ジリジリと肉体を蝕む、日光の中、俺――伊藤清吾は歩き続けた。
 まあ、仕方がない。俺はつい先日、人間を辞めたのだから。
 とはいえ、人間辞めても『イトウセイゴ』を放棄する気は、さらさらない。
 と、いうわけで……俺は普段の通学路を、普段を上回るかったるさを感じながら歩いていた。

Bloody heart 八話

八話 「んっ……ぐっ……ぁ」  首筋に突き立てた牙が、容赦なくその生き血を啜りあげて行くと同時に、快楽を伴ないながら従属と支配の毒を送り込む。  ガクガクと快楽に震えながら、愛液と母乳を漏らす佐奈の体を抱きしめつつ、俺は

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Bloody heart 七.二話

七.二話 「ここは……」  椎野に抱えられて辿り着いた、木造二階建ての安アパートの二階。  そこの一室に降り立って、景色を見た瞬間。 「……痛っ!!」  激しい頭痛が走り、俺は思わずその場に立ちすくんだ。 「セイ君……」

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Bloody heart 七.一話

七.一話 「っ!!」  四点式の本格的なシートベルトのついた車に、生まれて初めて乗せられた俺は、発進直後にその装置の意味を知った。  真っ赤なスポーツカー……特徴的なフォルムとエンジン音からマツダのRX-7だとはすぐに分

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Bloody heart 七話

七話 「……えへへへ♪」  穏やかな笑顔を浮かべ、布団の中で、佐奈が体を寄せてぴったりとくっついてくる。 「どうした、佐奈?」  甘えてくる佐奈の頭を、やさしく撫でてやると、本当に幸せそうに目を細めた。 「あのね……あっ

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Bloody heart 六.一話

六.一話 「しっかし……」  俺は、遠藤の今の姿を見た感想を、素直に口にした。 「相変わらずコスプレじみた格好がメチャクチャ似合うな。中学の文化祭の『コスプレ喫茶』の事件を思い出すよ」  さて、以前何かの折にも触れたかも

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Bloody heart 六話

六話 「納得いかない」  ナタリアが学校に通い始めて最初の休み時間。 「え?」 「いや、激しく納得いかないんだけど、ちょっと質問に答えてくれないかな?」  転校生という珍獣を見る視線も意に介さず、ナタリアの奴が俺に食って

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Bloody heart 五.一話

五.一話 「さて、どうしたものやら」  大和の主砲で消し飛んだ裏山を見ながら、俺は途方にくれていた。  いや、まいった。マジで。いろんな意味で。  だって……大和だぞ? 戦艦大和だぞ?  小学生くらいのガキの頃、御先祖様

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Bloody heart 五話

五話 「一点、一点、一点、こちらが二点……以上、一二点で合計、二千飛んで三四円になります」  精一杯の営業スマイルを浮かべながら、夕食の買出しに来たオバハンから、千円札二枚と五〇円玉を受け取る。 「ありがとうございます、

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Bloody heart 四話

四話 「ちゅぷっ……ちゅぽっ……んっ……」  股間を蠢く感触に、意識が覚醒していく。  朝。  吸血鬼にとって本来睡眠の時間だが、学生生活を営む伊藤清吾にとっては、通学の時間だ。  起きなくてはいけない。  そうおもった

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Bloody heart 三話

三話 「アスカ・ヴァレンシュタインです。よろしくお願いします」  朝のHR。  教壇に立つ、金髪の美少女は、深々と一礼し…… 「そして、さようなら」  次の瞬間、俺と佐奈に向かって『予想どおり』懐から拳銃を抜き放ち、発砲

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Bloody heart 二話

二話 「……熱い」  日光の下を歩く事が、これほど鬱陶しい事とは、思わなかった。 「ちくしょう、残りの学生生活、延々とコレ繰り返せってのか」  ジリジリと肉体を蝕む、日光の中、俺――伊藤清吾は歩き続けた。  まあ、仕方が

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Bloody heart 一話

一話 「では、2-Cの出し物は、お化け屋敷に決定します」  『おばけ屋敷』と、白いチョークで黒板に書かれた文字の上に赤いマルが描かれ、拍手とブーイングが教室を満たした。 「あー、マージーカーヨー。ゼッテーコスプレ喫茶店だ

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