”晶” ずきん、ずきん。 鈍い頭痛が私を襲う。 その痛みを奥歯に噛みしめ、眠気に重くなる瞼を無理矢理押し上げる。 きっと酷い表情になっていることだろう。 そして、外見以上にあたしの内面は酷いことになっていた。
もっと読むみゃふの作品
生徒指導室の人形
コンコン 廊下と中に響く音。 男子生徒は生徒達の間でもっとも敬遠される場所――生徒指導室の前に立っていた。 「入りなさい」 叩いたとの内側から声をかけられる。 男子生徒がガラリと開いて中にはいると、二人の女性が
もっと読む剣道場の囁き”霞”
-”霞”- 放課後。 ホームルームが終わり、わき起こり始める喧噪の中を晶の教室まで行く。 あまりなじみのない教室の中にするりと滑り込み、声をかけてくる女子を笑顔でいなしながら目的の席へと進んでいく。 目的の席のす
もっと読む図書室の秘密
放課後、夕焼けに染まる図書室に七瀬 澄(ななせ すみ)はいた。 図書委員の当番なのだが、昼休みなどの時間は上級生が取ってしまうため、自然、下級生の澄などは放課後の当番に回されてしまう。 しかし、それを抜きにしても澄
もっと読むガツン”
(『ガツン』はジジさんの作品です) ガツン。それは恐ろしい天災。なぜ発生するのか、いつ発生するのか、何もかもが分からない。 ただ一つ分かっていること。それはガツンにあった人は突然おかしな行動を取り、それが達成されるま
もっと読む音楽室の嬌声
それは昼の事だった。 その日はちょうど、テストの最終日でいつもなら午後に続く授業も今日はもうない。 音楽やテレビの話題。放課後の予定。部活の内容。テストの結果等、生徒達の喧噪の広がる。 そんな廊下を天音 霞は空に
もっと読む校舎裏の逢い引き ”晶”
-”晶”- 学校の校舎の裏。朝は明るいが、昼を過ぎると校舎の影に隠れ、陽も当たらずひっそりとしている場所。 普段から生徒達に人気のないその場所に私は立っていた。 人はあまり来ないと思うが、それでも辺りをきょろきょろ
もっと読む保健室の情事
「ん?」 養護教諭弥生 織絵(やよい おりえ)はその変化に気が付いた。 自らの職場にして、自らの城。保健室のベッドには隔離するためのカーテンが引かれている。つまり、誰かが使っているという事だ。だが、織絵はそんな話は聞
もっと読む校舎裏の逢い引き
学校の校舎の裏。そこは古来より人目を避けた生徒達の待ち合わせや逢い引きの場所へと使われている。 綾瀬 晶はそこにいた。そわそわと落ちつきなく、きょろきょろと辺りを見回している。 人目を気にしながらも、待ち人が来るの
もっと読む剣道場の囁き”晶”
-”晶”- 「あーきらっ」 「あれ、霞? どうしたの」 突然の声に振り向くとそこには霞が立っていた。 その姿に気が引き締まる。霞が話しかけてくる時に疑ってかかる自分が嫌になる。 「で、なに?」 む、と警戒しながら霞
もっと読む剣道場の囁き
「あーきらっ」 「あれ、霞? どうしたの」 放課後、突然にかけられた声に綾瀬 晶(あやせ あきら)は振り向いた。そこに天音 霞が立っていた。 親友と言えど意味もなく声をかけてくる相手ではない。晶は気を引き締めて霞の方
もっと読む生徒会室の夢
「ふぅ」 傾く夕日が教室を橙色に染め上げていく中、天音 霞は背もたれに身体をもたれかけた。 目の前にある書類の束をトントンと揃えてまとめる。そして、「う~ん」と身体を伸ばし、関節をぽきぽき鳴らした。 「さて、と」
もっと読む闇の脱走者 第三話 愛する者
第三話 愛する者 ざわざわとざわめく室内。そのある一点に人口が集中している。その中心に俺はいた。 「前はどこにいたの?」 「分からない場所教えてあげようか?」 「趣味何?」 そのうざったい質問攻めに一つ一つ答えながら
もっと読むひめくり
5月18日 今日はとても不快な日でした。 大嫌いなアスピーテ様と会わなければならないなんて。 パンッ 室内に響き渡る乾いた音。 それは私が目の前の男性を思いっきりひっぱたいた音だ。 「出て行って! 貴方の顔なん
もっと読む闇の脱走者 第二話 従わせる者
第二話 従わせる者 「んはぁっ、あんっ、はぁんっ」 彩が俺の上で体を揺らす。それに伴い胸や髪が動き回り、彩はさらに乱れていく。 下から手を伸ばし、彩の胸を揉み上げる。適度に柔らかく、弾力もある。あまり大きくない事を除
もっと読む闇の脱走者 第一話 脱走せし者
第一話 脱走せし者 ブゥゥゥゥゥゥン 人の気配のない部屋に機械の駆動音が響き渡る。 俺は閉じていた目を開く。回りに液体があるにもかかわらず、水槽の外が見える。 この液体は極めて特殊な物でこの中でも肺呼吸ができる代
もっと読む望み 第五話:吉岡 義男
第五話:玉川 義男 今日も義男は豊子の家にいた。このところ毎日のように顔を出している。 義男がいつ顔を出しても、豊子はいて、義男を迎えてくれる。 初めは依子に連れてきてもらっていたが、そのうち義男は一人でも豊子のと
もっと読む澱 ~公彦の場合~
~ 公彦の場合・桜舞い散る時 ~ ある冬の日の晩、夜空には大きな丸い月が煌々と輝いていた。 雲一つなく、空気も澄み切ったこの夜、月の光は星々の光を打ち消すほどだった。 そんな強い月の下、二つの存在がにらみ合っていた
もっと読む望み 第四話:玉川 豊子
第四話:玉川 豊子 キーンコーンカーンコーン。 「あー、終わった、終わったーっ」 義男はぐっと伸びをして、凝り固まった筋肉をほぐす。 首を振って、こきこきと鳴らすと席を立ち上がった。 「部活に行くかーっ」 そう言
もっと読む望み 第三話:玉川 依子
第三話:玉川 依子 あれから数日が経った。 どうやら、楠はちゃんと思い出せないようで俺を見ても怯えることはなくなった。 一時はどうなることかと思ったが、これで安心だ。 「おい」 突然、声をかけられて振り向くと、そ
もっと読む望み 第二話:楠 風音
第二話:楠 風音 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 学校を出るなり走って帰ってきた。 こみ上げてくるうれしさがたまらなかった。 家に帰ると、ソファーに身を預け、薬の瓶を眺め見る。 すげぇ、すげぇよあんちゃん。
もっと読む望み 第一話:あんちゃん
第一話:あんちゃん ある秋の日のことだった。 俺の前にこれが転がり込んできたのは。 持ってきたのはあんちゃんだった。 部活が終わって、家への帰り道。ばったりとあんちゃんにあった。 あわなくなったのは一体いつ
もっと読む教材室の幽霊
「あれ?」 テスト作りのために休日出勤してきた咲 香苗(さき かなえ)は疑問の声を上げた。 テスト前で部活動禁止なのにも関わらず、校舎内に生徒の姿を見かけたからだ。 よくは見えなかったが、あの特徴的な長い黒髪は校内
もっと読む澱 ~紗依の場合~(後編)
~ 紗依の場合(後編) ~ 「紗依~っ、ゲーセンに行かない?」 放課後、廊下を歩いていると友人の涼が声をかけてきた。 「ごっめ~ん、今日は用事があってさ~」 「またぁ~、この間もそんな事言ってたじゃ~ん」 涼は怒って
もっと読む澱 ~紗依の場合~(前編)
~ 紗依の場合(前編) ~ 「あなたは深く沈む・・・どんどん沈む・・・もう僕の声しか聞こえない・・・」 ゆったりと浮かんでいるあたしにその声が届き、水の上から沈んでいく。 水の中に沈んでいるのに息苦しくなく、むしろ心地よ
もっと読む澱 ~比売子の場合~
~ 比売子の場合 ~ 山が真っ赤に染まる秋の頃。空気が徐々に寒くなり、それに合わせてどんどん澄んでいく。 季節に関係なく街には人が溢れ、そこかしこに暮らしを漂わせている。 綺麗で長い黒髪に、ニキビ一つない肌。モデル
もっと読む澱 ~桜月姫キルシェ・ブリューテの場合~
~ 桜月姫キルシェ・ブリューテの場合 ~ 一人の男が恋をした。 相手は正義のヒロインだった。 エッチとは無縁の究極美少女。その恋は絶望的に思われた。 でも、男はあきらめなかった。 彼女を手に入れる方法を模索し始
もっと読む澱 ~サリアの場合~
~ サリアの場合 ~ 「なんだ、これ?」 少年はそれを手に取りしげしげと眺めた。 少年の手にあるのは古ぼけたランタンだった。 ここはとあるアンティークショップ。いろいろと怪しげなものが所狭しと置いてある。中でも今、
もっと読む澱 ~咲耶の場合~
~ 咲耶の場合 ~ 「ここが例のオカルト研究会ね」 コンコン・・・ 木花 咲耶(このはな さくや)は目的の教室の前に立つと、その閉じられたドアをノックして中に入った。 中には少年が1人、椅子に座って本を読み耽ってい
もっと読むうらぷら 第2話
第2話 「・・っ・・・っ・・っ・・」 水乃の嗚咽が辺りに響く。 ここは夜のセンサー公園。 俺は水乃を緑松と水乃が初めて出会った場所で貫いていた。 「ふん」 俺が水乃の身体からモノを抜く。 と、水乃の秘所からゴポ
もっと読む澱 ~美姫の場合~
~ 美姫の場合 ~ コツコツコツ・・・・。 「もう~、なんでこんなに残業が長引くのよ!!」 小倉 美姫(おぐら みき)は歩きながらそう吐き捨てた。 彼女は今年会社に入社したばかりで残業は日常茶飯事だったが、この日は
もっと読むうらぷら 第1話
第1話 「げーっ、あの人見て、髪と眼が緑色だよっ」 「ああ、あれは確か生まれつきって話よ」 周りで俺のことを話している。 まったく・・・聞こえないように話せよ。 しかし、再びこういった朝を迎えることになるとは・・・
もっと読むうらぷら プロローグ
プロローグ 雲一つない晴天の抜けるような青空。 まだ2月だというのに真夏の陽射しが肌を灼いてくる。 数年前、地球の公転が半年分早く動いたが、世間は何の変化もなく日常も続いている。 俺、綿貫 緑松(わたぬき みどり
もっと読む伝染の元凶
「ぺっ」 頼宗(よりむね)は口に溜まった血を吐いた。 無数のうめき声。 その中に頼宗は立っていた。 頼宗は拳を血で汚し、そこら中で倒れてうめいているちんぴらを一瞥してから立ち去った。 「頼宗!」 家に帰ってきた
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