第一話 俺の名前は桐坂陽介、現在は高校二年生。 ある日突如家族会議なるものを親父が開くと言い出し、家族は食卓に集まった。 家族は俺と母に妹の亜美、そしてクソ親父。 「あ~コホン」 ・・・咳払いからかよ。 「いきな
もっと読む「暗示」
EDEN 2nd Vol.4
Vol.4 ─ 1 ─ 身を切るような風が、背後からあたしを追い越していった。でも、あたしはこの季節が好きだ。寒くて人通りが少なくなった通りも、どこかどんよりと曇った空気も、すべて好きだ。基本的に、あたしは捻くれ者だか
もっと読むEDEN 2nd Vol.3
Vol.3 ─ 1 ─ 季節は秋。周囲の木々を飾る葉が少しずつ色を失って行く中で、雄一が住む祖父の館も、街から離れた立地条件が寂しく感じられるようになってきた。もっとも、雄一が寂しさを堪能できるのは、平日の日中ぐらいだ
もっと読むEDEN 2nd Vol.2
Vol.2 ─ 1 ─ 静かな波の音。視界一杯に広がる済んだ海。潮の香りをふんだんに含んだ空気。さんさんと降り注ぐ夏の陽射し。直径数キロの孤島は、あたかも楽園のような装いで、温かく三人を迎えた。 ここは雄一の祖父の島
もっと読むEDEN 2nd Vol.1
Vol.1 ─ 1 ─ 「北条さん・・・僕と・・・付き合って欲しい」 ここはかなたが通う高校の屋上。春の爽やかな風が優しく頬を撫で、かなたの腰まである髪を畏れ多いとばかりに、少しだけ乱した。夕日がかなたと・・・もう一人
もっと読むEDEN 最終章
- Light Side of EDEN - 「ゆういちさん、ゆ~いちさんっ!お~き~てっ!朝ご飯冷めちゃうよぉ!」 「ゆかちゃん、雄一さんは昨日遅かったんだし、それぐらいじゃ起きないわよ...たぶん、ね」 「え~、じゃ
もっと読むEDEN 第4章
- Dark Side of EDEN vol.4 - 朝。誰にも等しく訪れ、希望をもたらすもの。1日の始まりにして、闇を払拭するもの。なのにぼくは最低な気分のまま、白む空を眺めていた。どんよりと疲労が体の芯に残ってい
もっと読むEDEN 第3章
- Dark Side of EDEN vol.3 - 日曜日、ぼくは清々しい気分で目を覚ました。朝の澄んだ空気の中、ベッドから体を起こすと部屋の窓を開けた。今日も良い天気で、館の周りの木々も、葉の一枚一枚に生気が漲っ
もっと読むEDEN 第2章
- Dark Side of EDEN vol.2 - 今日は土曜日。ぼくは館の2階のベランダからコーヒーカップ片手に、ひたすらぼんやりとしていた。特に何を見るでもなく、のんびりと時間と共に移り行く景色を楽しんでいた。
もっと読むEDEN 第1章
- Dark Side of EDEN vol.1 - そこは不思議な土地だった。2Kmも行けば普通の街並みが広がっているし、高校や商店街、映画館だってあると判っているのに、ここで目にしている光景は、まるで昔の映画の中
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