第2部の前に 第1部のあらすじ 魔界で、退屈を持て余しながらも下僕の女悪魔たちを相手にだらだらと日常を過ごしていたシトリーは、ある日、魔界の上層部からの呼び出しを受けた。宮殿に赴いたシトリーは、その場で人間界への潜入工作
もっと読む「ファンタジー」
サイの血族 25
51 「あんたバッカじゃないの? 自分が言ってることわかってる?」 絵実が呆れた声で言った。 あれから隼人も気を失うように眠ってしまい、夜が明けて目を覚ました由美の悲鳴が全員を起こしたのだった。あわてて隼人は由美に「
もっと読むサイの血族 24
50 一陣の旋風のようだった。 気がついたときには「ドサッ」と音を立てて絵実が倒れていた。 蒲郡の夜から五日目。桑名市を通り過ぎて、なにもない田舎道を歩いているときのことだった。 保奈美の快感を送り込まれた亜実と
もっと読むサイの血族 23
49 「すごい一日だったなぁ・・・」 ふかふかのベッドに座って隼人は心底疲れたように言った。 蒲郡にあるテーマパークに併設されたホテルに三人はチェックインした。いや、チェックインという言葉は正確じゃない。フロントで亜
もっと読むサイの血族 22
48 「ほんっとムカつく!」 絵実は早足で歩きながらそう言った。 隼人はそのプリプリと動くヒップを後ろから眺めながらついて行く。 「絵実、そんなに急いだら結界が・・・」 亜実がそれを制すように言う。 「だって・・・
もっと読む黄金の日々 第1部 エピローグ
第1部 エピローグ ヘルウェティアの王宮、広間。 意識を失って床に倒れているシトリーと、クラウディア、リディア、ピュラ、シンシア、フレデガンドの5人の女たち。 それを護衛するように取り囲んでいるのは、エルフリーデと
もっと読む黄金の日々 第1部 第9話 後編
第1部 第9話 後編 「お初にお目にかかります、女王様。僕の名はシトリー。しがない悪魔です。本日はこの国をいただきに参上しました」 自らシトリーと名乗り、大仰に頭を下げる黒髪の悪魔。 しかし、慇懃無礼とでも言うのだろ
もっと読む黄金の日々 第1部 第9話 前編
第1部 第9話 前編 数日後。 王宮、クラウディアの私室。 「よろしいですか、クラウディア様?」 ノックの音と共に、ドアの外から声が聞こえた。 その声の主を彼女が誤るはずがない。彼女の魔術の師、魔導長のピュラだ。
もっと読む夢を叶えるディギトゥス・マヌス 第2話
第2話 転落 あれはまだ小学校に入学したての頃――光希はジャマイカ・モンテゴベイのホテルビーチで羽を伸ばしていた。 自分をバカンスに連れだしたのは、もちろん爺ちゃん。 光希はバカンス中の爺ちゃんのことを思いかえす。
もっと読むサイの血族 21
45 「あれまあ、どうしたんだい?」 泥だらけの服を着ている隼人を見て饅頭屋のお婆さんが言った。 「あっ、境内で足を滑らせちゃって。ちょっと休ませてください」 総門を出てホッとした隼人は疲れを感じてそう言った。「サイ
もっと読むサイの血族 20
44 二日間歩き続けた。 毒気が抜けたというか、すべてを亜希子に注ぎ込んでしまったというか、街行く女に心を奪われることなく隼人は吉野を目指した。単に疲れて欲望が起きなかったと言えばそれまでだが。 その間、隼人は「サ
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 5
第1部 第8話 5 翌日。 「それでは、私はこれで護衛の任務を交替させていただきます、クラウディア様」 「ええ。お疲れさま、フレダ」 「はっ!」 直立不動の姿勢で敬礼をすると、フレデガンドはクラウディアの前を辞す。
もっと読むサイの血族 19
41 新しいアイテムを手に入れたと頭の中の声が告げていた。 しかし、どのようなものかは教えてくれない。そのときになったらわかると言うのだ。 どんな能力か楽しみになった隼人は歩を早める。梨花がくれたリストの中にあった
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 4
第1部 第8話 4 また……あの夢だ……。 気がつけば、フレデガンドはまたあの空間にいた。 目の前でマクシミリアンとエルフリーデが抱き合って口づけを交わしていた。 そればかりではない。この日はエルフリーデの服が大
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 3
第1部 第8話 3 フローレンスの街、フラウデンブルグ伯爵の屋敷。 「お父様、ただいま戻りました」 「おかえり、ジュスティーナ」 読んでいた本から視線を上げ、屋敷に戻ってきた愛娘を見て、現在の当主であるオットーは目を
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 2
第1部 第8話 2 「何かあったの、フレダ?」 その日、護衛の任に就くために参上したフレデガンドの様子がおかしいことにクラウディアはすぐ気付いた。 心なしか表情が暗く沈んでいるし、その周囲の空気までもがぴりぴりと張り
もっと読む黄金の日々 第1部 第8話 1
第1部 第8話 1 2週間後。 シトリーが予想していたのより数日遅れて、騎士団がようやく邪教討伐から王都に戻ってきた。 討伐に成功した旨は、一足早く早馬で知らされていたため、凱旋ムードの中、騎士団は都に迎え入れられ
もっと読むサイの血族 18
39 空腹に気づいた隼人は後悔した。 行き当たりばったりで美香と彩を抱いてしまい前後のことを考えていなかった。もう時刻は夕方に近い。今夜の宿を確保しなければならないし、食事もしなければならない。でも疲れのせいか「サイ
もっと読むサイの血族 17
38 嫌な場面に遭遇してしまった。 昨夜、麻衣と過ごした時間が楽しかっただけに隼人はうんざりした気分になった。 あれから意識が戻った麻衣は初体験のことや、梨花との複雑な関係について、いろいろと話してくれた。姉妹のプ
もっと読むサイの血族 16
37 不思議な体験だった。自分の能力をも含めて世の中には裏というか底知れぬものがあるのだと思った。貴重な体験だが夢のようにも感じる。隼人は黙々と歩き続けた。 島田市に着いたのは日が暮れてだった。昔は東海道の要所として
もっと読む黄金の日々 第1部 第7話 後編
第1部 第7話 後編 教会、アンナの部屋。 (なんだって?あの特務室の女がリディアの部屋を?) 午前中のうちに早速、シトリーにピュラから報告が入る。 (はい。昨夜、リディアの部屋の中を捜索していたようです) (なぜだ
もっと読む黄金の日々 第1部 第7話 前編
第1部 第7話 前編 フローレンスの街。魔導院、王都特務室。 王都特務室は、都で発生する様々な事件や犯罪、特に、魔法や魔物、精霊などの関わる案件を解決するための部門である。今の世界でいえば、警察のような役割を担ってい
もっと読む魔本物語 転章
転章 「うふふふ!ああ!やっぱりいい!一気に風格が出てきたわ。さすが私のおまんことあなたのチンポね!」 アルフィーナは、魔本に押し付けられた、チンポが入ったままのマンコの拓を嬉しそうに眺めていた。 「……よかったわね。
もっと読む魔本物語 第7話
第7話 「アルフィーナ様~♪おマン茶の準備ができました~♪」 「ダメ!全然ダメよ!もっといやらしく!もっと嬉しい感情をこめて!簡単でしょ?」 「いや……。うまく真似てるつもりなんだけど……それに私に感情が無いって知ってる
もっと読む黄金の日々 第1部 第6話 後編
第1部 第6話 後編 都で、教会のスキャンダルから大主教が辞任した数日後のこと。 王国騎士団からなる邪教討伐隊が、ようやくキエーザの村にたどり着いたのだった。 キエーザから都までの行程を少人数で移動していたシトリー
もっと読むサイの血族 15
36 翌朝早く隼人は杏奈の家を出た。そうしないと長居してしまいそうだった。頭の中の声も「急げ」と告げていた。それに、もっと女を抱かなければ修行にならないらしい。隼人は島田というところを目指した。なぜなら梨花が渡したメモ
もっと読む黄金の日々 第1部 第6話 前編
第1部 第6話 前編 朝、フローレンスの街、スラム。 「そこのあなた。ちょっといいですか?」 そう呼び止める声に、仕事を終えてようやく帰ってきたスザンナの足が止まった。 振り向くと、聖職者の衣装に身を包んだ金髪の女
もっと読むサイの血族 14
33 「ちょっと待ちな」 凄味を利かせた声が背後から聞こえた。 コンビニで飲み物を買って出てきた隼人に女が声をかけたのだ。 振り向いてみると自動ドアの脇でウンコ座りをしている。脱色した髪は根本が黒くプリン状態、いか
もっと読む魔本物語 第6話
第6話 「ですから、本来はいているはずを下着をなぜつけておられないのかと聞いております。後できれば、股の陰毛が、ぼうぼうの上、所々はげていることも説明して頂けますか?」 宮庁官は、激怒するのではなく、冷静に質問を投げか
もっと読む魔本物語 第5話
第5話 なぜなら、……目の前にいる新しいメイドというのは、メイド服を着た魔本だったからだ。 「これからよろしくおねがいしま~す。アルフィーナ様」 あっけにとられ、何も言えないでいると、宮長官は予定通り、新人の仕事をチ
もっと読むサイの血族 13
31 「あなた、お母さんとなにしたのよ!」 キッチンで一緒に朝食の支度をしている隼人と服部早苗を見て奈緒が叫ぶように言った。 ひと目で濃厚な関係を結んだのがわかるほど二人が漂わせる雰囲気は親密なものだった。 いや、
もっと読む魔本物語 第4話
第4話 とある国の王宮の一室、そこで、姫と数人の貴族が会議をしていた。だが、その雰囲気は重苦しい。 その理由として、進めている議題が行き詰っていたからだ。だがそれより何より室内の中心にいる人物が、かなり不機嫌だという
もっと読む黄金の日々 第1部 第5話 リディア
第1部 第5話 リディア 部屋のドアをノックする音が聞こえた。 わたしは、読んでいた魔導書から顔を上げる。 誰が来たのかわからないけれど、やっぱり人と顔を合わせるのは気が重い。でも、そう言ってもいられない。 わた
もっと読む魔本物語 第3話
第3話 「ごめんなさい! ひっく! ごめんなさぁあいい! もうしないからあぁ!!」 まったく泣き止む様子のないアルフィーナを見た男たちは、何とか泣き止ませることはできないかと、方法を考え出した。 すると、おマンコに手
もっと読む黄金の日々 第1部 第5話 シトリー
第1部 第5話 シトリー 魔導院に数ある塔の一室。本ばかりで、何の飾りもない殺風景な部屋の中で魔導書を読み耽る、黒のローブに身を包んだひとりの少女。 年の頃は、17、8といったところだろうか。やや短めの灰色の髪が落ち
もっと読む魔本物語 第2話
第2話 今宵も、国の誇りと褒め称えられた姫は、魔本によって操られる。自らが描いたみだらな物語の主人公として。 「は~い。アルフィーナちゃん。気持ちよかったかな? 衆人観衆が見てる中、いきなりおしっこ噴出すなんて。はした
もっと読む黄金の日々 第1部 第5話 視点選択
第1部 第5話 視点選択 小さい頃からひとりぼっちだった。 村の人たちは誰も私の相手をしてくれなかった。すべては私が悪いのはわかっていた。 父さんも母さんも、濃い茶色の髪に黒い瞳なのに、灰色の髪に青い瞳のわたしがい
もっと読む魔本物語 第1話
第1話 とある昔、平和な国があった。 聡明な王、気品あふれる優しい王女、忠誠心あふれる優秀な家臣たち。 何の憂いも、問題も無いこの国で最近あるうわさが流れていた。 「深夜、鏡を除くと、淫魔が写り、はしたない姿を見せ
もっと読むサイの血族 12
29 ひと休みした隼人は結花と奈緒を屋内まで運んだ。 庭に面するロビーに服部早苗がふたりの寝床を用意していた。 「どうぞ、湯浴みを」 服部早苗に言われて、汗と体液でベトベトになった身体に隼人は気づいた。 「驚きまし
もっと読む黄金の日々 第1部 第4話 後編
第1部 第4話 後編 目を閉じると、今でも母の眩しい笑顔がまぶたの裏に浮かんでくる。 限りない愛情を自分に注いでくれた母。そんな母は、よく神に祈りを捧げていた。 自分が聖職者になったのも、きっと、毎日神に向かって祈
もっと読むサイの血族 11
27 「どうして? あたしは嫌!」 学校から帰ってきた奈緒はそう叫んだ。 特徴のあるセーラー服姿でラクロスのラケットにバッグをぶら下げている。腰のところで巻き上げているのか、スカートはかなり短く膝上から15センチくら
もっと読む黄金の日々 第1部 第4話 前編
第1部 第4話 前編 ヘルウェティアの都、フローレンス。 朝早くに教会を訪れたのは、王国騎士団に所属するひとりの女騎士。そして、その後ろに従っているのは、ふたりの少女。 女騎士は、その同行者を教会の者に引き渡す。
もっと読むサイの血族 10
25 「あのさ、不思議に思うんだけど・・・」 「なにが?」 「僕が『サイ』をもっと別なことに使えば大変なことになると思うんだ」 「どういうこと?」 「たとえば、この場所。見ず知らずの人の部屋を使ってる。ちょっと探したら高
もっと読むサイの血族 9
23 「ただいま~。あら、お客さんなの?」 見慣れぬスニーカーを見つけたからか、玄関から若くて元気な声がした。 老婆の話を聞きはじめてから1時間ほどが経っていた。 「おかえり、結花。こっちへおいで」 「いらっしゃいま
もっと読むサイの血族 8
22 「行っちゃうんだね・・・」 荷物をまとめる隼人を見て南川琴音が言った。 「うん。琴音と一緒になるためには力を完全なものにしなきゃならない。そうしないとサイの一族として生きられないからね。琴音のために僕は行くんだ」
もっと読むサイの血族 7
19 隼人は服を着て南川琴音の傍らに座った。 目を覚ますのを見届けてから出ていくつもりだった。 もし目を覚まさなかったら雄大に助けを求めるしかない。それは旅の終わりを意味している。雄大と葉月の力を借りた時点で跡継ぎ
もっと読む夢を叶えるディギトゥス・マヌス 第1話
第1話 Pilot 「エル。光希はこっちの世界に来ると思う?」 「さあ、わたしにはなんとも」 彼女のそばにいたメイドはそっけなく返す。 「でも可能性はあるわけじゃない?」 「はい。可能性はゼロではありません」 「そっか
もっと読むサイの血族 6
17 品川には1時間とちょっとで着いた。 海の方の出口と南川琴音に聞いていたので港南口にまわる。 真新しいビルが建ち並ぶ無機質な街だった。 チェーン展開をしているコーヒーショップに入りエスプレッソを頼んだ。 席
もっと読むサイの血族 5
12 「梨花さん、ちょっと学校に用事があるから行ってくるけど、また戻ってくるから」 そう言い残して隼人はリカを出る。 長谷川恭子にショーツを返さなければならない。コレクションくらいの気持ちだったが、雄大の話を聞いてか
もっと読むサイの血族 4
11 「ここのコーヒーすごくおいしいんだ」 隼人は南川琴音にそう言った。 「泡立ってるね」 南川琴音はカップを覗き込んで言う。 「エスプレッソだよ。高圧で抽出するから濃いんだけど、慣れるとやめられない。イタリアでは食
もっと読む