霧と太陽のジュネス 保健室の章

“保健室の章”

 行為を終えた僕らは、小さなテーブルに向かい合って、マナの買ってきた弁当を食べる。
 でも今日も、最後まで食べきらないうちに、僕の胃は苦しくなってくる。
「ごちそうさま?」
 マナが覗き込むように顔を近づけてきた。僕は頷く。
「私も、ごちそうさまでした」
 両手を合わせて、マナがぺこりと箸を置く。
「テレビ、つけてもいい?」
 僕は頷いた。テレビが深夜のニュースを流し始めた。

『各国首脳は金融危機の拡大により、世界経済が最も困難な局面に直面しているとの認識を―――』
『先週12人を殺傷し、休日の商店街に惨劇を起こした容疑者の両親が、本日我々報道陣の前に姿を現わし、土下座で謝罪を―――』
『世界各国の武力紛争地域は年々増加を続け、国連PKOの出動数は今年も昨年を上回り―――』

 気持ちが悪い。吐き気がする。頭がギリギリする。
 今日も人々の悪意と不幸と暴力を燃料に、全ての希望をカラ回りさせて、世界は坂道を転げ落ちていく。
 くだらない。なんてくだらないんだ。
 僕はもっと素晴らしい世界を、かつて知っていた。

(俺とタイヨウのコンビは最強だ)

 そうだ。
 僕たちは最強だった。無敵の子供だった。何を恐れることなく、素直に生きてきた。

(俺とタイヨウのコンビは永遠だ)

 そのとおり。キリヤはいつも正しかった。間違ったのは僕1人だ。悪いのは僕だ。
 助けて。謝るから早く助けに来て。僕をひとりぼっちにしないで。
 キリヤ。
 僕には君が必要なんだ。

「……タイヨウ、大丈夫? 顔色悪いよ?」
 洗い物から戻ったマナが、近づいてきて僕の背中を撫でる。生温かくて、ざわざわした感触が胃から込み上げる。
 僕はマナの手を払う。マナは、それでも僕に寄り添ってくる。カバンを引き寄せて、中から煙草の箱を取り出し、1本咥えた。安いライターの石が弾けて、マナの唇から嗅ぎ慣れた煙が零れる。
「吸お? ほら、楽になるよ」
 火のついた煙草を差し出して、僕に咥えさせる。メンソールと、それに混じった変な匂い。でも、これを吸い続けると、そのうち頭痛も止んで胸が楽になっていく。何も考えなくていいって、そんな気持ちになる。
 別の煙草に火をつけたマナが、僕の肩に頭を乗せる。
「幸せだなぁ。タイヨウ、私すごく幸せだよ。タイヨウと一緒にいられて……」
 肺に吸い込んで吐き出すだけで、僕の頭の中からどんよりと黒いものが流れ出て、気持ちは楽になっていく。
 ゆらゆら、ゆらゆら、僕に寄りかかったマナが体を揺らす。僕は波のようにその揺れに任せる。
 マナの手が僕の胸をまさぐる。さっきまでの不快感はもうない。トランクスショーツにTシャツのマナ。今日も彼女は色っぽい。
 腰を抱き、その肉付きのいい尻の感触を楽しむ。くすぐったそうに、マナは体を寄せてくる。
「タイヨウ……ここに、手、入れていい?」
 しなだれかかったマナの手が僕の股間に潜る。スウェットの中に潜ってトランクス越しに僕の陰茎を捕らえて、指が上下する。
 僕はマナの胸に手を這わせる。マナは鼻にかかった声を出す。揉む。握りしめる。Tシャツに浮き上がるマナの乳首。固くなっていく僕の陰茎。マナが鼻にかかった声をだす。
「やんっ」
 僕はベッドの上に乱暴に彼女を押さえつけた。膝を床につけて、布団に顔を埋めたマナの下着を、一気に引きずり下ろす。
 マナは抵抗しない。灰皿をベッドのそばに寄せ、灰を落として、また咥える。
「いいよ、タイヨウ……来て」
 煙を吐き出しながら、マナは僕を振り返る。煙草を深く吸い込み、挿入する。
「あぁっ!」
 マナの中はあまり濡れてなかったけど、腰を揺すってるうちにすぐ濡れてくる。彼女は濡れるのが早い。僕とのセックスに体が馴染みきっている。
「あぁ! タイヨウ、タイヨウ!」
 テレビから流れるニュース。マナの嬌声。彼女の尻が立てる卑猥な音。
 やがて僕の中から雑音が消えていく。僕の呼吸と心臓の音しか聞こえない。時間がゆっくりと流れる。僕の息づかい。反射光。窓に映る男と目が合う。女を犯すことしか知らない、愚かで貧相な僕の顔。僕はそんな自分から目を逸らす。
「いいっ…あぁ、気持ちいいよぉ、タイヨウ!」
 頭の中を占めるのは、キリヤと過ごした幸せな毎日だ。
 僕たちは無邪気で、エロくて、幸福な子供だった。
 悩んだことも、ケンカしたことも、2人で泣いたことも、どの想い出も全てが美しすぎる。
 眠る前には、目が覚めればあの日に戻っている奇跡を願う。
 そして昼すぎになって、絶望と後悔で目が覚める。
 セックスに寄りかかって生きる毎日。
 腐っていく自分がわかる。

 今の僕を生かしているのは、輝かしく微笑むあの頃のキリヤだ。

 彼との想い出を、1つ1つ拾っては追いかけていく。
 記憶は毎日すり減っていく。僕をそれを必死に繋ぎ止める。
 頭はグニャグニャ。涙はボロボロ。
 でも、僕にはそれがないと生きていけない。僕は地べたを這いずり回る虫。どんよりとした記憶の底でキリヤを探す。没頭する。僕の心は満たされる。狂えば終わりだ。終わるんだって。

「いいよっ、タイヨウ! もっと、もっとォ!」

 もっと。
 もっと。

「あなたは現在22才。今、中学時代にまで遡っていたあなたの記憶を現在に引き戻します。落ち着いて、ワタシのいうことを聞いて」
 混乱する。
 ざわざわする。
 心臓がドキドキうるさい。
「あなたは心の病気なの。その原因は、少年時代のあなたにある。ワタシはそれを解決するためにいるのよ」
 心の病気。異常。
 不安と拒絶が同時に迫る。怖い。逃げたい。
「待って。落ち着いて聞いて。何も怖くないの。簡単にあなたは治るの。だから、怖がる必要はないわ。ね?」
 温かい手が、僕の額に触れる。柔らかくて気持ちいい。
 少しずつ落ち着いてくる。
「大丈夫。あなたはすぐ治る。大丈夫よ」
 僕は大丈夫。簡単に治る。僕は自分に言い聞かせる。
「ワタシの言うとおりにすれば、すぐ良くなるわ」
 優しい声が僕の心に染み入っていく。僕は安心していく。
「あなたの心を閉じこめているのは、おそらくその少年時代のナツミキリヤ君との想い出ね。でもね、あなたの話を元にいろいろと調べてみたんだけど、どうしても見つからないの」
 見つからない。
 不安がむず痒く僕の心をくすぐる。
 一体、何が見つからないというか。
「あなたがナツミ君としてきたという様々なイタズラが、本当にあったという証拠は、どこにもないわ」
 なんだ、そんなことか。
 そんなもの、あるはずない。
 だって僕らはこういうこと慣れてる。後始末のプロだ。世の中をめちゃくちゃにしようなんて考えてない。
 僕らはただ遊ぶだけだ。遊ぶ場所を壊しちゃったらもう遊べなくなるって、子供でもわかる理屈。
 ですよね?
「あなたたちの通っていた高校の記録によると、ナツミキリヤは同校の2年、当時17才のときに交通事故で死亡。成績優秀、品行方正で教師や同級生の評判はよかった。あなたの恋人もそう言ってるし、他の同級生に聞いても同じ。警察の記録もこれと同じ」
 キリヤが17才で死亡。
 頭が痛い。気分が悪い。何も聞きたくない。

 いつものキリヤが見える。
 キリヤは笑ってる。僕と一緒にいる。僕とめちゃくちゃやっている。キリヤはいつも僕のそばにいる。

「幼い頃に両親を立て続けになくしたナツミ君は、それにもめげずに学業にも素晴らしい成績を残し、友人たちにも好かれる好青年に育った。あなたの記憶にあるいやらしくて傲慢なナツミ君と、現実のナツミ君はまるで違う」
 違う。
 間違ってるのは記録の方だ。
 僕たちは完璧で最強だから。世界中の人を欺いているから。
 誰も僕たちのやってることなんて知らないんだ。
 先生。あなた以外は。
「ナツミ君はあなたの親友だった。あなたは彼のことがとても好きで、崇拝していた。両親のいないあなたにとって、彼はまさに親友で母親で恋人とも言える存在。なのに、彼は突然いなくなった。その事実に耐えられないあなたはナツミ君の虚像を作り上げる。超人的な力を持つヒーローとしての彼を……あなた、小説家志望だったんですって? 想像力はとても豊かね」
 虚像じゃない。
 キリヤはいる。
 僕は知っている。
 僕はウソなんてついてない!
「落ち着いて。いい? あなたが思い描いている過去の事実は、当時の関係者全てが否定している。証拠もないの。これがどういう意味かわかる? もう一度、過去に戻りましょう。高校生。中学生。そしてナツミ君と初めて会った頃まで。時間をかけていいから、あなたの妄想ではない、本当の過去を思い出して。そこにナツミ君はいる? 彼はどんな人物? あなたの中の、ニセモノのナツミ君はそこにはいないはずよ」

「あぁ、そうなんだ」
 怯えた顔で僕を見るカホちゃんに、僕は作った笑顔を見せた。
「そうなんだって……どういう意味ですか?」
「君の言うとおりだってことだよ」
 今朝、ダンス部の先輩6名を保健室に監禁して犯していたのは僕とキリヤですよ、と生徒会長らしく堂々と宣言する。カホちゃんは、どうして僕がこんなに平静にしていられるのかわからないみたいで、戸惑った顔をしている。
「誰にも言わないでくれるとありがたいんだけど」
「い、言えるわけありません、こんなこと! でも、でも、私、信じられない……」
「あぁ、気にすることないよ。大丈夫」
「私が大丈夫じゃないんです!」
「ごめん。またあとで話していいかな?」
 次の授業までもう時間がない。
 カホちゃんは表情を強張らせて、コクリと頷くと1年教室に続く階段を昇っていった。
 白いソックスの清楚さが印象的だ。マナに教えてもらった店で切ったという髪は、前よりも清潔感があって、なんだか最近おしゃれにも目覚めたと見える。そろそろクラスの男子あたりにもモテ始めているに違いない。

 自分がキリヤのお気に入りで、さまざな行為を調教済みの奴隷であることを彼女は知らないんだ。

 僕たちに日常離れしたことをされても、それを覚えている人間はこの学校にいない。
 今の彼女みたいに、たとえば偶然に僕たちの行為を目撃したとしても、それを僕たち以外の誰かに喋るか、あるいは学校の外に出た時点でそのことを忘れてしまう。
 3年間もある学校生活を有意義なものにするには、自分たちは自由勝手に振る舞いつつも、いかに他の生徒には普通の学校生活を送ってもらうかが肝要だった。
 一度秩序を大きく乱してしまうと、それを修復するには結構な手間と不都合が生じる。子どもの頃から何度かそれで失敗もして、僕たちは自分たちの遊び場を守るルールを作りあげていた。
 自由の代償には、多少の苦労と根回しも必要だ。僕たちは職員室と放送室の常連だった。
 ということで、彼女はこのまま放っておいても明日には大丈夫だけど、今日は生徒会もあるので、その前に彼女の記憶を消してもらったほうがいいだろう。

 さてと、キリヤは……まだ教室で寝てるのかな?

 僕の中…ニセモノ……。
「そう。そう言ったのよ。あなたは両親に棄てられた悲しみから、自分を守ってくれる強い存在を欲していた。孤独から救ってくれるヒーローを欲した。ナツミ君は頼もしい友だちだったけど、彼もまたあなたの前からいなくなった。孤独になったあなたの求める存在は、あなたの心の中で作り上げるしかない。そうして生まれたのが『あなたのナツミキリヤ』よ。あなたの中にしか存在しない、もう1つの人格」
 カシイ先生の体温が額から伝わる。
 寂しさを感じるのと同時に、キリヤのまぶしい笑顔が浮かぶ。
 図書室での、初めての会話を思い出す。ハワイの月を思い出す。
 ウソだ。
 キリヤはここにいる。
 現実だ。
「でも厄介なことに、それは本当に最強の存在だったの。あなたは彼に依存し、巨大の力を与えた。あなたの世界はナツミキリヤに塗りつぶされ、幼稚で身勝手で下品な妄想にすり替わってしまった。あなたがそれを望んだから。わかる?」
 わかるわけない。
 それこそ幼稚な妄想だ。
 僕はそんなこと望んだこともない。
「あなたは想像し、あなたの世界で実現していく。ナツミキリヤとの奔放で身勝手な毎日を。女を犯し、欲しいものを奪い、凌辱する人生を。彼はあなたの奥底に眠る願望を全力で発現させる。あなたたちはその中で自由に他人を操り、女の子たちにかわいそうなことを繰り返すの」 
 頭が痛い。
 おかしな光景がチラつく。
 僕がいる。
 キリヤがいる。

 

 いつものように無茶苦茶をする僕らは、5、6人の女の子を、自分たちの手で全裸に脱がせていた。窓からおしっこさせた。裸のままヒップホップを踊らせてた。
 みんなダンス慣れしてて上手い。特に大きな胸をした子が上手い。彼女はエッチだって上手かった。大人顔負けのスタイルは抱き心地良かった。
 次に僕はその隣の小柄を女性を選んで、ベッドの上で抱き寄せる。キスをすると、彼女は怯えるように震えた。構わず小ぶりな胸を揉む。肌を吸う。控えめな声を出して彼女は感じ始める。地味な顔立ちも、性の感覚に体を火照らせ始めると女らしさを垣間見せて可愛く見えた。
 僕は彼女をベッドの上に倒し、足を広げさせて、挿入する。
 ぴったり張り付いた粘膜を割っていく感触。高い悲鳴。予想通り処女。当たりだ、と僕はキリヤは報告する。
「あーあ、かわいそうに」とキリヤはビールを飲みながら笑った。
 キリヤの着ている服は知ってる。彼は有名な私立高の制服を着崩していた。今よりも大人びていて、背だって高かった。
 そのキリヤが、僕の組み敷いている彼女を指して言う。
「俺に告白してきたの、そいつだぞ」
 それはゴメンと、僕も笑う。

 ……なんだそれ。
 知らない。
 僕はそんな記憶は知らない。僕らはまだ中学生だ。
「あなたは知っているはず。ナツミキリヤがどれほど危険な人物か。そしてあなた自身がどれだけ彼に染まってしまっているか。あなたの中でどんどんナツミは肥大し、あなたの内面を浸食している。彼の行動を肯定すればするほど、あなたの精神も崩壊に近づく」
 ウソだ。そんなのありえない。
 キリヤは本当にいる。僕の親友だ。僕の作り物なんかじゃない。僕はキリヤを否定したくない。
「彼は残酷で無慈悲な人格。あなたの歪んだ自己愛を形にした人間。彼に溺れれば、あなたもまとな人間としての感覚を失うわ。彼はあなたを楽しませるためなら、他人の命すら平気で踏みにじれる男よ」
 違う。キリヤはそんな奴じゃない。
 ずっと一緒にいたから、僕の方がキリヤのことは詳しい。
 あいつは本当はイイ奴なんだ。特別な力を持って生まれてしまっただけで、中身は普通の人間なんだよ。
「それじゃあなたは、ナツミがあなた以外の人を愛することがあると思う? 空を見て、景色を見て、この世界の美しさに感動するような人間だと思う?」
 そんなことは重要じゃない。
 キリヤは僕と一緒にいる。僕がいればキリヤだって無茶はしない。だから、ずっと大丈夫なんだ。
「このままじゃあなた自身もいずれ崩壊するわ。早く今のナツミキリヤを忘れなさい」
 忘れるってなんだ。僕にどうしろっていうんだ。
「殺すのよ」
 バカげてる。
「あなたにしかナツミキリヤを殺すことはできないし、あなたを救う手段はそれしかない。ううん。これは彼のためでもあるの。あなたのせいで無謀な力を与えられた不幸な少年を解放するためにも、あなたの手で殺してあげて」
 できるわけない。僕にキリヤが殺せるはずがない。
「よく聞いて。これは殺人ではないわ。あなたの頭の中にあるナツミを殺すの。ここはあなたの頭の中で起きてる出来事。ここはあなたが作ったあなた1人のための世界。でもこの世界にナツミキリヤは危険な存在なの。だから、治療するのよ。これはあなたのための治療で、自立のための決別の儀式。殺人じゃない。だからあなたは実行する。ワタシの言うとおりにする。そうすることでみんなが助かる。ワタシたちみんなが」
 重い。重い。その手をどけて先生。苦しい。
「考えて。とても簡単なことよ。悩む事なんてないわ」
 僕の額の上にあった手が、ゆっくりと離れる。僕は息をつく。そして頬を両手で挟まれる。

「……ワタシのナイトになってくれるって、約束したよね? あなたはワタシを失望させないよね?」

 唇に息がかかる。さっきまでの熱い抱擁を思い出す。でもその命令の冷たさに僕は泣きたくなる。
「ナツミキリヤを殺しなさい」
 口を開く。喉が詰まる。まるで泥の中みたいに空気がとても重く感じる。
「無理…です」
 ようやく出てくる僕の声も、やはり溺れたみたいに掠れて弱々しい。
「できま…せん…僕は……キリヤを……」
 嗚咽が込み上げる。息が苦しい。どうしても僕はキリヤを殺さなきゃならないんだろうか?
 悲しい。
 キリヤと別れるのは悲しい。
「あなたは殺すの」
「僕…でも……」
 キリヤは僕の一番の親友。
 でもカシイ先生は僕の一番大事な恋人。
 悲しくて仕方ない。
「大丈夫よ。あなたは、すでに成し遂げている。あなたが思い出せないなら、ワタシが教えてあげるわ」
 カシイ先生が優しく僕の頬を撫でる。
 彼女の呼吸が忙しなくなっていく。声に粘りが増していく。
 何かがまとわりつく。僕の中に入ってくる。
 気持ちが悪い。入ってくる。彼女が僕の中に入ってくる。
「ナツミを殺したのはあなたよ。あなたがナツミを車でぐちゃぐちゃに潰して、銃を撃ち込んで殺したのよ」
 やめて。
 こっちに来ないで、カシイ先生。
 僕の頭を掻き回さないで。僕の中に入ってこないで!

「さあ、目を開いて、見なさい。あなたはそのとき17才。夜中にナツミキリヤを呼び出して、車のエンジンをかけたわ」

 時計を確かめるキリヤを、僕は車の中から見ている。
 午前1時。
 先日閉店したファミレスがポツンとあるだけで、人通りはまったくなかった。まるであつらえたように、舞台は出来上がっていた。
 嫌になる。僕は冷え切った手でスイッチを回した。ベンツのエンジンが低く唸った。

(そう。そしてあなたはピストルも持っている。ナツミのくれた銃よ)

 シートに背中を預けた拍子に、ゴリっとした痛みが走る。ベルトに挟んでいた銃のことを思い出して、また憂鬱な気分になる。僕はそれをジャケットの内ポケットにしまい直した。

(大丈夫。あなたならできるわ)

 やるしかないんだ。わかってる。わかってるんだって。
 僕はギアをドライブに入れる。坂道を緩やかに登る。一度、キリヤの姿が見えなくなるところまで進んで、方向を変える。深呼吸する。
 人の姿はない。誰かいればいいのに。そして僕のバカな暴挙を止めてくれればいいのに。

(いくわよ)

 僕はブレーキを離す。ゆっくりとベンツは前に転がっていく。アクセルに足を乗せる。踏む。エンジンが応える。さらに踏む。走る。坂道を真っ直ぐキリヤに向かって。

(もっと速く)

 スピードメーターは狂ったように上がっていく。足元の感覚はなくなっていく。ベンツは唸る。鎖を解かれた獣のように。僕も唸る。赤子みたいに。

(大丈夫。あなたならできる)

 頬が引きつる。自分が笑ってるんだと気づく。やるよ。やるとも。
 キリヤがこっちを振り向いた。怪訝そうに見ている。僕とベンツとキリヤの視線が一本の線になっているだけで、邪魔者は何もなかった。
 爽快にすら思えた。エンジンの音が気持よかった。
 僕とキリヤだけの世界だ。
 もう何も考えたくない。何もいらない。

(速く! もっとスピードを上げて! 殺せ! 殺しなさい!)

 うるさいなぁ! 黙ってろよッ!

「……タイヨウ、何やってんだ?」
 突然、キリヤの声が割って入った。
 カシイ先生の手がビクリと跳ねて僕から離れた。
「えっ!?」
 ガタガタと椅子が崩れる音がする。僕の体は重くて動かない。足音が近づいてくる。
「おい、タイヨウ。どうした? 起きてんのか? おーい」
 聞こえる、けど、大丈夫かどうかは自分でもわからない。動けない。
「やめて! こっち来ないで!」
「あ? なんだよ? 何してんだよ、これ?」
 カシイ先生が悲鳴を上げる。何かが倒れる音がする。ガラガラと落ちていく。
「ふざけんなよオイ。お前、タイヨウに何した? 全部しゃべれ」
 絹を裂くように、カシイ先生が叫ぶ。
 まぶたも重くて開かない。僕はキリヤを止めたいのに、声も出せない。頭の中をいろんな光景が駆け巡る。

 教室でマナとキスする僕。音楽室でハタヤマを抱く僕。校長室でキヨタを抱く僕。机の上で女の子を抱く僕に、ノートを広げるキリヤ。めちゃくちゃなステージ。1つのイヤホンを使って登校する僕とキリヤ。ケンカする僕とキリヤ。ウサギ狩り。修学旅行で知らない子とお風呂に入る僕。マナの家で受験勉強。僕たちは高校生になった。入学式はいつもの裸パーティー。キリヤが僕の奴隷を作る。女生徒だらけの教室で1人ずつ抱いていく。シャワールームのドア越しに泣く女の子。僕に向かっておしっこする女の子。知らない男子生徒が笑ってる。僕は彼と向かい合ってる。「あとは頼んだからね」と彼は優しく僕の肩を叩く。笑って窓から飛び降りる。僕はそれを呆然と見ている。
 目が回る。
 記憶が回る。
 未来が回る。

 僕はその遠心力に吹っ飛ばされる。

「…タイヨウ。起きろよ。起きろって」
 誰かが呼んでる声で僕は目が覚めた。
 キリヤが僕の顔を覗き込んでいた。僕と目が合うと嬉しそうに笑った。でもすぐに変な顔をした。
「お前、ひっでぇ顔してんぞ? 大丈夫か?」
「……ここ、どこ?」
「保健室」
 僕は寝たままぐるりと見渡した。薬品の匂いと白い天井。
 ここは中学校の保健室だ。
「こんなとこで何してたんだよ? つーか、この女、なに?」
 そうだ。カシイ先生。
 僕は重たい体を無理やり起こした。
「カシイ…先生は……?」
「あ? カシイっつうの、これ?」
 キリヤが、自分の腰掛けるベッドの後ろで倒れている女の腕を、引っ張り上げた。力なく持ち上がったそれは、キリヤが手を離すとぱたりと落ちる。
 顔は向こうを見ているから僕から見えない。でも間違いなくカシイ先生だった。
「ど…したの?」
「死んだっぽいな」
 あっさり言うな。
「俺じゃねぇぞ。なんか怯えてて怪しいし、何してんのか聞こうと思ったら、胸を押さえて倒れたんだ。そんでキモいから黙って見てたら動かなくなった。心臓じゃね?」
 心臓。
 確かに彼女がそんな様子を見せるところを、僕は何度か見たことある。本人の口から、そうと聞いたことはないけど。
「俺は知らないぞ。マジで」
「うん。わかってる」
 カシイ先生が死んだ。
 あれほど強い感情を寄せた相手なのに、不思議と悲しくはなかった。
 僕は彼女の死という事実をすんなり受け入れ、安堵すら感じていた。
「で、こいつ、なに? お前のなんなの? つーかさ、最近のお前、変だぞ。こいつと何かやってたのか?」
 彼女は僕の恋人で、この学校のカウンセラー。僕たちの秘密を知っている人。
 でも今は全部違うように思えた。ぽっかりと何かが抜け落ちて、さっきまでの自分がウソのように思えた。
「彼女は……キリヤを抹殺するために送られてきたスパイで、僕を催眠術で操ろうとしてたんだ」
「はあ? それなに? 007?」
「キリヤは僕の妄想の人格で、本物のキリヤはいないんだって言ってた」
「くだらね」
 キリヤは笑う。僕はまだ混乱している。
 僕が見たのはなんだったんだ。過去か未来かねつ造か、自分でも整理できない。
 どれが本物で、どれがニセモノなんだろう?
「うりゃ」
「イテッ!?」
 キリヤに足を蹴られた。なにすんだよ、とキリヤを睨む。
「もしも俺が妄想なら、こうやってタイヨウのこと蹴飛ばせないだろ?」
 だからって、本気で蹴ることない。
「変な女に騙されてんなよなー」
 キリヤはケラケラ笑ってる。いくら僕でも、それぐらいの区別はつく。キリヤは本物だ。間違いなくここにいる。 
「ま、いいや。さっさと帰ろうぜ」
「いや、待って。なんかまだ頭がぐるぐるする」
 焦点がなかなか合わないし、半分寝ているみたいに、いろんな光景がチカチカして、起きてるのが辛い。
 そう言ったらキリヤは僕に肩を貸してくれた。
「しょーがねーな」
「ごめん」

 保健室を出ると廊下は蒸し暑かった。
 近くでセミの声も聞こえる。
 現実を実感した。

 カシイ先生は、僕が秘密を教えちゃったせいで、おかしな正義感に駆られたに違いない。
 彼女は僕にデタラメを吹き込んで、キリヤを妄想だと思いこませて、僕にキリヤを殺させようとしたんだ。
 あんなの全部ウソだ。
 僕が本当はもう大人だって言ったのも、僕の頭が変になってるって言ったのも。僕のことを好きだと言ったのだって、全部ウソだったんだ。
 でも、キリヤはここにいる。僕のすぐそばにいてくれる。
「……ごめん、キリヤ」
「あー、いいって、別に。つーか、しっかりしろよな、タイヨウ」
 僕にはキリヤがいる。僕はキリヤを信じる。
 だから、何も不安になることはない。

 それなのに、彼女に吹き込まれたおかしな光景は、今も目の前をうるさくチラつく。
 脳裏に粘っこく絡みついて、気持ち悪い。
 ハンドルを握る僕。
 ヘッドライトに浮かぶキリヤ。

「……僕がそのうち、キリヤを殺すっていうんだ」
「あの女?」
「うん。あの女」
「いつ?」
「17才」
「ふぅん」
 キリヤは、ちょっと考えるように首をぐるりと回して、「あと5年もあるじゃん」と笑った。

 どうでもいいが、キリヤはモテる。
 例のヘンテコパワーを使わなくても、ほっといても女の子はキリヤに寄っていく。
 そのことは別に僕も全然コンプレックスとかじゃない。
 キリヤは何をやらせても一番だし、顔もいいし、身長も多少(僕より10センチくらい)高いとか、まあ、女子が騒ぐのも仕方ないかなって思ってる。それだけだ。
 だって僕にはマナだっているし、他の女子とだってヤッちゃってるし、相手に不自由したことないから、全然キリヤのこと羨ましいとか思ってないもんね。
 だから机の中に「放課後中庭に来て下さい」なんて手紙が入っていても、僕はそのことをキリヤに自慢なんてしなかったし、せいぜいトイレの中でちょっと小躍りしたくらいだし、放課後のチャイムダッシュも自然な感じで、先に中庭に着いちゃって、後からやってきた隣のクラスのシモダイラさんとタカスギさんに「早っ!?」とか驚かれた程度で、どこもおかしなところなんてなかった。冷静だった。
 ていうか、シモダイラさん?
 マナと双璧をなす、我が1年が誇る美少女代表じゃないですか。
 ふわふわした髪を揺らす彼女は、ほんわりした雰囲気とお人形さん的な顔立ちが印象的な、背の低い可愛い子だった。隣のタカスギさんも、ちょっと性格キツそうな感じだけど美人で、どちらも入学して一週間以内に僕とキリヤがやっちゃった子たちだ。
 2人とも第1週クラス―――つまり、僕たちの好みだ。しかもシモダイラさんの処女を破ったのは僕だ。「大当たりだ!」と大声でキリヤに報告したのを覚えている。
 どっちだろ? どっちでも僕は、かなり嬉しいんだけど。
 僕は喉を鳴らす。キリヤの神通力抜きで、ガチでコクられるという、人生初めてのイベントに僕の緊張は頂点に達する。
「フユキ」
 タカスギさんがニコっと僕に微笑む。君か。あー、まあ、シモダイラさんはないか。まあ、そうか。
「これさ、この子からなんだけど」
 そう言って、あらためて可愛い封筒の手紙を渡される。隣を見るとシモダイラさんが真っ赤な顔を伏せている。
 ドキリとした。マジで? マジでシモダイラさんの方なの? マジダイラさんなわけ?
「ナツミくんに渡しといて」
 うん。ナツミくんの方だね。
 わかってる。そういうオチだってことわかってた。むしろ引っ張りすぎ。一日かけてやるほどのオチじゃない。
 忠告しておくけど、もっとスピーディーにネタを見せないと今どきのテレビに向かないよ、君たち。
「あははっ、何ガッカリしてんだよ。まさか、自分だと思った?」
「まさかー」
 そう言って笑う僕ら。
 僕は手紙を受け取って、明日渡しておくよと言った。そして真っ直ぐ家に帰ろうと思った。涙を見せちゃう前に。
「そういやフユキって、ハラダと付き合ってんだよねー。なんで?」
 後ろからタカスギの声がした。振り返ると、彼女は僕を見下すようにあごを突きだしていた。
「なんで…って?」
「いやー、ハラダって、この子ほどじゃないけど、結構可愛いじゃん? 私たちも最初、ナツミくんの彼女かなーと思ってたんだけど」
 シモダイラさんまでくすくす笑ってる。なんか嫌な感じだった。
「どうして、そっちかなーって思って。ねえ? なんかすごくない?」
 と言って2人して笑ってる。どういう意味かわからないけど、僕だけじゃなくマナも笑われてるのはわかった。
 たとえば今、やらせろって言えば2人とも簡単に僕に犯られる。気晴らしに犯しちゃおうか。そんなこと考えた。
 でもその程度でこの気持ちが晴れるとは思えない。
 僕は携帯を取りだして、おそらくまだ校舎にいるはずのキリヤに電話をかけた。
「もしもし、僕だけど」
 キリヤは僕を捜していたらしく、不機嫌そうだった。
「あ? 誰にかけてんの、お前?」
 彼女たちを無視して電話を始めた僕に、タカスギも不機嫌そうだった。
「2人ほど奴隷にしたい女がいるんだけど、来てくれないかな?」
 僕は小声でキリヤに依頼した。
 
「…ふーん。そっか。それはムカつくな」
「あっ、あっ、あっ、あっ」
「やんっ、あぁ、あん!」
 体育館裏の物置のかげで、僕はタカスギを、キリヤはシモダイラを壁に手をつかせて後ろから犯していた。
「ビッチ女どもが、調子こいてんじゃねーよ」
「あっ、あっ、やぁん!」
 シモダイラの手紙を、キリヤは封も切らずにビリビリに引き裂き、彼女のふわふわ髪の上に雪のように散らせた。
「お前らは今日からタイヨウの奴隷だ。タイヨウが命令したことは何でも喜んで従え」
「はいッ!」
 僕らに犯されながら、彼女たちは声を揃えて返事をする。
 キリヤは本気で怒ってた。僕が侮辱されたことに本気で腹を立ててくれてる。
「タイヨウには逆らうな。どんなことでもしろ。脱げと言われれば脱げ。やらせろと言われたらマンコ広げろ。クソを食えって言われれば食え。むしろおかわりって言え」
「はいッ!」
 キリヤは僕の方をみて、これでOKだと、僕を促すように頷く。
 やっぱりキリヤはかっこいい。最高にいいヤツだ。モテて当然。僕の自慢の友だちだ。
「……お前たちは、今日から僕の奴隷だ。僕のことはご主人様と呼べ」 
「はい、ご主人様!」
 タカスギの膣が緊張したようにキュッと締まった。キリヤは僕に親指を立てた。
「僕の命令は絶対だ。逆らえばお前らの一番嫌いな教師に犯させてやる。明日までに陰毛は全部剃ってこい。朝イチで確認するから、下着を脱いで僕のところに来い」
「はい、ご主人様!」
 ギュッとアソコがしまる。
「今日はこのまま中出ししてやるから、精液垂らしたまま帰れ。家に着くまで絶対拭うな」
「はい、ご主人様!」
 2人とも、僕の命令に素直な返事をする。僕に命令されるたびに、キュウキュウとアソコが締まる。
 もっと言え、とキリヤが僕を促す。とどめを刺せと、ゴーサインを出す。いよいよ彼女たちの体にも緊張が走る。僕は何を言うべきか考える。
「あと……僕にスカトロの趣味はないから、安心しろ」
「はいッ! ありがとうございます!」
 彼女たちは緊張の糸が切れたみたいに、感激の涙を流した。
 キリヤは僕は見て、意外そうな顔をした。

 僕って、周りからどんな人間に見られてるんだろう。

「ねえ、真面目に考えてるのー?」
 うんざりした調子でクツザワが言う。
 可愛い顔してるのに、オシャレがよくわからないので校則どおりに切りましたって感じの短い髪と、面白みのない銀フレームのメガネっていう、いかにも委員長という感じのキャラしてるクツザワは、いかにも我がクラスの優秀な委員長で、僕と将棋指してるだけの副委員長ナツミキリヤに、かなりイラついてるようだった。
 人望だけは余るほどあるけど、人間的に不真面目なキリヤは、文化祭の出し物を検討する放課後トップ会談の席にも、僕を同伴させて遊んでるだけだった。
「……何でもいいんじゃね?」
「何でもいいんだけど、具体的なアイディアも欲しいの。遊んでないで、ちゃんと考えてよね!」
「んー、アイディアなー」
 ここでキリヤが「お前に任す」と言ってしまえば、委員長は了解して1人で考えるだろう。
 でもクラス会議でも意見が出ず、最後の頼りである副委員長にまで見放されるのは、あまりにも委員長がかわいそうだと僕がキリヤを押しとどめて、この会議は長引いている。
 というより、将棋が長引いている。
 意外な発見だったが、キリヤは将棋が弱かった。他人の考えや思考を読む、という発想すらしたことがないキリヤは対戦ゲーム全般が苦手だということが、こないだ判明したのだ。中でもこういう頭脳戦がめちゃくちゃ弱かった。
「俺、全然弱えー。何コレ、おもしれー」
 自分は何でもできると思いこんでいたキリヤは、蟻の王のように将棋にハマった。
 朝から将棋盤を持ってウロウロし、他のヤツで修行を積んでは僕に挑みかかる。だがあいにく、まだまだ僕の敵ではない。逆に僕はこういうのだけは得意だった。
 そうしてすっかり将棋ブームが到来した僕らは、最近ではヒマさえあれば盤を囲っている。
「ステージ発表なんて、だいたいどこも劇とか合唱とかじゃない?」
 僕が口を挟むと、委員長は「そうなんだよね」と言って、それにしても演目くらいは決めないと、と爪を噛んだ。彼女の唯一の悪いクセだが、それをやってるときの彼女の唇は、なんだか少し色っぽい。性に疎そうなその仕草が逆に色気を見せてる。もっとも当の本人は全然気づいてないんだろうけど。
 最近、僕らの周りの女の子は微妙だ。それまでノーマークだった子も、気がついたら急に可愛くなったり色っぽくなったりするから気が抜けない。そういう年頃なんだろうか。僕らにエッチされてるのも関係してるんだろうか。 
 それはともかく、文化祭まで残り1ヶ月を切って、うちのクラスだけがまだ何も決まってないらしい。
 元々こういうことには消極的なクラスだった。キリヤという強烈なカリスマの存在が、逆にみんなの主体性を奪っているのではないかと僕は思ってる。
「じゃ、まず劇か合唱かで明日多数決とってみれば? あと演目なんかは先生に過去の出し物調べてもらって、その中から役員で選ぶとか」
「うん。でも演目は私―――」
「やだよ。そんなありきたりなの、つまんねーよ」
 キリヤが、建設的でお気楽な僕の意見に横やりを入れた。委員長は「そうよね。ありきたりなのつまんないよね」と同調する。
「あー、でも、そうした方が楽でいいかもな」
「うんうん。それが楽でいいかも」
「ちょっと待って、キリヤ」
「ん?」
 何か意見を言いかけていた委員長が、どんどんキリヤに流されていってる。
 いつもそうだ。キリヤが思いつきの意見を無駄撃ちするたびに、僕以外のみんながそっちに流されて、まともな議論は成り立たなくなるんだ。
「キリヤは最終意見だけ言えばいいから」
「えー?」
「てか、黙ってろ」
「ひっでえ」
 クラスの役職持ちではないが、僕はいつも、こんな風にキリヤ発言の監視役みたいになっていた。キリヤも自分の影響力がわかっているから、こういう場所ではだいたい僕も同席させる。
 カリスマ指導者の怠惰と我侭は議論の崩壊を招く。僕は民主主義最後の砦だった。
「委員長は、何かアイディアあるの?」
「んっと、劇なら去年の3年がやってたロミオとジュリエットをパロディにしたやつ? あのシリーズで何作か脚本出てるらしいから、それの和物が狙い目かなって思ってる」
「なるほど」
 去年、優勝は逃したけど印象の強かったネタだ。他のクラスも同じ路線でくるかもしれないが、校長とかの審査員向けに日本の昔話という狙いは悪くない。
 委員長らしい、無難かつ戦略的なアイディアだ。
 彼女は基本的に真面目な子なんだけど、こういう柔軟な発想やユーモアもわかるあたりに、僕は好感を抱いている。同じクラスの清楚キヨタとは若干キャラかぶりしてるが、普段は堅物のキヨタとはこの親しみやすさが違うんだ。
 じつは笑い上戸で、授業中とかに何かにウケて涙流すまで笑っちゃって、あとで恥ずかしそうにしてたりする姿なんかも可愛いと思う。
「合唱なら、こないだ本屋さんでいろいろ見てたら、ラップのソロとかある超カッコイイ曲を見つけたんだよね。で、その、ソロのとこ、ナツミ君がやってくれたらウケるかな、なんて、ちょっと思ったりして……」
 委員長は自分で言って照れてしまったらしく、キリヤの方を見ながら、モジモジと指を遊ばせている。
「あぁ、そう?」
 キリヤは興味なさそうに、盤を眺めながら相づちをうつ。
「う、うん。だってホラ、ナツミ君って、よそのクラスの女子にも人気あるみたいだし、私も、ちょっと見てみたい……ていうかっ、ふ、副委員長なんだから、クラスのために頑張ってみない? なんて。あは、は……」
 いつもはしっかり者の委員長が、わたわたと落ち着きを失っている。
 委員長はいつもクラスのこと考えてて偉いなって感心してたのに、そんな彼女もやっぱりキリヤのファンだとわかって、僕はちょっと悔しくなった。
 そのとき、盤の上を眺めて腕組みしてたキリヤが、ふと顔を上げた。
「……なに今の? 委員長デレ?」
「え?」
「これはきたな。よし委員長、服を脱げ」
「はい」
 委員長がセーラー服の上着を脱いだ。彼女の控えめな胸が現われた。
「キリヤ、何してんだよ。まだ話し合いは終わってないだろ!」
「だって新ジャンルきただろ? 委員長デレ。こういうのは、旬のうちにいただいておかないと」
「なんだよ、それ」
 テキパキと服を脱ぐ委員長。そっけないデザインの下着は委員長らしい。そのブラがあっさりと外される。ちょっぴり残念なサイズのお皿を伏せたような胸の頂上に、淡い色をした乳首が可愛らしく乗っかっている。そこに見とれているうちにスカートはパサリと落ちる。ショーツもするりと足から抜いてクルクル丸められる。
 そして委員長は少し呆けた感じで、体も隠すことなく僕たちの前に立つ。
 放課後の教室に上履き全裸って、イチゴに練乳くらいぴったりの組み合わせだと思うんだ。
「委員長。今から俺の言うことは冗談だけど、体は真に受けろ。マンコ、パカパカして」
「やだ、ナツミ君! 何言ってるの!」
 顔を真っ赤にして怒りながら、委員長はアソコを指で開いてみせた。キリヤが言ったとおりに、開いたり閉じたり、小さなアソコがパカパカと動く。
「もうッ! ナツミ君のエッチ!」
 委員長はプイと顔を背けて怒ってるのに、指は忙しそうに自分のアソコを開いたり閉じたりさせている。まるで下のお口に説教されてるみたいだった。
「じゃあ次、オナニーしろよ。オナニー」
「だ、だから、さっきからなんなのよ、もう!」
 委員長の指の動きが変わって、アソコのふちをなぞるように、ゆっくりと上下する。もう片方の手が胸を這って、手のひらに乳首で円を描くように撫で始める。
 荒くなっていく息と、それを抑え込もうと固く閉ざされる唇。
 そっか。これが委員長のオナニーの仕方か。彼女の大事な秘密を覗いてしまったみたいで、僕の股間は素直に反応する。委員長らしい、控えめで真面目なオナニーだった。
「んっ……、くふ、ちゃんと考えようよ、ナツミく、んっ……変なことばっかり言わないで」
 キリヤの方を見ながら、ゆっくりと自分の体をまさぐる彼女。
 今、自分が何をしているか委員長にはわかってない。話し合いの最中に、いきなりエロいこと言って自分をからかうキリヤを、恥ずかしそうに注意してる。
 キリヤの冗談どおりに、教室で服を脱がされオナニーさせられてる自分に、彼女は気づいてないんだ。
「委員長。俺のボッキしちゃってるんだけど」
「な、なに言ってるの、ナツミ君! いやらしい!」
「しゃぶって」
「も、もう、どうしてそういうエッチなことばっかり言うのよ……文化祭のステージ発表、今日中に決めないとダメなんだからね……んしょ……ちゅ、れろ、んんっ、ちゅ、ちゅぷ……」
 委員長は、困ったような顔しながらキリヤの足の間にしゃがみ、丁寧な手つきでジッパーを下ろし、そこに顔を埋めた。メガネを少し上げて、キリヤのモノに口付けをして、舌で先端を舐め回す。舌が触れる瞬間、見ている僕の方までゾクってした。
 ていうか、もうこれデレじゃないだろ。ただのエロだろ。
「ふざけてばっかりだったら、先生に、言いつけちゃうからね。ん、ちゅぷ、ちゅぽ、ん、真剣に、んぷ、考えようよ。ちろ、れろ、時間がもう、ないんだから。んっ、ちゅぷ、れろ……」
 不平を言いつつ、キリヤの先端を舌でくるくると舐めて、裏スジに丁寧に唾液をまぶし、喉の奥まで飲み込んで前後に顔を揺らす。もちろん、丸めた指で根元を擦るのも忘れない。
 委員長らしい、真面目なフェラだ。僕も何度かしてもらったことあるけど、不器用そうに頑張ってる感じが可愛くて、いつまでも舐めさせたくなるんだ。
 見ているうちに、僕も我慢できなくなってくる。
「タイヨウも、やれば?」
 キリヤがニヤニヤしてる。
 僕は「少しだけだぞ」と咳払いをして、ベルトを外し、委員長の丸いお尻の後ろに回った。
「委員長。2人で犯していい?」
「バ、バカっ。もう、いいかげんにして。私なんか、からかっても、んちゅ、面白くないでしょ……えっ、やっ、なに!? 何か、入ってくるう!?」

 ギュウっと委員長の中が締め付けてきた。あまりの気持ちよさにぶるっと震えてしまう。僕はそのまま、彼女の中を往復する。キリヤのを咥えたまま、委員長は僕のピストンに翻弄されて苦しそうな声を出す。

「んー!? んー!?」
「委員長。これから俺たちの言うことは、クラスメートとして委員長へのお願いだ。委員長なんだから、クラスのみんなのために、頑張って期待に応えてくれよな」
「んっ、んんっ、んーっ」
「もっとしゃぶれよ、委員長。クラスの男子のチンポは、ちゃんと舌を絡めて吸ってくれないと」
「ん、はい…ちゅぶ、ちゅぷ、ちゅう…」
 僕のピストンに合わせて、委員長は体を揺らしながらキリヤのを丹念にしゃぶり始めた。真面目で、エロくて、博愛的。これが委員長デレの真骨頂か。
「ぢゅっ、ちゅぶ、んんっ、ずっ、ちゅう、ぢゅっ」
 とっても気持ちよさそうだ。
 なんだか僕のこと忘れられてる気がして、僕はわざとタイミング外して強く突く。
「んぶぅっ、んんっ、あぁっ」
 さらに突く。どんどん突く。
 もちろん委員長のオマンコの中だって気持ちいいけど。
「あッ、やぁ! あぁっ、あぁっ」
「委員長、ちゃんと俺のしゃぶってよー」
「んっ、ごめん。すぐしゃぶるね…あぁっ、やっ、フユキ君、強いっ。んっ! ダメっ、ダメぇっ」
「だって、委員長のがギュウギュウ締め付けてくるんだもん。強く擦らないと動けないよ」
「そんなこと、あっ、ダメっ。私、ナツミ君のを、しゃぶって、あげないと、いけないのに、あんっ。何にも、できなく、なっちゃうよぉ!」
「そうだぞ、タイヨウ。委員長の仕事を邪魔するな」
「だって委員長、キリヤのばっかり一生懸命しゃぶって、僕とのセックスがおろそかなんだもん。キリヤばっかり贔屓してるんじゃないかなぁ?」
「そ、そんなことないもん!?」
 委員長は真っ赤になって叫ぶ。キリヤはニヤニヤしてる。
「ひがむなよ、タイヨウ。委員長だって男子の好き嫌いあるもんな?」
「だ、だから、そんなのと違うってば! フユキ君とだってしてるよ? ほら、んんっ、ちゃんとしてるよぉ。私、委員長なんだから、んっ、みんな公平に、んっ、んっ」
 委員長は一生懸命腰を振り始めた。僕もそれに合わせてピストンを再開する。
「んっ、じゅぶっ、んんっ、んぶっ」
 でもキリヤのフェラと同時にこなすような器用さはもともと彼女にはなくって、どうしても目の前のそっちに気を取られてしまうらしい。
「もう、委員長はキリヤばっかり」
 僕はピストンを荒々しく強める。
「やぁ!? あぁっ、だから、そんなに、ゴンゴンしちゃ、だめぇ!」
「タイヨウ、ゴンゴンしちゃダメだってさ。委員長、怒ってるぞ」
「キリヤばっかり贔屓するからだよ」
「タイヨウはヤキモチやきだな」
「んっ、やっ、ダメっ、強い、よォ!」
「じゃあさ、僕のもしゃぶってよ、委員長。委員長なんだから、クラスの男子のチンポ、ちゃんと公平に舐めて」
「えっ、あっ、でも、今は、ナツミ君の…」
「委員長は俺のしゃぶりたいんだってさ」
「やっぱり贔屓だ」
「ちが、違うよぉ」
「タイヨウは大人しくお尻借りて遊んでろよ」
「なんだと」
「委員長、俺らケンカしていい?」
「ダ、ダメよ! ケンカなんて、ケガしたらどうするの!」
「じゃあ、僕のもしゃぶってくれる?」
「うっ、うん、わかったっ。しゃぶるから、ケンカしないでっ。私が、2人のしゃぶるからぁ!」
 委員長は、いつだってクラスメートのために頑張る。
 普段の彼女の真面目さそのままにエッチに奉仕する彼女に、僕はすっかり興奮していた。

「えと…じゃあ、ここに並んでください」
 2人同時フェラなんてしたことないはずの彼女だけど、委員長らしく自分の仕切りで僕らを並べる。
「ちゃんと公平にしゃぶってあげるから、ケンカしちゃダメよ?」
 そう言って、僕らの間に跪いてそれぞれのを手に取る。同時に緩くこすりながら、まずは僕のに口を付けてくれた。
「ちゅっ、れろ、もう、男子って、ほんとエッチなんだから…んっ、ちゅぷ、れろ」
 しばらく僕のを舐めてから、キリヤのに移る。公平に、同じくらい時間をかけて丁寧に。
「んっ、ちゅぽ、ちゅぽっ、んんっ、んんんっ…」
 委員長のサラサラの髪が汗に濡れていく。小さな胸が顔の動きに合わせてプルプルしてる。ぷくってして可愛い乳首。その乳首を摘むと、ビクっとして僕を睨む。
「んっ、あん! もう、イタズラしちゃダメでしょ。しゃぶってあげないよ?」
「ごめん、ごめん。でも、委員長の乳首触りたいなあ、いいでしょ?」
「んー、ダメだよ。ナツミ君だって我慢してるでしょ?」
「委員長、俺も委員長のおっぱい触りたいなあ」
「えー…?」
「クラスメートのお願いだからさ、委員長。俺たちにおっぱい触らせながらフェラして」
「う、うん…わかったよ。しょうがないなぁ」
 机を2つ並べて、委員長を仰向けに寝かせる。その体勢で両側から突き出される僕らのを両手に掴んで、交互に口にいれてしゃぶる。
 僕らは、仰向けになってますます平らな委員長の、そこだけぷっくりした乳首をコロコロいじる。
「んっ! んんっ、んっ、ちゅぶっ、れろっ、ちゅ!」
 快感に翻弄されながらも、懸命な奉仕を委員長は続ける。
 顔は真っ赤に上気して、口の周りもよだれだらけで、机に上げた足は股をこするようにモジモジと落ち着かない。
「れろっ、れろっ、ちゅっ、ちゅぶっ、ちゅぶっ、あぁん、ちゅっ、ちゅっ」
「委員長、早く俺のしゃぶって」
「あ、はい。んくっ、んんっ、うんっ、ちゅぶっ」
「僕のは、委員長?」
「ん、あん、強引にしたら、ダメ、んぐっ、待って、てばっ、んっ、私の、お口は、ひとつしか、んっ、ないんだから。んっ、んくっ、んぐっ」
 文句言いながらも、僕らにイジられながらする奉仕に乱れていく委員長。僕らの興奮も高まっていく。
「あぁっ、やだ、もう、2人とも、エッチだよおっ、そんなに私の乳首、くすぐらないで、あぁっ、オチンチンも、こんなに固くしちゃ、しゃぶるの、大変なんだから、あぁ、あっ、んっ、んぐっ、あぁっ、ちゅぶっ」
 エッチなのは委員長の方だ。そろそろ僕も限界だ。
「出るよ、委員長!」
「俺も出る! 委員長、飲め!」
「ん、うんっ」
「僕のも飲んで、委員長!」
「えっ、そんな一度にムリ…! んっ、あぁん!」
 その瞬間、委員長の口は、キリヤのを咥えて、口の中に放たれたものをコクリ、コクリと飲み干していった。僕の精液は、委員長の顔や胸にかかり、彼女の体を汚して垂れていった。
「やっぱり……キリヤばっかり贔屓してる」
「えっ、やっ、違うの!? フユキ君のも飲むよ、もちろん! でも先に飲めって言ったの、ナツミ君だから……んくっ、ぺろ、んっ…ごめんね、フユキ君…んっ、んっ」
 慌てて僕のをチロチロと舐め、先端を吸ってくれる委員長。
 彼女がキリヤ贔屓なのはとっくに明らかだ。でもそのこと自体は別にどうでもよくなっていたし、むしろそのネタで彼女をイジメるのが楽しくなっていた。
 キリヤと僕は、いやらしい目で互いに合図を送る。
「それじゃ、次は僕らに公平にセックスさせてくれる?」
「させてくれるよな、委員長なんだし」
「え、セックスも…? う、うん。委員長だし、いいよ」
「じゃ、黒板に手をついて尻こっちに向けろ」 
「う、うん」
 委員長はキリヤに言われたとおり、教壇の上で黒板に手をつき、小さなお尻を僕らに突き出す。
「…ず、ずいぶん、いやらしい格好させるんだね、あはは…」
「あぁ、委員長の尻丸見えだもんな」
「や、やだナツミ君、言わないで…私だって、恥ずかしいの我慢してるんだよ?」
「でも委員長なんだから、僕らのためにこれくらいはやってくれないと」
「うん……私、みんなの委員長だもんね。うん、がんばる」
 さらにクイっとお尻をこちらに突きだして、「あぁ…」と恥ずかしそうなため息を彼女は漏らす。
 照れて落ち着かないだけだと思うんだけど、モジモジと揺れるお尻は、まるで僕らを誘っているかのようにも見えた。
 クラスの中でも性的には幼い方の彼女だが、なんだか今日のエロはとってもいやらしい感じがする。
 教室内エッチにおける『委員長』の追加補正がここまで有効だったなんて、僕らとしたことが見落としていた。
「ねえ。委員長は、僕とキリヤのどっちから入れて欲しい?」
「えっ?」
「そうだな。好きな方から入れてやるよ。俺とタイヨウ、どっちからにする?」
「ど…どっちでもいいってば。私は…い、委員長の仕事でしてるだけだし…」
「いつも委員長にはお世話になってるし、たまにはサービスってことで、リクエストしていいよ。僕とキリヤのどっちがいい?」
「てか、どっちが好き?」
「す、好きなんて…別に…」
 僕らにお尻を向けたまま、委員長は恥ずかしそうに身をくねる。
「…わ、私は、委員長だから……クラスのみんなに、好き嫌いなんて…ないよ」
 たどたどしく、いかにも彼女らしい言い訳をして、顔もお尻も真っ赤にする。
 しかし困ったように揺れるお尻は、じっさいかなりキリヤの方向を向いていた。
「それじゃ僕から入れよっかな」
「えっ」
「それじゃ俺は体育教師たちも呼んでくるかな」
「なにそれ怖い!?」
「委員長、正直に言えばいいのに」
「正直って、別に…私は、本当に…」
「それでいいの、委員長? 今なら、素直な気持ち言ってもいいんだよ?」
 僕がそう聞くと、委員長はギュッと拳を握って、しばらくそのまま黙ってた。
 そして、やがて意を決したように口を開いた。
「…やだな、もう…私はどっちも好きだよ。比べてないよ。だって私は委員長だもん。ナツミ君だって私のことクラス委員長としか見てないもん…だから、いいの。私はこのクラスのみんなが好きで、いいの」
 委員長の、少し寂しくて彼女らしい控えめな女心に、僕はちょっと胸が熱くなった。
 僕はキリヤの肩を叩いて、君から抱いてやれと言った。優しくな。
「そんじゃ、ぶち込むぜ委員長ー!」
 キリヤは一度死ねばいいと思った。
「あぁん! あっ、あっ、ナツミ君!」
「むっ、今日の委員長はよく締まる…いい仕事してるな、委員長」
「んっ、んんっ、あ、ありがとっ、なんか、あん、照れちゃうなっ」
「その調子で、これからも俺らを喜ばせてくれな、委員長」
「うん! あっ、私、頑張るから! みんなの委員長として…あぁん! 気持ち、いいよ、ナツミ君…!」
 ぐちゅぐちゅぱんぱんと、いやらしい音が教室にこだまする。僕もなんだか興奮してくる。
「よし、タイヨウ交代するか?」
「え、いいの?」
「当たり前だろ、クツザワはみんなの委員長なんだから。な?」
「うん…来て、フユキ君。私、みんなの委員長だから、みんなに喜んで欲しいもん」
 何かを吹っ切ったような彼女の笑顔は、優しくて、しかもエロの期待に満ちていた。
「それじゃ、入れるね。委員長を僕らでマワしていい?」
「マワす…? うん、よくわからないけど、委員長だから、みんなでマワしていいよ」
 ほかほかのアソコに、僕のを入れる。ギュウウっと締め付けてくる委員長の博愛精神。
「委員長! 委員長の中いいよ、すごい!」
「あぁ、ありがと! 私もいいよ! フユキ君の役に立てて嬉しい!」
 よがり声をあげながら、「気持ちいい?」とか「喜んでくれてる?」とか、委員長はいつも僕らのことを気にかけてくれている。
 そんな彼女の中を掻き回す。僕とキリヤで交代で掻き回す。
「委員長、出すぞ!」
「僕も!」
「あぁっ、はい、来てっ、2人とも! 私が受け止めるから、思いっきりかけてぇ!」
 委員長の顔も、胸も、アソコも、僕の精液で汚した。その細い体に、僕ら2人の欲情をいっぱいにぶつけてやった。
 いつも真面目で、ちょっと幼い委員長の恍惚の表情が、なんだか今日は驚くくらい色っぽくて、どきりとした。
 そして僕らが荒い呼吸を整える前に、委員長は上目遣いに僕らを誘う。
「…ね、ねえ…2人とも、もういいの?」
「え?」
 委員長はゆっくりと足を開いて、精液に濡れた唇で親指の爪を噛んだ。それはいつも悪い癖というより、明らかに男を誘うための仕草で。
「私、委員長なんだから…2人の気の済むまで、好きなようにしていいんだよ…」
 僕とキリヤは、委員長の醸し出す色気に、ごくりと喉を鳴らした。
「……委員長デレ、やばいな」
「うん」
 次に僕らは彼女の体を四つんばいにして、僕が委員長の口に、キリヤがアソコに突っ込むことにした。

「……で、結局、何することになったわけ?」
 キリヤは一足先にズボンを穿いて、委員長のノートをめくっていた。
 僕は委員長と机の上にいる。対面座位とか、そんな名前の格好で委員長を突き上げてるところだった。
「ナツミ君の、好きなので、あぁん、いい、よォ! あぁッ、私、何でもするゥ!」
 委員長が僕にしがみついてきて、アソコが強くしまる。僕はその快感に負けないように、腰に角度をつけて膣壁を擦るように委員長を突く。
「あぁッ、あッ、あッ、あッ、もっと、あッ、あぁ! もっとォ!」
「……タイヨウは? なんかしたいのある?」
「キリヤに、任せるッ」
 キュッキュッと、突き上げるたびに真面目に締め付けてくる委員長のアソコが気持よくて、僕もそれどころじゃなかった。
「ね、いい? 私も、動いていいッ? あぁ! あんっ、動いちゃう! 動いちゃうよ! あんっ、あぁ!」
 委員長のお尻にギュッと力が入り、大胆に腰を振り始めた。さんざん僕たちに犯され、すっかり“オンナ”に火のついた委員長は貪るように男を求めてくる。
 僕たちは本気でエッチしてる。委員長の淫乱な変貌にやられた。負けじとペース上げて、めちゃくちゃに委員長のアソコを貫いた。気持ちよくてしょうがない。
「あぁん! いいよォ! んっ、ちゅく、んっ、いいよォっ! ちゅっ、んんっ、れろ、んん……」
 湿り気を帯びた嬌声が、放課後の教室に響く。委員長は自分から僕にキスをして、舌を絡め、一心不乱に腰を振っている。
 キリヤは、そんな僕たちの濃厚な絡みを見ながら、わざとらしくため息をついた。
「ったく、いつもこうだよ。結局、最後は俺なんだよな。どいつもこいつも、人任せで遊んでばっかりでさ。最後は俺みたいな真面目なヤツが損するんだ。いっつも」
 ブツブツと呟きながら、キリヤはノートの上にペンを走らせる。
「よし、これでいくぞ」
 キリヤが広げたノートには、でかい字で『全裸系デスメタルバンド裸男子達(ラーメンズ)』と書かれていた。
「……あぁ、いいんじゃない?」
 よくわからないけど、あとのことはキリヤに任せて、僕は委員長とのセックスに没頭することにした。

 キヨタユキコは僕にとって天敵だった。
 その容姿から男子の間では隠れ人気が高く、黙っていればモテるはずなのだが、その反面クールな秀才という見た目どおりに、潔癖症で男子には厳しく、冷淡な口調で嫌味をとばしたり先生にチクったりするので、一部の男子からは大いに嫌われていた。
 彼女はキリヤや僕と同じ班なので、グループ活動や掃除なんかは一緒にやっている。僕はそんなに羽目を外すタイプじゃないけど、たまにキリヤとふざけてたりすると、彼女に怒られたりすることもあった。
 怒られるのは、いつも僕だ。
「フユキ、真面目にやってよね」
 掃除の時間、僕はキリヤとかとホーキ野球やってて怒られる。今週は先生があまり見回りに来ない玄関前当番なので、少し開放感を満喫してただけなのに。
「最上級生がそんなことしてたら、下級生の子たちだって真似するじゃない。それにホラ、ケガでもさせたらどうするの?」
 僕らの周りには、まだ教室当番しか当たらないような下の子たちが、石蹴りとか追いかけっこで遊んでる。
 言い返せることもないので、僕はゴメンと謝る。
 その横から、キリヤがムッとして前にでる。
「ちょっとくらい、いいだろー。掃除なんて女子だけでやってろよ」
「わかった」
 キヨタは素直に頷いて掃除を続ける。キリヤは「続きやろーぜー!」とホーキを振り回す。
 僕は「うん」と頷きながら、キリヤの命令に疑問を持つ様子もなく従うキヨタの後ろ姿を見る。
 親の趣味なのか知らないけど、短かく切って前髪を斜めに流した髪型は、昔の女優さんみたいだった。でもそれが彼女には似合ってる気がした。整ってハッキリした美人顔は、他の女子より大人びている。背が高くて、足も長い。それに何回かエッチしてるから知ってるけど、彼女は性格のわりに感じやすい体をしてて、抱いてて気持ちいいんだ。
「タイヨウ、早く投げろよー」
「あ、うん」
 キヨタは掃除を続けながら、キリヤの方をチラリと見て唇を噛んでいた。
 僕は彼女が誰を好きか知っている。彼女は男子がみんなふざけてる時でも、キリヤだけは絶対に叱らない。
 そして僕がそれに気づいてるってことは、僕も結構、彼女のことを気にしてるってわけだ。
「タイヨー! ここで待ってるねー!」
 先に掃除が終わったらしいマナが、下駄箱の前で手を振ってる。
 僕はちょっと焦って、「わかったー!」と手を振り返した。

「先生、いいですか?」
 次の日のHRでキヨタが手を挙げた。またか、と男子はうんざりした顔をする。
「掃除を真面目にやらない男子がいます。前にクラス会で話題になったとき、これからはちゃんとやるってみんな約束したはずなのに、守られていません」
 誰がやってないんだ、と先生が言う。
「フユキ君です」
 僕はウヘーと顔をしかめる。
「フユキ君は真面目に掃除してません。みんなのルールは守ってほしいと思います」
 キヨタは黒板の斜め上に掲げられた『今週の標語』を指さした。そこには『掃除はキチンとやりましょう』と書かれている。
 うんざりだ。チラっとキリヤの方を見ると、キリヤは「うんうん」ともっともらしく頷いていた。
 サボってるのはお前もだろ。僕はこっそりキリヤの椅子を蹴飛ばした。キリヤはニヤニヤしてる。
「タイヨウ君は悪くありません!」
 そのときマナが、脊髄反射的に手をピンと伸ばして僕の弁護を開始した。
「タイヨウはちゃんと真面目にお掃除してます。キヨタさんの言ってることは変です」
「どうして? ハラダさんは班が違うでしょ。真面目にやってるとか、わかるわけないじゃない?」
「知ってるもん。マナ見てたもん」
「いつ?」
「今日は一緒に掃除したもーん!」
「先生、聞きましたか? 今日はハラダさんも廊下当番サボって、うちの班のフユキ君とイチャイチャしてました。こういうの、よくあります」
「ひっどーい! チクることないじゃーん!」
 うん。マナには期待してなかった。こうなるんじゃないかと思ってた。
 キリヤは、ますますニヤニヤしてる。
「先生、私もうこの班イヤです。早く班替えをするか、フユキ君を違う班に動かしてください」
「あ、それじゃタイヨウ、マナのとこおいでよ! それなら全然オッケーだよー!」
 教室が騒がしくなっていく。みんなそれぞれ好き勝手に班替えだとか、反対だとか騒いでる。
 僕はその中で1人だけ、ちょっとしたハートブレイクと疎外感を味わっていた。僕だけ出てけとか、キヨタひどい。
「……うるせーな」
 そのときキリヤが、ボソっと呟いた。とたんに教室が静まりかえった。
「おいキヨタ、もうやめろ。センセーも、もういいだろ?」
 先生は、もういいな、とキヨタに確認し、キヨタももういいです、と答えてHRは終了する。
 キリヤは、ずっと不機嫌な顔でキヨタを睨んでいた。

「キヨタって、ムカつくよな」
 さらに次の日、まだ機嫌の悪いキリヤは僕にそう言った。
「昨日は笑ってたクセに」と僕が言うと、「あれからムカついたの」とキリヤは頭から湯気を出した。
「復讐だ。キヨタに罰を与えてやる」
 なんの復讐なのか知らないけど、キリヤはキヨタに近づき、何かを命令した。キヨタは驚いた顔をして、でもすぐに納得したようにコクリと頷いた。
「……なんて言ったの?」
「キヨタのエッチの記憶をちょっと解禁した。これからは、タイヨウに犯られたらそのことを覚えてる。そんで、タイヨウにレイプされても抵抗できないし、誰にもチクれないようにしておいた」
「え、僕!?」
「復讐してやれ」
「いや、なんで僕が……?」
「だってアイツ、昨日タイヨウだけ仲間はずれにしようとしたろ。バカにしやがって。セックス便所のくせに生意気だってこと、教えてやれよ」
 ムカつくって、昨日の追い出し発言のことだったのか。キリヤ、そんなことで怒ってたのか。
 僕が驚いた顔してると、キリヤは照れを隠すようにますます怒った。
「とにかく、今日のうちに絶対仕返ししてやれよ! ガチレイプしちゃうんだぞ!」
 キリヤは班の人を集めて「今日の掃除当番はタイヨウとキヨタだけでやるから」と吹きこんだ。

 今日の掃除当番は、校長室だった。
「フユキ。今日は2人しかいないんだから、真面目にやってよね」
 キッと睨まれ、僕はちょっとビビリながら「わかってるよ」と頷いた。2人っきり。しかもただの掃除じゃない。レイプの時間だ。そのことを知ってるのは僕だけだから、余計に緊張する。
 キリヤはああいうけど、本当にいいんだろうか。これって、そんなに非道い仕返しするほどのことなんだろうか。
 だいたいどんな本読んだって、個人的な逆恨みを振りかざす奴は、いつも不幸を招いている。復讐は何も生まないとは、よく言ったものだ。
 今日のキヨタは、デニムのスカートにボーダーのTシャツ。その上に薄いパーカーを羽織っている。
 僕はホーキを動かしながら、そのスカートのお尻を眺めていた。
 セックスなんて、僕が頼めばみんな喜んでさせてくれるものだから(別にモテるからじゃないけど)女の子を無理やり犯っちゃうなんて、当然初めてだった。心臓がドキドキしてる。やるなら、さっさとやらないと掃除の時間が終わってしまう。やばい。パニくりそうだ。
 これじゃどっちの罰かわからないな。と思いながら、僕は思い切ってキヨタを後ろから抱きしめた。
「えっ!?」
 驚いて固まったキヨタのシャツをたくし上げて、さらに一気にスポーツブラも押し上げた。キヨタの、ぷっくりと小鉢みたいな形をした胸が現われる。僕はそれを、いつものように手のひらで撫でる。
「えぇっ!? やだ、何してるの! やめて! 離して!」
 キヨタは体を揺すって逃げだそうとする。でも、それは弱々しい力だ。僕は簡単に彼女を押さえつけ、胸をいいように弄んだ。
「やだ、やめて、ちょ…フユキ、やめっ、んっ、やめてったらぁ」
 感じやすい彼女の体をよく知っている僕の愛撫に、キヨタは早くも反応を始める。
 今までのエッチの記憶がないキヨタは、そんな自分に戸惑うように、唇を噛む。ギロっと僕を睨む。
「先生に、んっ、言うわよッ。警察にだって、言うんだからッ」
 キヨタは抵抗できないし、誰にもチクれない。僕はキリヤの力を信じてる。キヨタの脅しなんて怖くない。
 逆にムラムラと、怒りとエッチな気持ちが沸き上がってくる。
 僕はスカートの中に手を入れた。
「やっ!? ダメ、どこ触って、んっ、やだ、やだぁ! やめてぇ!」
 片手で後ろから抱きしめるようにして、胸を撫でる。もう片方の手で女の子の割れ目を下着の上からなぞっていく。それを続けるうちに、キヨタは僕の指の動きに合わせて、つま先立ったり沈んだりを繰り返すようになる。抵抗の言葉はやがて吐息だけになり、下着が湿り始めてる。
「あ……あッ……フユキ…君……やめぇ……」
 かたんと、キヨタの手からホーキが落ちる。僕に背中を預けて、胸もあそこもイジられて、キヨタの体が熱く柔らかくなっていく。
 レイプされてるというのに、感じやすい彼女の体はじつに素直だった。僕はくったりとした彼女を、校長先生の机の上に押しつける。
 そして、タイトなデニムスカートを腰までまくり上げる。
「きゃっ!?」
 そして白いショーツを膝まで押し下げた。真っ白いお尻がぷるんと震える。
「やだっ! だめっ! それだけはやめて!」
 哀願はするけど、逃げようとはできない。僕は彼女のお尻を撫で回す。素肌の上を遠慮なく男子の手が這う感触に、彼女は怯えて鳥肌を立てる。
「お願い、やめて! フユキ君には、ハラダさんだっているでしょ! それだけはやめて! 許して!」
 僕はズボンを下げて、カチカチになったオチンチンを出した。キヨタはびっくりした顔で固まった。
「お願い…私、バージンなの…こんなのって、やだ……」
 いや、処女じゃない。キリヤが1番で、僕が2番目にキヨタを抱いてる。
 僕はキヨタのあそこに自分のを擦りつけた。ビクンビクンとキヨタは震える。
 壁には歴代校長先生の写真が僕らを見守っている。
 見ていてください。
 僕らは、おそらく前人未踏の校長室レイプをやり遂げた、最初の教え子になります。
「あぁっ、ダメ! お願い! そこだけはやめてっ……違う穴なら、いいから。そっちで許して!」
「……違う穴?」
「その、後ろの……ま、前はダメっ。それだけは許して。お尻は、その、使っていいから。ね?」
 後ろ? お尻?
「つまりそれ、お尻の穴に入れるってこと? オチンチンを?」
 キヨタは顔を真っ赤にした。
「そ、そういうの、あるんでしょ? よく知らないけど、お、お父様の部屋の本にあったもん」
 ……ぼ、僕だって、そういうマニアックなことはよく知らないんだけど!?
 ていうかお父さんの本って!
「キヨタも、そういうのエッチな本を読んだりするの?」
「た、たまたまよ!? 偶然、目に入っただけなんだから!」
 あのキヨタが。
 なんだかんだで、キヨタも普通にエッチに興味あるんだ。
「だから、そっちならバージン関係ないし……どうしてもっていうなら……ま、前の方は、将来の旦那様のものだから、許して……」
 僕もまだまだエッチについては未知数が多いし、お尻に入れるなんて考えたこともない。
 でも、目の前で揺れるキヨタのお尻も、その中心にある窄まりも、そういう風な目で見ると、かなりエッチな場所のように思える。
 僕は思わず唾を飲み込んだ。
「……いいの?」
 キヨタは泣きながらコクリと頷いた。僕はすごく興奮した。
 僕は先端にキヨタの愛液をなすりつけ、十分に濡らす。そして先端を窄まりに押し当てると、キヨタはプルプル震える。お尻の穴が、キュッと締まる。
「あ……あっ、あ……」
「力抜いて。入んないよ」
「で、でもっ。だって怖いもん!」
「前に入れちゃうよ?」
「……う~ッ」
 キヨタはあきらめたように息を吐き、深呼吸を始めた。僕はお尻を鷲掴みにして、グイッと穴を広げて、ほぐれるのを待った。
 そして、一気に押し込んだ。
「あ、あぁぁああぁッ!?」
 ギチギチに締め付けられる。痛いくらいの圧力に、思わず呻く。
「キヨタ、力抜いて!」
「痛い! 痛いよぉ! ムリっ、絶対ムリ!」
 僕はさらに強引にキヨタのお尻にねじ込んでいく。でも、このきつさは膣の比ではなく、押し込んだまま、全然動かせそうもなかった。
「痛いっ、痛いっ、やめてぇ!」
「すぐだから、もっと力抜いてよ! このままじゃ動けない!」
「やぁ! いやぁ!」
 僕は泣き喚くキヨタを押さえつけて、無理やり動く。キヨタは最初大声出してたけど、僕が静かにしないと職員室から誰か来るぞって脅したら、歯を食いしばって我慢するようになった。
「んっ、んんっ、んっ、んんんっ! んー!」
 これは、なんだか変わった感触だ。
 入り口はすごくキツいのに、中は膣より広いっていうか、奥行きがどこまでもあるような感じ。でも緩くはなくて、温かくて気持ちいい。どんどん奥に吸い込まれていく。根元はぎちぎちに僕のを締め付けてくる。
 僕はキヨタのお尻を机に押しつけるようにして、大きなストロークで出たり入ったりを繰り返す。
「んーっ、んんっ……んッ…んッ…やっ…んッ、あっ……ン、ンンっ…ふっ…んッ、んッ、んッ、んッ」
 腰を揺らしていると、徐々に中の壁が少し湿って柔らかくなっていく。入り口(ていうか出口だけど)はあいかわらずキツいけど、動ける角度が広がってくる。気持ちいい。これがアナルセックスっていうヤツだ。こんなの初めてだけど、これはこれでいい。悪くない。
 僕らは、間違いなく前人未踏の校長室アナルレイプをやり遂げた、最初の教え子だ。
「あぁ…私、んっ、フユキ君に、犯されてる…校長室で、あぁっ、お尻の穴を、男子に犯されてる…ッ」
 熱に浮かされたような口調でキヨタが涙を流した。頬は真っ赤になり、吐息は切なそうに、指はツルツルしたデスクマットを引っ掻いている。
「……キヨタ、ひょっとして感じてるの?」
「っ!?」
 キヨタは、ハッとした顔をした。そして「そんなわけないじゃない!」と大きな声を出した。
「でも、ほら、どうなの?」
「はあっ、やぁっ、違っ、私、あんっ、感じてなんか!」
 僕はキヨタの腸の壁をあちこち擦る。そのたびにキヨタは甘い悲鳴を上げた。
「こことかは?」
「やぁん!?」
 キヨタの背中に覆い被さるようにして、子宮のあたりを狙って突くと、急にすごい声を出して乱れた。
「ほら、ほら、気持ちいいんでしょ? だったらそう言えばいいよ」
「いやっ、違うのっ、違う! 私、お尻を犯されて感じてなんかない! フユキ君に犯されても、気持ち良くなんか……あぁ! ダメ! そんな乱暴に突かないで! お尻、壊れちゃう!」
「気持ちいいんでしょ?」
「あぁん! いじわる言わないで! やぁっ、あぁっ、あっ、んっ、あっ! あぁっ! あぁん!」
「気持ちいいって言いなよ!」
「気持ちいい! 気持ちいいです! もうダメ! 許してフユキ君! 許して!」
 僕はガンガンにキヨタのお尻をついた。そして泣き喚く彼女の限界が近いところで、僕も我慢できなくなってきた。
「もう出していい? キヨタのお尻の中に出すよ!」
「イヤっ!? ダメダメっ、出さないで! 私のお尻、フユキ君のおトイレにしないでぇ!」
「出る! 出るよ!」
「あぁっ!? やぁ! やだ! 熱い! 熱いよぉ! 火傷しちゃうぅ!」
 僕はキヨタの中に、精液を全部吐き出した。きつい締め付けが、いつもよりも強い射精感覚を引き起こす。頭が真っ白になった。思わず後ろによろめくと、ずるりとお尻から僕のが抜けて、キヨタの体がぶるぶるっと震えた。
「はぁっ……はぁ、はぁ、はぁぁ……」
 彼女は呆然として荒い息を吐いている。ヒクヒクとお尻の穴が広がっている。そしてそこから、僕の精液がトロリと垂れてきた。僕はその光景を目の前に見ながら、まだ硬くそそり立ってる自分に気づいた。
 興奮していた。こんなんじゃ全然足りないくらいに。
 僕は彼女の体を、ごろりと机の上で仰向けにする。
 力なく彼女は机の上から足を垂らす。その割れ目はぐっしょりと濡れ、ほんのわずかに生えてる産毛もテカテカに光っていた。
「キヨタ」
 僕はそこに自分を押し当てる。キヨタはビクリとする。
「やだ……そこはダメ……」
 だらりと力の入らない彼女の割れ目に、僕のは容赦なく進入していく。何度も入ったことのあるソコは、かつてないほど熱く蕩けきっていた。
「あっ、あっ、ダメ、ダメ…入ってきちゃう……私のバージン、レイプされちゃう……」
 僕のが彼女のそこを割っていくと、キヨタは、喉を見せて背中を仰け反らせた。僕は力なく横たわる彼女の中に、奥の壁に突き当たるところまで入れた。その瞬間、キヨタは大声で叫んだ。
「あぁー!?」
 そして遠慮もなしに、ガンガンに腰を突く。キヨタは首を振って顔を真っ赤にして叫ぶ。僕は止まらない。キヨタを本気でレイプする。
「私っ、レイプされてるぅ! あぁ! 後ろの穴も、前の穴も、フユキ君に犯されちゃったよぉ! あぁ! あぁぁっ! バージン! 私のバージンがぁ!」
 キヨタの悲鳴が気持ちいい。ひょっとして、わざと興奮するようなこと言ってんじゃないのって思うくらい、キヨタも感じまくってる。ノってきてる。僕は夢中になって腰を動かした。
「気持ちいいだろ! せっくすって気持ちいいだろ!」
「やだぁ! 言わないで! そんなことないもん! 気持よくないもん!」
「正直に言いなよ! 感じてるんだろ、キヨタ!」
「言えない! そんなこと言っちゃダメなのっ。許してぇ!」
 僕は動きやすいように彼女の膝を持ち上げる。キヨタはその格好を恥ずかしがって泣く。膝を抱え上げる僕の手に彼女は爪を立てる。僕は犯す。キヨタを犯す。
「言うんだ! せっくすが気持ちいいって言え! 白状しろ!」
「ああぁぁっ! 気持ちいい! 気持ちいいよぉ! フユキ君、ダメぇ! 私、レイプされて感じちゃう! ダメぇ!」 
「ダメじゃない! もっと感じろ! そうしたらもっと犯してやるから!」
「あぁ! あぁっ! ダメ、ダメっ。フユキ君! フユキ君! 私、知らなかった! セックスがこんなに気持ちいいって、知らなかったのぉ! 許してぇ!」
「キヨタ! キヨタ!」
「あぁっ、ダメ! ダメぇ! フユキ君、そんなにゴンゴンしないでぇ! あぁっ、私っ、私バージンなのに! バージンなのにィ! あっ、あっ、あっ、あっ、やだっ、来る! なんか来るよぉ!」
 ギュウっとキヨタの体に力が入る。僕のチンチンにも電流が走る。爆ぜる寸前でキヨタの中から引き抜いて、彼女の体いっぱいに僕の精液をかける。
「あ!? あぁ! ああぁあぁあッ!」
 キヨタの体がビクンと跳ねて、お尻を浮かせて仰け反った。そして僕の精液をお腹や胸、そのきれいな顔まで余すことなく全身に浴びたあと、力を失い沈んでいった。
「熱い……熱いよぉ……」
 僕に向かって足を開いたまま、彼女の体はいつまでも痙攣を続けている。
 僕は深い満足感に息をつく。
 なんだか今日、ちょっぴり大人になった気がした。

 次の日、キヨタは学校には来たけど、教室で僕を見た途端、具合が悪いと言って保健室に行った。
 さすがにひどいことしちゃったと思った。
「ほっとけばいいじゃん」
 キリヤはそういうけど、後味が悪すぎる。
 やっぱり僕には、レイプとかそういう暴力的なの向いてないんだ。
「それはどーかなー」とキリヤはニヤニヤするけど、僕はキヨタに謝るために保健室に向かった。

「こないで!」
 体操着姿のキヨタは、僕を見るなりベッドの上で体を硬くした。
「……まあ、怖がるのもムリないと思うけど、君に謝りたくて……」
「こないで! やめて! こんなところまで追いかけてこないで!」
「いや、そうじゃなくて。昨日のことなら、僕は……」
「ひどいよ…フユキ君には、ハラダさんがいるクセに…私のこと、そんなにおもちゃにしたいの? 私を、フユキ君のおトイレにする気? そんなのって…ぐす…ひどい」
「そんなこと考えてないよ!?」
「フユキ君て、怖い人だったんだね…ぐすっ、お願いだから……もう、これで許して……これっきりにして」
 キヨタは、泣きながら僕に背中を向けて、ショートパンツを下着ごと下げた。
 呆気に取られる僕の前で、ぺろんと白いお尻が登場した。
 キヨタは、ショートパンツを太ももの位置で引っかけたまま、ベッドの上にうつ伏せになり、僕に向かって丸いお尻を突き上げた。
「後ろの穴…こっちなら、使っていいから……だから、前の穴はもう許してください。お願いします……」
 清楚な少女の体の中心で、2つの丸い丘と、その狭間でピンクから薄茶に色を変えていく小さな窄まりが、弱々しく震えながら僕を見上げていた。
 昨日のことを謝りに来たのに、逆にそんなポーズでこっちを使ってと懇願されて、僕は何て言えばいいかわからなくなる。
 気がつくと僕はベッドの上に乗り、ズボンを下げて、「じっとしてて」なんて言いながら、そこにギンギンになった僕のを押し当てていた。
 それどころか、本格的に挿入を始めていた。
「あぁッ…! 入ってくるぅ!」
 昨日よりはスムーズに入っていく。でも、入り口が固くギチギチなのは相変わらず。まるで輪ゴムの束のように僕のを締め付けてくる。だけど負けじと、僕は強引に彼女の腸に突き入れた。
「はぁん! 私、私ッ、またフユキ君に、犯されちゃったぁ! あぁ、突かれてる! 私のお尻の中、オチンチンで掻き回されてるぅ!」
 いい。
 やっぱりいい。
 キヨタのアナルは気持ちいい。これはすごい発見だ。
「あぁっ、ダメダメぇ! そんなに私のお尻の穴、ズンズンしないでぇ! オチンチン、気持よくなっちゃう! 私、お尻の穴で感じちゃって、変態みたいになっちゃう! そんなのいやぁ! いやなのぉ! あぁーッ!」
 キヨタは、枕を抱きしめながら僕にお尻を突き出している。彼女の悲鳴と、パンパンと腰のぶつかり合う音が保健室に響く。
 これを出したら、また前の穴にも入れようと、僕はもう心に決めていた。

 そしてまた、校長室当番が巡ってくる。
 がちゃりと重厚な扉が開かれ、我らが校長が僕たちの様子を伺いに登場した。
 そして、僕しかいない部屋に驚いた顔をして、他の当番はどうした、と顔をしかめる。
「あはは……あの、ゴミとバケツの水を捨てに行ってます」
 机越しに照れ笑いする僕に、校長は、なんだそうか、と言って、帰るからあとは頼むよ、と愛想良く笑って出て行った。
「……ふう」
 僕は手にしたホーキを机に立てかけて、息をつく。
「ちゅぶ、ちゅ、んっ、んっ……行った?」
「うん。もう大丈夫」
 僕が頷くと、キヨタは目だけで微笑んで、机の下でフェラの速度を上げた。
「ふぅ…ん、ちゅぷ、びっくりしちゃったね? んっ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅぷ、ん、ん……」
 最初は「お口でするからもう犯さないで」と彼女の方から申し出て始めたフェラも、やらせてみたら彼女自身が結構ハマっちゃったみたいで、今ではすっかりお約束の前戯になっていた。
 僕も調子にのって休み時間の男子トイレとかマラソン途中の茂みの奥とか、わざと危険な場所で彼女に精液を飲ませたりしてたせいか、変に度胸もついちゃったらしく、今だって驚いたというわりに僕のを咥えて離そうとしなかった。
「んっ、ちゅっ、じゅぶっ、じゅぶぶっ」
 優しくて丁寧なフェラだった。すっかりエッチに夢中のキヨタは、掃除当番もサボって僕のを喜んでしゃぶってる。
 今日もキリヤに頼んで、校長室当番を僕たち2人だけにしてもらった。ついこないだまで、少しでもサボったらキツい目で睨んでたキヨタは、もうここにはいない。
 彼女の変貌ぶりを思い出すと、ムラムラと射精欲が高まっていく。僕は唇をめくらせてフェラするキヨタの頭を、両手で押し返した。
「あっ、あんっ、やだ、もっとしゃぶるぅ」
 名残惜しそうにキヨタは舌の先からヨダレを垂らし、フェラを続けようとする。じゃれる子犬みたいで、ちょっと可愛い。
「もう出ちゃいそうなんだ。せっくすしよ?」
「あ、はいッ」
 嬉しそうにキヨタは返事をして、立ち上がってジーンズのベルトを外す。
「今日は、どっち穴にする? 前? 後ろ?」
「先に後ろに入れて、あとで前にも入れる」
「やだぁ、また両方に入れちゃうの? もう、エッチなんだから」
 恥ずかしそうにしながら、キヨタはジーンズも下着を足から抜いて校長先生の机の上に伏せ、その白くて小さなお尻を僕に向ける。
「…いいよ。フユキ君の、好きにしてください。ふふっ」
 そう言って、キヨタは両手でお尻をいっぱいに広げ、持ち上げるようにして穴の中まで僕に晒した。まるで机の上に、お尻の花が咲いたみたいだった。
 僕はその花弁の中心に、彼女の唾液で濡れた先端を押しつける。キヨタは、うっとりとした表情で呟く。
「あぁ…私、今日も犯されちゃう…フユキ君のおトイレにされちゃうんだ……」
 いいかげん彼女の特殊な性癖に気づいてる僕は、彼女の耳元で囁いた。
「ねえ、エッチのときは、僕のこと『フユキ様』って呼んでよ」
「えっ?」
 キヨタは驚いたような顔をして、すぐに目元を赤くさせた。
「やだ…そんなの変態みたい……言えないわ」
「言いなよ」
「ダメ、だってばぁ……そんなこと言っちゃったら、私……本当に悪い子になっちゃうもん……」
 助けを求めるように視線を泳がせるキヨタの耳元に、僕はもう一度「絶対言うんだよ」と念を押す。彼女はブルっと身を震わせた。
 そして僕は、彼女のお尻の穴に自分を沈めていく。
「あぁっ、入ってくる! フユキ様のオチンチンが、私のおトイレ穴に入ってきますぅ!」

 今週の標語。

 復讐は何も生まない。
 だが、やってみる価値はある。

 先日から降り続いてた雪は明け方には止んだが、道路にはその残滓が積み上げられ、僕らの登校をやんわりと妨害していた。
「おす、タイヨウ」
 僕らの毎朝の待ち合わせ場所になっているコンビニで、キリヤが豆乳のパックを吸いながら片手を上げる。
「ほら、おごり」
 そう言って彼の投げる野菜ジュースのパックは、緩やかな軌跡で正確に僕の胸元に落ちてきた。
「サンキュ」
 こうしている限り、いつもどおりのキリヤに見える。僕らは並んで学校へ向かった。
「今日は来ないかと思った」
「なんで?」
 怪訝そうな顔するキリヤに、僕は「ううん」と首を振る。
 僕らの通う中学校の前には長い坂があり、それはいつも僕らを辟易させるが、今日みたいに雪の積もった日は、余計に登校を憂鬱なものにさせる。
「何聴いてんの?」
 キリヤは、僕が耳にしているMP3プレーヤーに興味を示す。
「パシューム」
「あぁ、アレ」
 僕が最近人気のテクノポップグループの名前を口にすると、キリヤは露骨に顔をしかめた。
「ああいうの聴いちゃうわけ?」
「いや、アイドルとか、そういうの抜きで、ちゃんと聴いたら良いんだよ。耳馴染みがいいっていうか。マジで」
 僕がマフラー越しに片方のイヤホンを差し出すと、キリヤは素直にそれを受け取って耳に入れた。
「ふぅん」
 僕たちはそのまま肩をくっつけて通学路を歩いた。上級生の女子たちが、そんな僕たちを見て嬉しそうにざわめき出す。
 一部の女子には、男子同士の仲良いスキンシップにときめく不思議な習性があるらしい。でもキリヤが周りの目なんて気にするわけもなく、だらしなく大きなアクビをした。
「……やる?」
「え?」
「もうすぐ大晦日だし、久しぶりにアイドル大会でもする?」
 僕は思わず苦笑した。
「だから、パシュームはそういうんじゃないって。本当に、音楽的に興味あるってだけで」

 忘れもしない2年前の大晦日。
 キリヤが「年忘れアイドル大会しよう」って言って、紅白の会場に潜入したあの時、僕らは無邪気にも楽屋のアイドル全員やっちゃえ、なんて大はしゃぎのバカな子供だった。
 そして、まさかその年の紅白の目玉が、大人数アイドルグループたちの豪華競演だったとは知らずに、僕らは紅組のバックステージに飛び込んでいった。
「……煩悩の数だけいるじゃん」
 こうして国営放送局で除夜の鐘を突くことになってしまった僕たちは、そのせいで元旦からチンチンが痛くて動けなかった。
 あれ以来、僕らはアイドルに手を出すのをやめている。

「つまり、音楽として興味があるんだ」
「わかったって。2回も言うな」
 僕らは並んで坂を上がる。校門の手前でキリヤはイヤホンを外した。
「今度CD貸して」
「いいよ」
「あ、やっぱいいや」
 キリヤは思い出したように髪をかき上げる。
「帰りにどっかのCD屋で貰ってくるわ」
 いつものキリヤだった。
 いや、ちょっと前までのキリヤだった。
「キリヤ」
 僕はイヤホンを外して胸ポケットにしまう。
「明日CD持ってくるよ。返すのいつでもいいから」
 キリヤは肩をすくめて「ん」と笑った。

「……タイヨウが女だったら良かったのにな」
 下駄箱に靴を入れながら、キリヤは不穏なことを言い出す。ビックリしてメガネが曇った。
「気持ち悪いこと言うなよ」
「いや、マジで」
「マジで言ってるなら、余計キモいし」
「じつは女でした、みたいなサプライズはないの?」
「ないよ。ていうか何回も見てるだろ、僕のチンポ」
「あー」
 ばちんと額を叩く。
「アレがそうだったのかー」
 残念そうにド失礼なこと言って、キリヤは下駄箱にもたれかかる。
「俺、結構落ちてるかも」
 確かに、今まで見たことないくらい、キリヤの背中は落ち込んでいた。
 昨日は彼にとって、最悪の日だったに違いない。
「……ごめん。僕、本当は女だったんだ」
「きめーよ」

 屋上の風は心地よい。
 カホちゃんを誘うには良い場所だと思った。

「……それじゃ、今朝、俺たちを見たことは忘れろ。お前は登校して、保健室に寄って、あそこのおばちゃんがいないから、そのまま教室に戻った。そういうことだから」
「はい」

 キリヤに言われたとおりに、カホちゃんは頷いた。
「よし、咥えろ」
「はい」
 そして彼らのプレイが始まった。僕は屋上のフェンスにもたれて、野菜ジュースのパックを吸った。
 屋上のカギを開けられる生徒はキリヤだけだ。天気のいい日は、僕らは屋上で昼食を取るようにしてる。そして時々、カホちゃんみたいなゲストがいるときもある。
「ん、じゅぷ、じゅぷ、ちゅ……」
 キリヤ仕込みの濃厚なフェラから僕は目を逸らす。今朝の怯えた目を思い出して、ちょっとした罪悪感がチクリと刺さる。あまり見てたら、そのことも忘れて彼女に劣情してしまいそうだ。
 彼女の口淫に任せていたキリヤが、ぐっとカホちゃんの小さな頭を押しつけて腰を震わせた。カホちゃんはしばらくキリヤにしがみついて、キリヤの律動が収まったところで、コク、コク、と喉を鳴らし、プハと息をついた。
「タイヨウもするか?」
「いや、僕はいいや」
 飲み干したパックを、キリヤのパンの空き袋と一緒にまとめる。
 生徒会長として、ゴミの始末はちゃんとするのだ。
「それじゃ、シーシーしよっか」
「はい」
 そんな僕をバカにするように、キリヤは屋上のど真ん中でカホちゃんに下着を脱がせ、僕に向かってにおしっこさせた。
「屋上を汚すな、バカ」
「はははっ、怒ったー」
 いつものように、キリヤはイタズラ小僧の笑顔を浮かべた。
 そういや保健室はめちゃくちゃにしたまんまだ。あとで職員室から生徒会に注意が回るかもしれない。
 面倒くさい。風も緩いし、空も青いし、午後はこのまま昼寝しよっか。

 僕らのバカげた毎日は、いつまでも続く。

< 続 >

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