其の三 紅沫崩墜 荒野で三人が向かい合っている。 「全くもって単純な奴等だな、アーン?」 「貴様・・・」 三人の表情は様々である。余裕たっぷりに笑う者、顔を紅潮させ歯ぎしりする者。そして何かを考えこむような者。 「ホ
もっと読む「超能力」
邪剣士帖 其の二 双華繚乱
其の二 双華繚乱 美濃部狂八は遊女屋の帰り、ホクホク顔で通りを歩いていた。 (いや~大した金になったな~) 相好を崩しながら七十宝(約二千万円)が入った財布を撫でている。昨日、仇討ちに来た女を思う存分楽しんだ後、売り
もっと読む邪剣士帖 其の一 淫牙怨報
其の一 淫牙怨報 一人の浪人が河川敷で佇んでいる。彼の名は美濃部狂八。武家社会においては無名だが、闇社会ではそこそこ名は通っている。彼はそこで『邪剣士』と呼ばれている。由来には幾つかの理由があるのだが、最大の原因は武士
もっと読む雨宿り
「ホントついてないわ」 今朝出勤する時には暑いくらいの天気だったのにいきなり降りだすんだもの。 「すぐに上がったからまだましだったけど下着までびしょ濡れ。 なんか身体が濡れていると気が滅入っちゃう。 それに
もっと読むセイレーン 最終章
最終章 ・・・ざ・・・ざん・・・。 ・・・ざざ・・・ざん・・・。 波の音が、寄せては返し、返しては寄せ、飽きる事無く続けている。まるで、心音にも似たそのリズムが、瀬蓮の心を癒して行くようだった。 瀬蓮はもう、泣い
もっと読むセイレーン 5章
5章 - 1 - ざ・・・ざん・・・。 ざ・・・ざざ・・・。 寄せては返す波の音が、夜の空気に浸透するように、繰り返し響いている。 それはこの場所で、悠久の彼方より連綿と続けられてきた営み。 その波の音に唱和す
もっと読むセイレーン 4章
4章 - 1 - 「はい、砂糖無しでミルク多めのコーヒーです。どうぞ」 そこは瀬蓮の部屋。どことなく居心地悪そうな悟に、瀬蓮はコーヒーを出した。もう、コーヒーというより砂糖抜きのカフェオレに近いそれは、不思議と美味しそ
もっと読むセイレーン 3章
3章 - 1 - 呼吸を止めて、ライフルを構える。今までクレー射撃で使っていたものよりも、重い。 達哉は地下室に設置された射撃場で、試射をしていた。威力重視の大口径なので、とてもでは無いが、試射無しでは扱う気にならな
もっと読むセイレーン 2章
2章 - 1 - 潮崎家の朝は、父親の達哉が作る料理の匂いで始まる。瀬蓮と夕緋を小さい頃から一人で育ててきたせいか、達哉の炊事・洗濯・掃除の腕前はかなりのものだった。特に料理は、見た目や味だけでなく、栄養のバランスの取
もっと読むセイレーン 1章
1章 - 1 - 県立光陵高校は、街の外れに佇む歴史ある高校で、いじめや犯罪の無い、世間とは流れる時が異なっているかのように穏やかな校風だった。街の中に高校を建設しなかったのは、初代校長が自然の中で学生が育まれる事を願
もっと読むセイレーン 序章
序章 - 1 - ───13年前、秋 星空に、月が輝いている。美しい夜空から降り注ぐ月光が、北海道の雄大な大地を照らしている。この辺りには人家も無く、野生動物達だけのテリトリーだ。恐らくは、日本でもっとも”自然”が溢れ
もっと読むうらぷら 第2話
第2話 「・・っ・・・っ・・っ・・」 水乃の嗚咽が辺りに響く。 ここは夜のセンサー公園。 俺は水乃を緑松と水乃が初めて出会った場所で貫いていた。 「ふん」 俺が水乃の身体からモノを抜く。 と、水乃の秘所からゴポ
もっと読むうらぷら 第1話
第1話 「げーっ、あの人見て、髪と眼が緑色だよっ」 「ああ、あれは確か生まれつきって話よ」 周りで俺のことを話している。 まったく・・・聞こえないように話せよ。 しかし、再びこういった朝を迎えることになるとは・・・
もっと読むうらぷら プロローグ
プロローグ 雲一つない晴天の抜けるような青空。 まだ2月だというのに真夏の陽射しが肌を灼いてくる。 数年前、地球の公転が半年分早く動いたが、世間は何の変化もなく日常も続いている。 俺、綿貫 緑松(わたぬき みどり
もっと読むマリオネット 後編
後編 「うえっ………ぐすっ………」 俺の部屋に響き渡る幼い泣き声。 「あか……茜……ちゃん………」 俺のベッドに横たわり、もはや動かなくなった茜の身体にすがり付いて泣く、葵の声。 「いやだぁ………いやだぁ…っ」 そ
もっと読むマリオネット 前編
前編 ごうごう ごうごうと――― 吹き荒れる、その風自身すら凍らせるような北風が、山の斜面を滑り降りる。 ざわざわ ざわざわと――― その場にそびえる杉の木々が、その風から身を守るように、お互いの幹を寄せ合い
もっと読むマリオネット 第9話
第9話 「あ~…だり~」 カリカリという、ノートにペンを走らせる音が教室に響く。 期末テストも近づくこの時期、誰もがいつ、教師の口からテストのポイントが告げられるかもわからないと、聞き漏らしの無いようにと必死に授業に
もっと読むマリオネット 第8話
第8話 マンションの見慣れたドアノブに、鍵を差込みひねる。 カチャリ、と言う音が響き、鍵が外れた。 俺は鍵をポケットにしまうと、抱きかかえていた葵を持ち直しドアノブをひねる。 葵は、すでにその身体に合わなくなって
もっと読むマリオネット 第7話
第7話 砕かれた葵の青いベールが、まるでダイヤモンドダストのように宙を舞う。 それは、光りを撒き散らす、青い輝きの透き通ったスクリーンとなった。 俺の目の前に広がる、幻想的な青い光のスクリーン、それは儚さをまとい、
もっと読むマリオネット 第6話
第6話 痛みを感じる。 本当は存在するのに空虚のような。 空虚なのに確実に存在するような。 そんな痛み。 へし折られた指からの痛みでも、生爪を剥がされた指先からくる痛みでもない。 この全身で感じているそれは―
もっと読むマリオネット 第5話
第5話 茜の全身から、冷や汗が流れているのがわかる。 ソファーに縛り付けられた滑らかな裸体が、細かく震えている。 今の今まで、官能の渦に溺れかかり、赤く火照っていたその身体は、まるでその事を忘れてしまったように青ざ
もっと読むBe My Baby
「せんせい、おはよーございます。」 「はい、麻実ちゃん、おはようございます。」 にっこりほほえんで、麻実ちゃんに朝のあいさつをしているやさしそうなお姉さんは、よしずみみどり先生です。仲良しほいくえんの、チューリップぐみ
もっと読むマリオネット 第4話
第4話 額から電気が走ったような、そんな感覚が俺を襲う。 それは、身体の末端神経まで到達し、ほんの一瞬、全身を硬直させる。 俺は身体をよろけさせ、後ろの窓のサッシにもたれかかった。 そうか、糸を打ち込まれた瞬間っ
もっと読むマリオネット 第3話
第3話 朝日が、細いカーテンの隙間から差込んでくる。 闇を払拭する、爽快な太陽光を浴びると、それまでのすべての事がリセットされ、昨日までとはちがう、また新たな事が起こりそうな、そんな気がする。 鳥の声が聞こえる。
もっと読むマリオネット 第2話
第2話 冬の空――― 頭上に宿る星々が、すべての季節の中で一番華やかに天空を彩る時。 冬の澄み切った空気が、その輝きを躍らせている。 月――――― 冬の透明な風の中、青白く輝くそれは、天に留まる巨大な氷のように
もっと読むマリオネット 第1話
第1話 月明かりに照らされる立ち昇る白煙。 漂うオイルの匂い。 木に留まる猛禽類が、興味深そうにその事態を眺める。 男のうなり声がした。 男はアスファルトに貼りついた顔を懸命に持ち上げる。 運転席から身体半分
もっと読む心触 第1話
第1話 始まりは秘密の部屋 ここはある町の中学校。 ここである出来事が起きた。 後に、素晴らしい人生を、僕にもたらす出来事であった。 でも、この時にはまだ知らない。これから起こる事を・・・・・・。 放課後の校舎
もっと読む糸引きエスパー 枕草子はえっちな授業!?
~枕草子はえっちな授業!?~ 「ふあーあああ・・・」 怜司はデイバッグを肩に掛けながら、朝っぱらから駅前を歩いてた。 「今日はどうやってすごそうかな・・・。久しぶりにアレやっかなぁ・・」 彼は中学1年生。この春小学校
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