落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第2話

-2-

「うっそでしょ、こんなところでもうへたれちゃうんですか? これっておそらく最短記録ですよね、きっと報告書を読んだ先生も失笑ですよね、恥ずかしいですねー」

 わずか数マイメーター歩いただけで腰の痛みを訴えてへたれる俺を、モモ・エンドロールは盛大なため息で賞賛してくれた。
 
「なんっなんですかねえ、この先輩。この芸文系魔法少女の私ですらまだまだ歩けるというのに。モグラ並みの地上稼働力ですか」

 足元からデフォルメされたモグラが飛び出し、ニヤニヤ笑って、スッと消える。イラっとくる演出だ。
 長期実習なので、当然、学院支給の実技服を着るのが規則なのだが、この子はその上に長い黒ローブを羽織っている。
 桃銀色のボブヘアーが、いい感じにアホっぽくて俺好みだが、その童顔は意地が悪そうにしかめられていた。
 
「はぁ……これが噂の『落ちこぼれ先輩』ですか。その名に違わぬへたれっぷり。私、感動してしまいます」
「モモとやら、そのくらいにしておけ。それ以上我が主君を侮辱するなら、我が主君侮辱罪でおまえをぶった斬らなければならない」
「そしてエアリス先輩のこの凋落っぷりもどうしたことですか。これがあの『白金の女騎士』と呼ばれた剣才ですか。なぜ、あなたのような人が落ちこぼれの肩を文字どおり持っておられるんですか。主君ってなんですか。まさかこのお荷物のことじゃないですよね。まったく、誰と誰が付き合おうと私は興味ありませんが、これが授業の一環だという自覚くらいはハンカチと一緒に持ってきてくださいよ、先輩方」

 『バカップル撲滅運動展開中』という文字が、キラキラにデコられて中空に輝く。
 エアリスに肩を担がれてる俺も、二人して返す言葉もなく、「ぐぬぬ」と唸る。
 なんだこの生意気な4年生。これは確かに評判も悪いな。俺も今日からコイツのことヘイトしまくるぜ。

「実習だからこそ、助け合うんだよ。モモくん、きみの荷物も持ってやろうか?」

 俺の荷物を背負ってくれているキザオスが、まぶしい笑顔をモモにも向ける。さすが、女には分け隔てなく愛想の良い男だ。
 だが、「結構です」とモモは言って、リュックを背負い直す。
 その拍子に、肩に乗っている黒猫がチリンと鈴の音を立てた。

「……その黒猫も、魔法なのか?」

 さっきから気にはなっていたが、いちいちツッコまない方がいいとキザオスから忠告を受けていたので黙っていたんだけど、罵声を受け続けるよりマシなので、彼女の魔法の話に触れてみることにした。

「そーですよ、もちろん。私の相棒のジジです!」

 えっへんと、実際に文字を頭上に浮かべながら、モモは4年生レベルの残念な胸を張る。
 ジジとかいうクソ猫が、またチリンと鈴の音を立てた。
 声帯とかいう複雑な器官は作れないらしい。ただ、単純な音を鳴らすくらいは出来るということか。
 可視化だけではなく、質量のある物体として具現化も出来る。基本の属性魔法と同じ特徴ではあるが、その鮮明で緻密な構造と、まるで生きてるような自由な動きと具現持続性は、他のどの系統の魔法とも異なる。
 自在に空中に文字を描いたり、それを動かしたり。まるで物語の世界のように、彼女の周りだけ空間が異質だ。
 
「それが……光魔法ってやつか」

 みなさん知ってのとおり、魔法には火水風土の4種の基本属性と、光と闇の特殊系統の魔法がある。
 基本属性とは、基本の名のとおり学院でも習う系統で、俺とかおっさんみたいに、よほど神様に嫌われてない限りは大抵はどれかに才能を見いだせる。たいていのヤツは学生のうちに得意の系統1つを中級までクリアできるかどうかで、エアリスは水系統を中級まで、キザオスは火と土を初級クリアしている。系統の2つ3つを同時に中級レベルまで使えるようになれば、魔術隊かその他の魔法専門職に進める程度の素養ありと思っていい。
 ただし特殊属性の光と闇については、生まれ持った素質だけが結果を生む属性だ。学院でも習わないというか教えられる者がいない。フェイバリット先生にも使えない。
 俺の学年では、闇が少し使えたことのあるヤツが一人いるくらいだが、そいつも実用レベルには育たなかったので、卒業年次の今はあきらめて基本属性に専念しているらしい。
 うちの学生で、特殊魔法に憧れないヤツはいない。特に“光”とかいう大正義を使えたらって誰でも一度は夢想する。俺も1年生のとき、七星河祭りの短冊に『光使いになりたい』って書いた覚えがあった。あの時の俺は若かった。
 だって、炎よりも速く強力な光線で敵を滅殺したり、空間を切り裂いたり、瞬間移動も出来るとか出来ないとか、どこまで本当か知らないが、とにかく光はカッコイイんだよ。“闇”は呪いとか吸収とか、なんかどんよりしていて正義じゃないんだ。
 モモ・エンドロールは、およそ三十年ぶりと言われる、実用レベルに達する光魔法を使う学生だ。普通なら、飛び級で卒業しちゃって、近衛の魔術兵か王立大学院の魔研あたり進んでいてもおかしくない。
 ただ、本人がそれを拒否した。それどころか、個人のやりたいこと以外にその才能を使う気はないと、幾多の誘いを断って、ただの学院生として優秀な成績を上げ続けている。
 しかもこの性格と、うっとうしく見せつけられる魔法でのイタズラ。三十年に一度の才能を無駄遣いする女として、学院では悪評を買っていた。
 それが『天才問題児』と呼ばれる所以だ。

「これが光魔法ですよ。どんな殺人兵器だと思いましたか? 残念でしたね、私の光は可愛くて優しい魔法なんです。あなたたち男子が騒ぐような物騒なものじゃありません」

 光がチョウチョに変わって、ひらひらと舞う。
 肩の黒猫がそれにじゃれる。
 
「……別に、殺人兵器だなんて思ってないけど」
「思ってますね。顔に書いてありますから」

 エアリスが、俺の顔をじっと見たあと、鏡を取り出す。
 額に赤く、『野蛮族』と光で書かれていた。

「全然優しくねーだろ。ただの無駄遣いだ」

 こいつの魔法は、基本イタズラにしか使われない。
 有名なところでは、去年の学生文化祭のとき、コイツは上級生の演劇をめちゃくちゃにしてしまった。
 この大陸に住む人間なら子どもでも知っている、『戦乙女』の伝説をモチーフにした芝居だった。
 ストーリーとしては、森を進軍していた兵隊が小鬼に襲われ、縛り上げられて釜で煮られそうになったときに、天から戦乙女が現れて兵隊を救うというところから始まる。その後、戦乙女が戦場を渡り歩いたり魔物を退治したりと伝説はいくつかあるのだが、どの物語も最初はその森のくだりから始まる。
 だが、そのときの上級生たちがどの伝説をやろうとしたのかはわからない。モモがその劇が始まって間もなく、光魔法を乱入させたからだ。
 小鬼の役を水玉模様や花柄にしたり、兵隊たちにスカートを穿かせたり、戦乙女を毛むくじゃらにしたり、やりたい放題で邪魔をした。
 俺もたまたまそれを観ていたから驚いた。そして、げらげら笑った。モモは当然、上級生や先生に叱られたが、「だってつまらなかったんだもん」と、謝りもしなかったという話だ。
 彼女の実力は本物だ。ド素人の俺が見てもわかるくらい魔力も特性も図抜けている。本気でその能力を磨き上げれば、一人で一部隊に匹敵する魔女になるとまで評価されている。
 だが。

「私は、芸術家なんですよ。魔法を戦争の道具にする野蛮族たちとは感性が合わないんです」

 腕をくるりと回して花のアーチを描きながら、ツンと空を仰ぐ。
 誰が見てもタチの悪いイタズラも、彼女にとっては魔法を使った芸術なんだと。
 本気で言ってるなら、なんでこの学院に入ってきたんだよって思うけど、光魔法の才能だけは本物で、それは国の宝なので、問題行動が多くても大きな処分を食らったことはない。
 そこがまた才能優遇の学院社会を象徴しているようで、落ちこぼれ的には腹立たしい感じだ。俺なんて、ちょっと森に入っただけで謹慎7日間だぞ?
 才能の無駄遣いも甚だしい。ぜひその才能は、俺の出世のために利用させてもらいたい。何の才覚もない俺がのし上がっていくためには、エアリスやモモみたいな才能のある奴らを味方にしていくしかないからな。
 それがモモを研修に加えた理由だった。
 ここまで可愛くないやつだとは思わなかったけど。

「まあまあ、レイニー。下級生の言うことにムキになっても仕方ない。この丘を越えたところに川がある。今日はそのあたりまでっていうことで、いいんじゃないかな?」

 キザオスが話を切り上げ、この実習の班長である俺に野営地点を提案する。さすがにコイツも、モモのことは良く思っていないようだ。
 こと魔法に関しては、6年も学校へ通っていれば誰でも自分のレベルを思い知らされる。天才でしかも年下なんて、嫉妬するなというほうが無理だ。
 エアリスは、男同士には通じるプライドの棘には気づかないのか、あるいは魔法には興味ないのか、俺のことだけ案じて体を密着させてくる。

「そうだな、早くテントを張ってレイニー様を休ませよう。……大丈夫です、ご主君。今宵は、私が上になりますので」

 後半は頬を染めて、囁くようにエアリスは言う。
 え、この人、今夜もするつもりなの? あの陰惨なロストバージンも昨夜の話だと言うのに?
 俺の腰はそのせいで崩壊寸前だってのに、どれだけ体力あるんだよ……まあ、何ともなさそうでよかったけどな。
 さっきから密着している豊満な肉体に、俺も疲労の限界のはずの体が、一部反応しちゃってるし。
 やりたいと言えばやりたいんだよな。エアリスと。

「いちゃカプうざーい。お願いですから、落ちこぼれ先輩は女子のテントに入ってきたりしないでくださいね」
「入るわけないだろ、バカ」
「それをやると謹慎14日だからね。僕もたいていのことはしてきたけど、さすがにそこまではしたことないよ」
「む、そうなのか……では、我々はどこで逢引きいたしましょうか?」

 エアリスは本気で困ったふうに耳打ちする。
 だが心配するな。もちろん、ちゃんと場所は考えてある。

「女子のテントに入ってくるなって言ったじゃないですか! 耳まで腐ってるんですか、この落ちこぼれ班長は。死ぬまで謹慎してろ!」
「何を言っているんだ、モモ。ここは女子のテントじゃない。俺の王様テントだ」
「何を湧いているのはそっちのお花畑のことですよ! なんですか、王様テントって。いやらしいにもほどがあります。変態! 早く出てってください!」
「モモ、変態は言い過ぎだぞ。変態先輩様と言い直せ」
「その呼び方だと余計に変態度が上がる気がするが……まあ、いいからモモも聞けよ。キザオスには内緒でいいこと教えてやるから」
「大変態先輩だーッ!?」

 ん、今の言い方だと余計に怪しかったか?
 まあ、ともかくさっさと催眠術を見せて俺のことを素敵な変態だと誤認させよう。
 どうせコイツも、魔法では天才でも古代の技術は何も知らない素人だ。適当に言いくるめてやるさ。
 俺はいつもの5エント硬貨をモモの前に出す。

「おまえ、催眠術って知ってるか?」
「はぁ? 知りませんけど、どうせスケベなことですよね?」

 いきなり正解だった。

「違うな。催眠術っていうのは、古代の技術の一つだ。魔法以前に使われていた技術で、言ってしまえば会話術の高度なやつだ」
「そうですか。つまりそれを使って、私にスケベなことをする気ですね?」
「だ、だからそうじゃないって!」

 本質的に見抜かれている。
 コイツ、やはり天才か。

「ようするに、感覚機能を上げる魔法を強化したようなものだ。お互いの言葉や反応に含まれる『真実』をクリアにする。心を露わにするんだ。そして互いの気持ちを伝えやすくする」
「……それ、なんのためにですか?」
「俺のこと、おまえは誤解しているみたいだからさ。本当なら、こういうことってよほど親しい相手じゃないとしたくないんだけど、実習だって期間があるしな。班長として、できるだけ俺の考えをみんなに理解してもらった上で、円滑に活動したい。今回はモモだけ4年生だし、チームワークもまだ取れてないし」
「私は別に先輩たちと親しくなりたいわけじゃありません。ていうか、コイン揺らしてるだけで何がわかるっていうんですか? やっぱりスケベなことじゃないですか?」
「揺らすだけだよ。このコインを見ててくれればいいんだ。おまえは自分のことをしゃべらなくてもいいし、俺が俺のことだけ話す。そしてコインを見ているうちに、俺の気持ちが伝わってくるはずだ。俺が嘘を言っているのか、本当のことを言っているのか、おまえにもよくわかるはずだ」
「なるほど、意味はわかりませんが手法は子どものおまじないレベルというか、確かに古代的ですね。いいですよ、そういう怪しげな文化は嫌いじゃないです。ただし私は先輩とわかりあうつもりはありませんから、万が一にも自分のことはしゃべりません」
「あぁ、それでいい」

 俺はコインを揺らしながら、おとなしく俺たちのやりとりを見ているエアリスを振りかえる。

「おまえにも、前に“大魔法使いのおっさん”のことは話したよな? そう、そのまま黙って口を挟まないでいてくれ。わかったら頷け。……そう、じっとしててくれよな。俺の話は聞かないでいいからな?」

 エアリスはもう一度頷き、じっと固まってしまう。
 モモにはコインに集中するように言う。彼女の肩に乗っている黒猫がチリンと鳴いた。
 今回は男女2名ずつのパーティだから、それぞれのテントもそんなに大きくない。2つのテントを男女専用に分け、荷馬は外に寝かせてある。
 静かな夜の下、ランタンの炎がコインに揺らぐ影を与え、古代の技法という俺の言葉に神秘的な真実味を持たせた。
 光魔法なんてたいそうなものがなくても、これくらいの演出は出来る。自称芸術家が好きそうな嘘と真実を混ぜて、催眠術に興味を持たせるくらいはお手のもの。
 キザオスは男子テントで爆睡している。エアリスは催眠状態に落ちたまま。
 俺とモモの催眠術の夜は、今夜から始まる。

「これは、とあるおっさんに習ったんだ。すごい人でさ。魔法を超える技術の使い手だった。魔法にも出来ない、心の深いところで触れ合う技術だ」
「……心、ですか。そんなものを信用できると思ってるんですか? 心なんて、誰にも触れられないし、すぐに移ろう」
「そうだな。信用できないっていうのはわかる。心は自分でも形のわからないものだ。でもそれを、わかるようにする技術が、かつてはあったっていう話だ」

 コインを見ろ、とモモに集中を促す。
 魔法の達人ってのは、どんなタイプの人間だろうと、集中力の化け物であることには変わりはない。
 そして、曲がりなりにも芸術家を自称するくらいなら、好奇心だって人一倍だろ。

「そのうち、おまえにも見えてくる。なんなら、感覚を上げる魔法を自分の眼にかけてくれればいい。嘘や手品なんかじゃないと、おまえ自身で証明してくれ。俺の言葉に嘘があると思ったら、いつでも口を挟め。でも出来れば、それ以外のときはおとなしくこれに集中してくれ」
「…………」
「続けるぞ。いいな? 俺の心がおまえにも見えてくる。コインを目で追ってくれ。揺れは一定の速度を保っている。さっきも見たとおり、これはただのコインだ。残像もきちんと見るんだ。俺の顔なんて見なくていい。これは本当に不思議な技だからな。おまえの光魔法にだって負けないと俺は思っているぞ。ちゃんと見ろ。眠るな。いいから、目を開けて見ていろ」
「…………」

 とろんと落ちかけたまぶたを開かせ、コインに集中させる。そして、さらに意識を遠のかせていく。
 さすがというか、やはり催眠術にかかりやすい体質らしく、モモは眠気と区別がつかないほどコインに集中し、意識を朦朧とさせていった。

「モモ、何が見える?」
「……私にスケベなことをしようとする先輩……」
「正解だな。いや、違う。それは違うものが見えているぞ。よおく見てみろ。それはスケベなことじゃなくて、おまえと遊んでいる俺だ。楽しくおしゃべりして、一緒にメシを食って、何でも語り合っている俺たちだ。それが俺のやりたいこと、おまえと仲良くなりたい俺だ」
「……気持ち悪い……」
「あぁ、言ったな。おまえなら直球でそう言うと思ってたぜ。でも、今はそれでも仕方ない。俺はおまえの口が悪いところも好きになる。自分勝手なおまえでもかまわない。そのままのおまえを愛する。そんな男になる」
「……そんなの無理……」
「そうかな。できそうな気がするけど。去年の学生文化祭で、おまえがめちゃくちゃにした演劇観てたよ。すっげぇ面白かった。笑ったよ。おまえに興味を持ったのは、じつはそのときからだ」
「……はぁ……そうですか……」
「おまえは、俺に興味を持てないか? 催眠術には興味ないか? 俺と仲良くなれば、おまえの知らなかったことを教えてやれる。世界が広がる。だからおまえは俺と仲良くなる。この光景を見てどう思う? 俺と手を繋いで歩いているおまえが見えないか?」
「…………」
「見えてるだろ?」
「……こんなの……ありえないし……」
「今はな。でも、実習が終わるころには、俺とおまえは仲良しになってる気がするよ」
「…………」

 モモの黒猫が、ちりりんと鳴いて、薄くなって消えた。
 催眠術に集中が増したんだ。だがそれは、危険なシグナルにも思えた。
 俺のことをおっさんは「かかりやすいけど、覚めやすい」と言っていた。集中力は諸刃の剣だ。興味が逸れれば逆方向に力は働く。
 モモに素質があるのかどうかは知らないが、かかりやすいからといって、一度に深めていかない方がいいだろう。

「もうすぐ催眠術は終わる。今見た光景は覚えておけ。面白かったろ? 面白いよな? 目に見せる魔法じゃなく、心に見せる技術もある。初めて知ったろ? そして終わったあとはすっきり爽快な気分になるんだ。気分がよくなる。疲れが取れる。興味があるなら、明日も見せてやるよ。楽しみにしてな。いや、楽しみなんだろ? おまえの知らない技術を、俺だけが知っている。俺からしか聞けない話だもんな」

 催眠術に対する興味を強めておく。が、そればかりに集中できない状況も同時に作る。集中力は多少分散させた方がコイツの場合は安全なはずだ。
 俺のことをスケベだと決めつけるコイツも、その言葉の裏にスケベなことへの好奇心を隠していることくらい、俺にはお見通しだった。
 思春期ってそんなものだ。あのエアリスですら、性への興味はゼロではなかったんだから。
 コインを揺らしながら、俺は別の話題をふる。

「あと一つ、おまけの話だ。俺とエアリスは、ひょっとしたらおまえが寝たあと、スケベなことをするかもしれない。おまえはもう寝るんだろうけど、もし目が覚めても気づかないフリしてくれないかな? いや、するよな。目の前でセックスしているやつらに、何て言うつもりだ? 言えないよな? もし見つけちゃっても寝たフリするしかない。俺たちだって、おまえに見られても何も言わない。言わないのがマナーだ。常識だ。ぜひ、気づかないフリして見ててくれよ。それじゃ、おやすみの時間だ。眠くなってきたろ?」
「……はぁ……」
「催眠術はこれで終わり。おまけの話は、忘れていい。心の底に沈めて、目が覚めたおまえは思い出せない。でも、無意識には残っている。秘密の約束だ。そして疲れたおまえは、もうおやすみだ」

 コインを解除する。
 モモは、ぱちくりと瞬きしたあと、ほぁ、と小さくあくびした。

「なんなんですか、今の……私と先輩が、仲良しになんてなるわけないじゃないですか。ばかばかしい」
「でも、面白かったろ?」
「……まあ、初めての体験でした。まあまあの芸ですね」
「そっか。手厳しいな。もっと時間があれば、すごいものも見せてやれたんだけど」
「それ、釣りですよね? そんなに私に催眠術とかいうのを見せたいんですか?」
「あぁ、でも続きは明日ってことでいいか。おまえ、眠そうだし」
「別にまだ眠くなんて……ないですけど」

 まぶた重そうにして意地を張るなよ。
 いちいち反論しないと気がすまないのかな、コイツは。

「あれ、ジジは?」

 肩に相棒がいないことに気づいて、モモは光魔法を復活させる。「勝手にいなくなっちゃダメよ」と、まるで本物のペットみたいに扱っている。
 まあ、確かに面倒くさそうな子だよ。可愛いだけに面倒だ。
 でもその貴重な才能は、絶対俺のものにしてやるからな。

「ジジが眠いっていうので、私も寝ます。先輩、いつまでも女子のテントにいないで帰ってくださいね」
 
 後半はかなりダルそうに、もう我慢できないというように、もぞもぞと自分の毛布に潜り込む。
 俺はエアリスを再び動かして、耳打ちする。

「モモは寝ちゃったみたいだけど、どうする?」

 エアリスは、頬を染めてこっそりと、「ご主君にお任せします」と言って、俺の耳たぶに唇を押し当てた。

「俺、疲れちゃったから、エアリスにしてもらっていい?」
「よいかどうかなど、尋ねる必要はありません。私はいつでも、ご主君の意のままに」

 仰向けになった俺の上に体を重ね、豊満な胸を押しつけ、キスをしてくる。舌が自在に動いて俺の口内を愛撫し、熱い吐息と一緒にかき混ぜてくる。

「お慕いしています……心より」

 顔中にキスの雨を降らせて、徐々に俺の服をはだけていく。昨日まで処女だった女が、男の体を欲して息を荒くする。
 催眠術で何倍にも引き上げられた快楽と、それを与えてくれる唯一の男に対する尊敬と思慕に、エアリスの肉体と心は支配されている。
 恋奴隷となった彼女はもう、俺とのセックスに時も場所も選ばない。隣に4年生が寝ていようがおかまいなしだ。
 俺の下半身を脱がせて、顔を埋める。びんびんにそそり立つペニスが、彼女の美しい顔に飲み込まれていく光景は、何度見ても扇情的だった。

「んっ、んぐっ、んっ、んんっ」

 エアリスがテンポよく俺のをフェラする様子に、反応する者がもう一人。
 ゴソ、と隣の毛布が動く音がした。
 そちらの様子を窺いたくなるのを、なんとか俺は我慢した。

「エアリス、乗ってくれ。おまえの中に入りたい」
「はいっ!」

 いそいそと嬉しそうにエアリスは服を脱ぐ。ぶるんと白巨乳が揺れたとき、また隣の毛布が身じろぎした。
 あまり気にするな、4年生。おまえの成長はこれからだぞ。

「いただいてもよろしいですか?」
「あぁ、好きに味わえ」
「ありがとうございますっ。……ご主君の素敵なオチンチン、私のオマンコに挿れさせていただきます」

 無垢な笑顔と娼婦のような笑みを交互に見せながら、エアリスは俺の上で全裸になって腰を下ろしていく。
 モモのような成長途中の体にも興味はあるが、女はやはり成熟した肉体が一番だ。特にコイツは、見た目だけじゃなくて、オマンコの中身まで最高なんだ。

「んんっ、あっ、あっ、あんっ!」

 びくびくと、挿入だけで体を震わせる。その震動までもが、俺のペニスに心地良いうねりとなって伝わってくる。ヒダがまるで生き物みたいに絡みついているんだ。
 生まれ持った形が抜群な上に、鍛え抜かれた体幹が最高の締めつけを男に与えてくれる。これはもう、俺が一生独占するしかない。こんな甘美な蜜壺を、他の男に味あわせてたまるか。

「あっ、んんんっ、あっ、あっ、あっ、ご主君っ、あぁん! い、いけません、声がっ、出て、モモに、聞かれてしまいますっ!」

 ゆさゆさと巨乳を揺らしながら、俺の上で腰を弾ませるエアリス。
 ランタンに照らされて浮かぶ陰影が、彼女の体のいやらしさを強調する。
 隣の毛布が、もぞもぞと忙しなく動く。
 モモ、これがセックスだ。
 いやらしいだろ? どうせおまえ、処女なんだろ?
 どれだけ強がっていても、セックスに興味を持てない十代なんていない。おまえはきっと朝まで寝られないぞ。
 催眠術とセックス。2つの興味のバランスを上手く保っていけば、実習中にモモは落とせるだろう。確信にほくそ笑みながら、俺はエアリスに顔を近づけて言う。「聞かれても構わないから、もっといやらしいおまえを見せてくれ」と。

「あぁっ、あっ、あっ、オチンチン、気持ちいいです! お外でするセックスも、気持ちいいです! ご主君っ、ご主君様っ、あぁっ、私、またイきます! イきます、ご主君様ぁ!」

 これから実習の間、俺がこのテントの王だ。

 翌日の朝、快晴だというにも関わらず、モモ4年生は不機嫌だった。

「なんっなんですか、この無駄に天気の良い実習日和は……人の寝不足をなんだと思ってるんですか」

 目を赤くしてモモは小瓶に植物を採取する。黒猫は今朝は黒傘に形を変え、日差しから彼女を守っている。
 俺はその横を、口笛を吹きながら通り過ぎる。モモが、ジトっと頬を赤らめて睨んでいるのにも気づいているが無視だ。
 今回の実習は、ここマインド高原コントロール湖周辺のフィールド調査だ。
 すでに何十年も前に測地も生態調査も終わっているが、その後の環境に変化はないか、王立大学で研究するためのサンプル集めと観測を行うことになっている。
 人の手が入りまくってモンスターもいなくなった平和な高原で、リストにある植物や昆虫の採集、あるいは目撃できた鳥類や動物のリスト化。ついでにレアな幻獣でも見つかったら大手柄ってくらいの楽な仕事だった。
 実習授業が始まったばかりの4年生ならともかく、キザオスやエアリスといった優等生たちにとっては鼻クソみたいな実習だろう。フェイバリットお姉ちゃんの計らいで、日数も無駄に多く設定されているし。
 ここでのんびりとキャンプ生活を堪能しながら、モモを俺の味方に引き込む予定だ。
 ついでに、少女にひと夏の体験でもさせてやろうと思っている。

「コインの揺れ方も一通りじゃないんだ。よく観察してみないとわからないと思うけど」
「……それぐらい、とっくに気づいてますよーだ……」
「そうか。じゃあ、このパターンは? これで何が起こると思う?」
「はぁ……どうせまた、スケベなことを……」
「右手を上に」
「……こうですか?」
「そう。そして、そのまま動かない」
「……え?」
「どうした、動かないか?」
「動かない……どうして……?」
「いや、もう動く。動くから試してみろ」
「あ……今のは、なんですか?」
「これも催眠術。この程度の肉体操作なら出来るんだ。動かないでくれっていう俺の気持ちを、おまえの肉体が感じている。もちろん、おまえの意志の方が強いから、本気で嫌がったら出来ない。もう一度やってみるぞ」
「はい……」
「動かない。動かせるか?」
「動かな……んっ、動いた……」
「おまえが、絶対に動かしてやろうと思ったからだ。まあ、この程度なんだけどな。本人が本気で嫌じゃない限りでは、意志に逆らわない動きを命令してやらせることが出来る。すごいだろ?」
「……ちょっとだけです。だって、動かそうと思えば動かせるし……」
「まあ、そうなんだよな」

 本当は、嫌だろうが何だろうが強制できる。もっと時間をかけて催眠を深くすれば。だが、そこまで教えてやることはない。
 軽い催眠状態のまま、少しずつモモを催眠術に慣らしていく。自分のしゃべりがひどくゆっくりしていることを、自覚できてはいないような状態で。
 彼女に催眠術に興味を持たせるため。この程度のものと侮らせながら、いずれ全てを俺のモノにするため。
 そして少しずつ、セックスも教えていく。

「あっ、あぁっ、いいっ、ご主君様、気持ちいいですっ、私を組み敷いていただいて、ありがとうございます!」

 モモを寝かしつけて、隣でエアリスと正常位でまぐわる。
 腰をぐいぐい女に叩きつけるこの体位に、隣で寝たフリしているモモは圧倒されていた。

「あぁっ、また、イクっ、すみません、私、またっ……ああぁぁぁッ!」

 遠慮ない声を上げ、エアリスが体を突っ張らせる。彼女が味わっている感覚を、隣で見ているモモは想像しているだろうか。もぞもぞと毛布の擦れる音がしている。
 腰を動かしながら、モモを盗み見る。暗闇の中で彼女はバッチリ眼を開けて、毛布に顔を隠しながらも、淫らに乱れるエアリスの横顔を凝視していた。そして、俺たちの結合部もチラチラと見ていた。
 一瞬、俺と目が合う。彼女は慌てて毛布に潜り込み、下手くそな寝息を立てる。俺は笑ってしまいそうなのを堪えて、腰の動きをさらに速めた。

「あぁっ!? あぁぁぁっ! すごい、すごいです、ご主君様っ! こんなに気持ちいいこと、教えられてしまっては、一生、あなたに仕えるしかありません! あぁっ、もっと、もっと、私を、あなたのモノにしてくださいぃ!」

 じっと眠ったフリしている毛布の中から、もぞもぞと頭が出てくる。
 意地悪はやめて、モモが覗き見に集中できるように、俺はエアリスのおっぱいしゃぶりに没頭することにした。

 毎日、同じことの繰り返し。
 と、見せかけて、催眠の深度を進めていく。
 モモは相変わらず口の聞き方が最悪だが、それでも俺たちの関係は親しくなってきており、それにつれて彼女にかけられる催眠指令も、エロいものが可能になっていく。
 
「おまえにいいものをやる。俺の唾だ。甘くて美味しいぞ。口を大きく開けろ」
「あーん……」

 上を向いて口を開けるモモに、唾液をたっぷり落としてやる。
 彼女の白くて小さな前歯に、俺の唾液が当たって口内に垂れていく。
 
「ほら、口の中でたくさん転がしてから、飲んでみろ」
「ん、んっ、んく……こくん」
「美味しいだろ?」
「美味しい……」
「そうだ、すごく美味しい。俺の唾だけ、こんなに美味しい。これを飲むと元気になるし、こんな唾を持っている俺をすごいと思う。もっと欲しいか?」
「うん……」
「よし、好きなだけやるよ。いいか、これは俺とおまえの秘密だ。俺の唾がこんなに美味しいなんてバレたら、他のやつに取られちゃうからな。おまえも嫌だろ?」
「いや……先輩の唾は、私のもの……」
「口を開けろ」
「あーん……」
「たっぷりやるから、明日からは、昼間でも欲しくなったら言え。誰にもバレないようにだぞ」

 そして、セックスにも徐々に参加させていく。
 相変わらずモモには寝たフリをさせていた。

「エアリス、モモの手を握ってやれ」
「えっ、あんっ、でも、そんなことしたら、モモが起きて……」
「大丈夫だ。ぐっすり寝ている。やれ」
「はい、ご主君のご命令なら」

 正常位で俺に抱かれながら、毛布で顔を隠すモモの手を探り当て、エアリスが握る。モモの体がビクッとなったが、「すーすー」とわざとらしい寝息を続ける。

「ほらな、起きないだろ。続けるぞ」
「はいっ、んんっ、あんっ、あっ、手に、力が、入ってしまいますっ!」

 ランタン程度の明かりでははっきり見えないが、モモの耳が赤くなっているように思える。エアリスの上で腰を動かしながら、俺はモモのもう片方の手を握る。
 ビクビクっと、モモが震える。俺と目があったが、微笑みかけてやると、慌ててギュッと目をつぶった。
 彼女の手は、びっしょり濡れていた。

「あんっ、あっ、気持ちいい、ご主君っ、素敵っ、ご主君様のセックス、素敵です!」
「あぁ、俺も気持ちいいぞ、エアリス。セックスは最高だなっ」

 びくっ、びくっとモモの手が震えている。まるで3人で繋がっているみたいな格好で、俺たちの熱がモモに伝染していく。
 そうなるように、催眠術で指令しておいた。

「あっ、あっ、いいっ、気持ちいいっ!」
「……んっ……くふっ……」

 エアリスの大きな嬌声に混じって、モモの小さな吐息が聞こえる。
 毛布の中で下半身が、落ち着かなく動いていた。

「いいぞ。まるで、3人でセックスしているみたいだな」
「くふっ!? ……は……はふっ……ふっ……ふっ……」

 俺の腰の動きに合わせて、もぞもぞ毛布が擦れた音を立てる。
 こっちまで興奮を煽られて、さらに激しく腰をエアリスに叩きつける。

「あっ、あっ、あっ、あっ、イク! またイッてしまいます、ご主君様!」
「俺もいくぞ、エアリス! いくぞ、さあ!」
「んっ……はっ……はっ、はっ、はふっ、はふっ、はっ、はふっ」
「イク! イク、イクっ、イきますぅぅぅ!」
「んんんんっ!」

 エアリスの肉体が、美しい胸を捧げるように反り返り、大きく痙攣する。
 同時に、モモの手が強く握ってきて、小さな痙攣をする。
 二人の少女の絶頂を同時に感じながら、俺はエアリスの膣内に大量の精液を吐き出した。
 そして、いつものように挿入したまま次のセックスを始める。エアリスの体は、いくら貪っても足りないくらいに気持ちいい。
 モモの手はくったりとしていた。握ってもくすぐっても反応がなく、そのまま本気で落ちてしまったようだった。

「先輩、ちょっと顔貸してくださいよ」
「え、はい」

 次の日、超かっこいいアカイロバッファローヒキガエルを見つけてハシャいで追いかけていたら、後輩に森に呼び出された。
 まさか昨日のことでシメられるのかと恐怖半分期待半分でついていくと、モモは、外からは目につかないあたりまで来て、急に俺を木に押し付け、ドンと背後に手をついた。

「な、なに?」

 モモは、頬を赤らめて無言で俺を睨む。
 何をされるのかと思ったら、彼女は黒いローブのポケットから、ちらりと虹色のバッファローヒキガエルを見せた。

「やべ、何それ超かっこいい!?」
「欲しいですか?」
「うん、欲しい欲しい!」
「じゃ、等価交換です」

 そういってモモは、「あーん」と口を開けた。

「なんだ?」
「だ、だから、等価交換ですってば」

 ヒナ鳥みたいに俺に向かって大きく口を開け、目を閉じる。肩の黒猫までが、なぜか同じ顔をしている。髪を洗ったばかりなのか、女子が好んで使う香料の匂いがした。
 唾が欲しいの合図か。昨日、そういえばそんなことを教えたっけ。
 俺は唾液を溜めて、彼女の大きく開いた口の中に落としてみる。

「……んっ」

 舌の上に落ちたそれを、モモはパクッと口の中に閉じ込め、もごもごと咀嚼してから飲み込んだ。
 上気した頬と仕草がなんかエロくて、軽く勃起した。

「んっ!」

 今度はべろをだして、突き出してくる。
 一発では虹色バッファローヒキガエルには値しないとか。
 よかろう。俺もそいつにはそれ相当の価値は認めている。喉がからっからになるまで唾をくれてやるぜ。

「んっ、ちょっと、先輩、口が近いです」
「外したらもったいないだろ、動くなって」
「やだ、キスしないでくださいよね、んっ、おいし……だから、離れてくださいってば」
「動くなよ、ほら。舌、もっと出せ」
「うわ、近~い。絶対キスしちゃダメですよ? んっ、こくっ、んっ、ぷはぁ、んっ、もっと、離れて、んっ、くださいってば、こくっ」

 肩を掴んで、至近距離から唾を落とす。モモの舌とか唇とか、ハァハァいってる呼吸とか、なんか妙にエロくて、ちょっと興奮していた。
 ヒナ鳥にエサを与える親鳥のような必死さで、俺はモモに唾を落とし続ける。

「はぁはぁ……このくらいでいいか?」
「んっ、はぁ、はぁ……ま、まあ、いいでしょう。蛙1匹分はもらいましたからね。では、どうぞ」

 虹色に輝くバッファローヒキガエルが俺の手に。
 なんだこの神々しさは。かっこ良すぎる。これひょっとして新種じゃないの? 俺色バッファローヒキガエルとか名付けていいわけ?
 しかし、それを空に掲げて、大声で叫ぼうとしたとき、手の中でそいつは霧散した。
 光の粒がちりぢりになり、風に舞い上がり、最後に『ザンネンでした^^』と文字を描いて、完全に消失した。
 見ると、モモはスタコラと逃げ出しているところだった。

「待てこら、モモ~ッ!」
「きゃ~!?」

 森を駆け抜け、湖岸を微笑ましく(?)追いかけっこする俺たちを見て、キザオスが「仲良しだね……」と眠そうな声で言った。
 まあ、どれだけ仲良くなってきたのか、モモのやつは相変わらず生意気すぎてよくわからないのだが、実習や催眠術も関係のない、ただの雑談っていうのも普通にするぐらいの仲にはなっていた。

「ですから、変化は常に必要なんです。驚きがなければ、観てる方もあきますから。だからといって、驚かせればいいってわけでもないですし」
「んー、たとえば?」
「たとえば、先輩は去年の戦乙女の演劇を観たって言いましたよね? 私がぶち壊してやったやつ」
「あぁ。あの、決めポーズの戦乙女がドカーンと毛むくじゃらのおっさんになったやつとか? あれは驚いたな。笑ったし」

 例の学生文化祭のときの事件だ。
 学院では語り草になっている名場面だった。
 
「ええ、ウケました。でも、あれを違う場面でやっても驚かせるだけでした。あのときは、彼女の動きでもうすぐクライマックスなのわかってましたし、美しき乙女が剣に舞うっていう、煽りも散々ありましたから。どうでもいいタイミングであれをやっても、驚きはあるかもしれませんが、笑いは生まれません」
「タイミングをみてやらなきゃってこと?」
「そうですね。タイミングというか、ちゃんと期待に応えるってことですね」
「期待……あそこで誰が、何の期待をしていたっていうんだ?」
「また私が余計な茶々を入れるだろうってことですよ。それまで散々やってやりましたから。そろそろ何か来ると思ってた頃に、やっぱりしでかした。前もって期待があったからこそ、驚きと一緒にウケもあるんです。小鬼や兵士を女子っぽくしたのも、戦乙女をおっさんにしてやるっていう前フリです。気づいてなかったんですね、先輩は」
「ただのイタズラじゃなかったってことか」
「イタズラはイタズラですよ。でもあの時点で観客の何割かは、私のお客さんになってたってことです。まあ、なぜか先輩もそうだったみたいですけどねっ。ようするに、私はまた何かやるとほのめかしていたんです。観客に期待を持たせて予想もさせたんです。そうしておいて、ちゃんと期待どおりに、予想をちょっと上回ることをする。これが、正しい驚きと感動になるんです。光で何か作って驚かせればいいとか、そういう単純なものではないっていう話です」
「……花火みたいなものか?」
「はぁ?」
「花火は、わざわざ立てなくてもいいのに音を立てて暗闇を飛んでいく。その音を聞いてみんなは空を見上げる。そして、開いた花火に驚いて歓声を上げる。そういう感じか?」
「……はい、まあ、そのとおりですね。なんだか、先輩にすんなり理解されちゃったりすると、変な感じですが」
「なるほどね。期待と予想と驚きで、感動を生むか。催眠術でも応用できそうだな」
「私はそれを『伏線』って呼んでますけどね。演出や物語を繋げて、観客に予想と期待をさせておく大事な線です。結構基本になるやり方なんで覚えておくと……って、先輩にこんなこと教えてやる義理はないんですけどっ。もー、全然釣れませんね。先輩がうるさいせいですよ」
「おまえもな」

 二人で魚釣りしているときに、彼女は独自の芸術論みたいなのも語ってくれた。自分のことは絶対にしゃべらないと言ってた彼女が。
 モモへの催眠術の仕込みも、かなり深いところに刺さってきていると実感した。だけど、これ以上はあまりいじらない方がいいかもしれない。
 勘だけど、彼女はもう俺の催眠術に逆らわない。解こうとはしない。むしろ自分の心に刺さったものは、自分で大切にする女だ。外からの力より、内からの力を使った方が彼女の場合は術は強力になると思った。指示はあまり増やさない方が安全だ。
 おっさんに比べればまだまだ素人催眠術使いだが、何日か交流を続けて、モモのことはわかってきたような気がするんだ。
 深夜の交流も順調だし。
 
「エアリス、モモの上に乗って」

 びっくぅ!?
 と、モモが寝たフリしている毛布の尻のあたりが、大きく跳ねた。

「大丈夫でしょうか? さすがにモモも目を覚ましませんか?」

 ランタンの炎の下で、エアリスは心配そうな声で言う。
 とはいっても、口元に薄い笑いを隠していたが。
 当たり前だが、彼女はもうとっくにモモの寝たふりに気づいている。それでも俺たちが小芝居を続けているうちは、気づいていないふりをしてくれている。
 俺がモモにちょっかい出しても、彼女はそれを咎めたりしない。「主君と騎士と、ご主君様と恋奴隷の関係ですから。ご寵愛を独占しようなどと思い上がってはおりません。むしろ領民が増えるのは喜ばしいことです」などと言って、黙って協力している。
 フェイバリット先生とのことを告白しても、「承知しました」としか言わなかった。「教師との関係はバレると問題になりますので、いつでも私をアリバイにお使いください」と、優等生らしからぬ配慮までしてくれた。
 催眠術で徹底的な服従を仕込まれた彼女にとっては、俺の女性関係ですら守る対象ということだ。本当に使える女である。

「いいから、モモの尻の上に、うつ伏せに乗るんだ」
「承知しました、ご主君様」

 それはさておき、今はモモへのイタズラの時間だ。
 俺たちが隣でエッチを始めても、彼女は寝たふりをしていなければならない。それだけのルールのはずが、いつの間にか自分まで巻き込んでスケベなことをされているというのに、モモは無理やり寝たふりを続けている。
 俺の仕込みを、都合よく解釈し増幅させている。口ではなんて言おうが、俺の存在と信頼がモモの中で高まっている証拠だ。下手に具体的な指示を与えるより、こいつの想像力とセンスでそのまま膨らませてもらおう。
 主導権は、俺が握っているんだから。

「……くふっ」

 のしかかるエアリスの体重に、モモは息を吐く。だが口元を慌てて手で覆って、寝たふりは続ける。
 エアリスは、そんなモモの耳元で微笑み、顔にかかった髪をすくってやる。横向きに寝ているモモの毛布の上、そこに尻を乗せて俺に突き出すエアリスの肉付きのいやらしさ。女同士の重なる姿が、ひどくエロくて俺は興奮した。

「どうぞ、私の尻を存分におなぶりください、ご主君様……」

 ぴく、と反応したのはモモの尻だ。俺の太ももがそこにあたり、ぷにっと柔らかい感触で跳ね返してくる。
 こないだ、バッファローヒキガエルの件でコイツを追い回していたときに思ったのだが、彼女、芸文系のくせに結構良い尻をしている。
 エアリスやフェイバリット先生みたいな女体の完成形とはほど遠いが、ぷりっと突き出たお尻の形は、子どもながらなかなかのものだ。
 明日、水浴びでも覗いて、もう一度形を確認しようと思う。

「あんっ、あっ、あっ、あぁーんッ!」

 挿入して、まずはエアリスの軽くひとイき。
 彼女の絶頂を全身で感じて、モモもビクンと痙攣した。

「あっ、あっ、あっ、あっ」

 腰を動かすと、高い声でエアリスが囀る。その声を耳元で聞かせながら、モモの体も揺する。
 二人まとめて犯しているみたいで愉快だ。エアリスも自分から腰を使って、モモの尻を揺すっている。毛布に顔を半分隠して、モモもやがて、くぐもった声を漏らす。

「んっ……ふっ……んっ……んっ……」

 その声に興奮を煽られ、ますます俺の腰は速くなる。

「あっ、あっ、ご主君様、強いっ、た、たくましすぎますっ、あっ、気持ちいいっ、ご主君のオチンチンが、私のオマンコの壁をごりごり擦って、気持ちいいっ!」
「んんっ! ふっ……ふっ、はふっ……ふうっ、ふうっ」

 エアリスも心得たもので、モモの耳元でますますスケベな言葉を言い、熱い吐息を吹きかける。
 モモは顔を真っ赤にして、丸めた手を噛み、必死に寝たふりをする。
 俺は、毛布の中に手をつっこんで、モモの胸を握った。

「んんんんんっ!?」

 モモの全身が硬くなり、肘で俺の手を抑えつける。だが、構わずもにゅもにゅと揉み続ける。
 うむ。まだまだ未完成だが、大器を感じさせるおっぱいだ。このまま精進してくれれば、将来は良い房に育つだろう。

「んっ……やっ……んんっ……くふっ……」
「あぁっ! ご主君のが、私の中で、また大きくなってるっ。腰が、勝手に、動いてしまうぅ!」
「やっ、やぁっ……んっ……んんーっ……」

 3Pを想像させるこの体勢が、いつも以上に俺を敏感にさせる。エアリスの尻をばちばち鳴らしながら、締め付けの強くなっていく膣圧に射精欲を高めていく。

「出すぞ、おまえたちの中に出すぞ!」
「来てください! 私たちの中に、ご主君様の精液をたっぷり注いでください!」
「んんんんんッ!?」

 エアリスの膣の中にありったけを放出して、腹の底から息を吐く。二人分の痙攣が体の下から伝わって、残滓も全部搾り取られていく。
 ビクンビクンと足をばたつかせた後、モモはくったりとなって、やがて静かな寝息になった。
 エアリスと顔を見合わせて微笑み、今度はちゃんと隣の毛布の上で正常位の体勢になる。

「エアリス」
「はい?」
「最高の女だよ、おまえ」

 真っ赤になって、泣きそうな顔になる彼女を抱いて、俺はまた腰を動かす。

「先輩、唾くださいな」

 今日も森の木陰で、作業している他の二人に隠れて、モモの唾のおねだりだ。
 機嫌が悪いのか、ちょっと頬が赤かった。

「等価交換じゃないのかよ?」
「……私の胸、触ったくせに……」
「えっ、なんだってッ!? よく聴こえなかったッ!」
「うっさい、難聴! いいから、唾をくださいっ。先輩は私に唾をくれなきゃ許されない罪があるんです!」

 れろ、と舌まで出してくる。
 なんだよ、ちっちゃいおっぱい触られたくらいで偉そうに。

「んっ」

 舌の上に唾液を落としてやると、嬉しそうにほっぺたを動かして味わい、飲み込む。
 小動物みたいなやつだ。

「ほら、もっとやるよ」
「あーん」

 何度か唾液を飲ませているうちに、モモの頬も上気していく。お互い無言になって、唾液の糸を引いて、この倒錯したやりとりに没頭していく。
 そのとき、枝を踏む音が聞こえた。
 とっさにモモの体を抱き寄せ、木陰に隠れる。エアリスが、森のキノコ類の採集に歩いているところだった。

「…………」

 モモはおとなしく俺に抱かれている。心臓の音が伝わってくる。
 やがてエアリスがどこかへ行ってしまったあとも、なんとなく俺たちは抱き合ったままだった。

「……んっ」

 モモは、無言で口を開けて上に向ける。
 俺は唾液をたっぷり溜めて、彼女の口に落とす。
 それはちょっと外れて、彼女の上唇に当たった。だけどモモは怒りもせずに、舌を使って唾液を舐めとった。

「れる、んっ、ちゅ、んっ」

 俺の腕の中で、差し出される唇。
 さすがに俺も我慢が出来なくなってくる。

「んっ?」

 唇を軽く触れさせて、すぐに離れる。
 モモも一瞬身を引いたが、事故と思ってくれたのか、さっきよりは遠慮がちにまた口を近づけてくる。
 
「んんんんっ!?」

 今度はしっかりと唇を奪った。そのついでに唾液もプレゼントしてやった。こくっと喉を鳴らして飲み込んでから、モモは俺を睨みつける。

「い、今、キスしましたよね!? ふざけないでください、誰がキスしていいって―――んんんっ!?」

 もう一回、奪ってやった。モモは目を丸くして、俺の体を押しのける。
 顔が真っ赤になっていた。

「ぷはっ、ちょ、ちょっと何してんですか、変態先輩っ! いいかげんに―――んんっ!」

 抱きしめて、逃げられないようにしてキスを続ける。
 モモの唇は柔らかく、弾力に富んでいて、押しつぶす感触が心地よかった。
 想像していたよりずっと。

「やめてください、変態っ、んんっ、先輩と、キスなんて、んんっ、唾だけ、んんっ、キスは、んっ、こくっ、こくっ」

 唾を送り込むと、喉を鳴らして飲む。唇を重ねているせいで、彼女の喉の動きが直に伝わってくる。
 モモの心臓がものすごく鳴っているのも、俺にはバレている。

「先輩、おかしいですよ、んんっ、なんで、私にキスなんて、んんっ、変です、こんなの、んっ、こくっ、こくっ」
「口、開けろよ。舌で唾を突っ込んでやるから」
「なんなんですかぁ、もう、んっ、やめて、んんっ、舌、にゅるにゅるして、気持ち悪いですってば、んんっ、こくっ、んっ、やめてっ、こくっ、んんん……」

 唾液をたっぷりまぶした舌を入れても、口ほど嫌がってはいないらしく、ちゅうと吸い付いて唾を飲み込む。

「変ですってば、こんなの……んっ、ちゅっ、んんっ、んっ、ちゅ」

 俺の服を掴んだまま、体を抱き寄せられるまま、モモは俺の舌を唇で挟んで唾液をすする。
 唇の角度を変えて、より深く重ね合わせ、舌を突っ込んでも彼女はしがみついてくる。

「エアリス先輩に、バレたら、どうするつもりなんです、もう、んんっ……」

 その心配なら、大丈夫だ。

「んんんんっ!?」

 夜、エアリスを抱きながらモモの唇を奪う。
 ちなみに今の体勢は、モモの毛布をはぎ取り、カエルのように足を広げさせ、その上に正常位でエアリスが覆いかぶさり、後ろから俺がエアリスに挿入している状態だ。さらにモモには、両手を俺と繋がせてキスしている。
 どう見ても3Pだ。これで目を覚まさないアホなどいるはずがない。

「んっ、んっ、んっ、んんっ」

 なのに、健気にも今夜もモモは寝たふりを続けていた。

「ご主君様、今宵は、特に、すごいっ、すごく興奮してらっしゃるっ。私も、体が、熱くて、あぁっ、感じてしまいます!」
「んっ、んっ、んっ、ちゅっ」
「あぁっ、モモも、寝ぼけて、ご主君様の舌に吸い付いてるっ、ふふっ、可愛いっ、まるで、羊の赤ちゃんみたいだっ、あんっ、あぁんっ!」
「んんんっ……ちゅっ……ちゅっ」

 エアリスにからかわれ、モモの頬が赤くなる。
 それでも聞こえていないふりをして、俺の舌をちゅうちゅうと吸い続ける。

「モモを、二人で犯しているようですね、ご主君っ! なんだか私まで、腰が動いてしまいますっ。あぁっ、んっ、気持ちいいっ、モモのと私のが、擦り合っていますっ、あんっ」
「んんーっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅうぅぅっ。んんっ、ちゅっ、ちゅうぅぅぅっ」

 エアリスの体に熱が入って、ぐいぐい腰が動いていく。
 それに対抗するかのようにモモも熱心に俺の唇を吸い、自分の舌も伸ばしてくる。

「んっ、れろっ、んっ、ちゅぶっ、んんんっ、ちゅっ」

 積極的なキスだ。昼間はなんだかんだと文句言ってたくせに、すぐそこでエアリスが俺に甘えているのを見て火がついたのか、指をぎゅっと俺のと絡ませ、アゴを上げ気味に唇を重ねてくる。

「んっ、んんっ、ちゅぷっ、ちゅぴ、んっ」
「あぁっ、いいっ、気持ちいいです、それっ、セックス、気持ちいいっ、ご主君のオチンチン、気持ちいいっ!」
「んーっ、ちゅ、ちゅ、ちゅうぅぅぅっ、んっ、れろ、れろ、ちゅっ、んんっ、ちゅっ、ちゅぴ、ちゅうぅぅぅぅっ! やっ、んんっ、せんぱ、い……せんぱいっ」

 競い合うように高まっていく少女二人を抱いて、俺も射精したくなっていく。
 腰の動きを速めて、エアリスに悲鳴を上げさせる。俺の唇に吸い付いていたモモも、それにつられて性感を高めていき、顔を真っ赤にして口を開く。

「あっ、あっ、やっ、あっ、あっ、せん、ぱ……やっ、せん、ぱい、せんぱい、せんぱいっ」

 どく、とエアリスの中に射精する。
 エアリスが絶頂に震えて体を突っ張らせる。

「せんっっっぱい…ッ!」

 モモも同じ瞬間に体を硬直させ、唇を噛む。
 真っ白になるほど手を強く握りしめて、ぴくぴくと痙攣する。
 やがてその痙攣が収まって体から力を抜き、ぼんやりと目を開けて、俺に何かつぶやいたあと、ゆっくりとまぶたを落としていった。
 口を開けば悪態しかつかないようなコイツでも、寝顔の可愛さだけはかなりのものだった。

「んっ、ちゅっ、んんっ、んんっ」

 森の木陰で唾液のプレゼントをする。もちろん、口移しで。
 いきなりキスしてもモモは怒らなかった。いや、軽く怒ったふりをするくらいだった。

「も、もう、またキスして……先輩って、やっぱりスケベです。んっ、ちゅっ」
「モモ、見つかったらやばいから、あんまり声出すなよ」
「んっ、大丈夫ですよ、んんっ、ジジが見張っててくれてますから、ちゅっ」
「あの黒猫が?」
「光を、線にして、森に張り巡らせてます。それが、ちゅ、切れたら、ジジが、鳴きます、んっ」
「すごいな、そんなことまで……」
「だから、もっと唾くださいってば、んちゅっ、れろっ」

 木を背中に腰掛けている俺の上に、モモは跨っている。そんな格好でキスしてて、見つかれば言い訳も何もない。不純な異性交遊中だ。
 まあ、キザオスやエアリスに見つかったところで、何も問題はないが。

「んっ、ちゅっ、先輩、ひょっとして、私の唾、飲んでます?」
「あぁ、んっ、少し、飲んだ」
「私の唾なんて美味しくもないでしょうに……変な人ですねっ」
「おまえが言うなよ……んんっ」
「んんっ、ふぅっ、んっ、ちゅっ、れろ、れろっ」

 モモは俺の顔を両手で挟み、積極的に舌を動かしてくる。
 お返しに俺は、モモの尻に手を回し、プリっとしたその感触を楽しむことにした。

「んふぅ、んっ、んっ、ちゅっ」

 モモはそのことに文句を言わない。されるがままにしている。その代りとばかりに俺の舌に吸い付き、唾液をすすっていく。
 互いの股間が自然と密着する。布越しにも熱さが伝わり、彼女の湿り気までわかった。

「んっ、んっ、んっ、んっ」

 軽く揺さぶっても、モモは嫌がらない。それどころか、股間をもっと密着させてくる。

「あっ、んっ、んっ、んっ、ちゅっ、あっ、あっ」

 俺たちは、明らかにエロい関係にまでなっていた。

「あっ、あんっ、んんっ、唇、ふやけちゃうっ、んんっ、ちゅっ、せんぱいっ、せんぱいっ」

 今夜、モモとセックスしようと思う。

「……エ、エアリス先輩なら、いませんよ?」
「あぁ、そうだな。夜間活動中だもんな」

 生態調査もやるんだから、当然、夜間に活動する生物の生態も確認しなければならない。なんと驚くべきことに、今まではそれをキザオスが一人でやってくれていたのだが(なので後半は昼夜逆転の生活を一人でしていた)、今夜はエアリスがそれに加わって、最後の精査にあたっている。
 だから、今このテントに彼女はいない。

「だ、だったら、女子のテントに来ないでくださいよ……変な先輩」

 モモの悪態にも力がなかった。
 寝間着用の薄いシャツと短いパンツ。毛布一枚しか守るものない状況で、いつになく彼女も緊張していた。
 俺は、黙ってにじり寄る。モモは、軽く身じろぎして俺を見上げる。

「なんですか……唾でもくれるんですか?」
「いや」

 モモの眼を見て、きっぱり言う。
 
「おまえを抱きに来たんだよ」

 ぐっとモモは唇を引き絞った。
 そして、俺の視線から逃れるように目を逸らした。

「な、なに言ってるんですか? 変態先輩ですよね、本当に」
「ダメか?」
「……い、いいわけが、ないじゃないですか……」
「抱きたい」
「だ、だからそんなこと言われてもっ」
「抱かせろよ」
「…………」

 モモは、黙り込んだ。
 俺もしばらくは何も言わずに待った。
 そして、モモは黒猫の背中を撫でて言った。

「――ジジ、ちょっと向こうへ行ってて」

 スッと、黒猫の姿が消える。
 ランタンの炎も小さくなった。
 俺はモモの毛布をめくる。縮こまる彼女の腕をとって、抱きしめる。
 震えていた。俺はランタンを持って、モモの前に掲げる。

「この炎を見て」
「……催眠術?」
「そう。モモが落ち着けるように、催眠術をかける。いいか?」
「はい。お願いします」
「炎のゆらめきを見るんだ。一点に集中して。炎と一体になる自分を想像するんだ。そう、その感じ―――」

 そして、しばし催眠の世界を漂った彼女の眼を覚まさせる。

「あ……」

 自分が俺の下で横たわっていることに気づいて、モモは顔を赤らめる。
 
「もう怖くないだろ?」
「でも、全然恥ずかしいですよぅ」
「そういうのは、なくしちゃうと楽しみがないからな」
「へ、へんたいですっ」
「ははっ、そうだな。俺は、後輩にスケベなことをする悪い先輩だもんな」
「…………」
「どうした?」
「……そんなに悪い人ではないですよ、先輩は……」

 キスをすると、モモは自分から口を開いた。
 唾液を垂らすと喉を鳴らし、欲しがるように舌を俺の口に入れてきた。

「んっ、んくっ、れる、ちゅっ」

 キスをしながら、シャツを脱がせる。両手を上げて、モモは俺に協力してくれた。
 初めてみる彼女の裸。若さに弾けるような白くすべすべの肌に、花柄の凝ったレース編みのような模様が、胸をきらきらと覆っていた。

「……なんだこれは?」
「……タトゥーですけど?」
「嘘つけ、魔法はやめろ。卑怯だぞ、おっぱい見せろ!」
「や、やですよ。先輩、えっちな眼で見るじゃないですか」
「えっちな眼で見るのは仕方ないだろ、モモの裸がずっと見たかったんだから。俺をがっかりさせないでくれよ」
「……わかりました」

 モモの未成熟な胸を隠していた花柄の光魔法。
 それが砕け散るように消えて、控え目な胸がとうとう俺の前にさらされた。
 逆に焦らされた分、モモの控え目な胸が素敵なものに見えた。小さな桃色乳首も、ぷりっとした形も、可愛いじゃないか。

「触るぞ」
「はい」

 モモの胸は、ふにふにと頼りない感触をしていた。だけどその分、手のひらに貼りつくようで、エアリスの張りと瑞々しさの肌とは違った、モチモチとした気持ちよさだ。

「ん……」

 ずっと揉んでいると、モモの顔が徐々に赤らんでいく。
 俺は彼女を横たえ、下を脱がせにかかった。

「魔法で隠すのは禁止だからな」
「え、そんな、は、はい……」

 するりと、昼間たくさん揉ませてもらった尻をすべらせてパンツを脱がせる。
 モモのそこは、未成熟だった。具体的には、毛がほとんどなかった。
 真っ赤な顔を両手で覆って、モモは「死にたいくらい恥ずかしいです」と呟く。

「きれいだよ、本当に。俺に見せてくれてありがとな」
「…………」

 顔を隠していた手をのけてキスをする。モモは俺の首に腕を回して舌で応える。
 モモの股間に触れると、すでにそこは温かくなっていた。そういう体質なのか、処女とは思えないほどソコは濡れていた。

「もう入れるぞ」

 だったら、時間ばかりをかけても仕方ない。
 彼女の足を割って体を滑り込ませる。そして固くなった俺の先端を彼女のソコに合わせる。
 モモは、俺の顔をその場所を交互に見ながら、「本当にするんですか?」と聞いてきた。

「するよ。絶対に、モモとするからな」

 モモは、ぼすんと頭を打ちつけ、「……どうぞ」と顔を腕で覆った。
 ゆっくりと、彼女の中へ進んでいく。顔をしかめて痛そうな表情をしたが、初めてが痛いくらいは知っているらしく、ぐっと堪えている。
 さらに奥へ進んだ。エアリスのときも相当狭かったが、モモのはさらに狭い感じで、本当に入るのか俺自身すら心配になるくらいだ。

「んっ……くぅ……んんっ」

 でも、モモは俺を受け入れる覚悟をしている。
 俺が戸惑っている場合じゃなかった。角度を決めて、突き入れていく。モモが俺の腕にしがみつき、爪を立ててくる。俺は腰をうねらせ、さらにきつめに押し込んだ。モモが歯を鳴らし、反り返る。さらに強く。狭いテントの端へ追いやるくらいに強く、彼女の小さな体の中へ突き入れる。
 ブツンと何かを断ち切って、一気に中へ潜った。熱い液体に包まれたと思ったら、強烈な締め付けが襲ってきて、思わず呻いてしまった。

「いっ、いたっ……」

 モモはもっと大変みたいで、俺の手を掴んで震えていた。
 俺は彼女の顔を両手で挟んで撫でてやる。

「……ひぐっ……」

 モモはそのうち泣き出して、涙をボロボロ流しだす。俺はそれを指で拭ってやりながら、彼女が落ち着くのを待つ。

「み、みっともなくて、すみません……」
「いいって。初めてだったんだもんな?」

 こくんとモモは頷いて、自分の下腹部を見る。そして、顔を赤くする。

「……初めてでした。はい」

 血が少しにじんだ肌を、はちきれそうにさせて男を迎えた処女の跡地。
 こんな実習になるなんて、最初は想像もしていなかっただろう。だけど俺を見上げて、少し嬉しそうにはにかむ彼女に、後悔の色はない。

「まだ痛むか?」
「えっと、少しだけ」
「そうか」
「でも……少しだから、いいですよ」
「ん?」
「だ、だから、動いていいですよ、先輩」

 いちいち言わせるな、というようにモモは頬を赤らめる。
 その気持ちはありがたいけど、処女だった後輩に強直をねじ込んでおきながら、思うままに腰を動かしてやろうと思うほど、俺は冷血じゃない。
 だから、モモに動いてもらう。強制的に。

「モモ、さっき俺が、なんて催眠暗示したか覚えているか?」
「え……え、覚えてません」
「こう言ったんだ」

 ランタンを取って、炎を見せる。
 そして、彼女の記憶を呼び覚ます。

『モモは、俺とのセックスを落ち着いて迎える』
『そして痛みに慣れたあと、自分で腰を動かす』
『エアリスが毎晩おまえの目の前でしていたように、俺を喜ばせるために腰を使う』
『そのセックスに、おまえは悦びを感じてしまう』

 ゆっくりと、ぎこちなくモモの腰が動き出す。

「え? んっ、いたっ、んっ、やっ、なんで?」

 自分の意志とは関係なしに、エアリスの巧みな腰さばきを真似ようと、下手くそに腰を揺らしていた。

「いっ、いたいっ、なんで、勝手に、体が、腰が、動いちゃうぅ」
「ふっふっふっ。驚いたか。じつは、毎晩おまえのそばでエアリスを抱いてきたのは、このときのための伏線だったのだ」
「それ、伏線じゃないしっ、絶対、今思いついたやつだしっ。もう、むかつく、むかつくぅっ、やめさせてください、せんぱいっ」
「いやだね。超気持ちいいよ、モモ。おまえのオマンコ最高だよ。しかも健気に腰なんて振ってくれちゃって、先輩思いの良い後輩だな」
「バカ、バカバカバカっ、変態先輩、最低です!」
「でも悪い人じゃないんだよな、俺って?」
「極悪人です! 逮捕されちゃえばいいんです、あなたは! んっ、んっ、やっ、止めて、もぉ」
「あー、やべえ、じっとしているだけなのに気持ちいいー。だんだん上手くなってくな、おまえ」
「やだぁ、もう、さいあくー! なんで私、こんな人に処女あげちゃったのぉ!」

 毛布の擦れる音。モモの呼吸。ぷるぷると控えめに揺れる胸。
 やってやった。とうとうこの生意気な後輩に復讐してやった。
 嫌だ嫌だといいながらも、荒くなっていく吐息。胸を撫でてやると、切なそうな声をだした。

「も、もう、止めて、恥ずかしいです、先輩っ。止めてください!」
「止める? 動かしてるのはモモの方だぞ?」
「だから、催眠術、止めてください! 私、こんなこと、したくないっ」
「モモ、忘れたわけじゃないよな? 俺は最初に説明したはずだ。催眠術で肉体操作はできる。でも、絶対にやりたくないと本人が思っていることまでさせられない。お前は自分の意志で止められるんだ。俺とセックスがしたくないと本気で思ってるなら」
「…………」

 モモは思い出したような顔をして、そして、口を閉ざす。ゆさゆさと腰を揺すりながら、視線を動かしたり、真剣な顔をしたり、俺の腕にしがみついたり、いろんな集中を試みている。
 そして、ふにゃと泣き顔になって、涙をこぼした。

「先輩のばかぁ」

 じつを言うと、こっちが本当の伏線。『本当に嫌なことはさせられない』というウソを、彼女が最初に信じてしまったときから、絶対やってやろうと思っていた。
 モモは、俺とセックスしたいと、エアリスみたいに腰を振って俺と楽しみたいと、無意識に自分は思っているんだと勘違いしてしまった。そして俺に、それを見抜かれていると思い違いをしてしまった。
 そうなると、もうアへ顔するしかない。アホになってセックスを楽しむしかない。
 俺の前では、取り繕った顔なんて出来ないんだから。

「あぁぁ、気持ちいい、気持ちいいよぉ、せんぱいっ」
「モモ、唾飲むか?」
「飲むぅ。飲ませてぇ」

 俺が舌を伸ばすと、モモの方から吸い付いてきた。
 ちゅぱちゅぱを唾を飲んでしがみついてきた。
 モモの軽い体を、そのまま持ち上げる。昼間のキスみたいなポーズで、モモが動きやすいように座位でする。

「せんぱい、んっ、ちゅっ、せんぱいっ、あんんっ、ちゅっ、ちゅぴっ」

 モモはますます積極的に腰を使い、夢中になっていく。
 利発さとプライドで出来上がったような澄ました顔が、誰にも見せたことないだろうエロ顔になっている。
 俺の唇をちゅうちゅう吸って、腰を必死で動かして、セックスするために生まれてきたみたいに、乱れに乱れきっていた。
 モモのプリ尻を、手のひらでパァンと叩く。

「うひぃん!? せんぱい、せんぱいっ!」

 それを合図に、モモはますます腰を振り乱す。
 歯が当たろうがお構いなしに俺の口を吸って、しがみついてくる。

「せんひゃい、せんひゃ、んんっ、ちゅぶっ、気持ちいいっ、モモ、気持ちいいよぉ、ちゅぶぶっ、んひゃあ、せんぱぁい、あっ、あぁっ、せんぱぁい!」

 俺の方からも吸い付いて、モモのよだれを吸ってやる。目を回しながらモモはだらしなく笑い、舌をぺろぺろと伸ばしてくる。
 下からガンガンと腰を突いてやると、モモはびくんびくんと痙攣を起こし、意識を飛ばしてしまう。
 くったりと失神したモモの体を横たえ、のしかかってガンガン腰を使う。たまに痙攣するぐらいしか反応のなくなった彼女の体の中で、やがて俺も絶頂の予感に届く。

「モモ、起きろ」

 頬を叩き、白目を見せている彼女のアゴを揺らす。

「起きろ、モモ。もうすぐ終わるぞ。セックスが、終わる」
「ひゃ? せんぱ……あっ、あっ、あっ、まだ、してる、私、まだ、セックスしてたんだぁっ」
「あぁ、もうすぐだ。お前の子宮に、俺が射精する。その瞬間を、ちゃんと覚えておけ。俺とお前の、最初のセックスを、ちゃんと体と記憶に刻んでおけ」
「ひゃ、はっ、はい、せんぱいっ、んっ、あっ、せんぱいの射精、覚えますっ、あっ、強い、せんぱいの、オ……チン……ン、私の、中で、ずっと、大きくなって、あっ、あっ、あっ、あぁっ!」
「出るぞ、モモ!」
「はい! はい、せんぴゃい、せんぱ……んんんんッ!?」

 びしゃびしゃと、モモの膣の奥に、子宮に俺の精液がぶち当たる手ごたえがあった。
 モモは、しっかりと理性を残してそれを受け止め、歯を食いしばり、絶頂を耐える。

「んぎッ……あああああああぁぁッ!?」

 だが、その我慢もすぐに決壊し、大きく口を開けて絶叫する。膣をぎゅうぎゅうと収縮させ、体を思いきり仰け反らせた。

「あぁっ、あぁっ、あっ……あぁっ……あ……あん……」

 やがて、ぐったりと力が抜けて体が沈んでいく。俺はその上に覆いかぶさって、まだ息の荒いモモの小さな体を抱きしめる。
 どろどろに溶けて交じり合ってしまいそうなほど、俺たちは熱くなっていた。

「―――先輩に、私の秘密を教えてあげます」

 狭い毛布の中で裸の体をくっつけあい、そしていつもの憎まれ口で俺のことを罵り、つつき、キスをしたりしているうちに、やがて静かにモモは自分のことを語り始めた。

「私は、共和国との戦争で消えたマジアイ村の出身です」

 十年前の最初の戦争のとき、お互いの国境にあった地域ではいくつかの集落が犠牲になった。消えた村もあったと聞いた。モモはその村に住んでいたという。
 彼女は、小さな頃から光魔法を発現させていた。それも実用レベルで。
 攻撃魔法が特に強力で、村の開拓やモンスター退治に活躍することも一度や二度じゃなく、大人たちに天才児と持て囃され、本人も得意になっていたという。学校へ上がる年になれば、家族も連れて首都へ留学することがすでに決まっていた。
 やがて、戦争が起こった。ろくな戦闘力を持たない村の男たちは、モモを矢面に立たせて避難することにした。彼女も村を守るためと思って、アダルト共和国の兵士の前に立ちはだかり、光魔法を使った。
 そして、敵の一小隊を倒してしまった。多くの命を、一瞬で奪ってしまった。
 自分のしたことが恐ろしくなり、彼女は泣き出す。しかしまだまだ敵兵の迫る中、大人たちはモモに「もっとやれ」と叱る。
 モモは「いやだ」と泣いて暴れる。敵兵は迫る。大人たちは逃げまどいながら、必死にモモを叱り、叩く。
 気がつけば村は焼け落ち、家族はいなくなり、モモは村人から裏切り者と見られるようになっていた。
 そして、その後に首都から迎えに来た学院関係者に連れてこられて、今、ここにいるそうだ。

「私は、戦争が嫌いです。戦争をする国が嫌いです。兵士が嫌いです。大人が嫌いです。人殺しの自分のことが、大っ嫌いです」

 他に行く場所がないから学院にいる。でも将来、自分の魔法を戦争のために利用されるのは嫌だ。
 休みの日に、街の子どもに光魔法で人形劇をやってみせたらすごく喜ばれた。そういうささやかなことに自分の魔法を役立てていきたい。戦争のない場所で。
 モモはぽつりぽつりとそんな話をして、毛布に顔を埋めた。
 学生文化祭でコイツが『戦乙女』の芝居をめちゃくちゃにした理由も、なんとなく見当がついた。その反抗も、葛藤も、望んで得たわけでもない力や境遇に苦しむ気持ちも俺にはわかる気がした。
 でも。

「戦争のない世の中なんて、あるはずない。俺たちは卒業したら兵士になるし、モモの魔法も戦争に使われるんだ」
「……ですよねー」
「だけど、いつかモモのやりたいことが出来るようになるといいな」
「…………」

 それからも俺たちは話をした。いろんなことを話した。子供の頃にした遊びとか、学校でどの先生が面白いかとか、他愛のないことを。
 そのうち「こう見えても子ども好きなんです」とか、「帰ったら料理の勉強を始めるつもりです」とか、モモは自分の女子力をアピールし始め、なんの話だっけと思っているうちに、俺は眠っていた。
 次の日の朝、「女の子の話の途中で寝るなんて先輩は本当に無神経なモグラです」と、モモに怒られた。

 さて、いよいよ念願の3P本番だ。
 今夜で実習も最後の夜。そして俺の落としたスケベな女が二人。
 これで燃えない男はいない。

「あ、先輩。今夜は女子会なんで、こっち来ないでください。ていうかこっち見ないでください」
「すみません、レイニー様。モモが二人で話したいそうです。私も今後のために話しておきたいことがありますので、申し訳ありませんが今夜はご自分で処理していただけますか?」
「……はい」

 自分で処理なんてするか、バカ。
 仕方ないので、俺は実習に出て初めて男子テントで、キザオスと枕を並べる。

「まあ、仕方ないよ。女はおしゃべり好きだからね。僕の妹なんかも、可愛いんだけど甘えんぼうなのが玉にキズでね。家に帰ると僕にべったりで、一日中でもおしゃべりしたがるから、まいっちゃうんだ」

 そして昼夜逆転の男キザオスもしゃべり続けた。
 よほど退屈していたらしく、こんなにおしゃべりなヤツだったっけと思うくらい、キザオスの話は止まらなかった。
 こいつは俺のこと、友だちか何かと勘違いしてんのか?
 俺がこいつにかけた暗示は、『俺のことをバカにする気持ちを忘れる』っていうのと、『俺の頼みは何でも聞く』『俺のものは欲しがらない、奪わない』ってことだ。奴隷にして、めちゃくちゃなことやらせて恥かかせて復讐してやるつもりだったんだ。
 でも、たいしたことはできなかった。
 キザオスはいつも調子いいから、どんな命令しても要領よくこなしちゃう。おまけに爽やかなものだから、威張ってる俺の方がみっともなく思えてきちゃうんだ。
 ったく、これだからイケメンはズルいってんだよ。

「俺んちの兄貴って、何やらせても優秀で、弟思いの良い人なんだけど……正直言うと、俺ちょっと苦手で」

 気がついたら、俺もキザオスなんかに誰にも言ったことない秘密をしゃべっちゃってて、しかもキザオスったらワインを隠し持ってきてたりしたものだから、ちびちびと飲みながら、けっきょく朝まで男同士で語り合ってしまった。
 まあ、そんな感じで、俺たち4人の初実習は終わった。

< つづく >

感想を書く

メールアドレスが公開されることはありません。