「魔法使いに会いたい」とエリは言った。 夕焼けが塗りつぶすあの日の空を僕は忘れたことがない。 それは彼女の怒りと無念の色だ。雲は毛氈のように真っ直ぐな道を作り、一番星が瞬いて宇宙の真理を垣間見せていた。 魔法使いは
もっと読む「魔法」
おしえて魔女先生! ~錯誤魔法編~
午前10時55分。 「はぁ……これを消すのかぁ……」 今日の日直だった柚木ミイコは、3時間目の板書でびっしりと埋まったホワイトボードの前で途方に暮れていた。 数学担当の高杉先生は、若い上に180センチを超える身長の持
もっと読む真夏のライブにご用心
痛みを覚えるほどに燦燦と照りつける太陽の下。 とある海沿いのイベント会場は、日差しなどものともしない程の熱気に包まれていた。 半円形の屋外ステージを取り囲むように並んだ数千の観客席は、殆どが目を爛々と輝かせた男性客
もっと読むアクマは堕ちるとなんになる!? 後編
後編 天使も家にやってきた ――3ヶ月後。 「んもぅ、あたしはこんなにルイ様のこと大好きなのにぃ」 ……ん? なんだ? 私の体の上に覆いかぶさるような、これは……うん、ティミリアだな。 昨日の夜もいつものように
もっと読むアクマは堕ちるとなんになる!? 前編
前編 悪魔が家にやってきた 「ふむ……この輝き、実にいいな……」 大きな金属製の丸盾を銀磨き用の磨きクロスで丁寧に表面を拭ってやると、まるで鏡面のように滑らかな輝きを放ち自分の顔がそこに映る。 いや、鏡面のようにとい
もっと読むおしえて魔女先生!
午後1時半。 「ふぁ~あ……」 2年C組の教室の前から3列目、窓際側の席で、石動リリカは大きくあくびをした。 まったく、午後の授業というものは何故こうも眠くなるのだろう。 ポカポカした春の陽気と相まって、教科書の
もっと読むさよならウィザード 11話
第11話 深い眠りの底から、ゆっくりと引き上げられる。海底のような体の重さだ。 空っぽの教室。机が一つ。僕はその机の前に座っている。体はまだ重くて口が開かない。湿布くさいなと思ったけど、それは僕の体から匂っていた。
もっと読むさよならウィザード 10話
第10話 「あっ、あうっ、あんっ、ご主人様!」 図書室で古い卒業アルバムをめくっていく。 そのテーブルの上で、モエミをうつ伏せにしてパンツを脱がせ、覆いかぶさるようにして挿入している。 「ご主人様、あぁっ、みんなが、
もっと読むさよならウィザード 第9話
第9話 この世の魔法を全て手中にしたと僕は過信していた。 だから高校生活もきっと退屈なものであるに違いないと、疑いようもなく、毎日決まった登校ルートを歩くのと同じくらい当たり前に思っていた。 その道に花が咲いていた
もっと読むBLACK DESIRE #24-5
7. 星漣女学園第2学生寮「さざなみ寮」は、第1学生寮である正星館(しょうせいかん)に比べれば普通の建築物である。通りがかった人にどこかの国の大使館に間違われることも無いし、地元民に市役所よりも敷地が広く立派だからって
もっと読むBLACK DESIRE #24-4
6. 2つのグラウンドで行われていた最終戦2試合が終了し、ソフトボールの順位が決定すると僕たち運営委員会関係者はにわかに慌ただしくなった。この後授業時間を延長し、順位発表と表彰、MVP選手の選出を行わなければならないか
もっと読むBLACK DESIRE #24-3
4. 翌日、今日も今日とて昼休みを潰してソフトボール第2戦の準備をしていると、スマホがメールの着信を知らせてきた。誰だ、学校中にメールなんかしてくる奴は、と自分の事を棚に上げて確認すると。 『来い 屋上』 「ごめ
もっと読むBLACK DESIRE #24-2
2. 星漣学園体育祭の第2部、球技の部は3日間かけて行われる。学年合同縦割組4組の選抜メンバーによる球技は毎年種目が変わり、今年はソフトボール。総当たり戦だから時間もかかり月から木までの4日間の午後5・6・7時間目が予
もっと読むBLACK DESIRE #24-1
0. 週が明け、新しい月曜日の朝が来た。僕は朝早く薄暗い頃から星漣学園に登校すると、正門から入ってすぐの桜の木の幹に寄りかかって生徒達の登校の様子を眺めていた。木陰に居るとは言え、目立つ星漣の白い制服姿にみんな即座に僕
もっと読むBLACK DESIRE #23-3
6. 「水上騎馬戦キャットファイト!」の得点計算は予定通りに大盛り上がりだった。バルーンが抜けずに四苦八苦する選手と役員と応援する観客達、そして抜けた後の大拡張して開きっぱなしの卑猥過ぎるお尻の穴。モニター越しだけの映
もっと読むBLACK DESIRE #23-2
3. 僕が宮子を伴って検査道具の入ったバッグ片手に男子更衣室に向かうと、そこにはもう須藤茜が不機嫌そうな顔で待っていた。水泳帽と水中眼鏡は外し、耳が隠れるくらいの茶色いショートカットから水がぽたぽた垂れている。眉はしか
もっと読むBLACK DESIRE #23-1
0. 体育祭開催日の朝は、見事な秋晴れとなった。高く澄み渡った空と特徴的なうろこ雲の下、早朝から選抜メンバーを集めて会場設営を実施する。 「このぶんなら、予定通り外で開会式出来そうですね」 「うん。体育館でやるとプール
もっと読むBLACK DESIRE #22-3
7. 成り行きで宮子を抱く事を承知したけど、改めて裸で浴槽の中に立って微笑んでいる少女を前に、僕はすっかり腰が引けていた。だって、その表情は少し赤らんではいるけどいつも僕に向けられていた親しみのある笑い顔で、その裸身は
もっと読むBLACK DESIRE #22-2
4. 翌日、僕はいろいろ思うところが有ってなかなか寝付けなかったにも関わらず、幎に起こされるより前に目が覚めた。窓のカーテン越しの屋外から全く光が射しておらず、まだ暗闇と思われたのでもう1眠りしようかと寝返りを打ったが
もっと読むBLACK DESIRE #22-1
0. ごろんごろん、ごろんごろごろ、ごろろんごろん。 頭の中を、ボウリングの球ぐらいの黒い鉄球が転がっている。僕の脳内は酷く整備不良で、山奥の国道ぐらいに凸凹の石くれだらけで鉄球はドカンボコンと跳ね回って頭蓋をめちゃ
もっと読むBLACK DESIRE #21-3
5. 教室を出た後、僕らはいったん受付に寄ってリヤカーを借りた。10キロくらいあるウォータージャグをえっちらおっちら運ぶのは骨が折れるし、先に行ったユニフォームの箱もある。有る物は有効活用しないと。校舎の裏口に回してき
もっと読むBLACK DESIRE #21-2
3. 翌10月1日の水曜日は、僕の心中はさておき見事な秋晴れであった。水曜の1時間目はミサの時間だから、全校生徒は午前8時の10分前には礼拝堂に集まって到着順に前から詰めて座っていく。 僕は礼拝堂に時間ぎりぎりに入っ
もっと読むBLACK DESIRE #21-1
0. 「草……薙……」 飛び出してきた名前に、僕は絶句した。それは半ば忘れかけていた、そして忘れてはならない、僕が星漣学園に転校する切っ掛けを作った人物の名前だったからだ。 約4ヶ月前、僕は親父の失踪を知って数年ぶり
もっと読むBLACK DESIRE #20-2
2. 放課後、三繰と校舎裏の渡り廊下で落ち合った僕は、連れだって東の星漣学園文化系エリアに向かった。冬月から哉潟家の能力で情報を聞き出すにしても、できるだけ人目に付かない場所が良い。昼休みの時点で七魅とともに現れた三繰
もっと読むBLACK DESIRE #20-1
0. 火曜日朝6時50分のウィルヘルム時計塔、その館部分の1階会議室に僕を含め十余名の星漣学園生徒達が集まっていた。いずれもこの学園における役職持ちの権力者達。彼女らがこんな早朝から集まって行おうとしているのは、学園の
もっと読む聖騎士王国の籠絡 第二話
第二話 聖騎士王国、第三王子シェムザールの部隊を陥落させたわたし――マリは、ヴィスに頼んで、魔国マリスマギアの人たちを呼び戻してもらった。 別に、あのまま、聖騎士王国まで進行してもよかったのかもしれないが、まずは自陣
もっと読むBLACK DESIRE #19-3
5. 結局のところ、立華が来てくれてほぼ2日と半分で体育祭関連の書類作成は完了してしまった。これは驚異的な速度である。実際に側で立ち会った春原も早坂も、立華の処理能力に驚いていた。 立華はただ単にタイピングが速いだけ
もっと読むBLACK DESIRE #19-2
3. 週が開け、いよいよ9月の最終週がやってきた。10月はすぐそこ、そして体育祭の開催期間まではあと2週間しかない。 藍子のよこしてくれた立華は僕の想像以上に優秀で、ほとんどの文書業務を1人でこなしてくれた。既に実施
もっと読むBLACK DESIRE #19-1
0. 3年椿組9月最後の体育は、生徒達の希望もあって体育祭での水泳競技に備えての水泳となった。それなりに泳げる人間は少しでもクラスの得点に貢献できるように得意種目を練習し、あまり得意でない者もお遊び系種目で頑張れるよう
もっと読むBLACK DESIRE #18-2
2. 春原との契約に成功した僕は、早速彼女の契約者としての性能を確認した。黒い本の彼女のページに記載された内容は、「統制権:13 恒常発動:有効」とある。それを見てニヤリと笑う。よし、思った通り。 春原が僕に対してど
もっと読むBLACK DESIRE #18-1
0. 数日前からニュースで騒がれていた台風もあっさりと日本海に抜け、首都圏は今日も平和であくせくとした朝を迎えた。予想進路をコーナーいっぱいに使って高速で列島を横断し、いつの間にか熱帯低気圧に変わっていたその台風の末路
もっと読む魔女のゲーム 裏サイト編
裏サイト編 「絶対服従! 王様ゲームの興奮をここに! 無料の魔法プログラム『魔女のゲーム』へご招待!」 友だちの沙織から、わたしがその招待状<インビテーション>を受け取ったのは、大学に入ってから、半年ほど経ったころだっ
もっと読む聖騎士王国の籠絡 第一話
第一話 聖天使博士大学は、キリスト教系の宗教組織を母体とする、小規模の私立大学である。 総合大学ではなく、少々の学部がある程度だが、付属高校や中学を持っている。 宗教組織を母体とする、といっても、この大学自体には、
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第4話
-4- 森の中で一人、息を潜める。 おそらく何かの作業場か小屋のあった場所なのだろう。崩れた廃屋跡と、切り拓かれたスペースがあった。ノベル兵たちの集合場所にもなっているのか、大勢の屈強な兵士がウロウロしている。 場
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第3話
-3- 学院に戻ってきて、しばらくは平和な毎日が続いた。 「せーんぱいっ」 昼休みに廊下を歩いていたら、鈴の音とともに呼び止められる。振り返ると、『後輩↓』という文字を頭上に浮かべたモモがニコニコしていた。 うむ。
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第2話
-2- 「うっそでしょ、こんなところでもうへたれちゃうんですか? これっておそらく最短記録ですよね、きっと報告書を読んだ先生も失笑ですよね、恥ずかしいですねー」 わずか数マイメーター歩いただけで腰の痛みを訴えてへたれる
もっと読む落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート 第1話
-1- 落ちこぼれのレイニー・ブリスルスハート。 当然、俺の本名は後半の部分だけなんだけど、学校のみんなには、わざわざ長ったらしくこう呼ばれることが多い。 省略したいときは、ただの「落ちこぼれ」と呼ぶ。本名が一部た
もっと読む清流女学院MC調教 インターミッション
インターミッション 「裕翔先生、おはようございます」 僕が、学院の中を歩いていると、みんなが口ぐちに声をかけてくる。 「ああ、おはよう」 女の子が声をかける。 別のクラスの人だが、僕も顔を覚えてきた。 「おはようご
もっと読む魔女のゲーム 同窓会編(解答)
魔女のゲーム:同窓会の魔女(解答編) 「魔女がだれだかわかったぞ!」 そう言うなり、続けて、大声で叫んだ。 「出口さん! いるんだろう! 君が、魔女だ!」 教室の前に立った喜一郎から、声が出る。 「は? 出口? だれ
もっと読む魔女のゲーム 同窓会編(問題)
魔女のゲーム:同窓会の魔女(問題編) 20XX年。 少子高齢化により、人口の集約化が政策でおしすすめられてから数十年。 もはや人のいなくなった学校。 同窓会で、その学校に集まったのは、ある朝のことだった。 「ひさ
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1 「えー、みなさんの副担任になりました、杉沢裕翔といいます」 黒板の前で、自己紹介。 一度、学校の全校生徒の前で自己紹介したから、二度目だ。 僕は、よく顔の見えないみんなの前で自己紹介するよりも、こんなこじんまり
もっと読む魔女のゲーム 王様ゲーム編
【プロトタイプ:王様ゲーム編】 登場人物紹介 内村卯月:主人公。非モテ。精一杯の行動としてオカルト研究会を立ち上げる。不細工。 久住久遠:卯月の恋人。かわいくない。不美人。主人公がHしてくれないのがすごく不満で不安。 須
もっと読む魔女のゲーム 魔女狩り編3
魔女狩り編3 登場人物紹介 久慈蔵人(くじ・くらうど):主人公。魔女のゲームでの役職は、異端審問官。 佐伯佐和子(さえき・さわこ):主人公の彼女。胸はふつう。性欲は強い。 手越貞二(てごし・ていじ):ヨット部。船舶免許あ
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魔女狩り編1 登場人物紹介 久慈蔵人(くじ・くらうど):主人公。登場人物の中で、一人だけ別の学院に所属している。クオーター。クロードがあだ名。 佐伯佐和子(さえき・さわこ):主人公の彼女。胸はふつう。性欲は強い。 手越貞
もっと読むBLACK DESIRE #17-10
10. ……夢を見ていた。 それが夢だと気が付いたのは、夢の中の僕は僕では無い、誰か別の人物だったからだ。 夢の中の主人公である僕は今よりちょっとだけ歳を重ねた青年で、黒髪であることは同じだけどその両目は見たことも
もっと読むBLACK DESIRE #17-9
9. いったいどれだけの時間と労力が費やされたのだろう。 幎の、七魅の、それぞれの意志が、そして偶然のもたらした様々なヒントが、今のこの状況を作り出した。 エアリアとの距離はほんの4mくらい。魔女は僕のことを完全に
もっと読むBLACK DESIRE #17-7
7. 日没が迫っていた。オレンジ色に染まりつつある湖に、南方の河川沿いに赤い光を引いて黒い影が突入してくる。 「見えたぞ! あれがウィルヘルム魔法学園だ!」 「……あそこです!」 黒猫の言葉に、幎もそこに建つ細長い構
もっと読むBLACK DESIRE #17-8
8. 塔の内側はだだっ広い吹き抜けの空間だった。学園の時刻を知らせる大鐘とその作動機構が埋め込まれたフロアを抜けると、後はひたすら最上階まで塔の内壁に沿った階段が上へ上へと延びている。窓は無く外の様子は見えないが、途中
もっと読むBLACK DESIRE #17-6
6. ランファ=ランカ少尉はアイドルである。 それは21小隊のアイドルと言う意味ではない。彼女はアイドルとしてのパーソナリティを与えられたホムンクルスなのだ。 戦争が長引くに従って、年々ホムンクルス兵の役割は多様化
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