第1部 第1話 主が、アンナのもとに来た日の夜。 え?これは? アンナは、またあの夢の中にいる自分に気付く。 目の前には、いつもの、穏やかな光を湛えた金色の瞳。 私のもとに来て下さったというのに、夢の中にも現れ
もっと読む「悪堕ち」
黄金の日々 第1部 プロローグ
第1部 プロローグ ここは、大陸でも最古の歴史を誇るヘルウェティア王国。その国境付近、山岳地帯の中腹にある閑静な農村キエーザ。200軒近くの家が集まる集落の周囲には放牧地が広がり、おそらく、季節さえ良ければ淡い緑に覆わ
もっと読むコウモリ男の夏 (4)
(4) 「お兄ちゃん、私にも仕事を手伝わせて? お兄ちゃんを守るくらいのことは出来るよ」 僕はうんざりした気持ちで、季依が作る子猫のような表情を見下ろす。 主張。反抗。そして媚び。 少女が大人の女になる課程というの
もっと読むコウモリ男の夏 (3)
(3) 今日から、あたしはひとりぼっちだ。 見知らぬ庭には、色とりどりの花が咲いていた。 名前も知らない花。赤い花、黒い花、黄色い花にピンク色の花。 中でも大きくて青い花がとてもきれいで、あたしの目を引いた。
もっと読むコウモリ男の夏 (2)
(2) 蝉と太陽と戦隊ヒロインの夏。 「怪人めッ……こんなこと許さないぞ……ボクを解放しろ……!」 シグエレメンツ・イエローは、不自由な体を芋虫のようにくねらせ、フローリングの上を這っていた。 黄色いスーツから伸び
もっと読むコウモリ男の夏 (1)
(1) 目が覚めたら、僕は怪人に改造されていた。 それは夏休み初日の夕方のことで、僕はどこにでもいる高校生で、16才だった。 川原を一人で自転車漕いでいた。 目的地もなかった。 たまたまそこを通りかかったという
もっと読むグノーグレイヴ2 エピローグIII
[エピローグIII] 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「ふざけるなああ!!」 「こんな時代なんか望んでないだろう!!」 「出てこい!諸悪の根源!!!」 若者たちが暴動を起こす。 拓也はその光景を黙ってみて
もっと読むグノーグレイヴ2 エピローグII
[エピローグII] 握出が目を覚ました先には、白い天井が広がっていた。コンクリートの壁に電球がぶら下がった天井は、かつて旧世界で握出が勤務していたエムシー販売店であった。 つまりこの世界は、握出が帰りたかった旧世界。
もっと読むグノーグレイヴ2 エピローグI
[エピローグI] 握出は宇宙に投げ捨てられていた。理想郷も消え、新世界も崩壊した握出に返る場所はなかったからだ。握出は不老不死になった。だから宇宙に投げ込まれても死ぬことはない。だが、この世には握出以外、誰もいない。
もっと読むグノーグレイヴ2 第七話 後編
―第七話後半 正義の勇者 千村拓也― [0] 握出たちは階段をのぼる。 エレベーターが使えなかったのは、デモンツールズとは別の『アンドロイド』がいたからだ。『ただの線を描く画家―レプリカント・ツアー・コンダクター―』
もっと読むグノーグレイヴ2 第七話 前編
―第七話前半 採魂の女神ブリュンヒルド― [0] 「おかえりなさいませ、マスター」 地平線の向こう側から帰還した拓也を迎えたブリュンヒルドだが、デルトエルドが倒れこむと拓也は急いで駆け寄った。 「デルトエルド!」 「よ
もっと読むグノーグレイヴ2 第六話
―第六話 千の弓使いメタモルフォーゼ― [0] 新世界、トラディスカンティア。完成したかと思った世界は実は狭く、拓也を中心にした世界しか変わっていなかった。 『ただの線を描く画家―レプリカント・ツアー・コンダクター―
もっと読むグノーグレイヴ2 第五話
―第五話 予兆の魔道士センリ―― [0] 握出が目を覚ますと、隣で微笑んでくれる女性がいた。彼女は握出の寝顔がおかしかったのか、握出がはっきりと意識を覚醒するまでずっと笑っていた。 「おはようございます、握出様」 朝
もっと読むANTI HERO 第4話
第四話 失楽園 ジゴクニムカウモノタチ そうだ、ずっと、見たかった。 これが見たかったんだ。 もがけ、苦しめ、醜態をさらせ。 今こそ報いを受ける時だ。 星宮学園、特別教室。 そこでは乱闘騒ぎが起こっていた。
もっと読むグノーグレイヴ2 第四話
―第四話 孤狐魔術師フォックステイル― [0] ――「お母さんが待っている家に帰りたい」 そんな当たり前で小さな願いも、私の声は届かなかった。 ドウロをヒロクシヨウ トチをフヤシテ、イエをモチタイ シンキカイタク
もっと読むグノーグレイヴ2 第三.五話
―第三.五話 握出紋の消失― [0] 新世界、トラディスカンティア。元々生まれることのなかった、改ざん後の世界。 千村拓也。グノーグレイヴで手に入れた力、『ただの線を描く画家―レプリカント・ツア・コンダクター―』によ
もっと読むANTI HERO 第3話
第三話 レ・ミゼラブル ああ、無情 因果応報。 己の行動の報いは必ず自分に返ってくる。 しかしそもそもの原因。 それまでも俺の責任か? (おれはどうしたんだ?) 記憶が混乱している。 喉が激しく乾いている。
もっと読むグノーグレイヴ2 第三話 後編
―制裁戦士ジャッジメンテス 後半― ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ 「えっ……」 勝敗は決した。握出を裁くための多数決。手を挙げたのは少数しかいなかった。つまり、無罪になった。 「ど、どうして?」 ジ
もっと読むグノーグレイヴ2 第三話 前編
―制裁戦士ジャッジメンテス 前半― [0] 雲息があやしくなってきた。これから一雨降るかもしれない。 新世界に到達してから天気が曇り空になることは初めてだった。黒い雲に重なるように、採魂の女神が拓也のもとに降下する。
もっと読むグノーグレイヴ2 第二話
―第二話 追撃剣士ポリスリオン― [0] ボス、千村拓也の元に舞い降りた採魂の女神―ブリュンヒルド―が報告する。純白の翼に鎧を纏った女神だけが太陽に照らされる。 「報告します、彼の存在を確認しました」 「どこだ?」 「
もっと読むグノーグレイヴ2 第一話
―第一話 救済天使ヒルキュア― [0] 「報告します、依然として対象者の行方は不明。もうしばらく時間がかかるかと思います」 捜索から帰ってきたブリュンヒルドがボスに報告を終える。雲ひとつない青空の下、神保市を望める神保
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、大森林に突撃する
「……凶兆についてはあれからどう? マグダレーネ」 一通りの近況報告、各セクションの進捗状況などの確認が済んだあと、紅茶を飲みながらさりげなくイリーナが尋ねる。 しかし、マグダレーネはゆっくり首を振る。ついでにずり落
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、執務室で痛い目に遭う
俺が教会を制圧するのに三日掛かった。……いや、この言い方は違うな。 俺が教会を自分の望み通りの環境にするのに、三日掛かったと言うべきか。 あれから昼は教会の洗脳の強化、夜はソフィーヤを抱きまくる、とやる事が一杯あっ
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、大聖堂で対決する
……俺の前には現在世界最強であろう女の一人がいる。 しかもその女が烈火の如く怒っている。 この威圧感、絶望感は味わった者にしか分からないと思う。 目の前に居るまだ20そこそこの綺麗な女がドラゴンより強いと言われて
もっと読むANTI HERO 第2話
第二話 アマデウス 嫉妬 不破ツトムという男の特徴として、ほとんどのものが「努力家」を挙げよう。 他に「身の程知らず」「自意識過剰」「才能の出涸らし」「賢兄愚弟」「目付きが悪い」「獣じみてる」「兄の引き立て役」という
もっと読むANTI HERO 第1話
第一話 オペラ座の怪人 ナラクノシハイシャ 「おまえたちは!」 蜂を擬人化したような、体のラインからかろうじて女性と分かる怪人が、崖の上の五人の戦士を指さして叫ぶ。 「ファイヤー!レェッド!」 赤の戦士が波打つ刀身の
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、隠れ家で仲魔に出会う
白く輝く不落の城、ケテル城。世界を救った英雄達の居城。謁見の大広間は豪奢な細工を施された大理石の円柱が立ち並び、中央には金縁の刺繍も美しい、幅広の赤いカーペットが敷かれている。部屋を直線状に縦断するカーペットはゆるやか
もっと読むへたれ悪魔と七英雄 へたれ悪魔、水車小屋で決意する
ポンポンと情けない音を上げて花火が次々に打ち上げられる。昼の最中に見る花火はマヌケ以外の何ものでもない。 抜けるような青空の下、わずかな煙を吐き出しすぐに消えていく人間の文明の利器とやらを眺めながら、俺は忌々しげに溜
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード1「大地の守護者」(後編)
エピソード 1 「大地の守護者」(後編) 第2章 レックスは<操作>の魔弾の力でユーナの意識を飛ばすと軽々と肩に担ぎ上げ、表の給水ポンプに向かった。ポンプのバルブを捻り、汗や小便、精液で汚れきったユーナの体を洗い流す。
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード1「大地の守護者」(前編)
エピソード 1 「大地の守護者」(前編) プロローグ 一攫千金を狙った男達の夢の跡……そこでユーナとレックスは対峙していた。 山肌にいくつも掘られた坑道、木造の宿泊施設や見張り小屋。 マリッサの拠点の都市から少し離
もっと読む寄生虫
「失礼します。1年3組のヤマダマユミです。気分が悪いので休ませてもらいに来ました」 そうきちんと挨拶して保健室に入って来たのは、見たことのない生徒でした。おかっぱ頭でいかにも幼い顔が不自然なほど紅潮し、心なしか体が慄え
もっと読むシルバーナイトの帰還
「シルバーナイト様…っ! ぐうっ…!」 目の前にいた味方の兵士の体が、力なく崩れ落ちる。彼を倒したのは、敵軍の槍兵であった。 味方の兵士を救えなかったシルバーナイトの瞳に、怒りの炎が燃える。邪悪なるダークキングに仕え
もっと読むUN 第2話
第2話 目が覚めると、そこは人家の中だった。 木板を重ね合わせた天井から、細長い陽光が流れ落ちてくる。空気は冴え冴えと冷え、朝鳥の歌が軽やかに踊っていた。 寝起きではっきりしない目を、ぐるりとめぐらせる。 壁には
もっと読むUN 第1話
第1話 はじめに言葉ありき。 ――ヨハネ福音書 追われている。 うっそうと茂った森の中、足元にまとわりつく闇を蹴って、私は逃げている。 「はあっ、はあっ、はあっ!」 鼓膜を打つのは己の荒い息、
もっと読む誰が為に銃声は鳴る 外伝「疾風の女盗賊」(後編)
外伝 「疾風の女盗賊」(後編) 第2章 次の朝早く、レックスとマリッサは駅に来ていた。さすがに全裸はマズいので、マリッサは下着だけは着けて貰っていた。 しかしマリッサはどうしても下着に馴染めなかった。昨日までは当たり
もっと読む誰が為に銃声は鳴る 外伝「疾風の女盗賊」(前編)
外伝 「疾風の女盗賊」(前編) プロローグ 夜の帳が町を優しく包んでいる。 町の外れにある荒くれ達御用達の安酒場、そこのカウンターの端で一人の女が酒を飲んでいた。 年齢は23、4といったところだろうか、はっきりとし
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード0「暗黒の暴竜」(後編)
エピソード 0 「暗黒の暴竜」(後編) 第2章 レックスはチャンスを窺っていた。既にターニャから谷の場所は聞いていたが、すぐに向かう訳にはいかない。 万が一、自分が谷に行った事が知られ、ユーナが追っ手としてやって来た
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード0「暗黒の暴竜」(前編)
エピソード 0 「暗黒の暴竜」(前編) プロローグ ―――――くそっ、くそっ、くそっ・・・・・・。 レックスは腹を押さえ、おぼつか無い足取りで森の中を彷徨いながら毒づく。 (ジュリアス・レットとか名乗りやがったか?あ
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード2「紺碧の女神」(後編)
エピソード 2 「紺碧の女神」(後編) 第2章 ―――――町に帰りつくのもやっとだった。 なるべくゆっくり歩くようにしたが大した効果は上がらなかった。何度達したかももう分からない。 クリスはふらふらになりながらよう
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード2「紺碧の女神」(前編)
エピソード 2 「紺碧の女神」(前編) プロローグ ・・・・・・・・・雨が・・・雨が降っていた。 しとしとと降り続く小雨は世界中を灰色に染め上げようとしているようだ。 雨を吸い込みじっとりと湿った空気は人々を陰鬱な
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード3「炎の戦姫」(後編)
エピソード 3 「炎の戦姫」(後編) 第2章 響いた銃声は一発だけだった。 レックスは銃を抜きもしていない。そしてレミィの弾はどこか見当違いの方向へ飛んでいった。 レミィはがくりと膝をつく。そしてその口から堪えきれ
もっと読む誰が為に銃声は鳴る エピソード3「炎の戦姫」(前編)
エピソード 3 「炎の戦姫」(前編) ―――――19世紀後半、アメリカ。 そこは一攫千金を求める鉱山夫、強盗団、賞金首等が幅を効かす荒くれ達の楽園だった。 ・・・しかしだからといって、法の力が全く通用しなかった訳で
もっと読む潜入捜査
「全ての人に惜しみない愛を。私達が一切の見返りを求めずに愛を与え続ければ、それは私達自身を豊かにして自然に私達の生活は満ち足りたものへと変わっていくのです」 壇上の上でマイクを手にした一人の男が熱心にスピーチをしている
もっと読むESP
「で、この麻薬はどこへ運ばれて誰に手渡すはずだったの?」 金色の髪の女性が、机越しに対面した男性に問いかける。 だが、男は何も答えない。完璧な沈黙を保っている。 「トム、貴方がちゃんと話してくれないから、わざわざ私が
もっと読む未来性紀
この話は、フェミニズムを貶めようという意図はありませんが、不快に感じる人もいるかもしれません。その場合は、読むのを途中でやめることをおすすめします。 メモ1 辺境の惑星、Q21に降り立つ。これからフィールド調査だ。
もっと読む