第二話
もうまったくと、玲子はため息を吐く。
仕事着のままがいいと田中さんがダダをこねたので、シワにならないだろうかと不安になりながらもブラウスのボタンをプツッ、プツッっと外していく。
ブラウスの中に抑え込まれていた豊満な胸の膨らみは解放されて、ボンと爆発するように飛び出した。
続いて、綺麗なレースのついた紫色のブラジャーをたくし上げると、ボインボインとHカップ百センチのロケットおっぱいがさらけ出される。
「まさに爆乳だね」
「もう何度も見てるでしょうに」
黒のロングスカートをたくし上げて、こちらも紫のパンティーをずり降ろすと、股間があらわとなった。
娘の唯花が帰ってくる前に急いで終わらせないといけないのだ。
「玲子さんのオナニー見せてよ」
オナニーをしろという田中の命令に、玲子は従順に従う。
ブーンと音を立てて動き出したバイブの吸引器にクリトリスを当てて、よがる。
「んっ、くっ……はぁっ……ん……」
「そんないやらしいオナニーでドスケベ気分を紛らわせてたんだね。玲子さんはエッチだなあ」
なんとでも言えと、玲子はオナニーに集中した。
仕事と家事の両立に忙しい日々。ストレスだって溜まる。
玲子は三十路をとうにすぎた大人の女なのだ。
器具を使って自分を慰めるくらいのことは当たり前ではないか。
「くふぅ……もう嬲らないで、早くおチンチン出してください」
どうせ、舐めされられることはわかっているのだ。
「よし、じゃあ俺も舐めて気持ちよくしてもらおうかな」
オナニーすると言い出したら、どうせお互いに一度はいかないと田中は許してくれないのだ。
抵抗しても長く嬲られるだけ。
早くしないと娘も帰ってくるし、とにかく従順に相手を満足させるほうが良い。
玲子にチンポを舐めさせながら、田中は独り言のように話し始める。
「俺は催眠術師なんだよ」
またその話かと、玲子は眉根を顰める。
「んんん」
口がおチンチンでいっぱいになってなければ、催眠術なんてあるものかと言っているところだ。
玲子より歳上なのに、相変わらず子供みたいなことを言う人だ。
「玲子さんは、すげー催眠にかかりやすくて助かったなあ。玲子さんって、美人でキツそうに見えるけど、本当はお人好しで断れない性格でしょ。そこを軸に催眠にかけたんだよ。あれほど亡くなった旦那さんに操を立ててたのに、もうフェラチオも素直にするようになったしねえ」
「……んむっ……ちゅ……じゅる……」
褒められていると思ったほうがいいのか。
それとも、馬鹿にされてるのか。
本当に田中はバカなことばかり言ってる。
ただ単に玲子が断れない性格というだけで、フェラチオしているのは催眠術とはなんの関係もないではないか。
「あっ、もう出るよ。ちゃんと全部飲んでね」
「んぐっ……ん……くっ……」
びゅくっ、びゅくっ、びゅるるっと、喉奥に出された精液をゴックンと飲み干す。
玲子は、三十四歳の大人の女だ。
フェラチオくらい、なんてことない。
なんてことはないのだが……。
もう十数年以上前に亡くなった夫には、フェラチオなんて数えることしかしたことがなかったと思い出して、少しだけ心がチクリとした。
ましてや、亡き夫は玲子を気遣って精液を飲ませるなんてことはしなかったのに……。
貴方ごめんなさい。
愛しているのは今でも貴方だけよと、心のなかでつぶやく。
「玲子さん。まだいってないよね。同時にイケるようになってくれると一番いいんだけどな」
「すみません。すぐイキます!」
ブーンとバイブが唸る。
「んっ、んんっ! アッ、アアアッ!」
バイブでクリトリスを吸引しまくって、快楽に頭が真っ白になる。
田中へのせめてもの抵抗に、天国にいる夫、篤史に抱かれたことを思い出して絶頂に達した。
「はい、ご苦労さま」
ニンマリと笑った田中を尻目に、しばらくグッタリとしていた玲子は気を取り直してブラウスを脱いで着替え始める。
「ハァハァ……これでいいですよね。私は、お夕飯の準備に戻りますから」
やはり、急いでよかった。
唯花が学校から帰ってくる前に、夕飯の準備を終わらせることができた。
おかずの揚げ物が一品、冷凍食品になっただけで今回は済んだ。
< 続く >