FILE 2 「はっ、くっ、……うっ」 尋問室にうめき声が流れていく。 まだ囚人服の上からゆっくりと揉み上げているだけだ。 エミリアは苦しそうに眉を歪めて、歯を食いしばっている。しかしそれでも歯の隙間から声が漏れる
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帝国軍特別女子収容所 FILE 1
FILE 1 机の上を写真が滑ってきた。 「エミリア=エルセラン。レジスタンスのサハ地区リーダーとされる女だ」 でっぷりと太ったワッツ将軍が苦い顔で言う。 「いい女ですね。レジスタンスにしておくのは勿体無い」 数ヶ
もっと読む相川さんの楽しい世界
――プロローグ・彼と彼女のリハーサル―― 男は狂っていた。理由はない。いつ狂ったのかもどこで狂ったのかも覚えていない。産まれたときから狂っていたのかもしれないし、男が知らないだけで何か凄絶なきっかけがあったのかもしれな
もっと読む彼と彼女のせかいせーふく 後編 倉木 雄
後編 倉木 雄 * 作者注。こちらはこの物語のネタバレを含んだパートです。こちらからクリックされました方は、先に「彼と彼女のせかいせーふく、後編・倉木 優」編を読まれることをお勧めします。 日が沈み、夜が訪れた。
もっと読む彼と彼女のせかいせーふく 後編 倉木 優
後編 倉木 優 諸君、私は快楽に屈服する美少女が好きだ 諸君、私は快楽に屈服する美少女が大好きだ 吐息が好きだ 視線が好きだ 表情が好きだ 匂いが好きだ うなじが好きだ あえぎ声が好きだ 脱ぎかけの下
もっと読む彼と彼女のせかいせーふく 前編
前編 「ホホホホ、オホホホホホホホホホホホ」 女がけたましく笑った。 白衣姿だ。年は、若い。 笑っていなければ、おおよそ美人の範疇に入る容姿であった。 女は、男を見下ろしている。 男はこの話の主人公こと、倉
もっと読む望み 第五話:吉岡 義男
第五話:玉川 義男 今日も義男は豊子の家にいた。このところ毎日のように顔を出している。 義男がいつ顔を出しても、豊子はいて、義男を迎えてくれる。 初めは依子に連れてきてもらっていたが、そのうち義男は一人でも豊子のと
もっと読む望み 第四話:玉川 豊子
第四話:玉川 豊子 キーンコーンカーンコーン。 「あー、終わった、終わったーっ」 義男はぐっと伸びをして、凝り固まった筋肉をほぐす。 首を振って、こきこきと鳴らすと席を立ち上がった。 「部活に行くかーっ」 そう言
もっと読む望み 第三話:玉川 依子
第三話:玉川 依子 あれから数日が経った。 どうやら、楠はちゃんと思い出せないようで俺を見ても怯えることはなくなった。 一時はどうなることかと思ったが、これで安心だ。 「おい」 突然、声をかけられて振り向くと、そ
もっと読む望み 第二話:楠 風音
第二話:楠 風音 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 学校を出るなり走って帰ってきた。 こみ上げてくるうれしさがたまらなかった。 家に帰ると、ソファーに身を預け、薬の瓶を眺め見る。 すげぇ、すげぇよあんちゃん。
もっと読む望み 第一話:あんちゃん
第一話:あんちゃん ある秋の日のことだった。 俺の前にこれが転がり込んできたのは。 持ってきたのはあんちゃんだった。 部活が終わって、家への帰り道。ばったりとあんちゃんにあった。 あわなくなったのは一体いつ
もっと読む夜狐燈籠草紙
人が心から恋をするのはただ一度だけである。それが初恋だ。 by ブリュイエール 第一幕 「綾音」 夜――― 満月の下。 グチャッグチャッ・・・・・・ 「くそっくそっ・・・あぁ、もう!!」 郊外のはずれ・・
もっと読む温泉宿
あ~あ、女三人で温泉になんか来るんじゃなかったよ。 そりゃあ世間は温泉ブームとかいって、女性客を狙った温泉は雑誌とかでもたくさん紹介されている。 それなりにお洒落な温泉地もあるし、若い女性のグループでも安心して旅行
もっと読む琴音の店
琴音の店を訪れるのは久しぶりである。東京都内でも有数の盛り場の一角に、彼女の店が入居している雑居ビルがある。 ビルの前の通りでは、花売りの婆が商売をしていた。ちょうどいい、俺は適当な花束をみつくろって金を払った。
もっと読むくノ一伝 胡蝶 ~ 壱の巻 ~
胡蝶 ~ 壱の巻 ~ チリン、チリーン・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「はぁはぁはぁはぁ・ ・ ・」 暗い竹林を一人の白い忍者服をまとうくノ一が走る。 『いいかげん諦めたらどうだ?』 どこからともな
もっと読む夜狐燈籠草紙 弐巻
人生における無上の幸福は、自分が愛されているという確信である。 by ユーゴー 第一幕 「現世 ウツシヨ」 この時期、朝は冷えこむ。 午前6時前―――。 習慣でこの時間には目が覚め、目覚し時計を止める。
もっと読む胸の中の、ちいさな…
《序》 お母さんがいなくなって、黒い服をきたおとなの人が、たくさんウチにやってきた。 「ですから、皐月(さつき)は、私が引き取ります……」 「ふざけないでっ。いまさら出てきて、父親ヅラするんじゃあないわよっ。だいたいあ
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