サイの血族 3

10  旅支度と言ってもたいしたものではない。着替えと日用品をバッグに入れればお終いだった。  雄大に別れの挨拶をして隼人は家を出た。でも、どうしたらいいのかわからなかった。空腹に気づき駅前にあるマクドナルドに入った。ビ

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サイの血族 2

7 「休学?」 「はい。父の手紙も持って来ました」  職員室の一角。長谷川恭子の机の前で隼人は手紙を差し出した。 「いつから?」 「今日からです。家庭の事情があって」 「ずいぶん急なのね。事情って・・・」  長谷川恭子は

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サイの血族 1

0  姉である葉月の焦点を結んでいない眼を見ながら隼人は脇の下に汗が流れるのを感じていた。 「うん、初めてにしては力は強そうだな」  隼人に手をかざしながら、父親の斎部雄大が満足そうに言う。 「ほ・・・ほんとに・・・」

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