断れない母親 第八話

「断れない母親(催眠)」第八話

 夕方、いつも通り優月玲子が仕事から帰ると、今日も田中さんが冷蔵庫を漁って勝手に食べていた。
「玲子さんおかえり」
「……ただいま帰りました」
 娘にはお帰りを言ってあげる家族が必要だと思ってるけど、この肥え太った豚みたいな姿を見ていると田中さんはないなと思う。
「ふう、ようやく腹がこなれた。喉が渇いたなあ」
「いまお茶を入れますよ」
 逆らってもしょうがないので、お湯を沸かしてお茶を入れる。
「一服したら、今日もしよっか」
「はい」
 やっぱり今日もセックスするのか。それはもう諦めていたところなのだけど。
「今日は、撮影があるからね」
「はい?」
 嫌な予感がして寝室までいくと、勝手にカメラなどの機材を設置されていた。

「ちょっと田中さんこれなんなんですか」
「だから、撮影だよ」
「説明になってませんよ」
「せっかくだから、玲子さんもセックスするところを撮影して売ったらどうかなと思って」
 そう言って、田中さんはエッチな動画販売サイトを見せてくれる。
「これなんですか」
 様々な女性が卑猥な動画を撮って売っている。
「これ、俺のやってる販売サイトなんだよ。ここが値段で販売数」
「結構お金になるんですね」
 三千人から一万人くらいが、千円もする有料動画を買っているようだ。
 このポイントというやつがそのまま円になるのだとしたら、サイトの手数料がいくら天引きされるか知らないけど動画一本が三百万から一千万の収益になっているのだとすぐ計算できる。
 かなりのお金が動いている。
 いくら儲かってるのかなって金勘定してしまうのは、経理の仕事をしている玲子の癖のようなものだ。
「でしょ、玲子さんも売ろうよ」
「嫌ですよ。みんな顔出ししてるじゃないですか、こんな画像や動画が流出したら……」
 職場にバレたら、仕事は首になる。
 ご近所の噂にもなったら、夫が財産として残してくれたこのマンションにも住めなくなるかもしれない。
 画像流出のリスクは、ちょっと考えただけでゾッとする。
 倫理的に考えても嫌だしお断りだけど、それ以前に得られるお金にリスクが見合うものではない。

「大丈夫、会員制のサイトだから外部には流出しないよ。サイトの規約にも禁止されてるし」
「そんなの信用できないですよ」
 サイトの規約は法律ではないのだ。
 それに、このサイトに玲子の知ってる職場の人間が登録していたら終わりではないか。そんなことちょっと考えればわかることだ。
「これから玲子さんも子供ができるだろうから、女手一つで大変だろうなと思ったからお金くらいはと思ったんだけどね」
「お気持ちは大変嬉しいですけど、私はちゃんと仕事して稼いでますから」
 そうなのだ。
 この田中さんは悪意があって言っているわけではないのだ。
 だから余計たちが悪いとも言えるけど。
「じゃ、仕方ないから唯花ちゃんにしようかな」
「……なんですって?」
 田中が持ち出したスマホの画面には、唯花が嫌そうに顔を背けて学校の制服のプリーツスカートをたくし上げる姿が映っている。
 青と白の縞々のパンティーが丸見え。
 こんなのが流出したら、娘の人生はおしまいだ!
「玲子さんがお金に困ってるっていったら、唯花ちゃんが協力してくれるって言ってさあ」
「ぎゃああああ!」
「うわ、何をする!」
「いつの間にこんな物を! 消してください! すぐ消して!」
 田中から無理やりスマホをひったくると、削除ボタンを連打する。
 ええい、何枚撮ってるんだ。
 削除! 削除! 削除! 削除ぉおおお!
「唯花ちゃんのことは、玲子さんには関係ないじゃん」
「関係あるでしょ、ゲホッゲホッ! わた、私は、唯花の保護者なんですよ! こんなの、許せるわけが!」
 激しい口調で息巻きながら、咳き込むほどに興奮して叫ぶ玲子。
「わかった、わかったから落ち着いて」
「まさか、もうネットにアップしたんじゃないでしょうね!」
「してないしてない」
「それならいいですけど……はぁ、間に合ってよかった」
 あまりのことに頭に血が上りすぎた玲子は、ベッドに座って嘆息した。

「でも俺のサイトも、そろそろ新作が欲しいんだよなあ」
「私がしたら、金輪際娘には声をかけないって約束してくれますか?」
 田中さんの意のままになるのは悔しいけど、娘を守るためなら仕方がない。
「もちろんだよー。これで玲子さんも出産費用が稼げるし、俺も儲かるし、win-winだよね。あ、俺の取り分は五十%でいいからね」
 田中は、邪悪な笑みを浮かべてそう答えた。
「お金取るんですか!?」
「当たり前だよ。画像や動画を撮影したり、編集したり、宣伝したり、シナリオ考えたり、売れるように広告したりもタダじゃないんだから報酬は折半だ」
「宣伝と広告は一緒の意味ですよね……」
 ジト目で言う玲子。
「そんな揚げ足取るなよ。玲子さんだって社会人なんだから、そういうのに労力かかるってわかってるでしょ」
「それはまあ……」
 普通の取引なら妥当だと納得はいく。
 しかし、この場合リスクは玲子だけが取らされていないだろうかと疑問に思う。
「こっちは善意で言ってるんだからね」
 そうなのだよなあと、玲子は思う。
 田中さんはお金が必要だろうという善意で言っているだけだし、娘のためにもこの提案は断れないのだから頷くしかない玲子であった。
 なんでいつもこうなってしまうのだろうか……。

<続く>

6件のコメント

  1. 読ませていただきましたでよ~。

    相変わらず田中さんはやりたい放題でぅね。
    どういう暗示をかけられてるのかわからないでぅけど、玲子さん騙され安すぎじゃないでぅかねw
    騙されると言うか断れないだけなのかもしれないでぅけど。

    っていうか唯花ちゃんにもとっくに手を出してるんでぅね。
    当然でぅねw
    であ、次回も楽しみにしていますでよ~

    1. 田中さん、
      お風呂、寝室、冷蔵庫と的確にプライベートな空間を侵食して、
      ムダ毛の処理や撮影など、全面的に玲子さんを堕としていますね。
      その一つ一つの工程で、玲子さんの了解を取っているのが、
      支配感を増してくれています。
      今のところ、「唯花を守るため」というのが、玲子さんにとってもエクスキューズになっていますが、
      これが先々、どうなるのか。
      楽しみにしております。

      1. 永慶さん感想ありがとうございます!

        >今のところ、「唯花を守るため」というのが、玲子さんにとってもエクスキューズになっていますが、
        ここも大事なポイントとしてるところです。
        読み取っていただいてありがとうございます!
        次回も楽しんでいただければ幸いです。

  2. みゃふさんいつも感想ありがとうございます!

    催眠については、次回ちょこっとは入れていこうと思います。
    遅ればせながらですが。

    >っていうか唯花ちゃんにもとっくに手を出してるんでぅね。
    今回の話は母親がメインで書きたいと思ってやってるんですが、その可能性はありますね。
    入れられるかどうかは流れ次第かなと。

  3. 読みましたー。

    未亡人が気の弱い性格に付け込まれて男に居座られて肉体を貪られるも、
    マインドコントロールされていると「この人は悪気があるわけじゃないんだ」って自分で自分を責めてしまうから、
    最終的に一人で全部抱え込んで警察とかも介入できなくなっちゃうんですよね。怖い。

    1000円の動画を1万人が購入するレベルってなると、国内のサイトだとしたらかなりの大手なイメージ。
    完全にやばいところに足を突っ込んでますね。
    次回、催眠シチュが入るとのことで、楽しみにしています。

  4. ティーカさん感想ありがとうございます!

    >マインドコントロールされていると「この人は悪気があるわけじゃないんだ」って自分で自分を責めてしまうから、
    ですです。
    こういう感じを出したいなあと思いまして。

    催眠シチュっていってもちょびっとですけどね。
    来月頭にまたまとめて投稿しますので楽しんでいただければ幸いです。

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