スパイラルサークル 第2話

「あ、アー、アー。皆さん、聞こえますね。………それではこれから、崇泉祭毎年恒例の、僕らスパイラル・サークルによる催眠術ショーを開催します。諸注意とか例年と同じなんですけど…………1年生の子たちとか、撮影厳禁でお願いします。盛り上がりすぎて問題行動とか起こしたら、先輩につまみ出されると思うから、まずは周りの先輩の様子見ながら、良いお客さんとして行動してください。あと、ここで見たものは基本、他言無用です。皆さんご存知のように、それなりの伝統校ですから、外部に漏れると、色々な人に迷惑かかりますよね。そのへんは気をつけてください」

 

 マイクがONになっていることを確かめるために、ポンポンと叩いてスピーカーから大きな打撃音を出してしまったりと、慣れない滑り出しだった小湊弘太だったが、喋り出したら落ち着いてきたようだ。音楽室に詰め込まれた観客たちに淀みなく説明している。簡易的な『ステージ』の上にある照明だけが点けれていた。普段はグランドピアノが置かれていたり、横で先生が指揮者をする場所で、周りの床よりも10センチほど、高くなっている。

 

「皆さん、僕の自己紹介なんて興味ないですよね。さっさとこちら、今日のショーに出演者として、被験者として協力してくれる4人の紹介に移ります。えっと、お名前と、これから催眠術ショーに参加することの意気込みというか、心構えとかあったら、一言お願いします」

 

「…………はい。こんにちは。聖クララ女学園高校から来ました。真壁梨々香です。今日は、催眠術なんて初めて試すので、とってもドキドキしています。よろしくお願いします」

 

 いきなりマイクを向けられて、梨々香は堂々と話せるタイプだ。肩にかかったウェーブしている栗色の髪をサッとかきあげながら、格好良く、簡潔に自己紹介出来た。「いいオンナ」な見た目と世慣れた物腰に、観客たちもノリ良く盛り上がる。「ヒューヒュー」とか指笛、口での囃したてがあったり、「可愛い!」だの「超美人!」だのと感想が返される。「付き合ってくださいっ」と上がった声は、なぜかステージ上に、ではなく仲間内に対して掛けられて、「お前早ぇわ」というツッコミと内輪でのゲラゲラという笑い声でかき消される。仲間内だけでハシャいでいる男子たちもいるようだ。

 

「お次もご挨拶お願いしますね」

 

 弘太にマイクを向けられた野乃が、助けを求めるような視線を、左側に座る咲良と、そして結沙に向けた。それでも、意を決すると、急にガバッと立ち上がって、挨拶する。

 

「あっ…………あのっ…………。梨々香ちゃんと同じ、聖クララ女学園で………、2のCの、城崎野乃と申しますっ。今日は、凄く緊張しているので、上手くいかなかったら、ごめんなさいっ」

 

 急に立ち上がって喋ったり、話し終わると深々とお辞儀をしたりするので、弘太のマイクが追いつかない。声を拾えたり、拾えなかったりした。けれどギャラリーの男子たちは、アイドルみたいなルックスの美少女が赤面しながら懸命に自己紹介している姿に萌えたのか、さっき以上に大盛り上がりだった。「ノノちゃん、可愛いーっ」「頼むっ。崇泉院に転校してっ」男子たちから声がかかるのを、椅子に座ってからも俯き加減にペコペコと頭を下げて応じる野乃。「ファンクラブとか無いんですか? 入会していですっ」という声がかかると、頭を左右にブンブンと振って、否定しながら恥ずかしがった。

 

「あのー。同じ制服なんでお分かりだと思いますが、私も同じ学校で、ここの4人の友だち同士で来てます。井関咲良です。催眠術って、正直に言うと臨床とかではあるんだと思っていますが、ショーとかエンターテイメントとしてはあまり信用してないです。なので全然かからないかもしれません。と、言いますか、ハッキリ言いまして、かからないと思います。ゴメンなさい。以上です」

 

 野乃に「悪いムシ」がつかないように、「保護者」として威嚇したいのか、バカ男子の理不尽な盛り上がり方にはイラっとくるタイプなのか、咲良はまだ野乃フィーバーが続いている観客たちに敢えて冷水をかけるような、切っ先鋭い挨拶をした。「…………クールビューティ―…………」、「委員長タイプ………」といった声がボソッとかけられるが、それ以外のギャラリーは見事に静まった。そしていよいよ、マイクが結沙に向けられる。

 

「………あの、私もこっちの3人と友達です。吉沢結沙と申します。私も、催眠術なんて初めてで、………本当にかかるかどうかもわからないし、………かかったら、どうなるんだろうとか思うと、ちょっと怖いなと、思っています。本当を言うと、どうして自分がここにいるのかも良くわかっていなくて、…………成り行きでここに座っちゃってます。………すみません。………あの、皆さん、上手くいかなくても、空気が悪くならないように、紳士的に見守って頂けますと助かります」

 

(咲良が冷やした空気を、なんで私がフォローしなきゃいけないんだ)と内心思いながらも、結沙は一応、自分が伝えるべきことは、まとめて伝えたつもりだ。「すっごくやりたくてこの場に出演しているわけじゃない」、「うまくいかなくても私たちの責任じゃない」、「盛り上がらなかったらからって、こっち側を責めずに、貴方たちでうまいこと楽しんでくれ」、「紳士的に接して欲しい」………。自己紹介の体をとりながら、なんとか自分たちが嫌な思いをしないで済むように、皆に協力を求めたつもりだ。隣をチラッと見ると、咲良がまっすぐ前を向きながらも、膝に置いた左手の親指を立てて、こちらに見せていた。彼女が評価してくれているのだから、結沙はうまくやった方なのだろう。

 

「ありがとうございます。素敵な4人に拍手をお願いします。…………では、早速なのですが、4人とも、こちらに出てきた、当サークル名物、『ビッグ・スパイラル君』をご覧ください。あの、一応言っときますが、観客の皆さん、スパイラル君は背を向けてる状態ですが、横から覗きこんだりしないようにね。ショーの終わりまで昏睡状態になってても、今日は男のフォローをしてる暇なんて、ないですから」

 

 弘太がマイクを片手に意外と軽妙に喋ってる間に、サークルのメンバーらしい男子が2人がかりで、隣の音楽準備室からキャスターのついた大道具を押し出してくる。さっき、教室の模擬店で見た、スパイラルよりも、さらに一回り大きいものだ。円盤には黒色の渦巻が、さっきのものよりの更に何重にも多く、描かれていた。

 

「はい、それではお姉さんたち、こちらのスパイラルをご覧ください。この回転を見ていくうちに、皆さんはあっという間に『スパイラルの旅行者』になるんです。目がこの渦巻に引き込まれて離せなくなって、心も螺旋状に深―い催眠状態に落ちていく。両腕をピンっと伸ばして自分の胸の前でこんなふうに組んでみてください。体中の力や、心身の緊張感が全て、貴方たちの肩から指先までに集中してくる。腕がもう、2本の鉄の棒のように固くなる。指は手を組んだままの状態で、まるで一つの鉄の塊になったかのようにくっついてしまう。必ずそうなります。3、2、1、ハイッ。もう手が離れない。腕が動かせない。…………どうですか?」

 

「………嘘っ………。すご~い」

 

 梨々香が最初に声を上げた。その隣に座っている野乃は、「えっ? ………えぇっ? ………」と小声で戸惑っている。結沙はというと、両腕をなんとか動かそうとジタバタしてみるものの、全く動かない自分の両腕、両手に、唖然としている。しかしそれでいて、どこか、諦めというか、この事態を受け入れている自分もいるような気がしてならない。

 

(………『スパイラルの旅行者』なんだから、私たち………。弘太に言われたら、手が離れなくなるとか、腕が棒になるとか、そりゃそれくらい、当然なっちゃうよね………。)

 

 自分の体なのだから、自分の思い通りに動いてくれないことに、当然フラストレーションはある。不思議な現象に驚いてもいる。足をバタバタさせて反動で腕を動かそうと、両肩に力を入れてみたりしている。それでも、心の奥には、なぜかこれを当たり前のこととして受け入れている結沙もいた。

 

「僕が触れると、はい腕が元通り、らくーに離れる。はい、貴方も、ほら」

 

 梨々香から順番に、きつく組まれた両手の上に弘太が自分の手を載せていく。するとその瞬間に、肘が曲がって、指が開いて、両手が離れ、ダランと体の横に垂れる。梨々香が呆然と、弘太を見上げる。野乃は本来だったら異性に手を触れられることに過敏に緊張するタイプだが、今日は弘太に触れてもらって、両腕が楽になる様子を見て、ホッとしている。そして弘太が結沙の座っている後ろにやってくる。

 

「結沙ちゃんの腕は他の子たちよりもガッチリ硬直しちゃってるみたいだね。………じゃ、ゆっくり、ゆっくりと解していこうか。まずは手と腕が硬直したまま、肩が緩んでいくよ。ほら、僕がこの手を揺らすと、少しずーつ肩の緊張が解れてくる」

 

 結沙の肩の外側から両腕を、後ろから抱きつくように掴んだ弘太が、結沙のきつく組まれた両手を、上に下にと少しずつ振る。その振幅がだんだん大きくなる。肩の硬直がだんだん解れていくのを感じて、結沙も安心する。けれど、観客たちは最初ボソボソとと隣同士で囁きあい、やがて、「おーっ」とか低い感嘆の声を上げて、結沙に注目を集める。どうしたのだろうか? 結沙が自分の体を見下ろして、すぐに赤面する。ピンと伸ばされたままきつく組まれた両手。その二の腕の内側の部分が、自分の胸を圧迫しているのだ。だから弘太が結沙の両腕をレバーのように大きく上下させるたびに、結沙の胸は真ん中に寄せられたり押し上げられたり、弾力を感じさせるような落ち方を見せたりと、ユサユサ揺れてしまっているのだ。もちろんブラジャーに包まれている自分の胸は、そんなに激しく揺れたりはしない。それでも、この部屋の男子全員が、結沙の胸の揺れ具合に熱い視線を送っているということを意識すると、結沙は耳まで赤くなって俯く。

 

「はーい。結沙ちゃんの両手も完全に指先まで解れましたー。もう力が完全に抜けてくれますよー、ほら、だらーん」

 

 両腕が弛緩して、体の横に垂れる。本当だったら、まだいくらかの男子たちの注目が残ったままに感じる、自分の胸を隠すように腕を上げたかったが、弘太に言われた通り、この腕は、鉄の硬直からは解放されたけれど、もう5センチ上げるような力も入らないような状態になって体の脇に垂れるだけだった。

 

「はい、皆さん楽になりましたねー。それでは次に試してみたいことは………」

 

「…………あのー。ちょっと」

 

 1人だけ、順番をスキップされていた、咲良がついに声を出す。恨めしそうな目で、弘太を見上げていた。

 

「………あれ? ………すみません。咲良さん、どうされました? ………何かお困りごとなどありましたら、ここにいる催眠術師まで、遠慮なくご相談くださいね」

 

 クスクスと客席から含み笑いが上がる。さっき「催眠術にはかからない」と、やや険のある言い方で突っぱねた咲良が、両腕をピンっと伸ばしたまま手を組んで、まるで1人だけ逮捕されて手錠をかけられたかのように取り残されていることを、笑おうとしている。弘太のその意図を理解したギャラリーたちが、笑いを噛み殺しているのだ。そして、そんな状況を百も理解しながらも、腕がガチガチに固まったままの咲良には、弘太に頼み込むしかないようだった。

 

「…………私も…………解いて欲しいんですけど…………」

 

「解いて欲しいというのは、何かに、かかってるんですか?」

 

 咲良は一つ、大きな溜息をついたあとで、観念したかのように返事する。

 

「私も………催眠術に、かかっちゃったみたいだから、解いてください。ここまで言えば満足ですか? ………私の負けです催眠術師様。どうかお救いください」

 

 敢えて大げさに言ってみせることで、皮肉をこめた咲良の心には、まだファイティングスピリットが残っているようだ。研究熱心な彼女のことだから、次の暗示にはかからないようにと、学習意欲に満ち満ちていることだろう。結沙は咲良を心の中で応援する。そして同時に、彼女に注目が集まったことで、自分の胸の膨らみからは、不躾な視線が外れたことを感じて、ホッとしている自分もいる。

 

 余裕しゃくしゃくの態度で、弘太が咲良の席の後ろに立つ。肘を指で触れた。

 

「ほら、腕が曲がりますよ。手も離れるかな………? ……いや、手はまだ離れない。あれ、肘もこの角度でまた硬直しちゃった」

 

 手を組んだまま、肘が90度に曲がったことでホッとした表情を見せた咲良だったが、また、弘太に弄ばれるように腕も硬直させられる。腕を直角に曲げて、アゴの前で両手を組んでいる咲良は、敬虔なクリスチャンがお祈りをするようなポーズで固まってしまった。

 

「もう、こうなったら、祈っちゃいましょう。咲良さん。催眠術よ解けてください。どうか私の体が元通りになりますように、って」

 

「あー、もうっ。催眠術よ、解けてください。どうか、私の、体が、元通りに、なりますように!」

 

 声に怒気を含ませながらも、お祈りポーズで復唱する咲良。途中でポンと弘太が彼女の肩を叩いた。

 

「あの、お祈りの途中で恐縮ですが、もう暗示は解けてますよ。咲良さん」

 

 言われたとたんに簡単に外れた自分の両手。思わず手のひらと甲を、手首を回転させながら、マジマジと見つめる咲良。居心地が悪そうな顔をして、両腕をおろす。その翻弄されっぷりを見て、観客たちが弘太に歓声を上げる。

 

「………こっわ~。手が動かなくなるとか、勘弁してよ~」

 

 梨々香が声に出して言う。よく彼女は、この数十人の観客に凝視されながら、思ったことをすんなり声に出せるものだ。結沙は感心すらしてしまう。弘太にしたら、生き生きとしたリアクションを返してくれる出演者は、ありがたい存在だろう。

 

「そうですね、梨々香さん。自分の体が、思ったように動いてくれなくなるのは、ちょっと怖いですよね。このまま、動かなくなったらどうしようって考えだしたら………。僕だってちょっと怖いです。………だから今度は、逆ならどうでしょう? 今、貴方たちの右腕の手首に、風船を括りつけました。僕が手をパチンと叩くと、勝手に上へ上へと、あがっていきましょ。ほら、パチン」

 

(梨々香がきっかけなら、梨々香だけにかけて欲しいよ~。)

 

 結沙は希望的観測を持ったけれど、自分の右手はそのようには反応してくれない。さっき弘太が「貴方たち」と言ったのを聞いている結沙の右手は、律儀にもスルスルと上に上がっていく。二の腕が耳につく確度。完全に垂直に、彼女の右腕は天を指して突きあがってしまった。彼女の友人たちも同様になっている。

 

「はい、今度は右手が降りてくる~。すぐにまたダランと下にぶら下りますから大丈夫。………じゃ、次は、僕が言うことに当てはまる人だけ、右手が上がっていきますよ。『彼氏がいる人~』、さあどうだ?」

 

 結沙から見て一番右端に座っている、梨々香の手が高々と挙げられる。「おーぉぉぉ」という、賞賛とも落胆ともつかない、低い声が客席に響く。「えーっ、ショックだよー」という正直な感想に対して、梨々香は「ゴメンね」と謝るような表情をして、頭をペコリと下げる。けれど彼女の右腕は、まるで親友たち3人に対して勝ち誇るかのように、高々と挙げられていた。

 

「はい、下ろして良いですよ~。じゃあ、今度は、『彼氏が欲しい人~』。右手が正直に上がっていくよ」

 

 結沙はとっさに、左手で自分の右手を掴んで抑え込もうとした。けれど左手も思うように動いてくれない。まごついているあいだに、彼女の右手はスルスルと上に引っ張り上げられる。客席が盛り上がる。別に彼らにチャンスがあると決まった訳でもないのに、男子たちは、かのお嬢様校、聖クララの美少女とお付き合い出来るかも、という妄想に色めきだっていく。最初に右手をピンッと伸ばしきったのは、真っ赤な顔でモジモジしている野乃。そして情けない表情で自分の右手を見上げる結沙。最後に2人の間に座っている、咲良も抵抗しきれなかったようで右手を挙げた。意外な表情で見返す結沙と野乃。その2人の間で挙手している咲良は、悔しそうに唇を噛みながら2人と同じポーズになっていた。

 

(咲良………。彼氏とか全然興味ない。今は勉強が大事な時期だし、本を読んでる方が楽しいって……………。………でも、まぁ、そっか。咲良だって女の子だもんね。顔も可愛いんだし。)

 

 結沙は自分で自分に言い聞かせている途中で、ブーメランのようにその指摘が自分に返ってくることを考えて、居心地悪そうにモゾモゾと座りなおした。自分も友人たちには「女友達とお喋りしてる時間がとっても楽しいから、当分彼氏要らない」って言ってきたのに。それが今、この満場の知らない男子たちの前で、「彼氏大募集」とばかりに右手を高々と挙げているのだ。

 

「それでは皆、手をおろしてください。お次は『胸のサイズがAカップの人~』、いってみよう」

 

 野乃と咲良の右手が上がる。咲良は恥ずかしさで体温が上がり過ぎたのか汗をかきすぎたのか、メガネのレンズが曇ってしまっているようだった。

 

「じゃあ次は『Bカップの人』ねー」

 

 野乃と咲良の手が下がるのと同時に、結沙の右手が上がっていく。「おーっ」と称賛の拍手が湧く。1人だけで注目を集めるのは、恥かしかった。

 

「それでは『Cカップ』さん。………………いないですか? …………………では、では、『Dカップ』のかた、どうぞ。……………皆さん、拍手ーっ」

 

 梨々香が照れ笑いを浮かべながら右手を挙げると、会場が拍手の渦に包まれた。弘太は梨々香の真横へ駆け寄って、チャンピオンの手を上げる審判のようなポーズを取る。4人の女子の中で、梨々香だけがまんざらでもなさそうな顔で手を上げたのだった。

 

「いやー梨々香さん、見事な結果となりました。今のお気持ちをどなたに最初に伝えたいですか?」

 

「お………親………ですか………ね……。いや、違うか?」

 

「お客さんたちの、この称賛の喝采を浴びて、気分はどうですか?」

 

「い………いや、あの、皆、熱気が凄すぎ………。そんな騒ぐこともでも………」

 

 ちょっと困った顔に照れ笑いを浮かべながら、「梨々香ちゃん」コールに対して小さく左手を振り返したりしている彼女を、横に座るAカップ女子2人が、ジトーっとした目で見ていた。

 

「………熱気ですか………。なるほど。…………ちょっとこのあたりには温度差があるみたいですけどね………。じゃ、ステージの上も、客席に負けないくらい、あっためていきましょうか?」

 

 弘太が、もはや軽妙を通り越して、中身がないようなMCをしながら、次の暗示の準備をする。女子たち4人が感覚を空けて座っている列の前に立つと、一度咳ばらいをして、今までよりも一段低い声を出した。

 

「さて今から僕が、あるいは皆さんのうちの誰かが『あつい』と一言、いうたびに、周りの気温が3℃上がってしまいますよ。必ずそうなる。3、2、1。ティック。ほら、試してみましょうか? 『暑い、暑い、暑い、暑い』。どうでしょう?」

 

 サウナルームのドアを開けた瞬間のような熱波を浴びた結沙の体が、一気に汗を拭き出した。冷房の効いた部屋から、急に炎天下の焦げるアスファルトに放り出されたような感触。両手で顔を扇いで風を送ったが、ムッとする熱風が顔に当たって、より不快な気分になてしまった。

 

「キャッ、あついっ」

 

 野乃が悲鳴を上げる。椅子のパイプの金属部分に肘が触れた時に、まるで長時間直射日光で焙られた金属に素肌が触れてしまったような感触を持ったからだ。結沙も咲良も梨々香も、野乃を心配する気持ちと、彼女が「あつい」と声を上げたせいで、また一層気温が上がったことを恨む気持ちとが入り混じった、複雑な視線を送ってしまった。

 

「もう………ちょっと………無理………」

 

 ワイシャツのボタンを襟から3つまで外した梨々香は薄紫のブラジャーが汗のせいでシャツの生地を透けて見えてしまっていた。チェック地のスカートの裾を捲って、スカートの中に風を送るように仰ぐ。

 

「梨々香、だらしがないってば」

 

 咲良が注意する。暑さのせいで皆、苛立ってしまっているのか、普段は温厚な梨々香が、秀才少女に反論する。

 

「しょうがないでしょっ。暑くて暑くてしかたないんだから」

 

「だからっ。その言葉、出さないでって、言ってるのっ」

 

「あ………ゴメン………。暑かったから、つい…………うへぇ………マジ、地獄……」

 

 肌に貼り付いてくるシャツを引っぺがすように、梨々香はスカートにインされていた制服のシャツの裾を出す。ボタンを下からも外すと、おヘソまで客席に見えてしまった。

 

「梨々香ちゃん。それ、ナイス・アイディアです。そしてスカートの裾で仰ぐと、なぜか冷めたい風が体に届くよ。僕の言葉は全部、貴方たちの本当になります。ほら」

 

「あ………ほんとうだ~。天国じゃ……」

 

 暑さで頭が緩みきってしまったのか、呆けたような声を出して、梨々香がスカートをバタバタさせる。黒いレースのショーツが丸見えになっていた。大人っぽいランジェリーを見て、客席は狂乱状態だ。

 

「梨々ちゃん、パンツ見えちゃってるよ~」

 

「梨々香、アンタほんと、いい加減にしないと、明人君に、ことのこと………」

 

「ほら、2人とも暑いんでしょ? こうした方が良いって」

 

 梨々香が、暑さによろめき、這いつくばってでも心配して近づいてきてくれる野乃と咲良に、スカートの裾を仰いで風邪を送ってあげる。2人とも灼熱地獄でやっと出会った救いの冷風に、恍惚の表情を見せて陶酔してしまう。

 

「………あ…………」

 

 蕩けてしまうような表情で冷風に当たる2人。

 

「誰か、お水ください~。お願いします」

 

 左端から結沙が苦悶の声を上げた。

 

「ゴメンね。結沙ちゃん。今、熱いお茶しか準備が無くて、冷めるの待ってるんだ。熱いままだと、ヤケドするといけないし。聞いたら、まだ熱いって言うから………」

 

「あー! もう、無理っ。人類の我慢の限界だからねっ」

 

 逆切れしたような声をあげた咲良が、自分のスカートの裾を両手で持って、バタバタと自分の顔へ向けて扇ぐ。本当に気持ち良さそうな、爽快な表情になった。白地に黒い縁取りのされた真面目そうなショーツが見えると、客席からは喝采が送られる。

 

「…………ママ、ゴメンなさい………」

 

 野乃の泣きべそをかくような顔も、自分でスカートの裾でファサファサと風を送り始めると、ウットリと緩む。ピンクでフリルのついた、ガーリーなショーツが顔を出して、客席のファンたちをまた萌えさせた。

 

「あれ、見てください。客席の方はもっともっと気温が上がっているみたいです。凄い陽炎が立っていますよね。皆、熱中症で倒れそうだ。人命救助だと思って、スカートで風を送ってあげてください」

 

 弘太がマイクを持ってそう暗示をかけている間に、彼の横までかけてきた女子がいた。吉沢結沙だ。最後まで暑さに耐えて(ほとんど意識を朦朧とさせながらも)自分のスカートに手をかけずにいた彼女が、「人命救助だと思って」と言われた瞬間に、恥じらいも自意識もかなぐり捨てて、ステージの縁に建つと、両手で自分のスカートの裾を掴んだまま、バサッ、バサッと大振りに、客席へ向かって風を送り始めた。顔は真剣そのものといった表情だ。客席からは水色のショーツが丸見えになってしまっているが、そこまでしても他人を助けるために果敢に行動している結沙の姿に、何やら神々しいものを感じる男子までいた。みんな、賞賛の喝采を送る。まだふざけている男子たちは、自分たちの位置までは風など届いてこないのに、肺一杯に彼女のスカートの中の匂いを吸いこもうと、深呼吸などして、ハシャイでいる。結沙はそれを見て、「暑さで異常行動に出ている、可哀想な人たち」と思いこんでいた。

 

「はい、催眠解ける。皆さん正気に戻りますよ。………何をしてるんですか? 席に戻ってもらっても良いですか?」

 

 弘太の声は、それこそのぼせた頭にかけられた冷水のようだった。ヒロイックなまでの正義感に駆られて、スカートを捲り上げてショーツを客席に見せつけていた結沙は、急に自分のしている行為に気がついた。悲鳴を上げてスカートを慌てて膝まで被せる。両手で口を隠して、自分のはしたない行為を恥じ入りながら縮こまる。梨々香も野乃も咲良も、青い顔をして身だしなみを整える。4人はパニックになりかけていたが、弘太が誘導するので、そのまま大人しく自分の席に戻って腰を下ろした。

 

「パンツ見えちゃってましたけど、大丈夫でしたか?」

 

「……………大丈夫じゃないです。………………でも、暑すぎて…………」

 

 顔をブンブンと左右に振った後、答えた野乃が、慌てて自分の口をおさえる。けれど、気温がそれ以上は上がらなかったようなので、ホッとした表情になった。

 

「そんなに暑かったですかね? ………むしろ、初夏としては涼しい方のような………。いや、今年は冷夏なんでしょうか? すっごく寒くないですか? 今から皆さんの周りでも気温が急降下しますよ。ほら、寒い寒い寒い寒い寒い寒いっ。さっきかいた汗が氷結しちゃう。寒い寒い。これは雪山で遭難したくらいの寒さだ。………というか、雪山遭難そのものだ。早く、お互いの体で温め合わないと、凍えちゃいますよ」

 

 結沙の隣、咲良の歯が、奥歯からガチガチと鳴る。全員、急激な寒さで体が骨の芯まで凍りつきそうな冷たさを感じて自分の体を両手で抱く。4人の女子が慌てて近づいて、お互いの体を抱きしめたり擦ったりして、寒さを凌ごうとする。ブルブル震えている野乃は可愛らしい顔に鼻水を垂らしていた。

 

「人間の体温で温め合うには素肌を密着し合わないと………ほら、グズグズしていると命にかかわりますよ」

 

 弘太の言葉が、最初に結沙の頭の中のスイッチを、パチリと切り替えてしまう。

 

「皆、急いで脱いで。恥ずかしがってる場合じゃないよっ」

 

 リボンを抜き取って、シャツのボタンを全部外し、結沙が先頭を立って上半身にはブラジャーしか身につけていない、無防備な姿になる。それを見て、理性的な咲良が頷いて、自分もシャツを脱いでいく。2人に従うように、素直な野乃がモジモジしながらもブラジャー姿になると、それを最後までみていた梨々香が、溜息を1つついて、そこまで皆が言うなら、といった表情でシャツを脱ぐ。梨々香の大きなブラジャーが晒されると、その薄紫の生地に包まれた大きなバストがブルンと揺れた。上半身は下着しか身につけていない姿になった美少女4人が抱き合い、体を擦りつけあって寒さを凌ぐ。ステージ上のそんないたいけな姿を見て、男子たちは熱狂する。

 

「あれ? よく考えると、そんなに寒くないですよ? だってここは初夏の日本。学園祭中の室内ですからね。こんだけ人が集まってること考えると、むしろ暑いくらいですよね?」

 

 弘太に言われると、今まで見えていた、恐ろしいブリザードが、急に消滅してしまう。客席の男子たちにブラジャーを晒して、抱き合ったり絡み合ったりしていた自分たちに気がつき、赤面する女子4人。寄せ合い、密着させていた体を離して、急いで脱ぎ捨てたシャツを身に着ける。

 

「やっぱり暑い、暑すぎだー。さっきより暑いですよ。スカートも、どうせならそのシャツも扇いで、精一杯風を送ってあげないと、またみんな熱中症になっちゃう」

 

 弘太の言葉でまた結沙たちの頭のスイッチは切りかわる。やっと袖を通したと思ったシャツの裾を掴んだ結沙はステージの縁にまた立って、今度は蝶が羽ばたくような仕草でシャツの裾をバタバタと開いたり閉じたり。精一杯の風を、『可哀想な客席』へ送っているつもりだが、そのたびに水色のブラジャーが丸見えになり、その柔らかい生地に包まれた更に柔らかい膨らみがプルプルと揺れる様を見せつけてしまう。ステージの奥では女子たち3人が、暑さに参って、だらしなく寝そべりながらお互いの体に風を送るためにスカートやシャツをバタバタさせて、しどけない姿を晒してしまっている。客席は大興奮だった。

 

 

「はーい、皆さん席に戻ってください。ゆーっくりと正気に戻りますが、ショーの進行の邪魔などはしません。みんなとっても良い出演者で被験者なんです。椅子に座ると、とーっても落ち着いてきますよ」

 

 着席した結沙は、荒れた呼吸を整えながら、ゆっくりと気持ちを落ち着ける。何が起きているのか、途中からわからなくなっていた。下着も皆に見られてしまった。それは恥ずかしい。けれど、大変な状況を潜り抜けて、誰も命に別条がなかったようでホッとした気持ちの方が勝っている。頭ではそれも全てただの弘太の暗示に振り回されただけ、ただ結沙たちが恥をかいただけ、と冷静に考えようとする。それでも気持ちはそれほど簡単に切り替えることが出来ない。そして今、この場が命の危険を感じるほどには暑くも寒くもないということ。そのことへの安堵感だけが残る。結沙にとってはパンツが見られようがブラが見られようが、もうどうでも良いような気もしてくる。今、結沙の意識は不思議な落ち着きを得ている。そんな状態の彼女が、椅子に座ったままそそくさと身だしなみを整えているのだった。

 

「さー、導入部でも、もうかなりこの4人のキャラクターを理解してもらえたんじゃないかと思います。皆さんそれぞれにとっても魅力的な子たちですよね」

 

「もっと知りたーいっ!」

 

 お調子者男子の声が響くと、「そうだ、そうだ。もうちょっとインタビュー」と、声が上がる。演出的には次の段階の暗示に進みたいような顔を見せた弘太だったが、今年の学園祭担当の新ショーマンとして、観客との掛け合いは大事にする判断をしたようだった。

 

「それでは女子の皆さん。力を抜いて、らくーにしててくださいね。また、当てはまる人の右腕だけが上がっていきますよ。今回は、チャッ、チャと進めていきます。勢い良く質問投げていきますから、よく聞いておいてくださいねー。ではまず、『自分は可愛い』って思う人の、右手が上がりますよー」

 

 梨々香、野乃、咲良、結沙が手を上げる。

 

「いざとなれば、自分はモテるはずだと思う人」

 梨々香、野乃、咲良、結沙が手を上げる。

 

「たまにはエッチなことを考える時もあるという人」

 梨々香、野乃、咲良、結沙が手を上げる。

 

「エッチなことに少しは興味があるという人」

 梨々香、野乃、咲良、結沙が手を上げる。

 

「エッチなことをしたことがあるという人」

 梨々香、咲良が手を上げる。

 野乃と結沙が驚愕の表情で咲良を見る。咲良はもはや遠い目をしたまま、どちらとも目を合わせてくれなかった。

 

「ものごころがついてから、異性とキスをしたことがある人」

 梨々香、野乃、咲良、結沙が手を上げる。結沙が思わず声を出して否定しようとする。

 

「こっ、これ、間違いですっ。私、したことないですっ。こればっかりは、本当に違うんですってば!」

 

 結沙が、スルスルと上がっていく腕を、アゴで押さえつけてまで下げさせようとする。これまでの挙手は少なくとも全部本当だと、自分で認めているようなものだが、そのことにも気がつかないくらい、こればかりは不当な判定だと、拒絶反応を示していた。アゴで二の腕から押さえようとしていた結沙の、今度は左腕が上がっていく。客席は笑い声で湧いた。

 

「ありゃー。それはもしかしたら、結沙ちゃんが頭では覚えていない、ファーストキスでもあったんですかね? ………でも体は正直だし、記憶力抜群みたいですよ」

 

 弘太が思い出し笑いを噛みしめるように、嬉しそうな表情で、そのことを告げると、吉沢結沙はその、弘太の口元をジッと見つめてしまった。何か、思い出しそうな気がしたのだが、記憶の壁に突き当たって、その向こうには行けない感触がある。その不思議な感覚と戦っているうちに、弘太から出される次の質問を、うわの空で聞いてしまう。ファーストキスのことを考えると、なぜか小湊弘太の唇が動くところから目が離せなくなるのだ。結沙はこれまで、「優しくて、笑顔がクシャっとなる感じに可愛い、男子」とファーストキスがしたいと思い、大事にとってきたはずだ。それなのに、今、小湊弘太の口元を見ていると、何かそれ以外の記憶が蘇ってきそうな気がして、ムズムズしてしまっていた。

 

「それでは最後に、『今夜、家に帰って1人でいる時、オナニーをするつもりの人』、右手を挙げてくださーい」

 梨々香、野乃、咲良、結沙の手が、また上がっていく。

「またまたっ。これ、おかしいっ」

 結沙が悲鳴のような抗議の声を上げる。

「そんなわけないでしょっ。私、ああいうの苦手なんだからっ」

「うそうそっ。しないですっ。ホントですっ」

「だから、私、彼氏いるんだってば」

 

 結沙の声に続くように、咲良、野乃、梨々香も口々に顔を紅潮させて否定する。それでも、右手はピンと天を指すように上がってしまう。『頭では覚えていなくても、体は正直だし、体の記憶力の方が凄いんだから』といった、弘太の言葉が、結沙の頭の中でまた響き渡る。怖いもの見たさのような複雑な感情と共に、結沙がイヤイヤ思い浮かべた状況は、1人きりの自分の部屋で、宿題も終わった後でベッドに胡坐をかくように座って、おもむろにオナニーを始める自分の姿だった。イクまで自分の胸や股間を弄って、最後、恥かしい部分を指で拭うようにして、顔に近づけ、おもむろに指を口に入れる自分。その光景を思い浮かべたところで、なぜか「ゴクッ」と生唾を飲んでいる自分に気がついた。そんな行為を自分がしたいはずがないと思うのに。ピンと伸びた右腕や、たった今、喉を鳴らした結沙の体は、まるで結沙に訴えかけているようだった。「貴方はこうすることが好き。あの味もきっと大好き」………と。いったい自分は、どうなってしまったのだろうか?

 

「さて、時間的にも、そろそろ最後のセットの質問かな? …………では皆さん思い出してください。最後にガッツリと人前でお漏らししてしまったのは、何歳の時のことでしょうか? 3歳だという人、手を上げて」

 

 不穏な質問も、ここまでくると恐怖だ。誰も手を上げない中、結沙は心の中で「嘘でしょ? こんな質問に答えないで」と右腕に言い聞かせている。

 

「4歳。…………いないか。…………5歳は?」

 

 そこで梨々香が手を上げる。………たぶん彼女は昔から発育が良くて早熟なのだ。結沙はそう、自分に言い聞かせた。こうなると、早く自分も手を上げたくなるから、女心はなかなか複雑だ。

 

「6歳」

 

 咲良が手を挙げる。

 

「7歳」

 

 結沙がやっと右手を挙げられた。「………もう小学生だよな?」というヒソヒソ声が客席から聞こえた気がして、結沙が耳から鎖骨まで赤くなる。

 

「8歳」

 

「9歳」

 

 やっと野乃が手を挙げた。顔は半分、泣きべそをかいている。4人の答えがハッキリしたところで、客席から拍手が鳴り響く。「野乃ちゃん、大丈夫ー」とか、「可愛いよー」とか、即席で出来上がりつつある彼女の『即席ファンクラブ』から、応援の声が上がるが、その声を聞いて、彼女の気が晴れるわけではないようだった。

 

 

「すみません。何かの手違いです。お1人。答えを間違えてしまったようですね。皆さんの右手は正直になっているはずなのですが、どうしたことでしょう………。改めて言っておきますと、僕の言葉は皆さんにとって、絶対の真実になるんですよ」

 

 アドリブで対応しているのか、それともここまでも脚本が練られているのか、弘太がステージを歩きながらマイクに喋る。そして咲良の席の後ろで、不意に立ち止まった。

 

「咲良さんが、間違っていましたね。貴方が最後に人前でお漏らしをしてしまったのは、6歳の時ではなくて、…………たった今ですっ」

 

 そう言って、咲良の両肩に、両手をポンッと、強めに置いた弘太。咲良がメガネの奥で、目をギョッと見開いた。何か言おうと口を開けた彼女だったが、口をぽっかり開けたまま、顔を青ざめさせて固まってしまう。彼女の膝と両肩が、ブルブルッと震えたあとで、スカートに染みが出来始める。やがて擦り合う内膝の間から両脚の下へと、液体が垂れて靴下を濡らし、足元に水たまりを作っていった。

 

「………駄目…………。これ………無理………」

 

 ボソッとうわの空で呟く、咲良の独り言を、隣の席に座っている結沙が聞いた。咲良の心が折れちゃう………。悲痛な思いで、親友を見守る結沙。何かの行動をとろうとしたところで、咲良の後ろに立っていた弘太が救いを出した。

 

「今からすぐに咲良ちゃんの年齢が若返っていくよ。15歳、12歳、9歳、6歳、5歳、4歳、3歳。ちっちゃい子なんだから、お漏らししちゃっても恥ずかしくないよ。優しいお兄さんたちに助けてもらえるから大丈夫」

 

 弘太が咲良のこめかみの横あたりで、指を何度も早いテンポで鳴らす。咲良の表情が悲痛なものから、どことなくあどけない、無邪気なものへと変わっていく。

 

「咲良ちゃ~ん。どうかしたのかな?」

 

 弘太がマイクを向けると、咲良は何度か目をパチパチとしばたかせたあとで、舌ったらずの話し方で答える。

 

「あのね~。さくら、ね~。オチッコ。出ちゃったの」

 

「そっかー。咲良ちゃん、可哀想に。でも、ちゃんとお漏らしのこと、教えてくれて、えらいね。咲良ちゃん、とってもいい子だ」

 

「えへへへへ……………。…………いっぱいでたの。……………ジョーー………って」

 

 後から頭をなでなでされた咲良は、反射的に笑顔になった。得意げに色々と報告してくれる。

 

「それじゃあ、優しいお兄さんたちが手伝ってくれるから、お体を綺麗にして、お着替えしようね。そのままだと気持ち悪くなっちゃうからね」

 

「………は~い」

 

 スパイラル・サークルのメンバーと見られる、スタッフ役の男子が2人、咲良の席へやってくる。1人が優しく彼女を立たせて、音楽準備室へと連れて行こうとする。もう1人が持って来た何枚もの雑巾で、咲良の席のあたりを掃除する。

 

「咲良ちゃーん。お利口さんだね」

 

 客席から声がかかると、「えへへへ」と笑った咲良は、両手を顔の横にあげて手を振った。背中から肩に手を当てて、音楽準備室へ誘うスタッフにも笑顔を見せる。

 

「あのね、さくらのね、これ。メガネ。すごいんだよ。おめめがねぇ、よくなるの」

 

 たどたどしく、スタッフの男子(おそらく年下)に得意げなお話をしながら、準備室へ消えていく咲良は、幼児返りしてしまってはいるが、さっきのお漏らしのショックはずいぶんと緩和されているようだった。

 

 

「………あの、私が掃除します。この椅子から立てるようにしてください」

 

『弘太に言われるまで、勝手に席を立ってはいけない』という思いを錨のように抱えて、椅子から1人で立てないでいる結沙は、掃除しているスタッフと弘太とに、呼びかけた。親友の咲良だって、お漏らしの後始末を、知らない男子にされるくらいなら、結沙にして欲しいときっと思うはずだ。

 

「例年のお約束なんで、気にしないで良いですよ。それよりも、貴方たち、残された3人には、まだ大事なお仕事が残っているので…………。それは、このショーをさらに盛り上げてくれる、BGMを奏でてもらうことです」

 

 BGM? 咲良がいなくなった空席の斜め前、4つの椅子の真ん中前あたりに出てきた弘太が結沙、野乃、梨々香を見回しながら、上にあげた手を、手のひらを下にしてゆっくりと下ろしていくジェスチャーをする。その手の動きに合わせて、ほとんど自動的に、結沙の瞼は閉じていく。頭もガックリと左肩に寄りかかるようになった。そのまま深い眠りに落ちていく。周りの何ごとも心配にならない。気になることもない。ただ弘太たちの言葉だけを聞いて、それを自分のなかで本当のこととして受け止めていく、穏やかな精神状態。

 

「3人とも、私が肩に手を置いたら立ってください。いいですか? 今から私が肩に触れて、立ってもらった人は、これから聞く音を出す、楽器です。とっても質の良い、最高級品の楽器になるんです。職人のこだわりと誇りが全身に宿った、見事な楽器。だから出す音はどんな聴衆も魅了します。貴方はそのことがすっごく誇らしい。音を出す純粋な喜びで、幸せいっぱいになるんです。…………野乃さんは………、このあたりから、音が出る楽器かな? ………こんな音です」

 

 カン、コン、カン、コン

 

 と木製打楽器ような音がスピーカーから流れる。弘太が野乃のお尻にチョンと触れると、打楽器の音に合わせて野乃が可愛らしくお尻を振る。

 

「ちょっとまだ、音が小さいですね。………もっとしっかり、音を出しましょう」

 

 カン、コン、カン、コン

 

 ボリュームが少し大きくなった音。それにつられるように、野乃のお尻を左右に振る動作も激しくなる。客席が湧く。野乃は楽器として音を出していることの純粋な喜びに、ウットリとしているような表情を、目を閉じたまま見せた。

 

「梨々香ちゃんは…………。やっぱりこの音かな?」

 

 まだカン、コン、カンと、木製打楽器の音が続いていて、陶酔したような表情で野乃がお尻をプリプリ振っている間に、弘太は横の梨々香に囁きかける。

 

 ボーォォォオン、ボヨォォォオオン

 

 かなり低い、振幅ある音が流れる。ティンパニか何か、大型の打楽器のようだ。弘太がチョンと触れたのは梨々香の胸。その後は、低温のボーォォォンという音が響くたびに、梨々香が突き出した胸を左右に揺する。お約束の流れに、客席はさらに湧いた。

 

「結沙ちゃんは…………じゃ、この音を出す楽器になります」

 

 手を取って彼女を立ち上がらせた弘太がキューを出すと、スピーカーから高音が流れる。この音はツリーチャイムという楽器だろうか?

 

 キラキラキラキラ、シャラシャラシャラシャラ。

 

「結沙ちゃんは体からこの音を出す、楽器ですよ。ほら、このあたり、このあたりも、あとこのあたりかな? 音が出てきます。嬉しいですね。楽しいですね」

 

 弘太がチョン、チョン、チョンと、結沙の両肩、胸元、おヘソのあたり、そしてお尻と、最後にはへその下、太腿の間まで軽く触れていく。結沙は自分が楽器になったのだからと、弘太のタッチを嫌がることなく受け入れて、無意識のうちに両手を上にあげ、頭の上で手のひら同士を合わせた。そのポーズは、アラビアン風のベリーダンサーのポーズを思わせた。

 

 シャラシャラシャラリーン

 

 音が鳴るのと同時に、結沙が体をくねらせる。肩を揺すって、胸を振って、お尻で円を描くようにしながら時々股間を突き出す。恥ずかしいというような気持ちはない。楽器が、設計された音を出しているだけなのだ。むしろ、狙った音を大きく出すことが出来るのは、嬉しくて誇らしいことだった。結沙もウットリと緩んだ笑みを顔に浮かべる。

 

「最高の楽器が3つ揃いました。素敵なセッションが始まりますよ。楽器が包装されたままだと、いい音が出せませんね。包みから出して、いよいよ本気の音を奏でましょう」

 

 弘太の言う通りだ。普段は楽器が傷つかないように布の袋に入っている結沙だが、このまま演奏する奏者なんていない。楽器は包みから出されて、素の音を皆に届けて、当たり前ではないか。そう思った結沙が、テキパキと制服を脱いでいく。さっきは制服がはだけられるたびに露出していた下着が、何の覆いもなく、客席に晒される。結沙が水色のブラジャーとショーツだけを身にまとった下着姿になってステージに立つと、彼女の肌の白さ、スタイルの良さが際立った。客席から拍手が巻き起こる。野乃と梨々香も制服を脱いで、下着姿になって結沙と向き合う。2人とも、今日のセッションのパートナーとなる、楽器仲間のようだ。野乃だけクルリと回転して、結沙と梨々香に背を向ける姿勢になった。

 

 カンカンカン、コンコンコン、カンコンカンコン、カカカカカン。

 ボーォォォン、ボンボンボン、ボーヨヨヨヨオオオオン。

 シャラシャラシャラリーン、キラキラキラキラ、シャラシャラキラリーン。

 

 音がだんだん早く、大きくなっていく。3つの音が競い合うようにリズムをとって絡まっていく。結沙たちはその音が、自分たちの体から発せられていることを感じる。当然、それに合わせて、あるいはそれに先立って、自分たちの体をリズムに合わせて振って揺すって、クネらせて、元気良いセッションでお客さんたちを楽しませる。結沙から時々見える梨々香と野乃の表情は、歓喜、陶酔、恍惚といったものだ。きっと結沙も同じような表情をしているに違いない。

 

「すっごい盛り上がりです。もうアーティストさんも貴方たち楽器を使いこなして、アドリブに次ぐアドリブ。神セッションになっていますよ。貴方たち楽器同士もとんでもないシンクロ率だ。このまま客席に入ってセッションをさらに過激にしちゃいましょう。お客さんの盛り上がりも、最高潮だっ。ここが現代音楽の到達点だ! 臨界点だ!」

 

 弘太が、声を裏返らせるくらい煽ると、観客も声が出せるかぎりの絶叫で迎える。その騒音をつんざくくらいに激しく、過激に大胆に、客席に降りた3人の楽器が身も千切れんばかりにハードに音を出す。椅子が動かされて、満席のギャラリーが何とか場所を作る。その隙間に押し入った結沙が、体の一部が弾けとんでしまわないか心配になるくらいに、激しく体をクネらせる。彼女の体から飛び散る汗を浴びることすら、周りの男子たちは喜んで熱狂していた。

 

「うおーぉぉぉおおっ」

 

 と音楽室の別の一角から男たちの喝采が上がる。見ると、楽器仲間の1人、梨々香がなんと、薄紫色のブラジャーを下にずらして、その丸くて大きくて、立派なバストを放り出してしまっているではないか。500円玉よりも少し大きいくらいの、肌色の乳輪とポテッとした乳首も、すべて曝け出されてしまっていた。

 

(梨々香が中敷きも外して、生の音を出してるっ。…………どうしよう………。このままだとあの低音に負けて、調和が崩れちゃうっ。)

 

 結沙はとっさの判断で、自分の下着にも手をかけた。個々の個性が自由奔放に振舞いながら、そのアンサンブルが絶妙なハーモニーになっていることが、このセッションの生命線なのだ。破壊と調和。この絶妙なバランスを崩させたりしない。そして何より、同じ楽器同士として、私は梨々香の本気に負けたくない。そう思った結沙の決意は、手が届きそうな距離で熱狂している、知らない男子たちへの恐怖を上回った。結沙は背中に手を回してホックを外すと、水色のブラを脱いで投げ捨てた。踊りながら、音を奏でながら、ショーツも足元へとズリおろしていく。自分が鳴らしている音がさらにもう一段、生っぽい、澄んだ音に変わる気がする。ギャラリーたちも喜んでくれている。自分が裸の芯から出している音が人を感動させている。そう思うと、何も怖くない。恥ずかしくなんかない。結沙は体をクネらせながらも、クルクルと回転して、跳ねるようなステップを踏んで、客席の中央へ進んでいく。モーゼが海を割るように、男子たちが身をずらし、椅子を動かして、彼女の邪魔をしないように空間を作ってくれる。そこにはちょうど、全裸の梨々香も、そして全裸の野乃もやってくるところだった。3人の楽器が共鳴し合って、全ての包装も中敷きも、人間の恥じらいも理性も取り払って、純粋に音楽の喜びに身を震わせて踊り狂う。髪を振り乱し、体を激しく揺らして、オッパイやお尻を振り回し、体を波打たせ、満面の笑顔で躍動する。この最高の音楽が続けられるなら、自分という楽器が壊れてしまっても構わない。その覚悟と恍惚の多幸感のなかで、結沙たち3人は暴れ回る。片足立ちになって伸び上がり、跳ね回っては倒れこみ、床に仰向けになっても、のたうち回る。仰向けのまま両足を踏ん張って腰を浮かし、激しく腰を動かしたり、でんぐり返りを繰り返したりしながら、狂乱と混沌の音楽を奏でた。

 

 

「はい、即興の音楽セッションはここまでですー。結沙ちゃん、野乃ちゃん、梨々香ちゃん、ふかーい催眠状態に戻って、大人しくステージの席に戻ってきてください。彼女たちの下着、こっちに回してきてくださーい。………はい、そこの人、パンツの匂い嗅いでないで、早くこっちに回してね。……………ほらそこ。次に許可なく梨々香ちゃんのオッパイ触ったら、即、退場だからね」

 

 弘太が狂乱の音楽セッションを終わらせて、雑然とした状況を整理し始める。結沙の意識は深いトランス状態に沈みこんで、フラフラとステージに戻るために歩き始めた。何も身につけていない、汗だくの体が、ライトに照らされて輝く。そんな自分の体を隠すことにも気が回らない状態で、ゆらゆらとステージに戻っていく。

 

「さっきまで楽器になってくれていた皆さん。お疲れ様でしたー。けっこうハードな演奏に使われちゃいましたね。体調を整えるためにも、プロの調律師に来てもらいますよ。今から貴方たちはそれぞれの楽器の専門家の調律師さんに、楽器の体を分解してもらって、固くなった部分をほぐしてもらったり、酷使されたところを優しく直してもらいます。調律師さんは完全に貴方たちの好みのタイプの異性です。ネットリと丹念な調律作業は、まるで調律師さんと楽器さんの、愛の交わりのようですよ。ほら、楽器さんはされるがまま。調律師さんは貴方が理想とする、一番されたい愛撫のような調律をしてくれるんです」

 

 結沙はボンヤリとそんな弘太の言葉を聞きながら、両手をまた自分の頭の上で組む。目の前にいる(はずの)調律師さんに抱え上げられるがままに、両足の太腿を持ち上げて開いた。結沙の口がふさがれる。熱くて力強い舌が入ってきた。結沙はされるがままになるしかない、1個の楽器なので、これも我慢して受け入れる。しばらくすると、舌のかわりに、指が入ってくる。独特のショッパイ味がして、結沙はこの指が今まで、自分の股間をイジくっていたものだと、味覚で理解する。結沙のとても好きな味。これを求めて、彼女は今夜も秘密のオナニーをするのだ。ふと、結沙は、自分の体を分解して、部品を変えたり、音の設定を調節したりしながら、自分を変えていくこの調律師さんが、ステージ上でマイクを持っている催眠術師、小湊弘太にソックリなことに気がつく。まだ甘い痺れのような、ボンヤリ感が残る頭で、結沙は精一杯、考える。この人が結沙の好みのタイプの異性なのだろうか? 結沙がさっき覚えていないのに、『体が覚えている』と言われたファーストキス。そして今夜の秘密の活動の予定。それはひょっとして全て、ここにいる、小湊弘太が彼女に与えたものだったりは、しないだろうか?

 

「………キャッ………。………ゴメンなさい」

 

 結沙の思考は、野乃の声を聞いて、一旦途切れた。野乃を見ると、可愛らしい裸をパステルピンクに染めて、目の前にいる(らしい)調律師さんに必死に謝っていた。

 

「野乃ちゃん、潮噴いちゃったんだよ」

 

 結沙の方を向いて立っていた弘太が見逃してしまった出来事を、優しいギャラリーが教えてあげる。野乃は両手で顔を隠していた。

 

「野乃ちゃん。大丈夫ですよ。調律師さんは貴方の体のことを全部………。貴方自身よりも知り尽くしているんです。だから、彼が知ってるツボを突かれたら、貴方が潮を噴いちゃうくらい、当たり前です。そんなに恥ずかしがらなくても良いんですよ………」

 

「………でも………」

 

「ほら、またツボを押された。また潮を噴いちゃう。あら、まただ。結構容赦ない調律師さんですね。あ、まただ。もう本格的にイッちゃう」

 

「やんっ、やんっ…………。ぁあああーーーんっ」

 

 弘太が何回か野乃の肩をポンと叩く。そのたびに城崎野乃は、弾かれるように腰を突き出して、股間からピュッと液体を飛ばす。ビクビクっと体が痙攣するたびに、彼女の小ぶりのオッパイの先端で、痛そうなくらい立ち上がっている乳首が頭を振る。内腿の腱が突っ張って、股間から飛び出る液体が弧を描く。

 

(私の調律師さん、あんなふうに乱暴じゃなくて、良かった………。)

 

 結沙は目の前にいる(はずの)自分の調律師さんを見る。本当に弘太によく似ているその男性は、右手で結沙の恥ずかしい部分を愛撫しながら、左手の人差し指で結沙の口の中をネットリかき回し、自分の口は結沙のオッパイを左右交互に吸い上げる。こんなにも、結沙も知らないような『本当の結沙がして欲しいこと』を、すべてわかっていて再現してくれるところは、さすがに彼女という楽器を熟知した、プロの調律師さんだ。そんなふうに、吉沢結沙は快感に陶酔しきった頭で、呆けたように感心した。

 

「はい、調律も終わりです。皆さんもすっかり演奏の疲れも癒されましたよね。もう楽器ではありません。完全な人間に戻ります。………そうなると裸が恥ずかしいですよね。せめて下着くらいは身につけましょうか。………人として」

 

(…………わっ………ヤバい………。私……なんて格好………。)

 

 急に焦った結沙は、自分の席の前に戻されたブラとショーツを慌ててひったくる。赤面しながら、急いでショーツを穿いて、ブラを着ける。汗で湿った彼女の下着。股間についたショーツはすぐに彼女の恥ずかしい部分からだらしなく垂れていた、はしたない液を吸って、黒いシミを作る。アンダーヘアーや彼女の割れ目の形まで、ショーツからハッキリと透けたり、形が見えてしまったりしている。それでも、公衆の面前で全裸でいるよりは、まだマシだった。人として………。

 

「それでは皆さん。休息充分といったところでしょうか? これから怒涛の後半戦。いってみましょうか?」

 

「……………嘘でしょ………」

 

 そろそろこの、理解しがたいショーも終わるころだと体感的に感じていた結沙が、ここから後半戦だと聞いて、思わず独り言を漏らした。

 

「……………マジか…………」

 

 二言目は、もう一段低い声。女の子らしくない言葉遣いだが、思わず出てしまった。ステージの脇、音楽準備室の扉が開いて、小柄なラウンドガールが飛び込んできたからだ。

 

「ウォ――ォォォ。咲良ちゃーん。待ってたよー」

 

 いつの間にか、咲良ファンも揃いつつあるようで、声援が飛ぶ。両手で頭上に掲げたフリップには、『後半戦』とデカデカと書いてある。上半身は白地に黒い縁取りのブラジャーのみ。下半身は赤いフンドシを絞めている。フンドシの前掛け部分には赤地に白い文字で『催』という漢字が〇で囲われていた。堂々としたモデル歩きでステージ中央までやってきた咲良がフリップを裏返して客席に突き出すとそこには『ただいま催眠どっぷりハマり中 ↓』と書いてある。矢印が指し示す、真下の位置には、スマイル全開の井関咲良の顔がある。スタッフがフラッシュをたいて写真を撮る。あとになって「私は催眠術にかからなかった」とだけは、絶対に言えないような、証拠品。そんな記念写真が、サークルの所有物として納められていくのだった。

 

 

(第3話につづく)

5件のコメント

  1. 面白いです。
    学生を人格変化してメイド役とか、やって欲しいです。

  2. めっちゃツボりました!

    もともと催眠ショーものって大好きなのですが!
    催眠フェチに向けた王道の小ネタを随所に散らすことで、
    「ファンタジー」から「リアリティ」へ、そして「リアリティ」から「ファンタジー」への見事な動線。

    冒頭の撮影厳禁、他言無用の辺りも、日常の中の非日常というポジションを意識させて大好きです。
    もちろん暗示のシーンも王道の内容から始まって、右手を上げさせる暗示の中で、
    「本人が記憶していないが体が覚えていることを答えさせる」とかね……
    「本人以上に本人を支配している」感じが、またたまらないのですよ……。
    そして、最後のフリップ、この屈辱感もイイ……。

  3. 読ませていただきましたでよ~。
    ショー催眠はいいでぅね。・・・これくらいならw
    前半戦で満足なのでぅが、後半戦は一体どんなことになるのだろうか・・・
    催眠導入時で思い出せなくされた時間の出来事を本人の意識を無視して回答させることの面白さよ。
    これは違うの!と訳も分からず否定する結沙ちゃんとか可愛すぎなのでぅ。
    独占スキーなみゃふとしてはあまり大衆に見せたくないのでぅけれど、この先どうなるのか・・・まあ、永慶さんなので大体の想像はつくのでぅけどw

    であ、次回も楽しみにしていますでよ~。

  4. >第3のだいちさん

    後半戦も頑張りますー。
    好きなショー催眠、多少のマンネリも気にせず気合い入れます(笑)。

    >sengoku793さん

    メイドさんに、ちょっと近い感じで、
    4話で人格変化もしてみましたー。

    >ティーカさん

    ありがとうございます!
    今回はちょっとファンタジー寄りですが、
    ハーブの力も借りて(笑)、頑張ります。

    >みゃふさん

    独占スキーのみゃふさんにしばし、辛抱を強いてしまいますが、後半戦もしつこく参ります。
    恐縮です。

    皆様、ありがとうございます!
    夏も後半戦に移ってまいります。引き続き頑張りますです。

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