Preceding Stage サヤカ 陥落編 堕ちていく人形 ――秋月紗耶香 9月2日、PM1:15 東京、”ラ・プッペ”前。 「ここね……」 東京駅で拾ったタクシーを降りると、目の前にそ
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晩ご飯の後、結依は宏平と並んで座り、テレビを見ていた。
宏平の方にそっと肩を寄せて体をもたれさせると、宏平の温かさが伝わってくる。
結依にはそれで充分だった。
あの時は、それだけで幸せな気持ちでいっぱいになることができたのに……。
戻れない、あの夏へ Preceding Stage サヤカ 仕込み編後編
Preceding Stage サヤカ 仕込み編 後編 布石 ――秋月紗耶香 5月21日、PM4:52 ガルマリーニ社。 昨日の夜は遅くまで彼とセックスをしていて、そのあと少しだけ眠って、今朝早くに自分の部屋に戻っ
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Preceding Stage サヤカ 仕込み編 前編 欺きの夜 ※登場人物(ただ、このお話は本編よりも数年前が舞台のお話なので、本編を読んでいなくても単独のお話として読めます) 津雲雄司(つくも ゆうじ)……輸入ブ
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第6話 前編 淫ら、時々、不安 ~17~ 「ん……ああ……もう、朝?」 結依が目を覚ますと、部屋の中はすっかり明るくなっていた。 「……あ、雄司さん、まだ眠ってるんだ」 結依は、自分の傍らで寝ている津雲の顔を見る。
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第3話 夏の夜の夢 ~6~ ……今日の晩ご飯は何にしようかな? 夕方、結依は”チャイム”での仕事を終えて家に帰る途中だった。 宏平の誕生日をふたりで祝った後、宏平はまた残業ばかりで、なかなか会えない日が続いていた。
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第1話 人形たちの店 ~1~ 「いらっしゃいませ!あ、こんにちは、津雲さん!」 「こんにちわ、ユイちゃん」 店に入ってきた男は、にこやかな笑顔を浮かべて結依に挨拶をすると、カウンターのいつもの席に腰掛ける。 「いつもの
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