未来世紀日本

― プロローグ ―  イオリは注意深く周囲の気配を探った。野性味の溢れる整った顔が、緊張に強張っている。それも、この状況では仕方が無いが。  今の所、不穏な気配はまったく感じられない。けれど、それが安全とはイコールでは結

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ライフ=シェアリング 美星と美月と辰巳 美星と美月と辰巳

- 序 -  ライフ=シェアリングとは、死すべき身体を、命を、心を、グランツ(与える者)が、アクセプツ(受諾する者)に命を分け与える事で繋ぎ止める技術を言う。  それは、素晴らしい技術のように思える。しかし、弊害が無い訳

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魔性の少女 最終章

最終章 「行くの?」  ぼくは、舞ちゃんを後ろから抱き締めて、そう聞いた。  もう、何度も聞いたというのに、もしかしたら引き止められるかも知れない・・・なんて、ありそうも無い希望に縋って。 「ええ。そんなに掛からないと思

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魔性の少女 第六章

第六章 ― 1 ―  ちゅ。ぴちゅ。ちゅっ。ちゅぴっ。  ぼくの目の前で、妹達が汗にまみれ、ねっとりとしたキスを交わしている。  汗できらきらときらめく肌を部屋の白い蛍光灯の光に晒して、まるで一つになろうとしているみたい

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魔性の少女 第三章

第三章 ― 0 ―  家の雰囲気は、もはや元には戻れないと確信させられるほど、徹底的に変わってしまった。それは全て、舞ちゃんが来てからの事。舞ちゃんが行った事。舞ちゃんが・・・望んだ事。  いつも家族の誰か、または全員が

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魔性の少女 第一章

第一章 ― 0 ―  チャイムの音がした。  ぼく――佐原裕司は自室でベッドに寝転がり、あからさまに暇つぶしといった様子で車専門の雑誌をめくっていたのだけど、その音に反応して身体を起こした。  階下に家族がいるのは知って

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ガツン#

(『ガツン』はジジさんの作品です) 「たいへんっ!たいへんなのっ!!」  ネコっぽい顔付きの女の子が、ボクの部屋に飛び込んできた。顔が真っ赤で、どれだけ走ったのか、息をひどく荒げている。肩までの髪の毛も、どこか乱れてるし

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鳥篭の小鳥たち

-1- 「絢さん、滝尾 絢さん、ゆっくりと目を開けて下さい」  その声に、わたしの意識が浮上するのを感じました。先生の声で目が覚めるなんて、本当に素敵。少しだけ茫としながら、嬉しさにわたしの顔が弛むのを感じました。 「は

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