魔王と聖女と三王女 第二話

第二話

 我は、目を覚ました。玉座に座ったまま、眠っていたようだ。人界の時間で三日ほどだろうか。だが、昼夜の区別のない魔界、ましてや千年の時を生きてきた我にとって、そのような時間は何の意味もなさないものだ。我は、玉座から立ち上がると、目の前にある三つの巨大な黒いイバラの蕾の内の、一つの前に立つ。すっと指をかざすと、絡みあったイバラがうごめき、解けていく。

「ふあ……」

 中から三王女の一人、魔術師の王女の顔が覗いた。栗色の髪は、柔らかい膨らみを持って彼女の肩にかかっている。先の戦いでは、勝気に睨みつけてきた切れ長の釣り目は、今は脱力したかのように目尻が垂れ、半開きの瞳に宿った色も虚ろで焦点があっていない。ぽってりとした厚さを持った唇は、小さく切なげな呼吸を繰り返している。意志を失った彼女の表情は、別人のように幼く、儚げな気配を漂わせていた。柔らかそうな頬は紅くにじみ、浮き出た汗に混じって黒いイバラからしみ出た樹液が薄く覆っている。

 我は、笑いをかみ殺した。三王女を覆う黒いバラからしみ出た粘液は、意志の力を奪う幻覚作用と、淫欲を煽る媚薬作用を持っている。ただ意思のない人形のようになって、浅い呼吸だけを繰り返す魔術師の王女は、三日間の薬液漬けでその影響を十二分に受けていることが見て取れた。

 我は、指をかざし、さらに顔以外を覆っているイバラを解いていく。腕と脚はイバラの中に飲み込ませたまま、胸元から下腹部までを解き放ち外気に触れさせる。身につけているのは、伸縮性のある素材で作られた、身体に密着し肉体の線を浮き立たせる、魔法王国の魔術師の衣装。それが、たっぷりとイバラの樹液を吸いこんでいた。ただでさえ露出の大きなその衣装は、先の戦いと、イバラの棘に引っ掛かったことで、一部分が破けてしまっている。服の裂け目が、皮フに食い込み、彼女の柔らかく瑞々しい素肌が強調される。大きく開いた胸元には、たわわに実った果実のような巨大な乳房が二つ窮屈そうにのぞき、彼女の浅い呼吸に合わせて静かに上下していた。

 我は、乳房を覆う布切れを力ずくで破り取った。魔術師の王女は、ビクッと全身を硬直させる。構うことなく、そのまま溢れんばかりの乳房をわしづかみにし、乱暴に揉みしだく。まるで、軟体生物のように、魔術師の王女の白い二つの果実が我の手のひらの内で形を歪めさせていく。

「あ……あぁん……」

 乳房に粗暴な愛撫を加え始めてすぐに、魔術師の王女は艶を含んだ喘ぎ声をかみ殺すように上げ始める。一度は硬直した身体からもすぐに力が抜け、なされるままになる。我は、手のひらにさらに力を込める。引きちぎるような強さで、目の前の少女の乳房を握りつぶしていく。

「あ、あぁ……うぁ! あぁああん!!」

 魔術師の王女が、甲高い声をあげながら、身を震わせた。声音に、痛みや恐怖の色はない。ただ、暴力的になぶられているだけなのに、その行いに快楽の頂を極めたのだ。それほどまでに、媚毒が彼女の身体の芯までしみ込んでいる。いつの間にか、哀れな姫君の厚みのある唇には、虚ろな笑みが浮かんでいた。

 我はその様を確かめると、彼女の二つの果実から手を離した。途端、彼女の表情にわずかに不安げな色が浮かび、こちらのほうを見上げてくる。

「どうした? 魔術師の王女よ。続きをしてほしいのか?」

 我の問いかけに、彼女の返事はない。

「続きを望むと言うのならば……我が問いに答えてもらおうか」

 魔術師の王女は、小さくうなずく。我は、もはや隠すこともなく、口元を釣り上げた。

「まずは、貴様が何者か、名乗るがよい」

 我が問いに、魔術師の王女は緩慢な調子で口を開く。

「私は、魔法王国ソル=シエルの王女……エレノア……」

 魔術師の王女……エレノアは、抑揚のない声でそう答えた。我は、手のひらを再び蕩けかけた乳房に押し付け、今度はゆっくりと手の腹でこね回していく。

「エレノアよ……我が問いには、一切の偽りを挟まず、真実のみを答えてもらうぞ?」
「……はい……」

 小さくも、はっきりとした肯定の言葉が、エレノアの口から洩れる。我は、乳房にくわえる力を少しずつ強めていく。さらには、控え目に柔らかな肉のついた腹や、瑞々しい張りを備えた太股にも手を伸ばし、エレノアの幼い顔つきとは不釣り合いな豊満さをたたえた身体の線をなぞっていく。

「魔術師の王女とは思えぬ熟れた肉体だな、エレノア? さぞや、多くの男どもに身体を開いてきたのだろう」

 我は、あざけりを含んだ言葉をエレノアの耳元に吐き出す。エレノアの肩がビクッと震えた。

「……いいえ、そんなことはない……」

 エレノアは、弱々しく否定の言葉を紡ぐ。

「どう違うと言うのだ? 細かく説明してもらおうか」

 我は愛撫の動きを止めた。エレノアはわずかの間、沈黙する。

「……キスは、したことがある……何人かのボーイフレンドと……でも、身体を重ねたことはない……」

 エレノアが、途切れ途切れ言った。

「男を誘いながら、身体は開かぬか。それは、なぜだ?」

 我は、愛撫の動きを再開し、少しずつなぶるように力を強めながら、次の質問をする。

「ふあ……あ……処女は……一番、愛する人に捧げたいから……」

 エレノアは、顔を深紅に染めながら、そう答えた。我は、粘土のようにグニグニと姿を変える乳房を、乱暴に握りしめる。再び、敏感になったエレノアの身体が硬直し、絶頂を迎える。

「ふぁあ……あぁ……」
「エレノア、次の問いだ」
「あぁん……はいぃ……」

 エレノアは、我が言葉にもはや何の疑いも抱かずうなずく。

「もし、我が、貴様の望みをかなえてやるとしたならば、貴様はどうする? 一体、何を望む?」

 エレノアは、沈黙した。その表情は、何も考えていないようにも見えるし、何かを深く沈思黙考しているようにも見える。

「答えよ」

 我の短い言葉を受けても、なおわずかの間、沈黙し続けたエレノアは、ようやく口を開く。

「……パパが、欲しい……」

 彼女は静かに答えた。

「父が欲しいと? なぜだ?」

 エレノアは、焦点の合わない瞳で虚空を見つめる。

「私のママは、未婚の母で……たくさんの愛人がいて……でも、私のパパが誰かは分からなくて……ママは、私のことを見てくれなかったら……」

 エレノアの声が詰まる。声が途切れつつも、必死に言葉を紡ぐ。エレノアの瞳が、潤んでいる。

「……だから、私はパパが欲しい……私のことを見て、愛してくれるパパが……」

 エレノアの瞳から、涙が一粒こぼれおちる。その様を見て、我が喉から邪な笑いがこぼれる。これが、三王女の一人エレノアの心の欠落だ。これならば、簡単な話だ。心の欠落を持つ人間は、堕とすのがたやすい。

「エレノア」
「!?」

 我は、エレノアの顎をつかみ、顔を持ちあげた。エレノアの涙をたたえた目が、我と合う。我は魔力を込めてエレノアの瞳を覗きこみ、その心の隙間へと入り込む。

「エレノアよ。我が、貴様の父となってやろう。ただし、お前の父に、絶対の忠誠と愛を誓え……そうすれば、お前を愛欲で満たしてやる」

 我が言葉が、エレノアの心の欠落へと入り込み、内側から彼女の意志へと侵食していく。エレノアの肩が震える。小刻みに揺れる唇が、少しずつ言葉を紡ぎだそうとする。

「あ……あぁ……」
「どうした、エレノア? どうするのだ?」

 我は、焦らすようにエレノアに目を覗き、心をもてあそぶ。

「ああぁぁぁ! 下さい!! 私のパパになってください!! 誓います! パパを愛し、忠誠を誓うから……私のことを見て、愛してくれるパパを……私に下さい!!!」

 耐えきれなくなったエレノアは、叫んだ。我は、エレノアの服を力ずくで破く。そのまま、エレノアの四肢を縛り付けている黒いイバラを解く。戒めから解放されたエレノアは、力なくぺたんと黒い床石の上に尻もちをつくような格好になる。

「エレノア。身体を、開け」
「え……?」

 我がエレノアに告げると、彼女は言葉の意味を理解できず、不安げに聞き返す。

「お前の処女を、我に捧げよ。もっとも愛している人間に、処女を捧げるのだろう?」
「あぁ……はい! 捧げます!! パパに、私の処女を捧げます!!」

 ようやく、我が意図を理解したエレノアは、花のような笑顔を浮かべる。人にとって、心の渇望をむき出しにされることほど耐え難いことはない。そして、その渇望を満たす誘惑に抗うことも。エレノアは、不条理な要求にも、自らの欠落を埋めるために喜んで従った。

エレノアは、自らの足をつかんで、股を大きく開く。瑞々しく熟れた滑らかな太股の奥に、イバラの樹液の媚薬効果で充血した肉の花弁を持った秘唇が、蜜をたたえて震えていた。

 エレノアの娼婦のごとき痴態を見て、我もまた漆黒の魔王の装束から、己の肉棒を解き放つ。我が男根は、すでに硬くそそり立っていた。

「いくぞ? 我が娘、エレノア」
「……来て……パパ……」

 男を誘惑するような格好をしたエレノアが、初々しい生娘の声をあげる。我は、エレノアに覆いかぶさるように身体を重ねた。装束越しに、蕩けきった二つの巨大な果実が、我の胸板にぶつかって、形をひしゃげていく感触が伝わってくる。我は、エレノアの顔を片手で捕まえる。そのまま、エレノアを弾力のあるふくらみを持った唇を、自らの唇で蹂躙する。

「んちゅ……んん……」

 エレノアの唇を舌で押し開き、口内へと侵入する。唇のみならず、その口内までも蹂躙していく。ただ、苦しそうにうめいたエレノアも、必死に自らの舌を、我の舌と絡めて応対する。我がエレノアの唾液を味わい、エレノアに我の唾液をたっぷりと飲ませて、絡みあった二人の舌と唇はようやく離れる。

「何人の男と、接吻を交わしたのだ? エレノア」
「……イジワル言わないで、パパ……こんな深いキスをしたのは、生まれて初めて……」

 虚ろな瞳をしたエレノアは、深く甘いため息をつきながら、我の背に細い腕を回す。我もまた、エレノアの身体を強く抱きしめる。

「パパ……少し、痛いよ……」
「我慢しろ」

 エレノアの唇を再び奪い、黙らせる。我は、そのまま剛直がそそり立った腰をエレノアのまだ男を受け入れたことのない秘所に向かって、勢いよく下ろす。

「……!!?」

 エレノアが、突然の衝撃に全身を硬直させる。しかし、三日三晩、媚毒の粘液に漬け込まれた肉体は、雌芯を溶かされ、抵抗なく男根を受け入れていく。処女膜すらもあっけなく貫かれたエレノアの肉壁は、それでも牡を悦ばす反応を示し、妖しくグネグネと締め付ける。肩に回ったエレノアの手に力がこもり、ふさいだ唇からは、今この瞬間まで処女であったにもかかわらず快楽のため息と唾液がこぼれる。淫欲に目覚めた美姫の無垢なる肉体は、我が肉欲をぶつけるにも心地よい。我は、ゆっくりと深く男根をエレノアに挿入していく。

「んん……! んはぁ……!!」

 エレノアがうめき、我が唇から逃れた。いまだ焦点の合わぬ目が、それでいて何かを貪欲に求めるかのようにさまよう。

「気分はどうだ? エレノア」
「ヘンなの……初めてなのに、んん! こんなに……気持ちいいなんて……!!」

 我は、エレノアが快楽に身をゆだねているのを確かめると、腰の動きを少しずつ早めた。初めは、赤子をあやすような、ゆっくりとした上下運動。それが、勢いを増していき、腰に腰を打ちつけるような暴力的な動きとなっていく。

「ふあっ! あぁん!! すごい……すごいっ!! 子宮まで、届いちゃいそう!!!」

 エレノアは、ただなされるままに身体を弾ませる。だらしなく開いた口元からは唾液をまき散らし、きつく剛直を咥えこんだ秘唇からは処女血の混じった愛液があふれる。

「エレノア、お前も腰を動かせ」
「うぁ……はい! 仰せのままに!!」

 我が命令に、淫らな笑みを浮かべてエレノアは従う。エレノアは、鼓動を弾ませ、我の動きに合わせるように腰を弾ませる。エレノアの内部の肉壁が、我が肉棒をもてなすようにこすれて、エレノアの艶めかしい素肌が装束越しに我の身体にすりつけられる。

「あぁん……パパ、どう? キモチイイ?」

 エレノアは息も絶え絶えになりながら、甘い声でささやく。エレノアの全身がヒクヒクと震え、浅い呼吸が我の身体に吹きかけられる。それは、彼女の性感が限界に近付いていることを物語っていた。

「ふん。悪くはないぞ? エレノア」
「ふあぁ……良かった。んん……私、もう限界みたいで……パパにも、一緒にイッてほしいの……」

 我はエレノアにうなずき返すと、深く男根をエレノアの中に突き刺す。一回、二回と突き刺すたびに、エレノアは黄色い喜悦の声をあげて、悦楽を享受する。

「あぁ! イイッ!! イク!! パパ、私、イク!!!」

 エレノアは絶頂の予感に小刻みに痙攣しながら、我の身体をギュッと握る。我もまた、エレノアをきつく抱き返す。

「あ!! ああぁぁぁ!!!」

 ひときわ甲高い嬌声をあげて、エレノアは絶頂に達した。背筋が反り返り、秘裂からは淫液が洪水のようにあふれ出す。彼女の豊満な肉体は、病的なまでに痙攣する。

「……我が精を注いでやろう。受け取れ」

 我もまた、エレノアの胎内めがけて、己の中の射精感を解き放った。

「あぁぁ! パパの、熱い!! イッたばかりなのに、また……!!!」

 精を注ぎ込まれたエレノアは、再度の絶頂の悦楽に飲み込まれ、知性を失ったかのような笑みを浮かべながら、絶叫した。

 少しして、我が腕の中でエレノアの全身の痙攣が収まる。すると、先ほどまで虚ろだった彼女の瞳に意思の色が宿る。ただ、エレノアの表情に宿った表情は、以前のものとは似ても似つかぬものだ。媚を浮かべた笑みを浮かべると、我に全身をすりよせてくる。

「あはぁん。パパぁ……それとも、お父様ってお呼びした方がいい?」
「好きにするがいい」

 エレノアは、まるで子供のようにクスクスと笑った。

「お父様……エレノアのこと、もっとたくさん愛してね……」

 我は、黒大理石の玉座に腰をおろしていた。眼下にある黒いイバラでできた蕾を見つめる。その数は、残り二つ。そして、我が足下には、かつて我を倒すための英雄のひとり“だった”王女エレノアが、かしずいていた。エレノアは一糸まとわぬ姿となり、発情した雌猫のようにしなだれかかりながら、我の股間に顔をうずめている。口元からは、唾液をあふれさせながら、至福の表情で我が男根を口に含み、舌でなめまわしていた。

 我は、エレノアの栗色の髪を手でなでてやる。すると、エレノアは男根を口に含んだまま甘いため息をついた。

「エレノアよ。まるで、娼婦のようなありさまだな」

 我は、さげずむような言葉をかける。それでもエレノアは、顔に媚びた笑みを浮かべて、顔をあげた。

「ええ、そうよ。私は、娼婦……ただし、お父様専用の、ね……」

 そう言うと、エレノアは再び口淫奉仕に没頭し始める。この娘は、堕ちた。後は、焦る必要はない。ゆっくりと育て、我が手足として動く駒の一つとしてやればよい。

「エレノアよ。明日には、槍の姫も堕とす。お前にも、手伝ってもらうぞ?」

 我の言葉に、エレノアは男根を口に含んだまま嬉しそうにうなずく。エレノアは頬をこけさせて吸引しながら、蛇のように舌を肉棒へと絡めつける。我は、エレノアの口内へと精を放つ。魔王の果てることのない欲望の濁液を、エレノアはこぼすことなく口で受け止めた。

「ふあぁぁ……お父様の精……美味しい……」

 エレノアは、ただでさえ幸せそうな笑顔を、さらに至福に崩す。口の中の液体を至高の美酒のように舌で転がして味わい、嚥下する。我はその姿を見下ろしながら、エレノアの舌と口と唾液がもたらす快楽の余韻に、身をゆだねた。

< 続く >

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