「……凶兆についてはあれからどう? マグダレーネ」 一通りの近況報告、各セクションの進捗状況などの確認が済んだあと、紅茶を飲みながらさりげなくイリーナが尋ねる。 しかし、マグダレーネはゆっくり首を振る。ついでにずり落
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へたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、執務室で痛い目に遭う
俺が教会を制圧するのに三日掛かった。……いや、この言い方は違うな。 俺が教会を自分の望み通りの環境にするのに、三日掛かったと言うべきか。 あれから昼は教会の洗脳の強化、夜はソフィーヤを抱きまくる、とやる事が一杯あっ
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、大聖堂で対決する
……俺の前には現在世界最強であろう女の一人がいる。 しかもその女が烈火の如く怒っている。 この威圧感、絶望感は味わった者にしか分からないと思う。 目の前に居るまだ20そこそこの綺麗な女がドラゴンより強いと言われて
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、隠れ家で仲魔に出会う
白く輝く不落の城、ケテル城。世界を救った英雄達の居城。謁見の大広間は豪奢な細工を施された大理石の円柱が立ち並び、中央には金縁の刺繍も美しい、幅広の赤いカーペットが敷かれている。部屋を直線状に縦断するカーペットはゆるやか
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、水車小屋で決意する
ポンポンと情けない音を上げて花火が次々に打ち上げられる。昼の最中に見る花火はマヌケ以外の何ものでもない。 抜けるような青空の下、わずかな煙を吐き出しすぐに消えていく人間の文明の利器とやらを眺めながら、俺は忌々しげに溜
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード1「大地の守護者」(後編)
エピソード 1 「大地の守護者」(後編) 第2章 レックスは<操作>の魔弾の力でユーナの意識を飛ばすと軽々と肩に担ぎ上げ、表の給水ポンプに向かった。ポンプのバルブを捻り、汗や小便、精液で汚れきったユーナの体を洗い流す。
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード1「大地の守護者」(前編)
エピソード 1 「大地の守護者」(前編) プロローグ 一攫千金を狙った男達の夢の跡……そこでユーナとレックスは対峙していた。 山肌にいくつも掘られた坑道、木造の宿泊施設や見張り小屋。 マリッサの拠点の都市から少し離
もっと読む誰が為に銃声は鳴る 外伝「疾風の女盗賊」(後編)
外伝 「疾風の女盗賊」(後編) 第2章 次の朝早く、レックスとマリッサは駅に来ていた。さすがに全裸はマズいので、マリッサは下着だけは着けて貰っていた。 しかしマリッサはどうしても下着に馴染めなかった。昨日までは当たり
もっと読む誰が為に銃声は鳴る 外伝「疾風の女盗賊」(前編)
外伝 「疾風の女盗賊」(前編) プロローグ 夜の帳が町を優しく包んでいる。 町の外れにある荒くれ達御用達の安酒場、そこのカウンターの端で一人の女が酒を飲んでいた。 年齢は23、4といったところだろうか、はっきりとし
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード0「暗黒の暴竜」(後編)
エピソード 0 「暗黒の暴竜」(後編) 第2章 レックスはチャンスを窺っていた。既にターニャから谷の場所は聞いていたが、すぐに向かう訳にはいかない。 万が一、自分が谷に行った事が知られ、ユーナが追っ手としてやって来た
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード0「暗黒の暴竜」(前編)
エピソード 0 「暗黒の暴竜」(前編) プロローグ ―――――くそっ、くそっ、くそっ・・・・・・。 レックスは腹を押さえ、おぼつか無い足取りで森の中を彷徨いながら毒づく。 (ジュリアス・レットとか名乗りやがったか?あ
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード2「紺碧の女神」(後編)
エピソード 2 「紺碧の女神」(後編) 第2章 ―――――町に帰りつくのもやっとだった。 なるべくゆっくり歩くようにしたが大した効果は上がらなかった。何度達したかももう分からない。 クリスはふらふらになりながらよう
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード2「紺碧の女神」(前編)
エピソード 2 「紺碧の女神」(前編) プロローグ ・・・・・・・・・雨が・・・雨が降っていた。 しとしとと降り続く小雨は世界中を灰色に染め上げようとしているようだ。 雨を吸い込みじっとりと湿った空気は人々を陰鬱な
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード3「炎の戦姫」(後編)
エピソード 3 「炎の戦姫」(後編) 第2章 響いた銃声は一発だけだった。 レックスは銃を抜きもしていない。そしてレミィの弾はどこか見当違いの方向へ飛んでいった。 レミィはがくりと膝をつく。そしてその口から堪えきれ
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード3「炎の戦姫」(前編)
エピソード 3 「炎の戦姫」(前編) ―――――19世紀後半、アメリカ。 そこは一攫千金を求める鉱山夫、強盗団、賞金首等が幅を効かす荒くれ達の楽園だった。 ・・・しかしだからといって、法の力が全く通用しなかった訳で
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