中2の血脈 後編

後編  ダブルデートでプールに来るというのは、水島日菜子の提案ではなかった。彼氏の和馬と親友の亜里沙に、強引に約束させられてしまったのだ。日菜子と亜里沙は都立高校で男子バスケ部のマネージャーをしている。彼氏の和馬とキャプ

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中2の血脈 中編

中編  真っ白な背景の部屋で、悠生は女の人を裸にして、抱きしめていた。オッパイに吸いついて、もう片方のオッパイを手で強く掴む。柔らかくて白い肌は、昨日の「母」、悠美の体の感触。その裸の女の人も、悠生に触られることを嫌がっ

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中2の血脈 前編

前編 「ソー? ・・・ホワッドュユーセイ?」 「ワッデューセイ?」 「ワデューセイ?」  ラッパーでもないのに、一生懸命鏡の前で、ネイティブっぽい発音を口真似しながら、何度も繰り返す。学習机に置いた鏡に向かって、自分の発

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僕の変性期 第6話

第6話  駅の西口前にある、レコードショップに掲げられた大画面テレビ。その下のプロモーション用のブースに、今日はなぜか素人っぽい中学生の男の子が上がっていた。それでも周囲は黒山の人だかりになっている。まるでアイドルグルー

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僕の変性期 第5話

第5話  昼休み前の時間になると、焼きたてのロールパンが大人気のパン屋さん、「メープル」の前にはいつも、若い女の子の行列が出来る。今日も、中学生のカップルが近くを通り過ぎるまでは、いつも通りの行列だった。  最初に異変に

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僕の変性期 第4話

第4話  通学のバスに揺られながら音楽を聴いていた安達若葉は、曲が途切れた数秒の間、自分と同年代ぐらいの男女がモメている声に気がついた。いや、モメているというよりも・・・、一方的に女の子が叱りつけてる? 「アンタもう、い

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僕の変性期 第3話

第3話 「ミーオちゃんっ。機嫌直してよ。そんなに嫌だったんなら、パンツの件は謝るからさ。」  天井まで届く本棚に囲まれたテーブルで、拓海が甘えたような声を出す。澪は無視して分厚い郷土資料の本をめくり続けていた。別に研究課

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僕の変性期 第2話

第2話  蜂屋拓海が、音楽の授業中に喉を痛めて早退してから2日。彼は学校を欠席した。 「声変わりの症状なので過度に心配する必要はないけれど、少し症状が重いので大事を取って安静しています。皆さんも成長期には色々と体調を崩し

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僕の変性期 第1話

第1話  考えてみると、園池澪が蜂屋拓海の家を訪れるのはずいぶん久しぶりになる。 (中学に入ってから、すっかり来てないかも・・・。幼馴染みなんてそんなものかな?)  蔦を這わせた赤レンガの門灯。幼稚園の頃には、近所に住ん

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幻市 付章(その③)

付章(その③) 4.倉田(その②)  倉田が離婚したのは3年前だった。離婚にさしたる理由はない。妻の晴代とは実業団の現役サッカー選手時代に結婚したのだが、倉田の体重が増えるのに比例して感情がすれ違いを始め、結局、3年前に

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幻市 付章(その②)

付章(その②)  木曜日の11:00。ホテル・アルフォンヌのスイートでランチオンインタビュー。・・・OK。  倉田は受話器を置いた。今日は火曜日。明日一日準備に使える。倉田は早速メモを出して水曜日一日を使ってできる事を検

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幻市 第八章

第八章  よしっ、そのままこっちに来て・・・。  そこでクルッとターン。そうだ、綺麗だよ、美紀。いいよ、微笑んで・・・うん、素敵だ。純白のウェディングドレス。君に城のドレスがこんなに似合うなんて知らなかった。  床に座っ

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幻市 第七章

第七章  さあ、ここまで《シンイチ》と《てん》の話をしてきたんだけど、美紀ちゃん、理解できた?  これから話すのは《シンイチ》と《てん》が融合した日の事。僕の感覚で言うと《てん》としての自我はそのまま残っていたから《てん

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幻市 第六章

第六章  雨の日曜日。金沢はこれからのシーズン、太陽を見ることはぐっと少なくなる。11月から3月にかけて重苦しい曇りの日が続く。  いつもであれば少々の雨ならレインウェアを着て走り込みをする《シンイチ》だが、期末試験も近

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幻市 第五章

第五章  《シンイチ》が性欲を身につけるのと反比例して《てん》の活動は納まりつつあった。  《てん》は《シンイチ》の性欲の目覚めと自慰によって慰められ、靄(もや)の中から《シンイチ》を眺める生活に戻った。  このころの僕

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幻市 第四章

第四章  さあ、どこまで話したっけ。  そうそう、友達が来てるさなか、僕が発作を起こしたんだったよね。大事な所なんだ。このあたりから大きな距離のあった《シンイチ》と《てん》の間が急速に近づき始める。  《てん》に感情が芽

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幻市 第三章

第三章  《シンイチ》は自分自身を恐れていた。彼自身事態を正確に把握できていたわけではなかったけれど、いくつか彼が推定したことがある。 一つ、時々自分は性的衝動を抑えられなくなって暴行魔になってしまうことがある(覚えてい

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幻市 第二章

第二章  《シンイチ》は2日間、寝込むことになった。  病院からも、警察からも何の連絡もなかったけれど、野杖医師に対しておこなった行為が何の咎めもなしに済まされるとは思えず、《シンイチ》は怯えていた。  滅多に寝付いたこ

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幻市 第一章

[編集部注]  本稿はKなる人物により当編集部に持ち込まれた音声テープを文字起こししたものである。Kは自称フリーターであり、このテープはKにより仕掛けられた盗聴器により盗聴された物との事である。  当編集部はKが行った盗

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