共振 第3話

第3話 「精神干渉って、結局のところ、精神体が振動する波長は合わせながら、振幅はこちらが強めにして、共振状態を主導するっていうことで正しいですか?」 「…………まったく、その通りだと思う」  メンターは頷く。ゆっくりと微

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共振 第2話

第2話  うっかりすると、呼吸をすることを忘れてしまうくらい、気まずい時間だった。同じソファーに座って、上体を捻るようにして向かい合っている伊吹と芽衣。吉住芽衣は今、セーラー服のスカートの裾を、自分の胸元の高さまで、両手

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共振 第1話

第1話  カランコロンカラン。  Cafe Diningグラス&ウールという名のお店は、木でできたドアを開くと、赤茶けたベルが、乾いた金属音を立てる。その音はどこか、牧場で飼育されている牛の首についた鈴の音を、芽衣に思い

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蟲の湧く星 後編

後編 <利岡正樹のビジョン> 「こうやって調べてると、社会性昆虫って、本当に人間とあんまり変わらないよね。もちろん、六脚とか成長過程での変態とか、外骨格とか、見た目は人間と正反対というくらい違い過ぎるけど、集団の中のヒエ

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蟲の湧く星 中編

中編 <利岡正樹のビジョン>  聖果ちゃんと付き合い始めて、3日がたった。始めは、毎朝学校に一緒に行くために、正樹の家まで迎えに来てくれる稲生聖果の献身的なルーティーンに少し戸惑った。聖果の家から学校に行く通学路からは大

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蟲の湧く星 前編

前編 <船持久実のビジョン> (学校サボっても、タモツもリツもキョーヤも遊べないんだったら、することないじゃん。リオたちも結局授業出ちゃうし………。使えない………。)  不機嫌を隠そうともせずに、久実は頬杖をついたもう片

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掲示板 下

―下― ≪≪【催眠】 MC操られるモノの実話スレッド 【洗脳】 53≫≫ 1 ミドリ 2018年10月11日 23:07  新スレ立てますねー。  とりあえず、いつもの説明文。  このスレッドは実際にMC(他人の心を支配

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掲示板 上

―上― ≪≪【催眠】 MC操るモノの実話スレッド 【洗脳】 87≫≫ 1 匿名 2018年8月2日 23:07  新スレ立てるよー。  とりあえず、いつもの説明文。  このスレッドは実際にMC(他人の心を支配する)行為を

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レタッチ 後編

後編 「貴方が槙村航太君ね。陸上部は今、貴方の噂でもちきりよ」  航太と澄華の前に立っているのは、陸上部のキャプテンで3年生の姉川ツカサ先輩。アスリートとしての能力、キャプテンを任される人格もさることながら、抜群のプロポ

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レタッチ 中編

中編  タブレットに入っている、「レタッチ」というアプリは、基本的には直感的な操作を繰り返しながら、使い方を覚えることが出来る。メニューには一般的な操作法説明のリストはあったが、それほど懇切丁寧に使い方を教えてくれている

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レタッチ 前編

前編 「ゴン………ゴンゴン」  航太の部屋の壁を叩く音がする。 「ほーい」 「ゴン、ゴンゴン」  航太がデスクトップから目を離さないまま、気の無い返事をしていると、また壁が叩かれる。槙村航太の部屋は2階にある。そして音は

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うごけ 第2話

第2話  東新宿駅から徒歩5分の場所にあるアパートに御堂聖が住むようになって、2か月が過ぎようとしていた。やっと周辺を散策していても、道に迷う心配をしなくても良くなってきた頃だ。それでも、少し足を伸ばすと、ヒジリは簡単に

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うごけ 第1話

第1話 「ご両親と連絡を取ることは出来ないかな? ……これは、きちんとした診断をしなければいけないし、ちゃんと説明しなければならないことだと思ってる。実は、僕は医者として、この件に関して、100%の確証を持てている訳では

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回路

 河川敷の土手、電車が川を渡るところが一番良く見渡せる位置まで来て、僕は腰を下ろした。手にはファミチキ。川向こうでは草野球の掛け声が響いている。僕が、湿った草の上に腰かけると、制服のズボンを通して生暖かい、雑草の湿り気が

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中2の血脈 後編

後編  ダブルデートでプールに来るというのは、水島日菜子の提案ではなかった。彼氏の和馬と親友の亜里沙に、強引に約束させられてしまったのだ。日菜子と亜里沙は都立高校で男子バスケ部のマネージャーをしている。彼氏の和馬とキャプ

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中2の血脈 中編

中編  真っ白な背景の部屋で、悠生は女の人を裸にして、抱きしめていた。オッパイに吸いついて、もう片方のオッパイを手で強く掴む。柔らかくて白い肌は、昨日の「母」、悠美の体の感触。その裸の女の人も、悠生に触られることを嫌がっ

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中2の血脈 前編

前編 「ソー? ・・・ホワッドュユーセイ?」 「ワッデューセイ?」 「ワデューセイ?」  ラッパーでもないのに、一生懸命鏡の前で、ネイティブっぽい発音を口真似しながら、何度も繰り返す。学習机に置いた鏡に向かって、自分の発

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オナモミ亭

 日の出横丁という飲み屋街がある。駅裏と地元の人たちが呼ぶ、JR駅の北側の地区だ。戦後は闇市がここに立って、ずいぶんと賑わったらしい。今では日の出というよりも、「斜陽」と言ったほうがしっくりくる。失礼だけど、もっと言うと

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