第2部 第17話 殺戮の天使 ――数日後。 「姉さまの囚われている場所がわかったというのは本当ですかっ、隊長!?」 どこで聞きつけたのか、アーヤが息せき切って駆け込んできたとき、幕屋の中ではアブディエルとイェキエルが
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黄金の日々 第2部 第16話
第2部 第16話 小休憩:ニーナのお食事 あの後、それまでの連日の責めによる肉体的、精神的疲労のためか完全に意識を失ったサラをベッドのある部屋まで運んで寝かせてから、シトリーも自室に戻って休息を取った。 悪魔ではある
もっと読む黄金の日々 第2部 第15話
第2部 第15話 砕けた希望 ――翌朝。 「どんな感じだ?」 「やっぱり……心の中に入れないですね……」 シトリーが首尾を訊くと、ニーナは力なく首を振る。 「でも……私が、中に入ろうとするのを弾く力は……確かに弱くな
もっと読む黄金の日々 第2部 第14話
第2部 第14話 破綻の予感 ――翌朝。 シトリーが牢に行くと、ニーナはまだ頑張っていた。 淡い光に包まれたサラを、真紅に輝く瞳で見つめている。 しかし、ただでさえ赤みを帯びた目が、真っ赤に充血しているように見え
もっと読む黄金の日々 第2部 第13話
第2部 第13話 護りの光と、折れない心 ――翌日。 「姉さま……」 あの森を見下ろして、アーヤは唇を噛む。 あの後、部隊に合流した彼女は、直ちに数人の仲間と共にあの森に引き返した。 だが、そこに姉はいなかった。
もっと読む黄金の日々 第2部 第12話
第2部 第12話 翼を得た者、そして、失われた翼 ――10日後。 ラドミール城塞を囲む天使たちは、攻略の糸口を掴めないでいた。 なにしろ、魔界の軍勢は砦に籠もったまま守りを固めて打って出てくることはない。 周囲を
もっと読む黄金の日々 第2部 第11話
第2部 第11話 天より襲い来る者 「あれが、イストリアの国境を守るニップルの城ですよ」 「あの光は……またあの障壁ね」 眼下に海を見渡す高台に現れた魔界の大軍勢。 その先頭に立ち、モイーシアとイストリアの国境に建つ
もっと読む戻れない、あの夏へ Preceding Stage サヤカ 陥落編
Preceding Stage サヤカ 陥落編 堕ちていく人形 ――秋月紗耶香 9月2日、PM1:15 東京、”ラ・プッペ”前。 「ここね……」 東京駅で拾ったタクシーを降りると、目の前にそ
もっと読む戻れない、あの夏へ Preceding Stage サヤカ 仕込み編後編
Preceding Stage サヤカ 仕込み編 後編 布石 ――秋月紗耶香 5月21日、PM4:52 ガルマリーニ社。 昨日の夜は遅くまで彼とセックスをしていて、そのあと少しだけ眠って、今朝早くに自分の部屋に戻っ
もっと読む戻れない、あの夏へ Preceding Stage サヤカ 仕込み編前編
Preceding Stage サヤカ 仕込み編 前編 欺きの夜 ※登場人物(ただ、このお話は本編よりも数年前が舞台のお話なので、本編を読んでいなくても単独のお話として読めます) 津雲雄司(つくも ゆうじ)……輸入ブ
もっと読む居候のさくらちゃん 第6話
最終話 さくら咲く、その場所で さくらがいなくなってから1ヶ月……。 あれから、時間を見つけては俺と春奈とで人の集まる場所を探したけど、さくらは見つからなかった。 その日も、学校の帰りに少し遠出してみたけど、さくら
もっと読むさくらの花の咲く前に
※このお話は、『居候のさくらちゃん』のさくらが、まだ日本に来る前のお話です。 ――1920年代はじめ、ユーゴスラヴィア王国、プリモルスカ地方(現:スロベニア、プリモルスカ地方) 「ううっ、お腹空いたよぉ……」 一歩
もっと読む居候のさくらちゃん 第5話
第5話 押しかけてきた吸血鬼ハンター そして、次の土曜日。 「慎介お兄ちゃーん!さくらお姉ちゃーん!早く行こうよー!」 部屋の戸を開けて、春奈が俺たちを呼ぶ。 この週末は、俺とさくらと春奈で遊びに行く約束をしていた
もっと読む居候のさくらちゃん 第4話
第4話 新しい家族 そして、それから……。 「おーい、さくら、腹減ってるんじゃないか。俺とセックスでも……て、うわっ!?」 そろそろさくらが腹を空かせてる頃だと思って誘ってみると、いきなり顔を近づけてきて舐め回すよう
もっと読む居候のさくらちゃん 第3話
第3話 吸血鬼の眼 「だからっ!無茶したらダメだって言ったでしょ!」 目が覚めたら、ベッドの脇でさくらがプリプリ怒っていた。 「……ええっと、今何時?」 「もう11時だよ!」 「……朝の?」 「当たり前じゃないの!」
もっと読む居候のさくらちゃん 第2話
第2話 なぜかどうして同棲生活? 「……ん?」 ここは……俺の部屋だよな? 目が覚めると、床に寝ている自分に気づく。 うちのアパートはけっこうなボロだけど、昔の造りだから家賃が安いくせに部屋がふたつ付いてる。 俺
もっと読む居候のさくらちゃん 第1話
第1話 行き倒れの女の子 ――俺の住むアパートの前に行き倒れがいた。 「んー?」 それは、コンビニバイトの夜勤明けから帰ってきた時のことだった。 何か、路上に俯せで倒れていた。 最初は、てっきり酔っ払いが寝ている
もっと読む注文の多いダンジョン 完成版
※このお話は、おしゃべり掲示板の 『「お題」から「あらすじ」を考えよう』スレの、彩民さんのお題、「穴あきパンツ」「ルール」「エルフ」に答えさせていただいたものを膨らませたものです。 そこは、とある王国の外れにある深い森
もっと読むいすずヶ森のシラオニ様
この町のどこかに、別世界に通じる道があるはずなの……。 いつか、その道が現れるって私は信じてる。 だって……だって、こんなにみんなのところに戻りたいんだから……。 私の住んでいる町は、今でこそ都会になってるけど、
もっと読むバイト研修
彼女、秋本麻衣(あきもと まい)は、どこにでもいる今時の女子大生だ。 明るい性格で、肩まである、ふわっとウェーブのかかった明るい茶色の髪に丸顔でくりっとした大きな瞳の愛くるしい顔立ちの子だった。 バイトをしようと思
もっと読む黄金の日々 第2部 第10話
第2部 第10話 新たなる影 翌々日、アナトの意識が戻ったと聞いてシトリーはその天幕を訪れた。 「倒れたと聞きましたけど、大丈夫ですか?」 この数日のことなど素知らぬ顔で挨拶すると、アナトは勢いよく起き上がってシトリ
もっと読む黄金の日々 第2部 第9話
第2部 第9話 リディアの決意と、エミリアの覚悟 ――そこは、天空遙かなる、さらにその上。 雲の端に立ち、下界を見つめるひとりの男。 黒髪を僅かに風に揺らし、その淡い色の瞳はじっと下の方を凝視していた。 白を基調
もっと読む黄金の日々 第2部 第8話
第2部 第8話 シトリー死す!? モイーシアとの決戦は、シンシアの立てた作戦通りとなった。 エネズの近郊にある平原で、ヘルウェティア・魔界軍とモイーシア軍は激突した。 実際、モイーシアの誇る重鉄騎兵の突撃は凄まじか
もっと読む黄金の日々 第2部 第7話
第2部 第7話 進撃開始 そして、ヘルウェティアの軍団を含めた魔界の軍勢がフローレンスを出立して10日後。 シトリーたちが世界樹の森の近くまで来ると、遠目に見てもそれとわかるほどに世界樹の葉は茶色く色褪せ、天地創造か
もっと読む黄金の日々 第2部 第6話
第2部 第6話 シトリーの帰還 ヘルウェティアの都、フローレンス。 久方ぶりに王宮に戻ってきたシトリーは、まずは報告と復命のためにアナトの前に参上した。 クラウディアを筆頭とする、その場に同席している面々も久しぶり
もっと読む黄金の日々 第2部 第5話
第2部 第5話 ”つまみ食い”/p> 「……なんでっ!?体がっ、動かない!?これって……どういうことなのっ!?おまえはいったい、何者なのっ!?」 世界樹の洞に、甲高い声が響く。 声の主は、エル
もっと読む黄金の日々 第2部 第4話
第2部 第4話 堕ちていく森 世界樹の森で、シトリーがフィオナを下僕にした、同じ頃。 ここ、ヘルウェティアの都フローレンスでは……。 「アナト様、飲み物をお持ちしました」 アナトの部屋に入っ
もっと読む仮装行列綺談 それまでと、祭りの後
それまでと、祭りの後 面之五 亮太(天狐の面) 初めて見たときから、このお面を気に入っていた。 この里の神社の家に生まれた僕が、古くから伝わる祭りの準備を最初に手伝ったのは中学2年の時だった。 面引きの神事のための
もっと読む仮装行列綺談 本祭 弐
本祭 弐 面之四 唯(尾裂の面) チン、トン……と鉦と太鼓の音が鳴り始めて、祭りに参加するために集まった人たちが動き始める。 夜中の10時過ぎに、それぞれにお面を被って時代劇みたいな衣装に身を包んだ大勢の人が蠢いてい
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本祭 壱 そして、いよいよお祭りの当日がやってきた。 「みな様、着付けのお手伝いをしますね」 晩ご飯の後で、私たちの部屋に帯刀の息子さんの奥さんが入ってきた。 「……あ、お願いします」 お祭りに行く準備をしようとし
もっと読む仮装行列綺談 祭りの宵
祭りの宵 「社長、本当にこの道で合ってるんですかぁ?」 「心配しないで、大丈夫なはずよ」 「いや、はずって……しゃちょお~」 ハンドルを握りながら、私は思わず情けない声を上げていた。 ただでさえ初めて走る道なうえ、さ
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エピローグ やっぱり振り回される彼と相変わらずな彼女 あの事件の後、僕は自分から羽実に告白することにした。 「あのさ……僕、羽実のことが、すっ、好きなんだ。だから、つ、つきあってくれないかな……?」 羽実が僕のことを
もっと読むツインズ! 第8話
第8話 告白 そして、その日……。 「陸くん、放課後ちょっといい?」 休憩時間に、羽実がそっとそう言ってきた。 「いいけど、どうしたの?」 「うん、ちょっとね……」 僕が聞き返したら、羽実は頬を染めて言葉を濁すと、
もっと読むツインズ! 第7話
第7話 禁断の女子更衣室 あれから4日が過ぎても、空は妙にふて腐れたままで、あまり僕に絡んでこようとしなかった。 その分、僕の日常は平和といえば平和なんだけど。 だけど、胸の内でどんなことを企んでるかはわからないし
もっと読むツインズ! 第6話
第6話 女子会へようこそ 亜希、明日菜、羽実の順に交代で、しかも妹としてうちにお泊まりするという、わけのわからない出来事があって、そして、ようやく今日は日曜日。 「空ー!陸ー!羽実ちゃんたちが来たわよー!」 お昼ご飯
もっと読むツインズ! 第5話
第5話 妹交換日記 3日目 「あっ、おはよー!」 「おはよう、陸くん!」 「陸くーん!」 「おはよう!……ちゅっ!」 「……ちゅっ!」 「私も……ちゅっ!」 朝、教室に入るとまたもや女の子に囲まれてキスの集中砲火が待っ
もっと読むツインズ! 第4話
第4話 妹交換日記 2日目 「なにしてるの、陸?早く行くよ」 「わかってるよ」 少し前を行く亜希に急かされながら、学校に向かう。 僕だって、早く学校に行きたいのは山々なんだけど、亜希と僕じゃ歩幅が違うから、そうやって
もっと読むツインズ! 第3話
第3話 妹交換日記 1日目 あの調理実習の日から1週間が経った。 あれから、空は特に変わったことをする気配はない。 だからといって、全く油断できないんだけど。 それに、毎朝の恒例行事はそのままだし。 「お、来たな
もっと読む幸せのつきあたり 最終話b
最終話b 知佳は私の、私は知佳の 「本当に知佳は悪くないから。……ちょっとね、幸せすぎて涙が出てきちゃったの」 「幸せすぎて?」 「うん。私、男の人を好きになることができなかったから、今まで恋愛で嬉しいことなんかなかった
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最終話a 幸せのつきあたり 「知佳、落ち着いて話を聞いてくれる?」 「サッちゃん?」 涙を拭った私が、意を決してそう切り出すと、わけがわからないままに知佳も真顔になる。 「あのね、知佳と私がこうなったのは全部私のせいな
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第4話 本当に幸せ? 朝、目が覚めて何気なく寝返りを打つと、柔らかな感触が触れる。 一瞬驚いたけど、すぐに昨夜のことを思い出した。 昨日、何度も知佳と体を重ね合って、裸のままで眠ってしまったんだ。 目を開くと、ハ
もっと読む幸せのつきあたり 第3話
第3話 独占 そして、次の週末。 「おはよう、知佳!」 「あっ!おはよう、サッちゃん!」 約束していた駅の東口に行くと、知佳はもう先に来て待っていた。 「待った?」 「そうでもないよ。5分くらいかな」 そんな、待ち
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第2話 改竄 その日は、ずっと涙が止まらなかった。 あの、高校2年生の知佳が先輩に向けていた笑顔を思い出すと、胸が切なくなって気が狂いそうになる。 どうして私は男じゃないんだろう? 自分が男だったら、知佳に催眠術
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第1話 恋人ごっこ 「おはよう、知佳」 「あっ、おはよう、サッちゃん」 朝の講義がある大教室に入ると、知佳はいつもの場所に座っていた。 私が挨拶すると、笑顔で小さく手を振ってくる。 それだけで、私の胸は、きゅんって
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第2話 誰得?の調理実習 そして、それから1週間が経った。 「おはよ、陸。……ちゅっ」 おはようの挨拶と一緒に、涼しげな眼差しを僕に向けて亜希がキスしてくる。 「あっ、おはようっ、陸!……ちゅっ!」 明日菜が元気よ
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第1話 おはようはキスから? ――あれは、中学2年の冬のことだった。 その日、いつものように僕たちの家に亜希と明日菜と羽実の3人が遊びに来ていた。 「あのね、あたしねっ、今、催眠術の練習してるの!」 空が、いきなり
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「ねえねえ俊くんっ!ここに新しいお店ができてるよ!」 「ん~?……お、本当だな」 日曜の午後、いつものように俊くんとふたりでお出かけして、お昼ご飯を食べてからぶらぶらと歩いていた時のことだった。 一軒のお洒落なアクセ
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プロローグ モテ期の裏には…… 「うううっ!えぐっ、ひっく……!」 「もうっ!りくったら、もうなかないの!」 「うん……んっく、ひぐっ!」 「もう~、ほんとうにりくってばなきむしなんだから!」 * * * 「まあっ!また
もっと読む凍てつく夜に人形は踊る 後編
後編 氷の生き人形たち 薄暗い広間の中、9体の人影が並んでいた。 右側に4人、左側に5人。 いずれも、若い女性ばかり。 髪型はそれぞれだが、皆整った顔立ちで、寒い室内には不似合いな薄手の服を身につけている。 た
もっと読む凍てつく夜に人形は踊る 前編
前編 雪山の洋館で 「これは……さすがにちょっとまずいかな……」 ハンドルを握って必死に前を見つめながら、私は舌打ちをした。 辺りは分厚く雪が積もっていて、一面真っ白な銀世界。 その中を、道路が細い線のように縫って
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