震える。カホちゃんが顔を上げる。僕は必死で生徒会長の顔を作る。
「そ……そっか。いいよ。それじゃ元の場所に戻しとこう。ね?」
 差し出した僕の手からカホちゃんはレコーダーを隠す。そうして、僕を睨みつける。
「私、変だと思って、聞いてみたんです。そうしたら、会長と、ナツミ先輩と、私の声が入ってました」
 なんてことしてくれたんだ、この子は。
 おそらく、僕に話があると屋上に呼ばれたときに仕込んでいたんだ。その時はまだ彼女は今朝の保健室の光景を覚えていた。もしもに備えて持っていたんだろう。
 あの光景を見て僕らを信じろっていうほうがおかしい。警戒して当然だ。でも、僕は彼女を見くびっていた。
 キリヤは屋上で彼女の記憶を消して、その場でフェラチオをさせて、放尿までさせていた。一部始終が録音されていたのか。
「何を言ってるんですか、これ? 私、何を忘れてるんですか? これ本当に会長たちなんですか?」
 合成のニセモノだ。キリヤが冗談で作ったモノなんだ。
 どうしようもないウソしか思いつかない。そんなこと言えるはずない。
「……催眠術っていうんですか、こういうの?」
 カホちゃんは、レコーダーを再びポケットにしまい込んだ。いつもオドオドとしていた彼女らしくない、強い目で僕を睨む。
「これ、私にフェラチオさせてますよね? ずっと前から、私にこういうことしてたってことですよね?」
 僕には何1つ答えられない。言えるはずがなかった。
 カホちゃんを犯していたのは、キリヤだけじゃない。僕だってカホちゃんを抱いたりフェラチオさせたこともある。2人がかりで犯したこともある。
 しかも、この生徒会室で。
「私、もう処女じゃないんですか?」
 僕は年下のカホちゃんに、完全に気圧されていた。ギラギラした目が、怖かった。
「何か言ってください、会長」
 喉が痛いほど渇いていた。唾を飲み込み、口を開く。でも何も出てこない。心底軽蔑したって顔で、カホちゃんは吐き捨てる。
「屋上でおしっこだって。バっカみたい。そんなの見たかったんですか? ねえ、どうなんですか?」
 僕が彼女に言えることなんてあるわけない。耳を塞ぎたい。
「何とか言えよ!」
 カホちゃんの声は突き刺さるように重くて痛い。僕の罪悪感をめちゃくちゃにえぐる。
 僕は震える手でケータイを取り出す。早くこの場から逃げたい。
「……電話、させて。キリヤに、説明させるから」
「ダメ。あの人が何かやってんでしょ? めちゃくちゃ怪しいじゃん、あの人。アンタが説明して」
「ぼ、僕じゃダメだ! わからないんだ!」
「ふざけんな! 言え!」
 ケータイが払い飛ばされる。僕は思わず悲鳴を上げる。足が震えて立ってるのも辛い。
「アンタが説明しろ。ワタシに何したんだよ、アンタら?」
 絡むような口調は完全に脅しだった。僕は頭一つ小さな女の子に詰め寄られ、しかも呑まれていた。
 どうなってんだ。この人、本当にカホちゃんか?
 情けない話だけど、僕は彼女の迫力に完全にビビっている。
 逃げよう。キリヤがいない今はそれしかない。どうせ学校を出ればカホちゃんは忘れる。逃げるしかない。
 僕は床を蹴り、彼女の横を素早く抜けた。
 でも腕を掴まれたと思ったら、次の瞬間には背中にゴツンと衝撃が走り、天井を見上げていた。
「……何やってんの?」
 カホちゃんが僕を見下ろしていた。悲鳴を上げようとして、呼吸が出来なくてむせ返り、ビリビリと背中に激痛が走る。
 僕を軽々と投げ飛ばしといて、カホちゃんはとぼけるように首を傾げる。
「ワタシから逃げられると思ってんですか~?」
 殺される。
 完全に目がイってる。
「やめて……許して……」
 僕は這いつくばって壁まで逃げた。カホちゃんが迫ってくる。僕を追い詰めて、ニタリと笑う。
「どうして逃げるの、かーいちょ?」
 普通じゃない。やばい。僕の知ってるカホちゃんじゃない。
 手足がガタガタ震えて立てない。
「何かやましいことでもあるんですか? ワタシの処女を奪って、便器みたいに精液飲ませて、おしっこもウンチもみんなの見てる前でやらせて、食わせてたから、逃げるんですか?」
「違っ…僕は、そんなっ……」
「ハッキリ言えよ! ワタシを肉便器にして弄んでたんだ! セックス、セックス、セックスばかりして妊娠させたんだ! 何人でマワしたの? 今まで何人、ワタシの中で射精したんだよ! あ? 何人堕ろさせたんだって聞いてんだよ!」
「やめて……違うから……僕たちは、そんなこと……」
「ウソつき! ウソつきのドスケベの変態野郎! ロリペドスカトロ獣姦マニアの露出狂野郎! アハハハ!」
「僕はッ…僕は!」
「アハハハハハハッ!」

 カホちゃんは笑って机を蹴飛ばす。椅子を蹴り倒し、ロッカーの上のファイルを床にぶちまけ、机の上に立ち上がって、生徒会の書類も僕のカバンの中身も床にばらまいて飛び跳ねる。
 僕は圧倒されていた。狂気が剥き出しになった笑い声が痛くて、耳を塞ぐ。僕らのマグカップが砕ける。ロッカーが引き倒される。意味不明の叫び声。
「やめて! やめてくれ、カホちゃん! 謝るから! ちゃんと本当のこと言うから!」
「アハハハハッ!」
 僕のことを忘れたみたいに、カホちゃんは手当たり次第に生徒会室の中を暴れる。
 引き千切れるブラインドカーテン。砕ける蛍光灯。悪夢でも見てるみたいだ。
 カホちゃんは、ずっと同じ言葉を繰り返している。
 小さな声で、すごく早口で、よく聞き取れない。僕は耳を塞いでいた手を離した。声はどんどん大きくなっていく。

「……しぶり、ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり!」

 ぴょんぴょんと、まるではしゃぐ子供のようにカホちゃんは飛び跳ねる。跳ね続ける。
 そして、ぐるりと僕の方に体を向けた。両手を広げ、狂喜の笑顔で唾を飛ばした。

「ひさしぶりだね、タイヨウ君! とっても、とっても、会いたかった! 17才おめでとう! 君に会えるの、ずーっと楽しみにしてたんだよ!」

 ……なに?
 僕は、ポカンと口を開ける。

「アハハ、なんて顔してんの~? ウソウソ、ごめんごめん! びっくりしちゃった? 驚いちゃった? ごめんね~! 怒ってるぅ?」
「あ……いや……え?」
 がらりと態度を変貌させた彼女が、小首を傾げて僕を見ている。少女っぽい仕草なのに、口の周りにいっぱい泡をつけて、薄気味悪いとしか思えなかった。
「ねえ、なに固まっちゃってんの! 忘れたの? ワタシだよ、ワ・タ・シ! 忘れてないよね? ね? ワタシ、ずっと待ってたんだよ? ずっとずっとずっとだよ? ね? ね? 約束、覚えてるよね? 忘れっこないよね?」
「あの……カホちゃん、だよね?」
「アハハハハッ! そう、カホちゃん! ワタシ、カホちゃん! でも違うよ? そうじゃないよ? 忘れるなんてヒドーイ! あんなにエッチしたのに! 保健室でいっぱいエッチしーたーのーにー!」
 何のことだ?
 今朝のことならカホちゃんは忘れてるはず。
 彼女を保健室で抱いたこともないはず。
 なのに、なんだこの嫌な感覚は?

「忘れたの? 君、初めて会ったときも、ワタシのこと脱がせてケータイで撮ったよね? お尻向けて撮ったよね? やらしー! アハハハ! やーらしー!」

 ウソだ!?
 違う! そんなはずない。
 寒気がした。全身に鳥肌が立った。
 カホちゃんがそのことを知ってるはずない!

「ワタシ、あなたにとっても会いたかった! でも残念だね? カホも死ぬよ? 今日死ぬよ? 明日も死ぬよ? まだまだ死ぬよ? たっくさん死ぬよ? でも、安心してェーッ! 君はたった1人でいいの。世界のために、1人殺すだけでいいの。約束したもんね?」

 体中の血液が凍る。
 世界。殺す。約束。世界。殺す。約束。世界。殺す。約束。
 グルグル頭の中で回り出す。保健室の匂いまで一緒に蘇ってくる。

「……ウソだろ……?」
「アハハハッ! やだー、まだそんなこと言ってる~! 信じらんない~! アハハハハッ!」

 カホちゃんはグシャグシャに髪を掻きむしりながら、大股で近づいてくる。
 僕は情けない悲鳴を上げて、後ろ向きに這って逃げる。でもすぐに壁にぶつかる。
 嫌だ。もう帰りたい。やめてくれ。こっち来ないで。ウソだ。ウソだ。こんなのウソだ。
 僕はガタガタ歯を鳴らす。彼女は僕の前に膝をつく。
 その無表情な目に僕は本当に映ってるんだろうか。
 彼女は荒い呼吸を繰り返す。やがて低く呟く。

「忘れるわけないよね? 約束したもんね?」

 あの日、あの人がそうしたみたいに、カホちゃんは僕の頬を両手で挟んだ。
 小さな手のひらは、すくみ上がるほど冷たい。
 そして、カホちゃんは僕に顔を近づけ、空洞みたいな目を細めて、ニタリと大きく口を広げた。

「―――あなたは、世界(ワタシ)のナイトだもんね?」

 恐怖が僕の限界を振り切り、僕はそのまま気を失った。

< 続 >

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