(32)気の荒い女神達 暖かな日差しが射し込む豪華な個室の病室で怜はベッドに腰を掛けていた。 1ヶ月あまり過ごしていた入院着やパジャマ姿ではなく、今はコットンシャツにジーンズの格好になっている。 つい先ほど主治医の
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早朝の校舎を1人の生徒がゆっくりと階段を登っていた。
そしてたどり着いた扉の先に人型のシルエットを見つけると、彼は初めて表情を変えた。
「おはようございます……先生」
ドールメイカー・カンパニー2 (31)
(31)初対決 「あ・・・何か来る」 広大な庭を囲う3メートル以上もあるフェンスの向こう側を、何かが凄い勢いで駆け抜けていることに“きつね”くんは気付いた。 おそらく未舗装の道を行く車だろう。 フェンスの上部から舞
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(30)決着・・・そして 「うわあっ!」 男の声で絶叫が上がった。 「ひゃあっ」 「きつねさまぁっ!」 その突然の出来事に“くらうん”は腰を抜かし、諒子は“きつね”くんの前に身体を割り込ませた。 そして“きつね”く
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(29)逆転の罠 軽いクラクションの音で振り返ると、そこに見覚えのある車が止まっていた。 「こっち、こっちっ」 冴えない中年の男にそう呼ばれてもちっとも嬉しくないのだが、“きつね”くんはちょっと肩を竦めてから素直にそ
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(28)再生 そこには闇が居座っていた・・・ 小春日和の暖かな日差しが部屋を明るく照らしているのに、京子には健志の座る一角だけはまるで照度が落ちているかのように暗く感じられた。 まるで闇の結界が張られているようだっ
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(27)健志の罠 穏やかな新春の日差しに照らされたその神社は、多くの参拝客で賑わっていた。 坂田勇作はそんな人ごみからようやく抜け出すと、近くのコーヒーショップでどうにか席を確保し、一息ついていた。 「ふぃ~・・・疲
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(26)それぞれのラスト・ディ ドアがガラッと開いた。 入って来たのは石田諒子だった。 学校の授業でよく着ていたグレイのスーツ姿で、ヒールを履いている。そして片手には出席簿のような黒いファイルとプリントを抱えていた
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(25)封印 コンコン・・・ 部屋の扉がノックされた。 既に時計の針は深夜0時を指そうとしている時刻だ。 無論、部屋の明かりは落とされ、微かに枕もとのランプだけが淡い光を灯している。 最上階に位置するこの部屋の
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(24)潜伏と雌伏 懐かしい場所だった・・・ 昔、二人で歩いたことがある道だった。 『そうだったよね?』 『ええ。そうね』 その低めの落ち着いた声も耳に残っている。 そっと手を伸ばせば、暖かい掌の感触もハッキ
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(23)約束の日(後編) 健志は自分の下腹部に押し付けていた諒子の顔をゆっくりと引き離した。 すると口の中から諒子の唾液と自らが分泌した粘液でテカテカと光った肉棒がぞろりと引き出されていった。 「諒子ぉ・・・へへへっ
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(22)約束の日(前編) 諒子はその日、いつに無くゆっくりと起床した。 いつもは休日でも8時には目を覚ましているのだが、今日はふと目を開けると枕もとの時計が10時を指していたのだ。 「う~んっ、良く寝たわぁ」 布団
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(21)チェイス! 車が出発して5分も経った頃か・・・ 「あっ・・・ちょっと、止めて」 後部座席に諒子と美紀に挟まれて座っていた“きつね”くんが急に目を開けると運転手にそう言った。 「なんだ?“きつね”」 助手席の
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(20)後始末 「こ・・・こりゃぁ・・・ひでぇ」 2階から駆け下りた“あらいぐま”は真っ先に武道場に降り立つと、怜のもとに駆けつけその惨状を目の当たりにした。 怜は気を失って倒れ伏していた。 ジーンズの裾から無防備
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(19)心の折れる時(後編) その少年に誰よりも早く気付いたのは、“あらいぐま”ではなく怜だった。 二人の対峙を真横から見ていた怜は、5人の見学者達が居る2階席の真下にある扉が開いたのを目撃した。 訝しむように視線
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(18)心の折れる時(前編) 「さぁ~てっ・・・いよいよクライマックスですかぁ?」 2階席から固唾をのんで事態の進行を見詰めていた“くらうん”は誰にとも無くそう言った。 「あの野郎・・・大丈夫なんかぁ?ちょっとあの女の
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(17)諒子の決意 はあ、はあ、はあっ・・・ 月明りに照らされた階段を勇作は一心不乱に駆け抜けていた。 (バカだ、バカだ、バカだっ!俺は何てバカなんだっ。時間が無いのに何てことだっ!) 図書館で時間を潰していた勇
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(16)公開調教 冬の日暮れは早い。 夕方5時にはスッカリ辺りは闇に覆われていた。 私立栄国学園高校も校舎にポツポツと明りが見える他は、野球部のグラウンドの照明も落された今、街灯から洩れる僅かな明りしか無かった。
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(15)運命の交差 坂田勇作は、少し焦っていた。 そしてその原因は諒子先生にあった。 勇作は諒子の国語の授業をいつも楽しみにしていた。 ハッキリいって諒子の授業はとても厳しいものである。 しかし・・・ モデル
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(14)踏み外した一歩 翌朝、“きつね”くんが怜を伴い社長室の扉を開けると、“くらうん”はパッと顔を輝かせた。 「おはよう、“きつね”くん。随分眠そうですね」 “くらうん”はそう言って“きつね”くんに話し掛けながらも
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(13)美紀、陥落 指定された駅前の雑踏に佇む美紀は、もういい加減ウンザリした気分で溜息を吐いていた。 いつもの事なのだが、美紀は引っ切り無しにナンパされまくっていた。 ちょっと勝気そうな美少女が制服姿で人待ち顔で
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(12)小さな亀裂(後編) ドタドタ、ドドドドドドドッ! 先ほどの“あらいぐま”の再現のように“きつね”くんも廊下を全速力で駆け抜け社長室の扉に飛びついた。 しかし鍵のかかった扉はあっさりと軽量級の“きつね”くんを
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(11)小さな亀裂(前編) ドタドタ、ドドドドッ! 『だっ、だ~っずげでぇ~~っ!!』 次のターゲットの資料に目を通していると、部屋の前の通路を物凄い地響きと、妙に汚らしい悲鳴がとんでもないスピードで通り過ぎて行った
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(10)Bモード 外出先から戻った“あらいぐま”は残業していたOL達と雑談をしていたのだが、偶々居合わせた静からその事を聞くと、血相を変えて部屋を飛び出していった。 「勘弁しろよなぁ、ったく俺に断わりも無くっ」 “あ
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(9)鎧袖一触 朝の定例の捜査会議が終わり、相棒の先輩刑事と早速外回りに出ようとしていた怜は、背後から声を掛けられて出ばなをくじかれた。 「なんでしょうか?」 ウンザリした表情を隠さずに怜は振り向いた。 「ちょっと、
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(8)始動 「経緯は大体こんなところですよ」 “くらうん”は社長室のソファに座り、テーブルを挟んで向かい側に腰掛けている“きつね”くんにそう言いながら契約書やターゲットの写真を手渡した。 「はい、OKです。大体わかりま
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(7)呼び出し とあるマンション、その7階の1室での出来事だった・・・ この部屋の住人、山下絵理は食卓にドンと音を立てて大皿を置いた。 「ふぅ~、お待たせぇ!重かったわぁ。夕ご飯の出来上がりよ」 夫の真一はその言葉
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(6)暗闇の台頭 怜はマンションの階段をリズミカルに駆け下りていた。特に急ぐ用事など無いのだが、のんびりとエレベータが上がって来るのを待っている気分ではなかったのだ。 久しぶりに会った諒子のテンションが怜を刺激してい
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(5)連鎖 「お姉ちゃん、誰?警察の知り合いって」 京子との電話を切ると、美紀が不思議そうに訊いてきた。 「え?あぁ・・・」 美紀の何気ない問い掛けに、珍しく諒子の歯切れが悪くなった。 「なに?どうしたの?まさかデマ
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(4)屈辱 その日、諒子は帰宅するなり、何か違和感を覚えた。 学校では殆ど教職員全員を敵に回しての激論を戦わせてきたところだった。 ようやく健志と連絡がとれた学年主任達は直ぐに諒子を引き連れて謝りに行こうとしたのだ
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(3)小さな勇気 2学期が始まり京子が産休となり、その代理で赴任してきた石田諒子教諭が遂に全校生徒達の前に姿を現した。 2学期の期首挨拶で校長に紹介され壇上に現れた諒子を見て、冗談ではなく生徒達の間からどよめきが上が
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(2)新たなる計画 「オヤジ、ちょっと話があるんだけど・・・」 健志が剛に切り出したのは、6月のある晩、珍しく早く帰宅した父と夕食を取っている席だった。 「ん?なんだ。また金か?」 「違うよ。ちょっとしたニュースなんだ
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(1)転落の軌跡 早朝の校舎を1人の生徒がゆっくりと階段を登っていた。 まだ授業が始まるまで1時間以上もある。 校庭には朝練の生徒たちがいたが、校舎の中には他に人影は無かった。 しかしその生徒は何故か毎朝この時間
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