せめてもの催眠術師 第三話

第三話「オナニー披露」

 胸の辺りに付着した精液をウエットティッシュで拭くと、さっとソファーに脱ぎ捨てたブラを手に取るマユミ。
「あーちょっとまってください、なんでブラつけようとするんすか」
 それを、慌てて止めるトモノリ。

「なんでって、もうパイずり終わったんだから、いいだろ」
「もうちょっと、マユミさんの立派なおっぱい見ていたいから、そのままで」
「調子に乗るなっていってんだろう、見せたくて見せたんじゃないんだからな」
 気分を害したように言うので、トモノリはさっと付け加える。
「じゃあ『せめて』姉さんのおっぱいを自由に弄ばさせてくださいよ」
「ふんっ、まあそれぐらいならいいか……勝手にしろよ」
 許可が下りたので、両手でマユミの爆乳を弄びはじめる。トモノリが勢いあまって乳首を噛んだら、さすがにムッとした顔をしたが、別に何も言わなかった。
 ちゅーちゅーと胸を吸っていると、さすがに息を荒げる。
「気持ちいいっすか……」
「気持ち……いいわけないだろ。ふふ、必死にすってそんなにオッパイが好きか。赤ん坊みたいな奴だな」
 そうやって余裕ぶっているが、やはり少し切ない顔をするマユミ。

「下は脱いでくれないんすか」
「……だからなんでそんな必要が」
「じゃ『せめて』日ごろやってるオナニーを、俺の前で披露してくださいよ」
「しょうがないやつだな……じゃあベットに来いよ」
 そういうと、奥のベットルームに案内する。シングルとしては大きい。ダブルベットに近い大きさの柔らかそうな材質。
 もしかすると、休日などはここでミツヒコの奴と逢瀬を重ねたりしているのだろうか。そう思うとトモノリは少し興奮した。
 ベットの下からゴソゴソと白いプラスティックのケースを取り出した。
「これなんですか」
 ケースをマユミが開けると、なかからピンク色の男性性器を模した棒が出てくる。
「バイブだよ……軽くやるときはこんなの使わないんだが、軽くと本格的なの、どっちを見せたらいいんだ」
「それは、もちろん一番、本格的なのをお願いしたいっす」
 マユミは、だろうなと笑う。そう答えると思ったから、先に愛用のバイブを出したのだ。恋人のミツヒコとは、もちろんやっているがお互い忙しい仕事を抱えている身だ。そうそう頻繁に会えるわけにも行かず。
 仕事のストレスを解消するためにも、こういうものが必要になってくる。

「軽くでも、深くでも、最初はこうやって下着の上から手で刺激するんだ。優しく」
 披露しろといわれたから、説明口調で見せ付けるようにマユミは腰を浮かせ、手を股にこすりつける。
「オナニーのネタは、どんな想像をするんすかね。もしかして、俺だったりします?」
「バカ……そんなわけないだろ。私は心の中でも浮気はしない、いつもミツヒコを思ってやっているさ」
 マユミを手伝うつもりなのか、トモノリは後ろから優しく胸を円を描くように揉み始めた。胸は、トモノリの自由にさせるという約束だったので、別にマユミはなんとも言わない。
 ただ、股をこすって胸をなぶられていると、少し切ない気持ちにマユミはなる。
「姉さん……キスしていいっすか」
 口が寂しそうなので、トモノリはそんなことをいった。
「バカッ、そんなん聞くなよ……良い訳ないだろ」
「じゃあ『せめて』、ディープキスしてください」
 きょとんとして、マユミは一瞬止まると、はぁ……とため息をつく。
「まあっ、ディープならいいか……」
 そういうと、マユミはトモノリの肩を両手で掴むようにしてブチュとキスをした。マユミは女性にしては体格のいいほうなので、小柄なトモノリを押し倒すこともできる。
 半ばのしかかるようにして、濃厚なディープキスをかます。マユミのほうから、トモノリの口のなかに舌を入れ込んで、さかんに唾液を吸いたてる。
 あまりの激しさに、トモノリは胸を嬲るのも忘れて陶然となった。ただ、自分の口を蹂躙するマユミの眼前にある深いブラウンの瞳を見つめている。

「ふふっ、まあ私がオナニーするのを大人しく見てるんだな」
 性的にトモノリを組み敷いて、圧倒してしまうと、Sっ気のあるマユミは嬉しくなったのかベットの上で立ち上がって、見せ付けるようにショーツを脱いでいった。
 きちんと手入れのしてある草原のような薄毛。その茂みの真ん中で、タラタラといやらしく滑る女陰が、涎れをたらすように濡れて口を開きつつあった。
「姉さんのマンコ……すごいいやらしいっすね」
「……まあ、ほめ言葉と受け取っておいてやる。それで、このバイブをだな」
 すぐには挿入せず、濡れた入り口になじませるようにゆっくりと上下させていく。まだスイッチはつけない。
「ねっ、姉さん……俺、おっぱい担当で」
 トモノリが耐え切れずに、またマユミの胸に手を伸ばした。
「触ってもいいけど、よく見てろよ。中途半端に激しくやるより、最初にこうやってゆっくり焦らしたほうが後々よくなるんだよ……」
 トモノリには胸を触らせておいて、マユミは自分の股間をバイブで責めるのに夢中になる。
「姉さんっ、いやらしいっす」
「こうやって、早く入れたい気持ちをぐっと抑えて……」
 ゆっくりと膣口にバイブの亀頭を押し当てるが、まだマユミは焦らしている。見ているトモノリのほうが焦れて、胸に力を込めてしまう。
「姉さんっ……早く、早く……」
「今入れる……ふっ……ぐっ……」

「ミツヒコ……ミツヒコ……もっと深く……もっと深く、愛してっ……いくっ……んっ!」
 マユミが腰を浮かせていきそうになった瞬間、トモノリはぎゅっと胸を握り締めて、マユミの口に吸い付いた。
 ディープはいいということになっているから、男を求めていたマユミの舌は深くトモノリと絡めつく。

「んっ……んっ……ん…………」
 ぐったりと、身を横たえてマユミは動かなくなる。しばらくすると起き上がってきた。
「姉さん、おつかれさまっした!」
「……ばかっ、あんなことするからミツヒコじゃなくて、おまえでいっちゃったじゃん!」
 マユミはあくまで軽くのつもりだが、ぽかりと頭を叩かれた。
 これが結構痛くて、トモノリは、自分の頭を擦って苦笑いした。

< 続く >

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