催淫師 暗躍編(3)

暗躍編(3)  今は昼休み。転校生はヒーローという図式が見事に当てはまっている啓人は、他の生徒の勧誘や質問責めから逃れ、屋上にいた。 「ふう・・・やれやれだ」  さしもの啓人も、あの圧倒的なパワーにはてこずった。力をまだ

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催淫師 暗躍編(2)

暗躍編(2)  白笠は二人の仲間と共に歩いていた。 「ち・・・何でこんなに催淫蟲がうるさいんだ?」 「連中が言ってる事、正しいんじゃないのか?」  仲間の一人がたしなめるように言う。 「別に俺は反対してるわけじゃないぜ。

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催淫師 暗躍編(1)

暗躍編(1)  日曜日、全員揃うと同時に啓人が宣言した。 「今日皆で出掛けるぞ。但し!魅矢は留守番!」 「え?何処へ?」 「山登り♪」  ハテナマークを飛ばす理乃だったが、 「さっさと用意しろ」  と急かされ、慌てて着替

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催淫師 始動編(2)

始動編(2)  冴草啓人は雨桶市内のとある高級マンションの部屋にいた。部屋の住人である美女はベットの上で荒い息をしていた。己の欲望をあと一歩で満たせるという段階に至っても啓人は少しも悠然とした態度を崩さない。目の前にとび

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催淫師 始動編(1)

始動編(1)  割と格好良い一人の少年が市役所の建物を見上げていた。彼は昨日この雨桶市にやってきたばかりなのである。だからと言って、別に住民登録をしに来たという訳ではない。 「思ってたよりも・・・大きいな」  その少年、

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催淫師 序章(改)

 四月も終わる金曜日の夜、雨桶市外にある霧に包まれた古い洋館の前に、一台のトラックが止まり、三人の人間が降りて来た。 「あんた達、本当にあそこに・・・あの‘悪霊の館’に住むのかい?」  まず口を開いたのは、三十代後半と思

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幽体離脱

「・・・」  今の状態をどう表現すればいいのか・・・いわゆる今、俺、氏堂 幽一は・・・ ・・・幽霊になっている ・・・完 「じゃねぇぇっ」  がばっと体を起こし・・そのままくらっともう一度地面へ、固いアスファルトのベッド

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幻市 付章(その③)

付章(その③) 4.倉田(その②)  倉田が離婚したのは3年前だった。離婚にさしたる理由はない。妻の晴代とは実業団の現役サッカー選手時代に結婚したのだが、倉田の体重が増えるのに比例して感情がすれ違いを始め、結局、3年前に

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幻市 付章(その②)

付章(その②)  木曜日の11:00。ホテル・アルフォンヌのスイートでランチオンインタビュー。・・・OK。  倉田は受話器を置いた。今日は火曜日。明日一日準備に使える。倉田は早速メモを出して水曜日一日を使ってできる事を検

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幻市 第八章

第八章  よしっ、そのままこっちに来て・・・。  そこでクルッとターン。そうだ、綺麗だよ、美紀。いいよ、微笑んで・・・うん、素敵だ。純白のウェディングドレス。君に城のドレスがこんなに似合うなんて知らなかった。  床に座っ

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幻市 第七章

第七章  さあ、ここまで《シンイチ》と《てん》の話をしてきたんだけど、美紀ちゃん、理解できた?  これから話すのは《シンイチ》と《てん》が融合した日の事。僕の感覚で言うと《てん》としての自我はそのまま残っていたから《てん

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幻市 第六章

第六章  雨の日曜日。金沢はこれからのシーズン、太陽を見ることはぐっと少なくなる。11月から3月にかけて重苦しい曇りの日が続く。  いつもであれば少々の雨ならレインウェアを着て走り込みをする《シンイチ》だが、期末試験も近

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幻市 第五章

第五章  《シンイチ》が性欲を身につけるのと反比例して《てん》の活動は納まりつつあった。  《てん》は《シンイチ》の性欲の目覚めと自慰によって慰められ、靄(もや)の中から《シンイチ》を眺める生活に戻った。  このころの僕

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幻市 第四章

第四章  さあ、どこまで話したっけ。  そうそう、友達が来てるさなか、僕が発作を起こしたんだったよね。大事な所なんだ。このあたりから大きな距離のあった《シンイチ》と《てん》の間が急速に近づき始める。  《てん》に感情が芽

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幻市 第三章

第三章  《シンイチ》は自分自身を恐れていた。彼自身事態を正確に把握できていたわけではなかったけれど、いくつか彼が推定したことがある。 一つ、時々自分は性的衝動を抑えられなくなって暴行魔になってしまうことがある(覚えてい

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幻市 第二章

第二章  《シンイチ》は2日間、寝込むことになった。  病院からも、警察からも何の連絡もなかったけれど、野杖医師に対しておこなった行為が何の咎めもなしに済まされるとは思えず、《シンイチ》は怯えていた。  滅多に寝付いたこ

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幻市 第一章

[編集部注]  本稿はKなる人物により当編集部に持ち込まれた音声テープを文字起こししたものである。Kは自称フリーターであり、このテープはKにより仕掛けられた盗聴器により盗聴された物との事である。  当編集部はKが行った盗

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