第9話 前編 タカトオ・コーポレーション本社ビル 木曜日 「ふーむ」 さっきから俺は、腕を組んだままパソコンの画面とにらめっこをしている。 「どうかなさいましたか、局長?」 俺のデスクにコーヒーを置いた薫が尋ねて
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悪魔の流儀 第8話
第8話 Side:綾 大門の寝室 水曜日 早朝 ん、誰?誰かいるの? 薄笑いを浮かべて私の方を見ている男。あれはっ、あの男は、シトリー! 私から、部隊のみんなを、そして、姉さまを奪い去った悪魔! 「貴様あああぁっ!
もっと読む悪魔の流儀 第7話
第7話 タカトオ・コーポレーション本社ビル 火曜日 PM2:30 「どうすりゃいいんだよ」 自分のデスクに肘をついて、俺は頭をかきむしる。もちろん、さっきから俺が考えているのは、これから綾をどうするか、ということだ
もっと読む悪魔の流儀 第6話
第6話 大門邸 日曜日 PM6:20 「綾が帰ってこないって?」 「はい、買い物に行ったきり……」 その日の夕方、俺は冴子から報告を受けた。買い物に出かけて、もうだいぶ経つのに、綾が帰ってこないというのだ。 「いっ
もっと読む悪魔の流儀 第5話
第5話 ――ゴオオォォン! 私から少し離れたところで爆発が起きた。 「きゃあっ!」 閃光に続いて、強烈な爆風が私を襲い、私の体は吹き飛ばされる。 「くっ……」 「アーヤッ!」 懐かしい……聞き慣れた声が駆け寄って
もっと読む悪魔の流儀 第4話
第4話 俺の心配をよそに、その後、しばらくは何事もなく過ぎて、綾がうちに来てから3週目の金曜の晩飯後。 ――ガシャン! ……この音も、もう聞き慣れたな。 「もう~!綾さん!今週だけで何枚お皿割ったと思ってるんですか
もっと読む悪魔の流儀 第3話
第3話 ――その日の夜。 「さ~え~こっ!ちょっとこっち来てみ」 「なんですか、旦那様?」 俺は、部屋に呼んだ冴子に向かって、昼間手に入れたディー・フォンを構える。 すでに、使用者は、俺に変更済みだ。 やっぱり、
もっと読む悪魔の流儀 第2話
第2話 ――翌朝。 「おはようございます、旦那様、奥様」 「ご主人さま~、奥様~!おはようございます!」 「あ~、おはよう」 「おはよう、冴子さん、梨央ちゃん」 俺と幸が、ダイニングルームに入ると、朝食の準備をしてい
もっと読む悪魔の流儀 第1話
……ずっと、戦ってきた。 物心がついたときには、もう戦い方を教えられていた。 それから、どれだけの戦闘をこなし、どれだけの敵を倒してきたことか。 仲間たちは言った、全ては世界のため、主のためだ、と。 しかし、我
もっと読む悪魔の流儀 人物紹介
主な登場人物紹介 大門ファミリーのおさらい 大門武彦(だいもん たけひこ) 日本でも十指に入る企業タカトオ・コーポレーションの特別渉外局局長にして、社長の娘婿。実は元悪魔。『プロジェクトD』の主人公なので、悪魔時代のこ
もっと読む黒い虚塔 最終話
最終話 ――社長室。 「おお、倭文くん。君の仕事ぶりはワシも聞いているよ」 意外にも、笑顔で僕を出迎える社長。 普段、姿を現さないから、もっと気難しいのかと思ったが……。 こうして、社長と対面するお膳立ては、璃々
もっと読む黒い虚塔 第7話
第7話 ……あの後、絢華を説得した経緯に関しては、思い出しただけでも頭が痛い。 常務がやったみたいに、キーワードでオンとオフが切り替わるようにしようかとも思った。 しかし、そんな操作はもう受け付けないくらいに、絢華
もっと読む黒い虚塔 人物紹介
主な登場人物紹介 倭文淳(しとり じゅん) マジック・クラフト・エンジニアリング(以下同)商品開発部部長補佐兼統轄マネージャー。今回の話の主人公で洗脳操作系の商品開発に関しては天才的な才能を発揮する。元極東エリア担当第
もっと読むZIPANG
ババババババ……。 外の方からバイクのエンジン音が近付いてきて、この建物の前で止まる。 ――コンコン。 しばらくして、ノックの音がした。 「開いてるぜ」 「じゃまするわね、ジャック」 入ってきたのは、フルフェイ
もっと読む黒い虚塔 第6話後編
第6話 後編 家に帰ると、僕は、真っ先に研究室代わりに使っている小部屋に入る。 「さてと……」 僕の右手から出てきたのは、赤い玉。 そして、その中から……。 ――カラッ。 乾いた音を立てて、デスクの上にマイクロ
もっと読む黒い虚塔 第6話前編
第6話 前編 ――商品開発部 製品事業部本部長の辞令は出ても、異動は来週だから、まだ少しの間は、このデスクでの仕事が続く。 よく考えたら、このデスクでやっていたことって、ほとんどが、下からの企画を却下することだった
もっと読む黒い虚塔 第5話
第5話 北米エリア担当第1製作課、伴天院祐二……<魅了のグラス>。 バーのカウンター、ひとりで飲んでいる女性の前に、スッ、とグラスが……。 バーテン曰く、 「あちらのお客様からです」 そちらを見ると、ひとりの男性
もっと読む黒い虚塔 第4話
第4話 薄暗い部屋の中、妖しく蠢くいくつかの影。 ヌラ……と汗ばんだ体が光るのが、かすかな灯りの中でもわかる。 「ああ……シトリ……様……」 「んん……シトリ…さまぁ……」 「シトリ……さま……ああん……」 「……シ
もっと読む黒い虚塔 第3話
第3話 最近、街角(もちろん魔界の、だが)で、カラス翼の黒猫や、コウモリ翼の黒猫をよく見かける。 変わり種では、尻尾が蛇になった猫や狼なんかもいたりする。 なんだかな~、と一瞬思ったが、ああ、新型アプリか、と気付く
もっと読む黒い虚塔 第2話
第2話 「……と、いうわけで、私の商品の企画案に関しては以上です」 一夜明けて、今日は、商品開発部の新商品開発に関するプレゼンの日。 報告しているのは、極東エリア担当第1製作課に回された倍紋さん……。 ここは、第2
もっと読む逆転砂時計 第二話
第二話 時計を手に入れて二日目の学校が始まった。 桐咲の人生は、怠惰なものから一変し華やいでいた。 まるで砂時計を使ったかのように。 リミットは今日まで、ならば思う存分使わなければ。 本日のターゲットはもう決め
もっと読むLove Fishing
ボクの名前は、作泰三(つくり たいぞう)、自称・天才発明少年。 ボクのことを、子供だと思ってバカにしてもらっちゃ困る。 たった今できあがったのが、この釣り竿。 これは、ただの釣り竿じゃない、なんたって、これが釣り
もっと読む愛欲の鬼 其の三
願はくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ 西行法師 其の三 鬼が復活して、さらに二ヶ月近くが過ぎ……。 ――太政大臣・藤原良房の邸宅にて。 「兄上、叡山に、相応(そうおう)という僧がおります
もっと読む愛欲の鬼 其のニ
今は昔、東の方より、栄爵(えいじゃく)尋ねて買わむと思いて、京に上りたる者有けり。 其の妻も、「かかるついでに京をも見ん」と云いて、夫に具して上りたりけるに、宿所の違いて無かりければ、忽ちに可行宿き(ゆきやどるべき)
もっと読む黒い虚塔 第1話
第1話 〔あのディー・フォンに、新アプリ登場!わくわく動物アプリで、どんな動物も使い魔に!動物なら、魔獣よりも簡単に使い魔にできますよ!さらに、わくわく動物アプリにはキメラ機能も!いろんな動物を掛け合わせて、自分だけのオ
もっと読むプロジェクトD 第6話
エピローグ 「さてと、今日はここまでにしておくか。……薫。明日の予定はどうなっている?」 「明日は、10時から、例のインド企業との提携に関して、本社会議室での会議が予定されています。その後、14時から、セリザワ土地開発の
もっと読む愛欲の鬼 其の一
而る間、此の鬼の魂、后を惚らし狂はし奉りければ、后いと吉く取り繕い給ひて、打ち笑て、扇を差し隠して、御帳の内に入り給ひて、鬼と二人臥させ給ひにけり。 女房など聞ければ、只日頃恋しく侘しかりつる事共をぞ鬼申しける。后も
もっと読む逆転砂時計 第一話
第一話 「えー、以上で、帰りの、HRを、終わります」 桐咲は自席で軽くため息をついた。 これからまた特に楽しくもない日々が始まり、同じようなことを毎日繰り返す。 学校という場所はどうしてこうも退屈なのだろうと常日頃
もっと読むプロジェクトD 第5話
第5話 「はい?今なんとおっしゃいました、部長?」 「だから!倭文くんは異動!来月から商品開発部部長付に!」 「……ハイ?」 「あなた、頭沸いてるの!?来月1日付けで、倭文くんは第2製作課から私の直属になるの!」 「……
もっと読む愛欲の鬼 序
今は昔、染殿后(そめどののきさき)と申すは、文徳天皇の御母也。良房(よしふさ)の太政大臣と申しける関白の御娘也。形ち美麗なる事、殊に微妙(めでた)かりけり。 而るに、此の后、常に物の気に煩(わずら)ひ給ければ、様々の
もっと読むプロジェクトD 第4話
第4話 結局、あれから、仕事が休みの度に、人間界に行って幸と会う、という生活がもう1ヶ月半ほど続いている。まあ、俺も楽しんでいるわけだから、別に嫌なわけじゃないんだが……。 とにかく、幸の方は糸を使えば洗脳を解除する
もっと読むプロジェクトD 閑話
閑話 こんにちは。ワタクシ、案内役を務めさせていただきます、マジック・クラフト・エンジニアリング広報部の植春愛那(うえはる あいな)といいます。本日はようこそいらっしゃいました。 ……え?もう少しくだけた感じで、元気
もっと読むプロジェクトD 第3話
第3話 「今日発売の、『週刊魔界経済ジャーナル』によると、ディー・フォンが魂の回収率で7位にランクインしてるわね。発売開始して2週間の商品が、魂の回収率でトップ10入りするなんて今まで聞いたことないわ。ちょっとしたニュ
もっと読むプロジェクトD 第2話
――そのとき波留間は思った。「このやり方ならいけるんじゃないか」と。 大門 「なんじゃい!前回に引き続き、タイトルパクった公共放送の某番組のナレーション風のセリフは!?却下却下!ハイ、撤収~!」 ――と、そんな小噺
もっと読むプロジェクトD 第1話
――これは、人間を堕落させる道具を作ることに、日々心血を注ぐ魔界の企業戦士達の物語である。 第1話 ここは、魔界の大手企業、マジック・クラフト・エンジニアリングの商品開発部極東エリア担当第2製作課。第2製作課は主に、
もっと読むmade in heaven 第一話
第一話 学校の帰り。僕がコンビニで買い物をして家までの道を歩いていると公園のベンチにしゃがみ込んでいる男の人がいた。 ただ座っているだけなら僕も気にとめなかったと思う。でもその男の人はいろんな意味で普通ではなかった。
もっと読む免罪符 幕間
― 幕間 ― さて、これからどうしようか。 かわやちゃんとここ、駅の男子トイレで別れて会社に向かおう、とも考えたが、今更出勤しても遅い時間だし、上司からお怒りの電話が携帯に飛んでこないところを見ると、思った通り『免罪
もっと読む十二の指環 第一章 双児編
第一章 双児編 ゲーム開始より一日が経過しました。第四の契約者以外は、慎重に力を使い、力を順調に蓄えております。。第四の契約者は、力試しをしている最中と見受けられました。故に、探知系の契約者には居場所は割れているのは確
もっと読む十二の指環 第一章 巨蟹編
第一章 巨蟹編 ついに、残っていた第四の適合者が契約を果たしました。これにより、参加者が揃いましたので、遊戯にして遊技[ゲーム]を正式に始めさせていただくことを、ここに宣言します。形式としては指環を適合者同士に奪いあう
もっと読む十二の指環 第一章 準備編
第一章 準備編 指環は各地に広まった。四つは『倭国』日本、一つは『正義の基督国』アメリカ合衆国、一つは『道術大国』中華人民共和国、四つは『魔術の本場』ヨーロッパ、二つは『祈祷師の暗黒大陸』アフリカへと散った。 しかし
もっと読むグノーグレイヴ 第7話
第7話 ―アンドロイド― [0] 「マスター御命令を」 俺がしたかったのは、こんなことじゃない。命令をしたい訳でもなく、命令を聞いてほしい訳でもない。 俺は俺の隣にいてくれる人が居てくれれば良かった。そこにちょっと
もっと読むグノーグレイヴ 第6話 後編
第6話 ―粘土[後編]― [-1] 形はなく不定形。 固い柔らかいも決まっていない。 それでも血は通っている心という存在不明な呼び名。 ある学者から言わせれば胸にあると言い、 とある医者に言わせれば頭にあると言
もっと読むグノーグレイヴ 第6話 前編
第6話 ―粘土[前編]― [0] 「んっんんーー」 上機嫌に歩く握出の姿に俺は疲れてしまった。 仕事を辞めたいと思ってしまったら、仕事を続けたいと奮起させるのにどのくらいの力を取り戻さなければいけないのだろう。 今
もっと読むグノーグレイヴ 第5話
第5話 ―時計― [0] ハア・・・ハア・・・ 吐く息が荒い。当然だ。これからやろうとすることは、普通ならやりたくないこと。人生で行う一世一代の賭けである。 テンションが下がるはずの行為を、逆に灼熱のごとく燃え上げ
もっと読む素敵な原稿用紙
私は小説家だ。小説と言っても純文学や書店でフェアを組まれるような小説を書いている訳ではない。 私が書いているのは、書店の片隅にひっそりと置かれるような小説。いわゆる官能小説だ。 ベストセラーを叩き出したりしている訳
もっと読む山下夫妻と不思議な店
「山下さん、どうしたんスか?でっかい溜め息なんかついちゃって。契約も何とかまとまったし、ここはイキヨーヨーと凱旋するトコじゃねスか?」 隣を歩く青年が心配そうに声を掛けてくる。 「…これから家に帰ることを考えると気が重
もっと読むグノーグレイヴ 第4話
第4話 ―電話― [0] アークデーモン 悪魔辞典前説。 悪魔族の中でも上級に属する悪魔。Archdemon。 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ それ以外の場所には何処にも載っていない。 べリアル
もっと読むグノーグレイヴ 第3話
第3話 ―名刺― [0] 自分では変えられないものがある。 とても身近で、あまりに神聖な、名前という商品登録。自分は商品で社会に売買される存在だと認識しなくてはならない。 価値を決めるのは自分ではなく社会であり、低
もっと読むグノーグレイヴ 第2話
第2話 ―人形― 前略 前回まで『エムシー』商品と名乗っておりましたが、この度から『グノ―』商品と変更させて頂くことを申し上げます。 誠に勝手ではございますが、御了承くださいませ。 草々 平成22年度1月25日
もっと読むグノーグレイヴ 第1話
第1話 ―鏡― [0] 私が右手を挙げると奴は左手を上げた。 私が右を向くと奴は左を向いた。 上下逆転している訳じゃないのに、左右だけは逆転する。 なんてつまらない、完璧な製品を作ろうと試行錯誤して、あと少しの所
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