リアルゲーム プロローグ

プロローグ:予行演習

 俺の名は影路(えいじ)。苗字は、まぁ今は伏せておこう。
 今日、市立の学校を卒業したばかりだ。春休みが終わったら県内の名門校に入ることになっており、その先はできたら東大へ行きたいと思っている馬鹿だ。
 確かに成績は、高かったし、模試で成績は、2回ほど全国100位以内の本に載ったから高いことは高いだろう。
 だが、うぬぼれると足をすくわれるので行けたらいいなぁ位に留めておく。
 卒業式と離任式を同じ日にやるのがうちの学校の伝統だ。
 そのおかげで明日から、名門校へ入る準備以外自由な生活だ。受験勉強のせいで溜まっていたゲームが明日からやり放題。
 さて、なにからやろうかな?
「影路、話がある。ちょっと下に来なさい」
 父さんが部屋の外から低い声で話す。なんだ?
 父さんが低い声で話すときは真剣になっている証拠である。
「はーい」
 その時俺は、俺の秘密を知る由はなかった。

 翌日、俺はなぜかベンツに乗っていた。
 昨日、おれの両親だと思っていた二人から聞いた話をまとめると
  ・本当の親は別にいる
  ・俺の血筋は名門の家系らしい
  ・その家の伝統で生まれた時から○学を卒業するまで他人(庶民)の家で一般教養を学びながら育ち、それを生かして権力を高める
 と言う事だ。
 まったくもってくだらない。
「到着しました」
 運転手が扉を開けてくれる。荷物を降ろすと運転手は
「車庫に入れるので私はこれで失礼します」
 と、どこかに行ってしまった。が、道には困らない。
 門からまっすぐ一本の道が屋敷へと続いている。それから道を踏み外せば、行方不明になりそうなほど木々が生い茂っている。
 あちらこちらにはギリシャだかの作品を模したと思われる裸の像が散らばっており、黒いバラや鎖が絡みついていた。
「悪趣味だ」
 とはいえ、金持ちの嗜好はどこか異常なのが常だ。仕方がない。
 そんなことを思いながら、玄関の大きな扉を開けた。
「へぇ」
 そこは中世ヨーロッパの屋敷を思い起こさせる空間が広がっていた。
「こりゃあ、すげぇな」
 聞き覚えのある声に驚き、俺は後ろを振り向く。
「よう、影路。お前もここに来るとはな」
「力也(りきや)・・・」
 こいつとは一日の半分をともに過ごすはずの共同体でなぜか必ず同じクラスになっている。
 かといて仲が良いわけではない。なんでも暴力で解決しようとするコイツの価値観は納得できるものではない。
 しかし、なぜこいつがここにいるんだ?
「二人ともそろったな」
 よく響く声が屋敷の奥から聞こえる、見ると黒いスーツを着た男が何人もの裸の女を連れて階段を下りてくる。
 こいつか、この屋敷の主は。
「あんたが俺の親父か」
 力也は誰に対しても攻撃的な口調しか使わない。たとえ親であったとしても
 男はにやりと笑う。
「いきなりぶしつけな態度だな。まぁいい。影路、力也。俺がお前たちの父、沖田 衝夜(おきた しょうや)だ。よろしく頼む」
 やはり、力也のような怪力バカと兄弟なのか?
 俺も力也もお互いを嫌悪する目で睨み合う。
「結構、結構。異母兄弟なんだ、躊躇することはねぇ。憎み合え。これからするゲームのためにもな」
 異母兄弟か・・・なら納得。
「ゲームとは何だ?あなたは俺たちに何をさせようとしている?」
 妙な予感がまとわりつく。期待、恐れ、不安、恐怖、誘惑その他もろもろの感情が俺に問えと命じていた。
「我が家には伝統があってな、次期当主を選ぶ選考会だ。家系を遡っていくと人外の血、魔族の血が流れている」
 魔族だと?
「そのために、俺達は『魔法』ってやつを使えて、それで政界、経済界を支配して富と権力を得てのし上がってきた。後継人は一人だが、競う相手がいないと力は強くならない」
 確かにそれは認める。
「そこで次期当主候補には、当主が出す課題で競い、優秀なほうを次期当主として迎え、駄目なほうは殺す。それがしきたりだ。やるか?」
 それが命を賭けたゲームか。
「乗ったぜ、そのゲーム。俺のほうが優秀だってことをコイツに教えてやる」
 やれやれ、単純バカが、しかしどうせ、
「断ったとしても、殺されるだけなんだろ?」
「その通りだ、影路」
 やっぱり。
「乗るよ。ただ殺されるのは癪に障る」
「わかった。ルールは・・・・・・面倒だ。俺の目を見ろ」
「?」
 俺も力也も不思議そうにしながらも親父の目を見た。
「ッ!?」
 色々な文字の羅列が頭の中に直接響いてくる。なんだ、これは?
「これが『魔法』だ。口で説明するよりもこっちのほうが記憶しておくには便利なんでな。お前らの頭に情報を『投影』させてもらったよ」
 そういうことか。
 【俺様が出す次期当主選びの課題】
  ・大学あるいは社会へ出るまでの3年間、候補者はこちらの指定する別々の学校へ行ってもらう
  ・学校の教師、生徒できればその保護者まで支配すること
  ・学校の洗脳度が高いほうが勝者となる
「って、これって。」
 思わずつぶやく、
「俺が分かるのはともかくなんで影路が知ってるんだ?」
 しまった!まぁ、いい。
 【他人を支配する方法】
  ・女の場合、性的興奮を過剰に高め、相手が媚びるようになったら、『契約の言葉』を言わせ、肉棒を突き刺す
  ・男の場合、10回射精させた後、『契約の言葉』を言わせ、もう一度射精させる 【契約の言葉】
 『私は、××(お前らの名前)様の忠実なる下僕となり、××様のために働きます。快楽と恥辱の契約の基に』
「最近は便利な世の中になったものだな。パソコンやゲーム機を使って、本来ならありえないようなことを仮想体験できる。18禁ゲームを現実でやってもらおうと思ってな」
「悪趣味な趣向だな」
と俺が皮肉を言っても
「そう思ってくれてかまわん。どの道、この力を使うものは、真っ黒に染まっていくんだからな」
 ああ、そうですか。まったく持って面倒なのだが
「ひゃっほう。これって女を犯しまくって良いってことだよな?」
 馬鹿がそんな単純な話な訳ないだろ。
「ああ、ただし、初めはうまく隠れてやれよ?」
 そう、一日に行動できる時間などは限られている。もし最初から飛ばした場合、ばれる可能性が高い。
「そうだ、影路。」
 っ!思考を読まれた。これも『魔法』か!
「ただし、それだけではない。我々のような使役者を狩る存在が過去にいくつも存在している。そのために、世界全てを牛耳ることができなかったのだ」
「つまり、学校あるいは、社会の中に、命を狙う者がいると?」
「そうだ」
 ちっ、面倒な事ばかり。
「あぁ、学校のことに関してだが、女については美人を揃え、ブスを除外したこと以外、お前らが入学する予定だった。学校と同じようなシステムになってる」
 そうか、それならいい。一応、世間的には対面はとっておきたいからな。
「力の利用方法についてはお前らが暮らすように手配した家に、説明書を置いておいた。他に質問がないか?」
「ないな」
「ないぜ、あ~興奮すんな~」
 確かに、自分の命をチップとしてできるこれ以上のゲームはないかもしれない。
「じゃ、お前らを今日からの住居へ飛ばす。3年後、どうなってるか楽しみだ」
 高笑いが聞こえたと思ったら俺は知らない家の中にいた。

 現在の状況は、あの親父から転送された情報によって把握はできた。
  ・ここが神奈川のある住宅街で俺が通う学校の近くにあるという
  ・家の広さは一般住宅からすればかなり広い一戸建ての住宅で、地下には、調教用の部屋やさまざまな道具が揃えられている
  ・資金は年間3億の配給
  ・温泉付き
  ・説明書の隣においてあるカタログで一人だけ世話役の人間を同居させる、限りなく洗脳しやすいようにはしておいたがすぐに支配できるわけではない。自由に選べ。だそうだ。ありがたいが、少し感覚が麻痺してくる。
 説明書とカタログを同時に読む。これくらいの芸当は昔から訓練していた。
 なるほどね。
 受話器をとって親父に連絡を取る。思いのほか早く、そして直通で繋がった。
「影路か。そんなことをしなくても俺のように『投影』すればいいのに」
 簡単に言ってくれる。
「悪いんだけど、まだ試したことがないものをほいほい使うような短絡的思考ではないんでね。カタログの件だけど・・・・・・」
「お、決めたか。で、どいつだ?」
「187番だ。それと一つだけこっちからの要望に応えてもらえないか?」
 賭けだ、成功すれば、これからのゲームがやりやすくなる。それだけは欲しいと思っていたんだ。
「187、か。最初だけはお前ひょっとして同級生とSEXしたいとか思っているんじゃないだろうな?」
「勝手に言っててくれ。それよりも要望なんだが、いいのか、だめなのか?」
「内容にもよる。一人をサービスするわけにはいかないのでな」
 一応、最初の条件だけはフェアってことか
「187番を同じ学校同じクラスに入学させろ。」
「ほぅ。そういうことか、力也はクールビューティーを選んで、金をもう1億追加をお願いしてきたぞ?」
 あいつらしいが、好みとかの問題ではない。好みも少しは基準に入れたが
「学校に一人でも多くの駒を揃えることが序盤での優先事項だ。3年間という限られた時間の中で、パートナーという存在はいつでもどこでも確保しておくべきだと思うんでね。力也の希望を了解したならこっちもお願いできませんか?」
「いいだろう。入学式までには手配しておく」
 よし、これでいい。
「それと、187番を連れてくるのは、今から1時間後にしてほしい。これくらいは、ノーカンだろ?」
「ああ。では1時間後に送る」
 あとは訓練していくか。187番で。

 御邸様からの最初の命令は、息子さんのメイドとなれということだった。最初の命令がいきなりのクビとはあまりにも悲しい。
 生まれてから、ずっと沖田家の施設で育ち、沖田の家に仕えるように育てられてきた私は、学校を知らない、他の生き方を知らない、そして人を知らない。
 どんな人なのだろう。あの厳格そうなんだけれども、どこかめんどくさがり屋の御邸様のご子息なのだからあまり期待はしないけど、それに・・・・・・御邸様が言うには、ものすごくHなことをさせられるそうだし・・・・・・

「本宮 美羅(もとみや みら)です」
「影路だ。よろしく頼むよ」
 ご子息はどこか御邸様と正反対なような性格だった。
 身長は高いしスラッとしていてそれいてなんていうか、顔が・・・・・・
「か、可愛い」
「え?」
「あ、も、申し訳ありません。」
 つい呟いてしまったことをあわてて謝る。御邸様だったら、絶対許さないと思うんだけど、影路様は微笑んで許してくれた。
「いや、良いんだ。いつもみんなから言われていることだしね。俺のことは影路って呼んで。親父からはなんか『ご主人様』って呼べとかって言われているらしいけど俺そういうの嫌いで」
「でも、ご主人様」
「影路」
「影路・・・・・・様」
「う~ん。ま、いっか。ん?なんでそんなに怯えているんだ?」
「そ、それは・・・・・・その・・・・・・。御邸様が私に影路様が望んだら望んだとおりにしろっておっしゃっていましたから」
 自分でも真っ赤になるのを感じながら言った。
「あ~・・・・・・あれね。大丈夫、少なくとも俺は君にそんなことをするつもりはない」
「え?」
「2階の一番手前の右側が君の部屋だ。荷物を置いてくるといい」
 そう言って、影路様は肩に手を乗せた。なんかすごく落ち着く。
「はい、わかりました」
 今までよりも楽しい日々になりそうです。

 とりあえず、荷物を広げ、使いやすいように整理したあと、1階に下りると、いい香りがしていた。
「影路様、そういうことは自分が!」
「いや、いいんだ。これも訓練でね。建前はさておき、君の就任祝いだ。俺の一番得意な料理を振舞わせてもらうよ」
「あ、ありがとうございます」
 夕食のメニューはシチューだった。簡単に市販のルーで作ったと思ったら、そんな感じの美味さではなかった。
「おいしい」
「それはよかった」
「でも、こんなのどこで習ったんですか?御邸では・・・・・・」
「あれ、聞いていないの?我が家では、○学まで他人の家で育てられるのがしきたりで、その預けられていた家で教わったんだ」
「そ、そうだったんですか」
 ちょっと意外。それから後は、取り留めのない話に花を咲かせた。

「ふぅ~。食った、食った。美羅、後片付けは頼むよ。俺は部屋でゲームやってるから、終わったら自由にしてていい」
 影路さまは私の肩に一回手を置いて部屋を後にした
「かしこまりました」
 
「思っていたよりも、かっこよかったな」
 食器を洗った後私は、自分の部屋のベットに倒れる。
「優しかった・・・・・・。」
 ぼ~っとしてくる。
「影路様・・・・・・。」
 あの方のことを考えると胸が熱くなってくる。
 だ、大丈夫だよね?あの方の部屋と私の部屋は結構離れている。
 私は、この疼きを納めるために、自慰行為を始めた。

「影路様、影路様ぁ~。」
 まさか、こんなにも簡単にやってくれるとは思ってもいなかった。まぁ、親父が元々仕組んでいたって事もあるんだろうが、もうちょっと時間がかかると思っていた。
 美羅は当然のごとく服を放り出し、5ラウンド目に入っている。
 5ラウンドもやって飽きないのは、あの魔法の説明書に書かれていたやつで簡単な魔法を彼女に対して少しずつかけていたのだ。・・・多分。
 彼女の耐久力って事じゃないことを祈る。
 俺が使える8系統の魔法のうちの一つ、『誘淫術』、文字通り、相手に性衝動を誘う技の最も初期の技である『自慰への誘い』を使った。
 俺は事あるごとに彼女に触れた、触れるときに魔法を彼女に放っていたのだ。
 もうちょっと俺に力があればすぐにやり出すみたいだが初めだからそんなものだろう。
 一人になったことを安心したのか、我慢していた性衝動を爆発させた。おそらく、あとちょっと、あとちょっとだ。
「イク、イクゥゥゥゥゥ。影路様ぁぁぁ!!」
「はい、そこまで」
「え?」
 俺は、これまた誘淫術の一つ、『興奮の時間止め』を使って、イク寸前の彼女のイクまでの時間を止める。
 もともと誘淫術は、調教用だ。そのため、こういう技もある。
 彼女はイク寸前で止められている。止められているからこそ、イケなくてもどかしい。一番気持ちよくて一番、もどかしい瞬間、昇天できない苦しさが彼女を襲う。
「え、影路様ぁぁぁ?」
「トイレに行こうと部屋を出たら、ものすごい大きな声がしてさ。まさかと思ったけど、やっぱりこういうことなんだ」
 とりあえず、嘘を言っておく、今からは魔法の領域ではない、言葉の領域、俺の本来の力だ。
「まさか、初日にしてオナニーをするなんて、最近のメイドっていうのはここまでしつけられていないのか?」
「あ、あ、うぅぅぅぅ。」
 話を聞いているどころじゃないだろう。イク寸前で止められているのには変わりない。しかも自分は行為をやめているのに、その快感がずっと続いているのだ。
「それとも、そこまで淫乱なのか?」
「ち、違っ」
「違う?ならなんで、こんなことを引越し初日にしかも主がいる家でやっているんだ?」
「あ、あぁぁぁぁぁ、イッて!なんでイけない、なんでイけないの!?」
 そろそろいいか?
「俺が時間を止めているからだよ」
「ふぇ?あっ、あぁぁぁぁ!!!時間ってどうやって!!!」
「長い話になるよ、聞く?」
 美羅は首を振る。
「それよりも、イかせて、イかせてぇっ!」
「君が認めたら、イかせてあげる」
「や、ヤダぁ、あっ、あっ!」
「辛いだけだよ?認めたほうが、楽になれる」
「認める!認めるからぁ!早くぅ」
「駄目。しっかりと言わないと、『美羅はエッチで淫乱なメイドです』」
「美羅はエッチで淫乱なメイドです。早くぅ!」
 言ったから許してあげよう。
「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
 美羅は潮を噴いてイッた。
「あ、あ・・・。」
 余韻に浸っているところ悪いのだが、
「6ラウンド目は俺も混ぜてもらう」
「ふぇ?」
 俺は触れた部分の感度を上げる魔法を使いながら美羅の胸を揉む。
「あ、駄目!あっ!」
 触れただけで、美羅はピクンと大きく反応する。
 そりゃ6ラウンド目だもんな。それだけで感度はかなりいってるだろうし・・・・・・。
 だが、俺は手を休めない。乳首をつまんだり、転がしたり、様々な刺激を与える。

「あっ!ふぁっ!あ、あっ、あっ!!!」
「そろそろ下も」
 右手が陰部へと触れるそれだけで、彼女は大きな声を上げた。
「だめぇ。またイク、またイッちゃう!」
 まだ、まだだ。すん止めして、一回刺激を0にする。それを何度も繰り返して焦らした。
「さて、そろそろイかせようかな」
「影路さまぁ・・・・・・」
 美羅はトロンと惚けた表情で俺の顔を見る。
「どうした?」
「欲しいのぉ、美羅は影路様のアレが欲しいのぉ」
 ノッてきたか。よし、これなら、支配できるな。
「今から言う言葉をしっかり言ったら、入れてやろう。」
「言う。言いますからぁ、入れて!」
「私は、影路様の忠実なる下僕となり、影路様のために働きます。快楽と恥辱の契約の基に」
「私は、影路様の忠実なる下僕となり、影路様のために働きます。快楽と恥辱の契約の基に!!」
 俺はアレを美羅へと挿入した。
「あ、ああああああああ」
 俺は目的を果たし、満足しながら、彼女を楽しんだ。

 翌日、朝起きた俺は、美羅を呼んだ。
「お呼びでしょうか、影路様?」
「ああ、早朝マラソンだ。近くの公園まで走って来い。そこに地図がある。ただし全裸でだ。」
「わかりました。」
 彼女は、服をここで脱ぎ、地図を持って、外へと出て行った。
 完全な支配が成功していた。よくゲームでいうところの催眠状態が消えた彼女は恥ずかしさを感じながら外を走っているだろう。
 これはまだ準備期間にしか過ぎない、俺が生き残るためのゲームはまだ、始まってもいないのだから

< つづく >

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