僕らの発信基地 4話

『双シン壱号』であれこれ遊ぶようになって、シュントはこれまでに知らなかったことを、沢山、発見したり、理解するようになっている。例えば女の子のことだ。シュントは小学校の低学年の頃はクラスの女子とも割と普通に仲良く出来ていた。3年生から6年生くらいの頃は、女子一般は、うるさいし、すぐ先生に言いつけるし、集団でトイレに行くしで、何となく苦手な存在になっていた。そして中学に入ってからは、制服に身を包んだ女子たちのことを、やはり苦手に感じつつも、遠くから興味だけは持って見るようになっていた。ミツルやツトムとつるんでは、現実から遠めの、アニメキャラやアイドルの女の子に憧れる話をしたり、急に卑近な、知り合いの誰と誰とが付き合っているという噂話に耳を大きくしたり、ネットのエロ画像やエロ動画を見て熱くなったりしていた。普通の女友だちとかガールフレンドとか、その距離間の女性陣だけにポッカリと穴の開いたような、学校生活を歩んできたのだ。

 それが今、シュントは、操縦機から指令を発信すると、基本的には目に見える距離にいる、どんな女の人ともセックスが出来るようになった。憧れていた葛城サヤカさんはもう、何回抱いたか思い出せないくらいだし、クラスの学級委員の松倉さんも、図書委員の青砥さんも、ギャルっぽい光川も、合唱部の藤野さんも、バレー部の岸村も。主だった可愛い子は大体抱いた。棚岡律子先生の生理が遅れていた時は、妊娠を心配したくらい、何度もナカ出しさせてもらった。みんな、『シュントのことが大好きでエッチな恋人になる』と指示をすれば、夢中でシュントに抱きついて、お互いがイッタ後でも離さないくらいの熱烈なエッチを披露してくれたし、『従順な性奴隷になれ』と指示したら、休み時間の短い間に、男子トイレのボックスの中で、心を尽くしたフェラチオを、タイルの床に跪いてまでやり遂げた。『全員発情期だけど、よく躾けられた雌犬になれ』と命令を出すと、放課後の教室で四つん這いになって一列に並び、順番に交尾してもらうためにお尻を突き出して、ご主人様を待った。お尻を振って舌を突き出しながらも、自分の順番を待っているワンちゃんたちの様子は、まさに躾の行き届いた犬の発情期といった雰囲気だった。それだけ毎日のようにセックスを繰り返す中で、シュントは改めて、女の子の体の柔らかさ、温かさ、いい匂い、綺麗なところ、そうでもないところ、色んな部分を、前よりもずっと良く理解できるようになった。彼女たちのプニプニした体、サラサラした髪、スベスベの肌、あったかく湿ったアソコなど、シュントの人生を一気に絶頂期まで連れて行ってくれるような、幸せな記憶を沢山もらうことができた。

 そしてシュントは、これまで一方的に頂いていた女の人に対する幻想からも、目が覚めたように解き放たれたように感じている。ほんの3ヶ月前までは、普通の女の人も普通にオナニーをするとか、エロいことを考えるとか、知識としては理解しているつもりでも、どこか現実的には感じられなかった。けれど可愛い子たちを集めて、『今週はオナニーする時は自撮りをして、僕らの携帯にメールしてね』と指示を発信して、シュントたちのアドレスを伝えておいただけで、彼女たちの秘密のプライベートな生態が、赤裸々に暴かれてしまう。『エッチなことを考えている間、無意識のうちに両耳を引っ張っていよう』と指示すると、クラスの女子たちは授業中や、休み時間、お喋りの間など、お淑やかな顔をしている時でも、意外と頻繁に両耳を、おサルの顔真似でもするかのように左右に引っ張って伸ばしているのだった。窓側の席でいつも大人びた表情を浮かべているクールビューティ、御厨華乃さんなどは、物憂げな様子で運動場を眺めている時は大体、両耳を左右に引っ張って伸ばしていたことで、ムッツリスケベが判明してしまった。彼女には『自分を主人公にした、自作のエロ小説を家で書いてきて、シュントたちへ提出』という課題を指示したところ、ミツルくらいしか読み進められないくらいの、破廉恥で倒錯的なアブノーマル小説を提出してきたのだった。ウブなツトムなどはそれからしばらく、御厨さんと目を合わせて話すことが出来なくなるくらいだった。

 シュントとツトム、ミツルがお気に入りの、女子生徒たち、クラスメイトや同学年、先輩、後輩を集めて、若くて綺麗な女の先生たちも集めて、2週間に1回、「お楽しみ会」を放課後に開くことにした。先生たちのポケットマネーでお菓子やジュースを奢ってもらって、可愛い女子、大人しめの美少女後輩、素敵な先輩たちに、『エッチな話や恥ずかしい話を隠すことが出来ない』という指示や、『シュントたち男子の言うことは何でも聞いてあげたい』、『普段だったら嫌なことでも、この会が終わるまでは自分でも楽しんで実行。会が終わってからは笑って忘れてしまう』という指令を入れて、好き勝手に盛り上がる。そこでクラスメイトや可愛い女子たちの恥ずかしい秘密や、秘かなコンプレックス、絶対に他人には聞かせられないようなアブない妄想や、先輩たちの最近の熱い体験など、順番に何でもかんでも暴露させて、笑い転げたり羨ましがったりした。コンプレックス告白大会などは、プレゼンターにより恥ずかしがりながら発表してもらうために、15人程度の少人数の会なのに、わざわざ体育館を借り切って、舞台から大声で告白と再現演技どをしてもらったものだ………。音楽の先生が顔を真っ赤にして、過呼吸になるくらい抵抗しながらも白状した、学生時代のレズ体験には、皆で興味深々に耳を傾けたりした。最後は先生に、背の高い先輩と服を交換してもらって、その思い出を実演で再現してもらうという、再現ドキュメンタリーコーナーまで追加してもらった。音楽担当教師は、クンニされてイクときも、良い声で鳴くのだということも学べて、一石二鳥だった。

 そんな遊びを続けるうちに、シュントもツトムも、女の子について、前よりもぐっと良く理解することが出来るようになった気がする。健康な女の子はエッチなことも考えるし、エッチなことにも興味がある。オナニーもする。一部の子は、わりとアッサリと、一部の子はルーティーン的に、そして一部の子は、男子もびっくりするくらい、ネットリと貪欲に自分の体を弄って、その刺激と快感を楽しんでいた。美人の先生の中にはは出会いが無くて仕事が忙しい時期には、自分が学生時代に好きだった男の先輩のことを考えながら、大人の玩具で自分を慰めている人もいた。『今から1時間のあいだ、全員、超解放的なバイセクシュアルになって、大胆に過激に自分の性欲と性癖を晒しましょう。欲求不満が完全に解消されるまで、自分の暴走を止められません』と指令を出したら、普段は厳しい先生も、清楚なお姉さんも、可愛い女子生徒たちも、皆、サカリのついたボノボみたいになって、シュントやツトム、ミツル、そして手の届く範囲の女子たちと裸の肌を擦りつけ合って、愛撫しつくすのだった。何回か、そういう会を繰り返すうちに、シュントはそういう女子たちの本来の性質も、そんな欲求に知らんぷりして上品に振舞っている努力や気遣いも、理解出来るようになってきた。別に、本性を偽って、仮面をかぶって生活している訳じゃない。両方とも、彼女たちの本当の顔なのだろう。さっきのホームルームではボランティア活動への参加と募金への協力を呼び掛けていた、優しくて知的な学級委員長の松倉ミヅキさんは、その後のお楽しみ会で、四つん這いになってシュントに後ろから犯されながら、涎と涙と快感に蕩ける表情で顔をクシャクシャにしながらギャルっぽい光川の股間を舐めまわした。両方あって、委員長なのだろう(違うかもしれないけれど)。

 最後に、シュントたちはこの操縦機での実験を通して、自分たちについても、より深く知ることが出来たように思う。例えばシュントはこれまで、エロ仲間の中ではミツルが余りにも悪目立ちしていたせいで、ツトムはいたってノーマルな方だと思っていた。けれどいざ、『双シン壱号』という、妄想を何でも叶えてしまえるような凶器を手にしたことで、ツトムがこれまで見せなかった、意外な一面にまで気づかされてしまった。3人の友情とプライバシーを最低限守るために、火曜はツトムが、木曜はミツルが、この『双シン壱号』を自由に扱って良いことにして、シュントは見てみぬふりをするようにしてみた。2人の友達が、お互いの目を気にせずに妄想を叶えだしたら、どんなことが起きるのか、興味があった部分もある。だから、シュントが火曜の夕方に急に用事があって教室に戻って、「ツトムの疑似お姉ちゃん」である「偽サヤカさん」を発見してしまったのは、本当に偶然によるものだった。真っ赤になって恥ずかしがるツトムの腰にすがりついて、「もっとお姉ちゃんに、ツトムちゃんのオチンチンをしゃぶらせてちょうだい」と、お尻を振りながらオネダリしていた甘えん坊のエロお姉さんは、葛城サヤカさんではない。ちょっと、雰囲気が似ていたかもしれない、3年生の巨乳めの先輩だった。ツトムは彼女を操縦機の指示で『自分を葛城ツトムの姉でありながらツトムが大好きなブラコンでラブラブでエロエロなお姉ちゃま』であると思いこませて、好き放題していたのだ。

「シュントには姉ちゃんがいないから、わからないかもしれないけど、本物のサヤカ姉ちゃんと関係を持つのは、どうしても罪悪感があるんだもん。でも、その背徳感に、ちょっとだけ惹かれて、今日だけ、試してみただけだよ。今日だけ………」

 と、ツトムは珍しく大げさなハンドジェスチャーも交えながら、真っ赤になって説明する。シュントは「今日だけにしては、この偽サヤカさんは、かなり普段のサヤカさんの髪型や下着のチョイス、喋り方まで再現度が高いな」と思いながらも、ツトムの説明を飲み込むことにしておいた。サヤカさんは今もシュントの憧れのお姉さんだし、シュントが一番の頻度でセックスをさせてもらっている相手だ。ツトムがそのサヤカお姉さん本体に手を出すのに、罪悪感を感じて、偽サヤカさんを酷使することで発散してくれているなら、シュントにとってもありがたいことだと言える………かもしれない。一応、これはウィン・ウィンの関係なんだと、思いこむことにした。

 そう言う目で見始めると、ツトムはツトムで、色々と抱えこんでいるコンプレックスや「ヘキ」もあるようだった。まずツトムは、選べられる時には、よりオッパイの大きい女の子を選ぶし、スレンダーよりは肉づきの良い子を選ぶ傾向がある。髪は長めの女の子で、長い時間、イチャイチャして楽しむのが好きなようだ。けれどいつも1対1で操縦をして遊びたがるかというと、必ずしもそういう訳でも無くて、4人、5人の可愛い女の子たちをはべらせて、ハーレムの王様のように皆に奉仕させる時もある。そうかと思うと、操縦機の機能を色々と確かめるための実験をして、女の人たちの反応を見ながら満足している時もある。もちろん普通にエッチに興味はあるし、何をさせても何をしても自由となれば、好き勝手に楽しむこともあるのだろうけれど、基本的にはツトムは、操縦機に対する興味以外に、エッチに対しては割とストレートな願望とその延長線上のちょっとしたテイストが加わっていた。テイストとは、ややシスコン、マザコンっぽい気質と言えるのではないだろうか。

 それと比べると、ミツルのはっちゃけぶりはもっとダイナミックで幅が広かった。美人や可愛い子を見ると、すぐに全員裸にさせようとしたし、セックスまで至ろうとする所は、性欲ド直球のパワー系に見える。けれど彼女たちの性癖を秘かに捻じ曲げたり、無意識のうちの行動や振舞いを操ったりして、恥かしがったり困惑したりしている女の人たちを見るのも、ミツルの好物のようだった。朝の朝礼の途中で、突然、生活指導で美人の来島先生が全裸で運動場の陸上トラックを全力疾走し始めたのも、ミツルの差し金だった。2人、3人と、女の先生、学校で目立っている美人の先輩たちが、服を脱ぎながら、奇声を上げて駆け回る。何人かの先生や先輩は、そこで恥ずかしさを押し殺して服を脱いで自分のお尻を叩いて全校生徒たちを挑発するさなかに、Tバックや紐と星型の布だけのブラジャーなど、まったくキャラクターに合わないような、過激で大胆なランジェリーを身に着けていることが全校にバレてしまった。彼女たちの正気を3割くらい残しておきながら、異常な行動や好み、性癖だけ押しつけて、困る美女たちを見て楽しむあたりは、ミツルの得意パターンの1つのようだった。

 そしてもう1つ、シュントやツトムと違っているのは、このミツルという天パの小太り男子は、他の男子生徒や男の先生を一緒に操って、変なことをさせるのも、厭わないという点だ。シュントはどちらかというと、『双シン壱号』で女の子たちと遊ぼうとする時には、他の男子たちはノイズになるくらいの気持ちで、うまく退場してもらうことばかり考えている。ツトムも同じようで、クラスメイトの男子たちにロッカー側で雑魚寝状態で熟睡させておいて、女の子とたちの全身触診(「総回診」と呼んでいた)をすることが多かった。けれどミツルは、割と平気で男子も女子たちと一緒に全裸にさせて学年全員で楽しいスキップ鬼ごっこを6時間耐久で続けさせたり、3時間目から4時間目の間、クラス全員にエクスタシー寸前の状態を保つようにという、オナニー指令を出したりした。

「よりどりみどり、好き放題ヤレルっていっても、1日に3回もヤッたら、もう疲れちゃうだろ? それでも、セックス以外にも面白いことしたいって思うじゃん? 結果として、こうやって、仕込みみたいな遊び方もしてる訳だよ」

 ミツルが両手を頭の後ろで組んで、椅子に踏ん反りかえって偉そうに語る。そのミツルの机の前では、ミツルのクラスでも人気屈指の美少女が、全裸にペニスバンドをつけて、クラス1番のイケメン男子をバックで犯していた。右側では優等生の男女2人が急遽、お笑いコンビを組まされて、体を張った笑いを取っている。教卓の上では、生徒指導の女教師がお尻の穴にチョークを入れたり出したりする、個性的なオナニーに勤しんでいた。全員、中途半端に理性を残されているようで、時々、自分で首を傾げたり、恥ずかしさにプルプル震えたりしながらも、なぜか襲ってくる衝動に逆らえないのか、ミツルの思いつきのような指令を、健気に遂行していた。

 ミツルの『双シン壱号』での遊び方は、時にはセックスまっしぐらのドストレート路線、時にはわざわざ手の込んだ悪戯を仕掛けるのを楽しむような、ひねくれたもの、そして時には、ただ単純に操縦機の力を楽しむような、シンプルで体育会系の指示もあった。『全員、下半身裸に変顔で集合写真』とか、『文芸部みんなでヒンズースクワット200回』といったものだ。ある時はミツルが一番、人の個性とか内面とかに興味を持っているようにも見えたし、男女平等に操って遊ぶ姿勢があるようにも見えた。そして時には、彼にとっての『双シン壱号』操作が、まるで何かに対しての仕返しのようにも見えた。変態天パ男子も、変態天パ男子なりに、抱えているものがあるようだ。当たり前のことだけど、このミツルにも芯にはそんな繊細さというか心のヒダみたいなものがあるのだと思うと、改めて不思議な感慨も覚えたりする。

 そしてシュントは、というと、彼の遊び方は、ツトムのスタイルとミツルのスタイルの間を、ふらふらと行ったり来たりしているような気がする。シュントのサヤカさんに対する執着は本物で、ツトムも抵抗を諦めるほどのものだった。どれだけ学校や公園、道端で美人や可愛い子を見つけても、その子たちとセックスを求めるのは1回きりか、たまに思い出したようにお気に入りを抱く程度。いつも戻ってくるのはサヤカさんが裸で待つベッドの上だ。かといって、ツトムみたいにサヤカさん1人や一つのタイプにのめりこんだり、1種類の指示だけかけて満足するようなスタイルではない。シュントはまず、これまでにサヤカさんやカナエさん、ヒトミさんに出してうまくいった指示を、クラスメイトの女子たち(棚岡先生も含めて)に対象人数を拡大して発信することを試すようになった。

 例えば『カメラマンに従順なヌードモデルになって、フルヌード撮影に全面協力しなさい』という指示だ。アシスタントや照明係として使う以外の男子生徒には、学校の敷地内の清掃や草むしりを言い渡して教室から追い出すと、授業の時間を使って少女たちの集団ヌード写真を撮った。もちろん、10人以上のモデルを相手にすると、サヤカさん1人に出したような、細かい指示や演出は出来ないので、比較的自由にポーズをとらせた。『シュントが笛を吹いたら、ポーズを変えて、前よりももっとヤラしい恰好やポーズになって』と命令すると、写真を何枚か撮るごとに、笛をピーッと鳴らす。それが組み体操の合図のようになって、女の子たちはもう一枚脱いだり、制服のシャツから肩を出して色っぽくこっちを見たり、スカートの裾がずり上がるくらい片足を高く伸ばしたりと、工夫を凝らす。『皆でエッチな写真を撮られることを、楽しみながら工夫して撮影に臨みなさい』と命令を追加したら、笛が鳴るたびに、面白いポーズや中学生とは思えないようなセクシーポーズをする子も飛び出して、笑い声や黄色いハシャギ声も教室に響き出す。ブラジャーの端を咥えて、オッパイを差し出すように持ち上げる子、顔ではヤダヤダとうろたえながらショーツを10センチくらい下ろして、お尻の谷間を突き出してくる先生。クスクス笑い合いながら、お互いのシャツを脱がし合う仲良しペア、5人くらい一列に並んで、隣の子のスカートを捲り上げているグループ。皆が笛の合図に急かされながら、一生懸命、エッチなポーズ、自分をセクシーに見せる角度や表情を、精一杯工夫して、集団撮影に協力する。どんなにこうしている自分がおかしいと疑問に思っても、頭に響いてきた指示は絶対に実行しなければならないという、岩より重い義務感と、逆に撮影が楽しいという、理不尽でも抗えない感情の洪水に流されて、皆がヤラしくてハッピーなヌードモデル軍団になってしまっている。笛がピッと吹き鳴らされる毎に、女の子たちはキャアキャア言いながらもっと脱いで、考えつく限りの色っぽいポーズを取ってカメラに微笑んだり、挑発するような表情を見せる。賢い学級委員長は、乳首を隠して横乳だけ見せたりして、小刻みポーズを稼いでくるので、シュントも連続で笛を吹いて、乳首をハッキリ出させたくなる。エッチな女の子モデルと笛を咥えたカメラマンとの追いかけっこ。シュントもその、集団行動独特のグルーブ感と破廉恥な光景に酔ってしまったかのように、笛を何度も何度も吹き鳴らす。そのうち、それ以上脱ぐ布もなくなり、ポーズのネタも思いつかなくなった女子生徒と先生は、次々と全裸で足を大股開きにして、恥かしい部分をおっぴろげてカメラに笑いかけるしかなくなる。それ以上笛を鳴らされても、体を反転させてお尻の穴を出すくらいしか、思いつくポーズが無くなった女の子たちは、とにかくゴロゴロ転がるか、他の女の子の隣によって、お互いのオッパイを舐め合いながらカメラ目線を送ったりと、ゆっくりとグダグダな撮影になっていく。単体でそれ以上エッチなポーズなど思いつけなくなった子から、周りのモデルさんと腕や足、舌を絡め合って、肌色の山になっていく。最後までフレッシュなポーズや表情を次々と披露してくれたのは、クラスではこれまでクールビューティーで通っていたけれど最近シュントたちにムッツリスケベがバレた、御厨華乃さんだけだった。これまでに記憶してきたグラビアモデルたちの記憶のストックが違うという、貫禄を見せつけてくれたのだった。もしかしたら彼女こそは、ミツルに並べる、孤高の変態なのかもしれない。シュントが先生の成熟したカラダをさがしてみると、真面目な棚岡先生はその頃には、女子グループに囲まれてモミクチャにされてしまっていた。悪戯好きの女子生徒グループに、オッパイを握りしめられたり、アソコを広げられたり指を突っ込まれたりクリトリスを摘まんで引っ張られたりと、好き放題されているうちに何度もイってしまっていたらしく、笑顔のまま、ほぼ失神してしまっていた。

 シュントが何人かの女の子に目をつけて、『シュントの熱烈な隠れファンになれ』という指示を出したのも、シュントがその前の週末にサヤカさんたちと行った、『純愛乙女の夜』という企画が楽しかったという余韻があってのことだ。女の子が、恋愛にずっぽりハマった時にだけ見せる、魅力的というか魔力的と言った方が良いような、熱い視線と切ない表情。それに包まれれながらするエッチが、また格別の気持ち良さだったのだ。『双シン壱号』という操縦機がなかったら、絶対にシュントになんか、目もくれないような、スクールカースト上位のリーダー的な存在や、ハイソサエティなお嬢様だったり、活発な運動部の女の子を見つけては、シュントの隠れファンにしてみる。長期間有効な命令にしたかったので、わざわざブラックアウトボタンを使って指示を彼女たちの深層意識の奥にまで刻みこんでみた。英語の志堂早紀先生も、ルックスのレベルと同じくらいプライドが高そうな言動が見えるので、その反応の変化が見てみたくて、シュントみたいな陰キャへの、片想いにドップリとハマらせてみた。するとシュントのクオリティオブライフが、目に見えて向上してくる。シュントが教室に入ると、明らかに誰かに念入りに磨かれたように、シュントの机と椅子だけがキラキラと光っている。下校しようと下駄箱に行くと、登校時に置いてきたスニーカーと同じサイズ、良く似たデザインの新品の高級スポーツブランドのスニーカーが置かれている。英語の授業中に出席番号順でシュントの音読の番が回ってくると、担当の志堂先生があからさまにモジモジし始める。いつもは発音やアクセントを厳しく訂正する志堂早紀先生は、潤んだ目で放心したようにシュントの唇の動きを見つめていた後で、「声はとても素敵ですが、発音に改善出来る点がないか、よく検討したいので、申し訳ないけれど録音させてください」といって、個人の携帯でシュントの音読を録音したあと、その携帯を胸の前で抱きかかえるようにして残りの授業を続けていた。シュントが掃除当番の日には、誰かルックスの良い女子が割り込んできて、掃除道具をぶんどって、かわりに掃除をしてくれた。誰かが開封したのか、シュントのお弁当に、母親の手作りとは思えないような食材が入りこんでいたりした。夏なのに、ロッカーに手編みのマフラーが入っていたこともあった(「クリスマスは一緒に………なんて嘘です! 好きでいるだけで幸せなので、どうかこれからも見守らせてください」と、可愛らしい字の手紙が同封されていた)。シュントと仲が良いことが知れ渡っているツトムとミツルは、何人もの美少女や格好いいお姉さん、そして英語担当の志堂先生から、「眞知田シュントの好きなもの教えて。どんな音楽を聴いて、どんなマンガを読んで、どんな女の子がタイプなのか教えて」と頼み込まれて取材を受けたらしい。通りすがりの綺麗な先輩が、なぜかシュントに聞こえるように、お気に入りのアニメキャラの決めゼリフを言って、去っていったのも、きっとシュントの気を惹くためだったのだろう。性格悪い上に悪知恵が働くミツルなどは、わざと嘘をついて、「シュントはノーパンでパイパンでガードの超緩い女性にしか興味ないみたいですよ」と答えたらしい。思いつめたような表情の先輩や強張った表情の美少女、そして目に涙を溜めている英語の先生が、かわるがわるシュントの教室に入って来て、向かいに座っては、膝を開いてスカートがたくし上げられるままにして、そのスカートの中を見せつけるハプニングが頻発した。さらには不自然なほど腰を上げて、シュントが歩くのを追い越すように廊下を雑巾で水拭きして回っている先輩もいた。全部、ミツルのせいだったと、シュントは後からミツルの種明かしを聞いてようやく理解した。急に美女たちのスカートの中、しかも下着にもアンダーヘアーにも守られれていない、ツルツルで完全無防備なアソコの割れ目を何度も目撃させられたのは、ミツルから出たガセ情報が原因だったのだ。可哀想に思ったシュントが、ノーパンでパイパンをチラ見せ、モロ見せしてくる、『恋の虜』たちに対して、頭を撫でてあげたり、ウインクをしてあげたりすると、皆、感激に打ち震えて、ピョンピョン跳ねて喜ぶ(そしてまたスカートがめくれてしまう)。怜悧な美貌と洗練された立ち振る舞いで有名だった志堂先生などは、調子に乗ったシュントから投げキッスをくらって、その場で卒倒してしまった。スカートが捲くれ上がって、ツルツルの下半身が完全に曝け出された状態のまま、喜びの余り泡を吹いて失神している志堂早紀先生は、担架で保健室へと運ばれていった。みんなが先生の醜態について噂したり、可哀想がったりしたけれど、先生は誰かに心配されて声をかけられるたびに、頭に蘇ってくる幸せな思い出を噛みしめるように、ウットリと喜びに浸って、「私は今日、世界一幸福だから、心配しないで」と、遠い目をしたまま答えていた。

 学校内でどんな騒動が起きても、結局は皆にそのことを忘れてもらうか、夢だったと思いこんでもらうか、あまり気にしないようにしてもらうので、下校時間までには大抵の出来事や騒動は沈静化する。それでも、これまで学園生活の主人公のように振舞っていた女子リーダーや、輝くような魅力とオーラをまとっていた美少女、そして畏怖されてもいたインテリ美人教師から、隠し切れないような秘密の恋心を抱かれて、照れたり困ったりしてみるのは、悪い気分ではなかった。最初の内は周りの目も気にして、居心地の悪さも感じたりしたが、徐々に慣れてくると純粋に気分が良いと思えるようになる。ビックリするクラスメイトの女子や羨望の眼差しを向ける男子の前で、学園のヒロインたちに色目を送られたりプレゼントを贈られたりかしずかれたりするのは、純粋に男として気分が良いものだと感じるようになっていた。

 普段のキャラクターとギャップがあることをさせるような命令をすると、その反応がより面白いものになる。そう気づいた点では、シュントはツトムよりもミツルの発想に近い部分があったのかもしれない。なかなか認めたくはないことだけれど………。だから、文化系のおとなしめの女子たちを全裸にさせて、全力で『4時間耐久鬼ごっこ』をさせるという提案をうけた時、シュントは少し考えた後で、ミツルの提案を飲んだのだった。茶道部、華道部、書道部、合唱部に合奏部のお淑やかな美少女たち、乙女たちが子供がえりしたような屈託のない笑顔で両手を水平に横に伸ばした姿勢で猛ダッシュの駆けっこをする。最初の内はシュントもツトムも笑って見ていたけれど、インドア派の女の子たちはすぐに辛そうな笑顔になる。それでも両腕は飛行機の翼みたいに伸ばして、必死に鬼ごっこを続ける女子たち。だんだん笑顔も強張って、鬼気迫る表情になってくる。笑いながら涙を流している子もいた。

「もうそろそろ、止めた方が良いんじゃない? みんな、命令されたから笑顔でいるけど、本当は辛いんだと思うよ」

 ツトムが早くも心配を始める。3人のなかで最も理性的と思える彼が言うと、シュントも不安に思えてくる。

「ま、せっかくだから、もうちょっと様子を見てみようぜ。………操縦機の指令が体力の限界を超えて作用するかの、実験にもなるだろ?」

 ミツルはこういう時だけ、妙な知恵が回る。そう言われたツトムも、少しだけ興味が出たのか、膝をガクガクとさせながら、まだ笑顔のまま、蛇行しながら走っている子の様子を観察し始める。

 体全体で前のめりにぶっ倒れたまま、まだ両手を横に、うつ伏せの状態で足をバタバタさせている子や、泡を吹きながら笑顔で走っている子が出だしたのを見て、シュントはさすがに怖くなって、『耐久鬼ごっこ』の中止を命じた。走っていた子たち全員が、膝から崩れ落ちて、肩で息をする。結局のところ、『4時間耐久』と銘うったものの、シュントがビビったために、鬼ごっこは30分も継続されなかった。それでも、その時間を全力で走り続けるのは、相当辛かったみたいで、女の子たちの多くは、涙と鼻水を流して、地面に突っ伏していた。ミツルはもうちょっと様子を見て、女子たちが体力の限界を、命じられるままに超えられるのか、見てみたかったらしい。ミツルこそが鬼だという結論で、「鬼ごっこ」は終わった。けれどシュントは今もそのイベントの終わり方を覚えている。シュントが全員に、このことを楽しいイベントだったと記憶しなさいと命じたあと、一言、「楽しかった?」と聞いたら、まだ呼吸もままならないような辛そうな文化系女子たちが声を揃えて、「楽じがっだでず」と一斉に答えた。苦しそうなのに笑顔を作って答える、意志も身の安全もガン無視の命令に、皆で迷いなく従うお嬢様たちを見た時、シュントは秘かに勃起したのだ。

 多分あの時、シュントは苦しそうな女の子たちの、無理矢理作った笑顔に興奮した訳じゃないと思う(思いたい)。ここまで女の子たちに問答無用で無理を強いることが出来て、その意志や感情まで操縦してしまう、『双シン壱号』の威力と、それを操作している自分の持った力の強さを実感した時に、スリルの入り混じった興奮を覚えたのだと思う。

 操縦する相手のキャラに無いことをさせるほど、面白いとミツルが言っていたことにも、シュントが内心で同意していたのは、生徒指導の柿宮祥子先生をコミカルな正義のヒーローに仕立て上げた時のことだった。ブラックアウトボタンを押して無力化した、真面目を絵に描いたような女教師に、『貴方は学園の平和が危ういと思った時と、あと水曜の昼過ぎに、正義のヒーロー、「パンティー・レディー」に変身して、だらしない生徒たちを引き締めるのです』という指示を与えた。ミツルがわざわざデッサンした、コスチュームのイメージまで渡して、無表情の先生に設定を事細かに伝えておいた。あとは、ジワジワと、その指示が柿宮先生の内面で成長して、形を結ぶのを待っておく。かくして、翌週の水曜の3時半すぎ、週の真ん中、昼食後の生徒たちが眠くなる時間帯に、パンティー・レディーは現れた。柿宮先生が顧問をしている女子バスケ部のメンバーたちから寄付を募って縫い合わせた、それまでパンティーだった生地のパッチワークで出来た、ボディスーツ。ハイレッグで胸はギリギリ乳輪を隠すくらいの位置までしか体を覆ってくれない、その手作りコスチュームは、先生の体の線を隠すどころか、逆に強調するように伸びて素肌を透けさせていた。

「パンティーレディー登場っ。トウッ」

 と廊下の窓から教室の中に跳びこんで来た柿宮先生は、頭には自分のショーツを被っているが、顔は隠れていないので、正体は丸出し。それでも本人は正体不明の正義に味方だと、信じこんでいるようだった。ヨガのような決めポーズをいくつか披露したあとで、大真面目な顔で柿宮先生は、英語の授業中に乱入して、呆気にとられる生徒たちの中から、ノートに落書きなどしていた生徒を見つけ出すとオッパイやお尻で軽くビンタをした。

「パンティー・レディー・ソロウッ」

 体罰を与えた自分自身もまた、その悲しみとともに罰するという、ストイックな姿勢を示す。そう(覚えていないけれど)指示されていた、パンティー・レディーは、自分の身に着けている、薄い生地のパッチワークで出来たボディスーツを、腰部分から左右の手で思いっきり引っ張り上げ、アソコに生地を食いこませる。股間の割れ目まで、伸縮した生地は浮かび上がらせて、さらに足の付け根から腰骨を超えて脇腹あたりまで、肌が晒されてしまっていた。それこそが、パンティー・レディーが、緩やかな体罰と引き換えに自分をも罰する、正義の執行者としての痛みだった。

 いつもと変わらない真剣な表情で、異常な大立ち回りを繰り広げる柿宮先生の姿を見て、多くの生徒が、笑いを堪えられずにいた。シュントも、時間差で指令がきちんと実行された嬉しさと、思った以上にインパクトのあるその絵ヅラに、気がついたらツトムとハイタッチをしていた。ツトムが申し訳なさそうに笑っているのが印象的だった。普段の柿宮先生を悪い人だと思っている生徒は、きっとほとんどいないと思う。けれど、その全身にまとった「正しさと賢さ」は、意外とシュントやツトムにとってもプレッシャーだったようだ。だから、先生が真顔でド変態な自称ヒーローになりきって、皆の前で大恥をかいた時(先生はそのことにこれっぽっちも気づいていなくても)、皆は胸のすくような快感を味わってしまったようだ。シュントも、そしてツトムまでも。

「パンティー・レディー…………。さいっこうだな………」

 シュントは呟いたあと、教卓から刺さるような視線を感じて、ギクッとなる。もはや授業の継続どころではなくなっているが、もともとこの時間は英語の授業。教卓から目を丸くして口をパクパクさせながら視線を送ってきていたのは、英語担当の志堂早紀先生だった。シュントは少しだけ、嫌な予感を持った。

 そしてその予感は、翌日的中した。『双シン壱号』で操縦などしていないのに、シュントたちのクラスに木曜の昼下がり、「パンティ・レディー・ザ…グレート」という別のヒーローが乱入してきたからだ。衣装はほとんど同じで、顔は丸出しなので、志堂先生だとは誰にでもわかる。しかも、ブラックアウトボタンなどを使って意識の根っこに与えた指示に操られている訳ではないから、顔は真っ赤、動きも躊躇いとギコチなさで、まるでロボットキャラのようになっていた。

 シュントは心の中で、反省した。

。。。

「あのさ、この『双シン壱号』って、威力が強すぎて、時々、怖くならない? 俺、時々、ゾクッとすることがあるんだ。皆が余りにも簡単に思い通りに動きすぎて………」

 シュントが素直な気持ちを、あえて口に出してみると、すぐにツトムが頷いてくれた。

「いや、わかるよ。………僕も、だからこそ、ちゃんとこの機械の限界とか注意点とか、わかって使っていくんじゃないと、危ないって思ってるもん」

「ま……怖いっていうのは、大げさな気もすっけど、凄い装置には違いないよな」

 慎重派のツトムと、貪欲に遊びつくそうとするミツルの間で、シュントは、ウダウダ言いながらも、ミツルが提案する新たな悪戯に引っ張られるかたちで操縦機を使いこんでいく。学校の外でも、また『双シン壱号』の威力を試したくなってくる。

 オフィス街の人通りの多い道で、歩いているОLさんたちに、ちょっとした指示を発信してみる。

『ここを歩いている20代と30代の女の人たちは、自分の服の中や下着の中に、一番嫌いな虫が入りこんだと思いこみます。急いで服を脱いで裸になりましょう。人目なんか気にしている暇はありません。………全部脱いで30秒くらい服を確かめたら、虫がいたというのは自分の勘違いだったことに気がつきなさい。』

 指示を出してすぐに、道のあちこちから悲鳴が上がる。ランチに出かけていたOLさんグループや、同僚の男性と外回りをしている様子のお姉さん、颯爽とヒールを響かせて歩いていたキャリアウーマンらしき女の人などが、一斉に顔を歪めながら自分の着ていたものを剥ぎ取るように脱ぎ捨てていく。パンストも脱いで、振り回すようにして何かを払い落とそうとしているお姉さん。スカートとショーツを一気に下ろして、いきなり無防備な下半身を晒している銀行員のお姉さん。すでに裸になってしまっているので、普段どんな仕事をしているのかも、中学生男子のシュントには想像も出来ない状態の美人の女性。女の人たちがキャアキャア言いながら全裸になっていく横で、同僚のオジサンや通りがかりのお兄さんたちはただ、オロオロしたり、首を伸ばして周りをキョロキョロと見まわしているばかりだった。

「え………やだ………。何にもいない…………」

「うそ…………。イヤッ。こっち見ちゃ駄目ですっ」

 ちょっとすると、一人ずつ、女の人たちが我に返って、道端で全裸になっている自分に気づき、また別の悲鳴をあげる。昼食時のオフィス街が、ちょっとしたパニックになりかけていたので、そこは『双シン壱号』の操作で、全員に冷静な行動を申しつける。命令を発信してやっと、女の人たちは手早く服を着直していく。男の人たちは恥ずかしそうな女性たちを見ないようにしてあげるか、足早にその場から去って、先で待っているようにする。道行くほとんどが社会人というオフィス街で、シュントとツトムとミツルだけが、肩を揺すってクスクス笑っていた。

 駅と一体になった外資系ホテルはロビーが6階にある。ビュッフェを出したりするレストランでは、昼過ぎにはケーキバイキングを開催していた。見ていると如何にもお金にゆとりのありそうな若いマダムたちが、紅茶とケーキとお喋りを優雅に楽しんでいる。そうしたお上品で洗練された空間に入ると、悪ガキたちの悪戯心がまたくすぐられる。

『今すぐ、楽しいケーキ投げ合戦を始めよう。お客さんもウェイトレスさんもホテル職員のお姉さんたちも、皆で元気一杯に、ケーキをお互いの顔にぶつけあおう。』

 指示をだしてすぐ、ゆったりとしたテンポのピアノ曲が流れる以外には食器の音と上品な談笑だけが聞こえていたはずの優雅な空間に、突然アメリカンコメディのようなドタバタの、乱痴気騒ぎが始まる。ママ友も気の置けない同性の友人同士も関係ない、ウェイトレスとお客様の分け目も無視といった、アナーキーなケーキぶつけ合戦が始まると、レストランの厚い絨毯は生クリームの飛沫にまみれる。控えめな物腰をしていた新人ウェイトレスさんが、先輩の顔に思いっきりショートケーキをぶつける。近くの席に座っていた美人妻が、食べかけのチョコレートケーキを、その新人ウェイトレスさんの顔にぶつける。友達同士で投げ合ったケーキが的を外れて別のお客さんにぶつかったりと、ケーキ投げ合戦は収集がつかないくらいに盛り上がり始める。顔中クリームだらけになったお姉さんも、高そうな着物にフルーツタルトがぶちまけられたマダムも、皆、楽しそうにハシャいで、テーブルに並べられたケーキのストックを次々と手にしてはお互いにぶつけあう。顔に押しつけ合う。近くにいる人たちに順番に、襟元から服と背中の間にプリンを流し込んでいく、通り魔のような若奥様もいる。巻き添えをくらって、ミツルの顔にまでケーキが当たったのを見て、シュントとツトムはお腹を抱えて笑い転げた。

『もうそろそろ、ケーキのストックも無くなったみたいだから、後片付けをしよう。皆、お互いの顔に着いたケーキやそこらへんに散らばったクリームを、自分のベロで直接舐めとって、綺麗にしよう。舐めたり舐められたりしているうちに、どんどん興奮してくるよ。君たちは今から30分間、歯止めの効かない発情中のレズビアンになって、今の命令を実行しなさい。』

 指示を出すと、乱闘騒ぎのようになっていた、ケーキ投げ合戦の現場には、急にアダルトでムーディな空気が充満し始める。大人の女の人たちが、少し顔を赤らめながら舌を伸ばして、お互いの顔に着いた生クリームや抹茶クリーム、チョコやタルトのシロップを、ペチャペチャと舐め合い始める。ペアになれなかった人は這いつくばって絨毯に舌を伸ばしたりしている。くぐもった吐息やクスクス笑い合う声、明らかに怪しい雰囲気が蔓延し始めた。相手の顔を両手で抱えるようにして、鼻の頭から額の生え際まで熱心に舐めるお姉さん。舐められている奥様は熱い吐息を漏らしながら呆けている。レズのお姉様たちが舐め合い、密着して脱がし合いお互いの体を慈しみ合う、昼下がりの戯れ。その濃厚な空気にあてられたような中学生の悪ガキ3人が、モヤモヤを抱えたままホテルのロビーを後にした。『今日の午後に起きたことは気にしない、問題にもしない』と、出来るだけ広い範囲に指示を出してからホテルを出た。こうした場所には防犯カメラが設置してあったりするので、この場にいる人たちだけに『笑って許す』指示を出していても、時間差で別の偉い人が騒いだりしかねない。だから念を入れて、バックオフィスにまでこうした指示を行き渡らせておく必要がある………。ツトムの視点は的確で、こうしたアドバイスは、とても役に立った。彼なりに、『双シン壱号』の実験の仕方について、色々とシミュレーションを頭の中で繰り返しているのだろう。ミツルが、「ツトムは結構な部分で俺よりムッツリ」と言うのは、こういうところについての指摘なのかもしれない。

。。。

 そのツトムだが、いつも家に帰ると彼は机の上に置いた『双シン壱号』と向き合って、これまでにシュントたち悪ガキトリオが試していない機能がないかと色々試してくれる。ある時は嬉しそうに、「双シン壱号」と、黒いビニールでカバーされた銅線を持ってシュントとミツルの前に現れた。

「この横側についてる穴。IN/OUTって、やっと使い道がわかった。この操縦機、本当に無骨なんだかデザイン性重視なんだか、わかんないところがあって、ずっと側面のスイッチとここの穴が謎だったんだけど、こうやって銅線繋ぐと、何ていうか『呪いの人形』みたいな使い方が出来るんだよ」

「呪いの人形………」

 ツトムの言葉が妙に禍々しくて、思わずシュントとミツルは顔を見合わせていた。そんな2人を置いていくように、ツトムは鼻歌交じりに作業を始める。IN/OUTの端子穴から銅線を引っ張って、どこから調達してきたのか、バービー人形の右手と左手を、赤い銅線の先端で結んだ。

「こうすると、すっごい弱い電気が人形に流れる。その電気の流れの抵抗反応が、『双シン壱号』の操作指示として発信されるってこと。………わかんないかな? ………わかんないよね………。だから、見せるよ………。ほら、ミツル。こうだ」

 操作盤のツマミを弄ってミツルのいるあたりに範囲を限定したツトムが、バービー人形にバンザイのポーズをとらせる。するとミツルが、両手をスッと上にあげて高々と伸ばした。ツトムがバービー人形の脇の下のあたりをくすぐると、ミツルが笑い転げる。バンザイのポーズで笑いながら転がる天パのポッチャリ男子を見ていても、嬉しいことはなかったが、その一連の光景はシュントの顔を輝かせた。

「あっ………『呪いの人形』ってそういう意味か。………別に、誰かを呪って痛めつけるとかじゃなくて、こうやって動きを操れるっていうことね?」

 シュントが言うと、ツトムは興奮を隠さずに答える。

「動きだけじゃないよ。今見たでしょ? ………感触とか感覚も………。いや、ここのスイッチ、全部見てよ。『a、s、e、p』 って、スイッチの上に表示があるでしょ? これ、多分、『a』はアクション。動きが操れる。『s』はセンスかな? 感覚を操れる。今、こうやって人形をバンザイさせたり、くすぐったりしたら、そのまま動きとか感覚とかがミツルに伝わったでしょ?」

 ツトムは『双シン壱号』の右側面にある端子穴から伸びている銅線と、その上にある4つのスイッチを見せる。たしかに『a』と『s』のスイッチが上を向いていて、アルファベットが赤く光っている。そこから銅線で繋がれた人形の両足をツトムがバタバタさせたり、足の裏をくすぐったりするたびに、ミツルが同じ足の動きを見せたり、意外にも可愛らしい笑い声を出す。

「キャハハハッ。もういいよっ。やめてくれ~っ」

 ミツルがまだ笑い転げている。笑うたびに、ポチャッとしたお腹がブルブル震える。やはり見ていて特をしない光景だった。

「で、残りの、『e』と『p』は、何なのさ?」

 シュントが尋ねると、ツトムは腕組みする。

「操れるものの種類っていう意味でいうと、普通この流れで言ったら、エモーションと、パーソナリティなんじゃないかと思うんだけど。………でも、人形に感情とか、性格とかないからなぁ………。………となると、人形以外のもので試すしかないよね」

 微弱な電気を流すというのが心配で、シュントとツトムがお互いの顔を見合わせる。………エロや悪戯のために、自分の身の危険を一切省みない奴でも近くにいれば、そいつにこのバービー人形の変りを頼むのがベストだと思うのだけれど………。視線を交わし合ったシュントとツトムは、ゆっくりとその視点を、床で幸せそうに笑い転げている、小太りで天然パーマの友人へと下ろしていた。

 最近では、10回に8回は突然何かの都合に巻き込まれたり振り回されたりして、ゆっくり過ごしきることが出来ない、サヤカの部屋でのヒトミやカナエとのまったりしたお喋りの時間。今日も突然、雷に打たれたような衝撃を頭の中に受けて、ベッドの端やクッションのもたれかかっていた3人のお姉さんたちは跳ね上がるようにして飛び起きていた。頭の中で、突然ミディアムテンポの楽器演奏が始まったからだ。近未来的なシンセの音と、アップビードで生っぽいドラム音。腰に突き上げてくるようなベースの重低音。サヤカとヒトミとカナエは、お互いの顔を不安そうに見合わせていたかと思うと、急に顔をクシャクシャにして「ウーワオッ!」とグルーヴィーに叫んだ。腰をクネクネと動かしながら手で腰の前で棒状のものを握るような不穏な形を作って、腰を突き出す3人の美人のお姉さん。恥ずかしそうにしながらも、気持ち良さに戸惑っているような表情。気がつくと上着が部屋の天井付近まで飛び上がっていた。

「ミツル、あんまり激しく動くと銅線外れちゃうから、気をつけてよ」

 ツトムが心配そうに声をかけると、ミツルはノリノリで踊りながら頭を上下させる。頷きと踊りが一繋ぎになっているようだ。妙に踊れるこのデブが気持ち悪いが、その反応がサヤカお姉さんたちにも如実に表れているのが、見ていて面白い。

「ツトム、ちょっとこのへんのスイッチ弄らせてね」

 シュントは2つの端子穴から2本の銅線が出ている、操縦機の側面にあるスイッチをパチパチと、上に向けたり下に向けたりして、DJがターンテーブルや音響装置を弄るように、曲にノリながら『双シン壱号』を操作する。するとその効果が、部屋の中でドタバタと踊っているお姉さんたちに次々と現れる。銅線の先端を巻き付けたクリップを右と左の耳たぶに付けたまま、妙に器用に踊るミツル。操縦機横の「エモーション」をオンにすると、戸惑うように踊っているお姉さんたちの表情が、ミツルとそっくりに、心底音楽のバイブレーションを楽しんでいるようなものへ変化する。眉間に皺を寄せて目を閉じて、唇を切なそうにすぼめている表情が、ミツルと重なってしまって少し腹が立ってくる表情だが、とにかく楽しそうだ。そして「アクション」のスイッチを切ってみると、これまで動きがパシッと全員揃っていたお姉さんたちが、糸の切れた操り人形のようになって、急に呆然と立ち尽くす。それでもリズムに乗って踊りたい気持ちはまだ同調されたままなので、それぞれが微妙に体を揺らしている。股間の前で棒状のものをしごくような手つきをしていた左手を、その筒状に空間を握った形のままで顔の前に持ってきたヒトミさんが、なぜ自分の手がそんな動きをしていたのか解せなくて、首を傾げながら体を揺すっている。サヤカさんもカナエさんも、中途半端に下ろしていたジーンズやスカートを、おずおずと腰の位置まで引っ張り上げる。けれど、シュントが「アクション」もスイッチONにして同調させると、またすぐに派手に踊り出して、服ははだけていく。「アクション」も「センス」オフにしてしまうと、頭の中で流れていた、ミツルがヘッドホンで聴いているAOR的R&Bファンクも突然聞こえなくなって、体も自由になったお姉さんたちが、ただ踊りたい気持ちだけ抱えさせられて、お互いの顔を見ながら、まだ微妙に体を動かしていたりする。動き、感覚、感情、性格。全部のスイッチを同調ONにしすると、部屋中狭しと踊り狂い、脱ぎ捨てて、卑猥な動きもしながら楽しむお姉さんたち、なぜか彼女たちの動きと表情から、ミツル本人を思い出さされてしまうのが、変な気分だった。

 変な気分と言えば、ミツルが踊りながらオナニーを始めた時、サヤカさんもカナエさんもヒトミさんも、お尻をプリプリ振りながら、男のオナニーの動きを始めた。そこで、サヤカさんが一瞬、丸くした目を2、3回瞬きさせて、時間が止まったかのような微妙な表情を見せた瞬間があった。サヤカさんは不思議そうな顔のまま、ブルブルっと背筋から震えたようにアゴを上げる。手の動きを見ていると、無防備な下半身の前、何もない空間を手で掴むようにしていた指先が、その瞬間はそっと、根元の方まで筒状のものを捲り上げるような仕草をしていた。ミツルが、仮性包茎のオチンチンの、余っている包皮の部分をめくって、亀頭をプリンっと外気へ触れさせたタイミングだったのだ。センスの同調を示す、『s』のスイッチがちゃんとONになっていたことも確認する。シュントは少しだけ、ほんの少しだけ、妙な興奮を覚えていた。さっきのサヤカお姉さんの表情は、彼女が人生で初めて感じた、『自分のオチンチンの皮を剥いて、敏感な亀頭が外気に触れた』感触に対しての反応だったのだ。たぶん『双シン壱号』で操縦されるなんていう目に会わなければ、女性に生まれて、一生感じることはなかった感覚だろう。今、彼女は下半身を突っ張るようにしながら、リズムに合わせてオチンチンの裏筋を撫でさする感触と、溢れ出そうな精液を押し留める緊張感との責めぎあいのなかで、ブリッジくらい背筋を反らせて、片手で頭を抱えて、持ちこたえている、よがっている。まだリズムに乗って体をクネらせている。それはミツルのおバカなオナニーを無理矢理同調させられているだけなのだが、清楚で美人のサヤカお姉さんが、無理矢理オトコの射精の感覚を押しつけられて、踊りながらシコっている、人生初めての男の射精寸前のクライマックス感を味わわされているのだと思うと、シュントはやはり説明が難しい興奮を覚えてしまっていた。

「うぉぉっ」

 低めの声が3つ重なって、全裸のお姉さんたちはサヤカさんの部屋で果てた。ふとシュントが嫌な予感を感じて、右隣を見てみる。するとミツルは肩で息をしながら背中を壁にもたれかけている。廊下の反対側の壁には白い精液がベットリとついていた。

「お前、いい加減にしろよっ。人んちだぞっ」

 ツトムが天然パーマの頭をはたく。

「イテッ………………。………スマン、スマン……」

 部屋の中から、3人のお姉さんの声が同時に聞こえる。中を覗き込むと、肩で息をしながら立ち尽くしていた全裸の美人さんたちが、頭を抑えながら、居心地悪そうな表情で後頭部をポリポリと? いていた。

。。。

 同調用の接続端子口から銅線を繋ぐと、単純なスイッチ操作やツマミの調整や、ハンドマイクを経由した言葉での指令発信よりももっと複雑な動きや感触、気分を発信できることがわかったシュントたちの悪ふざけはさらに加速した。

 朝の全校朝礼の厳粛な雰囲気の中、ミツルがニヤニヤしながら『双シン壱号』を担ぎ出す。3人で校庭の脇に生えている銀杏の木の陰に隠れた。『僕らにぶつかったりしないが、無関心になる』と全校中の生徒・教師に指令をかけたのだが、余りにも大それた悪戯をしようと言う時には、敢えて身を隠して操縦したくなる。リュックの中から恭しい手つきでミツルが出して来たのは、筒状になっている大人の玩具。「TENGA」と言われるとシュントやツトムでも聞いたことくらいはある代物だ(中学生であるミツルが持っていることには若干ドン引きしているが)。。。その大人の玩具の両端を銅線で留めると、ズボンから自分のモノ(昨日と同じ、仮性包茎だった)を筒の中に入れる。ニヤニヤしながら全校生徒の反応を待った。……………しばらく待っても、何も起こらなかった。

「………おい、ツトム。…………双シン壱号のトラブルじゃないか? ………何も起こらんぞ」

「…………………ミツル………。………あの、わかってると思ってたから、黙って見てたんだけど………。プラスチックもゴムも、絶縁体なんだけど、理解出来てる?」

「…………………」

 ミツルは無言で、ツトムの顔をマジマジと見ていた。校庭で股間に大人の玩具を装着している人物とは思えないくらい、真顔でツトムを真っ直ぐ見ていた。

「知らん。……………親に絶縁される覚悟なら、持ってきたけど。そのせいか?」

「ミツルはしばらく、黙ってて。………ツトム、あの、確かに俺もその点、うっかり見過ごしてたんだけど、………だって、昨日のバービー人形もプラスチックかゴムか何かでできてるよね? ………あの時は、なぜかうまく通電出来てたと思うんだけど、何か、カラクリがあるの?」

 シュントがそこまで言うと、ツトムがようやく笑顔を見せる。

「ま、カラクリってほどのものでもないんだけど、…………こうしてます」

 シュントが鞄から霧吹きを取り出して、ミツルの腰のあたりに、プシューッと吹きつける。冷たかったのか、ミツルが小さく「おぅ」と声を出した。嫌ではなさそうだ。

「表面だけじゃなくて、内部にも吹きかけるから、いっぺんその仮性包茎を抜いてよ。………こうやって、全面に、うっすらと水を吹きかけておくと、ちゃんと通電するんだ。…………この程度の工夫は、シミュレーションの段階でやってたよ。昨日の人形も、ちょっと湿ってたでしょ?」

「…………確かにこうすると、微妙に、ピリピリ感じる………。さっきより良いかもしれんな………」

 シュントとツトムは、ミツルの呟きを無視して、操縦機を操作し始める。朝礼の途中、全校生徒たちに制服の着方をアレンジしないようにと、注意を述べていた、生徒指導の来島先生の言葉が、ピタッと止まる。制服の女子生徒たちも、急に腰が浮いたような動きを見せて、5センチくらい背伸びした。

「………良いよ………。TENGAの内部と、学校中の女性のアソコの感覚が、ちゃんと同調してるみたいだ」

 ツトムは嬉しそうにシュントに報告してくれる。ツトムたちのクラスメイトや好みの女の子、好きな先生も含めて、みんながアソコにミツルのオチンチンを突っ込まれた感触を見せるというのは、それほど嬉しいことでもないはずなのだが、ツトムはいつも、こうして『双シン壱号』が想定通りの効果を生むと、嬉しそうな表情を見せる。

「じゃぁ、頑張ってみよう…………。………それっ………」

「……アッ……………ゥウンッ」

 マイクが先生のくぐもった声を拾う。困ったような顔をして両手で下腹部を押さえながら、周囲を見回す来島先生。困惑しながらも、腰がゆっくり上下する。その動きは、ミツルがピストンしているリズムとちゃんと一致している。生徒たちの横で一列に並んでいる先生たちの間でも、女性の先生たちは恥ずかしそうに腰を動かしながら、体をクネらせている。生徒たちの表情を見てみると、明らかに何の感触か理解して恥ずかしがっている子と、全く理解出来ない、人生初の感触に戸惑っているような子と、2種類がいた。

「銅線が二股に分かれてるタイプも持って来たから、こっちを繋ぎなおそう。ミツルの側の感触も、男子に発信してみようよ」

 ツトムがキラキラした表情で提案する。朝礼の途中でTENGAでオナッている感覚に襲われて、うっかり射精してしまう男の先生の様子を想像して、シュントも笑いを漏らしてしまった。

「これで………良いのかな? …………ちょっと、設定複雑になるかも…………。ま、大体でいっか?」

 ツトムがブツブツ言いながら、二股銅線を繋ぎなおす。ミツルの耳たぶがまた、銅線が繋がれたクリップで挟まれる。今度は男子生徒や男の先生たちにも、反応が出る。………けれど、シュントやツトムの想定とは少し違っていた。男子生徒たちは腰をグライドさせて、気持ち良さそうな表情も見せる。けれど、それだけではなくて、女子たちと同じように、下腹部をおさえるような素振りをしながら切なそうに首を左右に振ったりもする。女子たちも同じだ。時々、自分の腰を突き立てるように押し出す。その動きには、男女の差があまり見て取れなかった。

「………あれ? …………うまく、対象と設定を分けて発信出来てないかもしれない………。これ、皆、チ〇コをTENGAに突っ込む感覚と、マ〇コにチ〇コが入ってくる感覚が、両方届いちゃってるのかもしれない………」

 ツトムが頭をポリポリと? く。ミツルは、校庭で道具を使って抜いているという喜びのせいで、腰と手の動きがドンドン激しさを増していく。こうなった時のコイツは、シュントやツトムには止められない。そして全校生徒と先生たちはというと、自分が持っていないはずの異性のアソコまで急についてしまって、それが結合しているという感覚に襲われているために、もう誰も朝礼のことなど気にしていられなくなっていた。皆、両手で頭を抱えたり、指を噛んだり、自分の胸を握りしめたりと、それぞれの方法で襲い来る快感に耐えながら、身を捩り、クネらせながら喘いでいる。

「………なんかもう、こうなると、収拾つかない感じがするんだけど、途中で止める?」

「いや………もう、ここまで来たら、皆に最後イクとこまでいってもらおう。………そのあとで、記憶を弄った方が、収まりが良くなると思う」

 シュントとツトムが不安そうに顔を見合わせながらも頷き合う。そうこうしている間にも、彼らの隣では天パのポッチャリ男子が、そして校庭の中央では全校生徒と先生たち全員が、背中を反らして青空に顔を向けて、絶頂を迎えるのだった。

 腰が抜けたように、折り重なって地面に倒れこんで、エクスタシーの余韻に浸っている、全校生徒と教諭たち。時々、ピクピクっと体が痙攣する他は、みんな幸せそうに眠っているようにも見える。シュントとツトムは、操縦の範囲をさらに広げて、『さっきの出来事や喘ぎ声は気にしない』と指示を発信する準備をしている。学校の敷地の外にも全校の生徒、教諭の歓喜の喘ぎ声が響き渡ったはずだ。事後処理には念を入れる必要がありそうだった。

「………ま………、こういう効果もあることがわかったってことで…………」

 シュントが言い訳めいた感想を漏らすと、ツトムもあいまいに頷く。

「…………うぉ………もう一搾り…………。んんっ…………」

 気持ち良さそうに校庭に寝そべっていたミツルが、もう一度腰を浮かして、背筋でアーチを作って、腰を振ると、ピュピュッと、最後の一滴、名残を惜しむような様子で、薄い精液が、ちょっとだけ跳ねた。シュントが木陰から全校生徒を見ると、寝そべっている男子も女子も先生たちも、ミツルと同じような体勢で、またクイクイッと腰を振って、何かを搾り出しているようだった。シュントの隣でツトムが溜息をつく。後始末はやはり、長くかかりそうだった。

 せっかくの機会なので、朝礼の途中でイったまま放心している全校生徒と先生たちを、起こして後始末をさせている間に、シュントとツトムで10人くらい適当にピックアップして、個人的に聞き込みをする。ブラックアウトボタンを使うと、何でも正直に、そして正確に回答してくれるようになる。彼らは無表情でシュントたちの情報収集に協力してくれた。

 聞き込み調査をした10人のうち3人が若めの女の先生で、残り7人が生徒。そのうち3人が男子だった。全員、朝礼の途中で「自分のオチンチンがオナニー中」という感触も得たし、「おマ〇コにも何か固いモノが挿入されている」と感じて、興奮を覚えて、やがてイってしまっていた。女子生徒のうち3人はヴァージンだったので、これがどんな感触なのか、良く理解出来ないでいたけれど、それでも強い快感で発情させられていた。「自分のオチンチンが自分のおマ〇コに入っている」と感じたのは全体のうちちょうど半分の5名。それ以外の5名も含めて、全員が自分から見て異性の性器も自分に付いていると感じて、混乱しながら果てていた。全体のうち4人は体感したことのなかった快感も合わせて襲ってきたので、体が混乱したのか、イク瞬間にオシッコも少し漏らしてしまっていた。

 全員に『朝礼中にあったことは忘れる』と指示して、その場は収めたのだが、ツトムはきちんと観察を続けていたようで、あとからシュントに教えてくれた。その週の終わりに、「持ち物検査」があったのだが、シュントたちのクラスでは、これまでになかったくらい、「アダルト同人誌」を学校に持ち込んでいた生徒が多く引っかかったらしい。(シュントはその抜き打ちテストがあった時、たまたま上級生のお姉様たちと保健室で『お医者さんごっこ』に興じていたので、気づかなかった) 普通だったら考えられないような真面目な生徒や素行の穏やかなお嬢様も、「ふたなり系」というジャンルの同人コミックなどを持ちあるいていたそうだ。先生に「誰がこんなもの薦めたの?」と聞くと、生徒たちは申し訳なさそうに、御厨さんの方をチラッと見た。御厨さんはその時も、運動場の方を毅然とした表情で眺めていたそうだった。

「多分、これも朝礼の時に男女のオナニー感覚が混戦したまま同調させられた、副作用だと思うんだ。ちゃんと、ケアしておかないと、みんな、変な方向に目覚めちゃう………」

 ツトムの忠告に従って、シュントは翌週の全校朝礼のタイミングでみんなを『ブラックアウト』させて、性癖が歪まないように念入りに指示を与えた。

 副作用………というほどのことでもないかもしれないけれど、シュントにも一つ、気がついたことがあった。先週以来、サヤカさんやカナエさん、ヒトミさんのフェラチオの腕前がグッと上がっていた。特にサヤカさんとヒトミさんの以前のフェラは、一生懸命さは感じるけれど、シュントがどうされるとより気持ち良いのか、きちんと理解出来ていないような雰囲気の、ぎこちなさと初々しさの残るものだった。それが先週以来、みるみるとツボを押さえた舌遣いが出来るようになっていた。

「…………なんとなく………、ご主人様がどうされると、気持ちが良いのか、わかるような気がするんです。だんだん、セックスメイドとして、一人前に近づいてきたのかもしれません」

 その時は『自分が従順で素直なセックスメイドだったことを思い出しなさい』という指示を与えていたので、サヤカさんの受け答えも、メイドさん口調になっている。ヴェール地の白い手袋をつけた両手のひらで頬を包みながら、サヤカさんは恥ずかしそうに、けれど不思議そうに、そしてどこか嬉しそうに、そう答えた。

 どうしてサヤカさんも、ヒトミさんも、急にフェラの精度が上がったのか、シュントには大体想像がついた。一度、サヤカお姉さんたち本人が、自分の体に『自分のオチンチンが突然生えて、どこがどう気持ち良いのか』を無理矢理、体で理解させられたような体験が、つい最近あったからだ。。。

。。。

 そんなわけで、『双シン壱号』の同調機能をシュントたちが使いこなせるようになるまでには、色々な試行錯誤があった。それも、遊びやエッチな悪戯を絡めて色々と試したり調べたりしていくうちに、かなりのスピードで理解が進んでいく。要は同調させたい動きや感触、感情や性格を発信中にも、細かくハンドマイクで「この感覚はこういう人だけに共有します」と指示を加えていくことで、意図した現象が高い精度で実現できるようになる、ということだ。それがわかってくると、学校や家以外の場所で、多様なメンバーで構成されている集団を複雑な指示と設定で操ることも出来るようになってきた。

 駅前のロータリーで、売り出し中のアイドルユニットが小規模なライブをやっていた日、シュントとツトムとミツルは『双シン壱号』を持ってその場に通りかかった。アイドルたちにとっては運の悪いことに、ミツルはリュックの中に相棒のTENGAを持っていた。新曲のプロモーションのために歌って踊っている間、急にステージ上の彼女たちの股間に、異物がニュルっと入ってきたような気がして、思わず足が止まる。けれどリーダーの気丈な合図で、皆で頑張って歌を再開。心配そうに見守っていた最前列のオタたちも、再び激しく踊り出す。それでもミツルが腰を振るたびに、新人アイドルたちは腰を切なそうにクネらせて、歌声も時々裏返えってしまう。マイクには熱い吐息と細い喘ぎ声が入り混じる。それでも顔を真っ赤にしながら、歌いきるアイドルたち。シュントは彼女たちの努力とプロ意識に、かすかな尊敬の念を覚えた。

「今日はなんだか、いつもよりもファンの皆さんと深く繋がることが出来た気がしますっ。ありがとうございましたっ!」

 内膝を擦り合わせるようにモジモジしながらも、顔は元気一杯の笑顔でお辞儀をするリーダー。アドリブ混じりの彼女の言葉を聞いて、ステージを見上げるミツルが、ニヤッとした。シュントとツトムは、つい一生懸命な彼女たちの、ファンになりそうになっていた。

 同じ駅前のロータリーに、別の日には選挙カーが並んでいて、沢山の幟がたち、支援者の輪が出来ていた。シュントがイメージする選挙演説というのは、オジサンとかオジイサンの候補者がマイクで難しい話をしているというものだったけれど、最近の選挙では「広告塔」というのか「選挙の顔」というのか、思ったよりも若めで見栄えもする、女の人が喋っていた。「選挙」というようなお堅い話題を聞くと、中学男子たちはどうしても、悪戯心を刺激されてしまう。綺麗めの女の人の応援演説が終わらないうちに、急いで近くのコンビニで、「仕込み」を買ってきた。

 チュッパチャップス3つそれぞれ、白い棒を銅線クリップ2つで挟む。『この3つの飴が、お姉さんの両乳首とクリトリスです』とハンドマイク経由で指定して、3人でペロペロ舐める。美貌で有名な政治学者の先生らしいけれど、演説の途中から、呂律が回らなくなって、表情が緩んでくる。真面目な顔をした学者のお姉さんが、真面目な話を続けようとしながら、時々、両肩や内腿をビクッと震えさせているところは、なかなか色っぽかった。コンビニの子供の玩具コーナーにあった着せ替え人形を銅線で接続して、アクションを同調させると、凄く真面目な話題を、次々と面白いポーズを決めながら話してくれた。Y字バランスの体勢で社会福祉について話している間、ずっとパンスト越しに紫のショーツが支持者たちに丸出しになっていた。ヘッドホンでデスメタルを聴き始めたミツルの耳に銅線クリップを挟んで、エモーションを同調すると、国際協調の重要性を語っていた途中から、その学者さんはヘッドバンギングを始めて、最後には支援している候補者への清き一票を訴えた後で、親指で自分の首を掻っ切るようなジェスチャーをしながらベロを突き出していた。

「なんか取材の人も来てるみたいだから、あんまりふざけちゃ、まずいよ。録画とか録音されたモノには指示とか載せられないんだから………」

 調子に乗って、両手の中指を突き立ててベロを左右に振っているミツルに、ツトムが注意をする。確かに、この先生はどうも、なかなか有名な美人政治学者らしいし、記録が残っていると迷惑がかかると思ったシュントは、操縦機でフォローしておくことにした。でもどうせなら、「記事にはしようがない」ような事態にしておいた上で、皆の記憶を押さえつけたり、記録をボツにさせた方が、面白いかもしれない………。そう思ったシュントは、近くを歩いていたお母さんと幼児の男の子に協力してもらうことにした。ミツルの頭からヘッドホンを奪い取ると、サブスク曲の中から児童向けの童謡というかお遊戯の歌を適当に選び出す。操縦機を使って全面協力の了解を得たシュントが、まだ幼稚園に入ったばかりくらいの男の子の耳にヘッドホンを被せさせてもらう。陽気なお遊戯の曲が流れ始めると、『楽しくお遊戯に協力』することを従順に受け入れてくれている若いママが、サイズの合わないヘッドホンから漏れてくる曲にあわせて、即興で振り付けをしてくれる。男の子は嬉しそうに、一緒になって踊る。その、屈託のない、無垢なエモーションを、銅線で繋いで駅前広場全体に伝播させてもらった。

 選挙の応援演説途中から斬新なポーズで政治を語り切った美人学者さんも、隣で強張った笑顔で見守っていた候補者のオジサンも、その奥様も、選挙カーの下で聴いていた支援者の人たちも、その思想に反対してデモをしようとしていた若い市民活動家の人たちも、そしてその数倍いる、駅前を歩いているだけの若者たちも、皆、とっても平和な表情になってお遊戯を身振り、手振り合わせて踊る。「クマの子が見ていたところ、かくれんぼが進行していたらしいが、審査基準が特殊だったのか、かくれんぼの参加者たちがお尻を出してでんぐり返りをした」、といった内容の歌だった。笑顔の大人たちがズボンやスカート、下着を降ろしてデングリ返りを繰り返したり、肩を組んで左右に揺れたり、罪のない歌詞をそのまま再現したような、幸せで少しカオスな光景が、駅前の広場全体に広がっていった。

「だから………。このへんは一杯、防犯カメラとか設置されてるから、冗談で済む範囲にしようって、毎回言ってるのに…………」

「ここにいる全員が、納得済みのフラッシュモブだったって信じこんだら、誤魔化しきれるんじゃない? 記録が残るものは切っておこうって、指示も出してる訳だしさ………」

「そうそう………。お尻を出した子一等賞だけだと、不公平かもしれないから、オッパイを出した子にも敢闘賞を上げよう。ちょっとハンドマイク貸して」

「ミツルはこういう場所で、マイクから指示出しちゃ駄目っ。絶対、調子に乗るから」

 心配性のツトムはアレコレと先回りをして慎重に振舞おうとするけれど、シュントは最近、『双シン壱号』を弄り始めると、ついつい、ミツルの悪ふざけの方に流されがちだ。駅前の防犯カメラはこの地域だけで管理されている訳ではないようで、これまでに何度か、駅前交番とは違う場所からのパトカーがロータリーへやってきたことがある。そう考えると、今回も早めに切り上げた方が良さそうだった。

「今、この辺りに、カメラに映っているものをチェックしている人がいる場合は、その人も指示が届く範囲内に収めちゃえば、誤魔化し可能。あとここにあるカメラとかマイクが、録画・録音専門なら、この近くにいる、その機会を操作できる人に、録画停止を指示すれば、多分大丈夫。けど、僕らの操縦機の指示が届かない場所に、リアルタイムで映像が送られて監視されてたら、僕らの装置では対策しようがないんだよ。今のところ、問題になってないのは、たまたまラッキーだったっていうだけかもしれないよね? 長く実験したり遊んだりするためにも、駅前とか、カメラがありそうな場所では、用心に越したことはないんだよ」

 ツトムがブツブツと文句を言う。ミツルに対して愚痴っているような体裁だったけれど、本当はツトムは、シュントに言いたかったのだろうと思う。ミツルは最初からずっとこんな感じだ。けれど、最近、ブレているのは、シュントなのだと、自分でも少し思う。だから、ツトムのお説教が、ちょっと耳に痛かった。

「なんか、そういうカメラとか、うまく理由つけて、全部故障させるような方法はないのかな~? あとは、カメラの映像が送られる先まで行って、そっちの担当者を根こそぎ支配しちゃうとか………。………この、監視カメラとか、赤の他人の録画機械とか、こういうものの邪魔さえ潰すことが出来たら、本当に俺たちの好き勝手に出来るのにな。………なぁ、シュント?」

 ミツルは反省の色も見せずに、シュントに同意を求めてくる。けれど、シュントはそこで、簡単に「うん」とは言いにくい気持ちも持っていた。確かに、監視カメラの存在は邪魔だ。ミツルの言う通りだ。そしてその存在に注意をして、長く遊べるよう、慎重さも維持しなければならない。ツトムの言う通りでもある。

 そして同時に、シュントは、別の思いもボンヤリと頭の中に思い浮かべていた。今でもずいぶん、「まともじゃない」遊び方が増えている、僕たち3人は、もしこの監視カメラとかそれ以外にも、邪魔をするものが一切なくなったら、今のままの3人でいられるのだろうか? …………と。

。。。

「で………、シュントは誰にするの?」

「うーん………と………、4階の、向かって右から3番目と、…………2階の、右から6番目かな?」

「あ…………。かぶった…………。やっぱり、シュント、2階の6番選びそうな気がしたんだよね……………。じゃ、良いよ。僕は4階の一番右と、3階の右から5番目にするから。……………ミツルは?」

「5階の2番も捨てがたいけど…………。いや、1階の4番目と5番目。『お隣さん同士を』っていうシチュエーションを買って、ここのペアにするわ」

 シュントの家から歩いて15分くらいの場所にある、アパートやマンションが建ち並ぶ一角。あるアパートの屋上に『双シン壱号』と双眼鏡3つを持って集まった3人は、そのアパートの向かいに建った新しめの建物のベランダを双眼鏡で覗きこんでいた。目の前の建物は女子大生の寮。近所の音楽大学に通っている、地方出身の大学生さんたちが多く住んでいる女子寮だった。この周辺を指令の伝播範囲に設定して、『双シン壱号』を使って操縦する。

『寮の中にいる女の人たちは、一度、考えることを止めて、ベランダで直立しなさい。』

『服を全部脱いで、裸になったら、ベランダの手すりにオッパイを載せて、また「気をつけ」の姿勢に戻って待機しなさい。』

 と指示を出したら、夜の女子寮からは次々とベランダに、お姉さんたちが出て来て、ボーっと立ち尽くす。Tシャツやラフな服装、あるいはファンシーでモコモコした可愛い部屋着など、それぞれの服をスルスルと脱いで、下着もベランダの床に落として、全裸で直立不動になる。『オッパイを手すりに載せて「気をつけ」』という指示に従うために、背伸びしたり、腰を曲げているお姉さんがいる他は、女子寮の各部屋のお姉さんが皆、無表情の顔をこちらに向けて、オッパイを手すりでアピールするように持ち上げて、「気をつけ」の姿勢で待機している。そんな、名前も知らないお姉さんたちを双眼鏡で1人ずつ確認して、今日、相手をしてもらう人を2人ずつ、選ぶ。彼女たちの部屋のベッドの上でも、狭そうなユニットバスででも、なんならベランダでヤッても良い。

『これから部屋の位置で、僕らのチョイスを伝えるから、自分が選ばれたかもしれないと思った人は右手を上げてください。今夜は僕たち3人の命令にはどんなことでも絶対服従してください。』

 ツトムが、3人の選択、合計6人分の部屋の位置を伝えると、女子大生さんたちは自分で判断して右手を上げる。2人くらいに、「向かって右から〇番目」という指示が誤解されて伝わったようで、ツトムが丁寧に確認をしていた。

『今回選ばれなかったお姉さんたちは、俺らが良いと言うまで、そのポジション、その姿勢をキープしていてください。』

 ミツルがまた、余計な指示を出す。このへん一帯に、『普段と違うことに気づかない』と指示を出しているので、よほど騒ぎなどにはならないと思うが………。シュントはツトムの視線を感じたので、肩をすくめながら、アパートの階段を降りて、道路へ歩き出た。

 女子寮の各ベランダから全裸のお姉さんたちが直立不動で前を向いて待機している景色は、なかなかシュールなものだ。月明りや街灯に照らされる、黒髪のお姉さんたちの白い裸は、女子寮に近づいていくにつれて、よりはっきり見えてくる。様々な大きさのオッパイが、手すりにのっかって、アピールされていた。

 シュントとツトム、ミツルの3人を、後ろから追い越していく自転車がある。学習塾帰りといった様子の、男子高校生が2台の自転車で連れ立って帰っていた。

「あー、何か、面白れぇこと無いかな?」

「…………なんもねぇなー。明日も小テストだし………」

 塾通いの真面目なお兄さんたちが、ダルそうに会話しながら通り過ぎていく新しめの建物。その女子寮のベランダには、裸の女子大生たちがズラリとベランダからオッパイを出していた。気がつかない、というのはとても残念なことだ。シュントはそう思った。

 女子寮まで歩く途中でツトムが追加の命令を操縦機で出しておいたので、オートロックのはずの女子寮の正面玄関には、すでにお迎えが来ていた。3組6人の綺麗なお姉さんたち。体のプロポーションと顔の好みで選ばれたお姉さんたちは、シュントたちが選んだペアになって、それぞれの『ご主人様』を心から丁寧に迎え入れると、両脇から腕を組んでくる。シュントは自分の左右に並んで無防備な肌を密着させてくる、このお姉さん2人がお互いに面識があるかどうかも知らない。もしかしたら音大の良く知っている先輩後輩の間柄なのかもしれないし、同学年の友達なのかも、あるいは本当は少し仲の悪い相手同士なのかもしれない。けれど今日はそういうことは一切関係ない。2人で精一杯連携して、自分たちの体の隅々まで駆使してシュントを射精に導いて、シュントが疲れたあとは、レズビアンショーでも熱演して、シュントの暇をつぶすのを手伝う。ミツルはきっと、自分の選んだペアに、10分毎にSとMの役割を入れ替えての、忙しいSMショーでも披露させるだろう。

(ベランダで立たされてる他のお姉さんたちは、一晩中放置されたら足とかムクむだろうし、蚊にいっぱい刺されちゃったりしたら可哀想だから、そこそこの時間で部屋に戻してあげよう。)

 シュントは何の気なしに、ベランダで「気をつけ」の姿勢を今も維持しているだろう、残りの女子寮の女子大生さんたちのことを考えた。そして、「ベランダ」という設定で、不意に新しい遊びも一つ、思いついた。

 明日はどこか、人通りの多い道の前に立つマンションで布団を干している若奥様を探すことにしよう。布団叩きで干した布団をバシバシ叩いてもらって、その布団(多分霧吹きも必要)には銅線を繋いで、『双シン壱号』から下の大通りに同調指示を出して、『1週間以内にオナニーかセックスをした人には、この布団が叩かれる衝撃がお尻に伝わる』っていう設定を試してみよう。真面目な顔をした会社員さんやOLさん、パトロールの婦警さんや近所の奥さんたちが、お尻を両手で押さえ、困惑しながら痛みに飛び跳ねながら悲鳴を上げる様子を思い浮かべる。笑いを噛み殺しながら、シュントはエレベーターの中で、左右に密着している裸のお姉さんたちのお尻を、直にペチンッと叩いてみた。

「きゃっ」

「やんっ」

 急に理由もなく、裸のお尻を直接手で、見知らぬ中学生男子に叩かれたお姉さんたちは、驚いたような声を上げる。反射的に見た、シュントの表情が上機嫌そうだったので、お姉さんたちもすぐに表情を緩めた。今晩、全身全霊をかけてお仕えする予定のご主人様が、ご機嫌なら、それは彼女たちにとっても、とても幸せなことだ、そう思ってくれたようだった。

<第5話につづく>

5件のコメント

  1. 読ませていただきましたでよ~。

    う~ん、これは永慶さん。
    いつもの中規模いたずら編でぅね。
    今回色んな人がいろいろ操られているわけでぅが、今回のみゃふのお気に入りは志堂早紀先生。プライドの塊みたいな先生が恋する乙女になってシュントの一挙手一投足に反応するのが可愛すぎて素晴らしかったのでぅ。

    それにしてもミツルは平常運転でやばい所を進んでいくなぁ。ツトムじゃなくても危機感を抱くものでぅが、シュントのつけた安全装置が全然働いてないような気もするのが気になるところでぅ。(まあ、その安全装置はシュントが基準なのでシュントがミツルに感化されすぎなだけでぅけどw)

    そして気になる三人の仲への言及。この先双シン機を巡って仲違いするのか、逆に一層仲良くなるのかなんとも言えないところでぅ。
    ただ、危険だからといってミツルを切り捨てると、ツトムとの仲もバランスが崩れてしまいそうだし、逆にうるさいからと言ってツトムを切り捨てると、ミツルが暴走してシュントも流されて破滅へと向かっていきそうな気もする。
    そして、ふたりとも切り捨てた場合にどうなるか・・・シュントが王になるのか、それとも二人がいない状況に虚しさを覚えてMC遊びをやめてしまうのか。
    色々気になる所でぅ。

    であ、次回も楽しみにしていますでよ~。

  2. 「ノマドさんちの一週間」で見せたペニバンがまた登場!
    ペニーバンを使った様々なエッチなシチュエーションが面白いのでよく出てほしいですねw

    『双シン壱号』の創造的な使用戦略が明らかになるのも興味深い。

  3. 読みました!
    秘密を暴く系の催眠、大好きです。
    特に、エッチなことを考えていると耳を引っ張るような、直接は分からないような方法は尚好きw
    さて、監視カメラすら恐れずに双シン壱号を使いまくる三人組。
    お前ら! いいぞもっとやれ!(おい)
    ……実際、あまりに慎重になりすぎて何もできないよりは、破滅の瞬間まで好き放題できる方がスッキリしますね。どんなすごい機械でも活用しなければ意味がないですし。

  4. >みゃふさん

    毎度ありがとうございます。そして毎度おなじみ、永慶の中規模イタズラですよー。
    続くよ~。安いよ~。懲りないよ~。という気持ちで5話目にも続きます(笑)。
    三人組で書いていると、「普通人(に近い)」、「研究者」、「変態リーダー」と主人公格を分けながら
    話を進めることが出来て、効率良いです。
    多分この話の中でこれ以上の仲間割れや下克上は無いと思いますね。
    色々すみませんが、6話くらいで(5.5話くらい?)で締めます。それまで貫こうと思っております。

    >ソウルフードさん

    昔の作品を覚えていて頂いて、ありがとうございます!
    あの話も変態度、なかなか高かったと思います。そういう話に限って、出てくるみたいですね。
    ペニスバンド!(まぁ、純愛系のソフトMCでは使いづらいアイテムではありますね)
    MC機械の面白味を引き出すことをあれこれ考えてみたいと思います。よろしければもう少々お付き合い頂けますと幸いです!

    >ティーカさん

    単純にエロくするとかも出来る状況で、
    「もともとのエロさを罪の無い形で暴露させる」というイタズラ。やっぱり好きです。
    このあたりでティーカさんの好みともクロスする部分ですよね!
    今後もティーカさんの技術を学びつつ、このあたりの球筋を磨いておきたいと思っております。
    いつもありがとうございます!

    永慶

  5. 日本人の大半の方ならわかる(?)
    ミツルKUNのアソコの表現が妙にリアルでエロティックですね〜。

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