せめてもの催眠術師2 第二話

第二話

「あっ、斉藤さん来たのね。今日危険日の人って誰だっけ」
 お腹が若干目立ち始めている妙齢の秘書課長が近くの部下に聞く。
「西沢さんじゃないかな……」
「えー」
 その答えに思わず、不満げな声を出してしまったトモノリ。
「失礼しちゃうっ! なにが『えー』よ。こっちが『えー』ですよ。せっかく濡らせてまってたのに、酷いっ!」
 その西沢さんが、不満げなトモノリに怒っている。

 秘書課の若くて可愛い子はあらかたトモノリが妊娠させてしまった、まだアラサーの西沢アンナぐらいしか残っていないのか。
 自分で決めた催眠なので、やらないってわけには行かず。秘書室のさらに奥にある更衣室へと入る。割と広めに取ってあるので、真ん中の机をどけて、簡易ベットを仕立ててあるのだ。
 更衣室兼、トモノリのための行為室といったところか。
 ここで、ほとんどの秘書を種付けしてしまった。めぼしい子はあらかた終えたので、ここも潮時かもしれない。
 アラサーの西沢アンナを見てそう思う。

 秘書課に配属されるだけあって、西沢アンナだって顔の造詣は悪くない。濃い化粧を我慢すれば、きつめの美人といってもよかった。
 ただ、つりあがった目元と、痩せた顎が、どこか性格のきつさと、品のなさを感じさせる。
 どうやら、そこらへんがアンナが三十三歳まで売れ残ってしまった理由のようだ。
「じゃあ、ちゃっちゃと脱いでください……ちゃっちゃとやりましょう」
「なによ、その気のないそぶり……信じられない」
 そう文句をいいながらも、秘書らしいスーツを脱いでいく。また、頼んでもないのに、ミニスカートに、レースも鮮やかなド紫のエロ下着だった。
 それを腰を振りながら、自慢げに脱いでくれるからゲップも出ようかというもの。

 別に西沢アンナも、不細工というわけではない。濃い化粧をしていればという前提ではあるものの、派手めの美人といえないこともない。
 下着も剥ぎ取って、たるみ気味のDカップが姿を現す。
 安物のポルノスターみたいな、そういう不自然なしぐさが、ナチュラルで若い女になれたトモノリを萎えさせるのだ。

 まして、二十四歳のトモノリにとって、十歳近く年上の安っぽい女をババア以外のなんと表現しろというのだろう。
「はぁ……いいです自分で脱ぎますから」
 アンナがズボンを下ろそうとしたので、さらりと脱いでしまう。いつもだらしないトモノリは、すぐに服が脱げるのだ。
「立たないわね……どうしてよ」
 アンナは、だらりとしたトモノリの逸物をいきなり、掴んでそんなことを言うのだ。そんなことをされたら、実もふたもないだろう。
「どうしてよと、言われても……」
 さっき江波ミミコで一発抜いているから、いまさら香水臭いババアで抜けるかよとはさすがに言えない。
 いや、言ってやってもいいのか……催眠を使えば、こんな女怖いことはない。
「なによ……急に。まさかできないっていうんじゃないでしょうね」
 トモノリに見つめられても、恥ずかしがりもしない。アンナを抱くのは初めてのはずだが、なんだか倦怠期の男女を思わせる、やるせない空気が漂っている。
 アイラインを強調しすぎて、目つきが鋭くみえる大年増のアンナを見ていると、まるで鬼女みたいだと思った。

「どうも、今日は元気がないみたいで」
「立たないでは済まないわよ。今日当たり、私の順番だからって、見なさいよこれ……濡らして待ってたんだから」
 準備をしていたというのは嘘ではないらしく、濃い褐色のマンコからヌルリとピンクローターが引き出される。
 愛液でジュクジュクだった。
「いえ、しないってわけじゃなくて……『せめて」立つように俺のプレイに付き合ってくれませんか」
「プレイ……なんか特殊なのを、するの……そうわかったわ、この際だからいいわよ」
 一瞬、アンナがたじろいで見せたが、『せめて』の催眠に逆らえるわけもない。
「軽く、SMプレイなんてどうかと思って、軽くなじって少しお仕置きするだけですから……」
 そういって、トモノリはいやらしく笑う。トモノリのターンだ、あとは好きなように料理できるだろう。
 そうすると、現金なものでむっくりとトモノリの股間が立ち上がり、膨れた。
「そう……私は、どうしたらいいのかしら」
 さっきまでの威勢がどうしたことか、アンナは急にしおらしくなった。トモノリの逸物を自ら掴んでいた積極性も遠のいて、上目使いにトモノリの様子を伺ってくる。
 もしかすると、アンナはSMで酷い目にあったこともあるのかもしれない。考えれば、男に良いようにやり逃げされそうなタイプだ。

「ふん、なかなかしおらしい目つきになったじゃないか。メス豚」
「メス……はいっ」
「よし、これつけろ」
 普段から持ち歩いているカバンから、鼻フックを取り出す。鼻にひっかけて、豚鼻にするSM道具である。
「こんなの……」
「メス豚だから当然だろ、早くしろ」
 自ら、鼻フックを引っ掛けて鼻をひん曲げるアンナ。やっぱりだと、トモノリは思った。こいつは、前にもこんなプレイをされたことがあるのだ。
「ほんな、ほとして……なにが楽しいの……」
 鼻フックをひっかけると、ひんまがった豚鼻になるし、くぐもった鼻声になる。
 トモノリが用意していたのは、ゴムマスクのように顔に装着して固定するタイプで、まっぱだかでこれをつけると、まるで罰を受けた囚人のようだ。
 小さな皮と鉄とゴムひもだけで、愛し合う行為が、拷問へと変化する。それが、アンナにふさわしく思えて、ようやくトモノリは興奮し始めた。
「何が楽しいって……お前の顔、傑作だぞ、鏡で見てみろよ」
 秘書課の更衣室なので、身形を整えるための大鏡がおいてある。
「ひどい……」

「ほら、ケツを向けろ……これはセックスじゃないぞ。メス豚に種付けだ」
 そういうと、アンナのケツをスパンキングして、ケツを向けさせた。マンコはすでにねっとりとした粘液を太ももにたらすほどに、濡れている。
「こんなの……こんなの……」
 ちょうど、大鏡の前に顔を突き出すようにして、屈まされているアンナ。自分の捻じ曲がった鼻が、異形のマスクをつけている自分のすがたが、見えてしまう。
 アンナは、屈辱に思わず、目をそらした。
「目をそらすなよ、そんな顔で鼻水をたらしながら種付けされる自分の姿をちゃんと凝視しろ!」
「ひどい……あんまりにも酷すぎるわよっ! 痛いっ……いたっ!」
 ぎゅっと、アンナの垂れた胸を握りつぶすようにした。鏡に映るトモノリは残酷な目で、笑っている。
「黙れよメス豚……種付けなんだから、よがるんじゃねーぞ」
「あっ……ああっ!」
 嫌がっても、ぐっと硬くなった逸物を突っ込んでやれば、アンナはぐっと目をつぶって動物のように啼いた。
「そうだ、豚みたいに鳴け!」
「ううっ……ううっ……」
 トモノリも興奮したようで、激しく腰を振るっていく。
「ぶひぶひって啼け……」
「いたいっ……わかったから、ぶひっ……ぶひっ……」
 鼻フックのゴムを、後ろに引っ張るから。アンナは啼かざるを得ない。
「ハハッ、こいつほんとに啼きやがった。こんな豚ババアに中出ししてやらないといけないとはっ、反吐がでる」
「ちょっとっ……」
 悔しげに振り返る、なみだ目になってる。屈辱でだろうか、鼻フックが引っ張られたのが本当に痛かったのだろうか。

「お前、鼻フックするの初めてじゃないだろう」
「それはっ、元彼の趣味で……」
 かなりマニアックな装備品であるので、経験のない女がすっとつけられるものではないとは思ったが、トモノリの予想通りだったようだ。
「なにが元彼だよ、こんなのを女につけるってのは、ていのいい性欲処理のカキタレだろう」
「そんなっ……そんなことないっ」
 アンナの顔がさらにゆがむ。思い当たる節があったのだろう。
「その、元彼氏さんに中に出してもらったことはあるのかよ」
「彼は……私の身体を気遣って」
「お前みたいなオバサンを孕ませると、厄介だから避妊してたんだろ」
 ババアと罵られるより、十歳近くも若いトモノリに突っ込まれて、オバサンと呼ばれるほうが、どれほど酷くアンナの心を傷つけることか。
「そんな……ちがうっ……」
 どんなことを言い募っても、もはや別れているのだから説得力もない。
 必死に抗弁すればするほど、トモノリの図星ということになるのだが。
 トモノリは、ただこの種付けをアンナに最低の屈辱を味あわせながらやりたいと思っただけだから。
 事の真偽なんてものはどうでもいい。

「俺は責任とらなくていいから、たっぷり中に出させてもらうわ」
「くっ……こんなのって、あんまりよ……」
 アンナは、屈辱においおいと泣き出していた。
 鼻フックでむき出しになっている鼻の穴からは、同時に鼻水がジュルジュルと垂れていく。
 アンナは、悔しくて悲しくて泣いているのだが、同時に興奮していることがギュウギュウと締め付けてくる生殖器を通してトモノリにも伝わってくる。
「ふんっ、妊娠して父なし子を産め、くそばばあっ!」
 酷薄な笑みを浮かべたままで、メス豚の中に熱い塊を叩き込んだ。
「出しなさいよ、責任取らせなくたって出したら、あんたが父親なんだからねっ、忘れないでよ!」

 その叫びはアンナの最後の抵抗だったのか。

 ドピュ、ドピュ、ドピュ!

 激しく、叩きつけられるトモノリの若い精液に、アンナの膣が喜びの収縮を行う。
 アンナは言葉にならないうめき声をあげて、崩れ落ちた。
 ドクドクとすべて精液を注ぎ込んでしまうまで、トモノリはアンナのたるんだ胸を握り締める手を離さなかった。

「ふうっ……」

 すべてが終わると、酷く冷静になる。
 ドロリとした感触と共に、柔らかくなった逸物を引き抜く。
 すると、しまりのない膣からは、とたんに白い塊が太ももを伝って、床へと流れ出す。
 どこまでが、トモノリの精液で、どこまでがアンナの愛液なのか。
 ひんまがった、醜いアンナの顔を見て、トモノリは少し疲労を感じてため息をつく。

 安物の化粧品の匂い、ああこんな行き遅れババァでやってしまったと。
 深い満足感と、ほのかな嫌悪感が入り混じったような背徳感。
 アンナに最後に言われた言葉が、耳にこびりついて、トモノリは少し落胆した気持ちになった。

 帰り際に秘書課長に苦言を呈された。
「トモノリくん、激しくやるのはいいけど、こっちまで音がダダ漏れだったのだけど」
「あっ……」
「秘書室だって、仕事場なんですからね。なるべく音が漏れないように気をつけてね」
「すんませんでした……」
 素直に謝って許してもらう。
 出社が遅かったトモノリは意外と忙しい、外回りの仕事に出ないといけないから、ここで時間をくっているわけにはいかないのだ。

< 続く >

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