第5話
「ぁぁ・・・・・」
ビクン、ビクンと朱美の体が時折震える。
その貌は快楽にとろけ、様々な体液が全身にまみれている。
『朱美』
「ふぁぃ・・・・」
指輪から陽子が話しかける。
『とても気持ちよかったでしょ?』
「ふぁぁ・・・ぃ・・・・とってもぉ・・・・・きおひ・・・・よかったぁ・・・・でふぅ・・・」
混濁した意識のまま朱美は思った事をそのまま口走る。
普段の朱美からはまるっきり想像もつかない姿だった。
『そう、その気持ちよさは裏緑様に犯してもらったから。他の男とやったってこの気持ちよさは手に入らない』
「やだぁ・・・・きもひ・・・・よくぅ・・・・」
弛緩した体。ろくに動かないその体で嫌々と首を振る。見えてはいないが声の調子から判断したであろう陽子が朱美に言葉を重ねていく。
『なら、永遠に裏緑様に忠誠を誓いなさい。裏緑様に逆らっては駄目。例え、どんな事になろうとも裏緑様の命令は絶対に守る事。わかったわね』
「わかり・・・・ましたぁ・・・・きもちよくぅ・・・・・してぇ・・・・・」
子供のような物言い。そんな姿に口の端がにやりと持ち上がる。
『じゃあ、今から三つ数えると、朱美は目が覚める。その瞬間にさっきの快感が蘇る』
「はぁ・い・・・・・」
『三、二、一』
パンという音が指輪から発せられた。
「ああっぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
ビクン!!
朱美の体が大きく震える。口から漏れた声と呼応するように朱美の体が床の上に跳ね回った。
一度、二度、三度。朱美の腰が跳ね上がり、その都度、俯せ、仰向けと体の向きが入れ替わる。
『いい、朱美? その快楽は裏緑様から与えてもらう事しかできない。朱美はこの快楽の虜となる。この快楽をもらうためにはどんな事も厭わなくなる』
「はいっっっっっっっっ、はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」
これ以上はいかないのではないかと思う程朱美の背が大きく反る。
瞳や口が大きく開かれ、涙や涎がボロボロと零れた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ」
最後にビクンビクンと大きく震え、漸く朱美の体は落ち着いた。
そのまま数分、ハアハアと呼吸を整える朱美を見下ろす。
「朱美、聞こえるか?」
「・・・・・ふぁぃ・・・・・」
体が動かないのか、それとも何も思っていないのか、首だけ動かして俺を見る。
「大丈夫なら起きろ。移動するぞ」
くいっと顎をしゃくり意を示す。俺の意志をちゃんと受け止めたのか、朱美はふらふらとしながらも立ち上がった。
そして俺は三四郎の家の位置を朱美に教えると、テレポートで移動した。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」
荒い呼吸のみがぜいぜいと響き渡る。
薄暗い部屋。見渡す限り何もないが、空調は高めに設定してあるのか寒くはない。
水乃は隣で倒れ、呼吸を荒くする魂希の髪の毛をそっとなでる。
「魂希ちゃん・・・・」
ハアハアと呼吸を乱し、その小さな胸を上下させる魂希からの返事はない。
時折ビクッビクッと痙攣する魂希は虚ろな瞳で中空を見つめている。
静かに魂希をなでるその貌は悲しみに溢れていた。
「きっと・・・・」
水乃の口からぼそりと 声が漏れる。
「きっと、高屋敷さんが助けに来てくれる。それまでの辛抱だから・・・・頑張ろうね」
魂希を安心させると言うより、自分に言い聞かせるように水乃は言う。
そんな中、ギイィという音が響き、水乃には見えないドアが開かれた。
「高屋敷さん!!」
そこに立つ人物。緑色の髪の少女の姿を認めて水乃は歓喜の声を上げる。
その少女はにっこりと笑顔を見せて、部屋に入った。
ぱたん。
開かれたドアが閉じられる。にっこりという笑顔を崩さないまま朱美は一歩水乃に近づいた。
「大丈夫ぅ? 水乃ちゃん」
笑顔のまま朱美が言う。
水乃は得体の知れない感情に襲われた。
何かが変だと水乃の無意識が叫ぶ。
「高・・・・屋敷・・・・さん?」
「まさか、マル男が犯人だったとはねぇ~。ま、水乃ちゃんは綺麗だからマル男もどうにかしたくなったんでしょ」
朱美は後ろ手に組んでいた手を胸の前で組み直す。その指に填っている物。それを見て水乃の表情が凍り付いた。
それは数年前に一度だけ見た、しかし強烈に印象に残っているその指輪。水乃の運命をねじ曲げた指輪が朱美の指に填っていた。
あの占いソフトの指輪。
「高屋敷・・・・さん・・・・・その・・・・・指輪・・・・・・」
内から出てくる感情。その感情に水乃の体が震える。
震える指で指さされたその指輪。朱美はその指輪を示して、にっこりと笑った。
そして、次の瞬間、朱美の雰囲気が一変した。
頬を赤く染め、どこか媚びるような瞳で水乃を見つめる。もじもじと太股を擦りつける。呼吸は乱れ、熱く熱っぽい物に変わっていた。
「あ、気づいた? なんだ、水乃ちゃんも知ってたんだぁ。そぉ、あたしも裏緑様の物なんだぁ。裏緑様の言う通りにしていれば、気持ちよくしてくれるのぉ」
「高屋敷さん・・・・そんな・・・・・」
最後の希望。アメリカにある組織の全容をよく分かっていない水乃にしてみれば、直接の面識がある朱美が最後の希望だった。
その希望は水乃の側にしゃがみこみ、クスリと妖艶な笑みを向ける。水乃の中で希望ががらがらと崩れ落ち、絶望が頭をもたげ始める。
「それじゃあ、水乃ちゃん。はじめよっかぁ」
「え・・・んむぅっ」
朱美の言葉に顔を上げた水乃は唐突に唇を塞がれた。突然の行動に眼を白黒させる。その間に朱美は舌を伸ばし、水乃の口内へと侵入していった。
朱美の舌が縦に横にと水乃の口内を蹂躙していく。
「んんっ・・・・むぅっ・・・」
ぴちゃぴちゃと音を鳴らし、水乃の口内で唾液をかき混ぜる。攪拌された唾液。それを水乃の喉へと半分流し、残りを自分で飲み込む。
手を伸ばし、形のよい胸をまさぐる。朱美の手の中でふにふにと形を変える。
その動き一つ一つにびくっびくっと水乃は体を震わせる。
「あぅ・・・・・ふぅっ・・・・・」
「どうしたのぉ? 感じてきちゃったぁ?」
唇を離し、甘ったるい声で朱美が問う。
その問いに水乃は強い意思を込めて、朱美を睨んだ。
「そんなわけっ!!」
「あらそう。でも、これから気持ちよくなるわ」
『そうよ、朱美。あなたがこの娘を気持ちよくさせるのよ』
「はぁい」
指輪から響く、忘れもしないその声。
思い出されるあの事件。
思わず水乃は叫んでいた。
「陽子っ!!」
『あら? あなた、私を知っているの? そう、どこかで別の私を見たのね』
「よぅっ゛!!」
挑発的な陽子の声。その声に反応し、更に叫ぼうとした水乃の声が不意の刺激に途絶える。
朱美が服の上から水乃の乳首をつまんだのだ。
「だめよ、水乃ちゃん。陽子様をそんな風に言っちゃぁ」
「たかっ・・っ・・」
ペロリと朱美は水乃の首筋を舐め上げる。その感覚にビクンと水乃の体が震えた。
「み、ず、の、ちゃん♪」
ちらりと水乃の顔を見て、朱美は下を動かしていく。
首筋から顎。顎から頬。頬から耳へと滑っていく。
「ぅぁっ!!」
耳たぶの裏をぺろぺろと舐める。 肌を伝わる感覚に水乃は体をゾクゾクさせた。
ぺろぺろと舐めながら朱美は水乃の後ろへと回り、抱きすくめる。
耳たぶからうなじ、そして再び首筋へと戻っていく。シャツの中へと手を差し入れ、直接胸を揉む。
「ひぅっ!!」
体を走る感覚。その感覚に水乃は体を大きく震わせる。
「な・・・・・んで・・・・・・・ひぅっ!!」
突然の体の変化に持った疑問の声は自らの嬌声にかき消されていく。
くりくりと固くなり始めた乳首を責められ、水のはびくんと体を震わせた。
ぺろりと首筋を舐め上げて、朱美はクスリと笑みを浮かべた。
「なんで、こんなに感じるのか? でしょ?」
後ろから囁かれる声。その声にぎくりと体を緊張させる。
「な・・・・・・・・・・ん・・・・・・っ」
「なんで、わかったのか? でしょ?」
ふふっという笑い声。こりっという感覚と共に快感が走る。
なんで、急に感じるようになったのか。なんで、考えている事がわかったのか。その謎はすぐに氷解した。
「御名答ぉ。あたしも超能力者なんだよぉ」
「ぅぁぁっ!!」
ビクンと水乃の体が震える。
朱美は水乃のスカートへと手を差し込み、隠されている秘裂を弄り始めた。
くち。
水っぽい音がなる。
「あれぇ? 水乃ちゃん、もうこんなに濡らしてぇ。そんなに感じてくれたんだねぇ」
「・・・・・っ」
嘲りを多少含む朱美の笑い声。水乃はギリと怒りに歯を噛みしめた。
「ほら、もっと感じて。気持ちよくなっていいんだよぉ」
「っ!!」
突き抜ける快感に水乃は体を大きく反らす。
朱美の指が蠢く毎にビクビクと体を震わせ、内から湧き上がってくる快感に必死に耐えていた。
つ、と首筋に舌が這う。
「ぁぅっ!!」
熱い吐息が水乃の口から漏れる。その事実に自分で気づいたのか、水乃の頬が更に赤く染まる。
「ほぉら、もっと感じましょぉ」
朱美の指の動きが速くなる。
その動き、そして沸き上がってくる快感に水乃の白い肌は桃色に染まっていき、汗がうっすらと滲んでいく。
微かに漏れていた熱い吐息はハアハアという荒れたものに変わり、ビクビクと体が震えていく。
グチュ、グチュ。
先程よりも水っぽさが増す。
「ほら、聞こえる? いい音がしてるわよぉ」
「そんっ・・・・・なっ・・・・ことっ!!」
いやいやと首を振り、水乃は耳に囁かれる言葉を必死に否定する。
にやりと笑い、朱美は動きを速めた。
「ぁぅっ!!!」
ビクンッ!
ビクビクと水乃の体が震える。溢れ出る快感を否定するように瞼を強く閉じ、ぶんぶんと頭を振る。
秘裂から響いてくる音はより水っぽく変わり、溢れ出た愛液は泡を立てていた。
「さぁ、イキましょう」
水乃の耳元で囁くと、一気に責めを強くした。
頭がぶつからないように首筋を舐め上げ、勃起した乳首とクリトリスをきゅっとひねり上げた。
「っっっっっっっっっ!!!!
電気にも似た快感が水乃の体を走り抜ける。朱美の体に包まれた中で水乃の体がビクンと大きく震える。
数秒、水乃の時間が止まったかのように体が固まり、呼気と共に体が弛緩した。
そんな水乃の姿にくすりと朱美は笑みを浮かべた。
「イッちゃったぁ?」
「そん・・・・なこと・・・・・・ない・・・・・」
嘲るような朱美の言葉に水乃はフルフルと首を振る。
「も・・・・もぉ・・・・いいでしょ・・・・ぉ・・・・気が済んだ・・・・でしょぉ・・・・・」
意地とも言える水乃の答えに朱美は意地悪く笑う。
「ふふっ、なにをいってるのぉ。裏緑様が満足しなければ意味がないのぉ。ほぉら、裏緑様はまだ満足していないみたい」
「え・・・・・ぁ・・・・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ついと朱美が示した先。そこでは魂希が大きく体を反らせていた。
その姿に水乃は何が起きているのかを瞬時に理解し、身を乗り出す。しかし、その体は走る快感にビクンと震わせられた。
「たまっ、あぅぅっ!!」
「だめよぉ、水乃ちゃぁん。あなたはここであたしが相手ぇ」
はぁと熱い吐息を吐く水乃の耳元に朱美が囁く。
水乃はギッと歯を噛みしめて、朱美から逃れようとした。
一方、魂希の体はガクンと崩れ落ち、その後ハアハアと熱い吐息を漏らし始めた。そろそろと両手が動き出し、胸へ、そして秘裂へと伸びていく。
乱れた服の中へと自らの手が滑り込み、うねうねと自らに刺激を与えていく。
「ハァ・・・・・ハァ・・・・・うぅぅ・・・・・」
荒い吐息に混じる苦悶の声。絶望に耐えるような、どこか泣きそうな貌で魂希は体を刺激していく。
水乃はそんな魂希の姿を見て、必死に朱美から逃れようとするが、朱美から流し込まれる快感に力を奪い取られていく。
「はなしっ・・ぅぁっ!! なさいっ・・・ひくぅっ!! よぉ・・・・・・」
一度イカされた体は意志に反して、快楽に流されていく。
朱美を振り解こうと力を入れた筋肉は弛緩し、魂希に呼びかけるためにだした声は嬌声を混じらせて尻すぼみに消えていく。
しかし、水乃は諦めず、何度も何度も同じ事を繰り返し、その度に朱美に妨げられていた。
「ひぅっ・・・・このっ・・ぅぁ・・・・・・はなぅ・・・・なさいぃ・・・・」
「だぁめ。水乃ちゃんはあたしと見物なのよ」
そう言って、朱美はフッと首筋へと息を吹きかける。鋭角的な刺激が体に走り、水乃はビクンと体を震わせた。
「うぅぅ・・・・・・・ぅぅぅぅ・・・・」
魂希がごろんと転がり俯せになる。床に胸を擦りつけ、両手で秘裂を弄っていく。
泣きそうな、それでいて怒っていそうな奇妙な貌。その貌は何かを必死に耐えているようにも見えた。
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
ゴロンと再びひっくり返る。
仰向けになった魂希は右手を胸へと持って行った。
乱暴に胸を鷲掴む。ビクンと体が震え、伝わった痛みに呻き声を上げながらもぐにぐにと胸を揉み始めた。
ハァハァと乱れた呼吸が魂希の口から零れ出す。
「どうっ・・・・してっ・・・・・・」
魂希の口から苦悶の声が漏れる。
ズボンと同じように服の胸の部分も力任せに破り捨て、さらけだされた胸を乱暴に掴む。ぐにぐにと力を込めた手の動きに従い、胸が変形しクリトリスが弾かれる。しかし、魂希の苦悶は晴れる事がなく、逆に苦しみを増していった。
「どうしてぇ!!」
嘆きにも似た叫び。一つの思いが魂希の中を駆け巡っていた。
ビクンと魂希の体が震える。口からは意味不明な言葉が漏れ、ぎゅっと瞑った瞼の端からはつ、と涙が零れていた。
「たまっっひぅっ!」
前へと乗り出しかけた水乃はクリトリスを弾かれ、その刺激に勢いを失う。
朱美はクリトリスをこりこりと刺激し、その刺激に水乃は体をブルブルと震わせた。
「た・・・・ま・・・・っ・・・きぃ・・・・・ひいぅっ!!」
「さっきから言ってるでしょぉ。水乃ちゃんは、あたしと見物。あの子がどうなるかを・・・・ね」
くすりと隣で朱美が笑う。水乃の一挙一動に気を配りながらも視線は魂希に釘付けだった。
ビクビクと体を震わせ、その度に汗と愛液を飛び散らせる。
絶え間ない快感に晒されていても、どうしても絶頂へと達する事ができない。
「イケない・・・・イケないイケないイケないイケないイケないイケないイケない・・・・・・イカせてよぉっ!!」
自らの手でクリトリスを弾く。その刺激にビクンビクンと体を震わせるが満足にはほど遠い。
ハアハアと呼吸を乱し、快楽に晒されながらも胸を揉む。
ビチャビチャと股間から愛液を掻き出しながら、指を差し込む。
その度に魂希の脳は快感に灼かれビクビクと体を震わせながらも絶頂を追い求める。
魂希は既に限界が近づいていた。
「あああああああああぁっ!!! ああああああああああぁっ!!!」
手が動く度に魂希の体がビクビクと震える。しかし、魂希はこれっぽっちも絶頂を迎えられない。
閉じていた瞳は見開かれ、だらだらと涙が零れる。延々と開き続けていた口からは涎が垂れる。乱暴に握りすぎた胸は内出血し、手の後が赤黒く残り、指を差し込んでいた秘裂から零れる愛液には赤いものが混じり、ピンク色に変色していた。
「イカせてっ! イカせてぇぇぇぇぇっ!!!」
絶叫と共に魂希の体が反り上がる。しかし、それでも絶頂を得る事ができなかった。
「たまきぃっひぅ!!」
水乃の声が小さく沈む。ペロリと朱美は首筋を舐め上げた。
「さぁ、水乃ちゃん。気持ちよくなる時間だよぉ」
「ひぅっ!!」
そう言うと朱美は指の動きを変化させた。
水乃の口から嬌声が零れる。これまでじわじわと湧き上がっていた快感が一気に責め立ててくる。その快感に踊らされて、水乃は体を震わせた。
首筋を舐め上げられ、胸を揉まれる。そして、愛液が溢れている秘裂に指を出し入れされた。
ジュブジュブと音が鳴る。
「水乃ちゃん、いい音が鳴ってるよぉ。聞いてるぅ?」
「そんなこといわぁ・・・・ああぁっ!!」
ふるふると弱々しく首を振るが、言葉を言い終える前に自らの嬌声にかき消される。
固く勃起した乳首やクリトリスをこりこりと刺激し、ふぅっと息を吹きかける。
ぞくっとした感覚が水乃を襲い、ビクンと体を震わせた。
「くぅっ・・・・あぅっ」
じたばたと朱美の体の中で水乃はもがく。その動きは魂希を助けるためのものか、それとも快楽から逃れるためのものか。
体を走る刺激。その刺激にビクンと水乃は体を固まらせる。
その隙につうと微かに指を這わせる。ハァという吐息。固まった筋肉が弛緩していく。
「ぅぅぅ・・・・・ひぁうっ!!」
クリトリスをひねり上げられ、嬌声が漏れる。
ビクビクと震えて、熱い吐息を零す水乃に朱美はどんどんたたみかける。
柔らかく変形する胸を優しく揉み、秘裂に差し込んでいる指の動きを速くする。舌の先だけを首筋に触れさせ、つつつと動かしていく。
「ひぁっ、あぅっ、くぅぁっ!」
「いい声ぇ。もっと、もっと聞かせてよ」
「ああああああっ!!!」
ピンとクリトリスを弾かれる。脳に叩きつけられた快感に水乃はビクンと体を反らせた。
一瞬後、ガクンと水乃の体から力が抜けて朱美に寄りかかる形になる。
「気持ちいい・・・・・の?」
横からかけられる声。見ると魂希が水乃達を見ていた。否、血走った瞳で凝視する様は睨んでいると言った方が正しい。はぁーっはぁーっと荒い呼吸を漏らし、俯せで水乃を見ていた。
「た、たま・・・き・・・ちゃん」
「気持ち・・・・・いいの?」
もう、足に力が入らないのか、ズリズリと匍匐前進のように腕の力だけで魂希は水乃達へと近づいていく。
「気持ち・・・・・いいん・・・・・でしょ?」
ハァーッ、ハァーッと荒い吐息を吐きながらジリジリと進んでくる。その様、その姿はまるでB級ホラーに出てくるようなゾンビ達のように思える。
「たま・・・・・きちゃん・・・・ひぁぅっ!!」
その姿。その貌に水乃は戦慄する。
そして、そんな魂希の、水乃の姿を嘲笑うかのように朱美が指を動かす。体に走る刺激にビクンと水乃の体は震え、口からは喘ぎ声が漏れた。
その声、その姿を魂希は逃さなかった。
「狡い・・・・あなただけ・・・・・・」
口の端から垂れた涎。だらだらと垂れた涎は床に一つの筋を作り、その筋は自らの体で擦り上げられていく。
「イッて・・・・あんただけぇ・・・・・・」
涙も乾いたその瞳。真っ赤に充血したその瞳でギロリと水乃を睨む。その瞳には思慕の感情などまるでなく、羨望と妬みそして憎しみが瞳の中に入り交じっていた。
「たま・・・・はあぁぅっ!!」
ビクビクと水乃の体が震える。ハアハアと熱っぽい吐息を漏らし、与えられた快楽に蕩けた瞳で魂希を見る。
「あんただけぇ・・・・・・あんただけぇ!!!」
ギリギリと歯を噛みしめる音が部屋に響く。水乃を見る魂希の貌は普段からはとても想像できないほど憎しみに染まり、人を射殺せそうな程の眼差しだった。
水乃に向けて手を伸ばす。その手はブルブルと震えていた。
「あたしもっ! あたしもイカせて!! イカせてよぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
その瞬間、ビクンと魂希の体が大きく震えた。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ビクンビクンと跳ねるように体が震え、ぷつりと糸が切れたように崩れ落ちる。
「魂希ちゃん!!!」
水乃は悲鳴にも近い叫びを上げる。
クスリと朱美は僅かに笑い声を上げて水乃を解放して、テレポートでどこかへと消えていった。
延々と快楽を与え続けられた体には力が入らず、水乃はガクンと崩れ落ちながらも魂希へと駆け寄った。
「魂希ちゃん、魂希ちゃん!!」
「イカせて・・・・・・・・イカせて・・・・・・・」
水乃は魂希の体を揺すりながら声をかける。
それにも刺激を感じるのか、ビクンッビクンッと時折体を震わせる魂希。その瞳は既に焦点があっておらず、口はただ同じ言葉を繰り返すのみだった。
「魂希ちゃん・・・・・魂希ちゃん・・・・・」
「イカせて・・・・・イカせて・・・・・・・イカせて・・・・」
水乃の声が弱々しく、小さくなっていく。
もはや、魂希は元に戻らないと、頭のどこかで理解していた。
「たま・・・・き・・・・ちゃん」
言葉が嗚咽に濁っていく。
ぎゅっと閉じた瞼の端からぽろぽろと涙が溢れ、火照った頬を伝って、顎から魂希の体へと零れ落ちていった。
「イカせて・・・・・イカせて・・・・・イカせて・・・・・」
「たまっ・・・・きっ・・・ちゃっ・・・・・ごめっ・・・・ごめんねっ・・・・」
薄暗い部屋の中。絶望に包まれたその空間には魂希の呟きと水乃の嗚咽が響き続けていた。
< つづく >