中編 - 1 - 俺が今いるラーデック王国は、南北に長いのが特徴の国だ。 北はモーゼス大森林、南は死の砂漠まで、広がっている。 これだけ広いと文化も北と南で随分と違う。 税の取り立てひとつでも各地によって方法が異
もっと読む「ファンタジー」
魔法の指輪 前編
前編 - 序章 - 「ば、ばかな・・・・」 俺の剣が深々と魔法使いの胸にささったときの、それがやつのセリフだった。 そして、それが最後の言葉となった。 倒れ付した魔法使いに念のため、とどめを刺しておいて体をあらため
もっと読むイルス物語 1章 (3)
- 3 - 確かに戦闘は終結した。 でも、こんな終結の仕方を望んだものがいたかどうかはなはだ疑わしい。 その日のことを人生の中における最大の汚点として、永久に記憶の中から抹消してしまいたい。 たぶんこの戦闘に参加
もっと読むイルス物語 1章 出会い(1)(2)
1章 出会い(あるいは腐れ縁の始まり) - 1 - セネガルド大陸中西部。 そこにハーン神聖王国はあった。 太陽神レゼをまつる国である。 この国の王は神官王と呼ばれ、政治と宗教が密接に関わっている国である。
もっと読む黒衣の魔法使い
- 1 - そこは、リムルスーン共和国の一地方都市の中でも、ならず者が集まるという評判の酒場だった。怪しい煙が充満した室内に、これまた怪しげな客が顔を突き合わせてなにかを囁きあっている。 そんな中、ならず者と比べても
もっと読むMIND VAMPIRE 第三章 「再会と裏切り」
暗い通路の緩やかな下り坂を二つの人影が下りていく。そのうち片方の手にはたいまつが握られていた。ゆらりゆらりと揺れる真っ赤な炎は二人の進行方向をほんの少ししか照らし出してはくれない。 たいまつを持ち、前を歩いている
もっと読むMIND VAMPIRE 第二章 「悦び」
その男、マリク・マーキスは強力なマインドヴァンパイアである。 かつては地上で人間の魂を好きなだけ貪った彼であったが、ある日突然、地中深くにその身を隠してしまった。 確かに地上では食事に困らない。だが煩わしい人間達は
もっと読むMIND VAMPIRE 第一章 「闇の住人」
遠くから獣のものらしき咆哮が何度も聞こえてくる。 その度に壁に落ちた細い影がビクッと震えた。 「早く、早くみんなを見つけなくちゃ……」 影の主、セシル・アングラードは自分に言い聞かせるように呟いた。もし魔物に遭遇し
もっと読む晶月の姫巫女 後編
- 2 - あれは、いつのことだっただろうか。たしか、15歳の誕生日を盛大に祝って頂いた後だと思うのだけど、アード様が勉強の息抜きにと、お庭の散歩に連れて行ってくれた。あの頃の私は、アード様がそばにいてくれるのが、息を
もっと読む晶月の姫巫女 前編
- 1 - 山と湖に囲まれしソーサリー王国・・・そこには、あまりの美しさに神の巫女として民に愛された姫がいた。姫も民を慈しみ、姫が女王として即位した暁には、この王国は千年の安泰を約束されるであろうと、城下では誰もが信じ
もっと読むイルス物語 序章 女神隷従?
序章 女神隷従? まったく一点の曇りのない空にむけてまるで雲の変わりに、とでもいうように真っ白な斜面が続いている。 つもった雪はそれほど深くはなく所々岩が顔をだしていたし、点々と生えている木々の様子からも見てとれた
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