序章 - 1 - ───13年前、秋 星空に、月が輝いている。美しい夜空から降り注ぐ月光が、北海道の雄大な大地を照らしている。この辺りには人家も無く、野生動物達だけのテリトリーだ。恐らくは、日本でもっとも”自然”が溢れ
もっと読むPanyanの作品
EDEN 2nd Vol.3
Vol.3 ─ 1 ─ 季節は秋。周囲の木々を飾る葉が少しずつ色を失って行く中で、雄一が住む祖父の館も、街から離れた立地条件が寂しく感じられるようになってきた。もっとも、雄一が寂しさを堪能できるのは、平日の日中ぐらいだ
もっと読むなみのおと、うみのあお Other -明&美久-
- 1 - 濡れた肉の音。熱気を伴った、淫らな匂い。 「ああっ!い、いいっ、いいのぉっ!」 悦びに咽び泣く、美久の声。 「だめっ!あ、あはっ!また、いっ、いっちゃうぅ!!」 狭いモノレールの車内。乗客で7割ほど埋ま
もっと読むEDEN 2nd Vol.2
Vol.2 ─ 1 ─ 静かな波の音。視界一杯に広がる済んだ海。潮の香りをふんだんに含んだ空気。さんさんと降り注ぐ夏の陽射し。直径数キロの孤島は、あたかも楽園のような装いで、温かく三人を迎えた。 ここは雄一の祖父の島
もっと読むなみのおと、うみのあお 最終話 -諒一-
最終話 -諒一- - 1 - それまで何の取柄の無い僕だったけど、人間何がきっかけで変わるか、誰にも判らないものだとつくづく思う。そう、今の僕は、客観的に見ても、もう”普通”でも”取柄が無い”訳でも無い。それが、”力”
もっと読むなみのおと、うみのあお 第4話 -恵-
第4話 -恵- - 1 - ───へぇ。ちょっとカワイイ顔してるね。でも、性格はどうだか判らないけど─── それが、そのコを見た最初の印象だった。私がバイト先のコスプレ喫茶に入ろうとした時、看板の横に貼ってある求人広
もっと読むEDEN 2nd Vol.1
Vol.1 ─ 1 ─ 「北条さん・・・僕と・・・付き合って欲しい」 ここはかなたが通う高校の屋上。春の爽やかな風が優しく頬を撫で、かなたの腰まである髪を畏れ多いとばかりに、少しだけ乱した。夕日がかなたと・・・もう一人
もっと読む黒衣の魔法使い
- 1 - そこは、リムルスーン共和国の一地方都市の中でも、ならず者が集まるという評判の酒場だった。怪しい煙が充満した室内に、これまた怪しげな客が顔を突き合わせてなにかを囁きあっている。 そんな中、ならず者と比べても
もっと読むなみのおと、うみのあお 第3話 -沙織-
第3話 -沙織- - 1 - ヴ・・・ィィィ・・・ン。微かに聞こえてくる音。それでも、大して広くも無いこの本屋中に伝わってしまうのではないかと気になってしまう。もしも今、お客さんが入ってきたら、どう思うだろう。私の事を
もっと読むなみのおと、うみのあお 第2話 -陽子-
第2話 -陽子- - 1 - 最近、鈴崎さんの様子がおかしいのに気が付いた。なんていうのか、ヘンに色気過剰というんだろうか?別に、意識しているワケじゃないんだろうけど、時々たまにえっちな表情を浮かべることがある。大体、
もっと読むEDEN 最終章
- Light Side of EDEN - 「ゆういちさん、ゆ~いちさんっ!お~き~てっ!朝ご飯冷めちゃうよぉ!」 「ゆかちゃん、雄一さんは昨日遅かったんだし、それぐらいじゃ起きないわよ...たぶん、ね」 「え~、じゃ
もっと読む晶月の姫巫女 後編
- 2 - あれは、いつのことだっただろうか。たしか、15歳の誕生日を盛大に祝って頂いた後だと思うのだけど、アード様が勉強の息抜きにと、お庭の散歩に連れて行ってくれた。あの頃の私は、アード様がそばにいてくれるのが、息を
もっと読むEDEN 第4章
- Dark Side of EDEN vol.4 - 朝。誰にも等しく訪れ、希望をもたらすもの。1日の始まりにして、闇を払拭するもの。なのにぼくは最低な気分のまま、白む空を眺めていた。どんよりと疲労が体の芯に残ってい
もっと読む晶月の姫巫女 前編
- 1 - 山と湖に囲まれしソーサリー王国・・・そこには、あまりの美しさに神の巫女として民に愛された姫がいた。姫も民を慈しみ、姫が女王として即位した暁には、この王国は千年の安泰を約束されるであろうと、城下では誰もが信じ
もっと読む11回目の七夕に
- 1 - 僕は、梅雨の終わりのべとつく空気に包まれて、憂鬱な気分で歩いてた。それというのも、自分の不甲斐無いのが原因なんだけど。 僕の名前は田原空也。この間高校生になったばかりの一年生。本当なら、僕の幼馴染の唯那ち
もっと読むなみのおと、うみのあお 第1話 -綾香-
第1話 -綾香- - 1 - 「ハイ♪諒一、元気?」 朝、高校に行く途中で、見知った背中を見つけた。諒一だ。アタシが元気に朝の挨拶をしたのに、諒一はなんだか反応がニブい。ちょっと、むっとした。幼馴染のアタシが声をかけて
もっと読むEDEN 第3章
- Dark Side of EDEN vol.3 - 日曜日、ぼくは清々しい気分で目を覚ました。朝の澄んだ空気の中、ベッドから体を起こすと部屋の窓を開けた。今日も良い天気で、館の周りの木々も、葉の一枚一枚に生気が漲っ
もっと読むEDEN 第2章
- Dark Side of EDEN vol.2 - 今日は土曜日。ぼくは館の2階のベランダからコーヒーカップ片手に、ひたすらぼんやりとしていた。特に何を見るでもなく、のんびりと時間と共に移り行く景色を楽しんでいた。
もっと読むEDEN 第1章
- Dark Side of EDEN vol.1 - そこは不思議な土地だった。2Kmも行けば普通の街並みが広がっているし、高校や商店街、映画館だってあると判っているのに、ここで目にしている光景は、まるで昔の映画の中
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