催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~5

第二章 春の目覚め(後半)

 

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 最初から春香が僕たちのことをこっそり覗いていることはわかっていた。わかっていて、僕はわざと僕と秋の情事を春香に見せつけていた。

「あああっ! ご主人様! イキます、イキますぅぅっ!」

「くっ! 僕も、僕も出すよ! 秋! くっ……うっ、あああっ!」

 秋の中で果てた僕は荒い息遣いの秋をそのままに、扉の陰で隠れてオナニーをしている春香に近づくとそのまま春香を室内に引き込んだ。

「ほら、こっちおいでよ」

「え、あっ」

 春香は酷く慌てた様子だったが、抵抗はなかった。秘密の自慰行為のせいで、すっかり身体の力が抜けてしまっているらしい。これは好都合。

「あの、ええと、これはその……」

「僕たちのこと、こっそり見てたんだよね? 春香」

「いや、あの」

 もごもごと口を動かしながら、必死に言い訳を言おうとする春香に僕は机の上の鏡を向けた。

『見るんだ、春香』

「あ」

 その瞬間、春香の瞳から光が消えた。そのまま僕は春香に尋ねる。

『さぁ、春香。僕に本心を打ち明けてごらん』

 

 私は志貴のことが大嫌いだ。私の秋を奪おうとしているから。

 私は秋のことが大好きだ。一人の女性として愛している。

 私が自分の嗜好に気づいたのは小学生のころ、友達だった女の子とプールに遊びに行ったとき、その子の裸体に私はすごく興奮した。更衣室で着替えているときに見えた生まれたままの姿に、体の奥の方で何かがうずいているを感じた。

 小学生だったあの時は、まさか自分が女性の裸を見て興奮しているだなんて気づくわけもなかった。でも今思い返してみると、あれが私にとっての性の目覚めだったんだと思う。

 それから私の性的な思考が他の人とは少し違うことに、はっきりと気がついたのは中学時代だった。同級生の女子と話している時に出てくる男子との恋愛話にまったく興味がなく、むしろ一緒に話している女友達のことが気になって仕方なかった。その子がクラスの男子のことが好きだと話せば、嫉妬をしたし。フラれてしまったと聞いたときはとても嬉しかった。

 自分はレズビアンなんだ。

 中学を卒業するころには自認できていた。誰にも言えない私の秘密を誰かに悟られないよう、私は積極的に男子に対してスキンシップするようにした。それと同じように無邪気な女の子を装い、そのままの流れで女子にも多めのスキンシップをするようにした。

 男女ともに仲良くなれる無邪気な女の子。そんな仮面をかぶった私の本性は、可愛いと思う女の子に抱きついては、その柔らかい肌の感触を楽しむ変態なのだ。抱き着いた女の子の胸の感触を思い出しながら、夜な夜なオナニーに励んだこともある。

 ずっとひた隠しに生きていこうと思っていた中、私は秋に出会った。秋は私のもの。だから秋と仲良くする志貴を私は許せない。

 

 春香の告白を聞いて、僕は呆然とした。

 そうか、春香が僕に向けてくれていたあの笑顔は偽物だったんだ。あの笑顔も、言葉も何もかも……。すべては憎悪を隠すための仮面だったんだ。

 僕の中で春香に対する感情が壊れていくのを感じた。頭の中でギィがニタニタと笑う姿が見える。きっと本当に鏡の向こうで同じように笑っているに違いない。

 僕は鏡を春香に向けたまま、落ち着いた声で言葉をかける。

『……いいかい、春香。春香は僕と秋の内緒の光景を見てしまった。これはとっても良くないことだね。人の秘密をこっそりのぞき見して、しかも自分で気持ちよくなった。とっても良くないことだよ。これは』

「とっても……いけないこと」

『そう。春香はとってもいけないことをしたんだ。その罪は償わないとね』

「罪は、償う」

『そう。いいかい、これから僕の質問に春香は正直に答えなくちゃいけない。もし答えなかったら、秋が君のおしりをたたくからね』

「正直に、答える。でも答えないとおしりがたたかれちゃう」

『そう。でも不思議なことに、秋におしりをたたかれるたびに、その痛みがだんだんと快感に変わっていくんだ。おしりをたたかれると気持ちよくなってしまう。うれしいでしょ、秋におしりをたたいてもらえるんだもの』

「秋にお尻を叩いてもらって、私、うれしい」

『そうだよね。他人のエッチを覗いてオナニーするような変態の春香は、そういうのが好きなんだ』

「私は変態だから、気持ちよくなる」

『さぁ、こっちにおしりを向けてごらん』

「……うん」

 そのまま床に四つん這いになった春香は僕の指示通り、素直に僕の方に自分のお尻を向ける。僕はゆっくりと」春香に近づき、そのまま春香のショーツを一気に脱がした。先ほどの自慰行為のためか、春香の陰部からはすでに糸を引くくらい大量の愛液が滴っている。春香の股間から立ち上る、女の独特の匂いが僕の鼻腔をくすぐった。秋とはまた違った、青々とした若芽のにおいだった。

「さぁ春香、始めるよ。準備はいいかな?」

「……うん」

 僕は秋に視線を送る。すでにまどろみから覚めていた秋はこくんとうなずくと、僕のベッドからそっとおりてきた。そしてそのまま僕の隣に腰かける。

「ほら、春香。秋が来てくれたよ」

 そう言うと、秋に見られたのが恥ずかしいのかうれしいのか、おしりを丸出しにしている春香の耳がさっと真っ赤に染また。

『春香、質問だ。春香は僕のことが好きかい?』

「はい、好きです」

 ばしんっ!

「ひうっ!」

 秋の平手が春香のおしりをぴしゃりと叩く。その瞬間、春香は小さな悲鳴を上げた。僕は言葉を続ける。

『ちがうだろ春香。春香は僕のことが嫌いなんだろ』

「……私は、お兄ぃのことがき、きら……すき」

 ばしんっ!!

「いっ!」

『僕のことを、嫌っているんだろ』

「わた、しは、志貴がす、き、きら いいっ!」

 ばしんっ! 

 秋の三度目の平手が春香のお尻を赤く染める。小さな秋の掌のあとが、まるで紅葉の葉のような模様を春香のおしりに刻む。春香の呼吸はいつの間にか荒くなっていた。

『嫌っているんだろ?』

「きら、す、ひいっ!」

 ばしんっ! ばしんっ! 秋の平手が続けて二回、春香にお見舞いされた。さらに続けて三度、平手が春香を襲う。その痛みに顔をゆがめる春香だったが、

「い、いたい! いた、ひぅ、き、もちいい? 痛いのに、気持ちいい?」

 混乱したようにそう述べる。

『そうだ、春香。君は痛いのが気持ちいいんだろ?』

 対立する感覚に春香の思考が麻痺し始めたのだろうか、快感と痛みが同時にやってくるその感覚に春香の頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

「い、痛いのにぃ……ひうっ! き、あふっ! きもち ひゅうっ! ひゃうっ! ひもちぃきっ!」

 言い終わる前に秋がさらに連続して春香の尻を叩く。春香のお尻は痛々しいほどに真っ赤になっていた。僕はその光景に口角をゆがめながら、

『春香はおしりをたたかれて気持ちよくなる変態なんだよ』

「わ、私は、おしりをたたかれて気持ちよくなる、へ、へんたいなんかじゃ……ひゃううっ!!」

 バシインっ!

 今までよりもより大きな音が部屋に響き渡った。春香の陰唇からは先ほどからとろとろととめどなく愛液が漏れだし、床を汚している。僕の鼻を刺激するメスのにおいも一層強まってきている。

「な、なんでぇ、痛いはずなのに……ふあっ! おしり、たたかれると……ひぅっ! 気持ちいいぃぃっ!」

 春香が喜びの悲鳴を上げ始めたのを見計らい、僕は秋に命令を下す。

「そろそろだ秋。さぁ、やれ」

「はい、ご主人様」

 秋は叩いていた手をおろし、そのままゆっくりと春香の股座に顔を近づけていった。背後で不穏な動きを感じ取ったのか春香が不安げに声をかける。

「な……な、なにを」

「ごめんなさい、春香さん。でもご主人様のご命令だから、仕方ないの。でも大丈夫よ。春香さんのこと、いっぱい、いいいっぱい、気持ちよくしてあげるから」

 そう言うと秋は春香の陰裂に自らの舌を這わせた。

「れるっ」

突然のことに春香も悲鳴をあげる。

「ひゃうっ!」

「はるかさんの、ここぉ……れるれる……すっごく熱くなって……ちゅ……とろとろしてるぅ。んっ」

「だ、めぇえ、そんなと、こぉ……秋さん……き、きたないよぉ」

 秋の舌がもたらす快感に春香の顔が快楽にゆがむ。その様子を確認した後、僕は春香の眼前に回り込み、自分の股間の怒張を春香の目の前にさらした。

「ほら、春香」

「え……あっ」

 目の前に現れたいきり立つ僕の分身に春香の視線がくぎ付けになる。春香の荒い息が僕のものにかかるのを感じた。僕はごくりと生唾を飲みこみ、

「どうすればいいか、わかるだろ?」

 春香にそう述べる。春香は荒い息遣いのまま僕のものに顔をそっと近づけ、

「すごい……おっきい、お兄ぃの、おちんちん」

 観察するようにじっくりと眺める。そんな春香に秋が背後から声をかける。

「ちゅ、ぴゅちゅ……さぁ、春香さん。ご主人様も気持ちよくして差し上げて」

「あっ……う、うん……ちゅ、ふうっ。ん、れう」

 秋に促されるまま、春香はためらいなくその小さな舌を僕の肉棒に這わせ始めた。

 つたない舌遣いで僕の肉棒を、ゆっくりと刺激する。決して上手とは言えないが、一生懸命に僕の肉棒に舌を這わせるその愛くるしさに僕のものはさらに硬化していく。

「あ、硬くなった……すごぉい」

「そう、とっても上手ですよ春香さん。ん、ちゅ」

「あっ……秋さん、そっちは……あああっ!」

 秋の舌が春香の菊の花に伸びる。そのままそこをこじ開けるように秋が舌でこねくり回す。

「あっ、ふう、あう」

「さぁ春香さん、今度はお口に入れてあげてください」

「んっ……くっ……あっ、は、い……んあ」

 春香が僕の肉棒をそっと口に含む。僕の肉棒が生暖かく、ぬるぬるとした感触に包まれる。その感触に思わず僕も声を漏らす。秋の口内とはまた違う感触を楽しみながら、僕はそっと春香の頭に手を添える。そのまま春香の頭をつかみ、前後に動かし始めた。

「んぐっ、ん、ふぐぅ」

 苦しそうにうめく春香に対して秋が言う。

「歯を立てたりしちゃだめですよ、春香さん。そう、そのままゆっくり舌を動かすんです」

 背後から春香にフェラチオの指南をする秋は、その間も春香の恥部に這わせた指を動かし続けていた。快感にとらわれつつも、秋のその指示に従い春香の下が僕の肉棒をゆっくりと舐る。

「ふう……んぐ、んぶっ」

「あぁ、いいぞ春香、それ、気持ちいい」

 春香の舌が僕のカリ首あたりに触れるたび、強めの快感を与えてくる。春香もどうやら僕の気持ちの良い部分が分かったのか、そこの部分を重点的に攻めてきた。

「ん……ふぅ、チュ、んっ」

「いいぞ、春香……あぁ、気持ちいい」

 僕は春香の頭を動かすスピードを徐々に速めていく。春香の口の端から洩れ出すぐぽっぐぽっという音が徐々に激しくなっていく。秋はその様子を満足そうに見つめてから、再び春香の下腹部に頭を戻す。しばらくするとぴちゃぴちゃと春香の股間を舐る音が聞こえだし、春香の奏でる音と重なり合って淫靡なハーモニーを紡ぎ出す。

「んふっ……ふぅ」

 秋によって背後からもたらされる快感と、僕の与える息苦しさ。その両方の刺激に、やがて春香は恍惚の表情を浮かべはじめる。先ほどの催眠がだいぶ深くかかっているようだ。

「ぴちゅ……ん、えう……春香さぁあん、ろうれす? きもひいぃ?」

「ん、んん-っ!」

 僕のものを加えながら悶絶する春香の姿に、僕もいよいよ我慢の限界を迎える。

「くっ、春香……出すよ……僕のを、んっ、しっかり受けとめるんだ、ぞ!」

「んっ、んんっ。んんんっ!」

「くぅ、う、春香かああああっ」

 僕はそのまま春香の口の中に自分の欲望のかたまりをすべて吐き出した。その瞬間、春香は苦しそうに顔をゆがめ、口内の白濁を吐き出しそうになったが、

「だめよ、春香さん。吐き出したり、飲んだりしてはダメなの……そのまま口の中にためておくの。そう、苦しいけどしっかり我慢するのよ。ご主人様の精液を、しっかり受け止めて」

「んんっ、んっ、んっ」

 秋が春香の耳元でささやく。春香は苦悶の表情を浮かべ、目じりから涙をこぼす。

「ふぅー、ふうぅ」

 春香は僕の吐き出した欲望の塊を全て口内に収め終えると、きゅぽんという音をたてて僕の肉棒を吐き出した。つーっと、亀頭の先端と春香の口元に白い粘液の橋ができる。秋は苦しそうにしている春香の頭を優しくなでながら、

「いい子ね、春香さん。よくできたわよ」

「んう、あう」

 秋に褒められてうれしいのか、春香は目じりを下げて喜んでいるようだった。

「さぁ、ご主人様のそれをゆっくりとそのまま飲み込んでみて……そうよ、上手よ」

「ん、ん……んん」

 秋に促されるがまま、ごきゅっごきゅっと春香が僕の精液を音を立てながら嚥下していく。その間も秋は春香の頭をなで続けていた。

「ん……はぁ、はぁ」

 すべて飲み終えた春香が熱い息を漏らす。

「いい子よ、春香さん。さ、そのまま口をあけておいてね……ん、ちゅ。くちゅ」

「んぐ……ん、ぶあ」

 うつろな目をしている春香の口内に秋は舌を侵入させる。どうやら春香の口内に残った僕の精液の残滓をなめとっているようだ。じゅぴじゅぴっという艶めかしい音が響く。

「ふぁあ、あ、き、しゃあん……」

「ん、春香さんのお口の中、ご主人様の味がする、ん、ちゅ」

 二人が淫靡に舌を絡めあうシーンに、僕の肉棒は再びむくむくと硬度を取り戻しはじめた。その様子を秋はいやらしい笑みをうかべながら、

「あら、ご主人様ったら。まだまだお元気ですね。さすがです。さ、春香さん。今度はここで、ご主人様を気持ちよくしてあげましょうね」

「ひゃうっ!」

 放心している春香の秘密の裂け目を秋がなであげる。突然のことに春香が悲鳴に近い声を上げた。どうやら先ほど僕の精液を飲んだことで身体中が敏感になっているようで、秋が優しくその肌に触れるだけでも体をびくんびくんと震わせている。それをわかってなのか、秋はしきりに春香の体を撫でまわす。

「ご主人様、準備が整いました。このまま、春香さんの後ろからしてあげてくださいませ」

「……わかった」

 秋に促されるがまま、僕は春香の背後に回り込み、

「いいかい、春香。いくよ?」

 春香の肉厚な尻をわしづかみにし、自分の亀頭を春香の裂け目に押し当てた。春香の愛液が僕の先走り液とまじりあい、ぐちゅっぐちゅっとした音を立てる。

「あっ! お兄ぃのおちんちんが、私の、オマンコに、あたって、ああっ!」

「くっ、春香のここ、すごい、ぬるぬるだ」

 何度か春香の裂け目にこすりつけた後、春香の中に僕のものをゆっくりと差し入れた。

「ああああっ!」

 春香の膣内の肉壁の抵抗はほぼなかった。むしろ秋の舌によってしっかりとほぐされたそこは僕の肉棒をすんなりと受け入れてくれた。生暖かくねっとりとした膣内は、僕の肉棒を奥のほうへと誘うようにウネウネとうごめきだす。

 僕は春香の尻をわしづかみにしたまま、勢いよく腰を前後に動かし始める。 

「あっ! あああっ! へ、変だよ、私、初めてなのにぃぃ。す、すごく、すごく気持ちいぃ!」

 破瓜の痛みなどまるで感じないのか、春香は膣からの快感にむせび泣く。そんな春香の様子を見て秋は、

「春香さんったら、初めてなのにもう感じているんですか? すっごくいやらしい子だったんですね」

 いじわるそうに述べる。

「ち、違う。私は、そんな……いやらしい、あっ! 子なんかじゃ。あっあっ!」

「自分でも毎晩慰めていたんででしょ? 自分のオマンコを。毎晩、毎晩。さっき私たちの情事をのぞき見してた時みたいに、指でこすりながら、気持ちよくなっていたんでしょ? 一体誰のことを考えながら、していたんです? 夜な夜なベッドでいやらしい声を上げながら」

「いぁぁぁ! そんなこと、言わない、ひゃうっ!」

 秋は春香の耳元でそんなことをささやきながら、春香の耳たぶをゆっくりと甘噛みし始めた。

「正直になりなさい、春香さん……はむ、えぅ。ご主人様のおちんちんでオマンコが気持ちよくなってるんでしょ? ご主人様におしりをたたかれて、いじめられて、すっごく感じているんでしょ?」

「あ、わ、私は、そんな……はあっ。いや、あっ」

 二人の妖艶な様子に、僕は腰の速度を上げた。春香のお尻をつかんだまま、まるで獣のごとくピストンを春香の膣奥に打ち付ける。そのたびに、春香も悲鳴に似た嬌声をあげる。

「ほっぉ、おっ、ああああっ! なにこえぇぇえ、すごいぃ! いや、いやああ。か、あ、おかしくにゃ。なる、おかしくなるうぅぅ」

「いいのよおかしくなりなさい。そのまま気持ちよくなりましょ。そして身も心もご主人様にささげるのよ。さぁ……ああ、あああっ」

 春香の耳たぶをあまがみしながら、秋も自分の陰裂をこすり始めた。二人の甘い嬌声がさらに僕の肉棒を硬くしていく。

「ああっ! おちんちん、また硬くなったぁぁ! だめ! これ以上されたら、私、わたしいぃ」

「あっ……んあっ、ほ、ほら、春香さん、もっと正直になるのよ。ん、んんっ……ご主人様、もっと、もっと春香さんを気持ちよくしてあげてください……んっ」

「くっ、わかった。いくよ、春香! ほらっ!」

 春香の尻から両手を離し、僕は勢いよく春香の尻に平手打ちした。ぴしっ! という音がリズミカルに部屋中に響くと同時に、

「ひぎぃっ! ふぐうっ!」

 尻を叩かれるたびに春香が叫びをあげた。

「や、やめ……ひいっ!」

 春香が必死にあげる声にも耳を貸さず、僕は左右交互に春香の尻を思い切り叩き続けた。春香のお尻がほんのりと紅葉色に染まっていく。

「あぎぃ! ふ、ふぐぅ、ぐ、んひぃぃ!」

 尻をたたく間も僕の腰の動きは止まらない。再び快感と痛みの両方に苦しめられる春香は悲鳴とも嬌声ともとれる声を上げ続けるしかなかった。

「あぁぁご主人様、素敵です……あとで秋にも、そんな風にお仕置きしいてくださいんね……んろんろっ」

 耳の中に舌を差し入れだした秋に、春香は髪を振り乱しながら狂ったように叫び声をあげる。

「らめ、らめぇぇ! し、しぬぅ、死んじゃうぅっ! お兄ぃ……ご主人さ、お兄ぃ様ぁ!」

「くっ! い、いくよ、春香、もう、僕もいくよぉ……う、ぐあああっ」

「あああっ! だめ、私が、わたぢえなく、なぐ、なっじゃうぅ、あああっ! あっ……ぎ、ひいあぁ!!」

 僕はそのまま春香の子宮に向けて精液をどくっ、どくっと放出した。頭に血が上り目の前がちかちかと光っている。脈動とともに僕の亀頭の先端から吐き出される精液を受ける春香も、びくんびくんと尻を震わせていた。

「あ……ああっ……あ」

 痙攣し続ける春香から肉棒を抜き出すと、そこから泡立った精液と春香の愛液の混合液がどろりと噴き出してきた。僕は肩で息をしながらぐったりとしている春香の耳元にゆっくりと近づき、春香の髪をぐいとつかむ。全く抵抗はなかった。うつろな目をした春香が、ううっと、唸るような声を上げる。

『いいか、春香。よく聞くんだ。僕の声に従い、僕に身を任せろ。いいか?』

「は、ひぃ」

『三つ数えたら、春香は僕の奴隷になる。何でも話すし、なんでも僕の言うとおりに動く。たとえば僕が春香に死ねと言ったら、喜び勇んで死ぬんだ。いいねか?』

「は、い……」

『いくぞ、春香……三、二、一、従え!』

 その言葉に、びくんと春香の体が痙攣する。僕は間髪入れず春香に詰問する。

「さぁ春香、全て話せ。あの日何があったのか。全部、『俺に』正直にな」

 

 あの日。

 私は母さんと会いたくなくて、ずっと部屋にこもっていた。ここ最近は母さんと喧嘩ばかりだ。

 だって母さんったら、お姉ぇにばっかりに気をつかって私のことなんか見てくれてないんだもの。そりゃお姉ぇも、学校のこととかいろいろあるかもしれないけどさ、母さんは私のことなんか気にも留めてくれない。そのくせ、あれやれこれやれって、うざいったらありゃしない。

 そうだ、あの日も前の日に喧嘩して顔を合わせづらかったんだった。

 朝からずっとそんな感じで、今日はお義父さんが家にいるって聞いたからお義父さんに間に入ってもらえば仲直りできるかもって思ったんだ。それで、書斎にコーヒーをもって向かう母さんのあとを追ったんだった。その途中で、

「あれ? 春香。いたの?」

 夏帆姉ぇに出会ったんだった。

 タンクトップにショートジーンズというラフな格好だった。いつも思ってたけど、最近暑いとはいえこれはさすがにちょっとラフ過ぎじゃないかな。一応、お兄ぃの目もあるんだし。

「お姉ぇ? さっき出かるって言ってなかった?」

「ん、あぁ、うん。ちょっと気が変わってさ」

「ふうん。お兄ぃは? いるの?」

「いや、さっきバイトに出掛けたよ」

「ふうん」

 夏帆姉ぇは私の持っているお菓子の入ったお盆を見て、

「それ、お義父さんのところにいくの?」

「うん、そうだよ」

「……一人で平気?」

 心配そうに尋ねてきた。

「平気って、もうお姉ぇ、私をいくつだと思ってるのよ。途中で転んだししないし、ちゃんと運べるわよ。これくらい。それに、先に母さんが書斎に行ってるから、それを追いかけてるとこなの」

 夏帆姉ぇはちょっとだけ安心した様子で、

「ん、そうなんだ。なら、いいわ。母さんも、書斎に?」

「そうよ」

「ん、そっか……」

 そう言うと夏帆姉ぇは、それ以上何も語らず自室に戻っていった。

「変な夏帆姉ぇ」

 そんなことを思いながら私はまっすぐ父の書斎へ向かった。二階の角部屋、母さんの部屋の隣にある書斎にたどり着き、私は扉をノックする。

「お義父さん? いるぅ?」

 返事はない。もう一度ノックする。

「あれ? 仕事中?」

 やはり返事はない。

 おかしいなと思いドアノブに手をかけようとすると、

「あら? どうしたの?」

 隣の部屋から母さんが出てきた。手には何も持っていなかった。あれ? さっきコーヒー持って行くって言ってたのにな。私は首をかしげながら母さんに、

「お義父さんにお茶菓子を持ってきたの。ほら、母さんさっきコーヒーを持ってったからその茶うけにでもって思って」

「あら、そうなの……」

 母さんはそう言って私のところに来ると、

「あなた、春香がお菓子を持ってきてくれたわ」

 そうドアの外から声をかけるが、やはり返事がない。

「おかしいわね」

 母さんがドアノブに手をかける。

「あら?」

「どうしたの?」

「鍵が、かかってる」

 がちゃがちゃと何度もノブをまわすが、一向に扉は開かない。

「あなた? あなた?」

 たまらず母さんが扉をノックする。やはり中から返事はなかった。

「寝てるのかしら? あなた?」

 再びノック。返事はない。

「おかしいわ……秋! 秋!」

 母さんが階下の秋に声をかける。秋はすぐさま二階に上がってきた。

「はい、どうしましたか?」

「秋、マスターキーは持ってる?」

「え? ええ、まぁ」

 そう言うと秋は、首からいつもぶら下げているこの家のマスターキーを母に見せる。この家のマスターキーは秋とお義父さんしかもっていない。

「貸して!」

「え、あ、はい」

 母さんに促され、秋は首から鍵を外す。秋からそれを受け取った母さんはドアに鍵を差し込み、ぐるりとまわす。するとゆっくりと書斎の扉が開いた。

「あなた、いったいどうし……え?」

 扉が開いた先、書斎の真ん中に口から血を流して倒れているお義父さんの姿があった。

「あ、あなた!」

 母さんが血相を変えて室内に飛び込んでいった。

 そのあとのことは何も覚えていない。気づいたら私はベッドに寝ていた。

 すべてが夢ならよいと思ったが、残念ながら夢ではなかった。お義父さんはあの日、私の目の前で間違いなく死んでいた。

 あの密室になった書斎の中で。

 

 春香の話を聞き、僕は頭を抱えた。

「一体、どういうことなんだ。意味が分からない……冬美さんも春香も部屋には入っていないのか? そもそも密室? いやでも、もしかして春香が冬美さんをかばって嘘を……」

(いやいやいや、それはねえな)

 頭の中でギィの声がした。

「……久しぶりだねギィ」

 僕は近くに置いていた鏡を見る。鏡の向こうで僕と同じ顔の男、ギィがニタニタと笑いながらこっちを指さして笑っていた。

(おうよ、久しぶりだな。どうやら俺が寝ている間にたっぷりと楽しんだみたいじゃねぇか。ま、いい傾向だな人間よ。ヒヒヒッ)

「……で? なんだよ」

(ん、あぁ、そうだったな。二つお前に伝えたいことがあってな。まず一つ目、この春香って女は残念ながら嘘はついていないぜ)

「今の話は全部本当だってことか?」

(あぁ。この俺の、いや、この魔鏡の催眠の前では、誰であろうとどんな超人であろうと、たとえ神様であったとしても絶対に嘘なんてつけない。お前が正直に言えって命令したんなら、こいつは正直に見たことを全部話した。それは間違いない)

 目の前に横たわるうつろな表情をした春香を見る。春香が今話したことは全て事実ってことか。

「じゃあ、どういうことなんだ。春香も冬美さんも部屋に入っていないし、鍵もかかっていた。どうやって父さんを殺したんだ?」

(さぁ、それはお前が考えることだ。俺が言えるのはこの春香って女もそっちの秋って女も、ちゃんと命令通りに真実だけを言っているってことだけだ)

「となると……」

 やはりもう冬美さんに直接聞くしかないってことか。

 そうだ……最初からそうすべきだったんだ。

僕はベッドの上に裸で寝転んでいる秋と春香を見やる。

もしそうしていたら、この二人にこんなことをすることは……。

(おいおい、また自分に嘘つくのか?)

 僕の考えを読み取ったかのようにギィが鏡の向こうから話しかけてくる。

(最初から本命の冬美ってやつに催眠をかけて話を聞き出していたら、この二人に酷いことをせずにすんだってか……おいおい、もしもそうしたらこの二人との楽しい時間はなかったんだぜ。ひひひっ、言っただろ。お前も俺を使うことで偽り続けてきた自分を解放させられるって)

「……何が言いたい」

(これがお前の本性なんだよ。目の前の二人を見てみろ、うつろな目でお前を見つめる二人を。そうだ、お前はずっとこの二人をこうしたいと思ってたのさ。自分の奴隷に、自分の性欲処理の道具にしたいって、心の底では思っていたんだよ。ほらほら、正直になっちまえ、言っちまえよ)

「……僕は」

(俺は?)

 僕はパンっ! と両手を打ち合わせ大きな音を立て、二人に命令する。

『さぁ奴隷ども。さっさと起きて『俺』に奉仕するんだ。目の前のご主人様に、な』

 秋と春香はむっくりと起き上がると、目の前にあった僕の肉棒に目の色を変えて飛びついてきた。

「はぁい、ご主人様ぁ。ふふっ、ご主人様のおちんちんはぁ、この秋が、たあっぷりとご奉仕させていただきますぅ」

「あぁん、ずるいよ、秋さん。ご主人様、ううん、お兄ぃ様のおちんちんは夏帆のものでもあるんだからぁ。独り占めは禁止だよぉ」

 肉棒を奪い合うように『俺』の肉竿を左右から舌を這わせる二人を見下ろしながら、『俺』はどうやって『冬美』を凋落しようかと考えていた。

 あぁ、考えるだけで今にも射精しちまいそうだ。

(……へへっ、だいぶいい感じになってきたじゃねぇか)

「そういえばギィ、伝えたいことは二つって言ってたけど、もう一つってなんだ?」

(あぁ、そうだったな)

 ギィはもったいぶったようにごほんと咳ばらいをしてから、

(おめでとう、人間。お前の催眠術師としてのレベルがあがってな。ちょっとだけだが、すげぇ技が使えるようになったぞ) 

 『俺』はひたすら俺の肉竿にむしゃぶりつく春香と秋の二人をよそに、ギィから新しい催眠のわざとやらの方法に耳を傾けた。

 

<続く>

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