被験者の記憶集3

 大学生:Rana(21)

 6月××日(木)

 

 

 これまで遊んでいたセフレが、未成年に手を出したとかで炎上して消えた。

 まぁままある話だ。なんなら私もその頃から遊んでたし。

 というわけで暇になったので、次の遊び相手を探すことにした。

 遊び相手って言っても、金を巻き上げたりするわけじゃない。ただ単にセフレとして。

 まぁセフレと言わんでも、割り切りでもよし。

 んで正直ただのセックスもつまらんので、催眠とか脳イキとか、精神的にイけるヤツが楽しくてそういう相手を探すことにした。

 ……まぁつまらんというか、肉体的な快感よりも精神的な快感の方が私にとっては強烈だっただけでもある。

 妙に知識やら技術やらを要求する分、ハズレ率もそれなりに高いんだけど……まぁクジ運が悪かったということで割り切って、この界隈から足を洗おうとも思わなかった。

 というわけで、テキトーな人に声を掛ける。もちろんテキトーって言っても本当に誰でもいいわけじゃなくて、その名前で調べたり程度はしてるけど。

 ワンチャン狙いで、あるいはセックスのためいくらでも無料で……って人はたくさんいるけど、ハズレを引くのも嫌なので、金を取るくらい自分の腕に自信がある人の方がいい。もちろんそれでもハズレはあるけれど、経験則として失敗しにくい。

 今回はディーシーって名前の人。

 ホテル代は折半ってのと、なにより『本番はしません』って言い切ってるのが面白い。

 本番の有無はどうでもいいんだけど、精神的にイくのを求めてる私にとっては都合がいい。

 連絡を取ると、『何をしたいか』『何が好きか』『過去にどういうことをしたか』と聞かれて少し面倒くささを感じたものの、当日がスムーズになればいいかと思いやりとりをして最後に日程調整。

 後日、××駅前で合流。まどろっこしいことは得意じゃないし、今回はお互いに目的がはっきりしてるのでそのままホテルに入る。

 別に直接セックスするわけじゃないし、ショートで取ったのでシャワーは省略。

 ベッドに座って、私の後ろにディーシーさんが座る。

 ディーシーさんは私の両肩を掴んで、左右にゆっくり揺らし始めた。左右だったかな? 円を描くように回されたかも。

 高校生の時から催眠音声で『訓練』を重ねてた私は、『これから始まるんだ』という空気と頭にかかる遠心力で、それだけで軽いトランス状態に入っていたんだと思う。ディーシーさんが何か言っていたのは覚えてるけど、なにを言っていたのかはさっぱり記憶にない。ぜーんぶ言葉はスルーした。

 そして少しした後、言葉じゃなくて耳の中に指が入ってきた。そしてその指は不思議なことに鼓膜をすり抜けて、私の脳に直接触れた。そしてかき回し始めた。

 直接の脳クチュ。頭の中を弄られる快感に声が抑えられなくなる。

 これまで脳クチュ系のシチュエーションボイスやらを聞いてきて、それだけで妄想してイけるくらいになってたけど、所詮妄想でしかなかった。初めて直接脳を弄られる快感に、私はただ喘ぐことしかできなかった。

 頭の中を弄られ続けてる間も、ずっと何か言ってきている。言ってきてるけど、何を言われてるか把握することなんてできるわけがない。絶え間なく流れてくる快感におぼれ続けるだけだった。

 

 

 しばらくして、気付けば快感の波は止まっていた。

 押し寄せる波は止まってたけど、その余韻だけで何回かイった気がするし、気付いた時には私はベッドで横になっていた。喘ぎすぎたせいか喉がからっからになってたので水を飲んでから、座りなおしてディーシーさんに向かい合う。不思議なことに、初対面の相手にめちゃくちゃにされてしまったのに、羞恥心も何も感じていなかった。

 向かい合った私にディーシーさんは「服をすべて脱いで」と命令してきた。

 普段の私なら、下着までならともかく、いきなり全裸は恥ずかしくて躊躇するんだけど、さっき脳を弄られたときに、ディーシーさんに都合のいいように弄られてしまったらしい。『ディーシーさんの言うことは疑問を持たずにすべて受け入れること』が私の常識になっている。その自覚はあったけれど、それについては怒りも喜びも何も感じず、ただ淡々と受け入れた。

 ディーシーさんの言うことは絶対なので、恥ずかしさもなにも感じないまま、私はその場で服もブラもパンツもすべて脱いで全裸になる。

 そして次はスマホを渡してほしいと言ってきた。別に逆らう必要もないので、スマホをディーシーさんに渡す。ロックも解除してとのことだったので、そうした。

 ディーシーさんは私のスマホで、全裸になってる私の写真を撮る。別にポーズの指示はなかったので、ただ裸で座ってるだけ。

 何枚か撮った後に、私の隣に来て、私のスマホで、私の全裸の写真を見せに来る。そして自分の写真を見ろという。

 それを見てる私の横で、ディーシーさんが何か言っている。私の意識はスマホに映る自分だけに向けられてたので、何を言われたか覚えてない。ただまた耳の中に……いや、脳の中に指が入ってきて、また脳を弄られたのは覚えてる。

 んで脳を弄られ終わった、じゃなくて元通りに戻されたとき、急に羞恥に襲われた。んで、最初に脳を弄られたときに『私はディーシーさんのもので、言われることは全部当然のことだし、普通のことで、なにも抵抗する必要がない。そうなるように脳を弄る』ってされたこと、んでそれが普通ではない状態だったことを自覚する。別にそれ自体はいいんだけど、ハナからそういう目的だったからいいんだけど、さすがに恥ずかしくなって少し悪態をつく。

 そしてディーシーさんは、スマホに映る私のおなかをトン、とタップした。

 直後、私のおなかに軽い衝撃が走った。服の上からじゃなく、おなかに直接。

 そのままディーシーさんはスマホをタップし続ける。そのたびに私のおなか……子宮に振動が来て、おなかの奥から快感が来る。

 おなかに手を当てて抑えようとするけど、抵抗むなしくその内側から、直接子宮を叩かれる。

 さすがにこれは気付いた。これは画面の私と、現実の私の身体がリンクしてる。

 気付いたとて、どうしようもできない。画面をタップされるたびに、子宮から快感が全身に回る。しばらくされ続けるうちに声が抑えられなくなってきて、軽くイってしまった。スマホをタップされてるだけなのに。

 そしてディーシーさんはスマホを私に渡してくる。もうスイッチが入っちゃった私は、受け取ったスマホの、自分のおなかをタップする。そしてそのたびに自分のおなか全体に振動がくる。

 強めにタップすると強い刺激が、長く押し込むとグリグリと押されてる、子宮を潰される感覚が。私はうつ伏せになって、一心不乱にスマホを、画面に映った私を責め続けた。 布団にうずくまるように丸まって、スマホをタップする私。

 そのスマホをディーシーさんはひょいと取り上げる。息も絶え絶えになりながらディーシーさんを見上げると、スマホじゃなくてクッションを渡してきた。

 それを抱くように言われて、耳元で「子宮の感覚がそのクッションに移る」なんて言ってくれる。

 意識のある状態で、さらにそれがはっきり理解できる状態でやるんだから趣味が悪い。

 ディーシーさんはそれを布団の上に置いて、さらにその上にグーを置く。

 それだけで呼吸が早くなる。これまでされたことと、さっき言われたこと。その経験がある私は、次に起こることを理解してしまう。

 そうしろと言われたわけでもないのに、そういう暗示を入れられたわけでもないのに、口を開けたまま、浅く早い呼吸を続けたまま、ディーシーさんのこぶしを、クッションを見つめることしかできなくなった。

 カウントダウンが始まった。3、2、1……と数えられて、ゼロの合図でクッションにグーが押し込まれる。

 クッションの形が歪む。それを認識した瞬間、私は声を出してイった。

 濁点が付いた汚い声だったと思う。目の前のクッションと連動して、私の子宮から快感が溢れる。爆発する。

 今度はグーじゃなくてパーで押し込まれる。強烈さは変わらず、だけどさっきより体中に響く快感。

 「声を抑えられなくなる。ここはホテルだからいくらでも声を出しても大丈夫」とクッションをぐりぐりしながら言ってくる。快感さえ受け止めきれない私の頭は、その言葉をノーガードで受け入れてしまう。

 そうなったらもう口もひらきっぱになってしまう。なるべく出したくない、濁点付きの汚い声がダダ洩れになる。

 パーで押し込まれると、全身に溢れてしまうようなシャレにならない量の快感。グーだと脳に直接響く重い快感。それを交互に何度もぶち込まれて視界が点滅し始めた。

 そして最後に「両手で押し込むと最高の快感が来て、イったあと意識がトぶ」って言われる。これまではかろうじて耐えられてたけど、言われちゃったら耐えられるわけがない。

 両手で思い切り押し込むディーシーさん。大きく形を変えるクッション。それを認めた瞬間、わけのわからない快感に襲われて、意識の回線が焼き切れるようにして視界が真っ暗になった。

 

 

 意識が戻った時、視界一面には天井が広がっていた。

 そして呼吸をした瞬間に喉が痛んだ。きっと喘ぎすぎて喉をヤった。

 目が覚めた直後にせき込む私を見て、ペットボトルの水を渡してくれる。

 未開封だった500mlのペットボトルを一息に半分ほど飲み干して、一度ディーシーさんに礼を言う。

 満足した。久々にワケわからんくらいイった。回数や時間というより重みと深さがヤばかった。

 催眠そのものも解除してくれるみたいだけど、あまりに記憶も意識もなさ過ぎたのでもう一度お願いできないかと頼む。

 快くOKしてくれて、横になったまままた目を閉じるよう言われる。その後は最初は何言われたかわからないけど、数字を数えられ始めたあたりでしっかり知覚できるようになった。オーソドックスなカウントアップでの解除。大きな柏手の音で、今度はしっかりと目が覚めた気がした。

 上体を起こして、一度大きく伸びをする。

 これが対面と通話の差か。ちょっとこれまでの催眠通話とかでは感じれなかった快感なので、セフレになりませんか、と直接的に誘ってみたけど、「遠慮します」とこれまた直接的に断られてしまった。

 ただまぁ予定さえ合えばまたやってくれるとのことなので、機を見て声を掛けることを決めた。

 その後はちょっと大変なことになってる下着だけ着替えて、ホテル代を折半して清算。食事を一緒にすることもなく淡白すぎる解散になった。

 いや私は満足だからいいんだけどさ。女性と絡んでるのにあそこまで淡白なのはなんなんだろあの人……本番なしってのも含め、男性機能が死んでるんじゃない? と失礼な邪推をしながら改札を通った。

 

<つづく>

1件のコメント

  1. 3つ目
    今回は割りとエロがつよい。
    まあ、みゃふはこっちのほうが好きなんでぅけどw

    服従からの快感の引き出し。女性自体には手も触れていないのにいってしまうとか好き勝手してる感があっていいでぅ。
    あと脳クチュ。女性視点なのでどういうふうにやっているかがよくわからないところでぅけれど、頭に指を当てて軽く押す感じでぅかね。それだけでびくびくと震える女性の姿を想像するとやばいw

    つぎ

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