ミーンミーン……ジジジジ……。 蝉の声がけたたましいほどに響く窓の外では、アスファルトから立ち上る蜃気楼が周囲の景色を歪めている。 窓から容赦なく照り付ける日差しが、じりじりと体のあちこちを蝕んでいく。座ってじっと
もっと読むティーカの作品
プール掃除の『生存者(サバイバー)』
… …… ……… 「うん、だいぶ綺麗になったね!」 燦燦と照り付ける太陽の下、2年生の生徒たちは泡だらけになった学校の25mプールを眺めながら爽やかな笑顔で汗を拭う。 プール開き。これから夏の盛りを迎
もっと読む元気になっちゃう、おまじない
キーンコーンカーンコーン…… 「あうぅぅぅ……」 終わりのホームルーム後、僕は大きなため息をつきながら机に突っ伏した。 今日も里美先輩の催眠暗示のせいで恥ずかしい目に遭わされてしまったのだ。 「はぁ
もっと読む前に進めない催眠暗示に抵抗しようとする女の子のお話
「さて、それじゃあまずは、君のフルネームをこの風船に書いてみて」 浩一が目の前の少女にサインペンを手渡すと、真っ赤な風船を少女の目の前に差し出す。 「う、うん……こう?」 少女はキャップを外すと、慎重な手
もっと読む始末屋ヒュプノの活動記録3
3話 ──草木も眠る丑三つ時。 山中にひっそりと立った小ぶりな豪邸の周りでは、数人の警備員たちが少し退屈そうな顔で欠伸を噛み殺しながら小声で話していた。 「なあ……本当に今夜、怪盗サイアミーズが現
もっと読む始末屋ヒュプノの活動記録2
2話 「でさー、そん時吉田の奴が……」 「ギャハハ、マジかよ! ありえねー!」 青蘭高校の休み時間。階段にだらしなく座り込んだ金髪の男子数人が、缶コーヒーを片手にたむろして大声で談笑していた。 もとも
もっと読む始末屋ヒュプノの活動記録1
1話 ジリリリリリ…… 展示品の盗難を知らせる警報機のサイレンが美術館に鳴り響く。 『こちら展示室! 警備にあたっていた警官が全員眠らされています!』 『犯人の姿はありません! 空調用のダクトから
もっと読む乙女の秘密を、答え合わせ
「よし、それじゃあ答案を回収するぞ。各自自分の答案を裏向きにして前の席に回すように」 化学の橋本先生の指示に従って生徒たちは黙って答案を提出する。 今日の三限は、実力テスト。いわゆる全教科一斉に行われる定期テストとは
もっと読むリボンで伝える、乙女の秘密
『七海ちゃんは少し引っ込み思案だから、もう少し自分の内面を周囲にアピールした方がいいんじゃないかな』 浩一が七海にそんなアドバイスをしてきたのは、学校の帰り際、終わりのホームルーム後の掃除の時間のことだった。 子供の
もっと読むおしえて魔女先生! ~錯誤魔法編~
午前10時55分。 「はぁ……これを消すのかぁ……」 今日の日直だった柚木ミイコは、3時間目の板書でびっしりと埋まったホワイトボードの前で途方に暮れていた。 数学担当の高杉先生は、若い上に180センチを超える身長の持
もっと読む放送委員は目立たない ~学園支配編~
タチバナ社による設備導入から1か月も経過する頃には、学園の音響設備が一新されたことも、それと前後して学園内でエッチな騒動が頻発するようになったことも、誰も疑問に思わなくなってきた。 といっても、別に平然と受け入れてい
もっと読む放送委員は目立たない ~学級改変編~
放送委員は目立たない ~学級改変編~ 学校への高品質音響設備導入から数日後。 先日の集団スカートめくり騒動が発端となり、ワタルの所属する2年2組のクラスでは女子同士の悪戯が一気に激化していた。それも男子、とりわけ響ワ
もっと読む放送委員は目立たない ~学級支配編~
放送委員は目立たない ~学級支配編~ ワタルの学校が、タチバナ社による高品質オーディオ設備一式のモニター対象として選ばれ、導入が決定されるまでは「お茶会」から4日とかからなかった。 スピード感を重んじるタチバナの
もっと読む放送委員は目立たない ~若奥様篭絡編~
放送委員は目立たない ~若奥様篭絡編~ 重厚なクラシック曲のオーケストラがリビングに響く中、アオイとミドリ、そしてワタルの3人はソファに腰かけ、談笑に花を咲かせる。 ウェッジウッドのカップにはアールグレイが注がれ、芳
もっと読む放送委員は目立たない ~若奥様侵略編~
放送委員は目立たない ~若奥様侵略編~ 「ふふ、忙しいところわざわざ来て頂いてありがとう、響さん。どうか自分の家だと思ってくつろいでね」 「ワタルで構いませんよ、立花社長。それにしても、まさかクラスメイトの立花さんがあの
もっと読む放送委員は目立たない ~幼馴染陥落編~
放送委員は目立たない ~幼馴染陥落編~ 「つまり、この式に先ほど求めたエックスの値を代入することで……」 リズミカルなチョークの音が教室に響く中、小泉モモカは黒板に次々と板書される数式の列をノートに書き写していた。数学
もっと読む放送委員は目立たない
放送委員は目立たない ピンポンパンポーン 『お昼の放送の時間です。本日もいいお天気で何よりですね。皆さん、今日の昼食は、利き手とは逆の手で箸を持って食べてみましょう』 放送室。 特にこれといった特徴もない、やや子供
もっと読む野球拳で勝負だ!
「もう怒った! 今日という今日こそは、絶対に許さないんだからねっ!」 悠麻の怒号が2年1組の教室に響き渡る。 「えー……だって、元はと言えば、悠麻が僕に相談してきたことが原因でしょ?」 今にも噛みつかれそうな悠麻の剣
もっと読む旧校舎の除虫
今は使われていない旧校舎の教室で、不特定の女生徒に対して催眠術でいかがわしい行為を働く男子生徒がいる。 ――それが、数々の証拠から瀬口愛菜の導き出した結論だった。 事の起こりは、1か月前まで遡る。 幼少のみぎりか
もっと読む里美先輩の常識変換
「行ってきまーす!」 玄関の扉を勢いよく開けて、僕は家を飛び出した。 今日は月曜日、新しい週の始まりだ。 土日の間はクラスメイトと顔を合わせる機会がなかった分、久しぶりに学校に行くのが待ち遠しい。 もちろん、ユウ
もっと読む真夏のライブにご用心
痛みを覚えるほどに燦燦と照りつける太陽の下。 とある海沿いのイベント会場は、日差しなどものともしない程の熱気に包まれていた。 半円形の屋外ステージを取り囲むように並んだ数千の観客席は、殆どが目を爛々と輝かせた男性客
もっと読む蛍光灯パニック!
「だからさ、ハルカの奴にびしっと言ってやったんだけど……ん、あれ?」 昼休み、クラスメイト達との雑談の途中、綾瀬アカリはふと違和感を覚えて教室の天井に目を向けた。 「どうしたのアカリ、急に上なんか見ちゃって」 「あ、い
もっと読むおしえて魔女先生!
午後1時半。 「ふぁ~あ……」 2年C組の教室の前から3列目、窓際側の席で、石動リリカは大きくあくびをした。 まったく、午後の授業というものは何故こうも眠くなるのだろう。 ポカポカした春の陽気と相まって、教科書の
もっと読む可愛いスパイちゃん
道行く人々が忙しそうに行き交う大通りから、少しばかり外れた路地裏の雑居ビル。その4階という、決して恵まれた立地条件とは言えない場所で、その喫茶店は営業していた。 特に目を惹く看板やネオンサインを出しているわけでもなく
もっと読むある教室の日常
昼休み。 2年1組の教室は、世間の例に漏れず生徒たちの談笑で盛り上がっていた。アイドルのゴシップの話題に花を咲かせる女子たち。TVゲームの進行具合を自慢しあう男子たち。あるいは男女関係なく、授業で分からなかった内容を
もっと読むお嬢様とメイドさん
「さて……リンちゃん。今日はなんで呼び出されたか、分かるぅ?」 部屋の主である少女はなにやら高価そうな机の上に腰掛け、不躾にも足を組みながら目の前のメイド服を着た内気そうな少女に問いかけた。 「え、えっと……」 対す
もっと読む