第三章 冬の終わり(後編)
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あの日、私は秋に入れてもらったコーヒーを片手に、夫と話をするために書斎へと向かった。
特にこれといった用があったわけではない。
ただ何となく、ここ最近の夫の様子がなんだか少し変だと思い、ちょっと世間話でもしようと思ったのだ。
そう、最近夫の様子がおかしい。書斎にこもって仕事をしているというのだが、時折書斎から独り言が聞こえてきたり、叫び声が聞こえてきたりもした。口調や性格もなんとなく粗暴になってきている気もする。仕事先の病院でも一人でいることが多い。
そんな話を以前夫にしたこともあったが、夫は、
「ちょっと疲れているだけだよ」
と、一言で済まされてしまった。
本当にそうならいいんだけど。
今日は珍しく非番ということで、夫は書斎にこもって仕事をしているらしい。
朝、
「ちょっと今日は引きこもる」
と言っていた。あれからしばらく経つけど全然書斎から出てくる気配がない。やっぱりちょっと心配だ。そこでめったにしないコーヒーの差し入れでも持って、少し話でもしようと思い立った私は、コーヒーを淹れにキッチンへ向かった。
そのことをキッチンにいた秋に話すと、珍しいことをする私のことを訝しんでいたようだった。まぁ、秋の気持ちもわかる。普段めったにしないことをしようとすれば、対外他人はそういうふうに見るのかもしれない。
別に夫を毒殺しようと思っているわけでもないの、と、普段自分がいかに家事をしてないのか思い知らされてちょっとだけ苦笑してしまった。
結局、秋にコーヒーを準備してもらい書斎へ向かった。
階段を上がり終えたところで、
「あ、母さん」
「あら、夏帆。どうしたの?」
夏帆と遭遇した。
なにやら慌てている様子で、私の顔を見て驚いていた。そのとき、とっさに夏帆が背後に何かを隠したようにも見えたが、私も書斎に行く途中だったのでそこには触れず、
「あれ? 夏帆、今日は出かけるとか言ってなかった?」
とだけ尋ねた。
「あぁ、まぁ、うん、ちょっとね」
「ふうん、そういえばあの人、お義父さんは書斎にいた? コーヒーを持って行こうと思って」
「え、あ、う、ちょっとわかんない。あ、ごめん。私、急ぐから」
夏帆は話を早々に切り上げ、足早に部屋に戻っていった。
「……変な子」
一体、どうしたのかしら。
夏帆の様子も気になったが、コーヒーが冷めたらいけないと、私はそのまま書斎へと足を向けた。
「あなた、いらっしゃるかしら?」
書斎の扉の前で声をかける。返事はなかった。
「……あなた? コーヒーを持ってきたのだけど」
今度は書斎の扉をノックする。やはり返事はない。
「あなた? いないの? 勝手に入るわよ?」
ノブをまわし、書斎の中へ。部屋の鍵はしまっておらず、書斎の扉がギーっと音を立てて開いていく。
「あなた、いるの?」
コーヒーを持ったまま書斎に足を踏み込むと、そこに
「あ、あなた!」
夫が仰向けで倒れていた。顔面蒼白で、口の端から泡を吹いている。私は持っていたコーヒーをその場において夫に駆け寄る。仕事同様、すぐさま呼吸と心音を確認する。
脈も呼吸もない。
「し、んでる……」
私はあまりに突然のことに思わず悲鳴を上げそうになったが、
「あっ」
倒れている夫の近くに置かれた一枚の紙を見つけ、ぐっとその悲鳴をこらえた。パソコンで作られたらしいその紙には数行の文字が書かれていた。
その最初は、
「遺書……」
そう書かれていた。
夫が自殺した……その事実を受け入れるのに、そんなに時間はかからなかった。むしろ私は少しずつ冷静さを取り戻し始め、気づけばその遺書を手に取って黙読していた。
遺書
冬美、俺はもう戻れないところまで来てしまった。
まさかこんなことになるなんて、最初は思っていなかった。ほんの退屈しのぎのつもりだったんだ。でも実際にやってみてどんどんとその魅力にはまってしまった。でもあれを使う度に、俺が俺でなくなっていくんだ。もう一人の俺が、俺を乗っ取ろうとしてくる。
お前に言われた通り、最近、俺はだいぶ変わりつつある。
このままでは俺が俺ではなくなってしまう。このままじゃ、お前たち家族にも何をするかわからない。だから俺がまだ俺でいられるうちに、この手紙を残し死ぬことにする。
すまない。
俺が死んだ後の金のことは安心してくれ。冬美に全て託すように、遺言に記した。
金は好きに使ってくれ。それにお前はこれから好きなように生きてくれて構わない。男を作って遊んでも、好きな人生を謳歌してくれ。
その代わり、俺と約束、いや契約をしてくれ。
死を選ぶ俺の気がかりは、ただ一つ、志貴のことだ。
志貴には申し訳ないことをしてしまった。
まさか俺が自殺するなんて思ってもいないはずだ。だから、あいつのショックはさぞかし大きいだろう。あいつはおそらく、俺の死が自殺じゃないに決まっているとか思い始め、もしかしたらお前を疑うかもしれない。だから、お前に疑いが向かないように、俺の死が本当に自殺なのか、それとも他殺かわからないような仕掛けを施そうと思う。
後に書いてある俺の指示に従ってくれ。
冬美、志貴のことは大切にしてやってくれ。別にあいつを愛してくれとは言わない。血のつながりのない息子だ。愛せというのが無理な話だろう。
お前が金銭目的で俺と結婚してくれたことはわかっている。だが俺もお前のことを責めらないんだ。お前との結婚も、全ては志貴のためだ。母親のいないあいつに母親の愛情を見せてやりたかっただけ。そのためにお前を利用した。
すまなかった。
最後になるが、この遺書は確実に処分してくれ。
頼んだ。
その文の後には、これから私がすべきことが手短に書かれていた。私はその指示に逡巡したが、すぐさま行動に移すことにした。
まずは遺書を処分するためにこの部屋を出る。
私はポケットに遺書を乱暴に押し込むと、一度自室に戻ることにした。私の部屋にはシュレッダーがある。遺書を処分するのには都合がいい。
部屋の外に誰もいないことを確認し、すぐ隣の私の部屋に駆け込む。
遺書をシュレッダーにかけていると、
「お義父さん? いるぅ?」
部屋の外から春香の声が聞こえた。さっきキッチンで見かけたが、あのあと私の後を追ってきたらしい。
「あれ? 仕事中?」
ドアがノックされている。
まずい。このままじゃ夫の計画が崩れてしまう。私はシュレッダーを起動したまま、慌てて部屋の外に飛び出し、
「あら? どうしたの」
春香に声をかけた。
夫の指示は次のようなものだった。
まずは遺書の処分。これは済んだ。
次は、書斎を密室に『見せかけること』だった。これには目撃者も必要だったので、春香と秋を利用させてもらった。
このとき書斎の鍵は締まっていなかったが、
「おかしいわね」
あたかも書斎に鍵がかかっていて中に入れないような演技をする。春香に先にノブに触られたらアウトだった。少し慌てた様子になってしまったけど、なんとか春香よりも先に書斎の扉の前に立つことができた。
「秋! 秋!」
そのまま秋を呼び出す。この家のマスターキーは秋と夫しかもっていないからだ。もう一本の夫のマスターキーは書斎の机の中に入っているらしい。これでこの書斎の扉の鍵を開けられるのは、この鍵だけということになる。
私は秋から鍵を受け取り、開いている扉に鍵をさしてそのまま解錠したかのように見せかけた。
そして、書斎の中で倒れている夫を『もう一度見つけた』のだ。
その後の対応は簡素なものだった、警察は夫の死を自殺と他殺の両面から捜査するとはなしていたが、現場となった書斎が密室であったとこと。それを私も含めた三人が証言したことから、遺書は見つからなかったものの夫の自殺という形で捜査は終了した。
そのあとは夫との約束、いや契約通り、私は自分の人生を何不自由なく楽しんでいた。夫の読み通り、志貴は夫の死を自殺だと思っていないらしく、これも夫の予想通り、私を疑っているようだった。
夫は自殺した。
その事実は変わらない。
だけど夫の考えたトリックに志貴はずっと悩まされ、私たちの家族はギスギスとした状態になった。どうして夫がこんな回りくどい自殺を計画したのか今となってはわからない。
でも私は楽しく生活しているし、志貴も欝々としながらも何とか生活している。
遺言書には志貴が成人したら私が預かっている志貴の分の遺産を手渡してほしいとあった。もちろんそのつもりだ。
夫との約束、いやこの契約は絶対だ。
誰かに言うこともないし、言うつもりもない。
夫の死に関して言うならば、私は無罪だ。
でももし、私に罪があるとするならば、それは夫の指示に従ったことになるのだろう。
-4-
「あ、ああっ! あっ! ふあああっ! ご主人様ぁ!」
「きもちいいっ! きもちいいよぉぉ! お兄ぃ様ぁ!」
あ、れ……ここは。
未だはっきりとしない意識の中、冬美の目の前で秋と春香の二人が汗まみれで重なり合っていた。
「ひぃぃっ! そこぉぉ! そこがきもじいいいぃぃ!」
「私もぉぉ! アナルうぅ、もっと、もっといじっでええっ!」
秋の上に春香が覆いかぶさり、二人の重なり合った恥丘の間に志貴のたぎった肉棒が挿入されている。志貴の肉棒が激しく前後に動かされるたび、ぐちゅ!ぐちゅ!という音が響き、二人の恥丘の間から白濁の泡がこぼれ落ちていく。
秋の大きな胸が春香に押し当てられ、いびつにゆがんでいる。その先端のコチコチに勃起した乳首が春香の乳首に当たるのか、上からも下からも快感の波が二人を襲っていた。
「ああっ! 秋の乳首ぃぃ、あたるぅ。コリコリ、きもちいいい!」
「春香さあん! 私も、私も乳首、あああっ。オマンコ、きもちいいいぃ!」
「ほらっ! 二人してもっと気持ちよくなるんだ。もっと、もっとだ!」
「あぁぁ、あきいぃぃ、うんん、ちゅ、あきぃ……ちゅぴ」
「ふあああっ! ん、んぁあ、はるかさぁん……ちゅ、んちゅ、じゅ」
志貴に促され、秋と春香は互いに舌を絡めあい、互いの唾液を交換し合う。その間も志貴の肉竿から与え続けられる快感に身悶える。
「あ、わ、私は、私は……」
やがて意識がはっきりとしてきた冬美は、目の前で繰り広げられている春香と秋の痴態に思わず叫んだ。
「し、志貴さん! あ、あなたなんてことを……」
「ん、ああ冬美さん。気づいたんだ」
志貴は二人を犯しながら、顔だけを冬美に向けた。その表情は冬美の知っている穏やかな志貴の顔とは全く異なり、邪悪な笑顔を張り付けた別人のものだった。
あ、この顔……。
志貴のその表情が、死の前日に見た夫の表情にそっくりであることに冬美は気づいた。
「志貴さん、あなた……」
「冬美さん、さっき、なんてことを、って言ったけどさ。それはこっちのセリフだよ。さっき自分が僕にしたこと、覚えてる?」
「え……」
「ほら思い出させてあげる」
志貴がパンと、手をたたく。すると冬美の脳裏に、先ほどの光景がフラッシュバックした。志貴に自分の痴態をさらしたこと、三人並んで犯され続けたこと。
その膨大な記憶に、冬美の中に一気に罪悪感が駆け回る。
わ、私は、なんてことを……。
自分がしてしまったことの重大さに気づき、冬美の顔がみるみる青ざめていく。
『そう。冬美さんは義理の息子と肉体関係を結んだ。しかも最後は自分で腰を振って、よがり狂って、楽しんでいたんだ。思い出してごらん、自分の夫のちんぽよりも、僕のが気持ちいい、気持ちいいと叫びながら』
「い、いや、言わないで!」
志貴の言葉を聞きたくなくて、慌てて冬美は耳を塞ぐ。
だが不思議なことに志貴の声は冬美の脳に直接響いてきた。
『冬美さんは罪を犯したんだ。義理とはいえ自分の子供と肉体関係を持った。この罪の意識に冬美さんは耐えられる? 死んだ父さんはそんなことをした冬美さんを、許してくれる?』
「いや、いやぁぁ、聞きたくない、聞きたくないぃ!」
頭を振って叫ぶ冬美さんに、志貴は追い打ちをかける。
『その罪悪感を背負ったまま冬美さんは僕の……いや、『俺』の奴隷になるんだ』
「いや、いやああっ!」
「さぁこっちを見るんだ、冬美』
「いやあぁ! なんで、どうしてぇっ?」
必死になって志貴の声に抗おうとする冬美だったが、志貴の指示通りになぜか冬美の体が勝手に動く。
そのまま志貴の方へ顔を向ける。いつの間にか志貴の手に、あの鏡が握られていた。冬美も見たことのあるあの鬼灯の装飾のついた鏡。
必死に抗う冬美を、秋と春香が見つめる。
「ふふっ。これで冬美様も私たちと同じご主人様の肉奴隷です。これからは肉奴隷仲間として、末永く仲良くしていきましょうね、冬美様」
「母さんも私たちと同じになるんだね。うれしいなぁ。これからはいっぱい、いーっぱい、気持ちよくなろうねぇ。お兄ぃ様にたっぷりご奉仕できるの。うれしいでしょ? 母さん」
「いや、いやあああっ!」
恍惚の表情でそう呟く秋と春香の表情に、冬美はこれから訪れる自分の未来を予見し、絶望を叫んだ。
そんな冬美に志貴は容赦なく告げる。
『さぁ、冬美。お前も俺の奴隷となれ』
「いやぁぁ!」
鏡が冬美をとらえたその瞬間、冬美の身体から力がすーっと抜け落ち、そのままへたりとベッドに倒れこんだ。その様子を、春香と秋の二人はしばらく見ていたがやがて視線をお互いに向け、再度その唇と唇を重ね合わせた始めた。
「ん、ちゅ、んあ」
「ん、あふっ、んん」
眼下で繰り広げられる二人の卑猥な接吻を眺めていると、志貴の脳裏にギィの声が響いてきた。
(で? これでお前の父親の死の真相がわかったわけだが、これからどうすんだ?)
「……どうする?」
(お前の願い、父親の死の真相を家族から聞き出すってのは、達成できたわけだろ? だからもう願いはかなっただろうに)
ギィのその言葉に志貴は首を横に振る。
「さっきの冬美の話。全然納得できない。確かに父さんは自殺だったのかもしれない。でも明らかに不自然な点がある。父さんは何に恐怖していたんだ? 俺が俺でなくなるって、どういうことだ。それに、夏帆だ。最後に冬美が遭遇した夏帆も何か怪しい。だからお、れ……僕の願いはまだ叶ってない。もう少しだけ協力してもらうよ、ギィ」
(……そうかい。ま、俺は楽しいからいいけどな。にしてもお前も催眠術の腕、ずいぶん上げたな。こりゃ第三の催眠も教えられるかもな)
「第三の催眠?」
(おう。この催眠を教えたのは、今まで俺を使ってきた人間のうち、ごくわずかな奴だけだ。ふつうはあ使いこなせないからな。そうそう、お前の一つ前に俺を使っていた人間にもこれを教えたんだが、最後は壊れちまったんだっけな。さて、どうする? それでも聞きたいか?)
志貴は目の前の春香と秋、そして倒れている冬美を見やる。
志貴はにやりと口の端をゆがめると、
「あぁ、教えてくれ」
そう告げた。
(いいだろう)
鏡の中のギィも志貴と同じように、にやりと口の端をゆがめた。
しばらく志貴がギィの話に耳を傾けていると、秋と春香が志貴に向かって、
「ご主人様ぁ、どうなさったんです? もっと私たちを気持ちよくしてくださいませぇ。そのご主人様のたくましいおちんちんを、私たちのいやらしいオマンコとオマンコの間にぃ、入れてくださいぃ」
「そうだよ、お兄ぃ様。秋とチューするのはすっごく気持ちいいけど、やっぱりお兄ぃ様の硬ぁいいおちんちんがないと、すっごく寂しいよぉ」
そう哀願してきた。
志貴は二人の方に向き直ると、
「わかった、二人とも。待たせて悪かったね。ほら、これが欲しいんだ、ろ!」
「「ああんっ! きたあぁ」」
志貴は再び二人の重なり合った恥丘の間に肉棒を挿入した。
完全に勃起した二人のクリトリスが、コリコリと志貴の肉竿に当たって刺激してくる。それだけで志貴はもう射精しそうなくらいに高ぶってしまった。その快感を懸命にこらえつつ、志貴は腰を前後に激しく動かす。
「あっ! あっ! クリちゃんにおちんちんあたるぅっ! きもちいいぃ! きもちいいいいいっ! もっとぉ、もっとしてえぇ、お兄ぃ様ぁ」
「ひいい! あ、ふ、あふっぅぅ!」
春香の方はじっくりと志貴の肉棒の感触を楽しんでいるが、秋はすでに限界を迎えそうだ。どうやら二人の感じ方に違いがあるようだ。おそらく毎晩のようにオナニーを繰り返していた秋の陰核は、春香のものよりもやや肥大しているのだろう。それで春香より強い快感を受け取っているに違いない。
肉棒の感触からそれが伝わってきてい志貴は、ならば、と腰を振る角度を変えてみる。
春香の陰核にこすりつけるように肉竿を動かす。すると志貴の思った通り、
「ふあひぃっ!」
春香が大きく嬌声を上げた。
「はひぃっ! い、ひぃぃぃ!」
「ああっ! ご主人様、気持ちいいですぅ!」
志貴は腰の角度を少しずつ変えながら、交互に春香と秋を喘がせていく。
どろどろとした白濁液が春香の女陰からこぼれ落ちて志貴の肉棒を汚し、それが潤滑油となり二人を快楽へと誘う。快感におぼれていく秋の女陰からも、どろっとした愛液があふれてきていた。
そろそろ頃合いだとばかりに、志貴はまず秋の膣口目掛け勢いよく肉棒を挿入した。
「あっ! きたああぁ! きたああっ! 私の方に、ご主人様のおちんちん、きたぁぁぁっ!」
ぬめぬめと秋の膣内は蠕動運動を繰り返し、まるで数千の触手が志貴の肉棒を這いまわっているかのような快感に、志貴も思わず顔をゆがめる。
「ぐっ、すごっ」
数度の抽挿の後におとずれた射精感をぐっとこらえ、今度は春香の方に肉棒を突き刺す。
「ふああっ! 今度は、私、私の方に来たよぉ! お兄ぃ様の、硬いおちちんちん! 秋のいやらしいお汁で
ぬるぬるになったおちちんちんぅ! んぐぅぅぅ! んぎぃぃぃっ!」
春香の膣内は入ってきた志貴を逃がすまいと、まるで巾着のように膣口をきゅっと締め上げてきた。
狭い入り口に刺激され、志貴の顔が再びゆがむ。
何度か腰を動かしてから、志貴はきつくしまった春香の中から逃げ出し再び秋に、そして春香にと抜き差しを交互に繰り返す。
「あっ! あっ! んあっ! ひゃうっ!」
「あぐぃぃ、んぐ、あああああっ!」
緩急のついた志貴の責めに、二人の嬌声はやがて重なり合い美しいハーモニーを奏で始める。
「「ああっ、あああっ! ああああっ!」」
「くっ、そろそろ出すよ! 二人に、ぐ、あああっ!」
「「あああっ! きて、きてえぇぇ! 私たちにたっぷり、濃い精液をぶっかけてぇぇ!」
志貴は最後に二人の恥丘の間に肉棒を挿入する。
上下に感じるクリトリスの硬い感触と、陰毛のさわさわとした感触に耐えかねた志貴の肉棒から一気に精液がほとばしる。
「「あああああああっ! 熱いぃィ! 熱いの来たあぁぁ!」」
放たれた精液は二人の股間全体を白く汚していく。しばらくの間その射精感を楽しんだ後、満足そうな表情で放心している二人をそのままにして、志貴はぐったりとしている冬美に近づいていった。
「起きろ、冬美。今度はお前の番だ。」
「……はい……旦那様」
志貴の呼びかけに生気のない虚ろな瞳のまま起き上がる冬美。
もはや冬美に自分の意思はなくただ命じられるがままに動く人形のようだった。
「さぁ、冬美。俺に奉仕しろ、父さんにしていたように」
「わかりました……旦那様」
冬美は志貴の目の前にひざまずくと、精液と愛液にまみれた肉竿をその大きな胸の間にすっぽりと包んだ。そのまま両手で胸を押さえ、一定のリズムで志貴の肉棒を上下にしごき始める。
つきたての餅のような柔らかな胸の感触は、先ほどまで挿入していた二人の膣内とはまた違った刺激を志貴に与えてきた。
「へぇ、そうやって父さんを喜ばせていたんだ」
「……はい。あの人はこうされるのが好きでした……」
生気のない声で冬美は答える。
その間も、ぐちゅっ、ぐちゅっという卑猥な音を胸の間から響かせ志貴の肉棒をしごき上げる。時折、胸を抑ている手に力を入れ緩急をつけてしごく。それがまた、志貴を高ぶらせていく。
「……いいぞ、冬美。もっとだ、もっと強くしごけ」
「……はい」
志貴に命じられるがまま、冬美は強めに胸で肉棒をはさみ、ぐっ、ぐっとしごく。
さらに冬美は胸の間から飛び出している志貴の肉棒の先端に舌を当て始めた。
「るろっ、ん、ちゅ……れろれろ」
先端に与えられる生あたたかな感触と、肉竿を両サイドからしごき上げる柔らかな感触は次第に志貴を快楽の頂点へと押し上げていく。
「じゅるるる! じゅ、じゅずずうっ」
今度は、志貴の鈴口からあふれ始めたガマン汁を、冬美が音を立てて吸い始めた。
「くっ……そんなことまで父さんにしてたのか?」
「……はい。旦那様。こうすると、あの人はもっと悦んでくださいましたので……ふわう……んーっ!」
「ぐあっ!」
冬美は亀頭をぐぽっと咥え、そのまま口をすぼめそのままぎゅーっと口をすぼめ吸い上げる。
まるでひょっとこのような表情の冬美が少し滑稽に見えたが、そのあまりの吸引に志貴は思わず声を上げてしまった。
「ぐぽっ!」
音を立てて口から亀頭を解放する。
虚ろな表情のまま、冬美は尋ねてきた。
「……旦那様、いかがでしょうか?」
「いいぞ、冬美。気持ちいいじゃないか」
「……うれしいです。もっといたしますね。ふはう……んん-っ! ぐぽっ!」
肉棒を吸い上げては放すのを繰り返しながらも、冬美はその胸で肉棒をしごき上げるのも欠かさない。
「ぐぽっ! ぐぽっ! ぐぽっ!」
「うっ……そろそろイクぞ、冬美。ほら、奥まで咥えろ」
「んぐっ! んんんっぐっ」
冬美の頭を押さえつけ、志貴が喉奥まで肉棒を突き刺す。
「んぼうぅ、ぐ、んんぐぐぐっ!」
冬美は喉奥まで犯され苦悶の表情を浮かべながらも、胸で肉棒をしごき続けるのはやめない。その快感に耐え兼ね、ついに志貴が絶頂を迎えた。
「く、イクぞ、イクぞっ! ぐあああっ!」
「んんんんっ!」
志貴が思い切り冬美の喉奥に精液を放出する。
その熱いほとばしりを冬美は喉の奥でしっかりと受け止めていく。
「んぐっ! んぐぐうぅ……んくっ、んくっ……」
「ああ、そうだ……しっかり飲むんだ、冬美」
喉を鳴らしながら志貴の精液を嚥下していく冬美。
「んっ、んぁ、ふああっ」
その全てを飲み干すと、冬美はゆっくりとその口から肉棒を引き抜いていく。白く濁った糸が冬美と志貴の肉棒にねっとりとした橋を作り出す。
「はぁ、はぁ、はぁ……いかが、でしたでしょう、か?……旦那、様……満足……いただけ、ました、でしょうか?」
荒い息使いで冬美が尋ねる。
その間も志貴の肉棒を、やわやわとその胸の間で優しくしごき続けていた。冬美の口から漂う精液と唾液の匂いがかすかに志貴の鼻腔をくすぐる。
「あぁ、よかったぞ冬美。もうすっかり俺の奴隷だな」
「……はい。私は、旦那様の、性奴隷です。どうぞ、これからもご存分に、この身体をお楽しみください」
そう言うと冬美は志貴の前で大きく股を開いた。
陰毛がないため冬美の恥ずかしい部分の全てが志貴の前にさらけ出されたが、冬美の表情には一切の羞恥心などはなく、その表情はまさに生気のない人形そのものだった。
冬美はそのまま両手で大陰唇と小陰唇の両方ををくぱっと開き、膣口を志貴にさらけ出す。
「どうぞ、私の卑猥なここを、旦那様の、おちんぽで、いじめてください」
抑揚のない声でそう述べた。
開かれた膣口からは、すでに白濁にまみれた愛液が滴っている。
志貴は硬度をすでに取り戻していた肉棒を、その卑猥な穴めがけて突き刺す。
「んあああっっ!」
そんまましばらく腰を動かしていると、
「……ご主人様ぁ」
「……お兄ぃ様ぁ」
目を覚ました秋と春香が志貴に背後から絡みついてきた。
「「「あああっ! ご主人様ぁ(お兄ぃ様)(旦那様ぁ)! 私たちをもっと、もっと気持ちよくしてぇぇぇ!」」」
卑猥な声が家中に響く。
女三人の淫らな三重奏が奏でられるその演奏会はまだ始まったばかりだ。
<続く>