第四話 暗闇の中で、耳に微かな音が聞こえる。 ざぁ、ざぁ、という小さなさざめき。これは…波の音だろうか? ふいに暗闇の中に眩しさを感じたボクは、ずっと閉じていた瞳を開いた。 「…?…あれ?」 重い身体をゆっくりと
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天使のチカラ 第三話
第三話 「…ん?」 ボクが綾姉ちゃんに切ってもらったスイカを頬張っていると、携帯の着信音が鳴った。 「誰から?」 「…宗佑だ。…はい、もしもし?」 電話を取ると、宗佑の声が聞こえる。 「おう、修。体調はどうだ?」 「
もっと読む天使のチカラ 第二話
第二話 「…どうしたの?修」 「…え?」 ジュースを手渡すと、楓はプルタブを開けながら唐突にボクに聞いてきた。 …ボクと宗佑は合流した後、海から上がってきた楓と恭子ちゃんと合流。 砂浜でパラソルを開いて、その下で休
もっと読む天使のチカラ 第一話
第一話 ―――ボクはいつの間にか、暗闇の中にいたんだ。 まるで、覚めない夢の中にいるような…とてつもない不安と、焦りと、悲しみ。 …でも、心配はいらないはずだ。 覚めない夢はない。この暗闇の悪夢だって、きっといつ
もっと読む天使のチカラ プロローグ
プロローグ ――― ガタン。 ―――――― ガタン、ガタン。 心地よい揺れに揺られボクは眠ってしまっていて、いつの間にか夢を見ていた。 それは、真っ暗闇。瞼を閉じた時の暗闇が、どこまでもひたすら続いていて…。
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 11話
十一話 エピローグ …あれから、数日が経った。 「あれ」というのは…屋上で、奈月と対決をして、勝利したあの夜から。 あの後の処理は正直大変だった。 使わせてもらった数人の男女の様子におかしいところはない。正直、何か
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 10話
十話 勝利の後に … … …。 学校の勉強なんて、欠伸が出た。 一度教わったコトはキチンと頭に入れて、テストで完璧に答える。逆に言えばそれだけのコトが出来れば、世の中の人間はボクを「天才」と崇めてくれた。 塾で教
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 9話
九話 夜は終わりを向かえ 俺は腕時計を見る。 …時刻は同じ。昨日と全く同じ時間に長針と短針が合っている。 昨日と同じような月明かりのさす夜。相変わらず不気味なほどに静かな夜の大学構内。 …ただ、人は確かに存在する
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 8話
八話 決戦は謎のままに 俺は階段を全速力で駆け上がる。慣れない運動のせいで息切れも動悸も激しいが、そんなことに構ってはいられなかった。 早く知りたい。真実を知りたい。それは怖くもあった。…しかし、俺は真実を知らなけれ
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 7話
七話 謎は徐々に明白に カチ、カチ、カチ。 むしゃむしゃむしゃむしゃ。 六畳の居間には時計の秒針の音と奈月がミカンを食べる音だけが聞こえていた。 美味しそうにそれを頬張る奈月と対して、俺は額の汗を拭いながらただた
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 6話
六話 日常の崩壊は突然に 「… … げ。」 携帯電話のディスプレイを見て開口一番。俺は口をあんぐり開けて固まる。 「…ん?どーしたんですか?先輩。」 その様子に気付いた様子で、後ろに並んでいた春香が携帯の画面を俺の背
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 5話
五話 物色はなんとなく大胆に 歩行者用の信号が青に変わるのを見ると、人々が一斉に歩き出す。 もう夜も近いか。日がオレンジ色に変わり、次第に暗くもなってくるだろう。 心地よい秋風がビルの間を通り、少し強めに通っていく
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 4話
四話 初の部活は盛大に 「俺は…みんなを守るッ!!変身!!」 まばゆい発光と共に、彼は徐々にその姿を異形に変えていった。風が吹き荒ぶ断崖。異形の姿になった彼を、女は抱き止める。 「いやッ…行かないで!!貴方が死んだ
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 3話
三話 侵攻は徐々に確実に 「さ、此処が今日から私達の部室でーすっ!!じゃーん!!」 悠希がドアを勢いよく開くと、一面灰色の何もない空間が広がっていた。 しかし、それでも、今日から此処が俺達の活動の場となれる。こんなに
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 2話
二話 出会いはあまりにも偶然に あれから、一週間くらい経っただろうか。 『あれ』というのは勿論… あの日。学校で起こった…性格に言えば、起こした事。 悠希の精神を使って、コイツの性能を試した日だ。 あの日から、コ
もっと読むハート・ハック・クラッシャー 1話
一話 始まりは驚くくらい唐突に ピンポーン… この音は…なんだっけ… ええと確か… どこかで聞いたことあるんだけど… ピンポーン… あー… 「どこかで」じゃないな… これはもっと頻繁に聞く音だ… ピンポー
もっと読む粘土遊び 第4話
第4話 下僕たち 浅実を教室に残し、俺は校門まで来た。 まぁ・・・警備のおっちゃんでも来て、見つけてくれるだろう。 くく、何て言い訳するんだろうな・・・。 「寝てました」とでも言うか? 下着をあんなに濡らし
もっと読む粘土遊び 第3話
第3話 新世界への船出 ・・・早耶香ちゃんが、好きだ。 友達に唆されたせいもあったかもしれない。 まだ、ロクに話もしたことのない相手に、幼かった俺は、手紙を書いた。 自分の思いを、全部書ききるように。 自分の思
もっと読む粘土遊び 第2話
第2話 奈落の底へ ある朝の事だった。 ふ、と目がさめると、俺の手には・・・粘土があった。 いつの間に、誰がつけたのだろう。 家族の悪戯にしちゃあ、唐突すぎる。 疑問を持ちつつも、俺はその粘土をごみ箱に投げ捨て
もっと読む粘土遊び 第1話
第1話 夕焼けの綺麗な日 人の心とは、粘土のようなものだ。 つまり、少しの力・・・「刺激」さえあれば、簡単にその心は形を変えてしまう。 しかし、その「刺激」は、本人が受け入れなければ、そいつの心には届かない。 本
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