ヤドカリ 後編

- 後編 - 「ん・・・」  さつきの口から声がもれると、閉じられていた目がゆっくりと開いた。 「あれ・・・私・・・?」  彼女は眉に皺を寄せた。  何をしていたのかを思い出そうとしたのだが、頭がぼうっとしていて何も考え

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ヤドカリ 前編

- 前編 -  太陽が沈み始め、道行く人は家へと足を速めている。  丹羽さつきもその一人だ。 「遅くなったわね・・・」  顔を曇らせ溜め息混じりにもらしたさつきの声は、茜色の空に消えていく。  そんな彼女の前に若い男の二

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琴音の店

 琴音の店を訪れるのは久しぶりである。東京都内でも有数の盛り場の一角に、彼女の店が入居している雑居ビルがある。  ビルの前の通りでは、花売りの婆が商売をしていた。ちょうどいい、俺は適当な花束をみつくろって金を払った。  

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竹の子企画

「うるさいわね」  その声は一人の女性の口から出たものだが店内全体に鳴り響いた。 「あんたみたいなださい男が私と釣り合うわけないでしょ」  かなり厳しい言葉だがその端正な顔立ちに妙にマッチしているのが不思議である。 「そ

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友達以上、兄弟未満…の尻尾 主従関係は破るためにあった?

主従関係は破るためにあった?  私の家系は、代々『仕える者』として生きてきました。  私の家系は15歳になると、必ずどこかに仕えなければなりません。  『人の手は借りず、自分で主人を見つけて生涯仕えよ』が、我が家訓です。

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