(9)長い長い一日の始まり 翌朝は、前日とはうって変わって快晴だった。 木之下達3人は早々とホテルを後にすると、放射冷却で凍える町へと車を走らせた。 行き先は蘭子のアジトである。 “きつね”くん達の居たマンション
もっと読むカテゴリ:ドール・メイカー・カンパニー第3話
シティホテルのカンファレンス・ルーム……
その中の一番小さな一室で、今6人の男たちが会議テーブルに着いていた。
「さて……それじゃ、さっさと済ましてしまいましょうか」
男はそう言うと、鞄から1通の書類を取り出し相手に提示した。
ドールメイカー・カンパニー3 第2幕(8)
(8)下克上 川瀬が火照った体にバスローブを纏い風呂から出て行くと、ベッドの上では木之下がうつ伏せの美咲の体に圧し掛かっているところだった。 「どぉだぁ、木之下ぁ?貫通式は無事終了かぁ?」 備え付けの冷蔵庫から缶ビー
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(7)
(7)美咲の奸計(後編) 「チッ、チーフッ!ちょっと、やめて下さいっ!冗談じゃないっすよっ、銃を向けるなんてっ!」 木之下が必死に呼びかけた。 けれどそれに答える美咲の言葉は、2人に衝撃を与えた。 「誰が冗談などと言
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(6)
(6)美咲の奸計(前編) 暗い県道を1台のランクルが疾走していた。 運転しているのは美咲の部下、川瀬である。 尾行を気にしながら進路を小刻みに変えている。 しかしミラーに映るヘッドライトが完全に消え去ると、やがて
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(5)
(5)奪還 “きつね”くんは美咲の言葉を聞いて、すぐに諒子を振り返った。 すると時計を見上げていた諒子はワンテンポ置いて片手を広げる。 50分という意味だろう。 つまり美咲の仲間の突入までもう10分程度ということ
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(4)
(4)美咲の誤算(後編) 「わっ・・・凄いっ。もう効いてきたよっ」 若い男のその声が、美咲が最初に耳にした言葉だった。 ボンヤリしていたのはホンの一瞬である。 すぐに事態を思い出すと、美咲はパッと目を見開いた。 「
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(3)
(3)美咲の誤算(前編) 早々と夜の帳が降りた冬の街を、いつもどおりの騒音をまき散らしながらその電車は走り抜けていく。 夕方のラッシュで混み合うこの電車に、美咲は独りで乗り込んでいた。 けれど地味なコートを纏ったそ
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(2)
(2)渦中へ まるで蘭子の足跡をなぞるように、1台のランクルが高速を北上していた。 運転しているのは川瀬、助手席には木之下が座っている。 そして美咲はセカンドシートに独りでゆっくりと腰掛けながら、愛用のPCで蘭子の
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕(1)
(1)サルベージ 白神は目の前で繰り広げられる実験の進行を静かに見守っていた。 マジックミラー越しに見える部屋は、実験室というより保健室といった方が近い内装である。 そして白い清潔そうなシーツが敷かれた堅そうなベッ
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 第2幕プロローグ
第2幕 奈落 プロローグ 瞳の奥の罠 タン・・・タン・・・タン・・・ テーブルの下で男の足が微かにリズムを刻んでいる。 向いに座る女の耳にもその音は届いていたが、しかしそれが意識にのぼる事は無かった。 まるで
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (6)
(6)取引 部屋の真ん中で生臭い匂いを発散させながら、5人の男達が絡み合っている。 蘭子は目の前で開始されたその狂態をチラッとだけ見ると、すぐにプイッと視線を逸らした。 ヤクザ達には相応しい復讐だったが、その光景は
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (5)
(5)復活! 道を行く軽トラックの音・・・ 蘭子がふと目を覚ますと、最初に耳に飛び込んできたのがそれだった。 ゆっくりと視線を巡らす。 すると薄暗い部屋の天井が見えた。 もうすっかり見慣れた監禁部屋の天井である
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (4)
(4)女衒 あの日から、一体何日経ったのだろう・・・ 蘭子はベッドの上で気が付くと、ボンヤリとそう思った。 しかし、疾うに日にちを数えることを諦めてしまっている蘭子には、もうその答えを探ることは出来なかった。 荒
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (3)
(3)調教 事務所のある市街地から車で1時間ほど北上したところにその村はあった。 山沿いの集落で、今は僅かな老人を除いて殆ど暮らす者もいない典型的な過疎の村である。 その村の中でも一番の山沿い、最も外れにある1軒の
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (2)
(2)罠 1台の真っ赤なセラが高速を北上していた。 冬とはいえウィークディの昼下がり、さすがにスキーやボードを載せた車はあまり目につかない。 代わりに見かけるのは荷物を満載したトラックや観光バスばかりであり、その可
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 (1)
(1)プライド その町の中心もやはり官庁街だった。 県庁舎を中心にオフィス・ビルが立ち並び、最寄の駅の周りには、デパートとシティホテルがどこかで見たような配置で聳え立っている。 どんよりと曇った冬のある朝、多くのサ
もっと読むドールメイカー・カンパニー3 プロローグ
第1幕 魔女の屈辱 プロローグ 契約締結 シティホテルのカンファレンス・ルーム・・・ その中の一番小さな一室で、今6人の男たちが会議テーブルに着いていた。 3人ずつ、2組に分かれ向き合っている。 しかし、どうにも
もっと読む