免罪符 接触編

― 接触編 ― 「はぁ…、疲れたなぁ…。ったく、こんな毎日毎日遅くまで残業させなくてもよぉ、あの課長め…」  俺はぶつくさ呟きながら、家路を急いでいた。  夜もかなりふけて、転々と光る街灯と住宅から漏れる明かり以外は闇に

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連鎖 神谷千恵

神谷千恵  神谷千恵は一人、キャンパスを歩いていた。真っ黒い髪に真っ黒い目。ここ、アメリカでは珍しい色だが、そもそも多様な人種の混在しているこの国ではそのことを気にする者は少ない。しかし、飛び級で大学に入学した彼女を奇異

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笑う悪魔

「何度言ったらわかるんですか、黒洲(くろしま)先生? 先生のやっていることは覗き、痴漢行為ですよ」  私はレオタードの上にジャージを羽織り、体育館入り口でうろついていた黒洲先生に言い放つ。  最近いつもいつもこの太った中

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迷探偵 アイテム

アイテム  俺の名は江藤 新二(エトウシンジ)、子供の頃の夢だった探偵に最近やっとなる事が出来たんだ。  知り合いの援助もあって今日もひっそりと小さな事務所を開いている。  経営の方は正直言って厳しい……けれど毎日充実し

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本 第2話

第2話 (遅いな……)  本の力は間違いないはずとしても返事を聞かなかったのはまずかったのだろうか?  そんなような事を考えながら校舎裏で翔は奈緒のことを待っていた。  最初は奈緒が来た後の事を色々考えてワクワクしていた

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本 第1話

第1話 「ふぅ……」  ある学校の放課後、図書室でポンッと本を閉じ一人の少女が息をつく。  小柄でメガネにおさげ髪、制服はブレザーでいかにも図書委員といった見た目の彼女が読み終えた本を元の場所に返そうとした時、一人の男の

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セールスマン

 とある昼過ぎのマンションの前に、鞄を持ったスーツの男が立っていた。  男はエレベーターを登り、マンションの一室の前に行く。  マンションに入って以来、一人として住人を見ていない。この時間、住人は家にいるか、すでに出かけ

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「美晴おばさん、これは玄関行き?それともこのまま放置?」  ずっしりと重いダンボールを両手で抱え、僕は叔母さんに尋ねた。  叔母さんは僕の後ろで、何かわけのわからない骨董品やら、どうやって使うのかわからない調度品やらを、

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