さよならウィザード 第1話

第1話

 魔法使いに会いたいと、エリは言った。
 僕らはマンションの屋上で、固い床に背中を痛めつけられながら、見つけたばかりの一番星を仰いでいる。
 魔法使い、と僕は口の中で繰り返す。
 彼女が見たアニメでは、魔法使いは呪文1つで人を操り、どんな面倒な問題も解決してしまうそうだ。
 それがいかに非現実的な空想であるかは、小学生の僕らでもよくわかっている。
 でも、いつも父親の暴力で体にアザを作っている彼女が、クラスでもイジメられている彼女が、そんな夢を見ていることをもし笑うヤツがいれば、僕もこの細い腕で暴力をふるうことを厭わないだろう。
 いやそれはウソだ。
 現実の僕はもっと貧弱で、「あそこの家の子とは遊ぶな」という親の言葉を恐れ、こうして立ち入り禁止の屋上で、隠れるようにしか彼女と会うことができずにいる。
 魔法使い、と僕は繰り返す。
 夕暮れが始まりそうな空を、ホウキに跨って飛ぶ女性を僕は想像する。あるいは、屋上のタンクを釜にして怪しげな薬を調合する老人の白いヒゲとか。
 空想の世界ではいくらでも翼を広げることができる。でもやがて暗くなってしまえば、子供の僕たちは親の待つ家に帰らなければならない。魔法のない世界ではそれが常識だった。
 僕たちは手を繋ぐ。エリはもう片方の手で顔を隠して泣いていた。
 ここは途方もなく現実的な世界で、僕らは小さな人間だった。
 じゃあ僕が魔法使いになる、と僕は言った。
 勉強して、研究して、達人になって、エリを救う魔法使いになると彼女に言った。

「……本当に?」

 僕は約束する。

「約束だよ、トウマ?」

 エリに約束する。

「絶対だからね?」

 僕は何度も彼女に約束し、泣き止むまでその手を握る。
 そして、その日の夜から魔法使いの勉強を開始した。
 いろいろと調べた結果、催眠術と呼ばれるものがエリの想像する最も近かった。便宜上、僕はそれを『魔法』と呼んで学んだ。
 魔法使いは悪い人の心を操り、反省させる。そして最終的にはみんなを幸せにする。
 その壮大な計画に僕は昂揚し、魔法一つで世界を平和にしてみせるつもりにまでなっていた。
 平和になった世界では、エリも当然幸せだ。世界の一番いい場所で、僕とエリとが手を繋ぐ。エリはもう泣いていなかった。えくぼを作って笑ってた。
 僕は魔法の杖を揺らして彼女のために虹をかける。いくつもいくつも虹をかける。
 毎日、そんな夢ばかり見ていた。

 ある日の放課後、僕は「とうとう魔法を使えるようになった」と、エリに報告した。

「へぇ」

 エリは重たそうにランドセルを背負い直し、足をひきずるように歩いて、そっけない返事をくれた。
 その日、エリはひどく機嫌が悪くて、一日中ふさぎ込んでいた。
 きっと遅刻して学校に来たことを担任の山畑先生に叱られたせいだろう。それとも、今日もまた一日クラスのやつらに『空気』扱いされたからか?
 あるいは、また彼女の父親が暴力をふるったせいだ。彼女のマフラーで隠れた首筋には、今朝、赤黒いアザがあったのを僕は見つけている。
 でも僕は、彼女の不機嫌には気づいてないフリを続ける。

「妹で試したら上手くいった。あいつ、犬になってワンワンって駆け回ったんだ。僕の命令どおりに」

 昨日のことを、できるだけ面白おかしく僕は説明する。エリは疲れた顔で足を止め、だけど僕の話に耳を傾けていた。
 ガードレールに小さなお尻を預けるエリに、僕は一生懸命しゃべる。魔法の手順にはまず導入というのがあって、最初はそこに手間取ったこと。でも、入り口を見つけてしまえば、あとは意外と簡単に進めること。潜在意識に呼びかけて、いろんな秘密も聞き出せる。あるいはそこに魔法を埋め込み、変な行動をさせたり、逆にできることをできなくさせたりも出来る。
 魔法は万能で、不可能はない。人を犬にすることもできる。犬を人にすることはできないけど、それは別にする必要もなさそうだし、とにかくできないことはないはずなんだと、エリに熱弁をふるう。
 興奮してしゃべる僕の話が一段落したところで、エリは「ふぅん」とだけ言って白い息を吐いた。

「でもそれ、魔法じゃないじゃん」

 僕は一呼吸をおいて、「魔法だよ」と応じた。

「催眠術ってやつでしょ。知ってるよ。テレビでやってたもん。インチキくさいの」

 エリが不機嫌な日に、この話をしたのは失敗だったのかもしれない。
 でも僕は挫けずに「魔法に一番近いやつだ」と言った。

「僕は魔法で何でもできるよ」

 エリはずっと怒ったみたいな顔してて、ガードレールに腰掛けたまま、僕を上目遣いでジトーっと睨んでいる。
 僕はなぜか悲しい気持ちになった。エリは、どうして僕の魔法を信じてくれないんだろうか。

「じゃ、セックスできる?」
「セックス?」
「そう、セックス」

 学校で習ったことはあるし、どういうことかもある程度は分かってるけど、いまいちピンとこない言葉だ。
 好きな人同士がする気持ちのいい行為で、結婚してからは子供を作るためにする。それがセックス。それくらいは知っている。
 でも、それを魔法ですることに意味はあるんだろうか。やがて恋人や結婚をすれば、普通に誰でもすることだと思うけど。

「山畑とセックスして」
「え、先生と?」

 僕らの担任の山畑先生は独身で、若い女の先生だ。僕らが彼女とセックスするなら、相手は当然、僕ということになるだろう。
 山畑先生に魔法をかけて、セックスをする。
 できると思うけど、できるかな?
 肝心の僕は山畑先生のことは愛していないし、当然、これまでにもセックスの経験もない。
 それに実際セックスするとなると、魔法とは違う技術が必要になってくるような気がするし、僕にはそっちの自信はまるでなかった。
 しかし正直にそういうと、エリはまた何故か怒りだす。

「うそつき。何でも出来るって言ったくせに」

 エリはどんどんイラついて、僕にぺちんとパンチして、そっぽを向く。

「うそつきは死ね!」

 エリは怒りっぽい子だったし、すぐに死ねとか言うし、暴力もふるう困ったところもあった。
 僕は彼女の毛糸の帽子に向かって言う。

「できるよ。僕は魔法使いだ」

 とんがり帽子も杖もないけど、僕こそが魔法使いだと両手を広げて宣言する。
 山畑先生とセックスして、エリに魔法の存在を証明してみせよう。
 そうすれば、エリの機嫌もよくなるだろうし、彼女を幸せにするための魔法も使えるはずだ。

「じゃあ、来週の木曜日」
「え?」
「来週の木曜日に、トウマの魔法を見せて」
「わかった」

 僕たちは拳を突き合わせて約束した。
 木曜日、僕たちは山畑先生とセックスをする。

 そして約束の日の放課後、2人で山畑先生のところにいって、お話がありますと言った。
 山畑先生は露骨に警戒してたけど、仕方ないというように、僕らを職員室に連れていこうとした。

「できれば、3人だけで話がしたいんです」

 僕がそういうと、ますます嫌な顔をした。でも先生はエリのことは嫌ってたけど、成績のいい僕のことは何かと贔屓にしていたので、渋々だけど了解してくれた。
 場所は相談室だった。職員室は近いけど、中に誰がいるかわからないようになっているので、好都合だ。
 僕は、カーテンを引いて西日を遮る山畑先生のお尻を見る。午後に体育があったから、ピンク色のジャージを来たままだった。その下にはショートパンツを履いているらしく、太ももあたりに線が浮いている。
 先生はおっぱいも大きくて、顔もキツい感じだけどまあまあ美人だった。
 男子には何人か彼女のファンはいるみたいだけど、エリばかり叱ったり、イジメを知ってるくせにとぼけたりするので、僕は嫌いだった。
 でもセックスをするためには、彼女のことを好きにならなければならない。性格は無視して、見た目だけを好きになるようにと、僕は今日一日心がけていた。
 おかげで、彼女のお尻にも僕は少し興奮しておちんちんが疼く。
 セックスは、多分できると思う。

「で、どうしたの藤倉君? クラスに何か問題でもあった?」

 僕たちより先に椅子に座り、大きなおっぱいを腕組みの上に乗せ、牽制するみたいに山畑先生は僕らの顔をじっくりと見回した。
 エリは、もう怒られたみたいに顔を伏せる。そして、僕に肘を押しつけてくる。
 わかってる。僕に任せて。
 魔法使いは僕の役目だ。

「席替えしてほしくて、お願いにきました」
「え、席替え?」

 僕はポケットから消しゴムを取り出す。白、黄色、青、赤、緑。四角くて色とりどりの。

「ここにいる栗原エリが教室でイジメられてるのは、先生も知ってると思います」

 先生は、驚いたような顔をしてエリを見て、そして、顔を伏せたままの彼女と僕を見比べて、肩をすくめた。

「イジメねえ。そうなの? でも、少しおおげさに考えすぎてない?」
「大丈夫です。それは、席替えで解決できると思います。僕の話を聞いてください」
「席替え? 今さら? 藤倉君、栗原さんに何か変なこと言われたの?」
「ただの席替えの話です。それで解決することなんです。今、エリの席がここにあります」

 僕をバカにするような、何かを含んだような言い方には少しムカついた。でも僕は彼女の相手はせず、机の上に消しゴムを並べる。
 先生は、最初はいぶかしそうにしてたけど、子供の言うことなんて舐めてるし、普段から贔屓してやってる僕が消しゴム使って話することなんて、怖がってる様子もない。
 じつは僕も、そんな話はどうでもいいんだ。重要なのは消しゴム。これが今回の魔法の道具なんだから。

「この白い消しゴムがエリ。黄色いのが僕。そして、この赤が鏑木チカです」

 僕が鏑木の名前を出すと、山畑先生の眉がぴくんと上がった。
 鏑木チカは、クラスの女帝だ。
 お金持ちの子で、顔が抜群に可愛くて、そして教室を影で牛耳る悪知恵に長けていた。
 見た目の可愛さと愛嬌で先生や大人を騙し、男子をいいように操る。そしてエリをイジメのターゲットに指定しているのも彼女だった。
 山畑先生だって、そのことには薄々でも気づいているんだろう。

「そして、これが佐藤ルナ。これが菊池フウカ。ここに遠藤ソウタと千葉ダイキがいます」

 ルナはチカの相棒で、チカと同じように「自分は特別」という風に思い込んでる女の子。チカルナはうちのクラスの影の女王たちだ。
 フウカは、すごいデブで『ブウカ』と呼ばれる2人のボディガードみたいな女で、ソウタとダイキはチカとルナに惚れているらしく、手下みたいによく働くやつらだった。
 教室はこの5人よって仕切られ、エリを「空気」にしている。
 クラスの主要なイジメっ子と、僕とエリを消しゴムにして僕は並べた。

「僕が今から、この7コの消しゴムで席替えをしますから、見ててください」

 先生の位置からは、いつも教室から眺めているように僕らの席が再現されている。
 1コずつ、僕は消しゴムを動かしていく。

「まず、エリを下げてチカを前に出します。彼女はいつも教室の一番後ろからみんなの様子を見て、悪いことを企みます」

 白を下げて、赤を前に出す。

「ルナはチカから遠ざけて、ブウカは一番後ろに下げて、僕はエリの隣に動いて、チカは僕の見える場所に動いてもらいます」

 消しゴムが机の上を動く。教室の配置を記憶している山畑先生は、僕の言っている配置で頭の中で動くため、自然と消しゴムの動きに集中する。

「ソウタとダイキはこっちとこっち。そうなるとルナとソウタが並んじゃうから、やっぱりルナはチカと交代しましょうか。いや、それともエリがこっちに離れればいいのかな。先生、ちゃんと見てます?」
「見てるわよ」
「じゃ、続けます。やっぱりここは少し変えますよ。エリは少し前に出て、僕がその後ろに座る。ブウカは横にずれて、ダイキはその隣に下げる。いや、それともチカは反対側に座らせて一番前にするか、あるいは教卓の前にするか。先生、ちゃんと見ててください」

 僕は消しゴムの動きを徐々に早くしていく。山畑先生は食い入るように身を乗り出してくる。
 エリは、そんな僕と山畑先生の間で視線を行ったり来たりさせて、何が起こってるかわかってないように見えた。
 すぐにわかるよ。僕の魔法は、すでに導入を始めている。

「先生、やっぱり最初からやり直します。頭の中を空っぽにして、最初の位置に席を戻してください」
「……はい……」
「では、始めます。またエリを下げます。僕も下げます。チカを前へ。ルナを横へ。エリはここでいいかな? もっと下げようか。先生、エリの位置を下げます。チカは上げます。ダイキが間に入って、ブウカはここ。ここから動かない。ソウタが彼女の周りを回って、エリに近づいてまた離れてここ。ルナが下がって、動かないはずだったブウカが動く。そして戻る。また動く。そして戻る」

 消しゴムは動き出す。最初の位置から、またいろいろな配置へ。先生の目は僕の消しゴムを追い、顔を動かし、まばたきをし、やがて頭を前後に緩慢に揺らしだす。

「山畑先生、僕の声が聞こえてますか? 聞こえてたら『はい』と返事してください」
「……はい……」

 僕は消しゴムを動かす手を止め、立ち上がって山畑先生の首を起こす。そしてまぶたを閉ざして、ゆっくりとした声で囁きかける。

「くるくる回る。まだ席は動いて回ってる。席替えは終わらない。宇宙の星のようだ。先生は、僕らの席替えをじっと見つめている。終わるまで見つめている。そのまま、じっと」

 エリは目を丸くして、僕らを交互に見ていた。山畑先生は寝息のように穏やかな呼吸を続けている。

「先生、寝たの?」
「いや、起きてる。でも意識が深いところに沈んでるから、体には反応が出にくいんだ。眠ってるように見えるだけ」

 僕が山畑先生の頭を指で突くと、先生の頭は横に沈む。それをこっちに引っ張ってくると、今度は体ごと倒れてくる。
 人形のようにぐんにゃりした担任を、エリは不思議な顔で見る。

「……で、どうしよう?」

 僕が尋ねると、エリは口をぐっと結んで、被暗示状態の山畑先生を睨みつける。

「もちろんセックスだよ! 約束したじゃん!」

 エリにとっては、ひょっとして何かの復讐の手段としてセックスはあるんだろうか。
 僕が学校で習ったのは「愛し合う男女がするための行為」だけど、エリが言っているのは暴力や嫌がらせに近いことのような気がする。
 確かにセックスは無理やりすれば犯罪だ。でも魔法にかかった状態ならセックスしたことも覚えていないし、なんだったら僕を愛するように命令してお互い合意ですることもできる。
 だとしたら、僕らのするセックスは復讐や犯罪になるのかな。
 というよりも、山畑先生が認識できないセックスをすることに、意味なんてあるかな。

「何してんの、トウマ。早くしようよ」

 でもエリがただの好奇心でしようとしている風には見えなかったし、彼女にとってはセックスすることに僕とは違う意味があるのかもしれない。
 僕はエリの魔法使いだ。
 彼女が望むなら、セックスでいい。

「山畑先生、立って。席替えは終わった。今日の仕事は終わり。家に帰って、ジャージを脱いで、シャワーを浴びよう」

 先生は目を開けて、パイプ椅子を揺らして立ち上がる。エリはビクンと後ずさり、しゃっくりみたいな声を出す。
 僕は唇に指を当てて、落ち着くようにエリを促す。大丈夫。彼女はまだ魔法の中にいる。エリにはわからないだろうけど、彼女の目には僕もエリも映っていない。
 自宅の、おそらくバスルームが見えている。
 上着を脱いで、椅子にかける。靴に引っかかる足下にイラつくような顔をしながら、下も脱ぐ。
 Tシャツとショートパンツ。そうしてから先生は靴を脱いだ。辻褄の合わない周りの光景や靴にも、彼女の中では瞬時に整合が生まれ、疑問は生まれる前に消える。
 それが僕の命令が持つ力だ。
 僕が犬になれといえば、彼女は自分は生まれたときから犬として存在し、犬として振る舞わなければならないと人間らしい論理で納得する。僕が使うのは思考を導く技術で、それが催眠術であり、魔法だった。
 Tシャツを脱いで、大きなブラとおっぱいが揺れる。ショートパンツを後回しにして、ブラが外されて僕らは揃って息を飲む。
 担任の先生のおっぱいはデカかった。乳首は濃い色をしていて、まるで僕らを睨むみたいに尖っていた。
 躊躇なく、下着まで脱ぎ捨てられる。濃い毛に覆われて中は見えないけど、それが大人の体なんだということは僕だって知っている。
 お父さんもお母さんもそこには毛が生えていた。
 先生は、見えないシャワーコックを捻り、見えないシャワーを気持ちよさそうに浴びている。
 エリは、口をパクパクさせている。僕は自慢してやりたい気持ちをぐっと抑えて、「驚いた?」と彼女に尋ねた。
 こくこくと何度も頷くエリに、僕は内心でガッツポーズを取った。

「早く、セックスして」

 子供っぽく瞳をキラキラさせて、エリは身を乗り出す。僕も嬉しくなって「わかった」と答え、先生の動きを止める。

「先生。僕がストップと言ったら、動きを止めるんだ。DVDの一時停止みたいにだよ。ピタっと止まって、次から僕の指示どおりに動いて。さっきの席替えにいっぱい頭を使ったから、もう何も考えなくていい。僕の指示に従って動くのがいいんだ。僕の指示に従うのが楽で気持ちいい。だから、僕がストップと言ったら、そこから先は僕に任せて」

 僕は『ストップ』と少し大きめの声で言う。先生は、ピタリと動きを止め、体を洗う仕草のまま固まった。
 瞳を輝かせるエリに、「どうだ?」と言ってやりたいのを我慢して、僕はもったいつけるように咳払いをし、次の指示をだす。

「そこの机の上に横になって。リラックスして、体を沈めましょう。休憩です。楽にして休んで」

 先生は机の上に体を預けて、ゴロリと仰向けになる。背中が冷たそうに見えるけど、そのまま目を閉じて楽な呼吸をするようになった。
 そして、そこまでで僕の指示は止まった。

「……で、次はどうしよう」

 僕がわかるのはここまでだった。女の人が裸になって横になる。そして、男の人のを股の穴に入れる。
 それはわかるんだけど、でも、それだけじゃないことも何となく知っている。何となくだけど。
 だから、この先をどうしていいのかわからない。

「なに? トウマ、ひょっとしてやり方知らないの?」

 エリはあきれたみたいに眉をひそめる。僕は「ぐぬぬ」と唇を歪める。

「山畑のここを唾で濡らすんだよ」
「唾で?」

 そこは毛がいっぱい繁った股間の森だった。僕の唾をこの上から爆撃するの?

「違うよ、舐めるんだよ」
「ええ? いやだよ」

 なんで僕がそんなことしなきゃならないの。そんなのセックスと関係ないと僕が言ったら、エリはまた怒ったみたいだった。

「濡らさないと入らないんだよ。それに男はここ舐めるの好きなの。トウマもやってみたらわかるって」
「本当に?」

 僕は先生の足を開いて、その間に入った。そして、恐る恐る顔を近づける。
 男のそれとは違って、皮膚がただれたみたいに広がって、穴というより内臓みたいでグロかった。舌で触ると、余計に変な感触が気持ち悪かった。
 こういうのは大人になってからするべきだと心から思える。僕はまだ世間の仕組みもよく知らない年頃だというのに、どうしてこんな苦汁を舐めなきゃならないのか。
 久々にエリに腹が立った。

「トウマ、ちんちん立ってる?」
「立ってないよ。さっきまで立ってたのに、こんなの舐めさせられたから」

 僕は苛立ちを隠さず、エリに抗議する。唾をいっぱい流し込んで、さっさとこんなこと終わりにしたかった。こんなの喜んでする男なんているわけがないんだ。
 突然、下半身がスースーした。
 見るとエリが僕のパンツを下着ごと下げていた。

「ちょ、ちょっと!?」
「あ、ホントだ。全然立ってない。仕方ないなあ」
「やめてよ、何してんの!」
「いいから、山畑のマンコ舐めてて。あたしがトウマのちんちん、立たせてあげるから」

 にゅるり。と、おかしな感触と衝撃が僕のおちんちんに走った。
 エリは、なんと僕のおちんちんを口の中に飲み込んでいたんだ。

「な、なにして…ッ!?」

 いつも、信じられないようなことをやってのける子だった。そこがエリの面白いところではあったんだけど、今回のはさすがに常軌を逸していた。

「んっ、んっ、んっ、んっ」

 僕のを口に入れたまま、前後に動く首。でももっと複雑な感触に僕のが振り回されてるような気がするのは、エリが口の中で舌を動かしてるからか。

「早く立たせて、トウマ。んっ、セックスできないよ」

 僕は我慢していた息を吐き出すと、大きな声を出してしまう。自分でイジったときでも感じなかった強い衝撃と、上手く説明できない感情が混じって頭を掻きむしりたくなった。
 エリが僕のおちんちんを口にしゃぶってる。なんておかしな光景だ。頭がおかしくなる。

「女ふぁ、男のちんちんを、ほうやって立たせるほ。男が、マンコ舐めふのと同ひ」

 セックスにこんな必要があったなんてこと、当然、僕は知らなかったし未だに信じることが出来なかった。
 でも、確かに僕のおちんちんは固くなっていくし、それは間違いなくエリの口のおかげだった。

「んっ、ぶちゅっ、トウマのちんちん、ちょうどいい」

 僕の握ってベロベロ舐めたり、あるいは口の中に入れてじゅぼじゅぼしたり、自由にエリの舌は動く。
 ちょうどいい、というのはエリの口のサイズとだろうか。実際、エリの口は僕のにジャストフィットして、まるで僕のを入れるためにあつらえたように居心地が良かった。
 でも、「じゅぽっ」とエロい音を立てて、エリの口は僕のから離れていく。
 エリの唾液に濡れて、僕のはカチンカチンになっていた。

「もう十分でしょ? セックスするよ」

 ずっとエリにしゃぶっていて欲しいような名残惜しい気持ちもあったけど、そんなことを言ったらバカにされるかと思って、僕は頷くだけにした。
 山畑先生は、僕の唾でアソコを濡らして横になっている。
 僕は前に図解で見たとおりに山畑先生の足を持ち上げ、彼女の股間に僕の腰を挟む。
 そして、入れる穴がわからなかった。

「ここだよ、ここ。あーもう、ちゃんと中まで舐めて濡らさないとダメじゃん」

 エリは僕に正しい位置を教え、自分の指に唾をつけて山畑先生の穴の中に突っ込んで濡らした。
 僕は、指でいいんならやっぱり舐める必要なかったって、少しイラっとした。

「入れて。これでセックスできるから」
「うん」

 僕は言われたとおりに山畑先生の中におちんちんを入れた。意外とすんなり、中に入っていけた。

「入ったよ」
「じゃ、動かして」
「どういう風に?」
「こうだよ、こう」

 エリは自分の腰に手をあて、がに股に足を開いて腰を前後に揺さぶった。
 その格好がすごくかっこ悪くて笑っちゃったら、真面目にやれって怒られた。

「こう?」
「違う。トウマは腰に手をあてなくていいの。山畑の足持って」
「ん、こう?」

 見よう見まねで腰を動かす。上手くできてる気はしないけど、エリが「それでいいよ、もう」っていうから、僕はそのまま腰を動かした。

「どう、気持ちいい?」
「よくわかんないけど……変な感じはする」

 エリの口ほどじゃないけど、温かいのと、何かに擦ってる感じはあった。
 セックスってこういうことなのか。なんだか、こっちより口の中の方が気持ちいい気がするのは僕が子供だから何だろうか。
 山畑先生の口の中はどうなんだろう。エリみたいに気持ちいいんだろうか。大人だから、もっと気持ちいいのかも。
 セックスが終わったら、試してみるのもいいかもしれない。

「射精しそう?」
「それは、まだだと思う」

 問題は、このままセックスを続けても僕は射精できないんじゃないかって気がしてることだ。山畑先生の中はどうも緩い感じで、なんだか射精したくなる気分にまでいけそうもなかった。
 角度を変えて上の方に擦ってみたりとか、自分で工夫すると気持ちよさも少し増したけど、それだと腰とかの体勢が辛くて長続きしなかった。
 エリは、机に手とあごを乗せて、僕と山畑先生が繋がってる部分をじーっと見てる。なんだか僕の下手さがバレてるみたいで恥ずかしい。
 もっと上手にやる方法があるんだろうか。やっぱり、勉強してからすれば良かったと思った。

「ねえ、これ山畑はわかってるの? トウマとセックスしてるって」
「わかってはいるよ。でも理解は出来てない」
「えっ、なにそれこわい。どういうこと?」

 体はセックスに気づいているし、脳にその状況を伝えているけど、脳はその情報を保留している。
 脳の総合窓口が、受け付けだけして書類を回してない状態だから、上層部は何が起こってるかわからないし、体にはどう反応するべきか指示が下りてこない。
 その窓口を支配しているのが僕で、その書類をどう処分するかも僕次第。捨ててもいいし、まったく別の情報に書き換えてもいい。心配しなくても、山畑先生には今日のことは全部忘れさせて、何事もなかったと思わせることも出来る。
 僕の魔法は、山畑先生の一番大事な部分ではなく、一番重要な部分を支配しているんだ。
 得意げに解説する僕と、それとは裏腹にどんどん表情を険しくしていくエリ。
 なんだか、またエリと僕の気持ちがまったく違う交差をしているらしく、悪い予感がした。

「意味ないじゃん。セックスされてること、思い知らせてやらないと」
「え、でも」

 それは先生に対する犯罪か恋愛かの選択になるけど、どっちも僕としては取りたくない手段だ。セックスするとこ見るだけじゃ満足してくれないんだろうか。
 そもそも、セックスなんてどうでもいいじゃないか。僕の魔法が本物だとわかったんだから、僕らは山畑先生をエリのために動かすべきだ。
 僕はそう思うんだけど、エリは何を考えてるのか、立ち上がって山畑先生の顔の方に周り、先生の顔を叩き始めた。

「起きろ、山畑。お前セックスされてるぞ」
「ちょっと、エリ! 何してんだよ!?」
「山畑、起きろ! セックスだよ、セックス!」
「エリ!」

 僕は慌てて先生の中から引き抜くと、エリに脱がされたパンツを履いた。
 山畑先生はぼんやりと魔法から覚めていって、エリと、そして自分が全裸であることに気づいて、悲鳴を上げた。

「エリ、逃げろ!」

 こんなにひどい興奮状態になってしまえば、魔法なんて効きっこない。
 僕はエリの手を取って引っ張る。でもエリもひどく興奮していて、僕の腕を振り払う。

「いやあ! いやぁーーーッ!?」

 山畑先生の悲鳴はきっと職員室にまで響いて、聞きつけた誰かが今にもやってくる。僕はエリを必死で引っ張り、早く逃げなきゃと魔法使いにあるまじき情けない汗をかく。

「ざまぁみろ! お前だって、寝てる間にセックスされたら泣くだろ! 学校なんて行きたくないだろ! わかったか!」
「エリ、いいから早く!」
「いやぁああああッ!」

 さんざんな思いをして、僕らは学校から逃げ出して夕暮れの街を歩く。
 いつものように、エリは僕の数歩前を歩いてる。

「エリ、どうしてあんなことしたの?」

 彼女の背中はずんずんと先を進み、僕は小走りじゃないと追いつけない。

「明日、ひどいことになってるかも。僕の魔法はきっと先生にはもう効かないよ」

 導入は、相手が油断していることが条件だ。山畑先生は僕のことを警戒するだろうし、それ以前に、僕らが明日から学校に通えるかどうかも問題だ。

「エリ、聞いてるの?」

 ぴたり。エリは立ち止まる。
 
「悪いことなんてしてないじゃん」

 その声はとても小さくて、うっかりすると聞き逃してしまいそうだった。

「あたし、何にも悪いことなんてしなかった」

 僕もなんとなく立ち止まった。
 いっぱい落書きと傷のついたエリのランドセルの後ろで。

「あんたまで、あたしを悪者にするの?」

 エリは、いっぱい涙の溜まった目を僕に向けた。
 僕は何にも言えなくなって、開いた口を塞ぐことも出来ずに、ただ彼女の涙を見る。
 何も言えなかった。会話はそれで終わった。
 僕はそのまま立ちすくんで、彼女のランドセルが小さくなっていくのを見送る。

 その日の夜のことだ。
 僕は親と一緒に呼び出されて、校長先生と、僕のあまり知らない先生と、山畑先生とお話をして、「エリと一緒に変な薬を飲ませて先生を眠らせ裸にした」という件について説教を受けた。
 催眠明けで記憶のバラバラだった山畑先生の記憶に、僕の魔法は存在していなかった。それは先生が自分の状況を混乱してるなりにまとめた結果、辻褄を合わせて出来上がった話だった。
 魔法や催眠術などと、普通の人たちが考えるはずもない。ましてや、僕は成績優秀でひ弱なメガネ男子だった。
 エリは、そこにいなかった。
 彼女の親は学校からも評判が悪かったし、それに、放っておいても学校としてはもう問題のない生徒だったから。
 知らなかったのは僕だけじゃなくて、クラスのみんなもそうらしい。

 エリが、昨日を最後に転校することが決まってたなんて。

 みんなに黙ってるように先生にお願いしたのはエリだった。だから昨日、席替えの話を持ち出したとき、山畑先生は変な顔をしたんだ。
 先生は、事を大きくしたくないと言って、校長も鷹揚に頷いた。
 僕の親は、いつものようにエリを悪者にして僕をかばった。山畑先生の怒りは収まりかねるようだったけど、みんなでエリを悪者にすることでその場を丸くしようとしていた。
 僕は黙ってエリのことを考える。
 彼女が転校のことを黙っていたことも、最後にこんなことをしたことも、僕は怒っていなかった。
 エリは悪くない。
 その一言をとうとう彼女に言えなかったことを、ずっと後悔していた。
 彼女の母親はとっくにフィリピンに帰っていて、エリはずっと前から父親と2人きりで暮らしていたそうだ。そして今度は父方の実家のある関西に引っ越すことになったそうだ。
 僕は胃液を吐き出しそうになるのを我慢する。
 エリはどうしてそのことを僕に黙っていたのか。
 エリは誰にセックスを教わったのか。 
 彼女の肌の色も顔立ちも家庭も乱暴な性格も関係ない。
 誰がエリを悪者にした?
 僕たちが、彼女を悪者にしたんだ。
 エリは何も悪くなかった。
 何も、悪くなかった。
 
 帰りの車の中で両親に慰められ、温かいご飯を食べてお風呂にも入って、鏡の前で僕は両手を広げる。
 我こそは魔法使い。言葉を操り、心を操り、人を操る老獪な魔法使い。
 女の子1人助けられない情けない藤倉トウマという男は、今日、僕が殺して乗っ取った。
 僕は魔法使いのトーマ。
 魔法使い。
 僕は魔法使い。
 何度も僕は鏡に呼びかける。
 僕は魔法使い。
 魔法使いのトーマ。
 鏡の中の僕が、不敵に笑う。
 

 
 次の日からの学校は、じつに平和なものだった。
 山畑先生は休んでたけど、別の先生が来てエリが転校した話をした。クラスの何人かが「やったぁ」と歓声を上げ、笑いに包まれてその話は終わった。
 しばらくは退屈な日々。僕は1人でノートを取って、勉強して、友だちとテレビやマンガの話をして、塾にも通う。
 でもある日の放課後、退屈にあきたらしい鏑木チカたちのグループが、僕の机を取り囲む。
 
「トウマ、ノート貸してくれ」

 塾までの時間つぶしに宿題を片付けてた僕のノートは、ソウタとダイキに許可する前に取り上げられた。

「おー、ばっちり出来てんじゃん」
「なかなか使えるな、お前。明日も頼むぜ」

 教卓の上で自分のノートに写し始める彼ら。チカとルナが2人に「私たちのも写しといて」とほがらかに命令し、ソウタとダイキは「おー」と嬉しそうに答える。

「ねえ、藤倉。エリが転校しちゃって寂しい?」
「あんたたちって、じつは仲良かったもんねー」

 チカとルナが僕の机の前にしゃがむ。チカは短いスカートをお尻に巻き込むようにして、女の子らしい仕草で僕に上目遣いを見せた。
 
「私たちもさ、エリがいなくなって退屈なんだ」
「仲良しだったからね」

 チカとルナは嫌な感じで笑う。ブウカは、まるでハワイ出身の力士のような佇まいで2人の後ろに立ち、僕を見下ろす。

「藤倉、今日からは私たちと遊ばない?」
「面白いと思うよ、うちらと遊ぶの」

 僕の机のはじに手をかけて、その上にあごを乗せる。
 いわゆる『美少女』と言われるような、整った顔が2つも僕の机の上に並んで、イタズラっぽく笑う。
 鏑木チカはとにかく目立つ子で、同じクラスになる前から僕は彼女のことを知っていた。こんなに近くで顔を見たのは初めてだけど、長い睫毛と大きな瞳がどうしても目を引くし、そして小さく整った鼻と、柔らかそうによく動く唇が小動物っぽい可愛らしさは、性格を知ってる僕ですら彼女の魅力にうっかり引き込まれそうになった。
 佐藤ルナの方は、前も僕と同じクラスだったけど、そのときは地味なグループに属していた目立たない子だった。
 でも切れ長な目やすっきりした面立ちは、よく見ると大人びたキレイさがあり、それは前のクラスにいたときは誰も気づかなかった彼女の魅力だった。
 それをクラス替えで一緒になったチカが彼女を見つけ、『チカの友だちに相応しいレベル』と見込んだらしい。そして彼女自身も徐々にチカの影響を受けるにつれ、自分の魅力を自覚するようになり、こうしてチカの右腕になるまでハマったそうだ。
 うちのクラスを、というより僕らの学年を代表する美少女2人。彼女たちが僕に話しかけてくるのは、これが初めてだったけど。

「エリの代わりに、空気ごっこしようよ。明日から、藤倉が『空気』ね」
「クラス全員、もう了解してるから」

 ケラケラと女の子独特の甲高い声が響く。
 彼女たちが可愛いのは顔だけだということを僕は知っている。
 次に標的になるのは、エリと仲の良かった僕だろうということも、なんとなく予感はしていた。
 僕は、僕のノートを開いているソウタとダイキに命令する。

「2人とも、僕のノートを返して」

 ぼんやりとした瞳のソウタとダイキが、生返事をしながら僕にノートを手渡す。
 心ここにあらずの2人に、チカとルナもおかしな顔をする。

「君たちも僕のノート、写したいんだろ。いいよ、見なよ。ブウカも見て」

 算数は得意だった。特に図形は。
 記号や図形というのはとても神秘的で、僕はその中にいくつもの魔法を見つけて書き留めていた。
 びっしりと書き込まれた解答のページには、言葉にすれば数百行を要する導入の入り口が、たくさんの記号や図形の中に隠されている。次に開いたたった一問解いただけのシンプルなページには、宙に浮いた心をノートに繋ぎ止める錨の役目を果たした。
 このノートを開けば、誰でも、幼い子供が絵本の世界に自分を移してしまうように、心を吸い込まれる。
 僕は数日かけてこの魔法ノートを完成させていた。
 宿題を解いてたのは、ほんのついでだった。

「このノートを見たいんなら、僕の言うことには従うように」
「……はい……」
「まず、声は出すな。僕の指示があるまで」

 5人の瞳は僕のノートに吸い込まれ、僕はそれを閉じ込めるようにバチンと音を立てて閉じる。
 みんなは、ビクンと体を震わせる。

「ブウカ、誰も教室に入ってこないように見張ってて」

 ふらふらとした足取りで、ブウカは扉の前に立つ。

「ソウタとダイキは、そのへんに立ってなよ。勝手に動くことを禁ずる」

 そしてチカとルナは僕の前に並ばせて、直接的な指示をだす。

「服を脱ぐんだ。一枚ずつ」

 シャワーだのお風呂だの、誤魔化しの言葉はもういらない。
 僕の魔法は以前よりもはるかに強力に彼らの心に食い込み、縛り付けている。
 これは魔法なんだ。

「靴は履いててもいいよ。でも、下着は全部脱いで」

 エリはセックスを嫌ってた。
 セックスは暴力で、嫌がらせで、恐怖を与えるための道具だった。
 だから僕は、それを使いこなそうと思う。
 彼女はセックスを復讐の武器にしようとしてたから。
 チカは、ジャンパースカートを床に落として、白いタイツを丸めながら脱いだ。ルナはパーカーを捨てて薄手のTシャツに肌を透けさせ、ジーンズも脱いでシンプルな下着を見せた。
 2人とも、さすがクラス代表の看板を背負ってる女の子たちだけあって、ただ服を脱ぐだけの行為をとても魅力的に見せてくれる。あるいは僕がセックスに対してより自覚的になったせいか。
 エリと一緒に山畑先生を脱がしたときよりも僕は興奮している。セックスへの期待感を持ちながら、裸になっていく彼女たちを見ている。
 やがて、チカとルナは靴だけ履いた全裸になった。
 エリは喜んでくれるだろうか。
 クラスの女王だったチカルナを、僕が教室のすみっこで裸んぼうにさせたことを。

「並んで、きをつけをして」

 チカは、いつものように明るい色をした髪を両側で束ねて、女の子らしいシュシュでまとめている。ルナは、肩より長い髪をストレートに垂らして、広めのおでこを見せている。
 チカもルナもおっぱいは平べったかったけど、ルナの方が若干膨らみがある感じ。乳首の色は2人とも山畑先生より薄かった。
 アソコにはまだどちらも毛が生えていなくて、すっきりとして可愛らしいとすら思えた。あの気持ち悪いヒダヒダもなかった。
 僕は少し離れたところに立っているソウタとダイキを見る。2人とも、うっすらと笑みを浮かべ、股間を膨らませてチカとルナの裸を見ていた。
 この2人は、チカルナとセックスがしたいんだろう。だから、こいつらには彼女たちに指一本触らせないことにしよう。
 セックスという欲望を操るのは、楽しいかもしれない。
 僕は、チカとルナの平坦な胸に手を這わせた。平べったいけど、柔くてふにふにしてる。
 山畑先生のおっぱいも触っておけばよかったな。大人と子供の体の違いは、僕にとっても斬新な経験だった。
 チカルナは、僕に触らされる感触に眉をひそめる。彼女たちは体を僕に操られているけど、心は自分に起こっていることを理解できている。
 僕は2人に遠慮などせず、お腹も太もももお尻も触った。僕の股間も、ソウタやダイキのように膨らんでいた。
 女の子の感触。女王様の陥落。
 魔法は僕に万能感と肉体の喜びを教えてくれた。
 
「チカ、ここに横になって」

 セックスの興奮を理解するにつれ、僕は自分が急激に大人になっていくような錯覚を覚える。肉体を捧げるように机の上に横たわるチカは、嫌悪からわずかに眉をひそめるだけで、それでも僕の命令には逆らえずにいる。

「セックスはしたことある?」

 チカは顔を赤くし、さらに嫌悪感をあらわにし、首をかすかに横に振った。
 ルナも同じだ。自分たちが今からされることを想像し、唇を噛む。ソウタとダイキは悔しそうに、でも少し嬉しそうに鼻の穴を膨らませた。

「チカ、声を出してもいい。ただし、大きな声はダメだ。静かに、ゆっくりとしか喋れない。小さな声で、ゆっくりと、寝ている赤ちゃんに囁くような声で」

 チカは、唇を震わせて、真っ赤な顔で僕を睨んだ。

「やめてよ……何すんのよ……」

 僕はエリのことを考えている。
 今はもうここにいない友だちのことを考えている。
 エリは僕に教えてくれた。セックスするときは、女のここを濡らさなきゃいけないって。

「んんっ……うそっ……やめ……ッ」

 僕はチカのそこを舐める。
 山畑のより味は薄くて、でもやはり他の場所と違ってしょっぱい味と匂いがした。
 楽しい行為じゃない。僕は口を離して考える。魔法はこういうときにも使えるんじゃないかって。
 例えば、チカに触れずにチカを濡れさせることだって。

「チカ、僕の指を見るんだ」

 僕は人差し指を立てて、チカの股の間から彼女に見せる。

「この指から蜜が垂れる。それは君の体に染みこんで気持ちよさを与える。チカ、君が一番ここが気持ちよくなるときって、どんなとき?」
「そんなの……なんで……」
「言うんだ。君は僕に隠し事はできない」
「……クッション挟んでこするとき……」

 さっきよりも、ずっと小さな声でチカは答えて、真っ赤になった。ソウタとダイキの口元がさらに緩んだ。

「じゃあ、ここから落ちる蜜はクッションに擦った気持ちよさだ。一滴ずつ垂れていく。見るんだ。君の体に蜜が染みこんでいく」

 僕は人差し指を下に向け、チカの股間の近くを指さす。

「落ちていくのが見えるだろ。ぽた、ぽた、君の体の上に落ちて、染みこんでいく。クッションの気持ちよさと一緒に」
「あっ? ……あっ、うそ……あっ……あっ!?」
「動くな。手は机の足を掴んでいろ。足は膝を立てたまま、僕に向かって開いている。絶対に動かない。ぽた、ぽた、蜜はどんどん落ちていく」
「あっ、あっ……あっ! あっ、あっ、やだ、あっ」

 手が真っ白になるほど強く机を握り、膝はビクンビクンと跳ねるが、僕の命令で閉ざされることはない。
 彼女は苦しそうに喘ぎだす。小さなお尻が震えて机をカタカタ鳴らす。真っ赤な顔が胸まで赤くなり、そして、彼女のつるりとした股間が急に赤みを増していく。

「やだっ、やだっ、見ないで、みんな見ないで…ッ」

 じわりと体が汗ばんで、痙攣みたいに体を震わせて、チカは僕の魔法に体を浸食されていく。
 太ももが引き攣ったみたいにガクガクと揺れる。仰け反った首に細い血管が浮かび、快楽の拷問を受けているかのように、かすれた悲鳴を上げる。
 僕は、興奮してしまっていた。

「ハァッ、ハァッ、ハァぁぁッ……助け、て……ッ」
「ぽた、ぽた、ぽたぽたぽた。僕の蜜はもっと落ちるよ。チカの体は僕の蜜で溺れちゃう。ぽたぽたぽた」
「はうッ、あ~~~ッ!」

 声にならない悲鳴を上げて、チカのお尻がぐんと仰け反り、机をガクガク揺らして弾む。

「やぁぁッ、あっ! あぁ! 死ぬ! やめて! やめてぇぇぇッ!」

 かすれた声は、自分の揺らす体の震えにかき消される。顔と、胸と、お尻とアソコを真っ赤にして、チカは魚のように飛び跳ねた。
 手と足は僕の命令に文字通りに縛られ、机を固く握っている。お尻を中心にしてビクンビクン暴れる体は、チカの意志とは別の生き物のように、僕の蜜から逃れるように、あるいは求めるように艶めかしく波打った。

「あっ、あっ、あっ、あっ!」

 僕はチカから指を離す。チカは糸が切れたみたいにガクンとお尻を沈め、荒い呼吸で胸を激しく上下させる。
 アソコはとっくにビショビショだ。チカが暴れるせいで、床も僕のズボンもエッチな汁で濡れちゃった。

「チカ、見て」

 僕はチカの前で両手を広げる。
 のぼせたみたいに顔を真っ赤にして、とろんとした目でチカが見る。

「僕の両手は、蜜でびしょ濡れだ。次はこの手で君の体を撫でる」

 彼女は、僕を怖がってるのか期待してるのか、なぜか笑うような顔をして、全身に鳥肌を立てた。

「ほぁッ……あぁッ! ハァ、んあッ……あっ! ッ、ハッ、ァ……あッ、うぁぁぁッ」

 脇腹をゆっくりと、乳首の周りをくすぐるように、あるいは飛び跳ねる行儀の悪いお尻を摘むようにして、そして濡れて止まらないアソコもひと撫でして、チカの体を思いつくまま撫で回す。
 太ももは細いのに、摘んでるみると意外と柔らかい肉があった。首筋から耳たぶまで、手の平でさすってあげると、色っぽい顔をして、うっとりと目を閉じた。
 口の中に指を突っ込む。くぐもった悲鳴を上げて、チカはアソコからまたいっぱい汁を飛ばした。
 そのまま口と一緒にアソコも指でこねてやった。串刺しになった魚みたいに、チカは僕の指を挟んで何度も体をバウンドさせた。
 僕はズボンを下げる。チカはほとんど意識が飛んでて、ぐったりと体を沈め、涙とよだれでぐしょぐしょの顔をだらりと垂らしていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……あぁぁぁ……」

 ルナは時折ビクンと体を震わせ、ぼんやりした視線を彷徨わせる。ソウタやダイキは、すでに何か出しちゃってるのかおちんちんのあたりをビショ濡れにしていた。

「チカ、見るんだ」

 僕の言葉には無理やりでも彼女たちは従う。
 首を震わせてチカは顔を持ち上げる。そして焦点の合わない目で僕のおちんちんを見る。

「ここにもたっぷり、蜜は塗ってある」
「あはぁ…」

 今度は明らかに、チカは嬉しそうに微笑んだ。
 彼女、頭おかしくなっちゃってるのかもしれない。僕のおちんちんがアソコの中に入ってきて、僕らはセックスしちゃってるのに、チカは気持ちよさそうな声を出して喜ぶんだ。

「んんんっ、んっ、はっ、はっ、はぁっ」

 チカの中は、山畑先生とは比べものにならないほど狭くて、僕のをギュウギュウと締め付けてきた。腰から下が持って行かれそうなくらい、僕の快楽も彼女が支配した。

「セックスしたよ、チカ。君は僕とセックスしてる。わかるね?」
「はぁっ、あぁっ、はぁっ、あっ、あっ、あっ!」

 僕のを入れているだけで、チカは何度も痙攣し、痛みと快楽に顔を交互に歪ませた。でも、これはまだセックスの始まり。
 さあ、腰を動かせと、僕の中のエリが命令する。
 鏑木チカとセックスをする。それは僕の重大な使命だ。

「んっ」
「あぁッ!? あっ、あっ、あぁっ!」

 一度腰を引いて、前に突き出す。たったそれだけの運動でチカは3回も4回も跳ねた。
 小さなチカの中は形が僕にもわかるくらい密着していて、揺するだけでゴリゴリとこすれる。チカは体を跳ね上げ、首をガクガク振り回し、目の玉を半分ひっくり返して喘いだ。
 僕のわずかな動きが、彼女の中で大きな衝撃となって暴れるのが、まるで理科の電気実験みたいで面白い。

「んっ、んっ、んっ」
「あぁぁッ!? ひやッ!? あっ、あん! あっ、あっ、あぁぁぁッ! ひゃぁぁぁッ!」

 チカの細い体を机ごと揺すり、おちんちんで女の子の温もりを感じる。
 セックスは気持ちよかった。僕が想像していたより、山畑先生としたときより、僕とサイズが合うチカの体は気持ちよかった。
 僕は下半身に感じる異性に集中する。
 チカのアソコからあふれる透明な液と血が僕の股を濡らし、エッチな音を立てている。クラスの女王の処女はあっけなく魔法使いに奪われ、彼女は悲鳴にもならない息を吐き続け、苦しそうに顔を赤くする。
 僕はチカに尋ねる。もう生理はあるのかと。
 チカはもう僕の声も耳に入らないらしく、フヒッフヒッとマラソンのときみたいな呼吸を聞かせるだけで、大きく開いたり食いしばったりする白い歯は、まるで海に溺れてるみたいだった。
 しかたなく僕はルナに聞く。チカは生理があるのかって。
 ルナは首を横に振った。だから、僕はこのままチカの中でセックスを終えることにする。
 チカに覆い被さるようにして、動きを速く大きくする。この体勢はもっと気持ちよくなれた。チカに大きな声を出させないようにしたのは正解だった。彼女はかすれた声で長い悲鳴を何回も上げた。
 揺する。もっと揺する。ルナは後ろでハァハァと息を荒くした。ソウタとダイキは濡れた股間を膨らませ、手を震わせてマスターベーションをしたがっていた。
 もちろん僕はそんな彼らは無視して、自分のセックスに集中する。僕とチカの激しいセックスは、セックスの快楽を知らない彼らを虜にして邁進する。
 揺する。激しく揺する。未知の快感が僕の全身を燃えたぎらせ、チカの性感覚を焼き尽くす。
 チカには酸素が足りないらしく、顔も胸もアソコも真っ赤にしてパクパクと喘ぐ。僕もだらしなく口を開けて、犬のような快楽の呼吸を繰り返した。
 仕返しのつもりで始めたセックス。
 でも今、このときの僕らは互いの快感に溺れ、他のことは考えられなかった。
 セックスは気持ちいい。エリは怒るかもしれないけど、それは真実の1つだった。口でもオマンコでもいい。おちんちんを女の子の中に入れると、男はどうしようもなく気持ちよくなるんだ。
 だからセックスは、愛にも復讐にも暴力にも使われる。もちろん、魔法にだって使われる。
 揺する。揺する。
 僕は射精の準備をしていた。女王の中に一滴漏らさず入るように。魔法使いの力を彼女たちに思い知らせるために。
 そしてエリの悲しみを、世界に伝えるために。

「ッ、ぁッ、あっ!? ッ、ぁぁあッ……あ~~ッ!」

 腰をバウンドさせていたチカの体が、ビィンと反り返って僕のおちんちんを引っ張った。抜けないように、漏らさぬように僕はチカの腰を抱き寄せ、おちんちんを叩きつけて射精する。やがて、最後の一滴まで彼女の中に出し切って、僕はチカのお尻を離す。
 お尻はべしゃって濡れた机の上に落ちて、大きく息を吐き出したチカは、そのまま、深い呼吸を落ち着かせていく途中で意識を失っていく。
 それでも、僕の魔法は生きている。机を握ったまま、足も膝を立てて開きっぱなしだから、彼女の股間はよく見えた。
 血と精液。女王陥落と魔法の勝利が、証となって彼女の股から流れ落ちていく。
 僕はそれをルナにたっぷり見せつけてから言う。

「次はルナの番だよ」

 切れ長の目を大きく見開き、ルナは唇を歪ませて恐怖の顔をする。裸の胸は寒さとは別の震えに肌を泡立て、ピンク色の先っぽを尖らせている。
 僕のおちんちんは精液とチカの汁に濡れ、激しいセックスの余韻に痺れながら、力を失っていた。このままでは、ルナを抱けない。でも僕はこういうときはどうすればいいか、エリに教えてもらっている。

「ルナ、君はアダルトビデオを見たことある? 正直に答えて」

 クラスの男子がそういうDVDを回して見ているのを知っているし、その出所がソウタだっていうことも知っていた。
 だから、チカとルナも見てるんじゃないかと思った。案の定、ルナは首を縦に振った。

「じゃあ、眠って。そのDVDの内容を思い出して。何本見た? 喋っていいから答えて」
「……4本……」

 すけべな女の子たちだ。
 少しあきれながら、僕は質問と暗示を続ける。

「見て、どう思った?」
「……チカが見ようっていうから見ただけで……私は恥ずかしかった……」
「正直に、興奮した?」
「……少しした」
「どういうところで?」
「ベッドの上で、男の人のが女の人のに入って、すごい声出して2人で動くとこ……」
「僕とチカが今してたみたいに?」
「……う、うん……」
「他にどんなことしてた?」
「バイブってやつを中に入れたり、男2人と女1人でやったり、お風呂とかプールでやったり、いろんな服に着替えたり……ふぇらちおとかもしてた」
「フェラチオはどう思った?」
「……気持ち悪い。一番気持ち悪かった」
「自分ではしたくない?」
「しない。絶対にしない」
「セックスはしたい?」
「わかんない。気持ちよさそうだけど実感ない。そんな相手もいない」
「誰ならいいの?」
「春馬くんとか、妻夫木とか、芸能人のかっこいい人」
「うそだね」

 僕はルナの前に手をかざす。そして、その手をゆっくりと左右に動かす。

「君の心はパズルだ。イメージして。四角がいっぱい並んだパズル。でも色がバラバラ。数字もバラバラ。正しく並んでなかったパズルだ。パズルだったんだ」

 ゆっくりと動かす。大きなパズルのパネルを動かすような、パントマイムをルナの前で続ける。

「でたらめだ。バラバラだ。このままじゃいつまでも君の心は完成できない。君の心は、うそつきだったんだ。このままじゃいけない。ホントの自分にうそをついている」

 だから僕が正しく並べてあげると、ルナのうつろな瞳に囁く。
 ルナは見えないパズルを僕の手の平に見いだし、空間を動く四角いパネルを僕の動かすとおりに見つめる。

「ルナ、君はアダルトビデオが大好きだ。正しい心はそうなんだ。わかる?」
「……大好き?」
「そう。こっちのパネルとこっちのパネルを正しく合わせるとそうなる。これが正しい答えだ。君は自分の心に騙されてたんだ。君はアダルトビデオが大好きで、積極的に見たかった。そうだね?」
「……うん、そうだった」
「一番興奮したのはフェラチオだった。男のおちんちんを咥えるのはとても楽しそうで興奮した。本当はそうだね?」
「……そうだった……うらやましかった……本当は……」
「セックスもしてみたい。今すぐしてみたい。そうだね?」
「そうなの……本当は早く誰かにやって欲しいの……」
「でも、そんなことクラスのみんなには言えないね。だからずっと困ってたんでしょ?」
「うん……困ったなあ……早く私をやって欲しいのに……」
「君はフェラチオもセックスも今すぐしたい。でも誰にも内緒にしたい。だったら、僕と遊ぼう。アダルトビデオごっこだ」
「アダルトビデオ……ごっこ……?」
「僕が男優で、君が女優。ごっこだから、いつでもセックスもフェラチオもやりたい放題だ。君はアダルト女優になりきって、女優さんみたいに大胆ですけべなことができる。思いっきり、すけべな女優さんになれる」
「……素敵……それ早くしたい……」

 僕は手の動きをゆっくりとしていく。ルナはそれを目で追いながら、期待と興奮に頬を紅潮させていく。
 ゆっくり、僕はパズルのピースをはめていく。

「今、完成するよ。君の本当の心だ。ルナは僕だけのアダルト女優になって、思いっきりすけべがしたい。それが答えだ。今、最後のピースがはまるよ……カチッ」
 
 まぶしそうに、ルナは何回も瞬きする。
 僕のでたらめな魔法の言葉が、彼女の中で誤認を経て真実となり、人生の答えとして彼女の前で輝く。

「パズルはこう並んでいる。“君はアダルト女優のルナ”って。これは僕と君とで完成させたパズルだ。だから答えを知っているのも僕たちだけだ。ソウタ、ダイキ、君たちは忘れろ。これは僕とルナだけの秘密だ」

 ルナはまばたきを繰り返し、ソウタとダイキはうつろな瞳を回す。
 僕は見えないパズルをルナの前に掲げる。

「これはただの遊びだけど、重要な契約だ。君は僕の専属アダルト女優だよ。僕の前で本性を解放する。僕との約束を守る。君は僕の専属だ。セックスを楽しむ女優だ。ビデオで見たことを試してみればいい。したいことを楽しめばいい。君の心は僕が完成させて、僕が握っている。君の心は僕の手の中だ」

 ルナは、僕の言葉のひとつひとつに反応して、びく、びくと恍惚の表情を浮かべる。チカよりも少し大人びた顔は、ちょっとだけ本物のアダルト女優みたいだった。

「始まりの言葉を決めておこう。“君はアダルト女優のルナ”って僕がいうと、君と僕のアダルトビデオごっこの始まりだ。君は、すけべでテクニシャンなアダルト女優になる。わかったね」
「うん…ッ!」

 もう待ちきれないのか、胸とアソコを手で軽くさすりながら、ルナは感極まった顔で頷く。
 僕はルナに向かって指を突きつける。ルナは期待に満ちた瞳を輝かせる。

「―――“君はアダルト女優のルナ”だ」

 僕の胸に飛び込むようにして、ルナは僕に唇を押しつけてくる。

「んっ、んむっ」

 その柔らかい感触と温かい息に、驚いたのは僕の方だった。後頭部もがっちりと腕を回され、裸の体を押しつけられ、ルナと僕はキスをしていた。
 
「んっ、ちゅるっ、むっ、むっ」

 歯をこじ開けるようにして、ルナの舌が口の中に入ってくる。さっきまでガムでも噛んでいたのか、ミントっぽい香りがした。それに混じって、生々しい体の匂いもした。
 僕は、キスは初めてだ。あれほど強烈なセックスをチカとしたばかりなのに、頭がのぼせ上がっていた。
 口の中に小さな魚がいるみたいだ。ルナの舌が好き放題に暴れて、僕の舌も歯も上あごも蹂躙されてしまう。
 ぞくぞくする。ルナのすけべなキスは僕を震えさせた。
 僕は、ルナの顔を離して彼女に聞く。

「君……キスしたことあるの?」
「ううん、初めて。もっとしていい?」

 蕩けそうな目を切なく潤ませ、またルナは僕の口にむしゃぶりつく。
 僕の顔を両手で挟んで、うっとりした目で僕の表情を伺いながら、舌を伸ばして唇も舌も舐めて熱い息を吹きかける。
 背丈はちょうど同じくらいで、僕のおちんちんとルナのアソコは重なっていた。彼女は、片足を僕の足に絡めるようにして、アソコを僕のに擦りつけながら、唇を貪っていた。

「はぁ、はぁ、んちゅ、れろっ、藤倉、気持ちいい? 私、すごくいい。キス、ずっと前からしたかったんだ。こうやって、れろ、舌を絡めて、んっ、吸って、んんっ、唇、こうやって噛んで、んんっ、ビデオはもっとやらしかったよ。んっ、藤倉も、ねえ、私の口を吸ってぇ」

 チカと一緒にいるときの彼女は、もっと大人しいというかクールな子だったのに、それが完全に豹変しちゃってた。
 僕の魔法が彼女の性格を変える。秘密のワードで、彼女を変身させてしまう。
 興奮してしまった。

「んっ、んっ、藤倉、んっ、私、もっとエッチなことしたい。すけべなルナを見て。私、あなたのアダルト女優だよ」

 僕の喉を舐め、胸をさすり、お尻を撫でながらルナはしゃがんでいく。
 そして僕のおちんちんを大事そうに握り、目を細めた。

「チンポ。これがチンポだね。ビデオとちょっと違う。でも好きだよ。私、藤倉のチンポ大好き。チンポ好き。結婚したいくらい好き」

 うっとりと、嬉しそうに僕のおちんちんをさする。「チンポ、チンポ」と何度も呟き、唇を舐める。手が熱いくらいに火照っていて、ますます速度を上げて僕も火傷しそうなくらいで。

「ねえ、いい? 藤倉の固くて美味しそうなチンポ、ルナのお口でくちゅくちゅしたいの。いい? しゃぶっていい? しゃぶらせて? お願い。チンポしゃぶらせてぇ?」

 僕を見上げる媚びに満ちた目。濡れた睫毛と、濡れた唇。だらしなく垂れた舌。
 まるで本物のスケベ女優だ。強烈な刺激を堪えながら、僕も男優のように命令する。

「しゃぶれよ」
「ああぁ、嬉しい! しゃぶります!」

 んぐっ、とルナの口の中に包まれる。
 僕は一瞬、エリのことを思い出す。

「んっ、んっ、んっ」

 ルナはきちんと舌を使って、僕のを丁寧に包んで顔を前後させる。
 長い髪をかき上げ、喉深くまで僕のを咥えて見せる上目遣いは、まるで大人の女みたいに色気があった。
 忙しない舌使いも、頬がへこむくらいの吸引も、フェラは気持ち悪いと言ってたわりに、ちゃんとビデオみたいに出来ていた。僕の魔法で記憶を掘り出されているにしても、いきなり上手なフェラだと思う。
 もともと成績も良い方だし、絵も上手いし、器用な子なのかもしれない。セックスの方も、器用なんだろうか。

「おいし、チンポ、おいしいよ。んっ、苦くて、臭くて、はむっ、チカのエッチ汁もついてるけど、おいしいチンポ。好き。ちゅぶ、んっ、んっ、好き、んっ、んっ、んんっ」

 すけべな言葉を挟んで、上手に初めてのおちんちんを扱って、優秀な女優ぶりを見せる彼女。
 セックスに才能のある子っていうのも、ひょっとしたらいるのかもしれない。

「ルナ、四つんばいになって」
「ん、セックス? するの? 私を四つんばいにしてやってくれるの?」
「うん。やるよ」
「うれしい! こう? もっとお尻上げたほうがいい? お尻これでいい? セックスできる?」

 床に四つんばいになって、ふりふりと僕に向かってお尻を振る。お尻の穴まで丸見えで、その大胆な振る舞いには命令した僕も少し驚いてしまう。
 すけべなアダルト女優のルナ。
 たまに存在を忘れてしまうソウタとダイキの方を見ると、ルナのお尻に合わせて目玉をキョロキョロと動かし、だらしない笑みを浮かべていた。
 僕はルナのお尻を撫でる。「あぁん」とエロい声を出す。
 けど、アソコはそんなに濡れてはいなかった。
 これはアダルトビデオごっこ。処女で子供な彼女の体は、そのすけべな振る舞いほどに性の悦びを感じるわけじゃない。
 女優のフリはただの演技だ。僕の魔法が彼女の心を操っているだけで、体はまだ置き去りにされている。
 でも、僕はそれでもかまわない。これは愛のためのセックスじゃなく、ごっこ遊びでもない。
 チカとルナとその仲間たちに、愚かで馬鹿げた体験をさせるための魔法だ。
 
「いくよ、ルナ」
「あぁん、来て来て。早くチンポちょうだぁい」

 甘えた声でお尻を突き出して、未成熟なアソコを僕の前に差し出す。そこは山畑先生のと違ってお尻を開いても閉じたままだったけど、チカでさえセックスは出来たんだから、ルナも大丈夫なんだろう。
 僕は、ルナの唾液に濡れたおちんちんを、彼女の中に押し込む。

「い…ッ!」

 ルナの体がギュッと緊張して、僕のは入り口で押し曲げられる。僕の握りしめるお尻にも、緊張してえくぼができていた。

「は、早くきて……ルナのマンコに、チンポ入れてぇ…ッ!」

 言葉とは裏腹に、男を恐れて強ばる処女で子供なルナの体。
 僕は魔法1つでその固く閉ざされた鍵を開ける。

「僕の合図で息を吸って吐く。すると君のお尻から力が抜ける。吸って、そして、吐いて」

 ふにゃ、とお尻のえくぼが解けて、柔らかい肉が僕の指の間にはみ出た。
 その瞬間を狙い、僕はルナのお尻を開いてアソコに埋め込む。
 ぶち、ぶち。チカの中に入れたときよりも、ずっと生々しい『女の子の初めて』の感触がした。

「んあッ、はッ、あぁ…ッ!」

 息を詰まらせ、ルナの体がズキンと跳ねる。性的快感をとことん掘り起こしたチカのときと違って、ルナはまだ十分な準備もできていない。
 首をガクンと落として、ルナは背中に汗を浮かべて、荒い呼吸を繰り返す。僕たちの結合部からは真っ赤な血が流れ、ルナの白い太ももに、少女を失った印をゆっくりと描いていった。
 それはチカよりもずっと量が多くて、僕も少し痛々しい思いに駆られる。

「き……気持ちいい……」

 でも、ルナは声を震わせ、演技を続ける。
 ギュウと僕のが彼女の中で締め付けられ、千切れるほどだった。それは快楽とはほど遠い彼女の肉体の悲鳴だったけど。

「気持ちいい……チンポ気持ちいい……もっとぉ!」

 やけくそのように彼女は掠れ声で叫び、お尻をぐんと突き上げる。角度の変わった痛みに自ら震え、それでも「もっと、もっと」と涙まじりに言う。
 僕はゆっくりと引き出した腰を、づんと突き出した。

「はぁぁぁッ!」

 教室のフローリングタイルに爪を立て、ルナの体がブルブル震える。お尻がきゅうと窄まり、小さな穴も縮まる。僕が引き抜くと、お尻までついてくるみたいに肉を広げ、穴がプクンと緩む。

「あぁッ! 気持ちいい! 気持ちいいーッ!」

 背中にはびっしょりと浮かび、長い髪がその背中や顔に張り付いて濡れている。
 気持ちいい。チンポ気持ちいい。
 ルナは何度もそんな言葉を繰り返し叫び、ソウタとダイキは膨らんだ股間の先端をさらに膨らませて射精する。

「気持ちいい! もっと、もっと!」

 僕はさらに乱暴にルナの中を突き動かす。彼女の中に血とは違ったぬめりが現れ、僕の快感が増していく。

「気持ちいい! 気持ちいいよぉーッ!」

 彼女の背中がぐにゃぐにゃしなり、いつの間にか僕と合わせるようにお尻を揺すって、セックスをスケベにしていく。
 それが演技なのか本気なのか僕にはもうわからない。ひょっとしてルナもわかんなくなってるかもしれない。
 ぐちゅ、ぐちゅ、泡だった音を立てて性器を擦り合う。アダルトビデオごっこという幼い遊びと本物のセックスの境目を、僕らの腰は綱引きしている。

「いいよぉ! イっちゃいそうだよぉ!」

 アダルト女優の演技は僕の快楽神経を耳からくすぐる。
 舞い上がった僕はブウカに教室に戻るように命令した。そしてブウカとソウタとダイキを並べ、ルナとセックスしながら命令する。

「ソウタ、ダイキ。お前たちは兵隊で、僕は上官だ。お前たちの好きな女は誰だ? 正直に答えろ」
「チカです!」
「ルナです!」
「違う。ブウカだ。お前たちのような豚には豚がお似合いだ。お前たちは前からブウカのことが好きだった。セックスしたいと思っていた。そうだな?」
「イエス、サー!」
「ブウカ、君は娼婦だ。セクシーでスケベな娼婦だ。男はみんな君とやりたがる。そしてそんな男たちを慰めるのが君は大好きだ。やりたがる男にはみんなやらせろ。いいな?」

 ブウカは、ハワイ出身の力士のような顔でコクリと頷く。

「ソウタ、ダイキ、やれ。ブウカはお前たちを待ってるぞ」

 とてもじゃないけど性欲の湧きそうもない女に、チカルナの手下だった男子たちが襲いかかる。いや、それはどちらが襲いかかっているのかわからないような有様だ。
 ブウカの巨体が2人の男子の上にのしかかり、入り乱れて服が飛び交う。ブウカの体も男子の体も見たくはないが、圧倒的な光景だ。ケモノのような息づかいと乱暴にぶつかり合う肉体。セックスというより、共食いでもしてるんじゃないだろうか。
 僕はその光景から目を逸らし、揺れるルナの細い裸身に戻る。
 きれいな背中と、丸くて小さなお尻。そして、懸命に吐き出されるエッチな言葉。

「オマンコ溶けちゃう! 溶けちゃうよぉ! イク! イク! 来てぇぇッ!」

 演技なのかな、それとも本気?
 ひょっとしたら、彼女は本当にセックスの才能があるエッチな子なのかもしれない。
 僕は真っ直ぐに何度もルナの奥を突き上げる。一番深いところに僕自身をぶつけ、射精めがけて性欲を加速させる。

「ルナ、君は生理があるか?」
「うん、ある! 生理あるよ、私! いい、イクッ、もうイク!」
「じゃあ、外に出す」
「やだぁ! 中にして! 中に出してぇ! トロトロの精子、オマンコで受け止めたいのぉ!」
「いくぞ、ルナ!」
「あぁぁッ、イクッ、イっちゃうッ! イっちゃう~!」

 僕はルナの中から引き出して、彼女のお尻めがけて射精した。
 でもそれは僕が考えてたよりももっと勢いがあって、ルナのお尻から背中、それに自慢の黒髪まで飛んで、彼女を精液まみれにしてしまった。
 びくん、びくん。
 発情期の子猫のようにお尻を突き出した格好のまま、ルナは何度も痙攣する。白い肌に白い液体を被り、床に黒髪が広がってまるで壊れた人形みたいだ。

「……ルナ、これからも“君は僕のアダルト女優”だ。僕だけのスケベな女の子だよ。また明日もセックスしよう。あさっても、その次の日も」

 僕はくるりとチカを振り返る。彼女が目を覚ましているのはとっくに気づいていた。
 体の動かせない彼女は、目の前で繰り広げられる狂った性の饗宴に、歯をカチカチ鳴らしていた。
 僕は、黒板のチョーク入れから数本抜き出して、それをチカに見せつける。それに、僕の固さを失わないおちんちんも。
 チカは「ひっ」と短い悲鳴を上げる。僕はセックスを経るたびに体に力が沸いてくるのを感じる。
 僕は魔法使い。言葉と心と、セックスも操る。

「チカ、見て。これにも蜜がたっぷりだ」

 僕は色とりどりのチョークを指に挟んで見せつける。
 魔法の威力を体で知り尽くした彼女は、恐怖に青ざめる。
 僕はそれを、彼女の股間に押しつけた。チカが震える。でも僕は、さらに下に照準を変えた。チカは驚いてお尻を跳ね上げる。

「いやッ……そこ、いや、違っ……ッ」
「蜜がたっぷり塗られたチョークだ。今、君のお尻の穴に入っていくよ」
「いやぁ…ッ!」

 ずぶずぶと、簡単にそれは埋まっていく。赤いチョークが女王様のお尻の穴に潜入だ。
 チカは、ビクンビクンと体を震わせ、口の周りに泡を溜める。必死で声を堪える彼女に、僕はチョークをぐりぐりとえぐる。

「あぁぁぁぁッ!」

 赤の次は青。さらに彼女の奥にチョークを埋め込んでいく。
 股の周りも、顔も、胸も真っ赤だ。チカの体は赤くになりやすい体質なのかもしれない。
 女の子って、それぞれにもクセや反応に違いがあって面白い。僕はセックスを面白いと思うようになっていた。
 黄色いチョークも埋め込む。チカは口をパクパクさせて、全身に力を込める。やがて全部入った彼女に、僕はゆっくり魔法の言葉を囁く。

「チョークを返して。ウンチみたいに出してよ」
「いやぁぁぁ…ッ!」

 可愛く丁寧に結んであった髪を左右に振り乱し、必死に抵抗をしてるけど、僕の魔法には逆らえない。
 ビィンと反り返った背中。
 僕から丸見えのお尻の穴から、まずは黄色のチョークがひりひりと出てくる。
 黄色。コトン。青。コトン。赤。コトン。
 机の上を転がるチョークは全部彼女のお尻の中で濡れていて、僕は「なんか汚いのが出てきた」と正直に彼女に教える。
 チカは、赤ちゃんが泣くときみたいな声を出した。
 僕は彼女の膝を広げて、固くなったおちんちんを彼女のアソコに押しつける。僕のおちんちんにはチカの快楽の蜜が塗られている。その暗示はまだ彼女の中で生きていて、チカは自分の意志とは裏腹に、また悦びの声を上げてしまって、そんな自分に絶望する。
 ひっく、ひっく、と泣くじゃくるチカ。女王はもうただの女の子で、僕の前では非力だった。
 僕はそんな彼女たちとのセックスに満足を感じていた。でも、僕の魔法は僕1人のものじゃない。大事な人に捧げるものだ。
 エリは、教室の『空気』だった。
 そしてそれを命令したのはチカだった。

「チカ、今日から君は『空気』だ」

 僕はチカのまぶたを開いて、そこに自分の目を近づける。

「見ろ。僕の目から魔法が注がれる。君の目に魔法をかける。君は『空気』だ。全身が『空気』だ。君の目から僕の魔法がビームになって飛んでいく。それは24時間、365日、いつでも君の目から発せられる。よく見て覚えろ。これが魔法だ。君の無意識に植え付ける魔法だ」
「いやっ……いやっ……」

 自分の目に何かが落ちてくるイメージに、彼女は恐怖する。僕は全身全霊の魔法を彼女に注ぐ。そのイメージを彼女に覚えさせる。
 魔法は他人に移るだろうか。それが出来たら奇跡かもしれない。でも僕は本物の魔法使いだ。チカを僕の魔法人形にして、存在ごと消してやることぐらい、出来なければならない。
 それぐらいじゃないと、エリとの約束は守れないんだ。
 僕は魔法使い。エリの魔法使いのトーマだ。

「君のビームで、君の存在は消える。みんなの記憶から、視界から、君の姿は現れた途端に消える。ビームは消えない。君はそれを発し続けなければならない」
「……うそ、やだ、やめ……」

 記憶操作と認識操作。複雑なシステムを1本の線にして、彼女の瞳にするすると飲み込ませていく。僕は長い魔法の手順を、彼女の光彩に植え付けていく。

「髪も鼻も唇も、僕の魔法を植え付ける。ここからも永遠に空気ビームは発射される」
「んんんん…っ」
「耳からも」
「やめてぇ…!」
「この肩も、腕も、お尻も、足も、君は全身の全てから空気ビームを出している。君は全身を魔法に覆われた魔法システムだ。この目は相手の視界から君を消す。この髪も頬も手も足も腰も相手から消える。君の言葉も伝わった途端に消える。消える。消せ。常に自分を消せ。君は、無意識の振る舞いで相手に魔法をかける。それが出来る。そしてそれしか出来ない。頭の先からつま先まで―――」

 僕はチカのつま先を舐める。僕の唾液を擦り付け、彼女に見せ付ける。

「消える。君はもう消える。はい、消えた。君は今から『空気』だ」

 チカは愕然と目を見開く。僕は、床でお尻を突き上げたままのルナに声をかける。

「ルナ、教えて」

 ぼんやりと目を開けるルナは、まだセックスの余韻で顔を赤くして、色っぽく瞳を濡らしていた。
 お尻から背中に、まだ僕の精液をゆっくりと垂らしている彼女に僕は問う。

「チカはどこにいる?」
「……え?」

 ルナは僕に足を広げられているチカに目をやる。そして彼女と視線を交じえたあと、きょとんと僕の顔を見上げる。

「……チカって誰?」

 チカは悲鳴を上げて、僕はそんなチカの中に再び挿入する。
 ルナは僕のお尻に抱きついてそこにキスを始める。
 ソウタとダイキとブウカは取っ組み合いのようなセックスに雄たけびを上げている。
 僕らはそのまま完全下校のチャイムが鳴るまで何度も何度もセックスをした。

 エリは、笑ってくれるかな?

「―――ハイ!」

 そして次の日の学校、算数の時間で、僕はハキハキと手を上げる。
 職場復帰したばかりの山畑先生はすごく嫌な顔をしたけど、僕の他に手を上げている生徒はいないので、渋々と僕を指名して、黒板の前を空けた。いつもはもっとラフで適当なジャージとかなのに、こないだの件をまだ引きずっているのか、堅苦しいタートルネックとぴったりしたジーンズで体を隠しているが、なんとなく滑稽だった。
 僕は白いチョークを握って黒板の中央に立つ。目の前には数行の問題文。僕はそこで少し考え、数字の“6”を書いてみた。
 でも、なんとなく違う気がする。消して、もう一度“6”を書き直した。違う。僕はそれをまた消した。
 何度でも書き直す。“6”、“6”、“6”。納得できるものが書けない。消しては書いて、消しては書いて、同じことを繰り返す。
 山畑先生が舌を鳴らして、「できないなら座りなさい」と低い声で僕に言う。僕はかまわず黒板に向かう。ざわめきだす教室。

「みんな、静かにしなよ」

 一番後ろの席で腕組みしてるルナが言う。
 しん、と教室の声が止んだ。

「黙ってみてろよ」
「邪魔するな」

 ソウタとダイキも教室に睨みを効かし、誰も口を開く者はいないくなった。
 その間も僕は“6”を繰り返している。そうだ、書き順なのかもしれない。僕は逆から“6”を書く。
 いい感じだ。“6”、“6”、“6”、きっとこれなんだ。
 逆回しの“6”を伸ばせばそれは“渦巻き”になる。これはいい。渦巻きだ。大きな渦巻きを僕は書く。問題文も消して渦巻きを書く。巻く。巻く。巻く。
 赤、青、黄色のチョークを指に挟んで、3重の渦巻きを書く。波を書く。ジグザグの雷を書く。大きな目で教室を睨みつける。それをモンスターがぱくぱく食べる。スペースシャトルが突き抜ける。お母さんがその前に立ちはだかる。
 魔法はどんな形にも潜み、僕たちを見ている。魔法は言葉ではなく、目に見えるものとも限らない。
 僕は無限の可能性を黒板に描く。そして消す。描く。消す。脳から飛び出る想像力が僕を通じて魔法に換わる。僕の手も唇も筋肉や骨も魔法を表現するための器官で、それは言葉とアートで出来ている。
 教室の心臓を僕は捕まえていく。慌てん坊の土屋も、のんびり屋のリリカちゃんも、みんなの心臓が同じリズムになっていく。
 僕の黒板がみんなの心を1つに。これは対話だ。絵とチョークのリズムが作り出す表現で、僕は1人1人と即興で対話している。
 魔法はアートだ。
 なんて格好つけたことを言えば、世の先輩魔法使いたちに笑われてしまうかもしれない。だけど僕の前に存在する魔法は今、黒板に描かれたアートだった。
 あふれ出る言葉は止まらず、僕は夢中になって黒板に表現し、新しい自分を発見していく。
 僕は魔法使い。魔法の国からエリに召還されてやってきた魔法使い。
 出来上がった一枚の魔法の上に、僕は“Wizard TOMA with ERI!”と白いチョークで書き殴り、高揚した気分をそのまま強く黒板に叩きつけて、両手を広げて叫んだ。

「僕は魔法使いのトーマだ!」

 無言の観衆と化した教室が、咳き一つせずに僕を見返す。
 静寂と忘我とうつろ瞳の喝采。僕は自分の魔法が完成した余韻に心を震わせる。

「山畑先生、こっちへ来て服を脱いで」

 彼女は、僕の直接的な命令一つで、警戒心もなく服を脱ぎ捨て、大事に隠していた体をさらけ出す。
 毛の生えた大人の体。それを僕は教卓の上に乗せて、足を広げて膝を抱えるように命令する。

「セックスするから、ここを濡らして。今日もまた僕とセックスだ。でも今度はもっと楽しませてあげるよ。気持ちよくてたまらないセックスだ。先生が今まで味わったことのないセックス。想像して。期待して。人生最高のセックスって、どれだけ気持ちよいのか想像するんだ」

 ガラス球の人形のような目をして、山畑先生は無言のままアソコを濡らしていく。紅潮していく頬。震えながら立っていく乳首。彼女のエッチ汁は止まらない。
 最高のセックスを、体験している最中だ。

「いくよ」

 僕はおちんちんを取り出して、そこに入れる。ブルブル先生の中が痙攣して、いっぱい汁を吹きだした。でも、声一つ先生は立てられない。反応だけで僕のセックスに応じていく。
 僕は、チョークで彼女の体に渦巻きを書いていく。そうしながら、みんなに見せつけるように腰を動かす。

「みんな見て。これがセックスだよ。本当なら大人の男と女がすることだ。でも僕らの年でも出来ないことじゃない」

 ぐちゅぐちゅと、大人の大きなオマンコが縮んだり緩んだりを繰り返す。
 こないだのチカルナほどアソコはぴったりこないけど、でもそれはそれで大胆な腰使いが出来て気持ちいい。心に余裕の生まれた今の僕は、あの時よりも素直にセックスを感じていた。

「セックスは誰でもしていいことじゃない。決まりはある。何にだって決まりはあるんだ」

 おっぱいに渦巻きを。おへその下に矢印を。顔には星を。目の周りにまん丸を。

「それは僕が決める。今日からこの教室のことは全部僕が決める。“僕は魔法使いのトーマ”だ。この言葉を心の奥に閉じ込めろ。猛獣みたいにとても危険で強い言葉だ。誰もこの言葉には逆らえない。この言葉の前では誰もが人形になってしまう。“僕は魔法使いのトーマ”だ。わかったね?」

 うつろで、弱々しい服従の言葉を、教室のみんなが口にする。
 僕に犯されている山畑先生も。

「よく覚えておくんだよ」

 僕は山畑先生の中に射精する。
 彼女の奥がブルブル震えて僕のおちんちんを締め付ける。
 気持ちいい。いいセックスだった。
 僕は山畑先生の体を、教卓の上でみんなの方に向ける。アソコから僕の精液が垂れて、教卓を伝って床に落ちた。

「これが、セックスだ」

 チョークでぐしゃぐしゃの模様を描かれた体と、セックスの匂いをプンプンさせるいやらしい大人のアソコ。
 それが一体となって、セックスを知らない僕の同級生たちも興奮に染まっていく。教室が静かに熱気を増していく。
 隣のクラスでは、担任のハゲ先生のジョークが珍しくハマったのか、爆笑する声が聞こえた。
 僕らは、僕らの授業を進める。

「男子は出席番号順に、1人ずつ山畑先生とセックスしろ。女子は全員後ろに並んで、お尻を向けてパンツを見せろ」

 一番の相田がふらりと前に出て、先生のオマンコの前でズボンを下げる。
 女子たちはぞろぞろと教室の後ろに整列し、お尻をこっちに向けてスカートをたくし上げたり、ズボンを脱いだりして下着姿になる。
 白いパンツ。リラックマパンツ。縞々パンツに水玉パンツ。後ろから一望すると、まるで万国旗みたいで笑えた。
 中でもルナは、お尻に食い込むヒモみたいな、すごいセクシーなパンツを履いてた。でもちょっと彼女には大きいようで、お尻の穴が横から見えちゃってるし、多分お姉さんか誰かのを勝手に借りてきたんだろう。
 ルナも恥ずかしいのか顔を赤くして、僕に向かってお尻を突き出した格好で、ジトっとこっち見てる。
 変なの。洗濯物が乾いてなかったのかな?

「それじゃ、パンツも脱いじゃおう」

 僕の合図で、みんな一斉にパンツを下げる。ルナはなぜか唇を尖らせてた。
 大きいお尻。小さいお尻。ずらりと一列に並んだ同級生のお尻は壮観だった。壁に手をついて、お尻を突き出すように僕は命令する。

「みんな、僕と山畑先生のセックスは見たよね?」

 お尻を向けたまま、みんなはコクコクと頷く。

「今から君たちも僕とセックスするんだ。僕が適当にお尻を選んでやっていくから、そのままお尻を向けていて」

 山畑先生のセックスはみんなを興奮させている。個人差はあるけど、それぞれに濡れていて、すぐにでも入れられそうだった。
 だから、左端からどんどんセックスしていくことにする。

「いくよ」

 菅原ココア。親の趣味なのか、いつもギャルっぽい服や髪型をしてる。クラスの第2グループのリーダー格で、チカルナとはあまり仲が良くない気が強い女の子。
 エリのことを時々バカにして悪口言ってるのを聞いたことがある。

「あぁーッ!?」

 ぶちっとココアの処女の破って、強引に動かす。

「うあっ、あぁっ、あぁっ」

 泣き声を上げて、ココアは僕にされるがままお尻を揺らす。ぎゅうぎゅうにきつくて、僕も動くのが苦しいくらいだった。
 それだと僕も困るので、ココアやみんなに命令を付け足す。

「山畑先生を思い出して。すごく気持ちよさそうだったろ? セックスは気持ちいいんだ。みんな、何をしたら一番アソコが気持ちいいか思い出して。クッションで擦ったとき? 指で触ったとき? 好きな人にキスされるの想像したとき? みんなで考えるんだ。何をしたら一番アソコが気持ちいい?」
「んっ、んっ、んっ」

 ココアも唇を噛んで想像している。この痛みに負けないくらいの気持ちよさを。
 僕はさらに付け足していく。

「セックスは、その10倍気持ちいいんだ。みんなの想像している気持ちよさの10倍だ。さあ、想像して。今までに想像したことのない気持ちよさを想像するんだ。それが僕のセックス。僕とセックスすることでしか味わえない快感をココアは感じている。そして、僕とセックスするみんなも」
「あっ、ああぁーッ!?」

 ココアのアソコがぎゅっと締まる。同時にぷしゅっと中から血と一緒に透明の液体があふれて、ぬるぬるとし始めた。
 滑りの良くなったそこを僕はスピード上げて抜き差しする。

「あっ、あっ、あぁっ、ひやぁッ!? やだ、やばい、あぁっ、トーマ、あたしやばいって、あぁっ、あぁぁぁッ!?」

 ガクガクとお尻を震わせ、ぷしゅっ、しゃあって何度もエッチな汁を吹き出す。
 僕は適当なところでココアから引き抜き、崩れ落ちるお尻から手を離す。
 ぺたんと床に倒れ込むココアをほっといて、僕は隣の佐々木マナホのお尻に向かう。
 マナホのアソコは、もうびっしょりだった。でもバスケ部のエースで背のひょろりと高いマナホのお尻は、僕のおちんちんより高かった。

「マナホ、もっとお尻落として」
「……うん。こう?」

 でも、両足を開いてお尻を落としてもマナホが苦しそうなので、四つんばいになるように僕は命令した。
 マナホのそこはもうびしょびしょになっている。僕は彼女のポニーテールのうなじを見下ろしながら、その中に挿入する。

「うあぁぁぁーッ!?」

 ココアの中ほどきつくはないけど、それでもマナホは痛そうに悲鳴を上げた。でも何度か往復していくうちに、すぐにぐちゅぐちゅと液体が増えていき、彼女の声も甘くなってきた。

「んん、あんっ、あっ、あっ、やだ、なにっ、変、私、ねえ、トーマ、私、気持ちよすぎて、変んんッ!」
「イクっていうんだ。気持ちよすぎて変になるときは、女の子はイク、イクっていうんだよ。みんなも覚えておいて」
「イクッ、イクっ、イクぅ!」

 ぎゅうぎゅうと、締め付けてくるマナホのきつさはさすがスポーツウーマンだと思う。両手で握りしめてるみたいだ。
 僕は昂ぶっていく射精欲をここで解放しようか考える。でも、さっきは勢いで山畑先生の中に出しちゃったけど、さすがに同級生を妊娠させちゃうかもしれないことは気が引けた。

「マナホって、もう生理ある?」
「あぁ、イクッ、うん、イクっ、あるよ、生理、生理あるよ、私! あぁっ、イってる、イってるぅ!」

 コクコクと、喘ぎながらマナホは頷く。じゃあ、ダメだ。僕はマナホからは引く抜くことにした。

「イクぅ!」

 ビクーンと背中を反らせて、マナホはそのまま失神する。
 次に、僕はクラスで一番背の低い敦賀チサキのお尻を抱える。
 小さい。さすが、2コ下に間違われることもあるというチサキだけあって、まるで赤ちゃんみたいなお尻とアソコをしていた。
 僕のおちんちんは、彼女の濡れたアソコをつるつる滑るだけで、なかなか入っていかない。
 早く射精したい気持ちを抑えきれない僕は、彼女を正面に向かせ、そのまま両膝を持ち上げて抱っこした。彼女の軽い体は僕の細い腕でも苦ではなかった。
 体重を利用して、中に埋まるように彼女の体を下ろしていく。
 ギチギチだ。それでも、十分に濡れてる彼女の中に先端が入ると、あとは一気に入っていった。

「やぁぁぁッ!?」

 衝撃的な感触だ。
 まるで熱い鉄の中におちんちんを埋め込んだみたい。
 僕は彼女の体を揺する。それでもびくとも動く気がしない。揺するだけ。ゆりかごの赤ちゃんを慰めるみたいに。

「はぁっ、はぁっ」

 それでも、チサキは徐々に中に入ってる僕に馴染んでいくみたいで、少しずつ体から力が抜けていく。壁に押しつけた体が柔く、声も温くなっていく。

「チサキ、気持ちいい?」
「うん、んんっ、んんっ、いいよぉ、トーマくぅん」

 僕の首に回るチサキの細い腕。くちゅ、くちゅと控えめにぬめり出すアソコ。
 僕は彼女の耳を噛む。甘い悲鳴が心地よい。すぐに射精したくなっていく。

「チサキ、生理ある?」
「ないよぉ、私、まだだよぉ! イクッ、イクぅ!」

 僕は、彼女の体に許可を得て、小さなソコにありったけの精液を吐き出した。

「あぁぁぁぁあああッ!?」

 ぐぷ、ぐぷ。
 チサキのそこから僕の精液があふれていく。

「あぁぁぁ……」

 かくかくと首を振らし、チサキは口の周りに泡をつけて目の玉をひっくり返す。
 僕は彼女の体を床に転がして、次のお尻に向かう。
 ブウカのでかい尻だった。
 それを飛ばして隣のお尻にいく。
 ブウカよりは一回り小さい、子豚のマリエだった。
 そこも省略して、僕はさらに隣のお尻を選ぶことにした。

「次はモエミだ」
「……うん」

 メガネの女の子が、おずおずと僕にお尻を突き出す。
 琴原モエミ。彼女も少しぽっちゃり気味だけど、ちゃんと女の子らしい体をしていた。胸だって大きめだし、厚ぼったいスカートを乗せてるウエストにはくびれもあった。
 アソコには1、2本の産毛が生えていて、すでにびしょびしょに濡れている。
 でも、射精したばかりの僕は、まだ力が完全に戻っていない。
 魔法使いの僕はセックスでも無敵だけど、それでもあれだけ大量に出したばかりでは、さすがにすぐに回復できない。
 僕はモエミにお願いすることにした。

「モエミ、今の僕はセックスするパワーが足りないんだ。君の口からパワーを吸収させてくれない?」
「私のお口から?」
「うん。これを口の中でしゃぶって、元気になるまで舐めたり吸ったりして」
「ええっ?」

 モエミは、いろんな女の子の血やエッチな汁や、精液に汚れたおちんちんに、一瞬眉をしかめた。

「いや?」
「う、ううん! そんなことないよ。私にお手伝いできるなら、やらせて?」

 モエミはぺたんとお尻を床につけると、あーんと口を開けて、僕のを飲み込んだ。

「ん……むにゅ……」

 モゴモゴと口を動かし、不器用に舌を絡めたり、吸ったりしていく。
 時々匂いに負けそうになるのか、「んぐっ」とえずいたりするけど、僕のおちんちんを頑張って離すまいとしていた。

「ふっ、ふっ、これでいい? トーマ君にパワーあげれてる?」
「うん。出来てるよ」
「他に、して欲しいことあったら言って? 頑張ってみるから」
「じゃあ、もっと顔を前後に動かして、唇で擦るようにして」
「うん!」

 じゅぶじゅぶといやらしい音を立てて、モエミの顔が揺れる。
 短い髪とメガネの目立たない女の子だ。でも、地味に可愛い顔をしている。
 それに、僕の消しゴムを拾ってくれたときだって、わざわざハンカチで拭いてから手渡してくれたり、雑巾がけが他の人より丁寧だったり、じつは女の子らしくて優しい子なのを僕は知っている。総合学習とかで同じ班だっとときも、僕の見落としを見つけて直してくれたり、気のつくの子だなって思ってた。
 上目遣いで僕の反応を見ながら、慎重に心を込めてフェラする彼女に僕は言う。

「おちんちん、いやでしょ?」
「んっ、おいしくない」
「汚れてべとべとだからね。でも、もっとしゃぶって」
「……うん、んっ、んっ、んっ」
「こんなのしゃぶらせて、怒ってる?」
「ううん、これくらい全然だよ。私、トーマ君には恩があるから」
「恩? 何のこと?」
「あ、忘れてていいの! 出来ればそのまま思い出さないで欲しいな。んっ、んく、ちゅぷっ」

 なんか、変なこと言ってる。恩ってなんだろ?
 でも、床にへたり込む彼女を見てるうちに僕はすぐに思い出した。
 そういや1年生のとき、教室でおもらしした彼女に、僕がジャージを貸して先生を呼んできたことがあったっけ。

「んんっ、んっ、ちゅぷっ……トーマ君のオチンチン、元気になぁれ……んっ、んっ」

 丁寧に、一生懸命にモエミは僕のおちんちんをしゃぶる。いくらセックスを受け入れる気持ちが出来ているにしても、特別指示をしていないフェラにここまで献身的になれるのは、少し不思議な気がした。
 ひょっとして、モエミは僕に特別な気持ちがあるんだろうか。
 いや、まさか。
 そんなはずないよ。僕なんかに。

「モエミ、もういいよ。さっきの格好に戻って」
「あ、う、うん」

 十分に回復したのを感じて、僕は少し名残惜しいものを感じながらモエミのフェラチオを切り上げる。
 モエミは僕のものから口を離し、また恥ずかしそう壁に手をついて僕にお尻を向けた。

「いくよ」
「んっ」

 めりっとモエミのアソコが歪んで、僕のに合わせて広がっていく。
 彼女らしく、とても優しく僕をキュウキュウ包んでくる。

「あぁっ! トーマ君……トーマくぅん!」

 ぐっぐっと彼女の中を擦り、僕のをなすりつけていく。彼女の体はたぶん生理があるだろうけど、あれだけ丁寧に彼女の口できれいにして貰ったんだから、精子は付いてないはずだ。

「どう? 気持ちいい、モエミ? 気持ちよかったらそう言って」
「うん、気持ちいい、お股、気持ちいい、みたい! イク? これがイクっていうのぉ? 私、たぶん、イってるよぉ!」

 服の中に手を突っ込んで、彼女の膨らんだおっぱいに触る。モエミは僕の好きなようにさせてくれたし、その柔らかさは僕も気に入った。

「イク! イク、イク、トーマ君、気持ちいい! セックス、気持ちいいッ! ……好きぃッ!」

 大人しくて地味な彼女をセックスの虜に変えてしまうのは、精神的な快感があった。
 モエミは何度も汁を吹き出し、後ろからキスをすると喜んで舌を突き出し、僕のセックスに目を蕩けさせて、何度も絶頂して最後は気を失ってしまった。
 気づくと結構な時間をモエミに使っていたようだ。
 僕はまだ射精してないオチンチンを、隣の女の子のお尻に向ける。
 その子は、自分の指でアソコを広げて、僕を責めるような目で見ていた。

「……モエミの10倍、イかせて?」

 ルナは、くやしくて泣きそうな顔だった。キレる寸前だ。
 僕がおちんちんを向けると、クイクイとお尻を近づけ、アソコを押しつけてくる。
 僕は、そんな彼女にあえてイジワルしたくなって、焦らして逃げる。
 ルナは「なんでぇ?」って顔をくしゃくしゃにする。

「ルナ、君のアソコは誰のもの?」
「そんなのトーマ君のに決まってるじゃん。早く入れて?」
「君は僕の何? 言ってみて」
「やだぁ。それはトーマ君から言うのがルールでしょ? トーマ君が言ってくれなきゃ意味ないのッ」
「言って。僕は忘れちゃったから」
「意地悪…! 私はアダルト女優。トーマ君の専属アダルト女優! これでいいでしょ? 早く、あの名前で私を呼んでぇ!」

 僕はルナの小さなお尻を掴んで、挿入すると同時に言う。

「“君はアダルト女優のルナ”だ」
「あああぁぁぁぁああぁあッ!?」

 ルナの細い体がガクガクと震え、アソコからたくさんの汁を飛ばし、ロッカーに付いてた手も滑り落ちて、がくんと床の上に落ちた。
 さすがに僕も驚いたけど、ルナのアソコはそれでも僕のおちんちんを咥えたまま、離そうとしなかった。
 両手を床について、子鹿みたいに辛そうな格好で、ルナはお尻をゆっくりと動かし始めた。

「チンポだぁ……私のチンポ……大好きなチンポ……トーマ君のチンポにやっと会えた……」

 くちゅ、くちゅ、アソコが濡れる。
 きゅっとルナのお尻にえくぼが浮かび、僕のをギュウって締め付ける。

「チンポ……チンポ、チンポ…ッ! チンポ気持ちいいッ、チンポ大好きッ。もっと、もっとトーマ君、あなたのスケベ女優をやっちゃって! もっと、私をやっちゃってぇ!」

 不自然な格好でも、ルナは器用に腰を捌き、僕のを上手にアソコでしごく。僕は彼女に任せたまま、揺れるお尻を上から眺める。

「動いて。ねえ、トーマ君も動いてぇ」
「ルナ、君は僕の何?」
「トーマ君のアダルト女優!」
「アダルト女優なら、もっとスケベなこと言いなよ」
「私はトーマ君のオマンコで、トーマ君のセックス専用で、トーマ君のフェラチオ係で、トーマ君のスケベ女! ねえ、動いてよ。私のマンコの中で動いてぇ!」
「もっとスケベなこと言えたらね」
「ルナはトーマ君のマンコ! トーマ君のスケベ穴! フェラチオ女! 精液入れ! 奴隷! スケベ女優! セックス馬鹿で、セックスキチガイのルナです! ねえ、お願い!」

 次々と、よく思いつくなっていうくらい、スケベな女の言葉をルナは叫ぶ。
 他の女子たちも、ルナの豹変ぶりを驚くように、あるいは好奇と性的興奮を露わにして眺める。
 僕も、へんてこな格好で腰を振り、アソコをどんどんスケベな汁にあふれさせていくルナに興奮する。
 彼女は、もう僕の専属アダルト女優でそれ以外の何者でもない。そんなの言わせなくてもわかってるけど。

「じゃあ、ちゃんと僕にお願いしたら動いてあげるよ」

 それでもしつこく焦らす僕に、ルナはくやしそうに、でも少し嬉しそうに頬を染めて唇を噛む。

「……私とセックス、してください……ルナは、トーマ君とセックスできるんなら何でもする女です……スケベでどうしようもない女なんです……お願い」

 へこへこと動く腰に、僕を見上げる媚びの視線。だらしなく開いた口に長い髪が絡み、床に落ちる。

「わかった。それじゃ動くよ」
「あぁぁぁあああッ!」

 僕が一度腰を動かすと、それだけでブルブルとお尻が真っ赤になり、汁がいっぱいあふれ出た。僕は乱暴に腰を突き上げ、ルナはみっともない声を上げてお尻を振る。

「私は、トーマ君のアダルト女優です! セックス中毒のスケベ女優です! あぁッ、好き、セックス大好きィ! これ、私のチンポ! トーマ君のチンポは私のぉ!」

 僕とセックスした女子も、まだしてない女子も、ルナの派手な嬌声に顔を真っ赤にして、うっとりと頬を染める。
 桜色のほっぺたに、桜色に火照った股間。
 この教室だけ一足先に春が来たみたいに、僕の周りに女の子たちのピンク色が咲いていた。
 まだやってない女子はいっぱいいるし、僕もまだまだセックスできる。僕たちはまだ子供で、時間割は山畑先生で埋まっていて、セックスを覚えていく時間はたっぷり残されていた。

「みんな、ちゃんと並んで。順番にやっていくから」

 セーターを背中までまくり上げたルナのお尻に、僕は腰をパンパンと打ちつける。
 真っ赤なお尻に、小さな穴がぱくぱく喘いでるのが、金魚みたいで笑えた。

 女の子って面白い。
 僕はルナのお尻に精液をかける。ルナは「熱い」と言って、そこの穴をヒクヒクさせる。
 次の女の子は、ボーイッシュでちょっと生意気なアユムだ。
 きりっと引き締まったお尻を両手で開く。ピンク色のアソコがキラキラ濡れて光ってた。
 僕はルナのお尻から精液を指にすくい、アユムのアソコの周りに円を描き、快楽の魔法をかける。



 これは、エリと僕の物語だ。

 このときエリは遠くへ行ってしまっていたし、僕たちが再会するのもまだまだ先のことなんだけど、僕はエリの魔法使いだから、僕の物語はそのままエリの物語でもある。
 だから僕は、僕の話を続けようと思う。
 耳を貸してくれる人がいなくても全然かまわないし、誰かに聞いて欲しいとも思わない。語り終えれば、僕は最後に魔法の杖を振るだけだ。
 そしてこのリグレットにさよならを。
 
 次は、中学生になった僕の話だ。

< つづく >




 これは、エリと僕の物語だ。

 このときエリは遠くへ行ってしまっていたし、僕たちが再会するのもまだまだ先のことなんだけど、僕はエリの魔法使いだから、僕の物語はそのままエリの物語でもある。
 だから僕は、僕の話を続けようと思う。
 耳を貸してくれる人がいなくても全然かまわないし、誰かに聞いて欲しいとも思わない。語り終えれば、僕は最後に魔法の杖を振るだけだ。
 そしてこのリグレットにさよならを。
 
 次は、中学生になった僕の話だ。

< つづく >





 これは、エリと僕の物語だ。

 このときエリは遠くへ行ってしまっていたし、僕たちが再会するのもまだまだ先のことなんだけど、僕はエリの魔法使いだから、僕の物語はそのままエリの物語でもある。
 だから僕は、僕の話を続けようと思う。
 耳を貸してくれる人がいなくても全然かまわないし、誰かに聞いて欲しいとも思わない。語り終えれば、僕は最後に魔法の杖を振るだけだ。
 そしてこのリグレットにさよならを。
 
 次は、中学生になった僕の話だ。

< つづく >





 これは、エリと僕の物語だ。

 このときエリは遠くへ行ってしまっていたし、僕たちが再会するのもまだまだ先のことなんだけど、僕はエリの魔法使いだから、僕の物語はそのままエリの物語でもある。
 だから僕は、僕の話を続けようと思う。
 耳を貸してくれる人がいなくても全然かまわないし、誰かに聞いて欲しいとも思わない。語り終えれば、僕は最後に魔法の杖を振るだけだ。
 そしてこのリグレットにさよならを。
 
 次は、中学生になった僕の話だ。

< つづく >

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